レフレックス型円偏波アンテナ
【課題】簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更可能であり、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させるレフレックス型円偏波アンテナを提供する。
【解決手段】円偏波を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、給電素子5と無給電素子6とを組み合わせたアンテナ素子1と、2枚のレフレックス板2a、2bとを有し、前記アンテナ素子1を、前記一のレフレックス板2aと離間して対峙する他のレフレックス板2bとの間に配置し、送受信用電力を給電・受電する給受電部を、前記一のレフレックス板2a側から前記アンテナ素子1に接続し、前記他のレフレックス板2bを前記アンテナ素子1に対して電気的に絶縁している。
【解決手段】円偏波を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、給電素子5と無給電素子6とを組み合わせたアンテナ素子1と、2枚のレフレックス板2a、2bとを有し、前記アンテナ素子1を、前記一のレフレックス板2aと離間して対峙する他のレフレックス板2bとの間に配置し、送受信用電力を給電・受電する給受電部を、前記一のレフレックス板2a側から前記アンテナ素子1に接続し、前記他のレフレックス板2bを前記アンテナ素子1に対して電気的に絶縁している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を励起するレフレックス型円偏波アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを使って情報の遣り取りを行うものとして、例えば、カーナビや携帯電話が普及している。前記カーナビは自動車に搭載されて自動車の運行に伴って位置移動をする特性を有しており、携帯電話はユーザの行動に伴って位置移動する特性を有している。
【0003】
前記カーナビや前記携帯電話による情報の授受には円偏波を用いることが有効である。前記円偏波を発生させるアンテナとしてはヘリカルアンテナが一般的であるが、前記ヘリカルアンテナは、導線を筒状に巻き付けることにより円偏波を発生させている。
【0004】
そして、アンテナの指向性、すなわちアンテナのビームを切り替えるアンテナとして、特許文献1〜特許文献5に開示されたような円偏波アンテナが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−128435号公報
【特許文献2】特開2000−36339号公報
【特許文献3】特許第3716919号
【特許文献4】特開2000−258533号公報
【特許文献5】特開2004−128600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1〜5に開示された円偏波アンテナは、そのいずれもがアンテナのビームを切り替える構造が複雑であり、それに伴ってアンテナの構造が大型かつ複雑となり、その構造を簡素化したアンテナが要望されている。
【0007】
本発明の目的は、簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更可能であり、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させるレフレックス型円偏波アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るレフレックス型円偏波アンテナは、円偏波を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、
給電素子と無給電素子とを組み合わせたアンテナ素子と、2枚のレフレックス板とを有し、前記アンテナ素子を、前記一のレフレックス板と離間して対峙する他のレフレックス板との間に配置し、送受信用電力を給電・受電する給受電部を、前記一のレフレックス板側から前記アンテナ素子に接続し、前記他のレフレックス板を前記アンテナ素子に対して電気的に絶縁したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アンテナ素子と2枚のレフレックス板との組み合わせにより、簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更することができ、しかも円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの基本的な構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの具体例を示す断面図、(b)は、アンテナ素子とレフレックス板との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナを変形した例における基本的な構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナを変形した例の具体例を示す断面図、(b)は本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナを変形した例におけるアンテナ素子とレフレックス板との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの基本的な構成を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5に示す本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナの具体例を示す断面図、(b)は、アンテナ素子とレフレックス板との関係を示す図である。
【図7】図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナに関する実測データを示す図である。
【図8】図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図9】図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図10】(a)、(b)は、本発明の実施形態1及び2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、周波数と利得との関係をそれぞれシミュレーションした特性図である。
【図11】本発明の実施形態1及び2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、周波数と反射係数との関係をシミュレーションした特性図である。
【図12】本発明の実施形態1及び2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、周波数と軸比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図13】本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図14】本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図15】本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0012】
本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナは、円偏波(以下、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を含む)を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、図1,図3及び図5に示すように基本的な構成として、給電素子5,9と無給電素子6,8,10とを組み合わせたアンテナ素子1と、2枚のレフレックス板2a,2bとを有し、前記アンテナ素子1を、前記一のレフレックス板2aと離間して対峙する他のレフレックス板2bとの間に配置し、送受信用電力を給電・受電する給受電部3を、前記一のレフレックス板2a側から前記アンテナ素子1に接続し、前記他のレフレックス板2bを前記アンテナ素子1に対して電気的に絶縁したことを特徴とするものである。
【0013】
レフレックス板2a,2bは導体から形成されており、電磁波を反射するものである。図示の例として、レフレックス板2a,2bを円盤状に形成したが、これに限られるものではない。
【0014】
図1,図3及び図5に基づく説明では、本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナを円盤状に形成し、そのレフレックス型円偏波アンテナを送信用アンテナとして用いた場合を説明するが、受信用アンテナとして用いても良いものである。送信用アンテナとして用いた場合、給受電部3は送信用電力を給電する給電点として機能し、受信用アンテナとして用いた場合、給受電部3はアンテナに到来した磁界及び電界に基づくアンテナ電流を受電する受電部として機能する。また、レフレックス板2a,2bは導体で形成され、アンテナ素子1から放射される電磁波を反射する。
【0015】
本発明の実施形態において、アンテナ素子1によるアンテナの指向性を切り替える構成、すなわち図1,図3及び図5の一点鎖線で示すアンテナの指向性と二点鎖線で示すアンテナの指向性とを切り替える構成について説明する。
【0016】
先ず、図1,図3及び図5の一点鎖線で示すアンテナの指向性を確保する構成について説明する。図1,図3及び図5に示すように、レフレックス板2a,2bを円盤状に形成し、前記一のレフレックス板2aの直径をD1、前記他のレフレックス板2bの直径をD2である場合に、これらの直径D1,D2を、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定する。前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)の関係に設定する。この場合、アンテナ素子1から図の一点鎖線で示す前方方向でのアンテナ利得を理論値として最大限にするには、前記間隔Sをλ/2に設定することが望ましいものである。なお、アンテナ素子1の製造公差や組み立て公差などを考慮すると、製品上での設定値としての間隔Sを理論値よりも範囲を拡大させる必要があり、その間隔Sを、λ/2を中心として製作誤差の範囲に収めることが望ましいものである。
【0017】
前記設定関係をもつ本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、次の様に作用する。
【0018】
すなわち、アンテナ素子1は電磁波を前方に配置したレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙する前方のレフレックス板2bで後方のレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射されて、前方のレフレックス板2b側への利得が3〜6dB程度増加される。そして、本実施形態では、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とをD1>1λ、0<D2<λ/2の関係に設定し、前記対峙する2枚のレフレックス板2a,2b間の間隔SをS≒λ/2の関係に設定しているため、前記利得増加した電磁波は、図2,図4及び図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方(レフレクタ板2a,2bの法線方向)に向けて放射し、空中伝搬する。
【0019】
次に、図1,図3及び図5の二点鎖線で示すアンテナの指向性を確保する構成について説明する。図1,図3及び図5に示すように、レフレックス板2a,2bを円盤状に形成し、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定している。前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)の関係に設定している。この場合、アンテナ素子1から図の二点鎖線で示す横方向へのアンテナ指向性を理論値として最大限にするには、前記間隔Sを1λに設定することが望ましいものである。なお、アンテナ素子1の製造公差や組み立て公差などを考慮すると、製品上での設定値としての間隔Sは、1λを中心として製作公差の範囲に収めることが望ましいものである。
【0020】
