説明

レバー嵌合式コネクタユニット

【課題】本発明は、内倒れしたレバーの先端部を矯正し、このレバーの先端部によって従動ピンがどつかれることがなくカム部内に進入されるレバー嵌合式コネクタユニットを提供する。
【解決手段】端子を収容したハウジング4と、ハウジングを互いの間に挟む一対のアーム板51と、各アーム板に設けられたカム部53と、を有し、ハウジングに回動自在に取り付けられた略コ字状のレバー5と、ハウジングを嵌合させる周壁71と、周壁の両側の外面に突設され、カム部にスライド係合する従動ピン8と、を有する相手ハウジング7と、を備え、レバーのアーム板には、レバーの待機位置における先端側に、相手ハウジングに向かって突出した拾い部59が設けられ、周壁の外面には、内倒れしたアーム板の拾い部を摺接させ、該拾い部を周壁の外側に向けて案内する案内部材73が設けられたレバー嵌合式コネクタユニット1を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーが回動されることでハウジングを相手ハウジングに近付けて嵌合させるレバー嵌合式コネクタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した従来のレバー嵌合式コネクタユニットは、図4、図5に示すように、コネクタ102と、電気自動車に搭載されて、バッテリから負荷への電源供給を行うための電源回路に組み込まれ、該コネクタ102に嵌合される相手コネクタ103と、を備えている(特許文献1参照)。図4は、従来のレバー嵌合式コネクタユニットを示す斜視図である。図5は、図4に示されたレバー嵌合式コネクタユニットを示す側面図である。
【0003】
上記コネクタ102は、図4に示すように、図示しない端子を収容したハウジング104と、該ハウジング104に回動自在に取り付けられ、回動することで相手ハウジング107を前記ハウジング104に近付け嵌合させるレバー105と、を備えている。上記ハウジング104は、長方形状の基板141と、該基板141から筒状に立設した第1筒状壁142と、該第1筒状壁142の縁に連なり、該第1筒状壁142の内側に延在する、図示しないフランジ部と、第1筒状壁142よりも径が小さい第2筒状壁144と、を備えている。
【0004】
上記レバー105は、ハウジング104を互いの間に挟む一対のアーム板151と、該一対のアーム板151を連結した操作部152と、を備え、コ字状に形成されている。上記各アーム板151には、相手コネクタ103に設けられた各従動ピン108がスライド係合するカム孔153が設けられている。上記カム孔153の従動ピン108を進入させる入口には、該カム孔153の両端を連結する枠状の補強片154が設けられている。上記補強片154は、一対のアーム板151の操作部152から離れた先端部に設けられている。即ち、補強片154は、図4、図5に示すように、レバー105が回動する前の該レバー105が起立した待機位置において、一対のアーム板151の相手ハウジング107側の端部に設けられている。
【0005】
上記相手コネクタ103は、図4に示すように、ハウジング104を嵌合させる相手ハウジング107と、該相手ハウジング107の外面から互いに離れる方向に突出した一対の従動ピン108と、を備えている。
【0006】
上述したコネクタ102は、相手コネクタ103の一対の従動ピン108それぞれが、各アーム板151に設けられた各補強片154の内側をくぐって、各カム孔153内に進入され、そして、レバー105が待機位置から回動することにより、ハウジング104が相手ハウジング107に近付けられて、該相手ハウジング107(相手コネクタ103)に嵌合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−110896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のレバー嵌合式コネクタユニット101には以下に示す問題点があった。即ち、レバー105は成型されることで形成されており、成型による内倒れ(一対のアーム板151の先端間の寸法が、一対のアーム板151の中央部間の寸法よりも小さいこと)が生じてしまい、そのために、ハウジング104が相手ハウジング107に近付けられると、相手コネクタ103の一対の従動ピン108それぞれが、各アーム板151に設けられた各補強片154の内側をくぐることなく、該補強片154が相手ハウジング107の従動ピン108をどついてしまう、という問題があった。