レーザーアニール装置
【課題】小さな照射エネルギー量でアニール処理することができ、かつ、短時間でアニール処理が可能なレーザーアニール装置を提供すること。
【解決手段】Nd:YAGレーザー発振器10から取り出されたレーザーパルスは、ビーム径を拡大しながらNd:ガラスレーザー30,40,50,60で順次増幅される。Nd:ガラスレーザー60から出射するレーザービームは、高調波変換非線形結晶70で、例えば波長532nmのP偏光に変換され、回折型ビーム成形光学素子80で空間強度分布が均一化され、ビーム形状が例えば楕円形状に成形される。ダイクロイックミラー81は、波長532nmのレーザービームのみを反射し、このレーザービームは、ミラー82を介して凹レンズ83に入射してビーム径が拡大され、例えば76.5°の角度に傾けて配置された載置台90上に載せられた被照射物(ウエハW)に一括照射される。
【解決手段】Nd:YAGレーザー発振器10から取り出されたレーザーパルスは、ビーム径を拡大しながらNd:ガラスレーザー30,40,50,60で順次増幅される。Nd:ガラスレーザー60から出射するレーザービームは、高調波変換非線形結晶70で、例えば波長532nmのP偏光に変換され、回折型ビーム成形光学素子80で空間強度分布が均一化され、ビーム形状が例えば楕円形状に成形される。ダイクロイックミラー81は、波長532nmのレーザービームのみを反射し、このレーザービームは、ミラー82を介して凹レンズ83に入射してビーム径が拡大され、例えば76.5°の角度に傾けて配置された載置台90上に載せられた被照射物(ウエハW)に一括照射される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスレーザーを用いてシリコンウエハなどの加熱処理(アニール処理)を行なうレーザーアニール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハ表面に浅い拡散層(pn接合)を形成(イオン注入した不純物活性化)する工程において、フラッシュランプを用いた光照射装置が使用されていた。特許文献1には、フラッシュランプを用いた光照射装置について記載されている。
特許文献1に記載される光照射装置では、シリコンウエハに、フラッシュランプからの光を照射することで、シリコンウエハは加熱処理(アニール処理)がなされる。特許文献1には、シリコンウエハを処理するために、フラッシュランプが照射エネルギー65kW/cm2 以上で点灯されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−327359公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコンウエハをアニール処理するために用いられるフラッシュランプを用いた光照射装置の照射エネルギー量(65kW/cm2 以上)は、近時の省エネ要望からみて、とても大きいものであった。
そこで、シリコンウエハのアニール処理に、フラッシュランプに比べて小さなエネルギー量でアニール処理が可能なNd:YAGレーザーを用いることが考えられる。しかし、Nd:YAGレーザーは、ビーム径がシリコンウエハの照射面に対して極端に小さいので、シリコンウエハ上でビームをスキャンさせる必要があり、アニール処理に時間がかかってしまうという問題がある。
以上のように、フラッシュランプを用いる場合には、大きな照射エネルギーが必要であり、また、Nd:YAGレーザーを用いる場合には、アニール処理に多くの時間を要するといった問題があった。
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、小さな照射エネルギー量でアニール処理することができ、かつ、短時間でアニール処理が可能なレーザーアニール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、上記課題を次のように解決する。
(1)シリコンを含む被照射物を載置する載置台と、この載置台に向かって光を照射する光源とを備えたレーザーアニール装置において、該光源はNd:ガラスレーザーを備える。
上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部は、高調波変換非線形結晶により波長が半分の偏光したレーザー光に変換され、回折型ビーム成形光学素子により該偏光したレーザービームの空間強度分布が均一化される。そして、均一化されたビームを、被照射物が載置された載置台に斜めに入射させる。
上記Nd:ガラスレーザーからのレーザービームが波長変換された後に、光学系によりレーザーのビーム径が拡大され、被照射物に対してレーザービームが一括照射され、被照射物のアニール処理が行なわれる。
(2)上記(1)において、回折型ビーム成形光学素子が、偏光したビームの形状を楕円形状にする。そして、該楕円の短径を含みビームの進行方向と平行な平面に直交し、かつ、ビームの進行方向に対して斜めになるように載置台の被照射面を配置し、該載置台上におかれた被照射物にレーザービームを照射する。
すなわち、ビームの形状を楕円形状とし、レーザービームの進行方向に対して照射面が斜めになるように配置された載置台にレーザービームが入射したとき、該レーザービームの照射領域が、載置台上におかれた被照射物と同様な形状(たとえば円形)になるようにし、被照射物からはみ出すレーザービームを少なくし、効果的にレーザービームが照射されるようにする。
(3)上記(1)(2)において、上記高調波変換非線形結晶を、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、高調波変換されずに残ったNd:ガラスレーザー光の一部をさらに二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成する。
