説明

レンズシート用フィルム

【課題】熱可塑性樹脂フィルム上に設けられた多数のレンズ単位からなるレンズ層との接着性を向上させると同時に、各種環境下、特に、高温高湿下での接着性も向上した耐久性に優れたレンズシート用フィルムを提供すること。
【解決手段】レンズ層の片面に隣接し設けられてレンズシートを構成するレンズシート用フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルムからなるとともに、該フィルムの少なくともレンズ層側の片面に、アミドエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合の少なくとも1種を含有してなる積層膜が設けられてなることを特徴とするレンズシート用フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイなどに用いられるレンズシートを形成する場合の基材フィルムとなるレンズシート用フィルムに関する。
【0002】
更に詳しくは、積層膜を設けた熱可塑性樹脂フィルムを用いたレンズシート用フィルムに関し、特にさまざまな環境下においても、耐久性に優れているという特徴を有するレンズシート用フィルムに関するものである。
【0003】
なお、本発明において、レンズシートとは、一方の面に多数のレンズ単位が平行にレンズ面を有するシート状の基本構造を有するものをいい、例えば、特開平8−286005号公報等に記載されている如きものをいう。
【背景技術】
【0004】
近年のノート型パソコンのカラー化、小型軽量化に代表されるように、携帯用電気機器の小型軽量化、カラー化の普及は著しいものがある。特に、カラー液晶ディスプレイを用いた商品は、カラーノート型パソコンに限らず、携帯用カラー液晶テレビ、ビデオ一体型カラー液晶テレビ、ハンディラベルプリンター、携帯用通信機器(モバイルギアーなど)など、多種多様なものがある。
【0005】
このような機器においては、携帯用とするためバッテリーが用いられ、その稼動時間には限りがある。特に、液晶ディスプレイ、中でも、カラー液晶ディスプレイの消費電力は、バッテリーによる稼動時間を大きく左右するものであり、この消費電力を低減することにより、上記した携帯用電気機器の実用的な商品価値を高めることができる。同時に、省エネルギー化の達成は、地球環境的にも有意義なことである。
【0006】
消費電力を低減する方法としては、液晶ディスプレイに用いられるバックライトの消費電力を抑制することが最も簡単な方法である。しかし、この場合、バックライトの輝度が低下するので、液晶ディスプレイの輝度も低下し、表示機能が著しく低下することになる。
【0007】
この問題を解決するため、バックライトの光学的効率を改善する方法が提案されている。例えば、片面に、プリズム列のレンズ単位を多数形成したレンズシート、あるいはレンチキュラー列のレンズ単位を多数形成したシートなどのレンズシートを、バックライトの導光体の出射光面側に設けたバックライトなどが提案されている。
【0008】
このようなレンズシートは、バックライトからの出射光を屈折作用によってディスプレイ正面方向に向けることによって、正面輝度を向上させるものである。通常、レンズシートは、その成形性の良さからポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などの透明性に優れたプラスチック樹脂を基材とし、少なくとも片面に、レンズ単位を多数形成した構成がとられている。
【0009】
一方、最近の電気機器は高機能化となる反面、機器本体への負担が極端に大きくなっている。特に、熱的な負担は想像を超えるものであり、上述した液晶ディスプレイに関しても例外ではなく、バックライトの光源による発熱の影響は大きい。例えば、該影響として、輝度向上のために設けたレンズシートのレンズ部分の剥離が発生し、製品価値がなくなるなどの問題が発生することがある。
【0010】
更に、近年、上記電気機器は広範囲な用途展開が図られているため、多種多様な環境下、例えば、低温下、高温下、低湿下、高湿下、あるいはこれらの組み合わせた環境下などで使用されるため、上述した現象が加速されることが十分にあり得る。
【0011】
上述した現象に対する方法として、基材となる透明樹脂フィルムに各種の易接着処理を施したものを用いることが検討されている。例えば、表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理などを行う表面活性化法、酸、アルカリ、アミン水溶液などの薬剤による表面エッチング法、あるいは、フィルム表面に接着性を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などの各種樹脂をプライマー層として設ける方法などである。
【0012】
特に、プライマー層を設ける方法は、種々の被覆物に対応できる接着性物質を選択してコーティングすることが可能であることから、水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などを接着性物質としてポリエステルフィルムに積層したもの(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5など)等が提案されている。
【特許文献1】特開昭55−15825号公報
【特許文献2】特開昭58−78761号公報
【特許文献3】特開昭60−248232号公報
【特許文献4】特開昭62−204940号公報
【特許文献5】特開平1−108037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、前述した従来の技術には次のような問題点がある。
【0014】
接着性を付与するために、コロナ放電処理などの表面活性化法を用いた場合には、一時的な接着性向上効果は得られるものの、永続的なものではなく、かつ、その向上効果も低レベルである。
【0015】
これに対し、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、あるいはポリエステル樹脂などの接着性樹脂をプライマー層として設けた場合には、接着性が向上するものの、上記した各種環境下での保存や使用により、著しい接着性低下が認められる。特に、接着力には不利な条件、例えば、高温高湿下で接着性が不足するといった事態が起こることが多い。
【0016】
本発明は、これらの欠点を解消せしめ、熱可塑性樹脂フィルム上に設けられた多数のレンズ単位からなるレンズ層との接着性を向上させると同時に、各種環境下、特に、高温高湿下での接着性も向上した耐久性に優れたレンズシート用フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成する本発明のレンズシート用フィルムは、レンズ層の片面に隣接し設けられてレンズシートを構成するレンズシート用フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルムからなるとともに、該フィルムの少なくともレンズ層側の片面に、アミドエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合の少なくとも1種を含有してなる積層膜が設けられてなることを特徴とするレンズシート用フィルムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のレンズシート用フィルムは、特定の結合を有する積層膜を設けた積層ポリエステルフィルムを用いることにより、レンズシートに用いた場合、レンズ層との接着性に優れると同時に、高温高湿下で処理した後も接着性に優れ、さまざまな環境下においても、耐久性に優れた効果を発現するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について更に詳細に説明をする。
【0020】
本発明でいう熱可塑性樹脂フィルムとは、熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのアクリル系フィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルムなどを用いることができる。
【0021】
