説明

レゾルバセンサの固定構造

【課題】レゾルバセンサおよび軸受の取り扱いが容易になり、かつ、レゾルバセンサおよび軸受のハウジングおよびシャフトへの取り付け作業が容易になるレゾルバセンサの固定構造を提供する。
【解決手段】軸受10の内輪11およびレゾルバセンサ30のレゾルバロータ32は、インナースリーブ50に固定され、軸受10の外輪12およびレゾルバセンサ30のレゾルバステータ31は、アウタースリーブ20に固定されている。このため、レゾルバセンサ30、軸受10、インナースリーブ50およびアウタースリーブ20をユニット化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ハイブリッド自動車のモータジェネレータ等の駆動用のモータのロータの回転位置を検出するレゾルバセンサの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータジェネレータ等の駆動用のモータのロータの位置を検出するレゾルバセンサの固定構造は、レゾルバステータを、モータのステータが取り付けられるハウジングに固定する一方、レゾルバロータを、モータのロータが取り付けられるシャフトに固定し、このシャフトを、ハウジングに軸受を介して支持していた(特開2007−336714号公報:特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来のレゾルバセンサの固定構造では、上記レゾルバステータ、上記レゾルバロータおよび上記軸受を、それぞれ別個にハウジングに固定しているため、レゾルバステータ、レゾルバロータおよび軸受を別個に取り扱う必要があり、取り扱いが困難で、かつ、モータのハウジングおよびシャフトへの取り付け作業が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−336714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、レゾルバセンサおよび軸受の取り扱いが容易になり、かつ、レゾルバセンサおよび軸受のハウジングおよびシャフトへの取り付け作業が容易になるレゾルバセンサの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明のレゾルバセンサの固定構造は、
駆動用のモータのハウジングに固定される上記モータのステータの内側に配置されるとともに上記モータのロータが固定されるシャフトの外周に、取り付けられるインナースリーブと、
上記インナースリーブの外周に固定された内輪と、この内輪の外側に位置する外輪と、上記内輪と上記外輪との間に位置する転動体とを有する軸受と、
上記軸受の外輪に固定され、上記ハウジングに取り付けられるアウタースリーブと、
上記モータのロータの回転位置を検出するレゾルバセンサと
を備え、
上記レゾルバセンサは、
上記アウタースリーブに固定されたレゾルバステータと、
上記レゾルバステータに対向するように上記インナースリーブに固定されたレゾルバロータと
を有することを特徴としている。
【0007】
この発明のレゾルバセンサの固定構造によれば、上記軸受の内輪および上記レゾルバロータは、上記インナースリーブに固定され、上記軸受の外輪および上記レゾルバステータは、上記アウタースリーブに固定されているので、レゾルバセンサ、軸受、インナースリーブおよびアウタースリーブをユニット化できて、取り扱いが容易になり、かつ、このユニット化されたレゾルバセンサ、軸受、インナースリーブおよびアウタースリーブを、モータのハウジングおよびシャフトに容易に取り付けることができる。
【0008】
また、一実施形態のレゾルバセンサの固定構造では、
上記アウタースリーブは、筒部と、上記筒部から径方向に延在する外鍔部とを有し、
上記アウタースリーブの外鍔部は、上記ハウジングの周方向に位置調整可能に、上記ハウジングに取り付けられる。
【0009】
この実施形態のレゾルバセンサの固定構造によれば、レゾルバセンサを駆動用のモータに取り付ける場合、例えば、インナースリーブをシャフトに固定してから、アウタースリーブをレゾルバステータおよび軸受外輪と共にシャフトの回りに回転させ、レゾルバセンサのゼロ点を調整した後、アウタースリーブの外鍔部をハウジングに固定して、取り付けることができる。
【0010】
