説明

リードフレームの製造方法およびリードフレーム

【課題】設計の自由度と高い生産性を維持しつつ、1つの金属板材からリードフレームを製造することができるリードフレームの製造方法を提供する。
【解決手段】帯板状の導体を順送りしながらプレス加工を施すことにより、両側部に平行なフレーム部1a,1bを形成するとともに、上記両フレーム部1a,1bの間にフレーム部1a,1bに対して連結部2a,2bによって連結されたパーツ部3a,3bを形成するリードフレームの製造方法であって、
上記連結部2a,2bは、フレーム部1a,1bとパーツ部3a,3bの連結状態を維持した状態でフレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離変動を許容する変形部として機能するよう構成され、
上記両フレーム部1a,1bを同じ速度で順送りしながら加工するときに、上記フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離が変動するよう移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LEDチップが搭載されて液晶表示装置の光源等に使用可能なLEDパッケージ装置、IC装置等の半導体装置に使用することができるリードフレームの製造方法およびリードフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージ製品の製造は、金属板材をプレス加工によって所要の形状に打ち抜いて所定形状のリードフレームを成形するリードフレーム成形工程、上記リードフレームのダイパッドにチップを搭載したのちワイヤボンディングして樹脂モールドする実装工程、長尺状のリードフレームを個別ピースに切り離す切断工程、不要な部分を除去する除去工程等の各工程によって行われている。
【0003】
このような半導体パッケージ製品におけるリードフレームの製造技術としては、例えば、下記の特許文献1〜4に係るものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4059109号公報
【特許文献2】特開2006−49368号公報
【特許文献3】特開平6−310362号公報
【特許文献4】特許第3941967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、半導体製品の多様化や機能向上のため、リードフレームの構造を2次元的なものから3次元的なものにすることが求められている。
【0006】
このため、上述した半導体パッケージ製品の製造工程におけるリードフレーム成形工程では、金属板材を所要の外形形状に打ち抜く工程と、打ち抜き加工した金属板材を所定の3次元形状に加工するために折り曲げる工程が行われる。上記打ち抜き加工では、後にリードフレームのパーツとなる各パーツ部分およびパーツ部分同士もしくはパーツ部分を周辺部に連結する連結部をプレスによる打ち抜きで形成し、折り曲げ加工では、各パーツ部分等を2次元的な形状から3次元的な形状に成形することが行われている。
【0007】
上記各パーツ部分の空間的な位置関係は、打ち抜き加工における打ち抜きパターンと、打ち抜き後の折り曲げ加工における折り曲げ具合によって決定される。
このとき、打ち抜きパターンで形成された各パーツ部分等を単純に折り曲げると、どうしても各パーツ部分同士の隙間が大きくなる方向に加工されてしまう。このため、パーツ部分同士の隙間を小さくして各パーツ部分を近接させて配置した状態に加工するにも限界がある。
【0008】
一方、近年の半導体パッケージ装置では、パッケージ自体のさらなる小型化への要求が強くなっており、パーツ部分同士の隙間を小さくして各パーツ部分を近接させて配置することが求められている。
【0009】
特に、LED用のリードフレームの場合、LEDの光を反射するための反射面を形成しなければならない。このような反射面は、絞り加工や曲げ加工で成形されるが、加工の度合いが大きくなる傾向にある。反射面に要する加工度合いが大きいと、反射面以外の部分の加工度合いをあまり大きくできない。したがって、反射面以外の部分の加工の余地が少なくなり、加工の自由度が大幅に制限されてしまう結果、上述したようなパーツ部分同士の隙間を小さくするよう配置した加工を行うことが極めて困難となる。
【0010】
さらに、半導体装置の機能上の必要から、パーツ部分同士を近接して配置するに留まらず、パーツ部分同士を高さ方向に重ねて配置することも要求されるようになってきている。
【0011】
ここで、上記特許文献1には、リードフレームの構造を3次元的なものにするため、複数のリードフレームを組み合わせる技術が開示されている。ところが、複数のリードフレームを組合せる方法では、それだけ工程が多くなることが避けられず、生産性が大幅に低下するという問題がある。また、上記特許文献1では、電極部を有する回路パターン部と、この回路パターン部に交差するつりピン部とを有するように加工し、回路パターン部に曲げ加工を行ってつりピン部との間に段差を持たせることにより、回路パターン部の電極部に実装された電子部品をつりピン部から浮かせることが行われている。