これらは、ホモポリマーでも共重合ポリマーであってもよい。これらのうち、機械的強度、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル系フィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、該フィルム上に設けられる積層膜との接着性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、汎用性の点で、特にポリエステルフィルムが好ましい。
【0022】
本発明のレンズシート用フィルムに係るポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを用いることができる。これら構成成分は、1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルを用いることが特に好ましい。また、基材に熱が作用する用途、特に、光源などの発熱体に近い部位で使用される用途や、レンズ層形成時に該レンズを構成する樹脂の収縮を伴う場合においては、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。
【0023】
また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
【0024】
更に、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
【0025】
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo-クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
【0026】
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0027】
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、本発明のレンズシート用フィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常1〜500μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは30〜210μmである。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせて用いることもできる。
【0028】
本発明において、積層膜とは、基材となる熱可塑性樹脂フィルムの表面に積層構造的に形成されて存在する膜状のものを言う。該膜自体は、単一層であっても複数層からなるものであってもよい。
【0029】
本発明に係る積層膜においては、該積層膜が、アミドエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合の少なくとも1種を含有してなることが必要である。
【0030】
該結合を積層膜中に含有させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、該結合を有する化合物からなる積層膜を設けたり、架橋性官能基を有する樹脂と架橋剤の組み合わせ、あるいは架橋性官能基を有する樹脂同士の組み合わせで、架橋反応によって該結合を有する積層膜を設けたりする方法などを用いることができる。特に、架橋性官能基を有する樹脂と架橋剤を組み合わせ、架橋反応によって該結合を有する積層膜を設ける方法は、架橋剤使用による架橋密度向上により、積層膜の強度、耐水性の点で優れ、かつ、接着性も良好になるため、より好適に用いることができるものである。
【0031】
各結合を得るための官能基の組み合わせとしては、アミドエステル結合を得るため、カルボン酸基とオキサゾリン基の反応などを用いることができ、ウレタン結合を得るため、水酸基とイソシアネート基の反応などを用いることができ、アミド結合を得るため、カルボン酸基とイソシアネート基の反応、あるいはカルボン酸とイミノ基の反応などを用いることができ、ウレア結合を得るため、アミノ基とイソシアネート基の反応などを用いることができるが、これらの反応に限定されるものではない。
【0032】
上述したカルボン酸基、水酸基、アミノ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、イミノ基などの架橋性官能基を、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス系樹脂などの樹脂に導入することにより用いることができるが、その導入方法としては、該架橋性官能基を有するモノマーを上述した樹脂に共重合する方法を好適に用いることができる。更に、本発明においては、上述した樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0033】
中でも、基材フィルムとの接着性およびレンズ層との接着性の点で、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂を用いることが好ましく、異なる2種の樹脂、例えば、アクリル樹脂とポリエステル樹脂、アクリル樹脂とウレタン樹脂、あるいはポリエステル樹脂とウレタン樹脂を組み合わせて用いることは、両者の特性が発現し、接着性が向上するなど更に好ましい。
【0034】
本発明のレンズシート用フィルムにおいて、積層膜の構成成分として用いられるアクリル樹脂は、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、イミノ基などの架橋性官能基を該アクリル樹脂の共重合モノマー中に含有していればよい。
【0035】
該アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。更に、これらは他種のモノマーと併用することができる。
【0036】
他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。
【0037】
また、本発明において用いることができるアクリル樹脂としては、変性アクリル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども可能である。
【0038】
本発明において用いられるアクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好ましくは0〜90℃、より好ましくは10〜80℃である。Tgが低いアクリル樹脂を用いる場合は高温高湿下での接着性が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合は延伸時に亀裂を生じることがあり好ましくない。また、該アクリル樹脂の分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着性の点で望ましい。
【0039】
本発明において用いられる好ましいアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。
【0040】
本発明に係る積層膜を設けたポリエステルフィルムを製造するに際しては、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに水系樹脂塗液を塗布し、延伸、熱処理により結晶配向を完了させる方法によることが、高温での熱処理が可能であることや、より均一で薄膜の積層膜を得ることができるので特に好ましい。上記方法によって積層膜を形成する場合には、アクリル樹脂は水に溶解、乳化、あるいは懸濁し得る水系のものが環境汚染や防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作成することができる。
【0041】
本発明のレンズシート用フィルムにおいて、積層膜の構成成分として用いられるポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、ジカルボン酸とジオールから重縮合して得られるものであり、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、イミノ基などの架橋性官能基を該ポリエステル樹脂の共重合成分として含有していればよい。
【0042】
該ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度や耐熱性の点で、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、最も好ましくは40モル%以上のものを用いるのがよい。脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0043】
ポリエステル樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0044】
また、ポリエステル樹脂を水系樹脂とした塗液として用いる場合、ポリエステル樹脂の接着性を向上させるため、あるいはポリエステル樹脂の水溶性化を容易にするため、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合することが好ましい。
【0045】
カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
スルホン酸塩基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
また、本発明において、用いることができるポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル共重合体、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども可能である。
【0048】
好ましいポリエステル樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる共重合体などである。
【0049】
本発明のレンズシート用フィルムに係る積層膜に用いられるポリエステル樹脂は、以下の製造法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステル樹脂について説明すると、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸とエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとをエステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法などにより製造することができる。
【0050】
この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることができる。
【0051】
また、カルボン酸を末端および/または側鎖に多く有するポリエステル樹脂を得る方法としては、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することができるが、むろんこれら以外の方法であってもよい。
【0052】
また、本発明に係る積層膜に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は、特に限定されないが、接着性の点で0.3dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.35dl/g以上、最も好ましくは0.4dl/g以上であることである。水系ポリエステル樹脂のガラス転移点(以後、「Tg」と略称する)は、0〜90℃であることが好ましく、より好ましくは10〜80℃である。Tgが0℃未満では耐湿接着性が劣り、逆に90℃を越える場合、樹脂の造膜性に劣るようになるので好ましくない。また、該水系ポリエステル樹脂の酸価は好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上が接着性、特に耐湿接着性の点で好ましく用いられる。
【0053】
本発明に係る積層膜においては、特に、樹脂として、ガラス転移点(以後、「Tg」と略称する)の異なる2種類のポリエステル樹脂からなり、かつ、Tgの高いポリエステル樹脂のTgが、60℃以上、110℃以下であり、Tgの低いポリエステル樹脂のTgが、60℃未満とすることにより、極めて良好なレンズ層との接着性を得ることができることを見出したものである。
【0054】
このとき、用いられるポリエステル樹脂は、上記したTgを満足していれば、異なる2種類のポリエステル樹脂を構成する上述したジカルボン酸成分やジオール成分などの共重合成分は、同じものを用いることができる。
【0055】
本発明者らの知見によれば、高温高湿下での接着性の点で、Tgの高いポリエステル樹脂のTgは、65℃以上、100℃以下とすることが好ましく、より好ましくは70℃以上、90℃以下である。また、Tgの低いポリエステル樹脂のTgは、常態下での接着性や耐ブロッキング性の点で、−10℃以上、50℃以下とすることが好ましく、より好ましくは0℃以上、40℃以下である。
【0056】
特に、本発明においては、Tgの低いポリエステル樹脂のジオール成分として、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールが共重合されていることが好ましく、特に、ネオペンチルグリコールが共重合されていることが好ましい。また、ジカルボン酸成分として、セバチン酸、アジピン酸、アゼライン酸が共重合されていることが接着性の点で好ましい。
【0057】
ネオペンチルグリコールの共重合比は、ジオール成分中、35〜90モル%が好ましく、より好ましくは40〜70モル%である。
【0058】
また、ポリエチレングリコールの共重合は、ポリエステル樹脂を水溶性化するのに有効であり、中でも、分子量が600〜20000のものが好ましく、より好ましくは1000〜6000であり、その共重合比は、ジオール成分中、0.2〜10モル%が好ましく、より好ましくは、0.4〜5モル%である。更に、上述の共重合比はポリエチレングリコールの分子量によってその共重合比が同じでも大きく変わるため、ポリエチレングリコールの共重合量は、ポリエステル樹脂中の重量%に換算して、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは2〜15重量%である。
【0059】
本発明のレンズシート用フィルムにおいて、積層膜の構成成分として用いられるウレタン樹脂は、アニオン性基を有する水溶性あるいは水分散性のウレタン樹脂であれば特に限定されるものではなく、主要構成成分としては、ポリオール、ポリイソシアネートを共重合して得られるものである。該ウレタン樹脂は、ウレタン結合を有するものであるが、本発明においては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、イミノ基などの架橋性官能基を該ウレタン樹脂の共重合モノマー中に含有させることにより、更に、接着性が向上するので好ましい。
【0060】
該ウレタン樹脂としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、または硫酸半エステル塩基により水への親和性が高められたものなどを用いることができる。カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、または硫酸半エステル塩基などの含有量は、0.5〜15重量%が好ましい。
【0061】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いることができる。
【0062】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。
【0063】
ここで、ウレタン樹脂の主要な構成成分は、上記ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物の他に、鎖長延長剤、架橋剤などを含んでいてもよい。
【0064】
鎖延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
【0065】
アニオン性基を有するウレタン樹脂は、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤などに、アニオン性基を有する化合物を用いる方法、生成したウレタン樹脂の未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、ウレタン樹脂の活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法などを用いて製造することができるが、特に限定されるものではない。