したがって、レゾルバセンサのゼロ点調整において、操作を行い易い位置である径方向外側に位置するアウタースリーブを回転させるだけでよく、ゼロ点調整が容易となる。
【0011】
また、一実施形態のレゾルバセンサの固定構造では、
上記アウタースリーブの外鍔部には、周方向に延びる位置調整用の長孔が設けられ、
この長孔に挿通されて上記外鍔部を上記ハウジングに締め付けて固定する締付部材を有する。
【0012】
この実施形態のレゾルバセンサの固定構造によれば、レゾルバセンサをモータに取り付ける場合、締付部材を緩めてアウタースリーブをシャフトの回りに回転させ、レゾルバセンサのゼロ点を調整した後、締付部材を締め付けてアウタースリーブの外鍔部をハウジングに固定できる。したがって、アウタースリーブの固定が容易となる。
【0013】
また、一実施形態のレゾルバセンサの固定構造では、
上記シャフトの外周面には、軸方向に延びるキー溝が設けられ、
上記インナースリーブは、軸方向に延びるキーを内周面に有する筒部を有し、
上記インナースリーブの上記キーは、上記シャフトの上記キー溝に嵌め込まれて、上記インナースリーブと上記シャフトとは、相対的に周方向に位置決めされる。
【0014】
この実施形態のレゾルバセンサの固定構造によれば、上記インナースリーブの上記キーは、上記シャフトの上記キー溝に嵌め込まれて、上記インナースリーブと上記シャフトとは、相対的に周方向に位置決めされるので、簡単な構成で、インナースリーブとシャフトとを相対的に周方向に位置決めできる。
【0015】
また、一実施形態のレゾルバセンサの固定構造では、
上記シャフトは、
平滑な外周面を有するストレート部と、
軸方向に延びると共に周方向に配列された複数の歯を外周面に有するセレーション部と
を有し、
上記インナースリーブは、軸方向に延びると共に周方向に配列された複数の溝を内周面に有する筒部を有し、
上記シャフトの上記セレーション部の上記歯は、上記インナースリーブの上記筒部の上記溝に嵌め込まれて、上記インナースリーブと上記シャフトとは、相対的に周方向に位置決めされる一方、
上記シャフトの上記ストレート部の外周面は、上記インナースリーブの上記筒部の内周面に接触して、上記シャフトの上記ストレート部は、上記シャフトのラジアル荷重を上記インナースリーブの上記筒部に伝達する。
【0016】
この実施形態のレゾルバセンサの固定構造によれば、上記シャフトの上記セレーション部の上記歯は、上記インナースリーブの上記筒部の上記溝に嵌め込まれて、上記インナースリーブと上記シャフトとは、相対的に周方向に位置決めされるので、シャフトのセレーション部の歯をインナースリーブの筒部の溝に組み付けることは、キー結合に比べて、容易になる。したがって、シャフトとインナースリーブとの組み付けが容易になる。
【0017】
また、上記シャフトの上記ストレート部の外周面は、上記インナースリーブの上記筒部の内周面に接触して、上記シャフトの上記ストレート部は、上記シャフトのラジアル荷重を上記インナースリーブの上記筒部に伝達するので、シャフトのセレーション部に、シャフトのラジアル荷重をインナースリーブの筒部に伝達させない。したがって、シャフトのラジアル荷重によるセレーション部の摩耗を防止できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明のレゾルバセンサの固定構造によれば、上記軸受の内輪および上記レゾルバロータは、上記インナースリーブに固定され、上記軸受の外輪および上記レゾルバステータは、上記アウタースリーブに固定されているので、レゾルバセンサおよび軸受の取り扱いが容易になり、かつ、レゾルバセンサおよび軸受のハウジングおよびシャフトへの取り付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のレゾルバセンサの固定構造が適用された駆動ユニットの模式図である。
【図2】本発明のレゾルバセンサの固定構造の第1実施形態を示す断面図である。
【図3】インナースリーブの斜視図である。
【図4】アウタースリーブの斜視図である。
【図5】本発明のレゾルバセンサの固定構造の第2実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、この発明のレゾルバセンサの固定構造が適用された駆動ユニットの模式図を示している。この駆動ユニットは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充電または放電可能な2次電池(バッテリ)とを動力源とするハイブリッド自動車に搭載される。