しかしながら、この場合でも、単純に回路パターンに曲げ加工を行うに過ぎないため、回路パターンの電極部同士の隙間は大きくなる方向に加工されていることに変わりはなく、パーツ部分同士を近接して配置することはできない。
【0012】
また、上記特許文献2には、形状加工の前に曲げ加工を行うことにより、曲げ加工による形状変化の予測の狂いによる形状設計のやり直しを防止するようにする技術が開示されている。
しかしながら、この場合でも、単純にリードフレームに曲げ加工を行うに過ぎないため、ダイパット部(パーツ部分)同士の隙間は大きくなる方向に加工されていることに変わりはなく、パーツ部分同士を近接して配置することはできない。しかも、折り曲げ加工による加工を行うことが必須となっており、結果的に設計の自由度が制限される問題が残る。しかも、パーツ部分同士を高さ方向に重ねて配置することは不可能である。
【0013】
また、上記特許文献3には、平行なフレーム部から互いに向かい合う方向にそれぞれリード部を突出させ、このリード部をその幅方向に互いにずらせて配置する技術が開示されている。
しかしながら、この場合でも、リード部に曲げ加工を行うと、接続端部(パーツ部分)同士の隙間は大きくなる方向に加工されていることに変わりはなく、パーツ部分同士を近接して配置することはできない。しかも、パーツ部分同士を高さ方向に重ねて配置することも不可能である。
【0014】
また、上記特許文献4には、平行なサイドフレームが所定間隔に設けられたセクションバーで連結され、両サイドフレームからはそれぞれ対を成す第1リード端子および第2リード端子が形成され、両サイドフレームを長手方向にずらし移動させたときに両リード端子の自由端が重なるように配置されたものが開示されている。
しかしながら、この場合でも、両リード端子(パーツ部分)同士を高さ方向に重ねて配置することは不可能である。しかも、両リード端子を重ねる際に、両サイドフレームを長手方向にずらし移動させる必要がある。したがって、両サイドフレームの移動速度を変化させなければならず、前後のプレス成形工程、曲げ成形工程等の加工のように、両サイドフレームの移動速度を等しくして行う加工とは独立して行わねばならない。すなわち、前工程のプレス成形工程を行って両サイドフレームを巻き取り、その後、両サイドフレームを長手方向にずらし移動させて両リード端子(パーツ部分)同士を高さ方向に重ねてまた巻き取り、さらにその後、切り離し工程等の後工程を実施しなければならない。このように、一連の順送りの連続加工のなかに組み入れて行うことができず、極めて生産性が悪いという問題がある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、設計の自由度と高い生産性を維持しつつ、1つの金属板材からリードフレームを製造することができるリードフレームの製造方法およびリードフレームの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のリードフレームの製造方法は、帯板状の導体を順送りしながらプレス加工を施すことにより、両側部に平行なフレーム部を形成するとともに、上記両フレーム部の間にフレーム部に対して連結部によって連結されたパーツ部を形成するリードフレームの製造方法であって、
上記連結部は、フレーム部とパーツ部の連結状態を維持した状態でフレーム部に対するパーツ部の距離変動を許容する変形部として機能するよう構成され、上記両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工するときに、上記フレーム部に対するパーツ部の距離が変動するよう移動させることを要旨とする。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明のリードフレームは、帯板状の導体が順送りされながらプレス加工が施され、両側部に平行なフレーム部が形成されるとともに、上記両フレーム部の間にフレーム部に対して連結部によって連結されたパーツ部が形成されたリードフレームであって、
上記連結部は、上記両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工するときに、フレーム部とパーツ部の連結状態を維持した状態でフレーム部に対するパーツ部の距離変動を許容する変形部として機能するよう構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のリードフレームの製造方法は、上記連結部は、フレーム部とパーツ部の連結状態を維持した状態でフレーム部に対するパーツ部の距離変動を許容する変形部として機能するよう構成され、上記両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工するときに、上記フレーム部に対するパーツ部の距離が変動するよう移動させる。
