ループアンテナ及びループアンテナを備えた無線送受信装置
【課題】 通信不能領域を減少させることが出来るループアンテナを提供する。
【解決手段】 電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置に使用されるループアンテナであって、キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された第３の自己共振ループコイルを配置した。
【解決手段】 電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置に使用されるループアンテナであって、キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された第３の自己共振ループコイルを配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば自動改札システムなどにおいて、定期券などとして用いられるＩＣカードと非接触で通信を行う無線送受信装置に使用されるループアンテナおよびそのループアンテナを備えた無線送受信装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、例えば自動改札システムなどで用いられている定期券には、磁気的に情報が記録されており、自動改札機では、定期券が挿入されると、その磁気記録がなされている部分に磁気ヘッドを接触させて、情報を読み取るようになされている。
【０００３】
このため、利用者は、定期券をケースに収納している場合には、そこから取り出して、自動改札機に挿入する必要があり、面倒であった。
【０００４】
そこで、非接触カードシステムが開発された。この非接触カードシステムによれば、非接触で情報のやりとり（データ通信）などを行うことができるので、これを、上述したような自動改札システムに適用し、利用者は、定期券をケースに収納したままでも、自動改札機を出入りすることが可能となった。（例えば、特許文献１参照。）
【特許文献１】特開平８−１９４７８５号公報 (第３貢、図１３)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
近年では、ＩＣカードも普及し、一人の使用者が数枚のＩＣカードを持つ場合も多くなり、一つのカード入れに複数枚のＩＣカードを重ねて携帯する使用者も現れた。
【０００６】
使用者がＩＣカードを２枚重ねたまま使用をすると、無線送受信装置が受信するＩＣカードからの返信信号の振幅が、１枚のみの場合と比べ極端に小さくなってしまい、無線送受信装置側で受信した信号を正常に復調できない現象が発生してしまう。つまり、ＩＣカード１枚のみの場合には問題なく運用が可能でも２枚重ねて運用した場合には通信特性が悪く、結果として、システムとしての性能が悪くなってしまうという課題があった。
【０００７】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、通信不能領域を減少させることが出来るループアンテナおよびループアンテナを備えた無線送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために、本発明によるループアンテナは、電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置に使用されるループアンテナであって、キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された１つ又は複数の第３の自己共振ループコイルと、を有することを特徴とする。
【０００９】
また、上記目的を達成するために、本発明によるループアンテナを備えた無線送受信装置は、電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置であって、キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、
前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された１つ又は複数の第３の自己共振ループコイルと、前記送信用ループアンテナに接続された、無線送信を行うための電気信号を出力する送信回路と、前記受信用ループアンテナに接続され、前記受信用ループアンテナが受けた電磁波からの電気信号を受けとる受信回路と、前記送信回路と前記受信回路を制御する中央処理装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明は、ＩＣカードを複数枚重ねることにより生じる通信不能領域の減少させることを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明による実施例について図面を参照しながら説明する。