【0022】
図1に示すように、上記駆動ユニットは、駆動用のモータ1を有する。このモータ1は、電動機もしくは発電機としての機能を有する回転電機(モータジェネレータ)である。モータ1は、ハウジング5と、このハウジング5内に収容されるロータ2およびステータ3とを有する。
【0023】
上記ロータ2は、円筒形状のロータコア2aを有する。ロータコア2aは、軸方向に積層された複数枚の磁性鋼板から形成されている。ロータコア2aには、複数の永久磁石2bが埋設されている。この複数の永久磁石2bは、周方向に等間隔に配置されている。
【0024】
上記ロータコア2aは、シャフト4の外周面に固定されている。モータ1の駆動時、シャフト4は、ロータコア2aと共に回転する。シャフト4は、二つの軸受10,40を介してハウジング5に対して回転自在に支持されている。シャフト4は、複数の歯車を含む減速機構14に接続されている。
【0025】
上記ステータ3は、ステータコア3aと、ステータコア3aに巻回されたコイル3bとを有する。ステータコア3aの内側には、ロータコア2aが配置されている。ステータコア3aは、ハウジング5の内面に固定されている。
【0026】
上記コイル3bは、U相、V相およびW相のコイルを含む。これら各相のコイルに対応する端子が、ハウジング5に設けられた端子台17に接続されている。端子台17は、インバータ18を介してバッテリ19に電気的に接続されている。
【0027】
上記インバータ18は、バッテリ19からの直流電流をモータ駆動用の交流電流に変換すると共に、回生ブレーキにより発電された交流電流を、バッテリ19に充電するための直流電流に変換する。
【0028】
上記モータ1から出力された動力は、減速機構14からディファレンシャル機構15を介してドライブシャフト受け部16に伝達される。ドライブシャフト受け部16に伝達された動力は、ドライブシャフトを介して図示しない車輪に回転力として伝達される。
【0029】
一方、ハイブリッド自動車の回生制動時には、車輪は車体の慣性力により回転させられる。車輪からの回転力により、ドライブシャフト受け部16、ディファレンシャル機構15および減速機構14を介してモータ1が駆動される。このとき、モータ1が発電機として作動する。モータ1により発電された電力は、インバータ18を介してバッテリ19に蓄えられる。
【0030】
図1と図2に示すように、上記モータ1には、モータ1のロータ2の回転位置を検出するレゾルバセンサ30が設けられている。レゾルバセンサ30は、ロータ2に関して、減速機構14と反対側に位置している。
【0031】
上記レゾルバセンサ30は、レゾルバステータ31と、このレゾルバステータ31に対向するレゾルバロータ32とを有する。
【0032】
上記レゾルバステータ31は、環状に形成され、ステータヨークとコイルとを有する。このコイルは、励磁用コイルと出力用コイルとを含む。レゾルバステータ31は、アウタースリーブ20を介して、ハウジング5に固定される。
【0033】
上記レゾルバロータ32は、環状に形成され、レゾルバステータ31の内側に配置されている。レゾルバロータ32は、インナースリーブ50を介して、シャフト4に固定される。
【0034】
上記レゾルバロータ32は、シャフト4の軸方向からみて、略楕円形を有する。シャフト4が回転すると、レゾルバロータ32がシャフト4と共に回転し、これに伴ってレゾルバロータ32とレゾルバステータ31との間の隙間の大きさが変化する。この際、レゾルバステータ31の励磁用コイルに交流電流を流しておくと、出力用コイルには、その隙間の大きさの変化に応じた出力が発生する。この出力に基づき、モータ1のロータ2の回転位置が検出される。
【0035】
上記シャフト4は、ロータ2を挟んだ両側の位置で、軸受10,40に支持されている。一方の軸受10は、レゾルバセンサ30の近傍に配置され、他方の軸受40は、減速機構14の近傍に配置されている。
【0036】
上記一方の軸受10は、レゾルバセンサ30に関して、ロータ2と反対側に位置する。この軸受10は、内輪11と、この内輪11の外側に位置する外輪12と、内輪11と外輪12との間に位置する転動体13とを有する。内輪11は、インナースリーブ50の外周に固定され、外輪12に、アウタースリーブ20が固定されている。
