レンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置
【課題】小型で簡易な構成で且つレンズ支持体において光軸と直交するX−Y方向の位置を検知できるレンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置を提供する。
【解決手段】レンズ支持体5は、その外周に沿って巻回した第1コイル19と、外周に周方向に90度の間隔をあけて配置してレンズ支持体を光軸方向と直交するX−Y方向へ移動するための少なくとも2つの第2コイル16a、16bと、X方向位置検知マグネット43と、Y方向位置検知マグネット45とを備え、ヨーク3はレンズ支持体5の駆動用マグネット17を備え、ベース8にはX方向位置検知マグネット43に対向するX方向磁気検知素子49及びY方向位置検知マグネット45に対向するY方向位置磁気検知素子51とを備え、ヨーク3には、X方向位置検知マグネット43及びY方向位置検知マグネット45に対向する各位置に空間部13が形成してある。
【解決手段】レンズ支持体5は、その外周に沿って巻回した第1コイル19と、外周に周方向に90度の間隔をあけて配置してレンズ支持体を光軸方向と直交するX−Y方向へ移動するための少なくとも2つの第2コイル16a、16bと、X方向位置検知マグネット43と、Y方向位置検知マグネット45とを備え、ヨーク3はレンズ支持体5の駆動用マグネット17を備え、ベース8にはX方向位置検知マグネット43に対向するX方向磁気検知素子49及びY方向位置検知マグネット45に対向するY方向位置磁気検知素子51とを備え、ヨーク3には、X方向位置検知マグネット43及びY方向位置検知マグネット45に対向する各位置に空間部13が形成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小型カメラ用のレンズ駆動装置において、手振れセンサに応答してレンズ支持体をX−Y方向に移動することが開示されている。また、この特許文献1の技術では、固定体に位置検知用マグネットを設けてレンズ支持体に磁気検知センサを設けてX方向及びY方向におけるレンズ支持体の移動量を検知することが開示されている。
一方、特許文献2には、レンズ支持体を、マグネットを固定した環状ヨークの内周側に設けてレンズ支持体の外周に巻回したコイルに電流を流すことにより、レンズ支持体を光軸方向に移動することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−85448号公報
【特許文献2】特開2011−13702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、レンズ支持体の光軸方向への移動はモータの駆動軸により行っているので、モータ及び回転を直線運動に変換する動力変換機構が必要になるから装置が大型化するという問題がある。
これに対して、特許文献2の技術では、レンズ支持体の外周に巻回したコイルとマグネットを固定したヨークとによりレンズ支持体を光軸方向へ移動できるから、装置の小型化を図ることができる。
しかし、特許文献2の技術において、特許文献1の技術のように、レンズ支持体に固定した位置検知用マグネットの磁気を磁気検知センサにより検知する構成では、レンズ支持体に固定したマグネットがヨークに吸引されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、小型で簡易な構成で且つレンズ支持体において光軸と直交するX−Y方向の位置を検知できるレンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内周にレンズを支持するレンズ支持体と、内周側にレンズ支持体を移動自在に支持する環状のヨークと、ヨークを有する固定体と、レンズ支持体の外周に沿って巻回してレンズ支持体をレンズの光軸方向へ移動するための第1コイルと、レンズ支持体の外周に周方向に90度の間隔をあけて配置してレンズ支持体を光軸方向と直交するX−Y方向へ移動するための少なくとも2つの第2コイルと、ヨークに設けたレンズ支持体の駆動用マグネットと、レンズ支持体に固定したX方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットと、固定体に設けてありX方向位置検知マグネットに対向するX方向磁気検知素子及びY方向位置検知マグネットに対向するY方向磁気検知素子とを備え、駆動用マグネットは第1コイルに対向すると共に第2コイルが設けてある位置では第2コイルにも対向しており、ヨークには、X方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットに対向する各位置に空間部が形成してあることを特徴とするレンズ駆動装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、レンズ支持体はレンズの光軸方向に異なる磁極を着磁したZ方向位置検知マグネットを備え、固定体はZ方向位置検知マグネットに対向するZ方向磁気検知素子を備え、レンズ支持体の光軸方向における位置を検知することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、レンズ支持体は錘を備え、レンズ支持体に固定してある位置検知マグネットとの重量バランスを均衡させていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、各磁気検知素子は1つの回路基板に設けてあり、回路基板を固定体に配置して、回路基板から各磁気検知素子の検知信号を導出していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、レンズ支持体のレンズの結像側に設けた画像センサとを備えることを特徴とするオートフォーカスカメラである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のオートフォーカスカメラを搭載したことを特徴とするカメラ付きモバイル端末装置である。
モバイル端末装置とは、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン等を言う。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、レンズ支持体の外周に巻回した第1コイルに電流を流すことで駆動用マグネット及びヨークによる磁束で生じる電磁力によりレンズ支持体を光軸方向に移動し、一方の第2コイル又は他方の第2コイルに電流を流すことで駆動用マグネット及びヨークによる磁束で生じる電磁力によりレンズ支持体をX−Y方向に移動することができる。
本発明によれば、ヨークとマグネットとコイルの構成により光軸方向(以下「Z方向」ともいう)及びX−Y方向に移動できるから、装置の小型化を図ることができる。
また、位置検知用マグネットが設けてある位置では、ヨークに空間部を設けて、位置検知マグネットがヨークに吸引されるのを防止できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、Z方向磁気検知素子によりレンズ支持体の光軸方向の位置を検知することができるから、例えば、レンズ支持体がフォーカスレンズの支持体である場合には、レンズ支持体を合焦点位置へ移動するときのレンズ支持体の位置を検知できる。このレンズ支持体の位置を用いてX、Y方向検知素子の出力を補正することで、レンズ支持体のX−Y方向の位置をより正確に検知することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の作用効果を奏すると共に、レンズ支持体の重量バランスを均衡することにより、レンズ支持体の移動をスムーズに行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作用効果を奏すると共に、複数の磁気検知素子を1つの回路基板に設けているので、1つの回路基板を固定体に取り付けるだけで済み、組み付けが容易にできる。
1つの回路基板において、X方向とY方向との各位置に磁気検知素子を予め設置できるので、この点においても組み付けが容易である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作用効果を奏するオートフォーカスカメラを提供できる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の作用効果を奏するカメラ付きモバイル端末装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】(a)は第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の水平断面図であり、(b)は(a)に示すB部の作用を模式的に示した図である。
【図3】第1実施の形態に係るオートフォーカスカメラにおける、コイル体と駆動部との関係を示すブロック図である。
【図4】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の縦断面図である。
【図5】第1実施の形態における回路基板と、各位置検知マグネットとの関係を示す平面図である。
【図6】図5に示す回路基板とZ方向位置検知マグネットとの関係を示す側面図である。
【図7】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図8】第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図9】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図10】第3実施の形態における回路基板と、各位置検知マグネットとの関係を示す斜視図である。