前記設定関係をもつ本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、次の様に作用する。
【0021】
すなわち、アンテナ素子1は電磁波を前方に配置したレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙する前方のレフレックス板2bで後方のレフレックス板2a側に向けて反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とがD1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定されているため、前記電磁波は、図2,図4及び図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方への放射が阻止される。そのため、前記電磁波は、図2,図4及び図6に2点鎖線で示す矢印方向、すなわちレフレックス板2a,2bの板面に沿う方向(側面方向)に放射し、空中伝搬する。
【0022】
以上のように、本発明の実施形態では、前記一のレフレックス板2aの直径D1と前記他のレフレックス板2bの直径D2と波長λとの関係、及び対峙するレフレックス板相互間の間隔を規定することにより、アンテナの指向性を切り替えることができる。しかも、そのアンテナの指向性を切り替えるという目的を、アンテナ素子1とレフレックス板2a,2bとによる簡単な構造で実現することができるものである。
【0023】
また、前記アンテナ素子1の実効有効長は、λ/4(λ:波長)或いはその近傍に設定する、或いは、λ/2(λ:波長)或いはその近傍に設定することが望ましいものである。なお、アンテナ素子1の実効有効長は理論値としてλ/4或いはλ/2に設定することが望ましいものであるが、アンテナ素子1の製造公差や組み立て公差などを考慮すると、製品上での設定値としてのアンテナ素子1の実効有効長は、λ/4或いはλ/2を中心として製作誤差の範囲に収めることが望ましいものである。
【0024】
次に、前記アンテナ素子1の実効有効長を上記のようにそれぞれ設定した例を実施形態1及び実施形態2としてさらに具体的に説明する。図2(a)は図2(b)の断面図であるが、給電素子5と無給電素子6とを平面状に展開して図示しているため、実際の寸法と相違している。
【0025】
(実施形態1)
本実施形態1は図1及び図2(a)(b)に示すように、例えばシリコン基板のような板状の誘電体4の一面4aに円盤状の給電・受電用のレフレックス2aを反射板として形成する。そして、前記レフレックス板2aの中央部に開口2cを設けている。
【0026】
また、前記アンテナ素子1を給電素子5と無給電素子6とで構成している。具体的に説明すると、給電素子5と無給電素子6とは逆L型に折り曲げて形成している。そして、無給電素子6の一端6bをレフレックス板2aの開口2cの縁部に電気的に接続し、給電素子5の一端5bをレフレックス板2aの開口2cに通してレフレックス板2aとの間を電気的に絶縁している。
【0027】
さらに、給電素子5の屈曲辺5cと、無給電素子6の屈曲辺6cとをレフレックス板2aの盤面に沿わせて配置し、前記屈曲辺5c,6c同士を開き角θをもってハ字状に向きを変えて配置している。また、レフレックス板2aは、給電素子5及び無給電素子6の後方に配置してある。また、レフレックス板2aの盤面と前記屈曲辺5c,6cとの間は電気的に絶縁している。
【0028】
なお、図2(a)では、給電素子5と無給電素子6とが開き角度θで開いているが、これらの素子が存在していることを明らかにするため、これらの素子を同一面で展開した状態で図示しており、これらの素子の寸法関係が実際のものとは異なって図示してある。
【0029】
図1及び図2では、給電素子5の立ち上がり辺5aと屈曲辺5cとによるアンテナ素子として実効な範囲(実効有効長)を太線で示しており、その実効有効長をL1に設定している。同様に、無給電素子6の立ち上がり辺6aと屈曲辺6cとによるアンテナ素子として実効な範囲(実効有効長)を太線で示しており、その実効有効長をL2に設定している。本実施形態1では、給電素子5の実効有効長L1をλ/4(λ;波長)或いはその近傍に設定している。理論上の実効有効長L1はλ/4(λ:波長)であるが、許容される製造公差などを考慮した場合、λ/4を中心として製作公差の範囲に変動するため、λ/4或いはその近傍として実効有効長L1を特定している。
【0030】
また、無給電素子6の実効有効長L2は、給電素子5の実効有効長L1より短く設定している、すなわちL2≦L1の関係に設定している。実効有効長L1,L2の関係をシミュレーションにより求めた結果では、開き角θが54°の場合、実効有効長L1×0.94=実効有効長L2(L2<L1)となった。このシミュレーションの結果、無給電素子6の実効有効長L2は給電素子5の実効有効長L1より短い、すなわち、給電素子5の屈曲辺5cと無給電素子6の屈曲辺6cとの開き角θとの関係でL2≦L1の関係に設定することが望ましいとの結論を得た。上記のように設定することで、給電素子5と無給電素子6とが電磁結合することにより、給電素子5に流れる電流に対する無給電素子6に流れる電流の位相遅れを同一面内に生じるというシミュレーションの結果を得ている。なお、前記位相遅れは、90°或いは90°に近似した遅れ量である。
【0031】
前記給電素子5と前記無給電素子6とが逆L型に屈曲してあるため、立ち上がり辺5a,6aの高さに対して横向きの長さが長くなり、レフレクタ板2aの法線方向での全体の高さを低姿勢に保持している。
【0032】
さらに、本実施形態1では、誘電体からなるサポータ7をレフレックス板2a上に立設し、そのサポータ7の先端に他のレフレックス板2bを一のレフレックス板2aと平行或いはほぼ平行に配列して支持させ、レフレックス板2bをアンテナ素子1の前方(図中右側)にアンテナ素子1及びレフレックス板2aと電気的に絶縁して対峙させている。
【0033】
アンテナ素子1から図2の1点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径をD1、前記他のレフレックス板2bの直径をD2とした場合に、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定する。この場合、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定する。
【0034】
前記構成による本実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの動作について説明する。アンテナ素子1を構成する給電素子5とレフレックス板2aとの間に給電点3から送信用電力を給電すると、給電素子5に電流が流れ、給電素子5と無給電素子6とが電磁結合することにより、無給電素子5に電流が流れる。この場合、無給電素子6は給電素子5に対して開き角度θをもつ位置に配置してあるため、給電素子5を流れる電流と無給電素子6を流れる電流との間に位相遅れが生じ、円偏波(軸比が1に近い楕円偏波を含む)が発生する。
【0035】
この場合、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定されているため、次の様に作用する。
【0036】
すなわち、給電素子5及び無給電素子6から構成されたアンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射されて、前方のレフレックス板2aへの利得が3〜6dB程度増加される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とをD1>1λ、0<D2<λ/2、前記間隔SをS≒λ/2の関係に設定しているため、前記利得増加した電磁波は、図2に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方に向けて放射し、空中伝搬する。
【0037】
アンテナ素子1から図2の2点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定する。この場合、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)に設定する。
【0038】
前記構成による本実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、次の様に作用する。すなわち、アンテナ素子1を構成する給電素子5とレフレックス板2aとの間に給電点3から送信用電力を給電すると、給電素子5に電流が流れ、給電素子5と無給電素子6とが電磁結合することにより、無給電素子5に電流が流れる。この場合、無給電素子6は給電素子5に対して開き角度θをもつ位置に配置してあるため、給電素子5を流れる電流と無給電素子6を流れる電流との間に位相遅れが生じ、円偏波(軸比が1に近い楕円偏波を含む)が発生する。
【0039】
この場合、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λの関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λに設定されているため、次の様に作用する。
【0040】
すなわち、給電素子5及び無給電素子6から構成されたアンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とがD1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定されているため、前記電磁波は、図2に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方への放射が阻止される。そのため、前記電磁波は、図2に2点鎖線で示す矢印方向、すなわちレフレックス板2a,2bの板面に沿う方向に放射し、空中伝搬する。
【0041】
次に、本実施形態1において、前記給電素子5及び前記無給電素子6と前記レフレックス板2a,2bとの組み合わせにより、円偏波(楕円偏波を含む)が発生することを検証する。
【0042】
給電素子5に対して1本の無給電素子6を用いる例をシミュレーションにより求め、電界ベクトルの先端の軌跡を図8に示す。図8のシミュレーションでは、給電素子5と無給電素子6との開き角θを54°、給電素子5の実効有効長L1をλ/4(λ;使用周波数)に設定し、無給電素子6の実効有効長L2をL1×0.94に設定している。この場合、軸比は1.23(約1.8dB)である。
【0043】
図8から明らかなように、給電素子5と無給電素子6とを使って電磁波を発生させると、楕円偏波であることが明らかになった。このシミュレーションの結果からして、本発明の実施形態では、前記給電素子5及び前記無給電素子6と前記接地板5との組み合わせにより、円偏波が発生することが検証された。
【0044】
次に、図8に示したシミュレーションの結果に基づいて、本実施形態1のアンテナを構築して、その偏波特性を実測した。その実測結果を図7に示す。図7に示す偏波特性は、図8に示す電界ベクトルの先端の軌跡に対応するものであり、図7に示す実測の場合、電界ベクトルそのものではなく、送信アンテナのビームの先端を見ている。
【0045】
図7では、給電素子5と無給電素子6との開き角θを45°、給電素子5の実効有効長L1を約λ/4、使用周波数λを1.9GHzに設定し、無給電素子6の実効有効長L2をL1=L2(約λ/4)に設定している。この場合、軸比は約5dBである。
【0046】
図7において、符号T1で示す偏波特性は、送信アンテナの正面に対して25°の角度で実測したものであり、符号T2で示す偏波特性は、送信アンテナの正面に対して45°の角度で実測したものであり、符号T3で示す偏波特性は、送信アンテナの正面に対して65°の角度で実測したものである。
【0047】
図7に示す偏波特性からして、本実施形態1に係るアンテナは円偏波アンテナとして機能していることが検証できた。
【0048】
さらに、本実施形態1に示すアンテナ素子1(給電素子5及び無給電素子6)を用い、かつ、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)、2つのレフレックス板2a,2b間の間隔Sを、S≒1λの関係に設定したレフレックス型円偏波アンテナが、アンテナとして機能するか否かをシミュレーションした結果を図10〜図11に示している。
【0049】
前記シミュレーションは、レフレックス板2aの直径D1の寸法を、製造公差を考慮して約1λ付近に設定し、一のレフレックス板2aに対峙する他のレフレックス板2bの直径D2を、製造公差を考慮して約λ/2付近に設定し、対峙する2つのレフレックス板2a,2b間の間隔SをS≒λ/2にそれぞれ設定して実施した。この寸法関係は、上述した、D1>1λ、0<D2<λ/2、S≒λ/2の関係を満たすものである。