【0066】
また、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長延長剤及びイソシアネート基と反応する基、及びアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好ましい。
【0067】
ウレタン樹脂中のアニオン性基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基およびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられ、特に好ましくは、スルホン酸塩基である。
【0068】
ポリウレタン樹脂中のアニオン性基の量は、0.05重量%〜8重量%が好ましい。0.05重量%未満では、ウレタン樹脂の水分散性が悪くなる傾向があり、8重量%を越えると、樹脂の耐水性や耐ブロッキング性が劣る傾向がある。
【0069】
本発明に係る積層膜においては、上記した架橋性官能基を有する樹脂と架橋反応する架橋剤を併用することにより、高温高湿下での接着性が向上することを見出した。特に、該積層膜に用いる樹脂として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂の少なくとも1種から選ばれた樹脂に、架橋剤を併用することが好ましい。
【0070】
用いられる架橋剤は、上記した樹脂に存在する官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メチロール基、アミド基などと架橋反応しうるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。特に、架橋反応により、アミドエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合を生じるものが、本発明においては好適である。
【0071】
用いられる架橋剤の中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が架橋性や接着性の点で好ましく、特に、メラミン系架橋剤とオキサゾリン系架橋剤を併用することにより、常態下での接着性が向上すると同時に、高温高湿下での接着性が飛躍的に向上することを見出したものである。
【0072】
本発明において用いられるメラミン系架橋剤は、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。また、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基などのアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂が好ましく、最も好ましくは、イミノ基型メラミン樹脂である。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
【0073】
本発明において用いられるオキサゾリン系架橋剤は、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含むオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
【0074】
かかるオキサゾリン系架橋剤としては、特開平2−60941号公報、特開平2−99537号公報、特開平2−115238号公報、特公昭63−48884号公報などに記載の共重合体あるいはその誘導体を用いることができる。
【0075】
具体的には、下記の一般式(1)
【0076】
【化1】

【0077】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、フェニルまたは置換フェニル基であり、R5 は付加重合性不飽和結合を持つ非環状有機基である。)
で表される付加重合性オキサゾリンと、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られる共重合体を用いることができる。
【0078】
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
【0079】
オキサゾリン系架橋剤において、付加重合性オキサゾリンに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、付加重合性オキサゾリンと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらは1種または2種以上の混合物を使用することもできる。
【0080】
付加重合性オキサゾリンおよび少なくとも1種の他のモノマーを用いてオキサゾリン系架橋剤を得るには、乳化重合法、溶液重合法などによって重合すればよい。
【0081】
例えば、乳化重合法では、重合触媒、水、界面活性剤およびモノマーを一括混合して重合する方法、あるいはモノマー滴下法、多段重合法、プレエマルジョン法など、各種の手法を用いることができる。重合触媒は、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などのラジカル重合開始剤を用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤や反応性界面活性剤などを用いることができる。重合温度としては、通常0〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、また、重合時間は通常1〜10時間である。
【0082】
また、溶液重合法では、使用できる溶剤としては、トルエン、ヘキサン、メチルエチルケトン、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどであり、これらは1種または2種以上の混合物を使用することもできる。用いられる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどである。重合温度は20〜200℃、好ましくは40〜120℃である。
【0083】
付加重合性オキサゾリンおよび他のモノマーを用いてオキサゾリン系架橋剤を得るに際して、付加重合性オキサゾリンの使用量は全モノマー中0.5〜80重量%以上の範囲であれば特に限定されるものではない。付加重合性オキサゾリンの使用量が0.5重量%未満では、オキサゾリン基による架橋効果小さく、接着性に劣る傾向があり、80重量%を超えると併用する他の樹脂との親和性や該架橋剤自体の重合性に劣る傾向がある。
【0084】
このようにして得られたオキサゾリン系架橋剤は、例えば、乳化重合法では、水分散液の形態で得られ、溶液重合法では有機溶剤液の形態で得られるが、いずれもこのまま積層膜形成塗液として用いることができる。また、溶液重合法で得られたものも、水系の有機溶剤であれば、水を添加するなどの方法で、擬水系塗液として用いることも可能である。特に、このようにして得られたものは、他の樹脂、例えば、水系の樹脂と混合して用いる場合、乳化重合法によって得られた水分散液の形態のものより、本発明で用いる樹脂との親和性が高くなり、架橋効果が著しく高くなるので好ましい。
【0085】
本発明にかかる積層膜においては、樹脂と架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、本発明の効果をより顕著に発現させるには、架橋剤は、樹脂に対し0.2〜20重量部添加が常態下での接着性向上の点で好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部添加、最も好ましくは1〜10重量部添加である。架橋剤の添加量が、0.2重量部未満添加の場合、その添加効果が小さく、また、20重量部添加を越える場合は、接着性が低下する傾向がある。
【0086】
更に、本発明において特筆すべきは、メラミン系架橋剤とオキサゾリン系架橋剤を上記した範囲とし、かつ、その添加重量比([オキサゾリン系架橋剤]/[メラミン系架橋剤]、括弧は各架橋剤の添加重量を表す)が0.1〜10とすることにより、高温高湿下での接着性に著しい効果があることを見出したことである。本発明者らの知見によれば、添加重量比を0.5〜5とすることにより、特に高温高湿下での接着性に優れたものとなる。
【0087】