このため、フレーム部に対するパーツ部の距離を大きくしたりあるいは小さくしたりするようパーツ部の位置を変動させることが可能となり、リードフレームの設計の自由度が大幅に向上する。また、パーツ部の移動を、両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工する際に行うことができるため、段階的な一連の順送り加工のなかにパーツ部の移動工程を組み入れ、連続工程によって加工を行うことができ、高い生産性を維持することができる。
【0019】
本発明のリードフレームは、上記連結部は、上記両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工するときに、フレーム部とパーツ部の連結状態を維持した状態でフレーム部に対するパーツ部の距離変動を許容する変形部として機能するよう構成されている。
このため、フレーム部に対するパーツ部の距離を大きくしたりあるいは小さくしたりするようパーツ部の位置が変動され、リードフレームの設計の自由度が大幅に向上する。また、パーツ部の移動を、両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工する際に行うことができるため、段階的な一連の順送り加工のなかにパーツ部の移動工程を組み入れ、連続工程によって加工を行うことができ、高い生産性を維持することができる。
【0020】
本発明において、上記パーツ部を、上記フレーム部に対するパーツ部の距離が変動するとともに、フレーム部に対する高さ位置が変動するよう移動させる場合には、
パーツ部を、フレーム部との距離を変動させるだけでなく、フレーム部に対する高さ位置を変動させることにより、さらに設計の自由度が大きくなる。
【0021】
本発明において、上記両フレーム部の一方に第1のパーツ部が連結されるとともに、上記両フレーム部の他方に第2のパーツ部が連結されるよう加工し、
上記第1のパーツ部と第2のパーツ部の距離を近接させる方向に両パーツ部を移動させる場合には、
従来のように、パーツ部同士の隙間が広くなる方向だけでなく、パーツ部同士の隙間を狭くする方向への加工が可能であり、パーツ部同士の配置等に関する設計の自由度が極めて大きくなり、例えば、パーツ部を半導体パッケージ装置に使用したときに、パッケージ自体のさらなる小型化を実現することができる。
【0022】
本発明において、上記両パーツ部の少なくとも一部が高さ方向において重なる位置関係となるよう両パーツ部を移動させる場合には、
パーツ部同士を高さ方向に重ねて配置することが可能となり、パーツ部同士の配置等に関する設計の自由度が極めて大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のリードフレームの製造方法の第1実施形態を説明する図である。
【図2】従来例を説明する図である。
【図3】本発明のリードフレームの製造方法の第2実施形態を説明する図である。
【図4】本発明のリードフレームの製造方法の第3実施形態を説明する図である。
【図5】本発明のリードフレームの製造方法の第4実施形態を説明する図である。
【図6】上記第4実施形態で製造されたリードフレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明のリードフレームの製造方法を説明する図であり、(A)は平面図、(B)はB−B断面図、(C)はC−C断面図である。
【0026】
本実施形態の製造方法は、帯板状の導体4を順送りしながらプレス加工を施すことにより、両側部に平行なフレーム部1a,1bを形成するとともに、上記両フレーム部1a,1bの間に、フレーム部1a,1bに対して連結部2a,2bによって連結されたパーツ部3a,3bを形成するリードフレームの製造方法である。
【0027】
より詳しく説明すると、上記帯板状の導体4としては、例えば、銅板、アルミニウム板、ステンレス板、鋼板、ニッケル板等の金属板が好適に用いられる。上記導体4は、図において上下に延びる長尺の帯板状であり、図において下から上に向かって順送りされながら、プレス加工の打ち抜き加工や曲げ加工等の加工が施され、順次所定の形状に成形される。
【0028】
例えば、まず、フレーム部1a,1bとなる両側の部分に、順送りのガイドをするためのパイロット穴5が一定ピッチであけられる。ついで、上記パイロット穴5を利用して順送りしながら、フレーム部1a,1b、連結部2a,2b、パーツ部3a,3bとなる部分を残して他の部分を打ち抜き加工によって抜き落とすことにより、B−B断面を示した箇所に示すように、フレーム部1a,1b、連結部2a,2b、パーツ部3a,3bを形成する。
【0029】
この例では、上記両フレーム部1a,1bの一方である第1のフレーム部1aに第1のパーツ部3aが連結部2aによって連結されるとともに、上記両フレーム部1a,1bの他方である第2のフレーム部1bに第2のパーツ部3bが連結部2bによって連結されるよう加工されている。