また、防水タイプのレバー嵌合式コネクタユニットにおいては、ハウジング104の第2筒状壁144に、防水ゴム栓(図示せず)が外挿され、防水ゴム栓の内周リップが、第2筒状壁144の外周面に密着し、防水ゴム栓の外周リップが相手ハウジング107の内周面に密着する。このため、レバー105の各アーム板151を、ハウジング104の外面から所定間隔L(図5に示す)をあけて配置しなければならず、レバー105の内倒れを規制できないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、内倒れしたレバーの先端部を矯正し、このレバーの先端部によって従動ピンがどつかれることがなくカム部内に進入されるレバー嵌合式コネクタユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明は、端子を収容したハウジングと、該ハウジングを互いの間に挟む一対のアーム板と、各アーム板に設けられたカム部と、を有し、前記ハウジングに回動自在に取り付けられた略コ字状のレバーと、前記ハウジングを嵌合させる周壁と、該周壁の両側の外面に突設され、前記カム部にスライド係合する一対の従動ピンと、を有する相手ハウジングと、を備え、前記従動ピンが前記カム部内に進入され、前記レバーが起立した待機位置から回動することにより、前記ハウジングが前記相手ハウジングに嵌合するレバー嵌合式コネクタユニットであって、前記レバーの前記アーム板には、該レバーの待機位置における先端側に、前記相手ハウジングに向かって突出した拾い部が設けられ、前記周壁の外面には、内倒れした前記アーム板の前記拾い部を摺接させ、該拾い部を前記周壁の外側に向けて案内する案内部材が設けられたことを特徴としている。
【0011】
上記構成により、前記ハウジングが前記相手ハウジングに近付けられるにしたがって、前記拾い部が摺接されて前記案内部材上に乗り上げて、前記一対のアーム板の先端部を互いに離れる方向に押し広げる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記案内部材の先端が、前記従動ピンの軸部よりも前記拾い部に近い位置に設けられていることを特徴としている。
【0013】
上記構成により、従動ピンがカム部内に進入される前に、拾い部が案内部材の先端に到達される。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記案内部材と並列に並ぶ位置に第2の案内部材が設けられ、前記アーム板の内面が前記第2の案内部材に摺接することを特徴としている。
【0015】
上記構成により、前記レバーが回転した際においても、前記アーム板が摺接されて前記第2の案内部材上に乗り上げて、前記一対のアーム板の先端部を互いに離れる方向に押し広げる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1、請求項2記載の前記案内部材、若しくは、前記拾い部の先端部、又は、請求項3記載の前記第2の案内部材の先端部にはテーパ面が設けられていることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、拾い部が案内部材のテーパ面に摺接されて、該案内部材のテーパ面上に徐々に乗り上げる。若しくは、案内部材が拾い部のテーパ面に摺接されて、拾い部が案内部材のテーパ面上に徐々に乗り上げる。又は、アーム板の内面が第2の案内部材のテーパ面に摺接されて、該第2の案内部材のテーパ面上に徐々に乗り上げる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明によれば、前記レバーの前記アーム板には、該レバーの待機位置における先端側に、前記相手ハウジングに向かって突出した拾い部が設けられ、前記周壁の前記外面には、前記拾い部に摺接され、該拾い部を前記周壁の外側に向けて案内する案内部材が設けられたので、一対のアーム板の先端部が互いに離れる方向に押し広げられ、そのために、レバーの内倒れが矯正され、各アーム板の先端部が従動ピンよりも外側に位置付けられることとなり、各アーム板の先端部によって従動ピンがどつかれることがなく一対のカム部内に進入されるレバー嵌合式コネクタユニットを提供することができる。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、前記案内部材の先端が、前記従動ピンの軸部よりも前記拾い部に近い位置に設けられているので、従動ピンがカム部内に進入される前に、拾い部が案内部材の先端に到達され、レバーの先端部によって従動ピンがどつかれることを、より一層確実に防止できる。
