説明

レンチキュラーシート作製装置および作製方法

【課題】レンチキュラーシートの作製装置および作製方法を提供する。
【解決手段】
感光体と、前記感光体に静電潜像を形成するための光照射部と、前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像部と、透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写部と、転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成部とを備えるレンチキュラーシート作製装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、3次元の立体画像の表示用に用いられるレンチキュラーシートの作製装置および作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のレンチキュラーシート作製装置は、高画質の画像を再現性および操作性良く、かつ安価に形成できることから、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびこれらの2種以上の機能を有する複合機などとして利用されている。
【0003】
レンチキュラー(lenticular)シートは、シート表面に細長い微細なカマボコ状の凸レンズ(レンチキュラーレンズ)を並べてシート状に配置したものであり、当該シートの裏面に印刷されたレンチキュラー画像(2つ以上の画像を短冊状に分割し、レンチキュラーレンズのピッチに合わせて交互に並べられた画像)が凸レンズの屈折効果により、見る角度によって画像が切り替わる。このようなレンチキュラーシートを用いると、見る角度を変えることで複数の画像を切りかえることが可能になる。特に、左右の目からの視差を利用することにより3D眼鏡等の特別な装置を用いることなしに立体感のある画像が実現できるため、ポスターや看板等の用途に広く使用されている。
【0004】
これら電子写真方式のレンチキュラーシート作製装置に用いられる透明シートとしては、紙、プラスチックフィルムやシート等がある。このようなレンチキュラーシートの作製方法としては、例えば、透光性を示す透明シートの片面側にレンチキュラーレンズを形成するための熱可塑性の樹脂層、もう一方の面側にトナーによる像形成を行うための熱可塑性の受像層を設けた透明シートを用いてトナーによる画像形成を行った後、レンチキュラーレンズを形成するための樹脂層にレンズ形成を行うことで表面にレンズ層を有する画像が得られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−26477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法においては、トナーによる像形成に電子写真方式を用いている一方で、レンチキュラーレンズの形成には成形型による熱プレス等の別工程を用いるため、別途作製装置を必要としていた。それゆえ、透明トナー層の形成からレンチキュラーレンズの形成までの一連の工程を全て電子写真方式で行うことにより、単一の装置で手軽に作製できるレンチキュラーシート作製装置および作製方法が望まれていた。
【0007】
この発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、透明トナー層の形成からレンチキュラーレンズの形成までの一連の工程を全て電子写真方式で行うことにより、単一の装置で手軽に作製できるレンチキュラーシート作製装置および作製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置は、感光体と、前記感光体に静電潜像を形成するための光照射部と、前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像部と、透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写部と、転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成部とを備えるレンチキュラーシート作製装置を提供するものである。
【0009】
この発明によるレンチキュラーシート作製方法は、感光体に静電潜像を形成するための光照射工程と、前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像工程と、透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写工程と、転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成工程とを有するレンチキュラーシート作製方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置および作製方法によれば、透明トナー層の形成からレンチキュラーレンズの形成までの一連の工程を全て電子写真方式で行うことにより、単一の装置で手軽に作製できるレンチキュラーシート作製装置および作製方法が実現できる。
【0011】
また、画像形成装置の分野で常用される技術である電子写真方式を用いることにより、安定して動作し、信頼性の高いレンチキュラーシート作製装置および作製方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施形態に係るレンチキュラーシート作製装置の構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施形態に係るレンズ形成部の構成を示す断面図である。
【図3】図2に示すレンズ形成部の要部斜視図である。
【図4】図3に示すレンズ形成ローラの変形例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施例およびその変形例に係るレンチキュラーシート作製装置によるレンズ形成後のレンチキュラーシート表面の測定結果である。
【図6】この発明の実施形態に係るウェブ圧接ローラの変形例を示す説明図である。
【図7】この発明の実施形態に係るレンズ形成部の変形例の構成を示す断面図である。
【図8】図7に示すレンズ形成部の要部斜視図である。
【図9】図8に示すレンズ形成ベルトの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置は、感光体と、前記感光体に静電潜像を形成するための光照射部と、前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像部と、透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写部と、転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成部とを備える。
【0014】
この発明によるレンチキュラーシート作製方法は、感光体に静電潜像を形成するための光照射工程と、前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像工程と、透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写工程と、転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成工程とを有する。
【0015】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置および作製方法において、前記レンズ形成部は、内部ヒータにより加熱され軸周りに回転するレンズ形成ローラと、前記レンズ形成ローラに対向して配設され、前記レンズ形成ローラを加圧する加圧ローラとからなり、前記レンズ形成ローラは、外周面上に所定ピッチで複数本の溝が形成され、前記加圧ローラは、前記レンズ形成ローラとの間にニップ部を形成し、前記透明シートは、前記ニップ部に搬送され、前記レンズ形成ローラは前記透明トナー層を外周面で順次圧接し加熱変形することにより前記レンチキュラーレンズを形成させるものであってもよい。