【0050】
図10(a)は、本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの利得を示すものであり、図10(b)は、後方のレフレックス板2aのみを設けた円偏波アンテナの利得を示すものである。図において、横軸に周波数をとり、縦軸に利得をとっている。
【0051】
図10(b)に示す円偏波アンテナは最大利得が+6dB程度であるのに対して、図10(a)に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナは、後方のレフレックス板2aに対してアンテナ素子1の前方にレフレックス板2bを配置したことにより、図10(b)のアンテナに対して約+3dBの利得が増加していることが分かる。
【0052】
図11は、本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナにおける周波数と反射係数との関係を示している。図の横軸に周波数をとり、縦軸の単位をdBとしている。図11に示すアンテナ入力端の反射係数でマイナスの数値が大きい周波数(約2.375GHz付近)のところでマッチングが取れていることが分かる。図11から、本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナは円偏波アンテナとして機能していることが分かる。
【0053】
図12は、放射方向に対してアンテナを左右に振った場合(ビーム内)の軸比を示している。図の横軸に放射方向にアンテナを左右に振る際の角度をとり、縦軸に軸比を取っている。図12からf=2.15GHzでの軸比は近似的に“1”であり、円偏波に近い楕円偏波が発生していることが分かる。
【0054】
図10〜図12から明らかなように、レフレックス板2a,2b間にアンテナ素子1を介装した本実施形態1では、アンテナとして機能していることが検証できた。
【0055】
なお、このシミュレーションを別の例、すなわち、本実施形態2に示すアンテナ素子1(給電素子5及び無給電素子6)を用い、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定し、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)に設定したレフレックス型円偏波アンテナについて行っても、図10〜図12と同様の検証結果を得た。
【0056】
以上説明したように本実施形態1によれば、給電素子と無給電素子とが電磁結合することにより、前記給電素子に流れる電流に対する前記無給電素子に流れる電流の位相遅れが同一面内に生じ、円偏波或いはこれに近似した偏波を発生させることができ、円偏波アンテナとして用いることができる。さらに、前記一のレフレックス板2aの直径D1と前記他のレフレックス板2bの直径D2と波長λとの関係、レフレックス板相互間の間隔を規定することにより、アンテナの指向性を切り替えることができる。しかも、そのアンテナの指向性を切り替えるという目的を、アンテナ素子1とレフレックス板2a,2bとによる簡単な構造で実現することができるものである。
【0057】
さらに本実施形態1によれば、アンテナ素子が給電素子と無給電素子とを電磁結合させる構成であるため、給電構造を単純化することができ、しかも電流に位相差を持たせる位相器も不要であるため、全体構造を簡素化することができる。
【0058】
また、前記給電素子と前記無給電素子とを折り曲げて低姿勢に保持することにより、アンテナの高さ方向での寸法を極力低くすることができる。さらに、各素子の一部を立ち上げることにより、横方向に張り出す素子の長さを短縮することができ、横方法及び縦方向での寸法を可及的に小さくすることができる。
【0059】
また、アンテナ素子からの電磁波を対峙しているレフレックス板の相互間で反射を繰り返すことにより、利得を増加させることができ、送信特性及び受信特性を改善できる。
【0060】
以上の説明では、給電素子5に対して1本の無給電素子6を用いた例を説明したが、無給電素子6の本数は1本に限られるものではない。無給電素子6の本数を増やした例を図3及び図4に基づいて説明する。その構成は、図1及び図2に示す構成と同様である。相違点のみを説明する。図4(a)は図4(b)の断面図であるが、給電素子5と無給電素子6,8とを平面状に展開して図示しているため、実際の寸法と相違している。また、図4(b)では、無給電素子6と8とはほぼ同一の高さに配置しているが、図4(a)では、無給電素子6と8との存在を示すために、無給電素子6に対して無給電素子8を高さ方向に位置をずらせて図示しており、実際の位置関係と相違している。
【0061】
図3及び図4に示す例では、前記給電素子5と前記無給電素子6との間に他の無給電素子8を介在させて3素子とし、前記誘電素子1と前記無給電素子8との間を電磁結合させ、さらに前記無給電素子8と前記無給電素子6との間を電磁結合させることにより、前記給電素子5に流れる電流に対する前記無給電素子6,8にそれぞれ流れる電流の位相遅れを同一面内に生じさせている。
【0062】
図4(a)に示すように、無給電素子8は、無給電素子6と同様に立ち上がり辺8aと屈曲辺8cとを有する逆L型構造であって、立ち上がり辺8aの一端が一のレフレックス板2aに電気的に接続している。また、無給電素子6と無給電素子8はサポータ7aで支持してその相互間を開き角度θ1をもってハ字型に開いている。無給電素子6,8の屈曲辺6c,8cはほぼ同一の高さに保持してある。なお、図4(a)では、無給電素子6,8の存在を明らかにするために、無給電素子6,8の屈曲辺6c,8cの高さ位置をずらせて図示している。また、図4(b)では、無給電素子6,8間の開き角度θ1、無給電素子8と給電素子5間の開き角度θ2でそれぞれで開いているが、これらの素子が存在していることを明らかにするため、これらの素子を同一面で展開した状態で図示しており、これらの素子の寸法関係が実際のものとは異なって図示してある。
【0063】
3素子による電界ベクトルの先端の軌跡をシミュレーションした結果を図9に示す。シミュレーションでは、無給電素子6と無給電素子8との開き角θ1を5〜74°、給電素子5と無給電素子8との開き角θ2を約90°にそれぞれ設定している。さらに、給電素子5と無給電素子6との実効有効長L1,L2を約λ/4(λ:使用周波数)、無給電素子8の実効有効長L3をL1(L2)×0.9にそれぞれ設定している。この場合、軸比は約2.1dBである。追加した無給電素子8は、誘電体からなるサポータ7aで支持し、その一端8b及び屈曲部8a,8cをレフレックス板2a及び給電素子5並びに無給電素子6に対して電気的に絶縁させている。また、追加した無給電素子8は、無給電素子6と同様に立ち上がり辺8aと、レフレックス板2aの盤面に沿う屈曲辺8cとを有しており、追加した無給電素子8の実効有効長L3は太線で示す長さ(立ち上がり辺8a及び屈曲辺8c)としている。また、追加した無給電素子8は、無給電素子6及び給電素子5と電気的に絶縁している。
【0064】
図9から明らかなように、給電素子5と無給電素子6及び8とを使って電磁波を発生させると、楕円偏波であることが明らかになった。このシミュレーションの結果からして、本発明の実施形態では、前記給電素子5及び前記無給電素子6,8と前記レフレックス板2aとの組み合わせにより円偏波が発生することが検証された。
【0065】
また、図3及び図4のように無給電素子を増やし、かつレフレックス板2a,2b間にアンテナ素子1を介装したレフレックス型円偏波アンテナについて行っても、図10〜図11と同様のシミュレーションを行った結果、図10〜図11と同様の特性を示すことを検証した。
【0066】
図9から明らかなように、給電素子と無給電素子との開き角及び長さに加えて、無給電素子の本数を変化させることにより、前記位相遅れを調整できるものである。
【0067】
なお、図3及び図4においては、給電素子5と2本の無給電素子6,8との3素子としたが、これに限られるものではない。シミュレーションの結果、給電素子5と無給電素子6との間に介在させる無給電素子8は、1以上の本数であってもよいことが分かっている。なお、素子同士を電磁結合した際のロス等を考慮すると、介在させる無給電素子の本数は1本であることが望ましいものである。
【0068】
(実施形態2)
本実施形態2に係る無給電無指向性アンテナは図5及び図6に示すようにアンテナ素子1をダイポール給電素子9と無給電素子10との組み合わせにより構成し、前記ダイポール給電素子9の給受電部3に前記無給電素子10を電気的に絶縁して交差させ、前記ダイポール給電素子9に前記無給電素子10を電磁結合させたことを特徴とするものである。なお、送信用のアンテナとして用いる場合を説明するため、給受電部3を給電点3として表記する。なお、受信用アンテナとして用いてもよく、その場合、給電点3は受電点として機能する。
【0069】
なお、図5では、ダイポール給電素子9と無給電素子10とが開き角度θで開いているが、これらの素子が存在していることを明らかにするため、これらの素子を同一面で展開した状態で図示しており、これらの素子の寸法関係が実際のものとは異なって図示してある。また、図6(b)に示すように、ダイポール給電素子9と無給電素子10とは交差しているが、図6(a)では、ダイポール給電素子9と給電部3との関係を示すために、ダイポール給電素子9を直線状に図示し、無給電素子10を黒丸として図示しており、実際の構成と相違している。
【0070】
具体的に説明すると、ダイポール給電素子9は、使用波長(λ)の1/2波長(λ)の長さをもつ2本の給電素子9a,9bをその突き合わせ端間を電気的に絶縁して平面上で直線状に配置し、これらの給電素子9a,9bに給電点3を電気的に接続している。図5及び図6では、給電点3として同軸ケーブルを用い、その同軸ケーブルの中心導体を一方の給電素子9a、その外皮導体を他方の給電素子9bにそれぞれ電気的に接続している。なお、給電点3として同軸ケーブルを用いたが、それ以外の給電構造を用いてもよいものである。本発明の実施形態で注目すべき点は、給電素子9a,9bと給電点3との間に位相器を設けていないことである。
【0071】
前記無給電素子10には、直線状の導体を用いており、前記無給電素子10は、前記ダイポール給電素子9の給電部3に電気的に絶縁して交差させてある。その交差構造を具体的に説明すると、前記ダイポール給電素子9は、それを構成する2本の給電素子9a,9bの対峙する端部間が電気的に絶縁されているため、2本の給電素子9a,9b間にはスペースSが存在する。前記スペースSを利用して、前記無給電素子10をダイポール給電素子9のスペースSに通して前記ダイポール給電素子9と交差させている。前記無給電素子10を前記ダイポール給電素子9のスペースS内に通す際に、前記無給電素子10を前記ダイポール給電素子9に対して電気的に絶縁している。
【0072】
そして、前記ダイポール給電素子9に給電点3から給電を行うことにより、前記給電素子9に前記無給電素子10を電磁結合させている。
【0073】
また、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比と、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θとに基づいて、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整している。シミュレーションした結果では、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを40〜60度の範囲に設定することが最も望ましいものであり、この範囲を逸脱した場合でも、実用目的によっては特に問題がないことを確かめている。また、前記ダイポール給電素子9の長さをL4、前記無給電素子10の長さをL5とした場合、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比は、95%程度に設定することが最も望ましいものであり、この範囲を逸脱しても、実用目的によっては特に問題がないことを確かめている。また、前記ダイポール給電素子9の長さL4と前記無給電素子10の長さL5との関係は、L5<L4の関係に設定する。
【0074】
本発明の実施形態において、給電点3からダイポール給電素子9に給電を行うと、ダイポール給電素子9と無給電素子10とが電磁結合し、ダイポール給電素子9に流れる電流によって発生する電界が、ダイポール給電素子9の給電素子9a→無給電素子10→ダイポール給電素子9の給電素子9b→無給電素子10の順に回転するため、X−Y面上で無指向性の放射パターンを示すこととなる。