(4)上記(1)(2)において、上記高調波変換非線形結晶を、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、このS偏光光をP偏光光に変換する複屈折素子と、該Nd:ガラスレーザーの波長変換できずに残ったレーザー光の一部を二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)レーザー装置を用いているので、フラッシュランプよりパルス幅を短くすることができ、小さな照射エネルギーでアニール処理が可能になる。
特に、Nd:ガラスレーザーを用いてビーム径を大きくしているので、被照射物にレーザービームを一括照射し、アニール処理をすることができる。このため短時間で処理が可能となる。
(2)レーザーの出力を高調波変換非線形結晶によって偏光光に変換し、被照射物に対して斜めに入射させているので、偏光光におけるP偏光とS偏光の比を適切に設定することにより、被照射物の照射面で反射されるビーム強度を小さくすることができる。
これにより、被照射物へ吸収されるビームのエネルギー量を大きくすることができ、エネルギー効率を高くすることができる。この吸収が大きくできるため、照射されるエネルギー量を小さくでき、短時間の照射で処理することができる。
(3)回折型ビーム成形光学素子により、ビームの強度分布を均一にしており、被照射物の照射面を均一に加熱することができる。このため、拡散層の形成も照射面の位置によって不均一になってしまうことがなく、所望の拡散層を形成することができる。
(4)回折型ビーム成形光学素子でビーム形状を楕円形状にすることで、ビームの進行方向に対して被照射物が斜めに配置されている場合、被照射物の照射面上で、照射領域を楕円形状の短径が伸びた略円状にすることができる。これにより、円板状の被照射物からはみ出るビームの量を少なくすることができ、照射エネルギーを抑制できる。
(5)上記高調波変換非線形結晶を、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの一部を二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、変換できずに残ったNd:ガラスレーザーの一部をさらにもうひとつの非線形結晶にて二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成したり、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部をS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、このS偏光光をP偏光光に変換する複屈折素子と、変換できずに残ったNd:ガラスレーザの一部をさらにもうひとつの非線形結晶にて二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成し、P偏光光とS偏光光の混合比を適切な値とすることで、レーザーからのビームを被照射物の加熱に効果的に貢献できる光に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例のレーザーアニール装置の構成を示す図である。
【図2】本発明におけるレーザビームに対する載置台の配置例を示す図である。
【図3】レーザービームを円形と楕円形にした場合における被照射物上での照射領域を示す図である。
【図4】シリコン(Si)における各波長の光の吸収率を示す図である。
【図5】S偏光とP偏光に対するシリコン単結晶の反射率を示す図である。
【図6】シリコンウエハの表面を活性化する際に必要なエネルギー密度を示す図である。
【図7】本発明の照射エネルギー密度の小さなレーザーアニール装置を用いて、シリコンウエハを処理したときの結果を示す図である。
【図8】ビームを平行光にする凸レンズを設けた場合の構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例の構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第3の実施例の構成を示す模式図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示す図(1)である。
【図12】本発明の第4の実施例を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の第1の実施例のレーザーアニール装置の構成を示す図である。
図1は本実施例のレーザーアニール装置の模式図であり、同図(a)はNd:ガラスレーザー装置100の構成図、同図(b)はNd:ガラスレーザー装置100の出射光を波長変換して被照射物に照射する部分の構成図であり、同図(a)でAで示したレーザービームが同図(b)のAで示すレーザービームに対応する。なお、図1は同図中のXYZ軸で示すように、Z方向から見た図を示している。
図1において、10は図示しないフラッシュランプの励起光により励起されるφ6mmのNd:YAGレーザー発振器、11は部分反射ミラー、12は全反射ミラー、13はEOスイッチであり光路を開閉するQスイッチとして機能する。
Nd:YAGレーザー発振器10はフラッシュランプの励起光により励起されるが、Nd:YAGレーザー発振器10の内側に設けられたEOスイッチ13は、Nd:YAGレーザー発振器10の励起エネルギーが貯まるまで閉じた状態である。
励起エネルギーが貯まると、EOスイッチ13を開け、共振ミラーである全反射ミラー12と部分反射ミラー11との間で共振を開始させ、ビームエネルギーを増幅する。このレーザービームの発振周期は、例えば1秒間に10パルス(10PPS)である。
出射したレーザー光は凸レンズと凹レンズの組み合わせによるビーム拡大器14によりビーム径がNd:YAGレーザー20のロッド径に合わせて拡大されてNd:YAGレーザ20に入射する。
