説明

レーザセンサ装置

【課題】高速で三次元領域での測定を可能とし、さらに迷光による測定精度の悪化を防止する。
【解決手段】ポリゴンミラー3を収容する収容ケースの内部をレーザ投光器からポリゴンミラー3の反射面に至る第1空間とポリゴンミラー3の反射面から受光器に至る第2空間とに分割する遮光部と、ポリゴンミラー3を回転させることによって測定用レーザ光を第1方向に走査する第1走査部4と、ポリゴンミラー3を第1走査部4による回転の中心軸に対して交差する中心軸を中心として回動させることによって測定用レーザ光を第1方向と交差する第2方向に走査する第2走査部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、測定対象物の位置、測定対象物の形状把握のために、特許文献1に示すようなレーザセンサ装置が用いられている。
このレーザセンサ装置は、測定用のレーザ光を射出し、測定対象物に当該レーザ光が照射されて生じる反射光を戻りレーザ光として受光し、この受光タイミングに基づいて測定対象物の位置、測定対象物の形状把握を行う。
【0003】
ところで、このようなレーザセンサ装置を用いて、三次元領域での測定を行う場合には、レーザ光を縦方向と横方向との両方に走査する必要がある。
このため、例えば、特許文献1に示すレーザセンサ装置を用いて三次元領域での測定を行う場合には、レーザセンサ装置の全体を縦横に回動させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−37162号公報
【特許文献2】特開2005−189857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザセンサ装置の全体を回動させる場合には、レーザセンサ装置の全重量に打ち勝つ駆動力を必要とし、大きな駆動力が必要となると共に高速でレーザ光を走査することが困難となる。
また、レーザセンサ装置の全体を回動させる場合には、レーザセンサ装置の本体カバーの外部(つまり外部対して露出する位置)に駆動部が設置されるため、レーザセンサ装置の耐候性を確保することが困難となる。
【0006】
一方、特許文献2には、レーザセンサ装置の内部に移動可能なミラーを設置し、当該ミラーを移動させることによってレーザ光を走査するレーザセンサ装置が提案されている。
このようなレーザセンサ装置によれば、レーザ光を走査するにあたり、レーザセンサ装置の全体を移動させる必要がないため、小さな駆動力でかつ高速でレーザ光を走査することができる。
【0007】
また、特許文献2には、収容ケース内にミラー等を収容することによって耐候性を向上させている。
このようにミラーを収容ケースに収容した場合には、レーザ光が収容ケースの内部において意図せずに反射して迷光となるため、特許文献2では、当該迷光を遮光するは遮光板を有している。
【0008】
しかしながら、特許文献2に示すレーザセンサ装置は、レーザ光を一方向にしか走査することができず、三次元領域での測定に用いることができない。
このため、三元領域を高速で測定可能としつつ迷光による測定精度の悪化を防止することが可能なレーザセンサ装置が求められている。
【0009】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、レーザセンサ装置において、高速で三次元領域での測定を可能とし、さらに迷光による測定精度の悪化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0011】
第1の発明は、測定用レーザ光を射出するレーザ投光器と、上記測定用レーザ光が測定対象物に照射されて反射することで生じる戻りレーザ光を受光する受光器と、上記測定用レーザ光及び上記戻りレーザ光を案内する反射面を有するポリゴンミラーと、上記レーザ投光器及び上記受光器と別体で設けられると共に上記ポリゴンミラーを収容する収容ケースとを備えるレーザセンサ装置であって、上記収容ケースの内部を上記レーザ投光器から上記反射面に至る第1空間と上記反射面から上記受光器に至る第2空間とに分割する遮光部と、上記ポリゴンミラーを回転させることによって上記測定用レーザ光を第1方向に走査する第1走査部と、上記ポリゴンミラーを上記第1走査部による回転の中心軸に対して交差する中心軸を中心として回動させることによって上記測定用レーザ光を上記第1方向と交差する第2方向に走査する第2走査部とを備えるという構成を採用する。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、測定用レーザ光を案内する測定用レーザ光案内部と戻りレーザ光を案内する戻りレーザ光案内部とに分割するスリットを上記ポリゴンミラーが有し、上記遮光部が上記スリット内にも配設されているという構成を採用する。