【００１２】
図１は、非接触カードシステムの構成例を示している。この非接触カードシステムは、例えば、上述した定期券に相当するＩＣカード１１と、そのＩＣカードに対して、電磁波を媒体として、非接触で電源となる電力を供給するとともに、データの読み書きやその他必要な処理を行う無線送受信装置１２と、で構成されている。
【００１３】
図２は、無線送受信装置１２の構成例を示している。無線送受信装置１２においては、コイルの断面形状が、長方形であるループアンテナ１０００から、コマンドおよび必要な書き込み情報に応じてデータが、電磁波として放射される。
【００１４】
即ち、まずＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔの略、以下ＣＰＵ）1において、所定のプログラムに従い、所定の変調波に対応した電圧をループアンテナ１０００に印加するように送信回路２が制御される。
【００１５】
無線送信を行うために電気信号を出力する送信回路２は、所定の周波数（例えば、超短波帯、あるいはそれ以下の周波数）のキャリアを発生するキャリア発生器２１と、キャリア発生器２１からキャリアを受け取り、情報を記録、伝送するにあたり、情報及び記録・伝送媒体の性質に応じて最適な電気信号に変換する変調回路２２と、変調回路２２からキャリアを受け取り、ＣＰＵ１の制御にしたがって増幅率が変化する増幅回路２３と、増幅回路２３から受け取ったキャリアの送り出し側である増幅回路２３の出力インピーダンスと受け側であるループアンテ１０００の入力インピーダンスをあわせる整合回路２４から構成されている。
【００１６】
増幅回路２３の増幅率は、ＩＣカードに対して送信すべきコマンドや書き込みデータなどに対応して、ＣＰＵ１に制御される。従って変調回路２２を経由して増幅回路２３では、キャリアが、ＩＣカードに対して送信すべきコマンドや書き込みデータなどにしたがって振幅変調波が出力される。増幅回路２３の出力端子は、整合回路２４を経て、ループアンテナ１０００に接続されており、従って変調回路２２を経由して増幅回路２３より出力された振幅変調波は、ループアンテナ１０００に供給される。即ち、ループアンテナ１０００には、振幅変調波に対応する電圧が印加される。これにより、ループアンテナ１０００では、その電圧に対応した電流が流れ、その電流の変化に対応した磁界（磁束）が発生する。
【００１７】
即ち、ループアンテナ１０００からは、変調回路２２を経由して増幅回路２３より出力された振幅変調波が、電磁波として放射される。
【００１８】
その後、無線送受信装置１２では、ＣＰＵ１によって、増幅回路２３の増幅率が一定値になるように制御され、これにより無変調波が、上述した振幅変調波と同様にして、電磁波として放射される。そして、ＩＣカード１１から応答があったか否かが判定される。
【００１９】
ＣＰＵ１において、ＩＣカード１１から応答がなかったと判定された場合、即ちＩＣカードと無線送受信装置１２とが、図示しないＩＣカード１１の持つループアンテナとループアンテナ１０００との間で相互誘導を生じる距離にない場合、ＩＣカード１１から応答があるまで、上述したように振幅変調波と無変調波とを放射する処理が繰り返される。
【００２０】
次に本発明の無線送受信装置１２のループアンテナ１０００について説明する。
【００２１】
図３に示されるように、本発明のループアンテナ１０００は例えば７つのループコイルにより構成される。
【００２２】
送信用ループアンテナ２００は、送信回路２に接続されており、送信回路２から送られてきたキャリア周波数を図示しないＩＣカードに対して放射する。送信用ループアンテナ２００は１巻きのプリント板配線で構成されており、送信用ループアンテナ２００によって全てのアンテナを囲む構成となっている。また送信用ループアンテナ２００のループの形状は長方形に巻かれている。送信用ループアンテナ２００は、送信用ループアンテナ用コンデンサ２０１が並列に接続されており共振回路を構成している。
【００２３】
第１の自己共振ループコイル４００は送信用ループアンテナ２００の内側に配置され、送信用ループアンテナ２００から放射される磁界を受け相互誘導によりさらに磁界の放射を行うことにより送信回路２で制限されている電源出力を一定にしたまま磁界をより強く放射する事が可能となる。
【００２４】
この第１の自己共振ループコイル４００は、２巻きのプリント板配線で構成されており、第１の自己共振ループコイル用コンデンサ４０１が直列に接続されている。共振周波数は前述の送信用ループアンテナ２００の共振周波数とは別の周波数（数ＭＨz単位で高い値とする）に設定されている。第１の自己共振ループコイル４００は送信用ループアンテナ２００と異なる共振周波数に設定されていることにより、互いのアンテナの共振周波数に影響されることがほとんどない。また第１の自己共振ループコイル４００のコイルのループの形状は長方形である。