【図11】第3実施の形態における回路基板と、各位置検知マグネットとの関係を示す側面図である。
【図12】図11に示す回路基板とZ方向位置検知マグネットとの関係を示す側面図である。
【図13】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の断面図である。
【図14】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図15】第4実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図16】第4実施の形態における回路基板と、位置検知マグネットとの関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面の図1〜図7を参照して本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。第1実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、携帯電話に組み込まれるオートフォーカスカメラのレンズ駆動装置である。
【0020】
このレンズ駆動装置1は、図1に示すように、内周にレンズ(図示せず)を支持するレンズ支持体5と、内周側にレンズ支持体5を移動自在に支持する固定体の一部を構成するヨーク3と、ヨーク3の光軸方向前側に配置されるフレーム7及び前側スプリング9と、ヨーク3の後側に配置されるベース8及び後側スプリング11とを備えており、後側スプリング11とヨーク3との間には後側スペーサ(絶縁材)15が配置されている。また、レンズ支持体5の外周にはコイル体4が固定されている。フレーム7、前側スプリング9、ヨーク3、後側スペーサ15、後側スプリング11、ベース8とで固定体が構成されている。
【0021】
ヨーク3の外周側壁3aは前側から見て略四角形状を成しており、四角の角部3bは面取りされた形状になっている。ヨーク3の中心部にはレンズ支持体5が配置される開口部が設けられている。
【0022】
図1及び図2(a)に示すように、ヨーク3の外周側壁3aの各角部3bにはその内周に駆動用マグネット17が所定の間隔で合計4個固定されている。図1に示すように、ヨークの各角部3bには駆動用マグネット17の内周側に延出する内周側壁3cが設けてあり、内周側壁3cは、コイル体4の内周側に配置されている。内周側壁3cは無くてもかまわない。また、各位置検出マグネット43、45、47を用いた場合の錘59が対向する位置には、内周側壁3cを設けないことが望ましい。尚、図2では、ヨークの3の内周側壁3cを省略している。
また、ヨーク3の外周側壁3aには、前側から見て四角形状を成す4つの辺に対応した位置の後端部側に空間部13が形成されている。空間部13は外周側壁3aを分断するように設けても良い。
【0023】
図2(a)に示すように、各駆動用マグネット17は、前側から見た平面がヨーク3の面取りされた角部3bに沿って略台形形状を成しており、その内周側が後述する第1コイル19の外周面に沿った円弧状を成している。また、駆動用マグネット17は内周側と外周側とで磁極を異にしており、例えば内周側をN極とし、外周側をS極としてある。
【0024】
図1に示すように、レンズ支持体5は、略円筒形状であり、その内周側にレンズ(図示せず)が固定される開口部が設けられている。レンズ支持体5の外周に固定されているコイル体4は、第1コイル19と第2コイル16a、16b、16c、16dとから構成されている。
第1コイル19は、レンズ支持体5の周方向全周に亘って巻回した円環状を成していると共に帯状をなしている。
【0025】
更に、図2(a)に示すように、第1コイル19の外周には、4つの第2コイル16a〜16dが周方向に等間隔(90度の間隔)で合計4つ配置されている。図1に示すように、各第2コイル16a〜16dは各々、レンズ支持体の半径方向外側から見て側面視環状を成しており、環を成す方向にコイルを巻回して形成されている。
【0026】
各第2コイル16a〜16dは、第1コイル19の外周面に重ねて配置しており、前側辺部22、後側辺部25及び左右側辺部24、26を第1コイル19に重ねている。
【0027】
各駆動用マグネット17は、第2コイル16a〜16dに対面して設けてあり、図2(b)に示すように、駆動用マグネット17の内周側面17aは、第2コイルの各辺部22、25、24、26に対面してあり、駆動用マグネット17の周方向の寸法は第2コイル16a〜16dの周方向の寸法と略同じ寸法としてあると共にマグネット17の内周側面17aの面積は、対面する第2コイル16a〜16dの面積と略同じ面積になっている。
【0028】
尚、各駆動用マグネット17は、対面する第2コイル16a〜16dを介して第1コイル19に対向している。
【0029】
内周側壁3bがない場合、第2コイル16a〜16dは、図2(b)に示すように、駆動用マグネット17の内周面のうち右(左)側部から出た磁束線の向きは半径方向内方と円周方向右(左)方の成分を持ち、駆動用マグネット17の内周面17aから離れるほど右(左)側へカーブする。即ち、磁束線の向きは半径方向内方と半径方向に対する左右方向の成分を持つ。同様に、駆動用マグネット17の内周面17aのうち光軸方向前側部から出た磁束線は、内周面17aから離れるほど前方側へカーブする。また、駆動用マグネット17の内周面17aのうち光軸方向後側部から出た磁束線の向きは半径方向内方と光軸方向後方の成分を持ち、内周面17aから離れるほど後方側へカーブする。内周側壁3bは上記磁束線の密度とカーブの具合を変更する。
【0030】
例えば、第1コイル19に前方側から見て反時計方向に電流I1を流すと、半径方向内方の鎖交磁束成分が寄与してフレミングの左手の法則により光軸方向前方へ推力が生じ、レンズ支持体5は光軸方向前方へ移動する。第2コイル16aに外方から見て反時計方向に電流I2を流すと、各第2コイル16aの光軸方向前の前側辺部22では光軸方向前方の鎖交磁束成分が寄与して半径方向内方へ推力が生じる。同様に、第2コイル16aの後側辺部25、右側辺部26、左側辺部24においても半径方向内方へ推力が生じる。そのため、レンズ支持体5は第2コイル16aが半径方向内方へ移動するように移動する。
【0031】
即ち、第2コイル16a、16cは、駆動用マグネット17の磁力線のうち第2コイル16a、16cに直交する成分の磁力と、第2コイル16a、16cに流れる電流によって、フレミングの左手の法則により、図2(a)に示すように、レンズ支持体5の半径方向に推力Eが作用し、第2コイル16b、16dも同様に、レンズ支持体5の半径方向に推力Fが作用する。推力Eと推力Fとは互いに直交している。
【0032】
図3に模式的に示すように、第1コイル19は、Z駆動部32に接続されており、各第2各コイル16a〜16dはX―Y駆動部33に接続されており、各々駆動部32、33から所定値の電流が通電される。尚、図3において、一点鎖線で示すZ駆動部32と第1コイル19との接続線及びX―Y駆動部33と第2コイル16a〜16dとの接続線は、電流の入力側又は出力側のみの接続を示している。
本実施の形態では、第2コイル16a及び16cと、16b及び16dとが直列に接続されており、2つの第2コイル16a及び16cで推力Eの方向に、第2コイル16b及び16dで推力Fの方向に駆動するようになっている。
【0033】
例えば、Z駆動部32では、レンズ支持体5をフォーカス位置へ移動(光軸方向へ移動)する場合には、第1コイル19に電流Zを流す。
同様に、手振れ補正をする場合には、X―Y駆動部33では、第2コイル16a及び16cに電流Eを流してE方向にレンズ支持体5を移動させ、第2コイル16b及び16dに電流Fを流してF方向にレンズ支持体5を移動させる。これにより、レンズ支持体5をE―F方向に移動して手振れ補正を行う。
【0034】
Z駆動部32では、画像センサ31から受ける高域成分(コントラスト)のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動する。
X―Y駆動部33には、ジャイロセンサ等の手振れセンサ37が接続されており、X方向及びY方向の手振れ量を算出し、その算出結果に基づいてX−Y駆動部33に駆動信号を発する。
【0035】
尚、図2及び図3において、符合Z、E、Fは流した電流に基づいて生じる推力の方向と大きさを示している。
但し、図2(a)に示すように、本実施の形態では、X方向は前面視四角形状のヨーク3の一辺方向であり、Y方向は前面視四角形状のヨーク3の隣りの辺の方向としてあり、ヨーク3の対角線方向に生じる推力E、Fについて、X方向の分力EXとFXの和がX方向の推力として、Y方向の分力EYとFYの和がY方向の推力として作用することになり、XーY駆動部33では、各X方向の分力の和EX+FXをX方向推力となるように、各Y方向の分力の和EY+FYをY方向推力となるように制御している。
【0036】
次に、レンズ支持体5の固定体に対するX方向、Y方向及びZ方向の位置を検出する位置検出手段41について説明する。図1、図4〜図6に示すように、位置検出手段41は、レンズ支持体5に固定したX方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47と、ベース8に固定したX方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51及びZ方向磁気検知素子53とを備えている。
【0037】
図4に示すように、各位置検知マグネット43、45、47はレンズ支持体5の後端部に固定してあり、且つX方向位置検知マグネット43はレンズ支持体5のY方向の端部に設け、Y方向位置検知マグネット45はレンズ支持体5のX方向の端部に設けてある。X方向位置検知マグネット43とY方向位置検知マグネット45は互いに周方向に90度の間隔をあけて配置されている。