【0075】
次に、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL2の比と、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θとに基づいて、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整することについてシミュレーションした結果について説明する。なお、図13〜図15では、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を変化させた場合についてシミュレーションしているが、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを40〜60の範囲内に設定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を変化させてシミュレーションした場合でも、同様の傾向を示していることを確かめている。
【0076】
図13は、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を0.92に設定してシミュレーションした場合での放射パターンを示している。
【0077】
図13から明らかなように、ダイポール給電素子9と無給電素子10とを配置した平面、すなわちX−Y面上で略角丸四角形状の放射パターンとなっており、X−Y面上で無指向性であることが分かる。
【0078】
図14は、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を0.94に設定してシミュレーションした場合での放射パターンを示している。
【0079】
図14から明らかなように、ダイポール給電素子9と無給電素子10とを配置した平面、すなわちX−Y面上で略角丸四角形状状の放射パターンとなっており、X−Y面上で無指向性であることが分かる。図14に示す放射パターンは図13に示す放射パターンと同様の傾向を示している。
【0080】
図15は、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を0.96に設定してシミュレーションした場合での放射パターンを示している。
【0081】
図15から明らかなように、ダイポール給電素子5と無給電素子6とを配置した平面、すなわちX−Y面上で略角丸四角形状状の放射パターンとなっており、X−Y面上で無指向性であることが分かる。図15に示す放射パターンは図13に示す放射パターンと同様の傾向を示している。
【0082】
以上に示したシミュレーションの結果から明らかなように、本実施形態2に係るアンテナは、アンテナとして作動することが明らかであり、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比と、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θとに基づいて、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整することが可能であることが分かった。
【0083】
さらに、本実施形態2では、誘電体からなるサポータ7をレフレックス板2a上に立設し、そのサポータ7の先端にレフレックス板2bを一のレフレックス板2aと平行或いはほぼ平行に配列して支持させ、レフレックス板2bをアンテナ素子1の前方にアンテナ素子1及びレフレックス板2aと電気的に絶縁して対峙させている。
【0084】
アンテナ素子1から図6の1点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定している。
【0085】
前記構成による本実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナの動作について説明する。アンテナ素子1を構成するダイポール給電素子9と一のレフレックス板2aとの間に給電点3から送信用電力を給電すると、ダイポール給電素子9に電流が流れ、ダイポール給電素子9と無給電素子10とが電磁結合することにより、ダイポール給電素子9に流れる電流によって発生する電界が、ダイポール給電素子9の給電素子9a→無給電素子10→ダイポール給電素子9の給電素子9b→無給電素子10の順に回転するため、X−Y面上で無指向性の放射パターンを示すこととなる。この場合、無給電素子10はダイポール給電素子9に対して開き角度θをもつ位置に配置してあるため、ダイポール給電素子9を流れる電流と無給電素子10を流れる電流との間に位相遅れが生じ、円偏波(軸比が1に近い楕円偏波を含む)が発生する。
【0086】
この場合、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定しているため、次の様に作用する。
【0087】
すなわち、ダイポール給電素子9及び無給電素子10から構成されたアンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射されて、前方のレフレックス板2b側への利得が3〜6dB程度増加される。そして、前記利得増加した電磁波は、図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわちアンテナ素子1の前方に向けて放射し、空中伝搬する。
【0088】
本実施形態2では、アンテナ素子1から図6の2点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定する。この場合、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)に設定する。
【0089】
前記構成による本実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とは、D1=D2>1λの関係にあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sは、S≒1λに設定されているため、次の様に作用する。
【0090】
すなわち、アンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とがD1=D2>1λ(λ:波長)、対峙するレフレックス板2a,2bの間隔SをS≒1λの関係に設定されているため、前記電磁波は、図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわちアンテナ素子1の前方への放射が阻止される。そのため、前記利得増加した電磁波は、図6に2点鎖線で示す矢印方向、すなわちレフレックス板2a,2bの板面に沿う方向に放射し、空中伝搬する。
【0091】
さらに、本実施形態2において、実施形態1と同様に、レフレックス板2a,2b間にアンテナ素子1を介装し、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、D2>1λの関係、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λに設定したレフレックス型円偏波アンテナについて、図11〜図12と同様のシミュレーションを行った結果、図11〜図12と同様の特性を示すことを検証した。
【0092】
以上のように本実施形態2によれば、ダイポール給電素子と無給電素子との組み合わせにより、構造を簡素化し、かつ広帯域の特性を確保できるものである。さらに、前記一のレフレックス板2aの直径D1と前記他のレフレックス板2bの直径D2と、波長λとの関係を規定することにより、アンテナの指向性を切り替えることができる。しかも、そのアンテナの指向性を切り替えるという目的を、アンテナ素子1とレフレックス板2a,2bとによる簡単な構造で実現することができるものである。
【0093】
さらに、本実施形態2によれば、ダイポール給電素子の長さに対する無給電素子の長さの比と、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とに基づいて、前記ダイポール給電素子と前記無給電素子とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整することができるものである。さらに、ダイポール給電素子と無給電素子とを平面上に配置しているため、その平面に対する高さ方向の寸法を極めて小さくすることができる。
【0094】
さらに、平面に対する高さ方向での寸法を極めて小さくすることができるため、本発明の実施形態に係る複数のアンテナを平面に対する高さ方向に重ねたとしても、その高さ方向の寸法を必要以上に拡大することはないばかりでなく、その高さ方向に複数のアンテナを積み重ねることにより、その高さ方向での指向性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更可能であり、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させるレフレックス型円偏波アンテナを提供することに貢献できる。
【符号の説明】
【0096】
1 アンテナ素子
2a,2b レフレックス板
3 給受電部
5 給電素子
6,8 無給電素子
9 ダイポール給電素子
10 無給電素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を励起するレフレックス型円偏波アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを使って情報の遣り取りを行うものとして、例えば、カーナビや携帯電話が普及している。前記カーナビは自動車に搭載されて自動車の運行に伴って位置移動をする特性を有しており、携帯電話はユーザの行動に伴って位置移動する特性を有している。
【0003】
前記カーナビや前記携帯電話による情報の授受には円偏波を用いることが有効である。前記円偏波を発生させるアンテナとしてはヘリカルアンテナが一般的であるが、前記ヘリカルアンテナは、導線を筒状に巻き付けることにより円偏波を発生させている。
【0004】
そして、アンテナの指向性、すなわちアンテナのビームを切り替えるアンテナとして、特許文献1〜特許文献5に開示されたような円偏波アンテナが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−128435号公報
【特許文献2】特開2000−36339号公報
【特許文献3】特許第3716919号
【特許文献4】特開2000−258533号公報
【特許文献5】特開2004−128600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1〜5に開示された円偏波アンテナは、そのいずれもがアンテナのビームを切り替える構造が複雑であり、それに伴ってアンテナの構造が大型かつ複雑となり、その構造を簡素化したアンテナが要望されている。
【0007】
本発明の目的は、簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更可能であり、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させるレフレックス型円偏波アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るレフレックス型円偏波アンテナは、円偏波を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、