【００２５】
また受信用ループアンテナ３００が第１の自己共振ループコイル４００の内側に配置されている。
【００２６】
受信用ループアンテナ３００は、１巻きのプリント配線で構成されている。また受信用ループアンテナ３００は、受信回路３に接続されており、ＩＣカードから情報を受け取り、そして受信回路３に出力する。さらに受信用ループアンテナ用コンデンサ３０１が並列に接続されており共振回路を構成している。
【００２７】
受信用ループアンテナ３００の共振周波数をキャリア周波数に対して数ＭＨz単位で高い方向にずらした周波数に設定することで、キャリア周波数の位相に影響されることがほとんど無く受信特性を得る事が可能である。
【００２８】
第２の自己共振ループコイル５００は、受信用ループアンテナ３００の内側に配置されている。第２の自己共振ループコイル５００は、送信用ループアンテナ２００から放射される磁界を受け相互誘導によりさらに磁界の放射を行うことにより送信回路２で制限されている電源出力を一定にしたまま磁界をより強く放射する事が可能となる。
【００２９】
この第２の自己共振ループコイル５００は、１巻きのプリント板配線で構成されており、第２の自己共振ループコイル用コンデンサ５０１が直列に接続されている。共振周波数は前述の受信用ループアンテナ３００の共振周波数とは別の周波数（数ＭＨz単位で低い値とする）に設定されている。また第２の自己共振ループコイル５００のコイルのループの形状は長方形である。
【００３０】
また第２の自己共振ループコイル５００は受信用ループアンテナ３００やその他近傍に設けられたループコイルと異なる共振周波数に設定されていることにより、互いのアンテナの共振周波数に影響されることがほとんどない。
【００３１】
３つの第３の自己共振ループコイル６００は第２の自己共振ループコイル５００の内側に各１つずつ６巻きのプリント板配線で構成されている。
【００３２】
３つの第３の自己共振ループコイル６００には第３の自己共振ループコイル用コンデンサ６０１が直列に接続されている。共振周波数は第２の自己共振ループコイル５００の共振周波数とは別の周波数に設定されるものであるため互いのアンテナの共振周波数に影響されることがほとんど無い。
【００３３】
３つの第３の自己共振ループコイル６００によって受信用ループアンテナ３００、第２の自己共振ループコイル５００が放射した磁界をさらに受けて相互誘導による磁界の放射を行い、ＩＣカードと通信可能距離をさらに向上することが可能となる。
【００３４】
３つの第３の自己共振ループコイル６００については巻き方向は送信用ループアンテナ２００、第１の自己共振ループコイル４００及び第２の自己共振ループコイル５００と同じ方向に巻かれており、巻き数は第１の自己共振ループコイル４００よりも多いものが効果を奏する。
【００３５】
また第３の自己共振ループコイル６００の個数は１つ〜４つ又はそれ以上でも効果を奏する（図４は第３の自己共振ループコイル６００の個数が２つである場合、図５は第３の自己共振ループコイル６００の数が４つである場合を示したものである。）が、ヌル領域が最小となるのは、第３の自己共振ループコイル６００の数が３つで構成された場合である。
【００３６】
なお全てのアンテナ及びコイルはと同じ方向に巻かれている。
【００３７】
また本実施例のアンテナ及び自己共振ループコイルに用いられるコンデンサの容量の大きさは、２０１＞５０１＞４０１＝６０１＞３０１の順に大きい。
【００３８】
全てのアンテナ及びコイルは互いに相互誘導の効果を及ぼす範囲内で構成されている。
【００３９】
また全てのアンテナ及び自己共振ループコイルは同一基板上で構成されている。
【００４０】
この実施例を行うことにより、複数枚重ねたＩＣカードに対し通信性能を向上させることができる。またこの実施例では一枚のＩＣカードに対しての通信特性も確保出来る。
【００４１】
第１の自己共振ループコイルの巻き数は何巻きでも効果を奏するが、２巻きとするのが最適である。
【００４２】
ループアンテナ１０００の形状は規定の基板の大きさ内で最大の通信可能領域を得る為には四角形状が最適であるが、四角形のみならず略四角形や楕円形としても効果を奏する。
【００４３】
また３つの第３の自己共振ループコイル６００の大きさは必ずしも同一の大きさでなくて良い。自己共振ループコイル６００の巻き数は同一でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明による非接触カードシステムの構成例を示す図。
【図２】本発明による無線送受信装置１２の構成例を示すブロック図。
【図３】本発明による無線送受信装置１２に備えられたループアンテナ１０００を示す第１の実施例を示す図。
【図４】本発明による無線送受信装置１２に備えられた第３の自己共振ループコイル６００を４つ設けたループアンテナ１０００の実施例の平面図。