【0020】
請求項3に記載の本発明によれば、案内部材と並列に並ぶ位置に第2の案内部材が設けられ、アーム板の内面が第2の案内部材に摺接するので、レバーが回転した際においても、アーム板の内面が摺接されて第2の案内部材上に乗り上げて、各アーム板全体がハウジングの外面よりも外側に位置付けられることとなり、レバーが回動した際に、各アーム板の先端部によって、ハウジングの外面が擦られることを防止でき、それにより、コネクタ嵌合・離脱時のレバーの回動操作力を低減させることができる。
【0021】
請求項4に記載の本発明によれば、請求項1、請求項2記載の前記案内部材、若しくは、前記拾い部の先端部、又は、請求項3記載の前記第2の案内部材の先端部にはテーパ面が設けられているので、小さな力でアーム板の拾い部が案内部材上に乗り上げる、又は、小さな力でアーム板が第2の案内部材上に乗り上げる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるレバー嵌合式コネクタユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示されたレバー嵌合式コネクタユニットを示す側面図である。
【図3】図2に示されたレバー嵌合式コネクタユニットを示す側面図である。
【図4】従来のレバー嵌合式コネクタユニットを示す斜視図である。
【図5】図4に示されたレバー嵌合式コネクタユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態にかかるレバー嵌合式コネクタユニットを、図1乃至図3に基づいて説明する。
【0024】
上記レバー嵌合式コネクタユニット1は、図1に示すように、端子21(図2に示す)と、該端子21を収容した絶縁樹脂製のハウジング4と、該ハウジング4に回動自在に取り付けられたレバー5と、を有するコネクタ2と、ハウジング4を嵌合させる相手ハウジング7と、該相手ハウジング7の外面に突設され、レバー5のカム孔53にスライド係合する一対の従動ピン8と、を有する相手コネクタ3と、を備えている。図1乃至図3は、レバー5の操作部52が起立した、レバー5が回転する前のレバーの待機位置を示しているとともに、コネクタ1と相手コネクタ3との初期嵌合(未嵌合)状態を示している。
【0025】
上記端子21は電線(図示せず)に加締め接続された、例えば雄端子21である。この雄端子21は一対設けられている。この一対の雄端子21は、前後方向Yに並列されている。
【0026】
上記ハウジング4は、図1、図2に示すように、長円形の基板41と、該基板41の周縁から筒状に立設した第1筒状部42と、該第1筒状部42の周縁に連なり、基板41から内側に延在した平行板43と、該平行板43の周縁から筒状に立設した第2筒状部40と、を備えている。
【0027】
本明細書では、長円形の基板41の長径方向を前後方向Yと記し、短径方向を左右方向Xと記し、ハウジング4(コネクタ2)と相手ハウジング7(相手コネクタ3)とが嵌合するコネクタ嵌合方向を上下方向Zと記す。また、本発明において、図1から図3中の上下方向Zの紙面方向における上側を「上」と表現し、この「上」に対して上下方向Zの紙面方向における下側を「下」と表現する。また、起立したレバー5が水平に傾倒される方向を「後ろ」と表現し、この「後ろ」に対して前後方向の、水平なレバー5が起立される方向を「前」と表現する。図1に示されたレバー嵌合式コネクタユニット1は、図2及び図3とは前後反転されている。
【0028】
上記第1筒状部42は、図3に示すように、互いに間隔をあけた一対の第1壁部45と、該一対の第1壁部45の縁を連ねる一対の第2壁部46a、46bと、各レバー5の後述する円孔55に回動自在に連結される一対の回転軸47と、を備えている。上記各第1壁部45は、前述した基板41の長径方向(前後方向Y)に沿っている。
【0029】
上記各第2壁部46a、46bは、前述した基板41の短径方向(左右方向X)に沿っている。また、一対の第2壁部46a、46bのうち後方の第2壁部46aには、一対のレール部50が設けられている。上記一対のレール部50は第2壁部46aの外面に、左右方向Xに間隔をあけて設けられている。各レール部50の内面50a(図2に示す)には、レバー5の後述するガイド部64に係合する凹溝(図示せず)と、係止部65の突起67に係止する凹部(図示せず)と、が設けられている。また、一対のレール部50うち一方の外面50bは、相手コネクタ3のレール受け部86に係合する。