20は図示しないフラッシュランプにより励起されるφ9mmのNd:YAGレーザー、21は光路を開閉するEOスイッチであり、EOスイッチ21は例えば10分間に一回開き、レーザービームのパルス(例えば10pps)から1パルス分を取り出すと同時にレーザービームのパルス幅を30〜10n秒に切り出しレーザービームのパルス幅を最適化するEOスイッチである。
上記1パルス分のレーザービームは、上記Nd:YAGレーザー20に入射し増幅される。なお、レーザービームの波長は1064nmである。
【0009】
上記レーザー光はミラー22、光を一方向にだけ通過させるアイソレータ24、集光レンズ47によりミラー25を介してビームフィルタ26に入射する。ビームフィルタ26は内部が真空に保持されており、大気との圧力を保持する平行平面窓26a,26b、アパーチャ26cで構成され、上記レーザービーム形状を成形する。
ビームフィルタ26から出射したレーザービームは、集光レンズ47により縮小された後に焦点位置を通過後に徐々に拡大され、Nd:ガラスレーザー30のロッド径に合わせてビーム径を拡大しながら入射する。さらに図示しないフラッシュランプの励起光により励起されるφ16mmのNd:ガラスレーザー30で増幅され、光を一方向にだけ通過させるアイソレータ31を介して、φ25mmのNd:ガラスレーザー40にビーム径を拡大しながら入射して増幅される。
このレーザービームは、ビーム整形レンズ46a,46bによりフィルタ43の中心43cの近傍で集光するようにビームが整形される。そしてミラー41,42を介して、平行平面窓43a,43b、アパーチャ43cで構成される真空に保持されたビームフィルタ43に入射してビーム形状が成形され、ビーム整形レンズ46a,46bにより集光されて焦点位置を通過後に徐々に拡大されながらNd:ガラスレーザー50のロッド径の大きさにあわせて拡大され、ミラー44,46を介して、φ45mmのNd:ガラスレーザー50に入射して増幅される。
このNd:ガラスレーザー50から出射するNd:レーザービームは二倍波の偏光光に変換する非線形結晶への変換効率が最適な偏光光、最適なエネルギー密度になるように偏光板16にて偏光方向が調整され、凸レンズと凹レンズからなるビーム縮小器15によって縮小された並行光となるように調整される。なお、偏光板16は、図1でアイソレーター31と、Nd:ガラスレーザー40との間に設けているが、部分反射ミラー11とビーム縮小器15との間のいずれかに設けてもかまわない。
【0010】
Nd:YAGレーザー発振器10から取り出されたビームの1パルスを高いエネルギーまで増幅する為には、大きな蓄積エネルギーを有するNd:ガラスレーザー媒質からエネルギーを抽出する必要があり、このときにNd:ガラスレーザー媒質の単位面積あたりのダメージを抑えるために単位面積あたりのレーザーエネルギー密度をある一定値以下にしながら、このビーム径を段階的に大きくしながらエネルギーを増幅していくことが必要である。このビームを増幅するため、上述したようにNd:ガラスレーザー30,40,50,60が設けられ、順次増幅される。
ここで、Nd:YAGレーザー20及びNd:ガラスレーザー30の出射側には、光を一方向にだけ通過させるアイソレーター24,31が設けられているが、これは、一般にNd:YAGレーザー及びNd:ガラスレーザーは光が出力側から入射すると、破損することがあるためであり、光路の途中にアイソレーター24,31を設けることで、Nd:ガラスレーザーの破損を防止することができる。
【0011】
また、Nd:ガラスレーザー30及び50の入射側に設けられたビームフィルタ26,43は内部が真空であり、入口側と出口側に平行窓26a,26b,43a,43bを有し、入り口側の凸レンズ47, 46bで光を集光し、フィルタ26,43に設けたアパーチャ26c,43cを通過させて成形するものであり、アパーチャ26c,43cには例えば円形の貫通穴であり、ビームの形状を円状に成形する。
以上のように、光路内でのビームの自然な広がり、あるいは凸レンズを利用した広がりにより、所望のビーム径(φ50mm)のレーザービームを形成し、その途中にビーム径にあわせて、Nd:ガラスレーザー30,40,50,60を順次配置して増幅することで、所望のビーム径を有し、且つ、所望のエネルギーを有したビームを得ることができる。
Nd:ガラスレーザー60から出射するレーザービームは、ビーム径60mm、波長1064nm、ビームエネルギーは150J(ジュール)である。このビームをビーム縮小器15を通過させることで、所望のビーム径φ40mmとすることができる。
【0012】
Nd:ガラスレーザー60から出射するレーザービームは、ビーム縮小器15と偏光板16により、二倍波のP偏光光に最高の効率で変換されるように高調波変換非線形結晶70、回折型ビーム成形光学素子80から構成される光学素子85に入射する。
高調波変換非線形結晶70は、レーザービームを、二倍波に波長変換した偏光光にさせる。この高調波変換非線形結晶としては、例えばDKDP(Deuterated potassium dihydrogen phosphate:りん酸二重水素カリウム)が用いられる。
このDKDPは、その結晶の光学軸に対して、ある角度で入射した偏光したレーザービームを波長変換し、偏光させる。偏光方向は、上記光学軸の入射偏光光と入射角度に応じて定まり、P偏光あるいはS偏光に変換する。
本実施例では、偏光板16の回転方向により最適に調整されたレーザー光が高調波変換非線形結晶70には入射したレーザービームを二倍波のP偏光光に変換するように配置されている。