また、積層膜中には本発明の効果が損なわれない範囲内で各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
【0088】
特に、積層膜中に無機粒子を添加したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。
【0089】
この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μm、最も好ましくは0.08〜2μmであり、積層膜中の樹脂に対する混合比は特に限定されないが、固形分重量比で0.05〜8重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。
【0090】
本発明のレンズシート用フィルムを製造するに際して、積層膜を設けるのに好ましい方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布し、基材フィルムと共に延伸する方法が最も好適である。例えば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に塗液を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。更に、連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)によって得ることができる。この場合に用いられる塗布液は、環境汚染や防爆性の点で水系のものが好ましい。
【0091】
本発明においては、塗液を塗布する前に、基材フィルムの表面(上記例の場合では、一軸延伸フィルム)にコロナ放電処理などを施し、該基材フィルム表面の濡れ張力を、好ましくは47mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とするのが、積層膜の基材フィルムとの接着性を向上させることができるので好ましいものである。
【0092】
積層膜の厚みは特に限定されないが、通常は0.01〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜2μm、最も好ましくは0.05μm〜0.5μmである。積層膜の厚みが薄すぎると接着性不良となる場合がある。
【0093】
基材フィルム上への塗布の方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0094】
本発明にかかるレンズ層は、レンズ単位が平行に形成されたレンズ面を有するものであれば特に限定されず用いることができる。形成されるレンズ単位の形状は、目的に応じて種々の形状のものを用いることができ、例えば、プリズム形状、レンチキュラー形状、波形形状のものが好適である。
【0095】
該レンズ層を構成する材料は特に限定されるものではなく、可視光線を透過するものであればよいが、輝度の点で、可視光線透過率が高いものが好ましい。用いられる材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、活性線硬化型樹脂などである。特に、活性線硬化型樹脂は、耐擦傷性、生産性などの点で好適に用いることができる。
【0096】
本発明のレンズシート用フィルムにおいて、レンズ層の構成成分として用いられる活性線硬化型樹脂は、該活性線硬化型樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、ビス(メタクロイルチオフェニル)スルフィド、2,4−ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,3,5−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いられる。
【0097】
また、これら多官能(メタ)アクリル系化合物とともに、活性線硬化型樹脂の硬度、透明性、強度、屈折率などをコントロールするため、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート、ジアリルビフェニレート、あるいはバリウム、鉛、アンチモン、チタン、錫、亜鉛などの金属と(メタ)アクリル酸との反応物などを用いることができる。これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
【0098】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル系化合物」という記載は、「メタアクリル系化合物およびアクリル系化合物」を略して表示したものであり、他の化合物についても同様である。
【0099】
本発明における活性線硬化型樹脂を硬化させる方法として、例えば、紫外線を照射する方法を用いることができるが、この場合には、前記化合物に光重合開始剤を加えることが望ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物、あるいは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メチルフェニルグリオキシレート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタールなどを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
【0100】
光重合開始剤の使用量は重合性単量体組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が適当である。
【0101】
本発明に用いる活性線硬化型樹脂には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−t−ブチルハイドロキノンなどの熱重合防止剤を加えて用いることができる。
【0102】
また、その添加量は重合性化合物総重量に対し、0.005〜0.05重量%の範囲内が好ましい。
【0103】
本発明に用いられ得る活性線硬化型樹脂には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の所期の効果が損なわれない範囲において、有機溶剤を配合することができる。
【0104】
有機溶剤としては、沸点が50〜150℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性の点から用いやすい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤、ジオキサンなどの環状エーテル系溶剤などを用いることができる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0105】
また、レンズ層中には、本発明の効果が損なわれない範囲内で各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、有機の易滑剤、顔料、染料、ブルーイング剤、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、核剤、拡散剤などが配合されていても
よい。
【0106】
活性線硬化型樹脂の積層ポリエステルフィルム上への設け方は特に限定されるものではなく、要求特性や使用用途などにより、各種方法をとることができる。例えば、該樹脂をプリズム状にカットしたバーで塗布する方法、あるいは該樹脂をプリズム状などのレンズ層の形状にした型に流し込んで、積層ポリエステルフィルムを重ね合わせる方法などを用いることができる。
【0107】
本発明において活性線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
【0108】
本発明においては、レンズ層の厚みはレンズシートの目的やレンズ単位の形状によって任意に選ぶことができ、特に限定されるものではないが、0.1〜5mmが好ましく、より好ましくは0.2〜3mmである。0.1mmより薄い場合は、レンズ層としての効果が得られなくなる傾向があり、また、5mmより厚い場合は、輝度の点で不十分となる傾向がある。
【0109】
また、レンズ単位のピッチは、レンズシートの目的やレンズ単位の形状に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、各レンズ層の中心間距離にして、0.03〜0.5mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3mmである。