【図５】本発明による無線送受信装置１２に備えられた第３の自己共振ループコイル６００を４つ設けたループアンテナ１０００の実施例の平面図。
【符号の説明】
【００４５】
１ ＣＰＵ
２ 送信回路
３ 受信回路
２００ 送信用ループアンテナ
３００ 受信用ループアンテナ
４００ 第１の自己共振ループコイル
５００ 第２の自己共振ループコイル
６００ 第３の自己共振ループコイル
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば自動改札システムなどにおいて、定期券などとして用いられるＩＣカードと非接触で通信を行う無線送受信装置に使用されるループアンテナおよびそのループアンテナを備えた無線送受信装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、例えば自動改札システムなどで用いられている定期券には、磁気的に情報が記録されており、自動改札機では、定期券が挿入されると、その磁気記録がなされている部分に磁気ヘッドを接触させて、情報を読み取るようになされている。
【０００３】
このため、利用者は、定期券をケースに収納している場合には、そこから取り出して、自動改札機に挿入する必要があり、面倒であった。
【０００４】
そこで、非接触カードシステムが開発された。この非接触カードシステムによれば、非接触で情報のやりとり（データ通信）などを行うことができるので、これを、上述したような自動改札システムに適用し、利用者は、定期券をケースに収納したままでも、自動改札機を出入りすることが可能となった。（例えば、特許文献１参照。）
【特許文献１】特開平８−１９４７８５号公報 (第３貢、図１３)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
近年では、ＩＣカードも普及し、一人の使用者が数枚のＩＣカードを持つ場合も多くなり、一つのカード入れに複数枚のＩＣカードを重ねて携帯する使用者も現れた。
【０００６】
使用者がＩＣカードを２枚重ねたまま使用をすると、無線送受信装置が受信するＩＣカードからの返信信号の振幅が、１枚のみの場合と比べ極端に小さくなってしまい、無線送受信装置側で受信した信号を正常に復調できない現象が発生してしまう。つまり、ＩＣカード１枚のみの場合には問題なく運用が可能でも２枚重ねて運用した場合には通信特性が悪く、結果として、システムとしての性能が悪くなってしまうという課題があった。
【０００７】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、通信不能領域を減少させることが出来るループアンテナおよびループアンテナを備えた無線送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために、本発明によるループアンテナは、電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置に使用されるループアンテナであって、キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された１つ又は複数の第３の自己共振ループコイルと、を有することを特徴とする。
【０００９】
また、上記目的を達成するために、本発明によるループアンテナを備えた無線送受信装置は、電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置であって、キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、
前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された１つ又は複数の第３の自己共振ループコイルと、前記送信用ループアンテナに接続された、無線送信を行うための電気信号を出力する送信回路と、前記受信用ループアンテナに接続され、前記受信用ループアンテナが受けた電磁波からの電気信号を受けとる受信回路と、前記送信回路と前記受信回路を制御する中央処理装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明は、ＩＣカードを複数枚重ねることにより生じる通信不能領域の減少させることを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明による実施例について図面を参照しながら説明する。
【００１２】
図１は、非接触カードシステムの構成例を示している。この非接触カードシステムは、例えば、上述した定期券に相当するＩＣカード１１と、そのＩＣカードに対して、電磁波を媒体として、非接触で電源となる電力を供給するとともに、データの読み書きやその他必要な処理を行う無線送受信装置１２と、で構成されている。
【００１３】