【0013】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記第2空間に配置されると共に上記ポリゴンミラーから上記受光器までの光路を囲う遮光筒を備えるという構成を採用する。
【0014】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記収容ケースが、上記測定用レーザ光及び上記戻りレーザ光を通過可能に形成されると共に上記第2走査部による上記ポリゴンミラーの回動中心を中心とする円弧状に形状設定された窓部と、上記ポリゴンミラーを支持すると共に上記第2走査部によって上記ポリゴンミラーと一緒に回動される支持部とを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、遮光部によって、収容ケースの内部空間が、レーザ投光器から反射面に至る第1空間と、反射面から受光器に至る第2空間とに分割されている。
つまり、本発明においては、収容ケースの内部空間で第1空間から第2空間への光の入射及び第2空間から第1空間への光の入射が遮光部によって妨げられる。
このため、測定用レーザ光が収容ケース内で意図せずに反射することによって発生する迷光が第1空間から第2空間に入射することを防止することができ、当該迷光が受光器に到達することを防ぐことができる。
したがって、本発明によれば、迷光による測定精度の悪化を防止することが可能となる。
【0016】
また、本発明によれば、第1走査部によってポリゴンミラーが回転されることによって測定用レーザ光が第1方向に走査され、第2走査部によってポリゴンミラーが回動されることによって測定用レーザ光が第1方向と交差する第2方向に走査される。
このため、第1走査部による回転と第2走査部による回動とを組み合わせることによって、測定用レーザ光を三次元領域の全領域において走査することができる。
よって、本発明によれば、三次元領域での測定を行うことができる。
【0017】
また、本発明によれば、ポリゴンミラーを回転及び回動させることによって測定用レーザ光が走査される。
このため、レーザセンサ装置の全体を移動させることなく測定用レーザ光を走査することができ、これによって測定用レーザ光を高速で走査することができる。
【0018】
以上のように、本発明によれば、レーザセンサ装置において、高速で三次元領域での測定を可能とし、さらに迷光による測定精度の悪化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態におけるレーザセンサ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるレーザセンサ装置が備えるポリゴンミラー及びその周囲を拡大して示す三面図及び断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態におけるレーザセンサ装置が備えるポリゴンミラー及びその周囲を拡大して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係るレーザセンサ装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のレーザセンサ装置S1の概略構成を示すブロック図である。
また、図2は、本実施形態のレーザセンサ装置S1が備えるポリゴンミラー及びその周囲を拡大して示す三面図及び断面図である。
本実施形態のレーザセンサ装置S1は、測定対象エリア(測定対象物が存在する可能性のあるエリア)に対して測定用レーザ光を照射して測定を行うものであり、当該測定対象エリアに測定対象物が存在する場合に、その測定対象物の位置や形状を示す信号を出力する。
そして、本実施形態のレーザセンサ装置S1は、図1に示すように、レーザ投光器1と、受光器2と、ポリゴンミラー3と、回転用モータ4と、回動用モータ5と、距離演算器6と、制御器7とを備えている。
【0022】
レーザ投光器1は、ポリゴンミラー3の周面(反射面)に向けて測定用レーザ光L1を射出するものであり、図2に示すように、測定用レーザ光L1の光源となる投光光源1aと、当該投光光源1aを囲んで保護する投光カバー1bと、投光光源1aから射出された測定用レーザ光L1をポリゴンミラー3に向けて案内する投光レンズ1cとを備えている。
なお、レーザ投光器1は、制御器7から入力される投光指令に基づいて測定用レーザ光L1を射出する。
【0023】
受光器2は、測定用レーザ光L1が測定対象物に照射されて反射することによって生じる戻りレーザ光L2を受光して電気信号に変換して出力するものであり、ポリゴンミラー3の周面(反射面)によって反射されて案内された戻りレーザ光L2を受光する。