【0110】
特に、レンズシートとして、レンズ層をプリズム形状のもので構成されたプリズムシートとすることは、輝度の点、形成の容易さの点で好ましく、この場合、該プリズム形状のプリズム頂角は80〜150度が好ましく、より好ましくは85〜130度である。
【0111】
本発明においては、レンズ層の表面に、ちらつきを抑えるための反射防止層を設けたり、また、汚れ防止のための防汚処理を施すことが好ましい。反射防止層は特に限定されるものではないが、低屈折率化合物の積層やフッ化マグネシウムや酸化ケイ素などの無機化合物のスパッタリングなどにより形成することができる。防汚処理については、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などによる防汚処理を施すことができる。
【0112】
次に、本発明のレンズシート用フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした例について説明するが、これに限定されるものではない。
【0113】
本発明の上述したさまざまな環境下においても耐久性に優れるレンズシート用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に積層膜が設けられ、かつ、該積層膜上にレンズ単位が平行に形成されたレンズ面を有するレンズ層が設けられたレンズシートにおいて、該積層膜が、アミドエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合の少なくとも1種を含有してなることによって製造することができる。
【0114】
より具体的には、例えば、極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作成する。この未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明に係る積層膜形成塗液を塗布する。この塗布されたフィルムをクリップで把持して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中において、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、5〜300μmが好ましく用いられる。この場合に用いられる塗液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0115】
なお、上記例において、積層膜が設けられる基材フィルムにも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接着性が向上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が向上するなどの効果がある。メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物を含有させる場合には、1種であれ複数種であれ、その添加量の合計が5ppm以上20重量%未満であるのが、接着性、易滑性の点で好ましい。もちろん、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物は、基材フィルム上に設ける積層膜形成組成物(本発明にかかる積層ポリエステルフィルムの再生ペレットなどを含む)であってもよい。
【0116】
このようにして得られた本発明のレンズシート用フィルムを所定のレンズシートの大きさに断裁し、上述した活性線硬化型樹脂をプリズム状のレンズ層の形状にした型に流し込み、該レンズシート用フィルムの積層膜を設けた面(但し、両面に積層膜が設けられている場合は、いずれの面でもよい)と重ね合わせ、紫外線などの活性線を照射し、活性線硬化型樹脂を硬化させた後、上記型を外しレンズシートを得ることができる。
【0117】
レンズシートは、例えば、バックライトの一部を構成するのに使用され、該バックライトは、蛍光灯などの光源が導光体の一方の端部に設けられ、該導光体の上部に本発明のレンズシートのレンズ面を上側にし、設けることができる。
【0118】
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次の通りである。
【0119】
(1)積層膜の厚み
(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層膜を設けた積層ポリエステルフィルムの断面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30個の平均値とした。
【0120】
(2)接着性−1
本発明のレンズシート用フィルムにレンズ層を設け、該レンズ層上に2mm2 のクロスカットを25個入れ、ニチバン(株)製のセロハンテープをその上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離し、印刷層の残存した個数により4段階評価(◎:25、○:20〜24、△:10〜19、×:0〜9)した。(◎)、(○)が接着性良好であり、耐久性に優れるものとした。
【0121】
(3)接着性−2
本発明のレンズシート用フィルムにレンズ層を設けたものに対し、高温高湿処理(95℃、1時間、熱水中に放置)を行った。処理後、直ちに付着水分をふき取り、3分後、上記(2)と同様の評価を行った。
【0122】
(4)接着性−3
本発明のレンズシート用フィルムにレンズ層を設けたものに対し、高温高湿処理(80℃、3時間、熱水中に放置)を行った。処理後、直ちに付着水分をふき取り、3分後、上記(2)と同様の評価を行った。
【0123】
(5)ガラス転移点(Tg)
セイコー電子工業(株)製ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220にセイコー電子工業(株)製SSC5200ディスクステーションを接続して測定した。DSCの測定条件は次の通りである。即ち、試料10mgをアルミニウムパンに調整後、DSC装置にセツトし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパン)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素中を用いて急冷処理をする。この試料を10℃/分で昇温し、そのDSCチャートTgを検知する。
【実施例】
【0124】
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0125】
実施例1
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、および平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。
【0126】
この未延伸フィルムを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を52mN/mとし、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引き続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、更に225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した本発明のレンズシート用フィルムを得た。このとき、基材PETフィルム厚みが125μm、積層膜の厚みが0.08μmであった。
【0127】
得られたレンズシート用フィルムを所定のレンズシートの大きさに断裁した。そして、プリズム形状のレンズ型(レンズピッチ:50μm、プリズム頂角:95度)に下記の活性線硬化型樹脂を流し込み、上記レンズシート用フィルムの積層膜を設けた面と重ね合わせ、照射強度80W/cmの紫外線ランプを用い、照射距離(ランプとインキ面の距離)9cmで10秒間照射し、活性線硬化型樹脂を硬化させた後、レンズ型から外し、プリズムシートを得た。結果を表1に示す。
【0128】
「積層膜形成塗液」
アクリル樹脂−1:
メチルメタクリレート 64重量%
エチルアクリレート 30重量%
アクリル酸 5重量%
アクリロニトリル 1重量%