【0038】
Z方向位置検知マグネット47の固定位置は特に限定されないが、本実施の形態では、レンズ支持体5の開口部を挟んでX方向位置検知マグネット47と反対側の位置に固定してある。
X方向位置検知マグネット43はX方向に互いにS極とN極の磁極を異にして着磁してあり、同様にY方向位置検知マグネット43はY方向に互いに磁極を異にして着磁してあり、Z方向位置検知マグネット43はZ方向(光軸方向)に互いに磁極を異にして着磁してある。
各マグネット43、45、47は略同じ寸法で同じ重量の同種のものが用いられている。
【0039】
各磁気検知素子49、51、53はホール素子であり、1つの回路基板55に設けてあると共に各磁気検知素子49、51、53は各々対応するマグネット43、45、47に対向した位置に設けてある。回路基板55は略馬蹄形を成しており、レンズ支持体5の後端に対向配置してベース8に固定してある。尚、図7に示すように、回路基板55の出力端部57はベース8の外周側に延出して装着されている。
各磁気検知素子49、51、53は、各々対応する位置検知マグネット43、45、47からの磁束を検知することにより、位置を検知してその検知信号をX―Y駆動部33へ発信する。
【0040】
レンズ支持体5には、3つの位置検知マグネット43、45、47との重量バランスを均衡させる為に錘59が固定してある。本実施の形態では、錘59は3つの位置検知マグネット43、45、47と同種のマグネットを用いている。
【0041】
尚、図5に示すように、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47は、各々対応する磁気検知素子49、51、53の実際のセンサ部分に対して十分に大きな面積を有し、例えば、レンズ支持体5がX方向に移動してもY方向磁気検知素子51がY方向位置検知マグネット45のY方向の位置を検知できるようになっている。
各位置検知マグネット43、45、47及び錘59はヨーク3の空間部13に対応した位置に配置されている。
【0042】
図1に示すように、前側スプリング9は、組み付け前の自然状態が平板状であり、平面視矩形の環状を成す外周側部9aと、外周側部9aの内周に配置され平面視円弧形状の内周側部9bと、外周側部9aと内周側部9bとを連結する4つの腕部9cとで構成されており、Z方向及びX―Y方向への変形が自在にできるようになっている。
【0043】
後側スプリング11は、組み付け前の自然状態が平板状であり、平面視矩形の環状を成す外周側部11aと、外周側部11aの内周に配置され平面視円形状の内周側部11bと、外周側部11aと内周側部11bとを連結する4つの腕部11cとで構成されている。
【0044】
前側スプリング9の外周側部9aは、フレーム7とヨーク3との間に挟持されており、内周側部9bはレンズ支持体5の前端に固定されている。後側スプリング11の外周側部11aはベース8と後側スペーサ15との間に挟持されており、内周側部11bはレンズ支持体5の後端に固定されている。これにより、レンズ支持体5は前側スプリング9と後側スプリング11とにより、光軸方向(Z方向)及びX―Y方向に移動自在に支持されている。
【0045】
第1コイル19に電流を流すことにより、レンズ支持体5が光軸方向前方に移動すると、レンズ支持体5は、前側スプリング9及び後側スプリング11の前後方向の付勢力の合力と、第1コイル19及びマグネット17との間で生じる電磁力とが吊り合う位置で停止する。
【0046】
レンズ支持体5がX―Y方向に移動する場合には、所定の第2コイル16a〜16dに所定値の電流を流すことにより、前側スプリング9及び後側スプリング11のX―Y方向のスプリングの合力と、第2コイル16a〜16dと各対応するマグネット17との間で生じる電磁力とが吊り合う位置で停止する。
【0047】
次に、本発明の実施の形態に係るレンズ駆動装置1の組立て、作用及び効果について説明する。レンズ駆動装置1の組み立てに先立って、第1コイル19の外周面に各第2コイル16a〜16dを接着固定してコイル体4を形成し、レンズ支持体5の外周に固定する。また、レンズ支持体5の後端部には、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45、Z方向位置検知マグネット47及び錘59を周方向に等間隔で固定する。
【0048】
レンズ駆動装置1の組立ては、図1に示すように、ベース8に、回路基板55、後側スプリング11、後側スペーサ15、レンズ支持体5、各マグネット17を外周側壁3aの内面に固定したヨーク3、前側スプリング9及びフレーム7をこの順序で組み付けて固定する。
【0049】
コイル体4を固定したレンズ支持体5と、マグネット17を内周面に固定したヨーク3との組み付けは、ヨーク3の内周にその後側から前側に向けてレンズ支持体5を挿入して行う。
【0050】
そして、第1コイル19は両端部を各々Z駆動部32に接続し、第2コイル16a〜16dは、対向するコイル16aと16c、16bと16dを直列に接続した後、その両端部を各々X―Y駆動部33に接続する。
【0051】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、画像センサ31から受ける高域成分(コントラスト)のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動する。
【0052】
レンズ支持体5のZ方向への直線移動の際には、第1コイル19に電流値Zを流すことにより生じるマグネット17との間で生じる電磁力と、前側スプリング9及び後側スプリング11との付勢力の合力とが吊り合う位置で停止する。
【0053】
そして、Z方向磁気検知素子53はZ方向位置検知マグネット47の磁気を検知することによりレンズ支持体5のZ方向位置を検知し、その検知信号をX―Y駆動部33へ送る。
【0054】
また、レンズ支持体5のX―Y制御(手振れ補正)は、X−Y駆動部33がジャイロセンサ等の手振れセンサ37によりX―Y方向の手振れ量の大きさを信号として受け、X方向及びY方向の手振れ補正量を演算してレンズ支持体5の移動するべき目標位置E、F(X、Y)を各々決定して、第2コイル16a、16cと、第2コイル16b、16dとに通電する。
【0055】
そして、X方向磁気検知素子49がX方向位置検知マグネット43の磁束を検知することにより、レンズ支持体5のX方向位置を検知し、X−Y駆動部33に出力する。X−Y駆動部33では、レンズ支持体5が手振れセンサがX方向の目標位置に達したかどうかを監視する。
この場合、X―Y駆動部33では、Z方向磁気センサ53が検知したレンズ支持体5のZ方向位置の検知信号を受けて、Z方向位置に応じて、X方向磁気検知素子49が受ける磁気検知信号を補正することで、X方向位置を正確に把握することができる。例えば、レンズ支持体5が画像センサ1から離れるようにZ方向へ移動する場合には、X方向磁気検知素子49に対してX方向位置検知マグネット43が離れるようにレンズ支持体5が移動するので、X方向磁気検知素子49の検出感度が低下する。従って、レンズ支持体5のZ方向の位置に応じて、X方向磁気検知素子49の出力を補正することによって、X方向位置を正確に検知することができる。
【0056】
同様に、レンズ支持体5のY方向の移動においても、Y方向磁気検知素子51がY方向位置検知マグネット45の磁束を検知することにより、レンズ支持体5のY方向位置を検知し、X−Y駆動部33に出力する。X−Y駆動部33では、レンズ支持体5がY方向の目標位置に達したかどうか監視する。
この場合、Y方向磁気検知素子51においても、X方向磁気検知素子49と同様に、Z方向磁気センサ53が検知したレンズ支持体5のZ方向位置に応じてY方向磁気検知素子51の出力を補正することによって、Y方向位置を正確に検知する。
【0057】
本実施の形態によれば、手振れセンサ37がX方向及びY方向の手振れ量を検知し、X―Y駆動部33では、手振れ量に基づくレンズ支持体5の移動するべき目標位置E、F(X、Y)を決定し、目標位置にレンズ支持体5がX方向及びY方向へ移動するようにレンズ支持体5に電流を流す。
尚、レンズ支持体5をX方向及びY方向に移動するための電流を流すときには、目標位置よりも移動量が大きくなるような電流を流し、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51が目標位置に達したことを検知したところで、その位置を維持する為の電流値の電流を流し、レンズ支持体のX方向及びY方向の移動を停止する。
【0058】
レンズ支持体5にはX方向位置検知マグネット43及びY方向位置検知マグネット45を設けているので、これらに各々対応して設けた磁気検知素子49、51が各位置検知マグネット43、45からの磁束を検知する。手振れセンサ37が検知した手振れ量を打ち消す目標位置E、F(X、Y)にレンズ支持体5が移動したか否かを検しする。これにより、レンズ支持体5の手振れ補正が正確に且つ迅速に行うことができる。
【0059】
レンズ支持体5のX−Y方向の位置は、レンズ支持体5に設けた位置検知マグネット43、45と、ベース8に設けた磁気検知素子49、51とで検知できるから、小型で且つ簡易な構成である。
【0060】
また、Z方向位置検知マグネット47とZ方向磁気検知素子53とによりレンズ支持体5の光軸方向の位置を検知し、その検知量に基づいて、X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51の出力を補正するので、レンズ支持体5の手振れ補正を正確に行うことができる。
【0061】
レンズ支持体5は、第1コイル19及び第2コイル16a〜16dに電流を流したときの電磁力により、光軸方向及びX―Y方向移動ができ、コンパクトな構成でレンズ支持体5の駆動ができる。