【0030】
上記一対の回転軸47は、各第1壁部45の中央部に設けられている。各回転軸47は、各第1壁部45の外面から水平に突設された円柱状の軸部48と、該軸部48の先端から前方に向かって凸の鍔部49と、を備えている。上記鍔部49は、第1壁部45との間にレバー5を挟む。
【0031】
上記第2筒状部40は相手ハウジング7の内側に収容される。この第2筒状部40には、防水ゴム栓(図示せず)が外挿され、防水ゴム栓の内周リップが第2筒状部40の外周面に密着し、防水ゴム栓の外周リップが相手ハウジング7の内周面に密着する。また、第2筒状部40は、互いに間隔をあけた一対の第1壁部38と、該一対の第1壁部38の縁を連ねる一対の第2壁部39と、を備えている。上記各第1壁部38は、前述した基板41の長径方向(前後方向Y)に沿っている。上記各第2壁部39は、前述した基板41の短径方向(左右方向X)に沿っている。
【0032】
上記レバー5は、図1に示すように、互いに間隔をあけた一対のアーム板51と、該一対のアーム板51を連結した操作部52と、によって略コ字状に形成されている。
【0033】
上記各アーム板51には、相手コネクタ3の従動ピン8が進入するカム孔53と、該カム孔53の入口における両端部を連結した板状の補強片54と、前述したハウジング4の回転軸47が嵌る円孔55と、補強片54から相手ハウジング7に向かって突出し、該相手ハウジング7の後述する案内部材73上に摺接される拾い部59と、レバー5が水平に傾倒されると、ハウジング4の基板41と平行に該基板41に当接する当接部58と、が設けられている。
【0034】
上記カム孔53は、レバー5が傾倒する後方に湾曲した湾曲部56と、該湾曲部56の終端側の真直部57と、で成る。この湾曲部56には、図3に示すように、レバー5の操作部52が起立した待機位置における先端側に、従動ピン8が挿入される該カム孔53の入口が設けられている。カム孔53は、特許請求の範囲に記載された「カム部」に相当する。カム孔53に代えてカム溝(図示せず)を設けることも可能である。
【0035】
また、カム孔53外周のうち前方には、図3に示すように、アーム板51の外面から凹の凹溝53aが設けられている。この凹溝53aは、レバー5が回動される際の、相手コネクタ3の従動ピン8に設けられた鍔部82の軌跡上に形成されている。この凹溝53aは、従動ピン8の鍔部82に重ねられる。
【0036】
上記補強片54は、図2に示すように、レバー5の先端側における、各アーム板51の外面に設けられている。この補強片54は、各アーム板51の外面から凸である。即ち、補強片54は、レバー5の先端部に設けられた、各アーム板51のカム孔53入口における左右方向X(ピン突出方向)の外壁である。
【0037】
上記拾い部59は、図3に示すように、レバー5の待機位置におけるアーム板51の先端側に設けられている。この拾い部59は、前述した補強片54よりも従動ピン8に近い位置に設けられている。即ち、拾い部59は、補強片54よりも下方に設けられている。このため、拾い部59は、従動ピン8がカム孔53内に進入される前に案内部材73の先端部(テーパ面73a)に到達される。
【0038】
上記円孔55は、真直部57の近傍、即ち、カム孔53の終端近傍に設けられている。この円孔55外周のうち前方には、図3に示すように、アーム板51の外面から凹の凹溝55aが設けられている。上記凹溝55aは、レバー5が回動される際の、ハウジング4の回転軸47に設けられた鍔部49の軌跡上に形成されている。この凹溝55aは、前述した回転軸47の鍔部49に重ねられる。
【0039】
上記当接部58は一対設けられている。一対の当接部58は、図1に示すように、各アーム板51から互いに近付く方向に凸である。この当接部58は、アーム板51の操作部52とアーム板51の先端との間に設けられている。
【0040】
上記操作部52には、図2、図3に示すように、一対のアーム板51を連結した水平な基板61と、該基板61の左右方向Xの両縁から立設した一対の側板62と、該一対の側板62の縁を連ねる天板63と、が設けられている。上記各側板62には、前述したハウジング4のレール部50に設けられた溝部(図示せず)に係合するガイド部64と、レール部50の内面に設けられた係止受け部(図示せず)に係止する係止部65と、が設けられている。
【0041】