すなわち、高調波変換非線形結晶70に入射する波長1064nm(ビームエネルギー150J)のレーザービームは、その一部が高調波変換非線形結晶70で波長532nmのP偏光(例えば60J)に変換される。このため、高調波変換非線形結晶70から出射されたレーザービームは、波長1064nmと波長532nm(約60J)の光の混合されたものとなる。
すなわち、高調波変換非線形結晶70から出射するレーザービームは、例えばビーム径40mm、波長532nm(波長1064nmの光を含む)、パルス幅5〜30ns、波長523nmの光のエネルギーは60J以上である。
以上のように、P偏光に変換する高調波変換非線形結晶70を設けることで、Nd:ガラスレーザーからのビームは、その一部が高調波変換非線形結晶でP偏光に変換され、被照射物には、P偏光のビームのエネルギー(例えば60J)が照射される。これにより、60JのP偏光が被照射物に吸収される。
【0013】
ここで、上記高調波変換非線形結晶70により、波長を1064nmから532nmに変換する理由について説明する。
本発明が対象とする被照射物は、主としてシリコンウエハを想定しており、シリコンウエハに含まれるシリコン(Si)は、以下の特性を有する。
図4にシリコン(Si)における各波長の光の吸収率を示す。同図の横軸は波長(nm)、縦軸は吸収率(波長が200nm以下の光の吸収率を1としたときの相対値)である。
同図から明らかなように、シリコンに対して光を照射したとき、波長によってその光の吸収率が異なる。吸収率が高いほどシリコンへ吸収される光のエネルギーは多く、シリコンの加熱量も多くなる。すなわち、光の吸収率が高い方が、エネルギー効率が良いことになる。
すなわち、波長が1000nmを越えると、吸収率が低すぎて加熱には寄与しなくなり、被照射物に照射するレーザービームの波長を532nmにすることで、被照射物を効率的に加熱することが可能となる。
【0014】
ところで、図1(c)に示すように、高調波変換非線形結晶70から出射するレーザービームの形状は円形に近いものの強度分布は一様でない。
そこで、高調波変換非線形結晶70から出射するレーザービームを、回折型ビーム成形光学素子80に入射させ、強度分布を改善する。
回折型ビーム成形光学素子80は、回折格子を用いた光学素子であり532nmのレーザービームの強度分布を改善して均一化するとともに、その形状を成形(本実施例の場合には楕円形状に成形)する。
図1(d)に回折型ビーム成形光学素子80から出射するレーザービームのビーム形状例を示す。同図に示すように、ビーム形状は楕円形状となり、強度は一様となる。
回折型ビーム成形光学素子80から出射するレーザービームは、ダイクロイックミラー81に入射する。ダイクロイックミラー81は、波長1064nmの光を透過させ、波長532nmのレーザービームのみを反射する。ダイクロイックミラー81で反射したレーザービームは、ミラー82で反射して、凹レンズ83(例えば口径φ100mm、焦点距離f=20以上)に入射してビーム径が拡大され、載置台90上に載せられた被照射物(ウエハW)に照射される。
なお、波長1064nmの光は、被照射物がシリコンウエハの場合、吸収されず透過してしまう。このため、波長1064nmの光は、被照射物のアニールに不要なだけでなく、被照射物を載置している載置台を損傷させる虞がある。そこで、上述したように不必要な波長の光をダイクロイックミラー81で透過させ、必要な波長(P偏光、532nm)の光をダイクロイックミラーで反射させる。
【0015】
図2に、レーザビームに対する載置台の配置例を示す。図2(a)は図1(b)におけるB−B断面図、図2(b)は図2(a)の上面図である。なお、図2(a)は同図中のXYZ軸で示すようにY方向から見た図を示し、図2(b)は同図中のXYZ軸で示すようにZ方向から見た図を示している。
図2(a)に示すように、被照射物は、レーザービームの進行方向に対して、例えば76.5°の角度に傾けて配置されている。すなわち、図2(a)(b)に示すように、被照射物の照射面は、ビームの楕円の短径を含むビームの進行方向に平行な平面に直交し、かつ、ビームの進行方向に対して照射面の角度が76.5°(ビームの進行方向と照射面の垂線のなす角度)になるように載置台は斜めに配置されている。
これは、後述するように、本発明が処理の対象としてるシリコン単結晶においては、入射する偏光光がP偏光の場合、約76.5°の角度から入射したときが反射率が最も小さくなり、その光の殆んどを吸収させることができるためである。これにより、被照射物へ吸収されるビームのエネルギー量を大きくすることができる。
上記のように被照射物(ウエハW)は、レーザービームの進行方向に対して、例えば76.5°の角度に傾けて配置されているため、楕円の短径方向が、載置台上の被照射物に照射される際に引き伸ばされ、図2(b)に示すように楕円形状のレーザービームはウエハW上でほぼ、円形となる。
【0016】
図3は載置台が斜めに配置されている場合の被照射物上での照射領域を示す図であり、同図(a)はビーム形状(光軸に垂直な平面上に投影されるビーム形状)が円状のときの被照射物での照射領域を示し、(b)はビーム形状(光軸に垂直な平面上に投影されるビーム形状)が楕円状のときの被照射物での照射領域を示す。なお、図3は同図中のXYZ軸で示すようにZ方向から見た図を示している。
ビーム形状を円形とすると、被照射物が円形の場合、同図(a) に示すように被照射物の照射面上ではビームが楕円状になり、円状の照射面(ウエハW)からはみ出す光が多くなる。このため、無駄になる光が多く、エネルギーの利用効率が悪くなる。
一方、回折型ビーム成形光学素子80で、ビームの強度分布を均一化させるだけでなく、ビーム形を楕円状にすることで、図2(b)に示すように、照射領域の形状を円状の照射面(ウエハW)とほぼ同様な形状とすることができる。
このため、照射面からはみ出すビームの量を小さくすることができ、エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0017】