各位置検知マグネット43、45、47及び錘59はヨーク3の空間部13に対応した位置に配置されているので、各位置検知マグネット43、45、47及び錘59がレンズ駆動装置1の組立時、動作時にヨーク3に吸引されるのを防止できる。また、各位置検知マグネット43、45、47及び錘59が対応する位置に内周側壁3cを設けないことが望ましいのも同じ理由である。
【0062】
X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51及びZ方向磁気検知素子53は1つの回路基板55に設けているので、1つの回路基板55を固定体の一部を構成するベース8に取り付けるだけで組み付けが容易にできる。
【0063】
レンズ支持体5には、錘59を設けて、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47との間で、重量バランスを均衡にしているから、レンズ支持体5の移動をスムーズに行うことができる。
【0064】
マグネット17及び手振れ補正として機能する第2コイル16a〜16dを前側から見た平面視四角形のヨーク3の奥ゆきのある角部3bに配置することにより、手振れ補正機能を有しながら、手振れ補正機能を搭載していないレンズ駆動装置と同様なサイズで且つコンパクトな構成にできる。
【0065】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述の第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符合を付することにより、その部分の説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
【0066】
図8を参照して、第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置を説明する。この第2実施の形態では、レンズ支持体5にはX方向位置検知マグネット43及びY方向位置検知マグネット45のみを設けてあり、Z方向位置検知マグネット47を設けておらず、代わりに錘59を設けていること、及び回路基板55にはX方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51のみを設けてあり、Z方向磁気検知素子53を設けていないことが第1実施の形態と異なっている。
その他の構成は、第1実施の形態と同様である。
【0067】
この第2実施の形態によれば、レンズ駆動装置1では、手振れ補正時には、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51がレンズ支持体5のX方向及びY方向の位置を検知して、レンズ支持体5のX―Y方向の現在位置と目標位置とを比較することに関しては第1実施の形態と同じである。
第2実施の形態において、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51のレンズ支持体5のZ方向位置による補正は、以下のように行う。予め、Z方向の駆動電流Zと、それによって移動するレンズ支持体5の位置の関係を求めておく。実際の駆動時に、Z方向の駆動電流Zを測定し、その値からレンズ支持体5のZ方向の位置を算出し、その値を用いて、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51の補正をする。よって、上述した第1実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
尚、この第2実施の形態では、レンズ支持体5には位置検知用マグネット43、45との重量バランスの均衡を図る錘59、59を2つ設けてある。
【0068】
また、第2実施の形態では、レンズ支持体5をZ方向へ移動、即ちレンズ支持体5が合焦点位置へ移動する場合には、図3に示すZ駆動部32が画像センサ31から受けるコントラストの高域成分のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動する。
【0069】
図9〜図14を参照して、第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置1を説明する。この第3実施の形態では、図9、図13に示すように、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47をレンズ支持体5の側面に配置してあると共に回路基板55を外周側に設けていることが第1実施の形態と大きく異なる。
レンズ駆動装置1の外側面に沿って配置し、X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51、Z方方向磁気検知素子53をレンズ駆動装置1の外側面からそれぞれX方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグエネット45、Z方向位置検知マグネット47と対応するように設けた。
【0070】
この第3実施の形態によれば、レンズ支持体5の周囲のスペースを利用して回路基板55を配置することができ、レンズ駆動装置1の光軸方向の寸法を大きくすることなく、組み付けすることができる。
【0071】
また、図12に示すように、X方向位置検知マグネット43、Y方向磁気検知マグネット45、Z方向磁気検知マグネット47は、レンズ支持体5がZ方向、X−Y方向に移動してもそれぞれX方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51、Z方向磁気検知素子53との対面位置からずれない充分な大きさを有している。
これにより、例えば、レンズ支持体5がZ方向に移動してもY方向磁気検知素子51はY方向位置検知マグネット45のY方向の移動を十分に検知することができる。
【0072】
図15及び図16を参照して、第4実施の形態にかかるレンズ駆動装置を説明する。この第4実施の形態では、この第4実施の形態では、第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置1において、Z方向位置検知マグネット47及びZ方向磁気検知素子53がないことが第3実施の形態と異なっている。また、錘59はZ方向位置検知マグネット47の位置にも設けてあり合計2つ配置して、レンズ支持体5の重量バランスの均衡を図っている。
【0073】
レンズ支持体5の合焦点位置への移動は、第2実施の形態と同様に、Z駆動部32が画像センサ31から受けるコントラストの高域成分のピークを比較しつつ、合焦点位置へ移動する。また、X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51のレンズ支持体5のZ方向位置による補正は、第2実施の形態と同様である。
【0074】
本発明は上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、第1実施の形態において、第2コイル16a〜16d及びマグネット17はヨーク3の各角部3bに設けることに限らず、互いに周方向に90度の間隔をあけていれば良い。
【0075】
第2コイル16a〜16dは、互いに90度間隔をあけて隣合わせに2つだけ設けても良い。
【0076】
第2コイル16a〜16dは、第1コイル19の内周側に配置しても良い。
上述した実施の形態において、レンズ支持体5は、ズームレンズを保持して、ズーム倍率に応じてZ方向に移動するものであってもよい。
【0077】
ヨーク3に形成する空間部13は、その形状や寸法は制限されず、各位置検知マグネット43、45、47及び錘59がヨーク3に吸引されるのを防止できるものであれば良い。
【符号の説明】
【0078】
1 レンズ駆動装置
3 ヨーク
5 レンズ支持体
13 空間部
32 Z駆動部
33 X−Y駆動部
35 合焦点演算手段
37 手振れセンサ
43 X方向位置検知マグネット
45 Y方向位置検知マグネット
47 Z方向位置検知マグネット
49 X方向磁気検知素子
51 Y方向磁気検知素子
53 Z方向磁気検知素子
55 回路基板
59 錘
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小型カメラ用のレンズ駆動装置において、手振れセンサに応答してレンズ支持体をX−Y方向に移動することが開示されている。また、この特許文献1の技術では、固定体に位置検知用マグネットを設けてレンズ支持体に磁気検知センサを設けてX方向及びY方向におけるレンズ支持体の移動量を検知することが開示されている。
一方、特許文献2には、レンズ支持体を、マグネットを固定した環状ヨークの内周側に設けてレンズ支持体の外周に巻回したコイルに電流を流すことにより、レンズ支持体を光軸方向に移動することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−85448号公報
【特許文献2】特開2011−13702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、レンズ支持体の光軸方向への移動はモータの駆動軸により行っているので、モータ及び回転を直線運動に変換する動力変換機構が必要になるから装置が大型化するという問題がある。
これに対して、特許文献2の技術では、レンズ支持体の外周に巻回したコイルとマグネットを固定したヨークとによりレンズ支持体を光軸方向へ移動できるから、装置の小型化を図ることができる。