図２は、無線送受信装置１２の構成例を示している。無線送受信装置１２においては、コイルの断面形状が、長方形であるループアンテナ１０００から、コマンドおよび必要な書き込み情報に応じてデータが、電磁波として放射される。
【００１４】
即ち、まずＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔの略、以下ＣＰＵ）1において、所定のプログラムに従い、所定の変調波に対応した電圧をループアンテナ１０００に印加するように送信回路２が制御される。
【００１５】
無線送信を行うために電気信号を出力する送信回路２は、所定の周波数（例えば、超短波帯、あるいはそれ以下の周波数）のキャリアを発生するキャリア発生器２１と、キャリア発生器２１からキャリアを受け取り、情報を記録、伝送するにあたり、情報及び記録・伝送媒体の性質に応じて最適な電気信号に変換する変調回路２２と、変調回路２２からキャリアを受け取り、ＣＰＵ１の制御にしたがって増幅率が変化する増幅回路２３と、増幅回路２３から受け取ったキャリアの送り出し側である増幅回路２３の出力インピーダンスと受け側であるループアンテ１０００の入力インピーダンスをあわせる整合回路２４から構成されている。
【００１６】
増幅回路２３の増幅率は、ＩＣカードに対して送信すべきコマンドや書き込みデータなどに対応して、ＣＰＵ１に制御される。従って変調回路２２を経由して増幅回路２３では、キャリアが、ＩＣカードに対して送信すべきコマンドや書き込みデータなどにしたがって振幅変調波が出力される。増幅回路２３の出力端子は、整合回路２４を経て、ループアンテナ１０００に接続されており、従って変調回路２２を経由して増幅回路２３より出力された振幅変調波は、ループアンテナ１０００に供給される。即ち、ループアンテナ１０００には、振幅変調波に対応する電圧が印加される。これにより、ループアンテナ１０００では、その電圧に対応した電流が流れ、その電流の変化に対応した磁界（磁束）が発生する。
【００１７】
即ち、ループアンテナ１０００からは、変調回路２２を経由して増幅回路２３より出力された振幅変調波が、電磁波として放射される。
【００１８】
その後、無線送受信装置１２では、ＣＰＵ１によって、増幅回路２３の増幅率が一定値になるように制御され、これにより無変調波が、上述した振幅変調波と同様にして、電磁波として放射される。そして、ＩＣカード１１から応答があったか否かが判定される。
【００１９】
ＣＰＵ１において、ＩＣカード１１から応答がなかったと判定された場合、即ちＩＣカードと無線送受信装置１２とが、図示しないＩＣカード１１の持つループアンテナとループアンテナ１０００との間で相互誘導を生じる距離にない場合、ＩＣカード１１から応答があるまで、上述したように振幅変調波と無変調波とを放射する処理が繰り返される。
【００２０】
次に本発明の無線送受信装置１２のループアンテナ１０００について説明する。
【００２１】
図３に示されるように、本発明のループアンテナ１０００は例えば７つのループコイルにより構成される。
【００２２】
送信用ループアンテナ２００は、送信回路２に接続されており、送信回路２から送られてきたキャリア周波数を図示しないＩＣカードに対して放射する。送信用ループアンテナ２００は１巻きのプリント板配線で構成されており、送信用ループアンテナ２００によって全てのアンテナを囲む構成となっている。また送信用ループアンテナ２００のループの形状は長方形に巻かれている。送信用ループアンテナ２００は、送信用ループアンテナ用コンデンサ２０１が並列に接続されており共振回路を構成している。
【００２３】
第１の自己共振ループコイル４００は送信用ループアンテナ２００の内側に配置され、送信用ループアンテナ２００から放射される磁界を受け相互誘導によりさらに磁界の放射を行うことにより送信回路２で制限されている電源出力を一定にしたまま磁界をより強く放射する事が可能となる。
【００２４】
この第１の自己共振ループコイル４００は、２巻きのプリント板配線で構成されており、第１の自己共振ループコイル用コンデンサ４０１が直列に接続されている。共振周波数は前述の送信用ループアンテナ２００の共振周波数とは別の周波数（数ＭＨz単位で高い値とする）に設定されている。第１の自己共振ループコイル４００は送信用ループアンテナ２００と異なる共振周波数に設定されていることにより、互いのアンテナの共振周波数に影響されることがほとんどない。また第１の自己共振ループコイル４００のコイルのループの形状は長方形である。
【００２５】
また受信用ループアンテナ３００が第１の自己共振ループコイル４００の内側に配置されている。
【００２６】
受信用ループアンテナ３００は、１巻きのプリント配線で構成されている。また受信用ループアンテナ３００は、受信回路３に接続されており、ＩＣカードから情報を受け取り、そして受信回路３に出力する。さらに受信用ループアンテナ用コンデンサ３０１が並列に接続されており共振回路を構成している。