【0030】
また、この例では、上記両フレーム部1a,1b間の空間において、第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3bは、互いに対向するように形成され、両パーツ部3a,3bの間には所定の隙間6が形成されている。
【0031】
上記各連結部2a,2bは、この例では、塑性変形が容易なように、一対の細いV字状部分がお互い開放部が向かい合うよう配置された形状に形成され、2つのV字状部分によって、各フレーム部1a,1bとパーツ部3a,3bとを連結している。
【0032】
上記パーツ部3a,3bは、この例では、長方形状のものを例示して示している。打ち抜き終わりの状態(B−B矢線で示した箇所)では、上記パーツ部3a,3bは、それぞれ平板状であるが、その後の曲げ加工により、鎖線の箇所で曲げ加工が行われる。曲げ加工後の状態は、(C−C矢線で示した箇所)であり、この例では、第1のパーツ部3a,第2のパーツ部3bの対向する先端側が、第1および第2フレーム部1a,1bに対して高さ位置が同じ方向に(この例では下側に)シフトするよう曲げ変形が加えられている。
【0033】
なお、実際には、パーツ部3a,3bは、半導体パッケージ装置の設計によって各種の形状に成形することが行われ、後述するように、曲げ加工だけでなく、深絞り加工による成形も併用することができる。
【0034】
ここで、上記両連結部2a,2bは、フレーム部1a,1bとパーツ部3a,3bの連結状態を維持した状態で、フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離変動を許容する変形部として機能するよう構成されている。
【0035】
すなわち、この例では、両連結部2a,2bが、第1のフレーム部1aと第1のパーツ部3aの距離が大きくなる方向、および第2のフレーム部1bと第2のパーツ部3bの距離が大きくなる方向に塑性変形するよう、第1および第2のパーツ部3a,3bを移動させる。すなわち、上記第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3b同士の距離を近接させる方向に両パーツ部3a,3bを移動させる。
【0036】
その結果、C−C矢線で示した箇所に示すように、両連結部2a,2bは、各V字の角度が広がるとともに、連結部2a,2b自体が伸びるように塑性変形する。これにより、両パーツ部3b同士の隙間6は、曲げ加工および移動前のC−C矢線で示した箇所に比べて狭くなっている。
【0037】
このように、上記両フレーム部1a,1bを同じ速度で順送りしながら加工するときに、上記フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離が変動するよう移動させることが行われる。
【0038】
各パーツ部3a,3bは、例えば、つぎのようにして移動させることができる。すなわち、例えば、第1および第2のパーツ部3a,3bに曲げ加工を行う際に上下のプレス型によってパーツ部3a,3bを挟み込むことが行われるが、このパーツ部3a,3bを挟み込んだ状態で上下のプレス型を、両フレーム部1a,1bに対して内側に移動させることにより、パーツ部3a,3bの移動を実現することができる。また、第1および第2のパーツ部3a,3bに曲げ加工を行う曲げ加工型と、パーツ部3a,3bを移動させるための移動型とを別個に設け、曲げ加工と移動を別段階で行うことも可能である。
【0039】
図2は、従来例を示すもので、(D)は平面図、(E)はE−E断面図、(F)はF−F断面図である。
【0040】
連結部7a,7bは、本実施形態のように、フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離変動を許容する変形部としては機能しない。
【0041】
E−E矢線で示した箇所はパーツ部3a,3bの曲げ変形前であり、F−F矢線で示した箇所はパーツ部3a,3bの曲げ変形後であるが、パーツ部3a,3bに対して曲げ変形を加えることにより、パーツ部3a,3b同士の隙間6が広がっている。
【0042】
以上のように、本実施形態のリードフレームの製造方法およびそれによって得られたリードフレームは、上記連結部2a,2bは、フレーム部1a,1bとパーツ部3a,3bの連結状態を維持した状態でフレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離変動を許容する変形部として機能するよう構成され、上記両フレーム部1a,1bを同じ速度で順送りしながら加工するときに、上記フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離が変動するよう移動させる。