上記各ガイド部64は、各側板62の外面から凸に設けられている。このガイド部64は、側板62の長手方向(前後方向Y)の全長に亘って設けられている。
【0042】
上記一対の係止部65は、図3に示すように、各ガイド部64の下側に設けられている。各係止部65は、一対のスリット65aと、該一対のスリット65a間に形成されたアーム66と、該アーム66の先端に設けられた突起67と、を有している。上記一対のスリット65aは互いに間隔をあけて、側板62の前後方向Yに伸びている。各スリット65aは、各側板62の前方の縁を切り欠いている。上記突起67はアーム66の外面に設けられている。
【0043】
上記相手コネクタ3は、図1に示すように、絶縁樹脂製の相手ハウジング7と、該相手ハウジング7内に収容され、前述した雄端子21に接続される例えば雌端子(図示せず)と、該相手ハウジング7の縁から外方向に延在したフランジ部83と、を備えている。
【0044】
上記相手ハウジング7は、一対の第1周壁71と、該一対の第1周壁71の縁を連ねる一対の第2周壁72と、によって筒状に形成されている。この相手ハウジング7は、各第1周壁71の前後方向Yの寸法が各第2周壁72の左右方向Xの寸法よりも大きく、平面視が長円形である。第1周壁71は、特許請求の範囲に記載された「周壁」に相当する。
【0045】
上記第1周壁71には、前述したレバー5の拾い部59を第1周壁71の外側に向けて案内する案内部材73と、レバー5のカム孔53にスライド係合する従動ピン8と、アーム板51の内面51aに摺接されるリブ74と、が設けられている。リブ74は、特許請求の範囲に記載された「第2の案内部材」に相当する。
【0046】
上記案内部材73は、第1周壁71の中央部に設けられた案内壁73bと、該案内壁73bからフランジ部83に向かって伸びた複数のリブ本体73cと、を備えている。
【0047】
上記案内壁73bは、第1周壁71の外面から凸に設けられ、平面視が矩形状である。この案内壁73bの拾い部59側の先端部にはテーパ面73aが設けられている。このテーパ面73aは、先端側から基端側(フランジ部83側)に向かうにしたがって第1周壁71の外側に向かって傾斜している。
【0048】
上記複数のリブ本体73cは、前後方向Yに沿って並列に設けられている。各リブ本体73cは、第1周壁71の外面から凸に設けられ、平面視が長方形状である。また、各リブ本体73cは、その長手方向(上下方向Z)の一端が案内壁73bに連なり、他端がフランジ部83に連なっている。即ち、リブ本体73cは、その長手方向がコネクタ嵌合方向(上下方向Z)に沿っている。
【0049】
これら複数のリブ本体73c間、及び、後述する複数のリブ74間は、これらリブ73c、74の頂部から凹に形成されているので、レバー5が回動された際に、アーム板51の内面51aとの接触面積を小さくすることができる。これにより、コネクタ嵌合・離脱時のレバー5の回動操作力を低減させることができる。
【0050】
上記各従動ピン8は、案内部材73の案内壁73bの外面から水平方向に突設された円柱状の軸部81と、該軸部81の先端から上方に向かって凸の鍔部82と、を備えている。上記軸部81は、案内部材73の先端よりも下側に設けられている。即ち、前述した案内部材73の先端が、従動ピン8の軸部81よりも拾い部59に近い位置に設けられている。上記鍔部82は、レバー5のカム孔53外周の凹溝53aの外面に重ねられて、一対のアーム板51がひらくのを防止する。
【0051】
上記リブ74は、第1周壁71の長手方向(前後方向Y)に、複数並列に設けられている。各リブ74は、第1周壁71の外面から凸に設けられ、その平面視が長方形状である。このリブ74は、その長手方向の基端が第1周壁71のフランジ部83に連なり、先端がコネクタ嵌合方向(上下方向Z)に伸びている。また、リブ74には、先端部にテーパ面74aが設けられている。上記テーパ面74aは、リブ74の先端側から基端側に向かうにしたがって第1周壁71の外面から離れる方向に傾斜している。
【0052】