この受光器2は、図2に示すように、戻りレーザ光L2を電気信号に変換する受光素子2aと、当該受光素子2aを囲んで保護する受光カバー2bと、ポリゴンミラー3から反射された戻りレーザ光L2を受光素子2aに向けて案内する受光レンズ2cとを備えている。
なお、受光器2は、戻りレーザ光L2を受光した際にパルス信号を出力するものであり、つまりは戻りレーザ光L2の受光タイミング情報を出力する。そして、受光器2は、距離演算器6と電気的に接続されており、距離演算器6に対して上記受光タイミング情報を入力する。
【0024】
これらのレーザ投光器1と受光器2とは、図2に示すように、不図示の支持機構によって支持されて設置面に対して固定される側板8に対してポリゴンミラー3の回転軸La方向に並んで設置されている。
なお、後に詳説するが、本実施形態のレーザセンサ装置S1においてポリゴンミラー3は、図3に示す回動軸Lbを中心に回動される。そして、ポリゴンミラー3が回動する際に、レーザ投光器1及び受光器2とポリゴンミラー3との位置関係が大きくずれて測定用レーザ光L1と戻りレーザ光L2とがポリゴンミラー3の周面から外れないように、これらのレーザ投光器1及び受光器2は、できるだけ回動軸Lbに近づけて配置されている。
【0025】
ポリゴンミラー3は、測定用レーザ光L1及び戻りレーザ光L2を案内する反射面を周面として有する、平面視正方形の導光部材である。
本実施形態におけるポリゴンミラー3は、回転用モータ4によって回転軸Laを中心として回転されると共に、図2に示すように、スリット9によって回転軸La方向に2つに分割されている。
より詳細には、ポリゴンミラー3は、スリット9によって、測定用レーザ光L1を案内する測定用レーザ光案内部3aと、戻りレーザ光L2を案内する戻りレーザ光案内部3bとに分割されている。
なお、ポリゴンミラー3には回転用モータ4に接続される軸部10が貫通して取り付けられており、当該軸部10が回転用モータ4によって回転駆動されることによってポリゴンミラー3が回転される。
【0026】
そして、本実施形態のレーザセンサ装置S1は、図2に示すように、ポリゴンミラー3を収容する収容ケース11と、収容ケース11の内部に配置される遮光板12(遮光部)とを備えている。
【0027】
本実施形態において収容ケース11は、図2に示すように、窓部11aと支持部11bとから構成されている。
【0028】
窓部11aは、測定用レーザ光L1及び戻りレーザ光L2を通過可能な部位であり、例えばアクリル材によって形成されている。この窓部11aは、本実施形態のレーザセンサ装置S1が測定を行う側に向けて配置されており、不図示の支持機構によって設置面に対して固定されている。
そして、図2に示すように、本実施形態において窓部11aは、回動軸Lb方向から見て、回動軸Lbを中心とする円弧状に形状設定されている。
【0029】
支持部11bは、軸部10を軸支することによって当該軸部10に固定されたポリゴンミラー3を支持するものであり、収容ケース11の窓部11a以外の領域を形成している。
この支持部11bは、測定用レーザ光L1及び戻りレーザ光L2に対して不透明な材料によって形成されており、例えば遮光板12と同一の材料によって形成されている。
そして、支持部11bは、窓部11a側と、レーザ投光器1及び受光器2側とに、測定用レーザ光L1及び戻りレーザ光L2を通過可能とする開口を有している。
【0030】
そして、本実施形態において支持部11bは、回動用モータ5と機械的に接続されており、当該回動用モータ5によって図2に示す回動軸Lbを中心として回動可能に不図示の支持機構によって軸支されている。
なお、支持部11bの窓部11a側の先端11cは、窓部11aに対して僅かに隙間を空けて対向配置されている。
ここで、収容ケース11の窓部11aは設置面に固定され、支持部11bは回動可能に軸支されている。このため、支持部11bを回動させた際には、窓部11aと支持部11bとの位置関係が変化する。ただし、窓部11aが回動軸Lbを中心とする円弧状に形状設定されているため、支持部11bの窓部11a側の先端11cから窓部11aまでは、常に僅かな隙間に保たれることとなる。
【0031】
遮光板12は、収容ケース11の内部に配置され、収容ケース11の内部を、レーザ投光器1からポリゴンミラー3の測定用レーザ光案内部3aに至る測定用レーザ光案内空間K1(第1空間)と、ポリゴンミラー3の戻りレーザ光案内部3bから受光器2に至る戻りレーザ光案内空間K2(第2空間)とに分割している。
この遮光板12は、測定用レーザ光L1及び戻りレーザ光L2に対して不透明な材料によって形成されており、測定用レーザ光案内空間K1から戻りレーザ光案内空間K2への光の侵入、及び、レーザ光案内空間K2から測定用レーザ光案内空間K1への光の進入を防ぐものである。