このため、フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離を大きくしたりあるいは小さくしたりするようパーツ部3a,3bの位置を変動させることが可能となり、リードフレームの設計の自由度が大幅に向上する。また、パーツ部3a,3bの移動を、両フレーム部1a,1bを同じ速度で順送りしながら加工する際に行うことができるため、段階的な一連の順送り加工のなかにパーツ部3a,3bの移動工程を組み入れ、連続工程によって加工を行うことができ、高い生産性を維持することができる。
【0043】
また、上記両フレーム部1a,1bの一方である第1のフレーム部1aに第1のパーツ部3aが連結されるとともに、上記両フレーム部1a,1bの他方である第2のフレーム部1bに第2のパーツ部3bが連結されるよう加工し、
上記第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3bの距離を近接させる方向に両パーツ部3a,3bを移動させる場合には、
従来のように、パーツ部3a,3b同士の隙間6が広くなる方向だけでなく、パーツ部3a,3b同士の隙間6を狭くする方向への加工が可能であり、パーツ部3a,3b同士の配置等に関する設計の自由度が極めて大きくなり、例えば、パーツ部3a,3bを半導体パッケージ装置に使用したときに、パッケージ自体のさらなる小型化を実現することができる。
【0044】
図3は、本発明の第2実施形態を示す図であり、(G)は平面図、(H)はH−H断面図、(I)はI−I断面図である。
【0045】
この例は、上記両パーツ部3a,3bの少なくとも一部が高さ方向において重なる位置関係となるよう両パーツ部を変形させ、移動させたものである。
【0046】
すなわち、この例では、打ち抜き終わりの状態(H−H矢線で示した箇所)において平板状のパーツ部3a,3bの曲げ加工として、この例では、第1のパーツ部3a,第2のパーツ部3bの対向する先端側が、第1および第2フレーム部1a,1bに対して高さ位置が異なる方向にシフトするよう曲げ変形が加えられている(I−I矢線で示した箇所)。
【0047】
そして、両パーツ部3a,3bの先端部分が高さ方向において重なる位置関係となるよう両パーツ部3a,3bを移動させている。それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0048】
この例では、パーツ部3a,3b同士を高さ方向に重ねて配置することが可能となり、パーツ部3a,3b同士の配置等に関する設計の自由度が極めて大きくなる。それ以外は、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0049】
図4は、本発明の第3実施形態を示す図であり、(J)は平面図、(K)はK−K断面図、(L)はL−L断面図である。
【0050】
この例は、上記パーツ部3a,3bを、上記フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離が変動するとともに、フレーム部1a,1bに対する高さ位置が変動するよう移動させたものである。そして、上記両パーツ部3a,3bの少なくとも一部が高さ方向において重なる位置関係となるよう両パーツ部3a,3bを移動させている。
【0051】
すなわち、この例では、各パーツ部3a,3bの曲げ加工を行わず、平板状のままで、第1のパーツ部3a,第2のパーツ部3bの対向する先端側が、第1および第2フレーム部1a,1bに対して高さ位置が異なる方向にシフトするよう各パーツ部3a,3bの移動を行っている。そして、各パーツ部3a,3bの先端部が高さ方向において重なるようにしている。それ以外は、上記第1〜第2実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0052】
このように、上記パーツ部3a,3bを、上記フレーム部1a,1bに対するパーツ部3a,3bの距離が変動するとともに、フレーム部1a,1bに対する高さ位置が変動するよう移動させているため、パーツ部3a,3bを、フレーム部1a,1bとの距離を変動させるだけでなく、フレーム部1a,1bに対する高さ位置を変動させることにより、さらに設計の自由度が大きくなる。それ以外は、上記第1〜第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0053】
図5および図6は、本発明の第4実施形態を示す図である。
【0054】
この例では、一対のフレーム部1a,1b同士の間に、区切り部8が所定間隔で設けられて全体として梯子状に形成され、送り方向前後の区切り部8と両フレーム部1a,1bに囲まれた領域に第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3bが形成されている。そして、上記第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3bが、それぞれ第1のフレーム部1aおよび第2のフレーム部に対して連結部2a,2bにより連結されている。