上述したように、本実施例では、被照射物(ウエハW)をレーザービームの進行方向に対して、例えば76.5°の角度に傾けて配置し、ウエハWへのレーザービームの入射角を76.5°としている。
これは以下の理由による。
図5に、S偏光とP偏光に対するシリコン単結晶の反射率を示す。同図の横軸は偏光光のシリコン単結晶への入射角、縦軸は反射率(全反射の場合が1)である。
シリコン単結晶にS偏光だけが入射した場合、同図に示すように、入射角0°のときに、すでに一部が反射され、入射角が大きくなるにつれて、反射率が高くなることが分かる。
一方、シリコン単結晶にP偏光だけが入射した場合、入射角0°のときに、一部反射されるものの、入射角が大きくなるにつれて、反射率が低くなり、入射角が約76.5°のときに、反射することがなくなり、約76.5°からさらに大きくするにつれて、反射率が大きくなる。
【0018】
このように、シリコン単結晶においては、S偏光とP偏光とを入射させたときには、反射率特性が異なり、P偏光とS偏光との混合光の場合は、その比率に応じて反射率が変化する。
P偏光とS偏光の割合が1対1の場合(同図の「Rp+Rs」の曲線参照)は、約76.5°まで反射率が変化せず、約76.5°より大きくするにつれて反射率が大きくなる。また、P偏光とS偏光との混合光は、その比率が7対3(同図の「0.7Rp+0.3Rs」の曲線参照)や8対2(同図の「0.8Rp+0.2Rs」の曲線参照)のように、P偏光の割合が大きくなると、P偏光の特性が大きく影響し、入射角が0°から約76.5°までは順次反射率が低下し、約76.5°より大きくすると、反射率が大きくなる。
以上のように、図5から、シリコン単結晶に対して、P偏光を約76.5°の角度で入射させると、その光の殆んどを吸収することが分かる。また、P偏光とS偏光との混合光の場合でも、約76.5°の角度で入射させることで、最も吸収率を大きくできることができることがわかる。
【0019】
次に、本発明に示したレーザー光を用いたレーザーアニール装置を用いることで、従来の特許文献1に示されるフラッシュランプを用いたアニール装置と比べ、小さなエネルギー量でアニール処理が可能な理由について説明する。
図6は、シリコンウエハの表面を活性化する際に必要なエネルギー密度を示す図であり、同図の横軸は、シリコンウエハへ照射される光のパルス幅(秒)、縦軸はエネルギー密度(J/cm2 )である。
同図中の楕円で囲まれた領域A中の点はフラッシュランプを用いてアニール処理したときにシリコンウエハを活性化するに必要な最小のエネルギーをプロットしたものである。また、領域B中の点はレーザー光を用いてアニール処理したときにシリコンウエハを活性化するに必要な最小のエネルギーを実験により求め、プロットしたものである。
同図の点線は、上記活性化できた最小の点の平均値を結んだものであり、アニール処理によりシリコンウエハを活性化するに必要な最小なエネルギー密度を示す。すなわち、エネルギー密度が点線より上側にあれば、シリコンウエハを活性化することができ、下側にあれば活性化できないことを意味している。
同図から明らかなように、シリコンウエハに照射する光のパルス幅が短いほど、少ないエネルギー密度で活性化することができる。本発明のレーザーアニール装置は、パルス幅をフラッシュランプよりも短くすることができることから、フラッシュランプを用いる場合より照射エネルギー密度を小さくすることができる。
すなわち、フラッシュランプを用いる場合は、エネルギーが大きいので、必要でない内部深くまで活性化されるが、レーザーアニールの場合には、必要な表面近くのみ活性化することができ、小さなエネルギーで活性化することが可能となる。
【0020】
図7は、本発明の照射エネルギー密度の小さなレーザーアニール装置を用いて、シリコンウエハφ30cmを処理したときの結果を示す図である。
同図の横軸は、シリコンウエハの照射面からの深さ(nm)を示し、縦軸はイオン(ボロン)の密度を示し、同図の点線はアニール処理をする前、実線はアニール処理をした後のイオン(ボロン)の密度を示す。
同図から、本発明のアニール装置を用いることにより、シリコンウエハの深さ方向にイオン(ボロン)を拡散させることができることが分かる。このときのNd:ガラスレーザーの照射エネルギーは350J以上が必要であった。フラッシュランプの場合、シリコンウエハに照射されるエネルギーは166kJであるので、これに比べればレーザーアニール装置が如何に小さいエネルギーで処理できるかが分かる。
なお、アニール処理によりシリコンウエハの表面を活性化できたか否かは、上記のように拡散深さを調べるほかに、表面抵抗の変化により確認することができる。表面抵抗は、例えば活性化前は2kΩであったものが、活性化後は4Ωになるなど、大きく変化した。
【0021】
なお、上記実施例では、Nd:YAGレーザー発振器を用いているが、発振器はNd:YAGレーザー発振器に限定されるものではなく、Nd:YLFレーザーであってもかまわない。
Nd:YLFレーザーからのビームの波長は1053nmであり、この場合は、Nd:ガラスレーザー装置から出射される波長も1053nmとなるような構成のNd:ガラスレーザーを用いる。 また、前記図1、図2では、被照射物を斜めに配置し、被照射物に対して、ビームの中心光線を約76.5°の入射角で入射させているが、ビームは完全な平行光ではないことから、76.5°以外で入射される光が存在し、被照射物の照射面上で、吸収される光の分布ができてしまう。
このため、図8に示すように、凹レンズ83の後にビームを平行光にする凸レンズ84を入れることが好ましい。ここで、凹レンズ83の焦点距離をf2、凸レンズの焦点距離をf1とすると、平行光にするための倍率はf1/f2となる。
【0022】
上記第1の実施例によれば、以下の効果が得られる。