上記組成で共重合したアクリル樹脂共重合体エマルジョン。
【0129】
メラミン系架橋剤:
イミノ基型メチル化メラミンを、イソプロピルアルコールと水との混合溶媒(10/90(重量比))に希釈した塗液。
【0130】
上記したアクリル樹脂100重量部に対し、メラミン系架橋剤を2重量部添加したものを積層膜形成塗液とした。
【0131】
「活性線硬化型樹脂」
ビス(メタクリロイルチオフェニル)スルフィド 50重量部
2,3,5−トリブロモフェニルメタクリレート 30重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 20重量部
上記混合物に、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを2重量部添加したものを活性線硬化型樹脂とした。
【0132】
実施例2
実施例1の積層膜形成塗液で、樹脂を下記のアクリル樹脂とし、メラミン系架橋剤の代わりにイソシアネート系架橋剤として武田薬品工業(株)製“プロミネート”XC−915を8重量部添加として用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0133】
アクリル樹脂−2:
メチルメタクリレート 60重量%
エチルアクリレート 32重量%
2−ヒドロキシエチルアクリレート 6重量%
アクリロニトリル 2重量%
上記組成で共重合したアクリル樹脂共重合体エマルジョン。
【0134】
実施例3
実施例1の積層膜形成塗液で、樹脂を下記のウレタン樹脂とし、メラミン系架橋剤を5重量部添加として用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0135】
ウレタン樹脂:
エチレンオキシドのポリエーテルをスルホン化したスルホン酸ナトリウムを含むポリエーテル(スルホン酸基含有量:8重量%)192重量部、ポリテトラメチレンアジペート1013重量部、ポリプロピレンオキシドポリエーテル248重量部を混合し、減圧下、100℃で脱水後、該混合物を70℃とし、イソホロンジイソシアネート178重量部とヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート244重量部との混合物を加え、更に該生成混合物をイソシアネート含有量が5.6重量%になるまで80〜90℃の範囲で攪拌した。得られたプレポリマーを60℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルと水1モルから得られるビウレットポリイソシアネート56重量部とイソホロンジアミンとアセトンから得られるビスケチミン173重量部とを順次加えた。次いで、ヒドラジン水和物の15重量部を溶解した50℃の水溶液をこの混合物に攪拌しながら加え、ウレタン樹脂水分散体とした。
【0136】
実施例4
実施例3の積層膜形成塗液で、メラミン系架橋剤の代わりにエポキシ系架橋剤として大日本インキ化学工業(株)製架橋剤CR−5Lを5重量部添加として用いた以外は、実施例3と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0137】
実施例5
実施例1の積層膜形成塗液で、樹脂として下記に示すアクリル樹脂とポリエステル樹脂の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0138】
アクリル樹脂−1:
メチルメタクリレート 64重量%
エチルアクリレート 30重量%
アクリル酸 5重量%
アクリロニトリル 1重量%
上記組成で共重合したアクリル樹脂共重合体エマルジョン。
【0139】
ポリエステル樹脂−1:
・酸成分
テレフタル酸 88モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 12モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 99モル%
ジエチレングリコール 1モル%
上記酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂の水溶性塗液。
【0140】
上記したアクリル樹脂を50重量部、ポリエステル樹脂を50重量部の合計100重量部に対し、実施例1と同じメラミン系架橋剤を2重量部添加したものを積層膜形成塗液とした。
【0141】
実施例6
実施例5の積層膜形成塗液で、架橋剤としてメラミン系架橋剤の代わりに下記のオキサゾリン系架橋剤を5重量部添加として用いた以外は、実施例5と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0142】
オキサゾリン系架橋剤:
メチルメタクリレート 60重量%
ブチルアクリレート 15重量%
スチレン 5重量%
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン 20重量%
上記組成で共重合したオキサゾリン基含有樹脂組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルと水との混合溶媒(20/80(重量比))に希釈した塗液。
【0143】
実施例7
実施例5の積層膜形成塗液で、架橋剤として下記のメラミン系架橋剤を2重量部添加、オキサゾリン系架橋剤を5重量部添加として用いた以外は、実施例5と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0144】
メラミン系架橋剤:
イミノ基型メチル化メラミンを、イソプロピルアルコールと水との混合溶媒(10/90(重量比))に希釈した塗液。
【0145】
オキサゾリン系架橋剤:
メチルメタクリレート 60重量%
ブチルアクリレート 15重量%
スチレン 5重量%
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン 20重量%
上記組成で共重合したオキサゾリン基含有樹脂組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルと水との混合溶媒(20/80(重量比))に希釈した塗液。
【0146】
実施例8
実施例1で、下記の積層膜形成塗液とした以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0147】
「積層膜形成塗液」
ポリエステル樹脂−1:
・酸成分
テレフタル酸 88モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 12モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 99モル%
ジエチレングリコール 1モル%
上記酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂の水溶性塗液。
【0148】
ポリエステル樹脂−2:
・酸成分
テレフタル酸 45モル%
イソフタル酸 32モル%
セバシン酸 20モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 3モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 55モル%
ネオペンチルグリコール 44モル%
ポリエチレングリコール(分子量4000) 1モル%
上記酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂を、t−ブチルセロソルブと水との混合液(10/90(重量比))に分散させたをポリエステル樹脂水分散体。
【0149】
メラミン系架橋剤:
イミノ基型メチル化メラミンを、イソプロピルアルコールと水との混合溶媒(10/90(重量比))に希釈した塗液。
【0150】
オキサゾリン系架橋剤:
メチルメタクリレート 60重量%
ブチルアクリレート 15重量%
スチレン 5重量%
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン 20重量%
上記組成で共重合したオキサゾリン基含有樹脂組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルと水との混合溶媒(20/80(重量比))に希釈した塗液。
【0151】