給電素子と無給電素子とを組み合わせたアンテナ素子と、2枚のレフレックス板とを有し、前記アンテナ素子を、前記一のレフレックス板と離間して対峙する他のレフレックス板との間に配置し、送受信用電力を給電・受電する給受電部を、前記一のレフレックス板側から前記アンテナ素子に接続し、前記他のレフレックス板を前記アンテナ素子に対して電気的に絶縁したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アンテナ素子と2枚のレフレックス板との組み合わせにより、簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更することができ、しかも円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの基本的な構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの具体例を示す断面図、(b)は、アンテナ素子とレフレックス板との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナを変形した例における基本的な構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナを変形した例の具体例を示す断面図、(b)は本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナを変形した例におけるアンテナ素子とレフレックス板との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの基本的な構成を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5に示す本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナの具体例を示す断面図、(b)は、アンテナ素子とレフレックス板との関係を示す図である。
【図7】図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナに関する実測データを示す図である。
【図8】図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図9】図1に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図10】(a)、(b)は、本発明の実施形態1及び2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、周波数と利得との関係をそれぞれシミュレーションした特性図である。
【図11】本発明の実施形態1及び2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、周波数と反射係数との関係をシミュレーションした特性図である。
【図12】本発明の実施形態1及び2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、周波数と軸比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図13】本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図14】本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【図15】本発明の実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナにおいて、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とその長さの比との関係をシミュレーションした特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0012】
本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナは、円偏波(以下、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を含む)を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、図1,図3及び図5に示すように基本的な構成として、給電素子5,9と無給電素子6,8,10とを組み合わせたアンテナ素子1と、2枚のレフレックス板2a,2bとを有し、前記アンテナ素子1を、前記一のレフレックス板2aと離間して対峙する他のレフレックス板2bとの間に配置し、送受信用電力を給電・受電する給受電部3を、前記一のレフレックス板2a側から前記アンテナ素子1に接続し、前記他のレフレックス板2bを前記アンテナ素子1に対して電気的に絶縁したことを特徴とするものである。
【0013】
レフレックス板2a,2bは導体から形成されており、電磁波を反射するものである。図示の例として、レフレックス板2a,2bを円盤状に形成したが、これに限られるものではない。
【0014】
図1,図3及び図5に基づく説明では、本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナを円盤状に形成し、そのレフレックス型円偏波アンテナを送信用アンテナとして用いた場合を説明するが、受信用アンテナとして用いても良いものである。送信用アンテナとして用いた場合、給受電部3は送信用電力を給電する給電点として機能し、受信用アンテナとして用いた場合、給受電部3はアンテナに到来した磁界及び電界に基づくアンテナ電流を受電する受電部として機能する。また、レフレックス板2a,2bは導体で形成され、アンテナ素子1から放射される電磁波を反射する。
【0015】
本発明の実施形態において、アンテナ素子1によるアンテナの指向性を切り替える構成、すなわち図1,図3及び図5の一点鎖線で示すアンテナの指向性と二点鎖線で示すアンテナの指向性とを切り替える構成について説明する。
【0016】
先ず、図1,図3及び図5の一点鎖線で示すアンテナの指向性を確保する構成について説明する。図1,図3及び図5に示すように、レフレックス板2a,2bを円盤状に形成し、前記一のレフレックス板2aの直径をD1、前記他のレフレックス板2bの直径をD2である場合に、これらの直径D1,D2を、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定する。前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)の関係に設定する。この場合、アンテナ素子1から図の一点鎖線で示す前方方向でのアンテナ利得を理論値として最大限にするには、前記間隔Sをλ/2に設定することが望ましいものである。なお、アンテナ素子1の製造公差や組み立て公差などを考慮すると、製品上での設定値としての間隔Sを理論値よりも範囲を拡大させる必要があり、その間隔Sを、λ/2を中心として製作誤差の範囲に収めることが望ましいものである。
【0017】
前記設定関係をもつ本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、次の様に作用する。
【0018】
すなわち、アンテナ素子1は電磁波を前方に配置したレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙する前方のレフレックス板2bで後方のレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射されて、前方のレフレックス板2b側への利得が3〜6dB程度増加される。そして、本実施形態では、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とをD1>1λ、0<D2<λ/2の関係に設定し、前記対峙する2枚のレフレックス板2a,2b間の間隔SをS≒λ/2の関係に設定しているため、前記利得増加した電磁波は、図2,図4及び図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方(レフレクタ板2a,2bの法線方向)に向けて放射し、空中伝搬する。
【0019】
次に、図1,図3及び図5の二点鎖線で示すアンテナの指向性を確保する構成について説明する。図1,図3及び図5に示すように、レフレックス板2a,2bを円盤状に形成し、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定している。前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)の関係に設定している。この場合、アンテナ素子1から図の二点鎖線で示す横方向へのアンテナ指向性を理論値として最大限にするには、前記間隔Sを1λに設定することが望ましいものである。なお、アンテナ素子1の製造公差や組み立て公差などを考慮すると、製品上での設定値としての間隔Sは、1λを中心として製作公差の範囲に収めることが望ましいものである。
【0020】
前記設定関係をもつ本発明の実施形態に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、次の様に作用する。
【0021】
すなわち、アンテナ素子1は電磁波を前方に配置したレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙する前方のレフレックス板2bで後方のレフレックス板2a側に向けて反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とがD1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定されているため、前記電磁波は、図2,図4及び図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方への放射が阻止される。そのため、前記電磁波は、図2,図4及び図6に2点鎖線で示す矢印方向、すなわちレフレックス板2a,2bの板面に沿う方向(側面方向)に放射し、空中伝搬する。
【0022】
以上のように、本発明の実施形態では、前記一のレフレックス板2aの直径D1と前記他のレフレックス板2bの直径D2と波長λとの関係、及び対峙するレフレックス板相互間の間隔を規定することにより、アンテナの指向性を切り替えることができる。しかも、そのアンテナの指向性を切り替えるという目的を、アンテナ素子1とレフレックス板2a,2bとによる簡単な構造で実現することができるものである。
【0023】
また、前記アンテナ素子1の実効有効長は、λ/4(λ:波長)或いはその近傍に設定する、或いは、λ/2(λ:波長)或いはその近傍に設定することが望ましいものである。なお、アンテナ素子1の実効有効長は理論値としてλ/4或いはλ/2に設定することが望ましいものであるが、アンテナ素子1の製造公差や組み立て公差などを考慮すると、製品上での設定値としてのアンテナ素子1の実効有効長は、λ/4或いはλ/2を中心として製作誤差の範囲に収めることが望ましいものである。
【0024】
次に、前記アンテナ素子1の実効有効長を上記のようにそれぞれ設定した例を実施形態1及び実施形態2としてさらに具体的に説明する。図2(a)は図2(b)の断面図であるが、給電素子5と無給電素子6とを平面状に展開して図示しているため、実際の寸法と相違している。
【0025】
(実施形態1)
本実施形態1は図1及び図2(a)(b)に示すように、例えばシリコン基板のような板状の誘電体4の一面4aに円盤状の給電・受電用のレフレックス2aを反射板として形成する。そして、前記レフレックス板2aの中央部に開口2cを設けている。
【0026】
また、前記アンテナ素子1を給電素子5と無給電素子6とで構成している。具体的に説明すると、給電素子5と無給電素子6とは逆L型に折り曲げて形成している。そして、無給電素子6の一端6bをレフレックス板2aの開口2cの縁部に電気的に接続し、給電素子5の一端5bをレフレックス板2aの開口2cに通してレフレックス板2aとの間を電気的に絶縁している。
【0027】
さらに、給電素子5の屈曲辺5cと、無給電素子6の屈曲辺6cとをレフレックス板2aの盤面に沿わせて配置し、前記屈曲辺5c,6c同士を開き角θをもってハ字状に向きを変えて配置している。また、レフレックス板2aは、給電素子5及び無給電素子6の後方に配置してある。また、レフレックス板2aの盤面と前記屈曲辺5c,6cとの間は電気的に絶縁している。
【0028】
なお、図2(a)では、給電素子5と無給電素子6とが開き角度θで開いているが、これらの素子が存在していることを明らかにするため、これらの素子を同一面で展開した状態で図示しており、これらの素子の寸法関係が実際のものとは異なって図示してある。
【0029】
図1及び図2では、給電素子5の立ち上がり辺5aと屈曲辺5cとによるアンテナ素子として実効な範囲(実効有効長)を太線で示しており、その実効有効長をL1に設定している。同様に、無給電素子6の立ち上がり辺6aと屈曲辺6cとによるアンテナ素子として実効な範囲(実効有効長)を太線で示しており、その実効有効長をL2に設定している。本実施形態1では、給電素子5の実効有効長L1をλ/4(λ;波長)或いはその近傍に設定している。理論上の実効有効長L1はλ/4(λ:波長)であるが、許容される製造公差などを考慮した場合、λ/4を中心として製作公差の範囲に変動するため、λ/4或いはその近傍として実効有効長L1を特定している。
【0030】