【0055】
この例では、上記連結部2a,2bは、変形前(図示の上側)の状態で、トラック形状の環状部として形成されている。そして、第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3bが、相互の隙間6を狭くする方向に移動させる際に、トラック形状の環状部が略円形となるよう上記連結部2a,2bが塑性変形するようになっている。
【0056】
このリードフレームでは、第1のパーツ部3aは、この例では、1枚の金属板がプレス成形により深絞り加工および曲げ加工等が行われることにより形成されている。上記第2のパーツ部3bも、第1のパーツ部3aと同様に1枚の金属板がプレス成形により曲げ加工等が行われることにより形成されている。
【0057】
上記第1のパーツ部3aは、半導体素子としてLED9が搭載される搭載面10を有する搭載部11と、上記LED9の周囲で光を反射する反射面12を有する反射部13と、熱を放散するための放熱面15を有する放熱部14とを有している。そして、搭載部11および反射部13は、深絞り加工によって平面視でトラック形状を呈する皿状に形成されている。
【0058】
この例では、上記第1のパーツ部3aは、上記搭載部11および反射部13と一体になった放熱部14の放熱面15が、半導体パッケージ装置が実装される実装面への取り付け面となっている。すなわち、放熱部14の放熱面15は、モールド樹脂16で覆われる発光側や受光側とは反対の下面に位置していて、この半導体パッケージ装置は、上記放熱面15を実装面に対面させた状態で実装される。また、上記放熱面15は、モールド樹脂16で覆われずに金属が露出した状態で、上記放熱面15が実装面に直接接触することにより放熱面から実装面へ熱伝導されて放熱が行われる。
【0059】
また、この例では、上記搭載部11および反射部13と一体になった放熱部14は、半導体パッケージ装置が実装される際に外部との電気的な接続を行う電気接続部を兼ねている。すなわち、上記放熱面15は、上述したようにモールド樹脂16で覆われずに金属が露出した状態で、上記放熱面15が外部端子等の接点に直接接触することにより電気的な接続が行われる。
【0060】
また、上記第1のパーツ部3aでは、上記搭載部11と反射部13が、搭載面10から反射面12にわたる面が、搭載面10を底面として上広がり状に反射面12が形成されるように形成されている。この例では、搭載面10はトラック状の長円形状に形成され、その周囲に略すり鉢状に反射面12が形成されている。
【0061】
そして、この例では、上記搭載部11と反射部13における長円形状の片側に放熱部14が設けられている。上記放熱部14は、上記長円形状の短軸に沿うよう設けられ、略すり鉢状の反射部13の上端縁から下向きに屈曲形成された縦壁17の下端部において横方向に屈曲形成されることにより形成されている。
【0062】
一方、上記第2のパーツ部3bは、上記搭載部11、反射部13および放熱部14が一体に形成された第1のパーツ部3aとは別に設けられ、上記LED9と配線導体18を介して電気的に接続される。
【0063】
上記第2のパーツ部3bは、上記第1のパーツ部3aとの間に所定の隙間6を隔て、上記放熱部14と反対側において長円形状の長軸に短軸が沿うよう設けられている。上記第2のパーツ部3bは、上記反射部13の上端縁と隙間6を隔てて対峙した上端縁から下向きに縦壁19が屈曲形成され、上記縦壁19の下端部において実装部20が横方向に屈曲形成されることにより形成されている。
【0064】
上記第2のパーツ部3bの実装部20は、上記長円形状の長軸に対して第1のパーツ部3aの放熱部14と対称となるよう形成されており、この半導体パッケージ装置は、上記実装部20の下面と放熱部14の下面とは、半導体パッケージ装置が実装される実装面への取付面となっている。また、上記実装部20の下面は、外部端子等の接点に直接接触することにより電気的な接続が行われ、実装部20は電気的な接続部としての機能を兼ね備えている。
【0065】
また、この例では、上記第2のパーツ部3bには配線導体18が接続される接続部21が設けられ、上記第2のパーツ部3bにおける配線導体18の接続部21は、上広がり状に形成された反射部13の上端部よりも高い位置に配置されている。
【0066】
本実施形態では、上述したように、連結部2a,2bを塑性変形させて第1のパーツ3aと第2のパーツ3bを近接させるように移動させることにより、反射部13と接続部21との上記位置関係を実現している。
【0067】
このように、上記第2のパーツ部3bにおける配線導体18の接続部21を反射部13の上端部よりも高い位置に配置することにより、配線導体18と第1パーツ部3aとの接触によるショートを効果的に防止できる。
【0068】