図4で説明したように、532nmの光は、Siに対して吸収率が高く、シリコン単結晶に吸収されやすい波長である。また、図5で説明したようにP偏光を入射角76.5°でシリコン単結晶に入射させることで、シリコン単結晶表面での反射率を最小にすることができる。
このため、第1の実施例のレーザーアニール装置によれば、シリコンを含む被照射物を効率よく加熱することができる。特に、被照射物へのP偏光の中心光線の入射角が76.5°あるいは、この角度に近い角度(例えば76.5°±5°)になるように入射させることで、効率よく加熱することができる。
また、Nd:ガラスレーザーを複数段を用いることでビーム径が広がっていく過程で、レーザービームを増幅することができ、ビーム径が大きくなっても所期の照度を確保することができる。このため、被照射物を一括照射することができ、スキャン照射が不要であり、短時間で処理することができる。また、凹レンズを用いれば、ビーム径の拡大を容易に行なうことができる。
【0023】
また、図6で説明したように、本実施例のレーザーアニール装置でアニール処理を行うことにより、フラッシュランプで処理するよりも照射エネルギー効率が高く、少ないエネルギーで活性化が可能である。これは、照射光のパルス幅が少ないほうが加熱に必要なエネルギーが少なくて済むためである。
さらに、照射光がシリコンウエハ上で反射されないように、P偏光を斜めに入射させていることで、従来のフラッシュランプを用いた場合に比べ、照射エネルギーをさらに小さくすることができる。
【0024】
第1の実施例では、Nd:ガラスレーザー60からのレーザービーム(1064nm、150J)のうち、一部(60J)をP偏光光(532nm)にしているだけで、残りのビーム(1064nm)は捨てている。すなわち、ダイクロイックミラー81で透過させて、被照射物には照射されないようにしている。
このため、捨てている分、エネルギー効率が悪い。以下の実施例では、この捨てている光を有効活用している。
図9は第2の実施例の構成を示す模式図であり、同図は、図1の点線で囲った高調波変換非線形結晶70、回折型ビーム成形光学素子80から構成される光学素子85の部分の構成を示し、その他の部分は図1と同じである。
第2の実施例では、光学素子85内に、入射するレーザービームを二倍波でP偏光光にする高調波変換非線形結晶70と、回折型ビーム成形光学素子80との間に、高調波変換非線形結晶70で変換できずに残ったガラスレーザービームを二倍波のS偏光光にする高調波変換非線形結晶71を配置した。
【0025】
このため、P偏光光にする高調波変換非線形結晶70で変換できなかったビーム(1064nm)は、高調波変換非線形結晶71で二倍波のS偏光光に変換され、被照射物に照射される。なお、高調波変換非線形結晶70から出射するP偏光光は、高調波変換非線形結晶71で変換されず透過する。
被照射物は、S偏光光の一部を反射するものの一部は吸収する。このため、S偏光光が吸収される分、エネルギー効率を向上させることができる。
なお、第2の実施例のようにP偏光光とS偏光光の混合光とした場合でも、P偏光光の割合が大きければ、P偏光光が吸収されやすい角度(例えば76.5°)で、この混合光を入射させることで、被照射物への吸収効率は高くなる。すなわち、エネルギー効率が高い。
第2の実施例では、Nd:ガラスレーザーからのビーム(1064nm)の光を、二倍波のP偏光光(532nm)とS偏光光(532nm)に変換しているものの、その全てを変換できるものではなく、ごく一部は変換されず残ってしまう。このため、ダイクロイックミラー81で、この変換されなったビーム(1064nm)を透過させている。
【0026】
以上のように第2の実施例では、二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶70と、S偏光光に変換する高調波変換非線形結晶71とを備える。
これにより、Nd:ガラスレーザーからのビームは、その一部が高調波変換非線形結晶70で二倍波のP偏光光に変換され、残りの一部が別の高調波変換非線形結晶71で二倍波のS偏光光に変換され、被照射物には、二倍波のP偏光のビームのエネルギー(例えば60J)と、S偏光光のビームのエネルギー(例えば20J)とが照射される。
このため、二倍波のP偏光(60J)が被照射装置に吸収されるとともに、S偏光(例えば20J)の一部も被照射物に吸収される。したがって、第1の実施例より、二倍波のS偏光光が吸収される分、エネルギー効率を向上させることができる。
【0027】
図10は本発明の第3の実施例の構成を示す模式図であり、同図は図1の点線で囲った光学素子85の部分の構成を示し、その他の部分は図1と同じである。
第3の実施例では、Nd:ガラスレーザー装置からのビーム(1064nm、150J)を、まずS偏光光にする高調波変換非線形結晶72に入射させて、一部を二倍波のS偏光光(532nm、60J)にする。
残った基本波1064nmはダイクロイックミラー75aにて反射される。ダイクロイックミラー75を通過したこのS偏光光(532nm)は、次の複屈折素子(λ/2板)73に入射させることで、90°偏光させ、P偏光光に変換する。この複屈折素子73は、532nmの光を偏光する機能を有するものの、波長を変換する機能を有さない。
【0028】
ダイクロイックミラー75aにて紙面下方に反射した基本波光はミラー76aにて高調波変換非線形結晶74に入射させて一部を二倍波のP偏光光(532nm、20J)に変換される。
残った基本波光1064nmはダイクロイックミラー75b にて反射される。
上記2つの二倍波のP偏光光は回折型ビーム成形光学素子77a、77bにてビームの空間強度が均一にされ、ミラー76b,76cを経てワークに照射される。
このため、Nd:ガラスレーザーからのビームは、殆んどが波長532nmのP偏光光に変換され、この2つのP偏光光を被照射面に斜めに入射させることで、被照射物に反射されずに効率よくアニール処理することができ、エネルギー効率が高い。