しかし、特許文献2の技術において、特許文献1の技術のように、レンズ支持体に固定した位置検知用マグネットの磁気を磁気検知センサにより検知する構成では、レンズ支持体に固定したマグネットがヨークに吸引されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、小型で簡易な構成で且つレンズ支持体において光軸と直交するX−Y方向の位置を検知できるレンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内周にレンズを支持するレンズ支持体と、内周側にレンズ支持体を移動自在に支持する環状のヨークと、ヨークを有する固定体と、レンズ支持体の外周に沿って巻回してレンズ支持体をレンズの光軸方向へ移動するための第1コイルと、レンズ支持体の外周に周方向に90度の間隔をあけて配置してレンズ支持体を光軸方向と直交するX−Y方向へ移動するための少なくとも2つの第2コイルと、ヨークに設けたレンズ支持体の駆動用マグネットと、レンズ支持体に固定したX方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットと、固定体に設けてありX方向位置検知マグネットに対向するX方向磁気検知素子及びY方向位置検知マグネットに対向するY方向磁気検知素子とを備え、駆動用マグネットは第1コイルに対向すると共に第2コイルが設けてある位置では第2コイルにも対向しており、ヨークには、X方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットに対向する各位置に空間部が形成してあることを特徴とするレンズ駆動装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、レンズ支持体はレンズの光軸方向に異なる磁極を着磁したZ方向位置検知マグネットを備え、固定体はZ方向位置検知マグネットに対向するZ方向磁気検知素子を備え、レンズ支持体の光軸方向における位置を検知することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、レンズ支持体は錘を備え、レンズ支持体に固定してある位置検知マグネットとの重量バランスを均衡させていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、各磁気検知素子は1つの回路基板に設けてあり、回路基板を固定体に配置して、回路基板から各磁気検知素子の検知信号を導出していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、レンズ支持体のレンズの結像側に設けた画像センサとを備えることを特徴とするオートフォーカスカメラである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のオートフォーカスカメラを搭載したことを特徴とするカメラ付きモバイル端末装置である。
モバイル端末装置とは、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン等を言う。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、レンズ支持体の外周に巻回した第1コイルに電流を流すことで駆動用マグネット及びヨークによる磁束で生じる電磁力によりレンズ支持体を光軸方向に移動し、一方の第2コイル又は他方の第2コイルに電流を流すことで駆動用マグネット及びヨークによる磁束で生じる電磁力によりレンズ支持体をX−Y方向に移動することができる。
本発明によれば、ヨークとマグネットとコイルの構成により光軸方向(以下「Z方向」ともいう)及びX−Y方向に移動できるから、装置の小型化を図ることができる。
また、位置検知用マグネットが設けてある位置では、ヨークに空間部を設けて、位置検知マグネットがヨークに吸引されるのを防止できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、Z方向磁気検知素子によりレンズ支持体の光軸方向の位置を検知することができるから、例えば、レンズ支持体がフォーカスレンズの支持体である場合には、レンズ支持体を合焦点位置へ移動するときのレンズ支持体の位置を検知できる。このレンズ支持体の位置を用いてX、Y方向検知素子の出力を補正することで、レンズ支持体のX−Y方向の位置をより正確に検知することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の作用効果を奏すると共に、レンズ支持体の重量バランスを均衡することにより、レンズ支持体の移動をスムーズに行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作用効果を奏すると共に、複数の磁気検知素子を1つの回路基板に設けているので、1つの回路基板を固定体に取り付けるだけで済み、組み付けが容易にできる。
1つの回路基板において、X方向とY方向との各位置に磁気検知素子を予め設置できるので、この点においても組み付けが容易である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作用効果を奏するオートフォーカスカメラを提供できる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の作用効果を奏するカメラ付きモバイル端末装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】(a)は第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の水平断面図であり、(b)は(a)に示すB部の作用を模式的に示した図である。
【図3】第1実施の形態に係るオートフォーカスカメラにおける、コイル体と駆動部との関係を示すブロック図である。
【図4】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の縦断面図である。
【図5】第1実施の形態における回路基板と、各位置検知マグネットとの関係を示す平面図である。
【図6】図5に示す回路基板とZ方向位置検知マグネットとの関係を示す側面図である。
【図7】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図8】第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図9】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図10】第3実施の形態における回路基板と、各位置検知マグネットとの関係を示す斜視図である。
【図11】第3実施の形態における回路基板と、各位置検知マグネットとの関係を示す側面図である。
【図12】図11に示す回路基板とZ方向位置検知マグネットとの関係を示す側面図である。
【図13】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の断面図である。
【図14】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図15】第4実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図16】第4実施の形態における回路基板と、位置検知マグネットとの関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面の図1〜図7を参照して本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。第1実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、携帯電話に組み込まれるオートフォーカスカメラのレンズ駆動装置である。
【0020】
このレンズ駆動装置1は、図1に示すように、内周にレンズ(図示せず)を支持するレンズ支持体5と、内周側にレンズ支持体5を移動自在に支持する固定体の一部を構成するヨーク3と、ヨーク3の光軸方向前側に配置されるフレーム7及び前側スプリング9と、ヨーク3の後側に配置されるベース8及び後側スプリング11とを備えており、後側スプリング11とヨーク3との間には後側スペーサ(絶縁材)15が配置されている。また、レンズ支持体5の外周にはコイル体4が固定されている。フレーム7、前側スプリング9、ヨーク3、後側スペーサ15、後側スプリング11、ベース8とで固定体が構成されている。
【0021】
ヨーク3の外周側壁3aは前側から見て略四角形状を成しており、四角の角部3bは面取りされた形状になっている。ヨーク3の中心部にはレンズ支持体5が配置される開口部が設けられている。
【0022】
図1及び図2(a)に示すように、ヨーク3の外周側壁3aの各角部3bにはその内周に駆動用マグネット17が所定の間隔で合計4個固定されている。図1に示すように、ヨークの各角部3bには駆動用マグネット17の内周側に延出する内周側壁3cが設けてあり、内周側壁3cは、コイル体4の内周側に配置されている。内周側壁3cは無くてもかまわない。また、各位置検出マグネット43、45、47を用いた場合の錘59が対向する位置には、内周側壁3cを設けないことが望ましい。尚、図2では、ヨークの3の内周側壁3cを省略している。
また、ヨーク3の外周側壁3aには、前側から見て四角形状を成す4つの辺に対応した位置の後端部側に空間部13が形成されている。空間部13は外周側壁3aを分断するように設けても良い。
【0023】
図2(a)に示すように、各駆動用マグネット17は、前側から見た平面がヨーク3の面取りされた角部3bに沿って略台形形状を成しており、その内周側が後述する第1コイル19の外周面に沿った円弧状を成している。また、駆動用マグネット17は内周側と外周側とで磁極を異にしており、例えば内周側をN極とし、外周側をS極としてある。
【0024】
図1に示すように、レンズ支持体5は、略円筒形状であり、その内周側にレンズ(図示せず)が固定される開口部が設けられている。レンズ支持体5の外周に固定されているコイル体4は、第1コイル19と第2コイル16a、16b、16c、16dとから構成されている。
第1コイル19は、レンズ支持体5の周方向全周に亘って巻回した円環状を成していると共に帯状をなしている。