【0016】
このようにすれば、レンズ形成部をローラ構造体(回転体)とすることにより、レンズ形成部をコンパクトにすることが可能となる。
【0017】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置および作製方法において、前記レンズ形成部は、ヒータを備えるベルト支持部材と、ベルト支持ローラと、前記ベルト支持部材およびベルト支持ローラ間に回転可能に張架され前記ヒータにより加熱される無端状のレンズ形成ベルトと、前記レンズ形成ベルトを介して前記ベルト支持ローラに対向して配設される加圧ローラとからなり、前記レンズ形成ベルトは、外周面上に所定ピッチで複数本の溝が形成され、前記加圧ローラは、前記ベルト支持ローラを加圧し前記ベルト支持ローラとの間にニップ部を形成し、前記透明シートは、前記ニップ部に搬送され、前記レンズ形成ベルトは前記透明トナー層を外周面で順次圧接し加熱変形することにより前記レンチキュラーレンズを形成させるものであってもよい。
【0018】
このようにすれば、レンズ形成部をベルト形状とすることで熱容量を小さくでき、またヒータを備えるベルト支持部材によりレンズ形成ベルトを加熱することで、素早い昇温が可能となり、ウォームアップ時間の大幅な短縮等が可能となる。
【0019】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置において、前記光照射部は、前記透明シートのサイズに対応した静電潜像を前記感光体上に形成させるものであってもよい。
このようにすれば、透明シートのサイズに対応した静電潜像を形成することにより透明シートのサイズに応じて、透明トナーを塗布する領域が設定されるため、必要以上に無駄なトナーが消費されず、効率的なレンチキュラーシート作製装置および作製方法が実現できる。
【0020】
また、レンズ形成ベルトとの圧接による透明トナー層の透明シートからのはみ出しを考慮して、透明トナーを塗布すべき領域に対応する静電潜像を設定することにより、圧接による透明シートからの透明トナーのはみ出しを事前に防止できる。それゆえ、使用のたびに異なるサイズの透明シートを用いた場合でも安定して動作する信頼性の高いレンチキュラーレンズ作製装置および作製方法が実現できる。
【0021】
ところで、レンズ形成ローラ長に対して透明シートのサイズが小さい場合、圧接によって透明シートの周囲からはみ出した透明トナーがレンズ形成ローラに付着してしまう場合がある。このような成形型に付着したオフセットトナーを放置すれば、次にサイズの大きな透明シートを使用するとき、当該オフセットトナーの付着部分において透明層の厚さの分布が不均一になるため、良好なレンチキュラーレンズ形成の妨げとなる。しかしながら、この発明によるレンチキュラーシート作製装置は、透明シートのサイズに合わせて感光体に光照射し静電潜像を形成するため、使用のたびに異なるサイズの透明シートを用いた場合でも上のような不都合は生じず、安定して動作する信頼性の高いレンチキュラーレンズ作製装置および作製方法が実現できる。
【0022】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置において、前記溝は、前記回転方向に形成されるものであってもよい。
このようにすれば、溝をレンズ形成ローラまたはレンズ形成ベルトの回転方向に形成することにより、細長の透明シートをレンチキュラーシート作製装置に対して縦送りに供給することで、透明シートの長手方向に沿ったレンチキュラーレンズが簡単に形成できるため、レンチキュラーシートの生産性が向上する。特に、細長シートの縦方向に沿ったレンチキュラーレンズを横方向から見て3D効果を得るレンチキュラーシートの量産が容易に実現できる。
【0023】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置において、前記溝は、前記回転方向に直交する方向に形成されるものであってもよい。
このようにすれば、溝をレンズ形成ローラまたはレンズ形成ベルトの軸方向に形成することにより、細長の透明シートをレンチキュラーシート作製装置に対して縦送りに供給することで、透明シートの短手方向に沿ったレンチキュラーレンズが簡単に形成できるため、レンチキュラーシートの生産性が向上する。特に、細長シートの横方向に沿ったレンチキュラーレンズを縦方向から見て3D効果を得るレンチキュラーシートの量産が容易に実現できる。
【0024】
特に、レンズ形成ベルトを用いた場合、レンズ形成ベルトの外周長をベルト支持ローラの直径に依存せず自由に設定できるため、レンズ形成ベルト外周面全体での溝の間隔の均一性を確保しやすい。それゆえ、ローラ外周面上に溝を形成する場合とは異なり、隣接する溝間の間隔を周全体において終始一定に保つべく、ローラの外周長がレンチキュラーレンズのピッチ幅のちょうど整数倍になるようにローラの直径を設計する必要がない。
【0025】
さらに、レンズ形成ベルトを用いた場合、予めレンズ形成ベルト周方向の異なる領域に、異なるピッチの溝のパターンを複数種類用意しておき、レンズ形成ベルトの送り方向の位置検出を行うことにより、必要なピッチの溝のパターンの領域をすばやく選択して使用することが可能となる。これにより、レンズ形成部の交換や切り替え等の煩雑な作業なしに、異なるピッチの溝を選択し、必要なピッチのレンチキュラーレンズを手軽に形成できる。
【0026】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置において、前記透明トナーは、前記外周面への付着を防止する離型剤を含むものであってもよい。
このようにすれば、透明トナーにレンズ形成ローラまたはレンズ形成ベルトの外周面への付着を防止する離型剤を用いることにより、レンズ形成ローラへのオフセットトナーの発生を減少し、長時間安定して動作する信頼性の高いレンチキュラーレンズ作製装置が実現できる。
【0027】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置において、前記外周面は、前記透明トナーの付着を防止する離型層をさらに備えたものであってもよい。
このようにすれば、レンズ形成ローラまたはレンズ形成ベルトの外周面上に透明トナー離型層を設けることにより、レンズ形成ローラへのオフセットトナーの発生を減少し、長時間安定して動作する信頼性の高いレンチキュラーレンズ作製装置が実現できる。また、透明トナー離型剤を当該外周面上に塗布することにより、透明トナー離型層を形成してもよい。
【0028】
この発明によるレンチキュラーシート作製装置において、耐熱性のウェブと、前記ウェブを巻回して保持するウェブ送出ローラと、前記ウェブ送出ローラから送出された前記ウェブを介して前記レンズ形成部に対向して配設されるウェブ圧接ローラと、前記ウェブ圧接ローラから送出された前記ウェブを巻取るウェブ巻取りローラとからなり、前記ウェブを前記レンズ形成ローラの外周面に圧接摺動することにより前記レンズ形成ローラの外周面に付着した前記透明トナーを除去するクリーニング部をさらに備え、前記ウェブ圧接ローラは、表面が前記溝に対応した形状を有するものであってもよい。
このようにすれば、例えばウェブ圧接ローラをレンズ形成ローラの溝に対応した凸状形状に形成することにより、レンズ形成ローラまたはレンズ形成ベルトの外周面の溝の底面に付着したオフセットトナーも確実に除去でき、長時間安定して動作する信頼性の高いレンチキュラーシート作製装置が実現できる。
【0029】
特に、レンズ形成ローラとの圧接により透明シートの周囲から透明トナーがはみ出してレンズ形成ローラに付着した場合においても、当該ウェブによりレンズ形成ローラに付着したオフセットトナーを効率的に除去できる。それゆえ、サイズの異なる透明シートを連続して使用する場合においても、レンズ形成後のクリーニング等の手間を要せず、安定して動作する信頼性の高いレンチキュラーシート作製装置が実現できる。