【００２７】
受信用ループアンテナ３００の共振周波数をキャリア周波数に対して数ＭＨz単位で高い方向にずらした周波数に設定することで、キャリア周波数の位相に影響されることがほとんど無く受信特性を得る事が可能である。
【００２８】
第２の自己共振ループコイル５００は、受信用ループアンテナ３００の内側に配置されている。第２の自己共振ループコイル５００は、送信用ループアンテナ２００から放射される磁界を受け相互誘導によりさらに磁界の放射を行うことにより送信回路２で制限されている電源出力を一定にしたまま磁界をより強く放射する事が可能となる。
【００２９】
この第２の自己共振ループコイル５００は、１巻きのプリント板配線で構成されており、第２の自己共振ループコイル用コンデンサ５０１が直列に接続されている。共振周波数は前述の受信用ループアンテナ３００の共振周波数とは別の周波数（数ＭＨz単位で低い値とする）に設定されている。また第２の自己共振ループコイル５００のコイルのループの形状は長方形である。
【００３０】
また第２の自己共振ループコイル５００は受信用ループアンテナ３００やその他近傍に設けられたループコイルと異なる共振周波数に設定されていることにより、互いのアンテナの共振周波数に影響されることがほとんどない。
【００３１】
３つの第３の自己共振ループコイル６００は第２の自己共振ループコイル５００の内側に各１つずつ６巻きのプリント板配線で構成されている。
【００３２】
３つの第３の自己共振ループコイル６００には第３の自己共振ループコイル用コンデンサ６０１が直列に接続されている。共振周波数は第２の自己共振ループコイル５００の共振周波数とは別の周波数に設定されるものであるため互いのアンテナの共振周波数に影響されることがほとんど無い。
【００３３】
３つの第３の自己共振ループコイル６００によって受信用ループアンテナ３００、第２の自己共振ループコイル５００が放射した磁界をさらに受けて相互誘導による磁界の放射を行い、ＩＣカードと通信可能距離をさらに向上することが可能となる。
【００３４】
３つの第３の自己共振ループコイル６００については巻き方向は送信用ループアンテナ２００、第１の自己共振ループコイル４００及び第２の自己共振ループコイル５００と同じ方向に巻かれており、巻き数は第１の自己共振ループコイル４００よりも多いものが効果を奏する。
【００３５】
また第３の自己共振ループコイル６００の個数は１つ〜４つ又はそれ以上でも効果を奏する（図４は第３の自己共振ループコイル６００の個数が２つである場合、図５は第３の自己共振ループコイル６００の数が４つである場合を示したものである。）が、ヌル領域が最小となるのは、第３の自己共振ループコイル６００の数が３つで構成された場合である。
【００３６】
なお全てのアンテナ及びコイルはと同じ方向に巻かれている。
【００３７】
また本実施例のアンテナ及び自己共振ループコイルに用いられるコンデンサの容量の大きさは、２０１＞５０１＞４０１＝６０１＞３０１の順に大きい。
【００３８】
全てのアンテナ及びコイルは互いに相互誘導の効果を及ぼす範囲内で構成されている。
【００３９】
また全てのアンテナ及び自己共振ループコイルは同一基板上で構成されている。
【００４０】
この実施例を行うことにより、複数枚重ねたＩＣカードに対し通信性能を向上させることができる。またこの実施例では一枚のＩＣカードに対しての通信特性も確保出来る。
【００４１】
第１の自己共振ループコイルの巻き数は何巻きでも効果を奏するが、２巻きとするのが最適である。
【００４２】
ループアンテナ１０００の形状は規定の基板の大きさ内で最大の通信可能領域を得る為には四角形状が最適であるが、四角形のみならず略四角形や楕円形としても効果を奏する。
【００４３】
また３つの第３の自己共振ループコイル６００の大きさは必ずしも同一の大きさでなくて良い。自己共振ループコイル６００の巻き数は同一でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明による非接触カードシステムの構成例を示す図。
【図２】本発明による無線送受信装置１２の構成例を示すブロック図。
【図３】本発明による無線送受信装置１２に備えられたループアンテナ１０００を示す第１の実施例を示す図。
【図４】本発明による無線送受信装置１２に備えられた第３の自己共振ループコイル６００を４つ設けたループアンテナ１０００の実施例の平面図。
【図５】本発明による無線送受信装置１２に備えられた第３の自己共振ループコイル６００を４つ設けたループアンテナ１０００の実施例の平面図。
【符号の説明】
【００４５】
１ ＣＰＵ
２ 送信回路
３ 受信回路
２００ 送信用ループアンテナ
３００ 受信用ループアンテナ
４００ 第１の自己共振ループコイル
５００ 第２の自己共振ループコイル