また、無給電素子6の実効有効長L2は、給電素子5の実効有効長L1より短く設定している、すなわちL2≦L1の関係に設定している。実効有効長L1,L2の関係をシミュレーションにより求めた結果では、開き角θが54°の場合、実効有効長L1×0.94=実効有効長L2(L2<L1)となった。このシミュレーションの結果、無給電素子6の実効有効長L2は給電素子5の実効有効長L1より短い、すなわち、給電素子5の屈曲辺5cと無給電素子6の屈曲辺6cとの開き角θとの関係でL2≦L1の関係に設定することが望ましいとの結論を得た。上記のように設定することで、給電素子5と無給電素子6とが電磁結合することにより、給電素子5に流れる電流に対する無給電素子6に流れる電流の位相遅れを同一面内に生じるというシミュレーションの結果を得ている。なお、前記位相遅れは、90°或いは90°に近似した遅れ量である。
【0031】
前記給電素子5と前記無給電素子6とが逆L型に屈曲してあるため、立ち上がり辺5a,6aの高さに対して横向きの長さが長くなり、レフレクタ板2aの法線方向での全体の高さを低姿勢に保持している。
【0032】
さらに、本実施形態1では、誘電体からなるサポータ7をレフレックス板2a上に立設し、そのサポータ7の先端に他のレフレックス板2bを一のレフレックス板2aと平行或いはほぼ平行に配列して支持させ、レフレックス板2bをアンテナ素子1の前方(図中右側)にアンテナ素子1及びレフレックス板2aと電気的に絶縁して対峙させている。
【0033】
アンテナ素子1から図2の1点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径をD1、前記他のレフレックス板2bの直径をD2とした場合に、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定する。この場合、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定する。
【0034】
前記構成による本実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの動作について説明する。アンテナ素子1を構成する給電素子5とレフレックス板2aとの間に給電点3から送信用電力を給電すると、給電素子5に電流が流れ、給電素子5と無給電素子6とが電磁結合することにより、無給電素子5に電流が流れる。この場合、無給電素子6は給電素子5に対して開き角度θをもつ位置に配置してあるため、給電素子5を流れる電流と無給電素子6を流れる電流との間に位相遅れが生じ、円偏波(軸比が1に近い楕円偏波を含む)が発生する。
【0035】
この場合、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定されているため、次の様に作用する。
【0036】
すなわち、給電素子5及び無給電素子6から構成されたアンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射されて、前方のレフレックス板2aへの利得が3〜6dB程度増加される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とをD1>1λ、0<D2<λ/2、前記間隔SをS≒λ/2の関係に設定しているため、前記利得増加した電磁波は、図2に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方に向けて放射し、空中伝搬する。
【0037】
アンテナ素子1から図2の2点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定する。この場合、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)に設定する。
【0038】
前記構成による本実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、次の様に作用する。すなわち、アンテナ素子1を構成する給電素子5とレフレックス板2aとの間に給電点3から送信用電力を給電すると、給電素子5に電流が流れ、給電素子5と無給電素子6とが電磁結合することにより、無給電素子5に電流が流れる。この場合、無給電素子6は給電素子5に対して開き角度θをもつ位置に配置してあるため、給電素子5を流れる電流と無給電素子6を流れる電流との間に位相遅れが生じ、円偏波(軸比が1に近い楕円偏波を含む)が発生する。
【0039】
この場合、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λの関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λに設定されているため、次の様に作用する。
【0040】
すなわち、給電素子5及び無給電素子6から構成されたアンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とがD1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定されているため、前記電磁波は、図2に1点鎖線で示す矢印方向、すなわち、アンテナ素子1の前方への放射が阻止される。そのため、前記電磁波は、図2に2点鎖線で示す矢印方向、すなわちレフレックス板2a,2bの板面に沿う方向に放射し、空中伝搬する。
【0041】
次に、本実施形態1において、前記給電素子5及び前記無給電素子6と前記レフレックス板2a,2bとの組み合わせにより、円偏波(楕円偏波を含む)が発生することを検証する。
【0042】
給電素子5に対して1本の無給電素子6を用いる例をシミュレーションにより求め、電界ベクトルの先端の軌跡を図8に示す。図8のシミュレーションでは、給電素子5と無給電素子6との開き角θを54°、給電素子5の実効有効長L1をλ/4(λ;使用周波数)に設定し、無給電素子6の実効有効長L2をL1×0.94に設定している。この場合、軸比は1.23(約1.8dB)である。
【0043】
図8から明らかなように、給電素子5と無給電素子6とを使って電磁波を発生させると、楕円偏波であることが明らかになった。このシミュレーションの結果からして、本発明の実施形態では、前記給電素子5及び前記無給電素子6と前記接地板5との組み合わせにより、円偏波が発生することが検証された。
【0044】
次に、図8に示したシミュレーションの結果に基づいて、本実施形態1のアンテナを構築して、その偏波特性を実測した。その実測結果を図7に示す。図7に示す偏波特性は、図8に示す電界ベクトルの先端の軌跡に対応するものであり、図7に示す実測の場合、電界ベクトルそのものではなく、送信アンテナのビームの先端を見ている。
【0045】
図7では、給電素子5と無給電素子6との開き角θを45°、給電素子5の実効有効長L1を約λ/4、使用周波数λを1.9GHzに設定し、無給電素子6の実効有効長L2をL1=L2(約λ/4)に設定している。この場合、軸比は約5dBである。
【0046】
図7において、符号T1で示す偏波特性は、送信アンテナの正面に対して25°の角度で実測したものであり、符号T2で示す偏波特性は、送信アンテナの正面に対して45°の角度で実測したものであり、符号T3で示す偏波特性は、送信アンテナの正面に対して65°の角度で実測したものである。
【0047】
図7に示す偏波特性からして、本実施形態1に係るアンテナは円偏波アンテナとして機能していることが検証できた。
【0048】
さらに、本実施形態1に示すアンテナ素子1(給電素子5及び無給電素子6)を用い、かつ、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)、2つのレフレックス板2a,2b間の間隔Sを、S≒1λの関係に設定したレフレックス型円偏波アンテナが、アンテナとして機能するか否かをシミュレーションした結果を図10〜図11に示している。
【0049】
前記シミュレーションは、レフレックス板2aの直径D1の寸法を、製造公差を考慮して約1λ付近に設定し、一のレフレックス板2aに対峙する他のレフレックス板2bの直径D2を、製造公差を考慮して約λ/2付近に設定し、対峙する2つのレフレックス板2a,2b間の間隔SをS≒λ/2にそれぞれ設定して実施した。この寸法関係は、上述した、D1>1λ、0<D2<λ/2、S≒λ/2の関係を満たすものである。
【0050】
図10(a)は、本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナの利得を示すものであり、図10(b)は、後方のレフレックス板2aのみを設けた円偏波アンテナの利得を示すものである。図において、横軸に周波数をとり、縦軸に利得をとっている。
【0051】
図10(b)に示す円偏波アンテナは最大利得が+6dB程度であるのに対して、図10(a)に示す本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナは、後方のレフレックス板2aに対してアンテナ素子1の前方にレフレックス板2bを配置したことにより、図10(b)のアンテナに対して約+3dBの利得が増加していることが分かる。
【0052】
図11は、本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナにおける周波数と反射係数との関係を示している。図の横軸に周波数をとり、縦軸の単位をdBとしている。図11に示すアンテナ入力端の反射係数でマイナスの数値が大きい周波数(約2.375GHz付近)のところでマッチングが取れていることが分かる。図11から、本発明の実施形態1に係るレフレックス型円偏波アンテナは円偏波アンテナとして機能していることが分かる。
【0053】
図12は、放射方向に対してアンテナを左右に振った場合(ビーム内)の軸比を示している。図の横軸に放射方向にアンテナを左右に振る際の角度をとり、縦軸に軸比を取っている。図12からf=2.15GHzでの軸比は近似的に“1”であり、円偏波に近い楕円偏波が発生していることが分かる。
【0054】
図10〜図12から明らかなように、レフレックス板2a,2b間にアンテナ素子1を介装した本実施形態1では、アンテナとして機能していることが検証できた。
【0055】
なお、このシミュレーションを別の例、すなわち、本実施形態2に示すアンテナ素子1(給電素子5及び無給電素子6)を用い、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定し、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)に設定したレフレックス型円偏波アンテナについて行っても、図10〜図12と同様の検証結果を得た。
【0056】
以上説明したように本実施形態1によれば、給電素子と無給電素子とが電磁結合することにより、前記給電素子に流れる電流に対する前記無給電素子に流れる電流の位相遅れが同一面内に生じ、円偏波或いはこれに近似した偏波を発生させることができ、円偏波アンテナとして用いることができる。さらに、前記一のレフレックス板2aの直径D1と前記他のレフレックス板2bの直径D2と波長λとの関係、レフレックス板相互間の間隔を規定することにより、アンテナの指向性を切り替えることができる。しかも、そのアンテナの指向性を切り替えるという目的を、アンテナ素子1とレフレックス板2a,2bとによる簡単な構造で実現することができるものである。
【0057】
さらに本実施形態1によれば、アンテナ素子が給電素子と無給電素子とを電磁結合させる構成であるため、給電構造を単純化することができ、しかも電流に位相差を持たせる位相器も不要であるため、全体構造を簡素化することができる。
【0058】
また、前記給電素子と前記無給電素子とを折り曲げて低姿勢に保持することにより、アンテナの高さ方向での寸法を極力低くすることができる。さらに、各素子の一部を立ち上げることにより、横方向に張り出す素子の長さを短縮することができ、横方法及び縦方向での寸法を可及的に小さくすることができる。
【0059】
また、アンテナ素子からの電磁波を対峙しているレフレックス板の相互間で反射を繰り返すことにより、利得を増加させることができ、送信特性及び受信特性を改善できる。
【0060】
以上の説明では、給電素子5に対して1本の無給電素子6を用いた例を説明したが、無給電素子6の本数は1本に限られるものではない。無給電素子6の本数を増やした例を図3及び図4に基づいて説明する。その構成は、図1及び図2に示す構成と同様である。相違点のみを説明する。図4(a)は図4(b)の断面図であるが、給電素子5と無給電素子6,8とを平面状に展開して図示しているため、実際の寸法と相違している。また、図4(b)では、無給電素子6と8とはほぼ同一の高さに配置しているが、図4(a)では、無給電素子6と8との存在を示すために、無給電素子6に対して無給電素子8を高さ方向に位置をずらせて図示しており、実際の位置関係と相違している。