【0030】
クリーニング用のウェブ(繊維)には、例えば、耐熱性不織布を使用できる。耐熱性不織布としては特に制限されないが、例えば、芳香族ポリアミド繊維と高温で軟化するポリエステル繊維とを含み、適度の柔軟性と機械的強度とを併せ持つ不織布などが挙げられる。このような耐熱性不織布は市販されており、例えば、ノーメックス(登録商標)、ヒメロン(商品名)などが挙げられる。また、ウェブの厚さも特に制限されないが、好ましくは30〜100μmである。
【0031】
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態に係るレンチキュラーシート作製装置および作製方法について詳述する。なお、以下の説明はすべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0032】
なお、図面は模式的なものであり、各図面の寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。同様に、図面相互間においても互いの寸法の比率等が異なることに留意すべきである。それゆえ、具体的な寸法等については、以下の説明または技術常識等を参酌して判断すべきである。
【0033】
この発明の実施形態に係るレンチキュラーシート作製装置について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0034】
≪レンチキュラーシート作製装置の構成≫
図1は、この発明の実施形態に係るレンチキュラーシート作製装置の構成を示す説明図である。レンチキュラーシート作製装置100は、透明トナー層形成部1と転写部2と透明シート供給部3とレンズ形成部4と透明シート排出部5とからなる。
【0035】
透明トナー層形成部1は、感光体ドラム11と帯電部12と、光走査部13と、現像部14と、現像剤補給容器15と、ドラムクリーナ16と、感光体除電部17とを含む。
感光体ドラム11は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転駆動可能に支持されるローラ状部材である。感光体ドラム11は、感光層を含み、該感光層の表面において、静電潜像ひいては透明トナー層を担持する像担持体である。
【0036】
感光体ドラム11には、例えば、アルミニウムなどからなる導電性基体と、該導電性基体表面に形成される感光層とからなるものを使用できる。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状の導電性基体を好ましく使用できる。感光層としては、有機感光層、無機感光層などが挙げられる。
【0037】
有機感光層としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、または、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光層としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む樹脂層が挙げられる。
導電性基体と感光層との間には、下地層が介在してもよい。また、感光層の表面には感光層を保護するための表面層(保護層)が設けられてもよい。
【0038】
帯電部12は、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる部材である。帯電部12は、感光体ドラム11に対向する位置に、感光体ドラム11の長手方向に沿って設置される。接触帯電方式の帯電装置の場合、帯電部12は、感光体ドラム11表面に接するように設置される。非接触帯電方式の帯電装置の場合、帯電部12は、感光体ドラム11表面から離隔するように設置される。
【0039】
帯電部12としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
【0040】
光走査部13は、帯電状態にある感光体ドラム11表面に、デジタル信号からなる画像情報に対応するレーザ光を照射して、感光体ドラム11表面に該画像情報に対応する静電潜像を形成する。光走査部13には、半導体レーザ装置などを使用できる。
光走査部13は、透明シート21(図2)のサイズに応じて透明トナー層22(図2)を形成する領域を設定するためのものであり、感光体ドラム11表面に透明トナー層を形成するとき、必要以上に無駄な透明トナー量の消費を回避するため、感光体ドラム11表面に透明シート21のサイズに対応する静電潜像を形成するために用いられる。
【0041】
現像部14は、現像ローラと、攪拌ローラとを含む。現像ローラは、軸線回りに回転可能に支持されるローラ状部材である。現像ローラは、感光体ドラム11に対向する面に形成される開口部から、その一部が外方に向けて突出して感光体ドラム11表面に近接するように設けられる。
【0042】
現像ローラは、図示しない固定磁極を内包しており、該固定磁極によって、現像ローラ表面に現像剤を担持する。現像ローラは、現像ローラと感光体ドラム11との近接部(現像ニップ部)において、担持した現像剤を感光体ドラム11表面の静電潜像に供給し、感光体ドラム11表面に透明トナー層を形成する。現像ローラは、感光体ドラム11と逆方向に回転駆動する。したがって、現像ニップ部においては、現像ローラ表面と感光体ドラム11表面とが同じ方向に移動する。
現像ローラは、図示しない電源と接続され、該電源から直流電圧(現像電圧)が印加される。これによって、現像ローラ表面の現像剤は、静電潜像に円滑に供給される。
【0043】
現像部14は、感光体ドラム11に対向する面に開口部が形成され、内部空間を有する容器状部材である。現像部14は、その内部空間に攪拌ローラを備え、現像剤を貯留する。現像剤としては、画像形成装置の分野で常用されるものを使用できる。現像剤は、透明トナーのみからなる1成分現像剤であっても、透明トナーとキャリアとからなる2成分現像剤であってもよい。
攪拌ローラは、現像部14の内部空間において軸線回りに回転駆動可能に支持されるスクリュー状部材である。攪拌ローラは、回転駆動によって、現像部14内の現像剤を現像ローラの表面周辺に送給する。
【0044】
現像剤補給容器15は、その内部空間に現像剤を貯留する容器状部材である。現像剤補給容器15は、現像部14における現像剤の消費状況に応じて、現像部14に現像剤を補給する。
ドラムクリーナ16は、感光体ドラム11表面の透明トナー層が透明シートに転写された後に、感光体ドラム11表面に残存する現像剤を除去、回収する。
感光体除電部17は、ドラムクリーナ16によって現像剤が回収された後の感光体ドラム11を除電する。感光体除電部17にはランプなどの照明部を用いることができる。
【0045】
転写部2は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。転写部2は、感光体ドラム11に圧接する。転写部2と感光体ドラム11との圧接部を転写ニップ部と呼ぶ。後述する透明シート供給部3によって供給される透明シートには、転写ニップ部において、透明トナー層が転写される。転写部2は、未定着の透明トナー層22を担持した透明シート21を、レンズ形成部4へ搬送する。
【0046】
転写部2には、例えば金属製軸体と、該金属製軸体の表面を被覆する導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。金属製軸体は、例えば、ステンレス鋼などの金属合金によって形成される。導電性層は、導電性の弾性体などによって形成される。導電性の弾性体としては画像形成装置の分野で常用されるものを使用でき、例えば、カーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。
【0047】
転写部2は、図示しない高圧電源と接続される。転写部2には、高圧電源から、感光体ドラム11の表面に形成される透明トナー層の帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、感光体ドラム11表面に形成される透明トナー層は、透明シートの表面に円滑に転写される。