【0037】
図2と図3に示すように、上記インナースリーブ50は、筒部51と、この筒部51から径方向外側に延在する環状の外鍔部54とを有する。筒部51の内周面には、軸方向に延びるキー52を有する。
【0038】
上記筒部51のキー52は、上記シャフト4の外周面に設けられた軸方向に延びるキー溝40に嵌め込まれる。そして、インナースリーブ50とシャフト4とは、相対的に周方向に位置決めされる。このように、キー結合の簡単な構成で、インナースリーブ50とシャフト4とを相対的に周方向に位置決めできる。なお、インナースリーブ50とシャフト4とは、例えば図示しない固定部材等により、相対的に軸方向に位置決めされている。
【0039】
上記筒部51の外周には、外鍔部54を挟んだ一方側に、上記内輪11が圧入され、外鍔部54を挟んだ他方側に、上記レゾルバロータ32が嵌め込まれている。レゾルバロータ32は、外鍔部54と、固定部材としての止め輪6との間に、挟持されている。
【0040】
図2と図4に示すように、上記アウタースリーブ20は、筒部21と、この筒部21から径方向内側に延在する環状の内鍔部23と、この筒部21から径方向外側に延在する複数の外鍔部24とを有する。
【0041】
上記筒部21の内周には、内鍔部23を挟んだ一方側に、上記外輪12が圧入され、内鍔部23を挟んだ他方側に、上記レゾルバステータ31が嵌め込まれている。レゾルバステータ31は、内鍔部23と、固定部材としての止め輪6との間に、挟持されている。
【0042】
上記複数の外鍔部24は、周方向に等間隔に配列されている。外鍔部24は、ハウジング5の周方向に位置調整可能に、ハウジング5に取り付けられる。外鍔部24の側面は、ハウジング5の一面に接触する。
【0043】
上記外鍔部24には、位置調整用の長孔24aが設けられている。この長孔24aは、周方向に延びている。この長孔24aには、締付部材としてのボルト7が挿通される。このボルト7は、ハウジング5の一面のネジ孔に螺合する。外鍔部24は、ボルト7の締め付けにより、ハウジング5に固定される。一方、ボルト7を緩めると、外鍔部24は、ボルト7にガイドされて、周方向に移動可能となる。
【0044】
このように、上記内輪11および上記レゾルバロータ32は、上記インナースリーブ50に固定され、上記外輪12および上記レゾルバステータ31は、上記アウタースリーブ20に固定されているので、レゾルバセンサ30、軸受10、インナースリーブ50およびアウタースリーブ20をユニット化できる。上記軸受10、上記インナースリーブ50、上記アウタースリーブ20および上記レゾルバセンサ30は、レゾルバセンサの固定構造を構成する。
【0045】
次に、上記レゾルバセンサ30をモータ1に取り付ける方法を説明する。
【0046】
まず、軸受10、レゾルバセンサ30およびアウタースリーブ20と共にユニット化されたインナースリーブ50にシャフト4を挿入し、インナースリーブ50をレゾルバロータ32と共にシャフト4に固定して、レゾルバロータ32をロータ2に対して位置決めする。また、アウタースリーブ20を、ハウジング5に、ボルト7にて取り付ける。
【0047】
そして、アウタースリーブ20をレゾルバステータ31と共にシャフト4の回りに回転させ、レゾルバセンサ30のゼロ点を調整する。このとき、ボルト7は緩んでおり、アウタースリーブ20の外鍔部24は、周方向に移動可能となる。
【0048】
その後、ボルト7を締め付けて、アウタースリーブ20をハウジング5に固定して、レゾルバステータ31をレゾルバロータ32に対して位置決めする。
【0049】
このように、外鍔部24は、ハウジング5の周方向に位置調整可能に、ハウジング5に取り付けられるので、レゾルバセンサ30のゼロ点調整において、操作を行い易い位置である径方向外側に位置するアウタースリーブ20を回転させるだけでよく、ゼロ点調整が容易となる。
【0050】
また、ボルト7を緩めてアウタースリーブ20をシャフト4の回りに回転させ、レゾルバセンサ30のゼロ点を調整した後、ボルト7を締め付けてアウタースリーブ20の外鍔部24をハウジング5に固定できる。したがって、アウタースリーブ20の固定が容易となる。
【0051】