【0061】
図3及び図4に示す例では、前記給電素子5と前記無給電素子6との間に他の無給電素子8を介在させて3素子とし、前記誘電素子1と前記無給電素子8との間を電磁結合させ、さらに前記無給電素子8と前記無給電素子6との間を電磁結合させることにより、前記給電素子5に流れる電流に対する前記無給電素子6,8にそれぞれ流れる電流の位相遅れを同一面内に生じさせている。
【0062】
図4(a)に示すように、無給電素子8は、無給電素子6と同様に立ち上がり辺8aと屈曲辺8cとを有する逆L型構造であって、立ち上がり辺8aの一端が一のレフレックス板2aに電気的に接続している。また、無給電素子6と無給電素子8はサポータ7aで支持してその相互間を開き角度θ1をもってハ字型に開いている。無給電素子6,8の屈曲辺6c,8cはほぼ同一の高さに保持してある。なお、図4(a)では、無給電素子6,8の存在を明らかにするために、無給電素子6,8の屈曲辺6c,8cの高さ位置をずらせて図示している。また、図4(b)では、無給電素子6,8間の開き角度θ1、無給電素子8と給電素子5間の開き角度θ2でそれぞれで開いているが、これらの素子が存在していることを明らかにするため、これらの素子を同一面で展開した状態で図示しており、これらの素子の寸法関係が実際のものとは異なって図示してある。
【0063】
3素子による電界ベクトルの先端の軌跡をシミュレーションした結果を図9に示す。シミュレーションでは、無給電素子6と無給電素子8との開き角θ1を5〜74°、給電素子5と無給電素子8との開き角θ2を約90°にそれぞれ設定している。さらに、給電素子5と無給電素子6との実効有効長L1,L2を約λ/4(λ:使用周波数)、無給電素子8の実効有効長L3をL1(L2)×0.9にそれぞれ設定している。この場合、軸比は約2.1dBである。追加した無給電素子8は、誘電体からなるサポータ7aで支持し、その一端8b及び屈曲部8a,8cをレフレックス板2a及び給電素子5並びに無給電素子6に対して電気的に絶縁させている。また、追加した無給電素子8は、無給電素子6と同様に立ち上がり辺8aと、レフレックス板2aの盤面に沿う屈曲辺8cとを有しており、追加した無給電素子8の実効有効長L3は太線で示す長さ(立ち上がり辺8a及び屈曲辺8c)としている。また、追加した無給電素子8は、無給電素子6及び給電素子5と電気的に絶縁している。
【0064】
図9から明らかなように、給電素子5と無給電素子6及び8とを使って電磁波を発生させると、楕円偏波であることが明らかになった。このシミュレーションの結果からして、本発明の実施形態では、前記給電素子5及び前記無給電素子6,8と前記レフレックス板2aとの組み合わせにより円偏波が発生することが検証された。
【0065】
また、図3及び図4のように無給電素子を増やし、かつレフレックス板2a,2b間にアンテナ素子1を介装したレフレックス型円偏波アンテナについて行っても、図10〜図11と同様のシミュレーションを行った結果、図10〜図11と同様の特性を示すことを検証した。
【0066】
図9から明らかなように、給電素子と無給電素子との開き角及び長さに加えて、無給電素子の本数を変化させることにより、前記位相遅れを調整できるものである。
【0067】
なお、図3及び図4においては、給電素子5と2本の無給電素子6,8との3素子としたが、これに限られるものではない。シミュレーションの結果、給電素子5と無給電素子6との間に介在させる無給電素子8は、1以上の本数であってもよいことが分かっている。なお、素子同士を電磁結合した際のロス等を考慮すると、介在させる無給電素子の本数は1本であることが望ましいものである。
【0068】
(実施形態2)
本実施形態2に係る無給電無指向性アンテナは図5及び図6に示すようにアンテナ素子1をダイポール給電素子9と無給電素子10との組み合わせにより構成し、前記ダイポール給電素子9の給受電部3に前記無給電素子10を電気的に絶縁して交差させ、前記ダイポール給電素子9に前記無給電素子10を電磁結合させたことを特徴とするものである。なお、送信用のアンテナとして用いる場合を説明するため、給受電部3を給電点3として表記する。なお、受信用アンテナとして用いてもよく、その場合、給電点3は受電点として機能する。
【0069】
なお、図5では、ダイポール給電素子9と無給電素子10とが開き角度θで開いているが、これらの素子が存在していることを明らかにするため、これらの素子を同一面で展開した状態で図示しており、これらの素子の寸法関係が実際のものとは異なって図示してある。また、図6(b)に示すように、ダイポール給電素子9と無給電素子10とは交差しているが、図6(a)では、ダイポール給電素子9と給電部3との関係を示すために、ダイポール給電素子9を直線状に図示し、無給電素子10を黒丸として図示しており、実際の構成と相違している。
【0070】
具体的に説明すると、ダイポール給電素子9は、使用波長(λ)の1/2波長(λ)の長さをもつ2本の給電素子9a,9bをその突き合わせ端間を電気的に絶縁して平面上で直線状に配置し、これらの給電素子9a,9bに給電点3を電気的に接続している。図5及び図6では、給電点3として同軸ケーブルを用い、その同軸ケーブルの中心導体を一方の給電素子9a、その外皮導体を他方の給電素子9bにそれぞれ電気的に接続している。なお、給電点3として同軸ケーブルを用いたが、それ以外の給電構造を用いてもよいものである。本発明の実施形態で注目すべき点は、給電素子9a,9bと給電点3との間に位相器を設けていないことである。
【0071】
前記無給電素子10には、直線状の導体を用いており、前記無給電素子10は、前記ダイポール給電素子9の給電部3に電気的に絶縁して交差させてある。その交差構造を具体的に説明すると、前記ダイポール給電素子9は、それを構成する2本の給電素子9a,9bの対峙する端部間が電気的に絶縁されているため、2本の給電素子9a,9b間にはスペースSが存在する。前記スペースSを利用して、前記無給電素子10をダイポール給電素子9のスペースSに通して前記ダイポール給電素子9と交差させている。前記無給電素子10を前記ダイポール給電素子9のスペースS内に通す際に、前記無給電素子10を前記ダイポール給電素子9に対して電気的に絶縁している。
【0072】
そして、前記ダイポール給電素子9に給電点3から給電を行うことにより、前記給電素子9に前記無給電素子10を電磁結合させている。
【0073】
また、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比と、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θとに基づいて、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整している。シミュレーションした結果では、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを40〜60度の範囲に設定することが最も望ましいものであり、この範囲を逸脱した場合でも、実用目的によっては特に問題がないことを確かめている。また、前記ダイポール給電素子9の長さをL4、前記無給電素子10の長さをL5とした場合、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比は、95%程度に設定することが最も望ましいものであり、この範囲を逸脱しても、実用目的によっては特に問題がないことを確かめている。また、前記ダイポール給電素子9の長さL4と前記無給電素子10の長さL5との関係は、L5<L4の関係に設定する。
【0074】
本発明の実施形態において、給電点3からダイポール給電素子9に給電を行うと、ダイポール給電素子9と無給電素子10とが電磁結合し、ダイポール給電素子9に流れる電流によって発生する電界が、ダイポール給電素子9の給電素子9a→無給電素子10→ダイポール給電素子9の給電素子9b→無給電素子10の順に回転するため、X−Y面上で無指向性の放射パターンを示すこととなる。
【0075】
次に、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL2の比と、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θとに基づいて、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整することについてシミュレーションした結果について説明する。なお、図13〜図15では、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を変化させた場合についてシミュレーションしているが、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを40〜60の範囲内に設定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を変化させてシミュレーションした場合でも、同様の傾向を示していることを確かめている。
【0076】
図13は、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を0.92に設定してシミュレーションした場合での放射パターンを示している。
【0077】
図13から明らかなように、ダイポール給電素子9と無給電素子10とを配置した平面、すなわちX−Y面上で略角丸四角形状の放射パターンとなっており、X−Y面上で無指向性であることが分かる。
【0078】
図14は、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を0.94に設定してシミュレーションした場合での放射パターンを示している。
【0079】
図14から明らかなように、ダイポール給電素子9と無給電素子10とを配置した平面、すなわちX−Y面上で略角丸四角形状状の放射パターンとなっており、X−Y面上で無指向性であることが分かる。図14に示す放射パターンは図13に示す放射パターンと同様の傾向を示している。
【0080】
図15は、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θを54°に固定して、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比を0.96に設定してシミュレーションした場合での放射パターンを示している。
【0081】
図15から明らかなように、ダイポール給電素子5と無給電素子6とを配置した平面、すなわちX−Y面上で略角丸四角形状状の放射パターンとなっており、X−Y面上で無指向性であることが分かる。図15に示す放射パターンは図13に示す放射パターンと同様の傾向を示している。
【0082】
以上に示したシミュレーションの結果から明らかなように、本実施形態2に係るアンテナは、アンテナとして作動することが明らかであり、前記ダイポール給電素子9の長さL4に対する前記無給電素子10の長さL5の比と、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とのなす角度θとに基づいて、前記ダイポール給電素子9と前記無給電素子10とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整することが可能であることが分かった。
【0083】
さらに、本実施形態2では、誘電体からなるサポータ7をレフレックス板2a上に立設し、そのサポータ7の先端にレフレックス板2bを一のレフレックス板2aと平行或いはほぼ平行に配列して支持させ、レフレックス板2bをアンテナ素子1の前方にアンテナ素子1及びレフレックス板2aと電気的に絶縁して対峙させている。
【0084】
アンテナ素子1から図6の1点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定している。
【0085】