【0048】
透明シート供給部3は、透明シートカセット31,31bと、ピックアップローラ32と、搬送ローラ34と、レジストローラ35とを含む。透明シートカセット31,31bは透明シート21を貯留する。透明シート21のサイズには、A4、A3、B5、B4、葉書サイズなどがある。
【0049】
ピックアップローラ32は、透明シートを搬送ローラ34に1枚ずつ送給するローラ状部材である。透明シートカセット31に貯留される透明シートは、ピックアップローラ32によって搬送ローラ34に送給される。透明シートカセット31bに貯留される透明シート21は、透明シート受入口33aを経て搬送ローラ34に送給される。
搬送ローラ34は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。搬送ローラ34は、レジストローラ35へ透明シートを送給する。
レジストローラ35は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。レジストローラ35は、感光体ドラム11上の透明トナー層が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、該転写ニップ部に透明シートを送給する。
【0050】
透明シート排出部5は、レンズ形成部4の下流に設けられており、レンズ形成されたレンチキュラーシートが排出される。
【0051】
≪レンズ形成部の構成≫
次に、レンチキュラーシート作製装置100におけるレンズ形成部4の構成を説明する。
図2は、この発明の実施形態に係るレンズ形成部の構成を示す断面図である。
図3(A)は、この発明の図2に示すレンズ形成部の要部斜視図である。
図3(B)は、図3(A)に示すレンズ形成ローラ外周面の一部断面図である。
【0052】
レンズ形成部4は、1対のローラ(レンズ形成ローラ41および加圧ローラ42)からなり、この1対のローラ41および42によって形成されるレンズ形成ニップ部Nを、透明トナー層22を担持した透明シート21が通過する。透明シート21上に層形成された透明トナー層22は、このレンズ形成ニップ部Nで、レンズ形成ローラ41内部の加熱源(ハロゲンランプ43)からの熱およびレンズ形成ローラ41外周面の圧力により加熱成形されて、レンチキュラーレンズに形成される。この一対のローラのうち、透明トナー面側に存在するレンズ形成ローラ41は軸線方向両端を支持され、図示しない駆動源によって回転可能なように設けられる。レンズ形成ローラ41は、芯金411と離型層413とを含む。芯金411を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などを使用することができる。芯金411の形状は直円筒状であり、芯金411の軸線方向両端部には、絞り構造があってもよいし無くてもよい。
【0053】
また、このレンズ形成ローラ41の表面は、透明トナーの離型性を確保するために離型層413が形成されている。離型層413の材料としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料が挙げられる。あるいは、これらフッ素樹脂を含んだDLC(ダイヤモンドライクカーボン)材料などを用いてもよい。なお、これらの厚みは、50nm〜30μm程度が好ましい。極端に薄い場合、耐久性が問題となり、厚くなり過ぎると、溝部が埋まってしまう等、溝形状が大きく変化する結果、レンズ形成が上手くできなくなる可能性があるためである。
【0054】
なお、透明トナーの離型性を確保するために、レンズ形成ローラ41の表面に離型層413を形成する代わりに、シリコーンオイル等の離型剤を塗布する構成としてもよい。シリコーンオイルとしては粘度が1,000CSから10,000CS程度のオイルを使用することができる。
【0055】
図3(A)に示されるように、レンズ形成ローラ41の表面には、透明シート上の透明トナーをレンズ形状に形成できるように凹面形状の溝が多数形成されている。溝の形成方向はレンズ形成ローラ41の回転方向に沿って形成されている。
図3(B)に示されるように、レンズ形成ローラ41の表面は、所定ピッチで複数本の溝が形成されている。溝加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。
【0056】
一方、透明トナー層とは反対側の面に接する側の加圧ローラ42としては、通常、電子写真方式の画像形成装置の定着部で用いられる、所謂、加圧ローラを使用することができる。
この加圧ローラ42は、軸線方向両端を支持され、図示しない加圧機構によってレンズ形成ローラ41を押圧した状態で回転自在に設けられる。加圧ローラ42は、芯金421と弾性層422と離型層423とを含む。
【0057】
芯金421を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などを使用することができる。芯金421の形状は直円筒状であり、芯金421の軸線方向両端部には、絞り構造があってもよいし無くてもよい。
【0058】
弾性層422は、レンズ形成ローラ41と加圧ローラ42で形成されるレンズ形成ニップ部Nの領域を大きくするために設けられるもので、芯金421の外周面上に設けられる。弾性層422を構成する材料としては、ゴム弾性を有するもの、より好ましくは、ゴム弾性を有し、耐熱性に優れるものを用いることができる。具体例としては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、またはフルオロシリコンゴムなどが挙げられる。また、これら材料の発泡体としてもよいが、特にゴム弾性に優れるシリコンゴムが好ましい。レンズ形成ニップ幅W(レンズ形成ニップ部Nの透明シート21の搬送方向の長さ)は、例えば7mmであることが好ましい。
【0059】
離型層423は、弾性層422の外周面上に設けられる。加圧ローラ42の離型層423を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、トナーとの付着力が弱いものを用いることができる。離型層423を構成する材料の具体例としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、フッ素ゴムなどが挙げられる。PFAや、PTFEの場合は、これらの材料からなるチューブを被覆しても、あるいはコートしても問題ない。なお、離型層423の厚さは10μm〜50μmであることが好ましい。
【0060】
加圧ローラ42の芯金の軸方向の両端部にはボールベアリングが挿着されており、レンズ形成ローラ41の回転に伴い従動回転する
加圧ローラ42は、図示しない加圧機構によって、軸線方向において一様な押圧力であって総荷重が400Nである押圧力で、レンズ形成ローラ41を押圧している。
【0061】
サーモスタット44は、レンズ形成ローラ41の温度を調節する温度調節部材である。サーモスタット44により、透明トナー層の形成に最適な温度を維持する。
【0062】
次に、透明トナーのクリーニング部46について説明する。
クリーニング部46は、ウェブ461と、送出ローラ462と、ウェブ圧接ローラ463と、巻取りローラ464とを含み、表面に付着したオフセットトナーなどを除去する。
ウェブ461は、送出ローラ462からウェブ圧接ローラ463に向けて送り出され、ウェブ圧接ローラ463に巻回されてローラ表面に圧接した後、巻取りローラ464によって巻き取られるように設けられる。ウェブ461とローラ表面との圧接部がクリーニングニップ部となる。
【0063】
この実施形態においては、ウェブ461として厚さ40μmのものを使用する。また、ウェブ461には離型効果などを有するオイルを含浸させ得る。オイルとしては画像形成装置の分野で常用されるものを使用でき、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。この実施形態においては、0.01m2/s(10000センチストークス、25℃)程度の粘度を持つシリコーンオイルを含浸させた。