なお、第3の実施例でも、Nd:ガラスレーザー60からのレーザービーム(1064nm)の光を、全てを二倍波のP偏光光にできるものではなく、ダイクロイックミラー75a,75b で、変換されなったビーム(1064nm)を反射させている。
【0029】
以上のように本発明の第3の実施例では、二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶72と、複屈折素子73と、二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶74とを備える。
このため、Nd:ガラスレーザーからのビームは、その一部が高調波変換非線形結晶72で二倍波のS偏光光に変換され、この二倍波のS偏光が複屈折素子73でP偏光光に変換され、ビームの残りの一部が別の高調波変換非線形結晶74で二倍波のP偏光光に変換される。
したがって、被照射物には、複屈折素子73で変換されたP偏光光(例えば60J)と、別の高調波変換非線形結晶74で変換された二倍波のP偏光光(例えば20J)とが照射される。
すなわち、60J+20JのP偏光が被照射物に吸収されることとなり、前記第1及び第2の実施例よりも、エネルギー効率を向上させることができる。
【0030】
ところで、回折型ビーム成形光学素子80には、光軸を折り曲げる機能や、ビーム径を拡大させる機能を持たせることができる。この機能を使って、複数の光源からの照射光を重ね合わせて被照射物に照射するように構成することもできる。
図11、図12は上記機能を用いて、複数の光源からの照射光を重ね合わせて照射したり、凹レンズを省略できるようにした本発明の第4の実施例を示す図である。
同図は、前記図1において、回折型ビーム成形光学素子80、凹レンズ83、被照射物等から構成される部分のみを示し、その他の構成は図1と同じである。
図11において、回折型ビーム成形光学素子80a,80b,80cで光軸の方向が代えられた3つの光源からのレーザービームは、凹レンズ83a,83b,83cでビーム径が拡大され、被照射物(ウエハW)上に重ねて照射される。このように構成することで、被照射面に大きなエネルギーのレーザービームを照射することができる。
【0031】
図12(a)は、回折型ビーム成形光学素子80のビーム径を拡大させる機能を用いて凹レンズを省略できるようにした構成例であり、回折型ビーム成形光学素子80でレーザービームの径が拡大され被照射物(ウエハW)に照射される。
このように構成することで、凹レンズを設ける必要がなく、構成を簡単化することができる。
図12(b)は、回折型ビーム成形光学素子80の光軸を折り曲げる機能と、ビーム径を拡大させる機能との、両方の機能を加え、2つの光源からの照射光を重ね合わせて被照射物に照射するように構成した場合の構成例を示す。
回折型ビーム成形光学素子80a,80bで光軸の方向が代えられ、かつビーム径が拡大された2つの光源からのレーザービームが、被照射物(ウエハW)上に重ねて照射される。このように構成することで、図11と同様に被照射面に大きなエネルギーのレーザービームを照射することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 Nd:YAGレーザー発振器
11 部分反射ミラー
12 全反射ミラー
13 EOスイッチ
14 ビーム拡大器
15 ビーム縮小器
16 偏光板
20 Nd:YAGレーザー
21 EOスイッチ
22,23 ミラー
24,31 アイソレータ
26,43 ビームフィルタ
26a,26b,43a,43b 平行平面窓
26c,43c アパーチャ
30,40,50,60 Nd:ガラスレーザー
41,42,44,45 ミラー
46a,46b ビーム成形レンズ
70,71,72,74 高調波変換非線形結晶
73 複屈折素子
77a,77b、80,80a,80b,80c 回折型ビーム成形光学素子
75a,75b、81 ダイクロイックミラー
76a,76b,76c、82 ミラー
83 凹レンズ
84 凸レンズ
85 光学素子
90 載置台
100 Nd:ガラスレーザー装置
W ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスレーザーを用いてシリコンウエハなどの加熱処理(アニール処理)を行なうレーザーアニール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハ表面に浅い拡散層(pn接合)を形成(イオン注入した不純物活性化)する工程において、フラッシュランプを用いた光照射装置が使用されていた。特許文献1には、フラッシュランプを用いた光照射装置について記載されている。
特許文献1に記載される光照射装置では、シリコンウエハに、フラッシュランプからの光を照射することで、シリコンウエハは加熱処理(アニール処理)がなされる。特許文献1には、シリコンウエハを処理するために、フラッシュランプが照射エネルギー65kW/cm2 以上で点灯されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−327359公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコンウエハをアニール処理するために用いられるフラッシュランプを用いた光照射装置の照射エネルギー量(65kW/cm2 以上)は、近時の省エネ要望からみて、とても大きいものであった。
そこで、シリコンウエハのアニール処理に、フラッシュランプに比べて小さなエネルギー量でアニール処理が可能なNd:YAGレーザーを用いることが考えられる。しかし、Nd:YAGレーザーは、ビーム径がシリコンウエハの照射面に対して極端に小さいので、シリコンウエハ上でビームをスキャンさせる必要があり、アニール処理に時間がかかってしまうという問題がある。