【0025】
更に、図2(a)に示すように、第1コイル19の外周には、4つの第2コイル16a〜16dが周方向に等間隔(90度の間隔)で合計4つ配置されている。図1に示すように、各第2コイル16a〜16dは各々、レンズ支持体の半径方向外側から見て側面視環状を成しており、環を成す方向にコイルを巻回して形成されている。
【0026】
各第2コイル16a〜16dは、第1コイル19の外周面に重ねて配置しており、前側辺部22、後側辺部25及び左右側辺部24、26を第1コイル19に重ねている。
【0027】
各駆動用マグネット17は、第2コイル16a〜16dに対面して設けてあり、図2(b)に示すように、駆動用マグネット17の内周側面17aは、第2コイルの各辺部22、25、24、26に対面してあり、駆動用マグネット17の周方向の寸法は第2コイル16a〜16dの周方向の寸法と略同じ寸法としてあると共にマグネット17の内周側面17aの面積は、対面する第2コイル16a〜16dの面積と略同じ面積になっている。
【0028】
尚、各駆動用マグネット17は、対面する第2コイル16a〜16dを介して第1コイル19に対向している。
【0029】
内周側壁3bがない場合、第2コイル16a〜16dは、図2(b)に示すように、駆動用マグネット17の内周面のうち右(左)側部から出た磁束線の向きは半径方向内方と円周方向右(左)方の成分を持ち、駆動用マグネット17の内周面17aから離れるほど右(左)側へカーブする。即ち、磁束線の向きは半径方向内方と半径方向に対する左右方向の成分を持つ。同様に、駆動用マグネット17の内周面17aのうち光軸方向前側部から出た磁束線は、内周面17aから離れるほど前方側へカーブする。また、駆動用マグネット17の内周面17aのうち光軸方向後側部から出た磁束線の向きは半径方向内方と光軸方向後方の成分を持ち、内周面17aから離れるほど後方側へカーブする。内周側壁3bは上記磁束線の密度とカーブの具合を変更する。
【0030】
例えば、第1コイル19に前方側から見て反時計方向に電流I1を流すと、半径方向内方の鎖交磁束成分が寄与してフレミングの左手の法則により光軸方向前方へ推力が生じ、レンズ支持体5は光軸方向前方へ移動する。第2コイル16aに外方から見て反時計方向に電流I2を流すと、各第2コイル16aの光軸方向前の前側辺部22では光軸方向前方の鎖交磁束成分が寄与して半径方向内方へ推力が生じる。同様に、第2コイル16aの後側辺部25、右側辺部26、左側辺部24においても半径方向内方へ推力が生じる。そのため、レンズ支持体5は第2コイル16aが半径方向内方へ移動するように移動する。
【0031】
即ち、第2コイル16a、16cは、駆動用マグネット17の磁力線のうち第2コイル16a、16cに直交する成分の磁力と、第2コイル16a、16cに流れる電流によって、フレミングの左手の法則により、図2(a)に示すように、レンズ支持体5の半径方向に推力Eが作用し、第2コイル16b、16dも同様に、レンズ支持体5の半径方向に推力Fが作用する。推力Eと推力Fとは互いに直交している。
【0032】
図3に模式的に示すように、第1コイル19は、Z駆動部32に接続されており、各第2各コイル16a〜16dはX―Y駆動部33に接続されており、各々駆動部32、33から所定値の電流が通電される。尚、図3において、一点鎖線で示すZ駆動部32と第1コイル19との接続線及びX―Y駆動部33と第2コイル16a〜16dとの接続線は、電流の入力側又は出力側のみの接続を示している。
本実施の形態では、第2コイル16a及び16cと、16b及び16dとが直列に接続されており、2つの第2コイル16a及び16cで推力Eの方向に、第2コイル16b及び16dで推力Fの方向に駆動するようになっている。
【0033】
例えば、Z駆動部32では、レンズ支持体5をフォーカス位置へ移動(光軸方向へ移動)する場合には、第1コイル19に電流Zを流す。
同様に、手振れ補正をする場合には、X―Y駆動部33では、第2コイル16a及び16cに電流Eを流してE方向にレンズ支持体5を移動させ、第2コイル16b及び16dに電流Fを流してF方向にレンズ支持体5を移動させる。これにより、レンズ支持体5をE―F方向に移動して手振れ補正を行う。
【0034】
Z駆動部32では、画像センサ31から受ける高域成分(コントラスト)のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動する。
X―Y駆動部33には、ジャイロセンサ等の手振れセンサ37が接続されており、X方向及びY方向の手振れ量を算出し、その算出結果に基づいてX−Y駆動部33に駆動信号を発する。
【0035】
尚、図2及び図3において、符合Z、E、Fは流した電流に基づいて生じる推力の方向と大きさを示している。
但し、図2(a)に示すように、本実施の形態では、X方向は前面視四角形状のヨーク3の一辺方向であり、Y方向は前面視四角形状のヨーク3の隣りの辺の方向としてあり、ヨーク3の対角線方向に生じる推力E、Fについて、X方向の分力EXとFXの和がX方向の推力として、Y方向の分力EYとFYの和がY方向の推力として作用することになり、XーY駆動部33では、各X方向の分力の和EX+FXをX方向推力となるように、各Y方向の分力の和EY+FYをY方向推力となるように制御している。
【0036】
次に、レンズ支持体5の固定体に対するX方向、Y方向及びZ方向の位置を検出する位置検出手段41について説明する。図1、図4〜図6に示すように、位置検出手段41は、レンズ支持体5に固定したX方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47と、ベース8に固定したX方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51及びZ方向磁気検知素子53とを備えている。
【0037】
図4に示すように、各位置検知マグネット43、45、47はレンズ支持体5の後端部に固定してあり、且つX方向位置検知マグネット43はレンズ支持体5のY方向の端部に設け、Y方向位置検知マグネット45はレンズ支持体5のX方向の端部に設けてある。X方向位置検知マグネット43とY方向位置検知マグネット45は互いに周方向に90度の間隔をあけて配置されている。
【0038】
Z方向位置検知マグネット47の固定位置は特に限定されないが、本実施の形態では、レンズ支持体5の開口部を挟んでX方向位置検知マグネット47と反対側の位置に固定してある。
X方向位置検知マグネット43はX方向に互いにS極とN極の磁極を異にして着磁してあり、同様にY方向位置検知マグネット43はY方向に互いに磁極を異にして着磁してあり、Z方向位置検知マグネット43はZ方向(光軸方向)に互いに磁極を異にして着磁してある。
各マグネット43、45、47は略同じ寸法で同じ重量の同種のものが用いられている。
【0039】
各磁気検知素子49、51、53はホール素子であり、1つの回路基板55に設けてあると共に各磁気検知素子49、51、53は各々対応するマグネット43、45、47に対向した位置に設けてある。回路基板55は略馬蹄形を成しており、レンズ支持体5の後端に対向配置してベース8に固定してある。尚、図7に示すように、回路基板55の出力端部57はベース8の外周側に延出して装着されている。
各磁気検知素子49、51、53は、各々対応する位置検知マグネット43、45、47からの磁束を検知することにより、位置を検知してその検知信号をX―Y駆動部33へ発信する。
【0040】
レンズ支持体5には、3つの位置検知マグネット43、45、47との重量バランスを均衡させる為に錘59が固定してある。本実施の形態では、錘59は3つの位置検知マグネット43、45、47と同種のマグネットを用いている。
【0041】
尚、図5に示すように、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47は、各々対応する磁気検知素子49、51、53の実際のセンサ部分に対して十分に大きな面積を有し、例えば、レンズ支持体5がX方向に移動してもY方向磁気検知素子51がY方向位置検知マグネット45のY方向の位置を検知できるようになっている。
各位置検知マグネット43、45、47及び錘59はヨーク3の空間部13に対応した位置に配置されている。
【0042】
図1に示すように、前側スプリング9は、組み付け前の自然状態が平板状であり、平面視矩形の環状を成す外周側部9aと、外周側部9aの内周に配置され平面視円弧形状の内周側部9bと、外周側部9aと内周側部9bとを連結する4つの腕部9cとで構成されており、Z方向及びX―Y方向への変形が自在にできるようになっている。
【0043】
後側スプリング11は、組み付け前の自然状態が平板状であり、平面視矩形の環状を成す外周側部11aと、外周側部11aの内周に配置され平面視円形状の内周側部11bと、外周側部11aと内周側部11bとを連結する4つの腕部11cとで構成されている。
【0044】
前側スプリング9の外周側部9aは、フレーム7とヨーク3との間に挟持されており、内周側部9bはレンズ支持体5の前端に固定されている。後側スプリング11の外周側部11aはベース8と後側スペーサ15との間に挟持されており、内周側部11bはレンズ支持体5の後端に固定されている。これにより、レンズ支持体5は前側スプリング9と後側スプリング11とにより、光軸方向(Z方向)及びX―Y方向に移動自在に支持されている。
【0045】
第1コイル19に電流を流すことにより、レンズ支持体5が光軸方向前方に移動すると、レンズ支持体5は、前側スプリング9及び後側スプリング11の前後方向の付勢力の合力と、第1コイル19及びマグネット17との間で生じる電磁力とが吊り合う位置で停止する。
【0046】