【0064】
送出ローラ462は軸線回りに従動回転可能に支持され、その表面にウェブ461を巻回して保持する。この実施形態においては、ローラ462は、反時計回りの方向に従動回転してウェブ461を送り出すように構成される。
ウェブ圧接ローラ463は、長手方向の両端が図示しない軸受けによって従動回転可能に軸支されるローラ状部材である。ウェブ圧接ローラ463は、図示しない押圧手段によってウェブ461を介してローラ表面に圧接するように設けられる。ウェブ圧接ローラ463は、巻取りローラ464によるウェブ461の巻取り動作時に従動回転する。ウェブ圧接ローラ463には、例えば、金属製芯金と、金属製芯金の表面に形成される弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。弾性層を構成する弾性材料としては、例えば、シリコンゴムなどの耐熱性ゴム、その発泡体などが挙げられる。弾性層の表面硬度は特に制限されないが、好ましくは20°〜30°(Asker−c、アスカーC硬度)である。
【0065】
押圧手段には、例えば、ばね部材などが用いられる。ウェブ圧接ローラ463の長手方向の幅は、レンチキュラーシート作製装置100において形成しようとするレンチキュラーシート作製領域の最大幅よりも大きくすればよい。また、クリーニングニップ部の幅(クリーニングニップ幅)はクリーニング部46のクリーニング性能に大きな影響を及ぼすので、適切な範囲に設計するのが好ましい。クリーニングニップ幅は、主に、ウェブ圧接ローラ463のローラに対する押圧力、ウェブ圧接ローラ463のローラ径などによって決定される。
【0066】
巻取りローラ464は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持され、ローラと接触した後のウェブ461を巻き取る。巻取りローラ464の回転駆動によって、ウェブ461が送出ローラ462から送り出され、クリーニング動作が開始される。クリーニング部46の動作は、図示しないCPUによって制御される。CPUは、所定の枚数の透明シートがレンズ形成ニップ部Nを通過したことをセンサ、ローラの回転回数などによって検知した後、巻取りローラ464を回転させる図示しない駆動手段(ここではレンチキュラーシート作製装置100の本体内部に設けられるモータ)に制御信号を送る。制御信号を受けた駆動手段は、巻取りローラ464を回転させてウェブ461を一定量巻き取る。この巻取りによってウェブ461が送出ローラ462からウェブ送り方向R3の方向に送り出される。このようにしてローラ表面のオフセットトナーなどを取り込んで清浄化する。
なお、この実施形態においては、巻取りローラ464によって間欠的に巻取りを行う動作例を示したが、それに限定されず、透明シートがレンズ形成ニップ部Nを通過するタイミングに合わせて連続的に巻取りを行ってもよい。
【0067】
次に透明トナーについて説明する。
ポリスチレン樹脂、スチレンの置換体の単独重合体からなる樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
これらの結着樹脂の中でも、透明トナー用結着樹脂としては、保存性、耐久性等を考慮すると、軟化点が100〜150℃、ガラス転移点が50〜80℃である結着樹脂が好ましく、前記の軟化点およびガラス転移点を有するポリエステル樹脂が好ましい。透明性という観点ではCOC樹脂も良好である。
【0069】
透明トナーには離型剤が含まれる。離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ワックスを用いることができる。ワックスとしては画像形成装置の分野で常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等が挙げられる。
離型剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0070】
結着樹脂、離型剤の他に、帯電制御剤等の一般的な透明トナー用添加剤、外添剤を含有できる。
帯電制御剤としては、透明トナーを帯電させるまたはその帯電をコントロールできるものであれば特に制限されるものではない。しかし、透明トナーの透明性に影響を及ぼさないものであることが好ましい。このような帯電制御剤としては、一般的には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン誘導体、サリチル酸亜鉛錯体、ナフトール酸亜鉛錯体、ベンジル酸誘導体の金属酸化物等が挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上の帯電制御剤を併用してもよい。
帯電制御剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0071】
透明トナーは、公知のトナー母粒子の方法に従って製造することができる。例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法等を挙げることができる。
透明トナーの体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、2μm〜10μmであることが好ましい。レンチキュラーレンズの形成に際しては、領域のエッジ部も含め、できる限り厚さが均一な透明トナー層を形成するためである。
体積平均粒径が2μmより小さい場合は、得られた透明トナーの流動性が低下する。これによって、現像動作の際に、透明トナーの供給、撹拌および帯電が不充分になり、透明トナー量の不足、逆帯電トナーの増加等が起こる。この結果、良好な透明トナーの層形成ができない等の問題が発生する場合がある。一方、トナーの体積平均粒径が10μmより大きい場合も、透明トナー層の厚さの均一性が失われる等の問題が発生する。
【0072】
外添剤は、透明トナーに対して、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善、および感光体表面の磨耗特性制御等の機能を付与する目的で添加される。具体的には、画像形成装置の分野で通常用いられる外添剤、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタンやアクリル微粉末、金属石鹸微粒子等が用いられる。添加量としても通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0073】
なお、このようにして製造された透明トナー22は、そのまま一成分現像剤として用いることも可能であり、キャリア粒子と混合攪拌することで二成分現像剤として用いることも可能である。
二成分現像剤に用いられるキャリア粒子としては、特に限定されるものではなく、画像形成装置の分野で通常用いられるキャリア粒子を用いることができるが、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性材料;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等からなるキャリア粒子を用いることが好ましい。さらに、これらのキャリア粒子をコア粒子として表面を樹脂材料でコートしたものを用いることもできる。いずれも、トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。キャリア粒子の粒径は特に限定されるものではないが、均一な画像を得るためには、粒径が30μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0074】
また、二成分現像剤の製造方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法によって製造することができる。本発明の透明トナー22は、二成分現像剤全量に対して、3重量%以上20重量%以下の濃度となるように含まれていることが好ましい。