これに対して、従来(例えば、特開2007−336714号公報)では、レゾルバロータは、予めシャフトに固定され、レゾルバステータは、予めハウジング内側に固定されているので、レゾルバセンサのゼロ点を調整する場合、レゾルバステータをモータのロータに対して回転させて、レゾルバセンサのゼロ点を調整していた。このため、レゾルバセンサをモータに組み付けてゼロ点調整する際に、手間がかかる問題があった。
【0052】
上記構成のレゾルバセンサの固定構造によれば、上記内輪11および上記レゾルバロータ32は、上記インナースリーブ50に固定され、上記外輪12および上記レゾルバステータ31は、上記アウタースリーブ20に固定されているので、レゾルバセンサ30、軸受10、インナースリーブ50およびアウタースリーブ20をユニット化できて、取り扱いが容易になり、かつ、このユニット化されたレゾルバセンサ30、軸受10、インナースリーブ50およびアウタースリーブ20を、モータ1のハウジング5およびシャフト4に容易に取り付けることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図5は、この発明のレゾルバセンサの固定構造の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、インナースリーブとシャフトとの結合の構成が相違する。なお、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0054】
図5に示すように、シャフト4Aは、ストレート部41とセレーション部42とを有する。ストレート部41は、セレーション部42よりも、シャフト4Aの端部に位置する。ストレート部41の外周面41aは、平滑に形成されており、ストレート部41の外径は、軸方向に沿って一定である。セレーション部42の外周面には、軸方向に延びる複数の歯43を設けている。この複数の歯43は、周方向に等間隔に配列されている。
【0055】
インナースリーブ50Aは、筒部55と外鍔部54とを有する。外鍔部54は、上記第1の実施形態の外鍔部54と同様であるので、説明を省略する。筒部55の内周面55aには、軸方向に延びる複数の溝56を設けている。この複数の溝56は、周方向に等間隔に配列されている。
【0056】
上記シャフト4Aのセレーション部42の歯43は、上記インナースリーブ50Aの筒部55の溝56に嵌め込まれて、インナースリーブ50Aとシャフト4Aとは、相対的に周方向に位置決めされる。つまり、セレーション部42が、周方向の位置決め機能を有する。このため、セレーション部42の歯43をインナースリーブ50Aの筒部55の溝56に組み付けることは、キー結合に比べて、容易になる。したがって、シャフト4Aとインナースリーブ50Aとの組み付けが容易になる。
【0057】
一方、上記シャフト4Aのストレート部41の外周面41aは、上記インナースリーブ50Aの筒部55の内周面55aに接触して、シャフト4Aのストレート部41は、シャフト4Aのラジアル荷重をインナースリーブ50Aの筒部55に伝達する。つまり、ストレート部41が、シャフト4Aのラジアル荷重を受ける。このため、セレーション部42に、シャフト4Aのラジアル荷重をインナースリーブ50Aの筒部55に伝達させない。したがって、セレーション部42は、シャフト4Aのラジアル荷重を受けず、シャフト4Aのラジアル荷重によるセレーション部42の摩耗を防止できる。
【0058】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、本発明のレゾルバセンサの固定構造を、内燃機関のみを動力源とする自動車や、2次電池のみを動力源とする自動車に適用してもよい。また、上記第1と上記第2の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0059】
また、インナースリーブとシャフトとのキー結合の構造において、インナースリーブにキー溝を設け、シャフトにキーを設けてもよい。また、インナースリーブのシャフトへの取り付けは、キー結合やセレーション結合以外に、例えば、圧入による取り付けであってもよい。また、アウタースリーブのハウジングへの取り付けは、ボルトによる取り付け以外に、例えば、圧入による取り付けであってもよい。
【0060】