そして、本実施形態のレーザセンサ装置S1においては、遮光板12がポリゴンミラー3のスリット9内にも配設されており、これによって遮光板12にて支持部11bに囲まれた空間が、完全に測定用レーザ光案内空間K1と戻りレーザ光案内空間K2とに隔離されている。
なお、遮光板12の窓部11a側の先端12aは、窓部11aに対して僅かに隙間を空けて対向配置されている。そして、遮光板12は、支持部11bの回動に伴って回動軸Lbを中心に回動され、この際、遮光板12の窓部11a側の先端12cから窓部11aまでは、常に僅かな隙間に保たれる。
【0032】
図1に戻り、回転用モータ4は、ポリゴンミラー3を回転させることによって測定用レーザ光L1を回転軸La及び光軸と直交する方向(第1方向)に走査ものであり、例えば減速機等を挟んで軸部10(図2参照)と接続されている。
なお、本実施形態においては、回転軸Laが水平となるように配設されている。このため、ポリゴンミラー3が回転されることによって測定用レーザ光L1が垂直方向に走査される。
なお、回転用モータ4は、制御器7から入力される速度指令に基づいてポリゴンミラー3を回転させる。また、回転用モータ4には、不図示のエンコーダが設置されており、当該エンコーダから回転用モータ4の角度情報が制御器7に入力される。
【0033】
回動用モータ5は、回動軸Lbを中心として収容ケース11の支持部11bを回動することによって、上記回動軸Lbを中心として支持部11bに軸支されたポリゴンミラー3を回動させるものである。
ここで、回動軸Lbは、回転軸La(回転用モータ4による回転の中心軸)に対して直交(交差)する中心軸である。このため、回動用モータ5によってポリゴンミラー3が回動されることによって、測定用レーザ光L1がポリゴンミラー3の回転軸Laを中心とする回転による走査方向と異なる方向(第2方向)に走査される。
なお、本実施形態においては、回動軸Lbが垂直となるように配設されている。このため、ポリゴンミラー3が回動されることによって測定用レーザ光L1が水平方向に走査される。
なお、回動用モータ5は、制御器7から入力される速度指令に基づいてポリゴンミラー3を回動させる。また、回動用モータ5には、不図示のエンコーダが設置されており、当該エンコーダから回動用モータ5の角度情報が制御器7に入力される。
【0034】
距離演算器6は、測定領域に存在する測定用レーザ光を反射する反射体までの距離を算出して、この算出結果を距離情報として制御器7に入力するものである。
より詳細には、距離演算器6は、制御器7からレーザ投光器1に入力される投光指令を同時に入力され、この投光指令の入力タイミングと受光器2から入力される受光タイミングとの差から反射体までの距離を算出する。
【0035】
制御器7は、本実施形態のレーザセンサ装置S1の動作全体を制御するものであり、図1に示すように、レーザ投光器1と、ポリゴンミラー3と、回転用モータ4と、回動用モータ5と、距離演算器6と電気的に接続されている。
そして、制御器7は、例えば、距離演算器6から入力される距離情報と、回転用モータ4と、回動用モータ5に設置されるエンコーダから入力される角度情報に基づいて、測定対象物の位置や、測定対象物の形状を算出して出力する。
【0036】
次に、このような構成を有する本実施形態のレーザセンサ装置S1の動作について説明する。
【0037】
まず、制御器7は、レーザ投光器1に投光指令を入力する。この際、制御器7からの投光指令は、レーザ投光器1と同時に距離演算器6にも入力される。
投光指令が入力されたレーザ投光器1は、測定用レーザ光L1を射出する。測定用レーザ光L1は、ポリゴンミラー3の測定用レーザ光案内部3aにて反射されて、測定領域に向けて照射される。
【0038】
ここで、測定用レーザ光L1の照射領域に反射体が存在する場合には、戻りレーザ光L2が発生し、当該戻りレーザ光L2がポリゴンミラー3の戻りレーザ光案内部3bによって反射されて受光器2に案内される。
受光器2が戻りレーザ光L2を受光すると、受光器2が受光タイミングを示すパルス信号を受光タイミング情報として出力する。
【0039】
そして、距離演算器6は、制御器7から入力される投光指令と、受光器2から入力される受光タイミング情報とから反射体までの距離を算出し、距離情報として出力する。
【0040】
続いて、制御器7は、回転用モータ4にポリゴンミラー3を回転させ、測定用レーザ光L1を垂直方向に移動させる。その後、制御器7は、再び投光指令を出力する。
これによって測定用レーザ光L1の照射領域が移動し、先に距離情報が取得された領域と他の領域の距離情報が取得される。
これを繰り返すことによって、垂直方向の1ラインに並ぶ領域の距離情報が取得される。
なお、これらの一連の動作は、極めて短時間の間に連続的に行われる。このため、ポリゴンミラー3は、常に一定速度で回転され、測定用レーザ光L1は見かけ上、測定領域に照射されながら垂直方向に移動(走査)される。