【0075】
≪実施例≫
以下、実施例の詳細について具体的に記載する。
【0076】
(透明トナー)
樹脂:ポリエステル樹脂(94.5部)
帯電制御剤:ベンジル酸誘導体の金属酸化物(0.5部)
ワックス:ポリエチレンワックス(5.0部)
外添剤:以下のものを使用した。
小粒径シリカ 透明トナーに対して1.0部
酸化チタン 透明トナーに対して1.5部
2成分現像剤で現像剤に対する透明トナー比率が8%で現像剤を作製した。
【0077】
(レンズ形成ローラ)
レンズ形成ローラは、外径40mm、肉厚2mm、胴部長さ315mmのアルミニウム製のローラに対して、その表面を機械的に加工して、ローラ回転方向にピッチ約181μm、深さ約30μmの溝を約300mmの幅で形成した。
表面は、透明トナーの離型性を確保するために、フッ素コートした。フッ素コートの厚みは約10μmとした。
【0078】
(加圧ローラ)
外径29.76mm、内径23.76mm、肉厚3mmの絞り構造の無い鉄製の鉄製芯金の外周面上に、弾性体として厚さ5mmのシリコンゴム層を設けた。シリコンゴムは、JIS−A硬度が30°品とした。離型層としては、50μmのPFAチューブ層とした。製品外径は40.0mmのローラである。また、芯金の軸線方向長さは313mmであり、弾性体層の軸線方向長さは312mmである。
加重は400Nとした。
【0079】
(ランプ)
レンズ形成ローラ内部には、ローラを内部から加熱するためにハロゲンランプを設けた。
(透明シート)
厚み約300μmのA4サイズのPETシートを用いた。
透明シート上に厚み約25μmの厚みの透明トナー層を形成した後、レンズ形成ローラの温度約150℃、50mm/secの速度で定着を行い、透明シート上にレンズ形成を行った。
その結果、約181μmピッチで高さが約30μmのレンズ部がA4シート全面に形成することができた。
【0080】
図5(A)は、この発明の実施例に係るレンチキュラーシート作製装置によるレンズ形成後のレンチキュラーシート表面を表面粗さ計で測定した結果である。横軸は、レンチキュラーシート表面のレンズ形成ローラ軸の方向の測定位置(単位はμm)を、縦軸はレンチキュラーシート表面の凹凸の程度(単位はμm)を表す。図5(A)に示されるように、レンズ形成ローラの溝の方向をレンズ形成ローラの回転方向に形成した場合は、良好なレンチキュラーレンズ形状が作製できた。
【0081】
図2のレンズ形成部4の別の変形例を、図4に基づいて説明する。
なお、当該変形例は、レンズ形成ローラの溝の形成方向が異なる以外は、前記実施形態と同じ構成を有する。
図4(A)は、図3に示すレンズ形成ローラの変形例を示す説明図である。
図4(B)は、図4(A)に示すレンズ形成ローラ外周面の一部断面図である。
【0082】
図4(A)に示されるように、この実施形態におけるレンズ形成ローラ41aは、溝の方向が透明シートの搬送方向と直交する方向、すなわちレンズ形成ローラの長軸方向に形成されている。
図4(B)に示されるように、レンズ形成ローラ41aの表面は、所定ピッチで複数本の溝が形成されている。溝加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。
【0083】
なお、この実施形態において、溝をレンズ形成ローラ41aの軸方向に形成する場合、レンズ形成ローラ41a表面の隣接する溝間の間隔を、ローラの周全体において終始一定に保つため、レンズ形成ローラ41aの外周長をレンチキュラーレンズのピッチ幅のちょうど整数倍に設定する必要がある。整数倍に設定しない場合、ローラ表面の一部で溝の間隔が他の部分よりも短く(あるいは長く)なって不整合が生じ、レンズピッチ幅の不均一の原因となる。
【0084】
なお、レンズ形成ローラ41aの直径を、当該ローラの周方向の長さがの搬送方向Fの透明シート21の長さより長くなるように設定しておけば、前記レンズ形成ローラ41a表面の一部に溝の間隔の不整合が生じたとしても、溝の間隔が均一な領域のみを用いてレンズ形成することにより、レンズピッチ幅の不均一を回避できる。具体的には、レンズ形成ローラ41aの送り方向R1の位置検出を行い、レンズ形成ローラ41a表面上の溝の間隔が一定になる領域が始まる位置から、透明シート21の搬送を開始し、レンズ形成を行う。なお、レンズ形成ローラ41aの送り方向R1の位置検出には、例えば、レンズ形成ローラ41a上にマーキングを行い、光学センサ等で検知する方法等が挙げられる。
【0085】
この発明の別の実施例に係るレンチキュラーシート作製装置によるレンズ形成結果を図5(B)に示す。なお、当該実施例は、レンズ形成ローラ表面の溝がレンズ形成ローラ軸の方向に形成される以外は、図5(A)に係る実施例と同じである。
【0086】
図5(B)は、この発明の別の実施例に係るレンチキュラーシート作製装置によるレンズ形成後のレンチキュラーシート表面を表面粗さ計で測定した結果である。横軸は、レンチキュラーシート表面のレンズ形成ローラ軸の方向の測定位置(単位はμm)を、縦軸はレンチキュラーシート表面の凹凸の程度(単位はμm)を表す。
図5(B)に示されるように、約181μmのピッチで高さが約30μmのレンチキュラーレンズが作製できた。なお、レンズ形成ローラ41aの加熱温度や透明トナー層22の厚さ、レンズ形成ニップ部幅Wや当該ニップ部Nの圧力などの条件によっては、透明トナーがレンズ形成ローラの周方向に沿って押し流される結果、レンズ形成ローラの周方向に沿ってレンズ形状が変形する場合もあるが、概ねレンズピッチ幅が均一でレンズ形状が滑らかなレンチキュラーシートが得られた。
【0087】
次に、この発明の実施形態に係るウェブ圧接ローラの変形例を、図6に基づいて説明する。
なお、当該変形例は、ウェブ圧接ローラの形状が異なる以外は、前記実施形態と同じ構成を有する。
図6(A)は、この発明の実施形態に係るウェブ圧接ローラの変形例を示す説明図である。
図6(B)は、図6(A)に示すレンズ形成ローラおよびウェブ圧接ローラのクリーニングニップ部付近の一部断面図である。
【0088】
図6(A)に示されるように、クリーニング部46のウェブ圧接ローラ463bは、レンズ形成ローラ41の凹面状の溝に対応する凸状面を有する。
図6(B)に示されるように、クリーニングニップ部付近においてウェブ圧接ローラ463bはレンズ形成ローラ41の溝部の底部にもしっかりと密着し得るため、レンズ形成ローラ41の凹面状の溝の底面に付着したオフセットトナーも除去できる。
【0089】
レンズ形成ローラ41は、表面に凹凸のない通常の定着用ローラと比べると、表面に凹面状の溝を多数有し、透明トナーの離型性が十分に確保できない場合、凹面状の溝の底面にオフセットトナーが付着し得る。通常、レンズ形成ローラ41がなめらかな形状を有する場合は、ウェブ圧接ローラ463表面に形成される弾性層の変形によりクリーニングニップ部が形成されるが、ピッチが小さくまた溝が深くなるにつれ、弾性層による変形には限度があるため、溝の底面に付着したオフセットトナーの除去が困難になる。しかしながら、ウェブ圧接ローラ463bの形状をレンズ形成ローラ41の形状に合わせて加工することにより、溝の底面に付着したオフセットトナーの除去も可能になる。それゆえ、レンズ形成ローラ表面上に複数本の溝が形成される場合でも、長期間の使用に耐え得る耐久性の高いレンチキュラーシート作製装置が実現できる。
【0090】
次に、図2に示すレンズ形成部4の別の変形例を、図7および図8に基づいて説明する。
なお、当該変形例は、レンズ形成部がローラ状かベルト状の違いがある以外は、前記実施形態と基本的に同じ構成を有する。
図7は、この発明の実施形態に係るレンズ形成部の変形例の構成を示す断面図である。
図8(A)は、図7に示すレンズ形成部の要部斜視図である。
図8(B)は、図8(A)に示すレンズ形成ベルト外周面の一部断面図である。
【0091】