また、軸受のインナースリーブおよびアウタースリーブへの取り付けは、圧入による取り付け以外に、例えば、止め輪等の固定部材による取り付けであってもよい。また、レゾルバセンサのインナースリーブおよびアウタースリーブへの取り付けは、止め輪による取り付け以外に、例えば、圧入による取り付けであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 駆動用のモータ
2 ロータ
3 ステータ
4、4A シャフト
40 キー溝
41 ストレート部
41a 外周面
42 セレーション部
43 歯
5 ハウジング
6 止め輪(固定部材)
7 ボルト(締付部材)
10 軸受
11 内輪
12 外輪
13 転動体
20 アウタースリーブ
21 筒部
23 内鍔部
24 外鍔部
24a 長孔
30 レゾルバセンサ
31 レゾルバステータ
32 レゾルバロータ
50、50A インナースリーブ
51 筒部
52 キー
54 外鍔部
55 筒部
55a 内周面
56 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用のモータのハウジングに固定される上記モータのステータの内側に配置されるとともに上記モータのロータが固定されるシャフトの外周に、取り付けられるインナースリーブと、
上記インナースリーブの外周に固定された内輪と、この内輪の外側に位置する外輪と、上記内輪と上記外輪との間に位置する転動体とを有する軸受と、
上記軸受の外輪に固定され、上記ハウジングに取り付けられるアウタースリーブと、
上記モータのロータの回転位置を検出するレゾルバセンサと
を備え、
上記レゾルバセンサは、
上記アウタースリーブに固定されたレゾルバステータと、
上記レゾルバステータに対向するように上記インナースリーブに固定されたレゾルバロータと
を有することを特徴とするレゾルバセンサの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載のレゾルバセンサの固定構造において、
上記アウタースリーブは、筒部と、上記筒部から径方向に延在する外鍔部とを有し、
上記アウタースリーブの外鍔部は、上記ハウジングの周方向に位置調整可能に、上記ハウジングに取り付けられることを特徴とするレゾルバセンサの固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載のレゾルバセンサの固定構造において、
上記アウタースリーブの外鍔部には、周方向に延びる位置調整用の長孔が設けられ、
この長孔に挿通されて上記外鍔部を上記ハウジングに締め付けて固定する締付部材を有することを特徴とするレゾルバセンサの固定構造。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載のレゾルバセンサの固定構造において、
上記シャフトの外周面には、軸方向に延びるキー溝が設けられ、
上記インナースリーブは、軸方向に延びるキーを内周面に有する筒部を有し、
上記インナースリーブの上記キーは、上記シャフトの上記キー溝に嵌め込まれて、上記インナースリーブと上記シャフトとは、相対的に周方向に位置決めされることを特徴とするレゾルバセンサの固定構造。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一つに記載のレゾルバセンサの固定構造において、
上記シャフトは、
平滑な外周面を有するストレート部と、
軸方向に延びると共に周方向に配列された複数の歯を外周面に有するセレーション部と
を有し、
上記インナースリーブは、軸方向に延びると共に周方向に配列された複数の溝を内周面に有する筒部を有し、
上記シャフトの上記セレーション部の上記歯は、上記インナースリーブの上記筒部の上記溝に嵌め込まれて、上記インナースリーブと上記シャフトとは、相対的に周方向に位置決めされる一方、
上記シャフトの上記ストレート部の外周面は、上記インナースリーブの上記筒部の内周面に接触して、上記シャフトの上記ストレート部は、上記シャフトのラジアル荷重を上記インナースリーブの上記筒部に伝達することを特徴とするレゾルバセンサの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−172345(P2011−172345A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32382(P2010−32382)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】