レンズ支持体5がX―Y方向に移動する場合には、所定の第2コイル16a〜16dに所定値の電流を流すことにより、前側スプリング9及び後側スプリング11のX―Y方向のスプリングの合力と、第2コイル16a〜16dと各対応するマグネット17との間で生じる電磁力とが吊り合う位置で停止する。
【0047】
次に、本発明の実施の形態に係るレンズ駆動装置1の組立て、作用及び効果について説明する。レンズ駆動装置1の組み立てに先立って、第1コイル19の外周面に各第2コイル16a〜16dを接着固定してコイル体4を形成し、レンズ支持体5の外周に固定する。また、レンズ支持体5の後端部には、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45、Z方向位置検知マグネット47及び錘59を周方向に等間隔で固定する。
【0048】
レンズ駆動装置1の組立ては、図1に示すように、ベース8に、回路基板55、後側スプリング11、後側スペーサ15、レンズ支持体5、各マグネット17を外周側壁3aの内面に固定したヨーク3、前側スプリング9及びフレーム7をこの順序で組み付けて固定する。
【0049】
コイル体4を固定したレンズ支持体5と、マグネット17を内周面に固定したヨーク3との組み付けは、ヨーク3の内周にその後側から前側に向けてレンズ支持体5を挿入して行う。
【0050】
そして、第1コイル19は両端部を各々Z駆動部32に接続し、第2コイル16a〜16dは、対向するコイル16aと16c、16bと16dを直列に接続した後、その両端部を各々X―Y駆動部33に接続する。
【0051】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、画像センサ31から受ける高域成分(コントラスト)のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動する。
【0052】
レンズ支持体5のZ方向への直線移動の際には、第1コイル19に電流値Zを流すことにより生じるマグネット17との間で生じる電磁力と、前側スプリング9及び後側スプリング11との付勢力の合力とが吊り合う位置で停止する。
【0053】
そして、Z方向磁気検知素子53はZ方向位置検知マグネット47の磁気を検知することによりレンズ支持体5のZ方向位置を検知し、その検知信号をX―Y駆動部33へ送る。
【0054】
また、レンズ支持体5のX―Y制御(手振れ補正)は、X−Y駆動部33がジャイロセンサ等の手振れセンサ37によりX―Y方向の手振れ量の大きさを信号として受け、X方向及びY方向の手振れ補正量を演算してレンズ支持体5の移動するべき目標位置E、F(X、Y)を各々決定して、第2コイル16a、16cと、第2コイル16b、16dとに通電する。
【0055】
そして、X方向磁気検知素子49がX方向位置検知マグネット43の磁束を検知することにより、レンズ支持体5のX方向位置を検知し、X−Y駆動部33に出力する。X−Y駆動部33では、レンズ支持体5が手振れセンサがX方向の目標位置に達したかどうかを監視する。
この場合、X―Y駆動部33では、Z方向磁気センサ53が検知したレンズ支持体5のZ方向位置の検知信号を受けて、Z方向位置に応じて、X方向磁気検知素子49が受ける磁気検知信号を補正することで、X方向位置を正確に把握することができる。例えば、レンズ支持体5が画像センサ1から離れるようにZ方向へ移動する場合には、X方向磁気検知素子49に対してX方向位置検知マグネット43が離れるようにレンズ支持体5が移動するので、X方向磁気検知素子49の検出感度が低下する。従って、レンズ支持体5のZ方向の位置に応じて、X方向磁気検知素子49の出力を補正することによって、X方向位置を正確に検知することができる。
【0056】
同様に、レンズ支持体5のY方向の移動においても、Y方向磁気検知素子51がY方向位置検知マグネット45の磁束を検知することにより、レンズ支持体5のY方向位置を検知し、X−Y駆動部33に出力する。X−Y駆動部33では、レンズ支持体5がY方向の目標位置に達したかどうか監視する。
この場合、Y方向磁気検知素子51においても、X方向磁気検知素子49と同様に、Z方向磁気センサ53が検知したレンズ支持体5のZ方向位置に応じてY方向磁気検知素子51の出力を補正することによって、Y方向位置を正確に検知する。
【0057】
本実施の形態によれば、手振れセンサ37がX方向及びY方向の手振れ量を検知し、X―Y駆動部33では、手振れ量に基づくレンズ支持体5の移動するべき目標位置E、F(X、Y)を決定し、目標位置にレンズ支持体5がX方向及びY方向へ移動するようにレンズ支持体5に電流を流す。
尚、レンズ支持体5をX方向及びY方向に移動するための電流を流すときには、目標位置よりも移動量が大きくなるような電流を流し、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51が目標位置に達したことを検知したところで、その位置を維持する為の電流値の電流を流し、レンズ支持体のX方向及びY方向の移動を停止する。
【0058】
レンズ支持体5にはX方向位置検知マグネット43及びY方向位置検知マグネット45を設けているので、これらに各々対応して設けた磁気検知素子49、51が各位置検知マグネット43、45からの磁束を検知する。手振れセンサ37が検知した手振れ量を打ち消す目標位置E、F(X、Y)にレンズ支持体5が移動したか否かを検しする。これにより、レンズ支持体5の手振れ補正が正確に且つ迅速に行うことができる。
【0059】
レンズ支持体5のX−Y方向の位置は、レンズ支持体5に設けた位置検知マグネット43、45と、ベース8に設けた磁気検知素子49、51とで検知できるから、小型で且つ簡易な構成である。
【0060】
また、Z方向位置検知マグネット47とZ方向磁気検知素子53とによりレンズ支持体5の光軸方向の位置を検知し、その検知量に基づいて、X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51の出力を補正するので、レンズ支持体5の手振れ補正を正確に行うことができる。
【0061】
レンズ支持体5は、第1コイル19及び第2コイル16a〜16dに電流を流したときの電磁力により、光軸方向及びX―Y方向移動ができ、コンパクトな構成でレンズ支持体5の駆動ができる。
各位置検知マグネット43、45、47及び錘59はヨーク3の空間部13に対応した位置に配置されているので、各位置検知マグネット43、45、47及び錘59がレンズ駆動装置1の組立時、動作時にヨーク3に吸引されるのを防止できる。また、各位置検知マグネット43、45、47及び錘59が対応する位置に内周側壁3cを設けないことが望ましいのも同じ理由である。
【0062】
X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51及びZ方向磁気検知素子53は1つの回路基板55に設けているので、1つの回路基板55を固定体の一部を構成するベース8に取り付けるだけで組み付けが容易にできる。
【0063】
レンズ支持体5には、錘59を設けて、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47との間で、重量バランスを均衡にしているから、レンズ支持体5の移動をスムーズに行うことができる。
【0064】
マグネット17及び手振れ補正として機能する第2コイル16a〜16dを前側から見た平面視四角形のヨーク3の奥ゆきのある角部3bに配置することにより、手振れ補正機能を有しながら、手振れ補正機能を搭載していないレンズ駆動装置と同様なサイズで且つコンパクトな構成にできる。
【0065】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述の第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符合を付することにより、その部分の説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
【0066】
図8を参照して、第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置を説明する。この第2実施の形態では、レンズ支持体5にはX方向位置検知マグネット43及びY方向位置検知マグネット45のみを設けてあり、Z方向位置検知マグネット47を設けておらず、代わりに錘59を設けていること、及び回路基板55にはX方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51のみを設けてあり、Z方向磁気検知素子53を設けていないことが第1実施の形態と異なっている。
その他の構成は、第1実施の形態と同様である。
【0067】
この第2実施の形態によれば、レンズ駆動装置1では、手振れ補正時には、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51がレンズ支持体5のX方向及びY方向の位置を検知して、レンズ支持体5のX―Y方向の現在位置と目標位置とを比較することに関しては第1実施の形態と同じである。
第2実施の形態において、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51のレンズ支持体5のZ方向位置による補正は、以下のように行う。予め、Z方向の駆動電流Zと、それによって移動するレンズ支持体5の位置の関係を求めておく。実際の駆動時に、Z方向の駆動電流Zを測定し、その値からレンズ支持体5のZ方向の位置を算出し、その値を用いて、X方向磁気検知素子49及びY方向磁気検知素子51の補正をする。よって、上述した第1実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
尚、この第2実施の形態では、レンズ支持体5には位置検知用マグネット43、45との重量バランスの均衡を図る錘59、59を2つ設けてある。
【0068】