図7に示されるように、この実施形態に係るレンズ形成部4cは、ベルト支持ローラ48cと、無端状のレンズ形成ベルト47cと、レンズ形成ベルト47cを懸架し加熱するためのヒータを備えるベルト支持部材49cと、加圧ローラ42と、レンズ形成ベルト47cの温度を調節する温度調節部材であるサーモスタット44、ベルト支持ローラ48cおよび加圧ローラ42が互いに圧接されるように加圧するための図示しない加圧スプリングと、当該圧接を解除するための図示しない加圧解除機構と、レンズ形成ベルト47cに付着した透明トナーを除去するクリーニング部46とを備えている。
【0092】
ベルト支持ローラ48cおよび加圧ローラ42は、加圧スプリングにより、所定の荷重(例えば、400N)で互いに圧接され、両ローラ間にレンズ形成ニップ部N(ベルト支持ローラ48cと加圧ローラ42とが互いに当接する部分)を形成している。
【0093】
ヒータを備えるベルト支持部材49cは、レンズ形成ベルト47cを支持するとともに、レンズ形成ベルト47cに接触してレンズ形成ベルト47cを所定の温度に素早く加熱するためのものである。
【0094】
この実施形態に係るベルト支持ローラ48cは、レンズ形成ベルト47cを介して、加圧ローラ42に圧接することでレンズ形成ニップ部Nを形成すると同時に、回転駆動することによりレンズ形成ベルト47cを駆動する目的のものである。
ベルト支持ローラ48cとしては、例えば、内側から順に芯金411cと、弾性層412cとが形成された2層構造のものを用いることができる。芯金411cには、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層412cにはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料が適している。
ベルト支持ローラ48cとしては、例えば、外径が30mm、内径24mm、肉厚3mmの鉄製芯金の外周面上に、弾性層として厚さ5mmのシリコンゴム層などを用いる。また、シリコンゴム層の代わりにシリコンスポンジ層を設けることも可能である。
【0095】
なお、その他の構成部分については、基本的に前記実施形態と同じである。
【0096】
≪レンズ形成ベルトの構成≫
次に、この実施形態に係るレンズ形成ベルト47cの構成を説明する。
【0097】
レンズ形成ベルト47cは、無端状のベルトであり、ヒータを備えるベルト支持部材49cおよびベルト支持ローラ48cによって懸架され、ベルト支持ローラ48cの回転時には、ベルト支持ローラ48cに従動してレンズ形成ベルト47cの送り方向R5に回転するようになっている。レンズ形成ベルト47cは弾性があり、ベルト支持ローラ48cおよびベルト支持ローラ48cに懸架しない状態で円筒状にしたとき、例えば直径50mmの中空の円筒状をなす。
【0098】
図8(B)に示されるように、レンズ形成ベルト47cは内周側より順に、基材471cおよび離型層472cの2層から構成され、レンズ形成ベルト47cの表面は、所定ピッチで複数本の溝が形成されている。溝加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。レンズ形成ベルト47cの基材471cとしては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属材料を使用することができる。基材471cの外周面に、透明トナーの離型性を確保するために離型層472cが形成されている。離型層472cの材料は、レンズ形成ローラ41に係る離型層413と同じく、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料が挙げられる。あるいは、これらフッ素樹脂を含んだDLC(ダイヤモンドライクカーボン)材料などを用いてもよい。なお、これらの厚みは、50nm〜30μm程度が好ましい。前記実施形態と同様、極端に薄い場合、耐久性が問題となり、厚くなり過ぎると、溝部が埋まってしまう等、溝形状が大きく変化する結果、レンズ形成が上手くできなくなる可能性があるためである。
【0099】
なお、透明トナーの離型性を確保するために、シリコーンオイル等の離型剤を塗布する構成としてもよい。シリコーンオイルとしては粘度が1,000CSから10,000CS程度のオイルを使用することができる。
【0100】
レンズ形成ニップ部Nに搬送方向Fに搬送されてきた透明トナー層22が表面に形成された透明シート21を通過させることで、レンズ形成ベルト47c外周面の熱と圧力により透明トナー層22が加熱成形され、透明シート21にレンチキュラーレンズが形成される。透明トナー層22を担持した透明シート21がレンズ形成ニップ部Nを通過する時には、レンズ形成ベルト47cは透明シート21の透明トナー層22形成面に当接する一方、加圧ローラ42は透明シート21における透明トナー層22形成面とは反対側の面に当接するようになっている。レンズ形成ニップ幅W(レンズ形成ニップ部Nの透明シート21の搬送方向の長さ)は、例えば7mmである。
【0101】
図8(A)に示されるように、レンズ形成ベルト47cの透明トナー層22に当接する面には、透明シート21上の透明トナーをレンズ形状に形成できるように凹面形状の溝が多数形成されている。この実施形態では、溝は透明シート21の搬送方向Fと直交する方向、すなわちベルト支持ローラ48cの長軸方向に形成されている。
図8(B)に示されるように、レンズ形成ベルト47cは、内周側より順に、基材471cおよび離型層472cの2層から構成され、レンズ形成ベルト47cの表面は、所定ピッチで複数本の溝が形成されている。溝加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。
【0102】
次に、図8に示すレンズ形成部の別の変形例を、図9に基づいて説明する。
なお、当該変形例は、レンズ形成ベルトの溝の形成方向が異なる以外は、前記実施形態と同じ構成を有する。
図9(A)は、図8に示すレンズ形成ベルトの変形例を示す説明図である。
図9(B)は、図9(A)に示すレンズ形成ベルトの一部断面図である。
【0103】
図9(A)に示されるように、レンズ形成ベルト47dの透明トナー層22に当接する面には、透明シート21上の透明トナーをレンズ形状に形成できるように凹面形状の溝が多数形成されている。この実施形態では、溝は透明シート21の搬送方向Fと直交する方向、すなわちベルト支持ローラ48cの長軸方向に形成されている。
図9(B)に示されるように、レンズ形成ベルト47dは、内周側より順に、基材471cおよび離型層472cの2層から構成され、レンズ形成ベルト47dの表面は、所定ピッチで複数本の溝が形成されている。溝加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。なお、レンズ形成ベルト47dの材料および構成は、前記実施形態に係るレンズ形成ベルト47cと同じである。
【0104】
レンズ形成ローラ41aにおいては、溝をレンズ形成ローラ41aの軸方向に形成する場合、レンズ形成ローラ41a表面の隣接する溝の間隔をローラの周全体において終始一定に保つため、レンズ形成ローラ41aの外周長をレンチキュラーレンズのピッチ幅のちょうど整数倍に設定する必要がある。整数倍に設定しない場合、レンズ形成ローラ41a表面の一部で溝の間隔が、レンチキュラーレンズのピッチ幅より短く(あるいは長く)なって不均一が生じてしまう。
【0105】
しかしながら、この実施形態に係るレンズ形成ベルトを用いることにより、レンズ形成ベルト47dの外周長はベルト支持ローラ48cの直径に依存することなく自由に設定できるため調節が容易になり、レンズ形成ベルト47d表面の溝の間隔の均一性を確保しやすい。また、レンズ形成ベルトの製造過程において、レンズ形成ベルト47d表面の溝の間隔に一部不均一が生じたとしても、レンズ形成ベルトの表面において、溝の間隔が均一な部分の長さが透明シート21の搬送方向の長さより長い場合は、不均一な部分を避け、均一性が保たれている部分のみをレンズ形成に利用できる。その際、レンズ形成ベルト47dの送り方向R5の位置検出を行い、レンズ形成ベルト47dの溝の間隔が均一になる部分から、透明シート21の搬送を開始して、レンズ形成ベルト47dの溝の均一な部分が透明シート21に当たるようにする。レンズ形成ベルト47dの送り方向R5の位置検出には、例えば、レンズ形成ベルト47d上にマーキングを行い、光学センサ等で検知する方法等がある。