上記したポリエステル樹脂−1を60重量部、ポリエステル樹脂−2を40重量部の合計100重量部に対し、メラミン系架橋剤を2重量部添加、オキサゾリン系架橋剤を5重量部添加としたものを積層膜形成塗液とした。
【0152】
実施例9
実施例8の積層膜形成塗液で、メラミン系架橋剤を5重量部添加、オキサゾリン系架橋剤を2重量部添加として用いた以外は、実施例8と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0153】
実施例10
実施例8において、基材フィルムとして実質的に外部粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を用いた以外は、実施例8と同様にしてレンズシートを得た。
【0154】
結果を表1に示すが、さらに、透明性に優れるため、輝度の点で有利なものであった。
【0155】
実施例11
実施例8において、活性線硬化型樹脂として下記の活性線硬化型樹脂を用いた以外は、実施例8と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0156】
「活性線硬化型樹脂」
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン 55重量部
2,4−ジブロモフェニルメタクリレート 25重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 20重量部
上記混合物に、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを2重量部添加したものを活性線硬化型樹脂とした。
【0157】
実施例12
実施例8において、ポリエステルフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムからポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下、「PEN」と略称する)フィルムに変えた以外は実施例8と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示すが、さらに、基材の剛性が高いため、光源の発熱によるプリズムシートの熱変形が極めて小さく、プリズムシート用フィルムとして好適なものであった。
【0158】
実施例13
基材フィルムとして、実施例1で得られた積層PETフィルムを粉砕しペレット化したものを、ポリエチレンテレフタレートに20重量%添加し、溶融押し出しした以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0159】
比較例1
実施例1の積層膜形成塗液で、メラミン系架橋剤を添加せずに用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0160】
比較例2
実施例1の積層膜形成塗液で、樹脂として下記のポリエステル樹脂を用い、メラミン系架橋剤を添加せずに用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0161】
「積層膜形成塗液」
ポリエステル樹脂−2:
・酸成分
テレフタル酸 45モル%
イソフタル酸 32モル%
セバシン酸 20モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 3モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 55モル%
ネオペンチルグリコール 44モル%
ポリエチレングリコール(分子量4000) 1モル%
上記酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂を、t−ブチルセロソルブと水との混合液(10/90(重量比))に分散させたをポリエステル樹脂水分散体。
【0162】
比較例3
実施例1の積層膜形成塗液で、樹脂を用いず、オキサゾリン系架橋剤として実施例6で用いたオキサゾリン系架橋剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズシートを得た。結果を表1に示す。
【0163】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ層の片面に隣接し設けられてレンズシートを構成するレンズシート用フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルムからなるとともに、該フィルムの少なくともレンズ層側の片面に、アミドエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合の少なくとも1種を含有してなる積層膜が設けられてなることを特徴とするレンズシート用フィルム。
【請求項2】
積層膜中に、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、あるいはエポキシ系架橋剤の少なくとも1種から選ばれた架橋剤を含有してなることを特徴とする請求項1記載のレンズシート用フィルム。
【請求項3】
熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1または2記載のレンズシート用フィルム。
【請求項4】
積層膜中に、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、およびウレタン樹脂の少なくとも1種から選ばれた樹脂を含有してなることを特徴とする請求項1、2または3記載のレンズシート用フィルム。
【請求項5】
架橋剤が、メラミン系架橋剤とオキサゾリン系架橋剤からなることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のレンズシート用フィルム。
【請求項6】
積層膜中において、メラミン系架橋剤が樹脂に対し0.2〜20重量部添加され、オキサゾリン系架橋剤が樹脂に対し0.2〜20重量部添加され、かつ、架橋剤の添加重量比([オキサゾリン系架橋剤]/[メラミン系架橋剤])が0.1〜10であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のレンズシート用フィルム。
【請求項7】
積層膜中の樹脂が、ガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂からなり、かつ、ガラス転移点の高いポリエステル樹脂のガラス転移点が、60℃以上、110℃以下であり、ガラス転移点の低いポリエステル樹脂のガラス転移点が、60℃未満りものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のレンズシート用フィルム。
【請求項8】
ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のレンズシート用フィルム。
【請求項9】
積層膜を設けるに際し、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層膜形成塗液を塗布して後、少なくとも1方向に延伸、熱処理を施してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のレンズシート用フィルム。
【請求項10】
ポリエステルフィルムが、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤あるいはこれらの反応生成物から選ばれる少なくとも1種を、合計で5ppm以上、20重量%未満含有した組成物からなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載のレンズシート用フィルム。

【公開番号】特開2008−179148(P2008−179148A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28517(P2008−28517)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【分割の表示】特願平10−77403の分割
【原出願日】平成10年3月25日(1998.3.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】