また、第2実施の形態では、レンズ支持体5をZ方向へ移動、即ちレンズ支持体5が合焦点位置へ移動する場合には、図3に示すZ駆動部32が画像センサ31から受けるコントラストの高域成分のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動する。
【0069】
図9〜図14を参照して、第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置1を説明する。この第3実施の形態では、図9、図13に示すように、X方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグネット45及びZ方向位置検知マグネット47をレンズ支持体5の側面に配置してあると共に回路基板55を外周側に設けていることが第1実施の形態と大きく異なる。
レンズ駆動装置1の外側面に沿って配置し、X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51、Z方方向磁気検知素子53をレンズ駆動装置1の外側面からそれぞれX方向位置検知マグネット43、Y方向位置検知マグエネット45、Z方向位置検知マグネット47と対応するように設けた。
【0070】
この第3実施の形態によれば、レンズ支持体5の周囲のスペースを利用して回路基板55を配置することができ、レンズ駆動装置1の光軸方向の寸法を大きくすることなく、組み付けすることができる。
【0071】
また、図12に示すように、X方向位置検知マグネット43、Y方向磁気検知マグネット45、Z方向磁気検知マグネット47は、レンズ支持体5がZ方向、X−Y方向に移動してもそれぞれX方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51、Z方向磁気検知素子53との対面位置からずれない充分な大きさを有している。
これにより、例えば、レンズ支持体5がZ方向に移動してもY方向磁気検知素子51はY方向位置検知マグネット45のY方向の移動を十分に検知することができる。
【0072】
図15及び図16を参照して、第4実施の形態にかかるレンズ駆動装置を説明する。この第4実施の形態では、この第4実施の形態では、第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置1において、Z方向位置検知マグネット47及びZ方向磁気検知素子53がないことが第3実施の形態と異なっている。また、錘59はZ方向位置検知マグネット47の位置にも設けてあり合計2つ配置して、レンズ支持体5の重量バランスの均衡を図っている。
【0073】
レンズ支持体5の合焦点位置への移動は、第2実施の形態と同様に、Z駆動部32が画像センサ31から受けるコントラストの高域成分のピークを比較しつつ、合焦点位置へ移動する。また、X方向磁気検知素子49、Y方向磁気検知素子51のレンズ支持体5のZ方向位置による補正は、第2実施の形態と同様である。
【0074】
本発明は上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、第1実施の形態において、第2コイル16a〜16d及びマグネット17はヨーク3の各角部3bに設けることに限らず、互いに周方向に90度の間隔をあけていれば良い。
【0075】
第2コイル16a〜16dは、互いに90度間隔をあけて隣合わせに2つだけ設けても良い。
【0076】
第2コイル16a〜16dは、第1コイル19の内周側に配置しても良い。
上述した実施の形態において、レンズ支持体5は、ズームレンズを保持して、ズーム倍率に応じてZ方向に移動するものであってもよい。
【0077】
ヨーク3に形成する空間部13は、その形状や寸法は制限されず、各位置検知マグネット43、45、47及び錘59がヨーク3に吸引されるのを防止できるものであれば良い。
【符号の説明】
【0078】
1 レンズ駆動装置
3 ヨーク
5 レンズ支持体
13 空間部
32 Z駆動部
33 X−Y駆動部
35 合焦点演算手段
37 手振れセンサ
43 X方向位置検知マグネット
45 Y方向位置検知マグネット
47 Z方向位置検知マグネット
49 X方向磁気検知素子
51 Y方向磁気検知素子
53 Z方向磁気検知素子
55 回路基板
59 錘
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周にレンズを支持するレンズ支持体と、内周側にレンズ支持体を移動自在に支持する環状のヨークと、ヨークを有する固定体と、レンズ支持体の外周に沿って巻回してレンズ支持体をレンズの光軸方向へ移動するための第1コイルと、レンズ支持体の外周に周方向に90度の間隔をあけて配置してレンズ支持体を光軸方向と直交するX−Y方向へ移動するための少なくとも2つの第2コイルと、ヨークに設けたレンズ支持体の駆動用マグネットと、レンズ支持体に固定したX方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットと、固定体に設けてありX方向位置検知マグネットに対向するX方向磁気検知素子及びY方向位置検知マグネットに対向するY方向位置磁気検知素子とを備え、
駆動用マグネットは第1コイルに対向すると共に第2コイルが設けてある位置では第2コイルにも対向しており、
ヨークには、X方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットに対向する各位置に空間部が形成してあることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
レンズ支持体はレンズの光軸方向に異なる磁極を着磁したZ方向位置検知マグネットを備え、固定体はZ方向位置検知マグネットに対向するZ方向磁気検知素子を備え、レンズ支持体の光軸方向における位置を検知することを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
レンズ支持体は錘を備え、レンズ支持体に固定してある位置検知マグネットとの重量バランスを均衡させていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
各磁気検知素子は1つの回路基板に設けてあり、回路基板を固定体に配置して、回路基板から各磁気検知素子の検知信号を導出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、レンズ支持体のレンズの結像側に設けた画像センサとを備えることを特徴とするオートフォーカスカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のオートフォーカスカメラを搭載したことを特徴とするカメラ付きモバイル端末装置。
【請求項1】
内周にレンズを支持するレンズ支持体と、内周側にレンズ支持体を移動自在に支持する環状のヨークと、ヨークを有する固定体と、レンズ支持体の外周に沿って巻回してレンズ支持体をレンズの光軸方向へ移動するための第1コイルと、レンズ支持体の外周に周方向に90度の間隔をあけて配置してレンズ支持体を光軸方向と直交するX−Y方向へ移動するための少なくとも2つの第2コイルと、ヨークに設けたレンズ支持体の駆動用マグネットと、レンズ支持体に固定したX方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットと、固定体に設けてありX方向位置検知マグネットに対向するX方向磁気検知素子及びY方向位置検知マグネットに対向するY方向位置磁気検知素子とを備え、
駆動用マグネットは第1コイルに対向すると共に第2コイルが設けてある位置では第2コイルにも対向しており、
ヨークには、X方向位置検知マグネット及びY方向位置検知マグネットに対向する各位置に空間部が形成してあることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
レンズ支持体はレンズの光軸方向に異なる磁極を着磁したZ方向位置検知マグネットを備え、固定体はZ方向位置検知マグネットに対向するZ方向磁気検知素子を備え、レンズ支持体の光軸方向における位置を検知することを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
レンズ支持体は錘を備え、レンズ支持体に固定してある位置検知マグネットとの重量バランスを均衡させていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
各磁気検知素子は1つの回路基板に設けてあり、回路基板を固定体に配置して、回路基板から各磁気検知素子の検知信号を導出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、レンズ支持体のレンズの結像側に設けた画像センサとを備えることを特徴とするオートフォーカスカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のオートフォーカスカメラを搭載したことを特徴とするカメラ付きモバイル端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−177753(P2012−177753A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39729(P2011−39729)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000131348)シコー株式会社 (168)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000131348)シコー株式会社 (168)
【Fターム(参考)】
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