このようにすれば、ベルト支持ローラ48cの直径がレンチキュラーレンズのピッチ幅のちょうど整数倍でなくとも、レンズピッチの均一性を良好に保つことが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1:透明トナー層形成部
2:転写部
3:透明シート供給部
4,4a,4b,4c,4d:レンズ形成部
5:透明シート排出部
11:感光体ドラム
12:帯電部
13:光走査部
14:現像部
15:現像剤補給容器
16:ドラムクリーナ
17:感光体除電部
21:透明シート
22:透明トナー層
31,31b:透明シートカセット
32:ピックアップローラ
33a:透明シート受入口
34:搬送ローラ
35:レジストローラ
41,41a:レンズ形成ローラ
42:加圧ローラ
43:ハロゲンランプ
44:サーモスタット
46:クリーニング部
47c,47d:レンズ形成ベルト
48c:ベルト支持ローラ
49c:ベルト支持部材
100:レンチキュラーシート作製装置
411,411c,421:芯金
413,423:離型層
412c,422:弾性層
461:ウェブ
462:ウェブ送出ローラ
463,463b:ウェブ圧接ローラ
464:ウェブ巻取りローラ
471c:ベルト基材
472c:ベルト離型層
F:透明シートの搬送方向
R1:レンズ形成ローラの回転方向
R2:加圧ローラの回転方向
R3:ウェブ送り方向
R4:ベルト支持ローラの回転方向
R5:レンズ形成ベルトの送り方向
N:レンズ形成ニップ部
W:レンズ形成ニップ幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体に静電潜像を形成するための光照射部と、
前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像部と、
透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写部と、
転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成部とを備えるレンチキュラーシート作製装置。
【請求項2】
前記レンズ形成部は、内部ヒータにより加熱され軸周りに回転するレンズ形成ローラと、前記レンズ形成ローラに対向して配設され、前記レンズ形成ローラを加圧する加圧ローラとからなり、
前記レンズ形成ローラは、外周面上に所定ピッチで複数本の溝が形成され、
前記加圧ローラは、前記レンズ形成ローラとの間にニップ部を形成し、
前記透明シートは、前記ニップ部に搬送され、前記レンズ形成ローラは前記透明トナー層を外周面で順次圧接し加熱変形することにより前記レンチキュラーレンズを形成させる請求項1に記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項3】
前記レンズ形成部は、ヒータを備えるベルト支持部材と、ベルト支持ローラと、前記ベルト支持部材およびベルト支持ローラ間に回転可能に張架され前記ヒータにより加熱される無端状のレンズ形成ベルトと、前記レンズ形成ベルトを介して前記ベルト支持ローラに対向して配設される加圧ローラとからなり、
前記レンズ形成ベルトは、外周面上に所定ピッチで複数本の溝が形成され、
前記加圧ローラは、前記ベルト支持ローラを加圧し前記ベルト支持ローラとの間にニップ部を形成し、
前記透明シートは、前記ニップ部に搬送され、前記レンズ形成ベルトは前記透明トナー層を外周面で順次圧接し加熱変形することにより前記レンチキュラーレンズを形成させる請求項1に記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項4】
前記光照射部は、前記透明シートのサイズに対応した静電潜像を前記感光体上に形成させる請求項1ないし3のいずれか一つに記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項5】
前記溝は、前記回転方向に形成される請求項2ないし4のいずれか一つに記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項6】
前記溝は、前記回転方向に直交する方向に形成される請求項2ないし4のいずれか一つに記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項7】
前記透明トナーは、前記外周面への付着を防止する離型剤を含む請求項2ないし6のいずれか一つに記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項8】
前記外周面は、前記透明トナーの付着を防止する離型層をさらに備えた請求項2ないし7のいずれか一つに記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項9】
耐熱性のウェブと、前記ウェブを巻回して保持するウェブ送出ローラと、前記ウェブ送出ローラから送出された前記ウェブを介して前記レンズ形成部に対向して配設されるウェブ圧接ローラと、前記ウェブ圧接ローラから送出された前記ウェブを巻取るウェブ巻取りローラとからなり、前記ウェブを前記レンズ形成ローラの外周面に圧接摺動することにより前記レンズ形成ローラの外周面に付着した前記透明トナーを除去するクリーニング部をさらに備え、
前記ウェブ圧接ローラは、表面が前記溝に対応した形状を有する請求項2ないし8のいずれか一つに記載のレンチキュラーシート作製装置。
【請求項10】
感光体に静電潜像を形成するための光照射工程と、
前記静電潜像に対応して前記感光体に透明トナーを塗布して透明トナー層を形成させる現像工程と、
透明シート上に前記透明トナー層を転写させる転写工程と、
転写された前記透明トナー層を成形定着してレンチキュラーレンズを形成させるレンズ形成工程とを有するレンチキュラーシート作製方法。
【請求項11】
前記レンズ形成部は、内部ヒータにより加熱され軸周りに回転するレンズ形成ローラと、前記レンズ形成ローラに対向して配設され、前記レンズ形成ローラを加圧する加圧ローラとからなり、
前記レンズ形成ローラは、外周面上に所定ピッチで複数本の溝が形成され、
前記加圧ローラは、前記レンズ形成ローラとの間にニップ部を形成し、
前記透明シートは、前記ニップ部に搬送され、前記レンズ形成ローラは前記透明トナー層を外周面で順次圧接し加熱変形することにより前記レンチキュラーレンズを形成させる請求項10に記載のレンチキュラーシート作製方法。
【請求項12】
前記レンズ形成部は、ヒータを備えるベルト支持部材と、ベルト支持ローラと、前記ベルト支持部材およびベルト支持ローラ間に回転可能に張架され前記ヒータにより加熱される無端状のレンズ形成ベルトと、前記レンズ形成ベルトを介して前記ベルト支持ローラに対向して配設される加圧ローラとからなり、
前記レンズ形成ベルトは、外周面上に所定ピッチで複数本の溝が形成され、
前記加圧ローラは、前記ベルト支持ローラを加圧し前記ベルト支持ローラとの間にニップ部を形成し、
前記透明シートは、前記ニップ部に搬送され、前記レンズ形成ベルトは前記透明トナー層を外周面で順次圧接し加熱変形することにより前記レンチキュラーレンズを形成させる請求項10に記載のレンチキュラーシート作製方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−76315(P2012−76315A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222341(P2010−222341)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】