上記フランジ部83は、平面視が長方形状に形成されており、その4つの角部それぞれには固定用のボルト挿通孔84(図1に示す)が設けられている。このフランジ部83は、例えば自動車のモータ乃至インバータといった機器(図示せず)に直付けされる。また、フランジ部83には、図2、図3に示すように、該機器に電気的に接続されたバスバ9を固定するための固定部85と、前述したハウジング4のレール部50と係合するレール受け部86と、が設けられている。上記固定部85はフランジ部83の下方に設けられている。上記バスバ9はL字状に曲げられていて、その先端部には前述した雌型子が設けられている。このバスバ9は固定部85に重ねられ、該固定部85に埋設された図示しないナットにボルト89がねじ込まれることにより固定される。上記レール受け部86はフランジ部83から上方に向かって立設している。このレール受け部86はフランジ部83の角部に設けられている。また、レール受け部86は、フランジ部83の長手方向(前後方向Y)に沿う壁部87と、幅方向(左右方向X)に沿う壁部88と、によってL字状に形成されている。
【0053】
次に、上述した構成のコネクタ2と相手コネクタ3とを嵌合させる手順について以下に説明する。
【0054】
図3に示すように、コネクタ2は、相手コネクタ3との初期嵌合(未嵌合)状態では、レバー5の操作部52が起立している。このコネクタ2を相手コネクタ3に近付けると、コネクタ2の拾い部59が、案内部材73のテーパ面73a上に摺接され、案内壁73b上に乗り上げる。これら拾い部59及び案内部材73によって、各アーム板51の補強片54が各第1周壁71の外側に広げられる(案内される)こととなり、該補強片54が従動ピン81よりも外側に設けられ、補強片54によって従動ピン8がどつかれることなく一対のカム孔53内に進入される。
【0055】
そして、図3に示すように、レバー5を矢印Aに示す後方(反時計回り)に回動させると、リブ74の先端部に設けられたテーパ面74a上にアーム板51の内面51aが摺接され、該アーム板51がリブ74上に乗り上げるとともに、レバー5のカム孔53に沿って相手コネクタ3がコネクタ嵌合方向(上下方向Z)に引き込まれて(実際には相手コネクタ3は固定式なので、コネクタ2がコネクタ嵌合方向Zに引き込まれて)、カム孔53の真直部57に従動ピン8が位置すると同時に、レバー5の操作部52が後向きに略水平に傾倒する。この状態で、両コネクタ2、3は完全に嵌合接続される。
【0056】
また、コネクタ2、3の嵌合状態から、コネクタ2、3の嵌合を解除する(コネクタ2、3を離脱させる)には、レバー5を矢印Bに示すように前方(時計回り)に回動させて、カム孔53と従動ピン8の作用で両コネクタ2、3を前後に離間させる。
【0057】
上述した実施形態によれば、レバー5のアーム板51には、該レバー5の待機位置における先端側に、相手ハウジング7に向かって突出した拾い部59が設けられ、第1周壁71(周壁)の外面には、拾い部59に摺接され、該拾い部59を第1周壁71の外側に向けて案内する案内部材73が設けられたので、ハウジング4が相手ハウジング7に近付けられるにしたがって、拾い部59が摺接されて案内部材73上に乗り上げて、一対のアーム板51の先端部(補強片54)が互いに離れる方向に押し広げられ、そのために、レバー5の内倒れが矯正され、各アーム板51の先端部(補強片54)が従動ピン8よりも外側に位置付けられることとなり、各アーム板51の先端部(補強片54)によって従動ピン8がどつかれることがなく一対のカム孔53(カム部)内に進入されるレバー嵌合式コネクタユニット1を提供することができる。
【0058】
また、案内部材73の先端が、従動ピン8の軸部81よりも拾い部59に近い位置に設けられているので、従動ピン8がカム孔53内に進入される前に、拾い部59が案内部材73の先端に到達され、レバー5の先端部によって従動ピン8がどつかれることを、より一層確実に防止できる。
【0059】
また、案内部材73と並列に並ぶ位置にリブ74(第2の案内部材)が設けられ、アーム板51の内面51aがリブ74に摺接するので、レバー5が回転した際においても、アーム板51の内面51aが摺接されてリブ74上に乗り上げて、各アーム板51全体がハウジング4の外面よりも外側に位置付けられることとなり、レバー5が回動した際に、各アーム板51の先端部によって、ハウジング4の外面が擦られることを防止でき、それにより、コネクタ嵌合・離脱時のレバー5の回動操作力を低減させることができる。
【0060】
また、請求項1、請求項2記載の案内部材73、若しくは、拾い部59の先端部、又は、請求項3記載のリブ74(第2の案内部材)の先端部にはテーパ面73a、74aが設けられているので、拾い部59が案内部材73のテーパ面73aに摺接されて、該案内部材73のテーパ面73a上に徐々に乗り上げる。若しくは、案内部材73が拾い部59のテーパ面(図示せず)に摺接されて、拾い部59が案内部材73のテーパ面上に徐々に乗り上げる。又は、アーム板51の内面51aがリブ74のテーパ面74aに摺接されて、該リブ74のテーパ面74a上に徐々に乗り上げる。よって、小さな力でアーム板51の拾い部59が案内部材73上に乗り上げる、又は、アーム板51が、リブ74上に乗り上げる。