そして、この例では、上記半導体素子として発光素子であるLED9が用いられるとともに、モールド樹脂16として透明樹脂が使用され、モールド樹脂16で覆われた上側が光を照射する発光側とされている。なお、上記半導体素子として受光素子を用い、モールド樹脂16として透明樹脂を使用し、モールド樹脂16で覆われた上側を光を受け入れる受光側とすることもできる。
【0069】
この例における半導体パッケージ装置は、半導体素子が搭載された第1のパーツ部3aと、上記半導体素子と配線導体18によって電気的に接続される第2のパーツ部3bとを備え、上記第1のパーツ部3a、第2のパーツ部3b、半導体素子および配線導体18は、その半導体素子が搭載された側である上側がモールド樹脂16で覆われている。
【0070】
この例では、図5に示すように、第1のパーツ部3aと第2のパーツ部3bを近接させるように移動させてそれらを所定の配置に位置決めしたのち、第1のパーツ部3aの搭載部11にLED9を搭載し、配線導体18によって配線が行われ、さらにモールド樹脂16でモールドすることが行われる。その後、図5において矢印Cで示した位置で切断することにより、図6に示す半導体パッケージ装置を得ることができる。
【0071】
ここで、上記リードフレームを構成する金属材料としては、とくに限定されるものではないが、熱伝導性、導電性、展延性、耐食性、反射効率等を勘案して適宜の材料を採用することができ、適宜めっき等の表面処理を行うこともできる。上記各特性を満たすものとして、例えば、アルミニウム、銀、鉄−ニッケル系合金等を用いることができるが、特に好ましいのは、銅系の材料に銀めっきを施したものである。
【0072】
上記実施形態では、深絞り加工と曲げ加工を組み合わせた加工を行う第1のパーツ部3aと、曲げ加工を行う第2のパーツ部3bとの位置関係について、自由度の高い設計を実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
1a:第1のフレーム部
1b:第2のフレーム部
2a:連結部
2b:連結部
3a:第1のパーツ部
3b:第2のパーツ部
4:導体
5:パイロット穴
6:隙間
7a:連結部
7b:連結部
8:区切り部
9:LED
10:搭載面
11:搭載部
12:反射面
13:反射部
14:放熱部
15:放熱面
16:モールド樹脂
17:縦壁
18:配線導体
19:縦壁
20:実装部
21:接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状の導体を順送りしながらプレス加工を施すことにより、両側部に平行なフレーム部を形成するとともに、上記両フレーム部の間にフレーム部に対して連結部によって連結されたパーツ部を形成するリードフレームの製造方法であって、
上記連結部は、フレーム部とパーツ部の連結状態を維持した状態でフレーム部に対するパーツ部の距離変動を許容する変形部として機能するよう構成され、上記両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工するときに、上記フレーム部に対するパーツ部の距離が変動するよう移動させることを特徴とするリードフレームの製造方法。
【請求項2】
上記パーツ部を、上記フレーム部に対するパーツ部の距離が変動するとともに、フレーム部に対する高さ位置が変動するよう移動させる請求項1記載のリードフレームの製造方法。
【請求項3】
上記両フレーム部の一方に第1のパーツ部が連結されるとともに、上記両フレーム部の他方に第2のパーツ部が連結されるよう加工し、
上記第1のパーツ部と第2のパーツ部の距離を近接させる方向に両パーツ部を移動させる請求項1または2記載のリードフレームの製造方法。
【請求項4】
上記両パーツ部の少なくとも一部が高さ方向において重なる位置関係となるよう両パーツ部を移動させる請求項3記載のリードフレームの製造方法。
【請求項5】
帯板状の導体が順送りされながらプレス加工が施され、両側部に平行なフレーム部が形成されるとともに、上記両フレーム部の間にフレーム部に対して連結部によって連結されたパーツ部が形成されたリードフレームであって、
上記連結部は、上記両フレーム部を同じ速度で順送りしながら加工するときに、フレーム部とパーツ部の連結状態を維持した状態でフレーム部に対するパーツ部の距離変動を許容する変形部として機能するよう構成されていることを特徴とするリードフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−64602(P2012−64602A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205000(P2010−205000)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(305046608)石関プレシジョン株式会社 (5)
【出願人】(510247342)株式会社アクセレートデバイス (2)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】