【0041】
このように垂直方向の1ラインに並ぶ領域の距離情報が取得されると、制御器7は、回動用モータ5にポリゴンミラー3を回動させ、測定用レーザ光L1を水平方向に移動させる。
そして、制御器7は、上述の動作を繰り返すことによって、先に距離情報が取得されたラインの隣のラインに並ぶ領域の距離情報を取得する。
【0042】
このようにして、制御器7は、三次元に拡がる測定領域の全範囲における距離情報を取得し、これらの距離情報から、測定対象物の位置や測定対象物の形状を算出する。
【0043】
以上のような本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、遮光板12によって、収容ケース11の内部空間が、レーザ投光器1からポリゴンミラー3の測定用レーザ光案内部3aに至る測定用レーザ光案内空間K1と、ポリゴンミラー3の戻りレーザ光案内部3bから受光器2に至る戻りレーザ光案内空間K2とに分割されている。
つまり、本実施形態のレーザセンサ装置S1においては、収容ケース11の内部空間で測定用レーザ光案内空間K1から戻りレーザ光案内空間K2への光の入射及び戻りレーザ光案内空間K2から測定用レーザ光案内空間K1への光の入射が遮光板12によって妨げられる。
このため、測定用レーザ光L1が収容ケース11内で意図せずに反射することによって発生する迷光が測定用レーザ光案内空間K1から戻りレーザ光案内空間K2に入射することを防止することができ、当該迷光が受光器2に到達することを防ぐことができる。
したがって、本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、迷光による測定精度の悪化を防止することが可能となる。
このように迷光による測定精度の悪化が防止されることによって、戻りレーザ光L2の強度が弱くなる遠距離での測定を可能とすることができる。さらに、迷光が受光器2に入射することを防止できるために、測定用レーザ光L1の出力を高めることが可能となり、より遠距離での測定が可能となる。
【0044】
また、本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、回転用モータ4によってポリゴンミラー3が回転されることによって測定用レーザ光L1が垂直方向に走査され、回動用モータ5によってポリゴンミラー3が回動されることによって測定用レーザ光が水平方向に走査される。
このため、回転用モータ4による回転と回動用モータ5による回動とを組み合わせることによって、測定用レーザ光L1を三次元領域の全領域において走査することができる。
よって、本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、三次元領域での測定を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、ポリゴンミラー3を回転及び回動させることによって測定用レーザ光L1が走査される。
このため、レーザセンサ装置S1の全体を移動させることなく測定用レーザ光L1を走査することができ、これによって測定用レーザ光L1を高速で走査することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、高速で三次元領域での測定を可能とし、さらに迷光による測定精度の悪化を防止することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態のレーザセンサ装置S1においては、測定用レーザ光案内部3aと戻りレーザ光案内部3bとに分割するスリット9をポリゴンミラー3が有し、遮光板12がスリット9内にも配設されている。
このため、支持部12bの内部を測定用レーザ光案内空間K1と戻りレーザ光案内空間K2とに完全に隔離することができ、より迷光が受光器2に入射することを防止することができる。
【0048】
また、本実施形態のレーザセンサ装置S1においては、収容ケース11が、測定用レーザ光L1及び戻りレーザ光L2を通過可能に形成されると共に回動用モータ5によるポリゴンミラー3の回動中心(回動軸Lb)を中心とする円弧状に形状設定された窓部11aと、ポリゴンミラー3を支持すると共に回動用モータ5によってポリゴンミラー3と一緒に回動される支持部11bとを備える。
このため、収容ケース11の全体を回動させることなくポリゴンミラー3を回動させることができると共に、収容ケース11の内部に異物が侵入することを防止することもできる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0050】
図3は、本実施形態のレーザセンサ装置S1が備えるポリゴンミラー3及びその周囲を拡大して示す模式図である。