前記構成による本実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナの動作について説明する。アンテナ素子1を構成するダイポール給電素子9と一のレフレックス板2aとの間に給電点3から送信用電力を給電すると、ダイポール給電素子9に電流が流れ、ダイポール給電素子9と無給電素子10とが電磁結合することにより、ダイポール給電素子9に流れる電流によって発生する電界が、ダイポール給電素子9の給電素子9a→無給電素子10→ダイポール給電素子9の給電素子9b→無給電素子10の順に回転するため、X−Y面上で無指向性の放射パターンを示すこととなる。この場合、無給電素子10はダイポール給電素子9に対して開き角度θをもつ位置に配置してあるため、ダイポール給電素子9を流れる電流と無給電素子10を流れる電流との間に位相遅れが生じ、円偏波(軸比が1に近い楕円偏波を含む)が発生する。
【0086】
この場合、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定してあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒λ/2(λ:波長)に設定しているため、次の様に作用する。
【0087】
すなわち、ダイポール給電素子9及び無給電素子10から構成されたアンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射されて、前方のレフレックス板2b側への利得が3〜6dB程度増加される。そして、前記利得増加した電磁波は、図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわちアンテナ素子1の前方に向けて放射し、空中伝搬する。
【0088】
本実施形態2では、アンテナ素子1から図6の2点鎖線で示す方向に電磁波を放射する場合には、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定する。この場合、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記他のレフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λ(λ:波長)に設定する。
【0089】
前記構成による本実施形態2に係るレフレックス型円偏波アンテナでは、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とは、D1=D2>1λの関係にあり、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sは、S≒1λに設定されているため、次の様に作用する。
【0090】
すなわち、アンテナ素子1は電磁波をレフレックス板2bに向けて放射する。アンテナ素子1から放射された電磁波は、アンテナ素子1に対峙するレフレックス板2bでレフレックス板2a側に反射される。前記反射電磁波は、アンテナ素子1の後方に位置するレフレックス板2aで再び前方のレフレックス板2b側に反射され、対峙するレフレックス板2aと2bとの間で反射される。そして、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とがD1=D2>1λ(λ:波長)、対峙するレフレックス板2a,2bの間隔SをS≒1λの関係に設定されているため、前記電磁波は、図6に1点鎖線で示す矢印方向、すなわちアンテナ素子1の前方への放射が阻止される。そのため、前記利得増加した電磁波は、図6に2点鎖線で示す矢印方向、すなわちレフレックス板2a,2bの板面に沿う方向に放射し、空中伝搬する。
【0091】
さらに、本実施形態2において、実施形態1と同様に、レフレックス板2a,2b間にアンテナ素子1を介装し、前記一のレフレックス板2aの直径D1、前記他のレフレックス板2bの直径D2とを、D1>1λ、D2>1λの関係、前記一のレフレックス板2aと、前記アンテナ素子1を挟んで対峙する前記レフレックス板2bとの間隔Sを、S≒1λに設定したレフレックス型円偏波アンテナについて、図11〜図12と同様のシミュレーションを行った結果、図11〜図12と同様の特性を示すことを検証した。
【0092】
以上のように本実施形態2によれば、ダイポール給電素子と無給電素子との組み合わせにより、構造を簡素化し、かつ広帯域の特性を確保できるものである。さらに、前記一のレフレックス板2aの直径D1と前記他のレフレックス板2bの直径D2と、波長λとの関係を規定することにより、アンテナの指向性を切り替えることができる。しかも、そのアンテナの指向性を切り替えるという目的を、アンテナ素子1とレフレックス板2a,2bとによる簡単な構造で実現することができるものである。
【0093】
さらに、本実施形態2によれば、ダイポール給電素子の長さに対する無給電素子の長さの比と、ダイポール給電素子と無給電素子とのなす角度とに基づいて、前記ダイポール給電素子と前記無給電素子とにそれぞれ流れる電流の位相差を調整することができるものである。さらに、ダイポール給電素子と無給電素子とを平面上に配置しているため、その平面に対する高さ方向の寸法を極めて小さくすることができる。
【0094】
さらに、平面に対する高さ方向での寸法を極めて小さくすることができるため、本発明の実施形態に係る複数のアンテナを平面に対する高さ方向に重ねたとしても、その高さ方向の寸法を必要以上に拡大することはないばかりでなく、その高さ方向に複数のアンテナを積み重ねることにより、その高さ方向での指向性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、簡素化した構造でもってアンテナの指向性を容易に変更可能であり、円偏波或いはこれに近似する楕円偏波を発生させるレフレックス型円偏波アンテナを提供することに貢献できる。
【符号の説明】
【0096】
1 アンテナ素子
2a,2b レフレックス板
3 給受電部
5 給電素子
6,8 無給電素子
9 ダイポール給電素子
10 無給電素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円偏波を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、
給電素子と無給電素子とを組み合わせたアンテナ素子と、2枚のレフレックス板とを有し、
前記アンテナ素子を、前記一のレフレックス板と離間して対峙する他のレフレックス板との間に配置し、
送受信用電力を給電・受電する給受電部を、前記一のレフレックス板側から前記アンテナ素子に接続し、
前記他のレフレックス板を前記アンテナ素子に対して電気的に絶縁したことを特徴とするレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項2】
前記一のレフレックス板の直径をD1、前記他のレフレックス板の直径をD2とした場合に、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定したことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項3】
前記一のレフレックス板の直径をD1、前記他のレフレックス板の直径をD2とした場合に、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定したことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項4】
前記一のレフレックス板と、前記他のレフレックス板との間隔をSとした場合、S≒λ/2(λ:波長)に設定したことを特徴とする請求項2に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項5】
前記一のレフレックス板と、前記他のレフレックス板との間隔をSとした場合、S≒1λ(λ:波長)に設定したことを特徴とする請求項3に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項6】
前記アンテナ素子の実効有効長を、λ/4(λ:波長)或いはその近傍に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項7】
前記アンテナ素子の実効有効長を、λ/2(λ:波長)或いはその近傍に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項8】
前記アンテナ素子を、L字型給電素子と、前記L字型給電素子に対して電磁結合する無給電素子とにより構成し、
前記一のレフレックス板側から前記L字型給電素子に前記給受電部を接続し、
前記無給電素子を前記一のレフレックス板に電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項9】
前記アンテナ素子を、ダイポール給電素子と無給電素子との組み合わせにより構成し、
前記一のレフレックス板側から前記ダイポール給電素子に前記給受電部を接続し、
前記ダイポール給電素子の給受電部に前記無給電素子を電気的に絶縁して交差させ、
前記ダイポール給電素子に前記無給電素子を電磁結合させたことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項1】
円偏波を送受信するレフレックス型円偏波アンテナであって、
給電素子と無給電素子とを組み合わせたアンテナ素子と、2枚のレフレックス板とを有し、
前記アンテナ素子を、前記一のレフレックス板と離間して対峙する他のレフレックス板との間に配置し、
送受信用電力を給電・受電する給受電部を、前記一のレフレックス板側から前記アンテナ素子に接続し、
前記他のレフレックス板を前記アンテナ素子に対して電気的に絶縁したことを特徴とするレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項2】
前記一のレフレックス板の直径をD1、前記他のレフレックス板の直径をD2とした場合に、D1>1λ、0<D2<λ/2(λ:波長)の関係に設定したことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項3】
前記一のレフレックス板の直径をD1、前記他のレフレックス板の直径をD2とした場合に、D1=D2>1λ(λ:波長)の関係に設定したことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項4】
前記一のレフレックス板と、前記他のレフレックス板との間隔をSとした場合、S≒λ/2(λ:波長)に設定したことを特徴とする請求項2に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項5】
前記一のレフレックス板と、前記他のレフレックス板との間隔をSとした場合、S≒1λ(λ:波長)に設定したことを特徴とする請求項3に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項6】
前記アンテナ素子の実効有効長を、λ/4(λ:波長)或いはその近傍に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項7】
前記アンテナ素子の実効有効長を、λ/2(λ:波長)或いはその近傍に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項8】
前記アンテナ素子を、L字型給電素子と、前記L字型給電素子に対して電磁結合する無給電素子とにより構成し、
前記一のレフレックス板側から前記L字型給電素子に前記給受電部を接続し、
前記無給電素子を前記一のレフレックス板に電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【請求項9】
前記アンテナ素子を、ダイポール給電素子と無給電素子との組み合わせにより構成し、
前記一のレフレックス板側から前記ダイポール給電素子に前記給受電部を接続し、
前記ダイポール給電素子の給受電部に前記無給電素子を電気的に絶縁して交差させ、
前記ダイポール給電素子に前記無給電素子を電磁結合させたことを特徴とする請求項1に記載のレフレックス型円偏波アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−213157(P2010−213157A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59226(P2009−59226)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(801000027)学校法人明治大学 (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(801000027)学校法人明治大学 (161)
【Fターム(参考)】
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