６００ 第３の自己共振ループコイル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置に使用されるループアンテナであって、
キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、
前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、
前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、
前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、
前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された第３の自己共振ループコイルと、
を有することを特徴とするループアンテナ。
【請求項２】
電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置であって、
キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、
前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、
前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、
前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、
前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された第３の自己共振ループコイルと、
前記送信用ループアンテナに接続された、無線送信を行うための電気信号を出力する送信回路と、
前記受信用ループアンテナに接続され、前記受信用ループアンテナが受けた電磁波からの電気信号を受けとる受信回路と、
前記送信回路と前記受信回路を制御する中央処理装置と、
を有することを特徴とする無線送受信装置。
【請求項１】
電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置に使用されるループアンテナであって、
キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、
前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、
前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、
前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、
前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された第３の自己共振ループコイルと、
を有することを特徴とするループアンテナ。
【請求項２】
電磁波によって、無線通信媒体との通信を非接触で行う無線送受信装置であって、
キャリアにより情報を送信する送信用ループアンテナと、
前記送信用ループアンテナの同一平面上の内側に配置された第１の自己共振ループコイルと、
前記第１の自己共振ループコイルの同一平面上の内側に配置された受信用ループアンテナと、
前記受信用ループアンテナの同一平面状の内側に配置された第２の自己共振ループコイルと、
前記第２の自己共振ループコイルの同一平面状の内側に配置された第３の自己共振ループコイルと、
前記送信用ループアンテナに接続された、無線送信を行うための電気信号を出力する送信回路と、
前記受信用ループアンテナに接続され、前記受信用ループアンテナが受けた電磁波からの電気信号を受けとる受信回路と、
前記送信回路と前記受信回路を制御する中央処理装置と、
を有することを特徴とする無線送受信装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−３０１２４１（Ｐ２００８−３０１２４１Ａ）
【公開日】平成２０年１２月１１日（２００８．１２．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１４５７１２（Ｐ２００７−１４５７１２）
【出願日】平成１９年５月３１日（２００７．５．３１）
【出願人】（０００００３０７８）株式会社東芝 (54,554)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月１１日（２００８．１２．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月３１日（２００７．５．３１）
【出願人】（０００００３０７８）株式会社東芝 (54,554)
【Ｆターム（参考）】
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