【0061】
なお、上述した実施形態では、案内部材73の先端部にはテーパ面73aが設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、テーパ面は拾い部59に設けられていても良い。拾い部59に設けられたテーパ面(図示せず)は、拾い部59の先端部に設けられている。このテーパ面は、拾い部59の補強片54側からアーム板51の先端側に向かうにしたがってアーム板51の内面に近付く方向に傾斜している。または、案内部材73のテーパ面73a、及び、拾い部59のテーパ面は、なくても良い。
【0062】
また、上述した実施形態では、リブ74の先端部にはテーパ面74aが設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、テーパ面74aはなくても良い。
【0063】
また、上述した実施形態では、案内部材73の先端が、従動ピン8の軸部81よりも拾い部59に近い位置に設けられている。即ち、案内部材73の先端が、軸部81よりも上側に設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、案内部材73の先端が、軸部81よりも下側に設けられても良い。即ち、案内部材73の先端が、従動ピン8の軸部48よりも拾い部59から遠い位置に設けられていても良い。その場合、拾い部59の、相手ハウジング7に向かう寸法が長く形成され、従動ピン8がカム孔53内に進入される前に、拾い部59が案内部材73の先端に到達されれば良い。
【0064】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 レバー嵌合式コネクタユニット
2 コネクタ
4 ハウジング
5 レバー
7 相手ハウジング
8 従動ピン
51 (一対の)アーム板
51a アーム板の内面
53 カム孔(カム部)
59 拾い部
71 第1周壁(周壁)
73 案内部材
73a テーパ面
74 リブ(第2の案内部材)
74a テーパ面
81 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容したハウジングと、
該ハウジングを互いの間に挟む一対のアーム板と、各アーム板に設けられたカム部と、を有し、前記ハウジングに回動自在に取り付けられた略コ字状のレバーと、
前記ハウジングを嵌合させる周壁と、該周壁の両側の外面に突設され、前記カム部にスライド係合する一対の従動ピンと、を有する相手ハウジングと、を備え、
前記従動ピンが前記カム部内に進入され、前記レバーが起立した待機位置から回動することにより、前記ハウジングが前記相手ハウジングに嵌合するレバー嵌合式コネクタユニットであって、
前記レバーの前記アーム板には、該レバーの待機位置における先端側に、前記相手ハウジングに向かって突出した拾い部が設けられ、
前記周壁の外面には、内倒れした前記アーム板の前記拾い部を摺接させ、該拾い部を前記周壁の外側に向けて案内する案内部材が設けられたことを特徴とするレバー嵌合式コネクタユニット。
【請求項2】
前記案内部材の先端が、前記従動ピンの軸部よりも前記拾い部に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のレバー嵌合式コネクタユニット。
【請求項3】
前記案内部材と並列に並ぶ位置に第2の案内部材が設けられ、
前記アーム板の内面が前記第2の案内部材に摺接することを特徴とする請求項1または請求項2記載のレバー嵌合式コネクタユニット。
【請求項4】
請求項1、請求項2記載の前記案内部材、若しくは、前記拾い部の先端部、又は、請求項3記載の前記第2の案内部材の先端部にはテーパ面が設けられていることを特徴とするレバー嵌合式コネクタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−33606(P2013−33606A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168255(P2011−168255)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】