この図に示すように、本実施形態のレーザセンサ装置S1は、戻りレーザ光案内空間K2に遮光筒13を備えている。
この遮光筒13は、戻りレーザ光案内部3bと受光器2との間に配置されており、戻りレーザ光案内部3bと受光器2との間において、戻りレーザ光L2の光路を囲うものである。
この遮光筒13は、例えば可視光に対して不透明な材料によって形成されており、遮光筒13の内部領域への外乱光(迷光を含む)の侵入を防止するものである。
【0051】
このような構成を有する本実施形態のレーザセンサ装置S1によれば、遮光筒13によって、外乱光が受光器2に到達することを防止することができる。
したがって、より測定精度を向上させることが可能となる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、回転軸Laと回動軸Lbとが直交する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、回転軸Laと回動軸Lbとが交差していれば、測定用レーザ光L1を三次元領域で走査することが可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、回転軸Laが水平に設定され、回動軸Lbが垂直に設定された構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、回転軸Laを垂直に設定し、回動軸Lbを水平に設定しても良い。
【0055】
また、上記実施形態においては、ポリゴンミラー3の回転軸La方向から見た形状が正方形である構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリゴンミラー3の回転軸La方向から見た形状は、三角形以上の多面体とすることができる。
【符号の説明】
【0056】
S1……レーザセンサ装置、1……レーザ投光器、2……受光器、3……ポリゴンミラー、4……回転用モータ(第1走査部)、5……回動用モータ(第2走査部)、9……スリット、11……収容ケース、11a……窓部、11b……支持部、12……遮光板(遮光部)、13……遮光筒、L1……測定用レーザ光、L2……戻りレーザ光、K1……測定用レーザ光案内空間(第1空間)、K2……戻りレーザ光案内空間(第2空間)、La……回転軸、Lb……回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用レーザ光を射出するレーザ投光器と、前記測定用レーザ光が測定対象物に照射されて反射することで生じる戻りレーザ光を受光する受光器と、前記測定用レーザ光及び前記戻りレーザ光を案内する反射面を有するポリゴンミラーと、前記レーザ投光器及び前記受光器と別体で設けられると共に前記ポリゴンミラーを収容する収容ケースとを備えるレーザセンサ装置であって、
前記収容ケースの内部を前記レーザ投光器から前記反射面に至る第1空間と前記反射面から前記受光器に至る第2空間とに分割する遮光部と、
前記ポリゴンミラーを回転させることによって前記測定用レーザ光を第1方向に走査する第1走査部と、
前記ポリゴンミラーを前記第1走査部による回転の中心軸に対して交差する中心軸を中心として回動させることによって前記測定用レーザ光を前記第1方向と交差する第2方向に走査する第2走査部と
を備えることを特徴とするレーザセンサ装置。
【請求項2】
測定用レーザ光を案内する測定用レーザ光案内部と戻りレーザ光を案内する戻りレーザ光案内部とに分割するスリットを前記ポリゴンミラーが有し、前記遮光部が前記スリット内にも配設されていることを特徴とする請求項1記載のレーザセンサ装置。
【請求項3】
前記第2空間に配置されると共に前記ポリゴンミラーから前記受光器までの光路を囲う遮光筒を備えることを特徴とする請求項1または2記載のレーザセンサ装置。
【請求項4】
前記収容ケースは、
前記測定用レーザ光及び前記戻りレーザ光を通過可能に形成されると共に前記第2走査部による前記ポリゴンミラーの回動中心を中心とする円弧状に形状設定された窓部と、
前記ポリゴンミラーを支持すると共に前記第2走査部によって前記ポリゴンミラーと一緒に回動される支持部と
を備えることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のレーザセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−225821(P2012−225821A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94962(P2011−94962)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】