以上のように、フラッシュランプを用いる場合には、大きな照射エネルギーが必要であり、また、Nd:YAGレーザーを用いる場合には、アニール処理に多くの時間を要するといった問題があった。
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、小さな照射エネルギー量でアニール処理することができ、かつ、短時間でアニール処理が可能なレーザーアニール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、上記課題を次のように解決する。
(1)シリコンを含む被照射物を載置する載置台と、この載置台に向かって光を照射する光源とを備えたレーザーアニール装置において、該光源はNd:ガラスレーザーを備える。
上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部は、高調波変換非線形結晶により波長が半分の偏光したレーザー光に変換され、回折型ビーム成形光学素子により該偏光したレーザービームの空間強度分布が均一化される。そして、均一化されたビームを、被照射物が載置された載置台に斜めに入射させる。
上記Nd:ガラスレーザーからのレーザービームが波長変換された後に、光学系によりレーザーのビーム径が拡大され、被照射物に対してレーザービームが一括照射され、被照射物のアニール処理が行なわれる。
(2)上記(1)において、回折型ビーム成形光学素子が、偏光したビームの形状を楕円形状にする。そして、該楕円の短径を含みビームの進行方向と平行な平面に直交し、かつ、ビームの進行方向に対して斜めになるように載置台の被照射面を配置し、該載置台上におかれた被照射物にレーザービームを照射する。
すなわち、ビームの形状を楕円形状とし、レーザービームの進行方向に対して照射面が斜めになるように配置された載置台にレーザービームが入射したとき、該レーザービームの照射領域が、載置台上におかれた被照射物と同様な形状(たとえば円形)になるようにし、被照射物からはみ出すレーザービームを少なくし、効果的にレーザービームが照射されるようにする。
(3)上記(1)(2)において、上記高調波変換非線形結晶を、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、高調波変換されずに残ったNd:ガラスレーザー光の一部をさらに二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成する。
(4)上記(1)(2)において、上記高調波変換非線形結晶を、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、このS偏光光をP偏光光に変換する複屈折素子と、該Nd:ガラスレーザーの波長変換できずに残ったレーザー光の一部を二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)レーザー装置を用いているので、フラッシュランプよりパルス幅を短くすることができ、小さな照射エネルギーでアニール処理が可能になる。
特に、Nd:ガラスレーザーを用いてビーム径を大きくしているので、被照射物にレーザービームを一括照射し、アニール処理をすることができる。このため短時間で処理が可能となる。
(2)レーザーの出力を高調波変換非線形結晶によって偏光光に変換し、被照射物に対して斜めに入射させているので、偏光光におけるP偏光とS偏光の比を適切に設定することにより、被照射物の照射面で反射されるビーム強度を小さくすることができる。
これにより、被照射物へ吸収されるビームのエネルギー量を大きくすることができ、エネルギー効率を高くすることができる。この吸収が大きくできるため、照射されるエネルギー量を小さくでき、短時間の照射で処理することができる。
(3)回折型ビーム成形光学素子により、ビームの強度分布を均一にしており、被照射物の照射面を均一に加熱することができる。このため、拡散層の形成も照射面の位置によって不均一になってしまうことがなく、所望の拡散層を形成することができる。
(4)回折型ビーム成形光学素子でビーム形状を楕円形状にすることで、ビームの進行方向に対して被照射物が斜めに配置されている場合、被照射物の照射面上で、照射領域を楕円形状の短径が伸びた略円状にすることができる。これにより、円板状の被照射物からはみ出るビームの量を少なくすることができ、照射エネルギーを抑制できる。
(5)上記高調波変換非線形結晶を、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの一部を二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、変換できずに残ったNd:ガラスレーザーの一部をさらにもうひとつの非線形結晶にて二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成したり、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部をS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、このS偏光光をP偏光光に変換する複屈折素子と、変換できずに残ったNd:ガラスレーザの一部をさらにもうひとつの非線形結晶にて二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成し、P偏光光とS偏光光の混合比を適切な値とすることで、レーザーからのビームを被照射物の加熱に効果的に貢献できる光に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例のレーザーアニール装置の構成を示す図である。
【図2】本発明におけるレーザビームに対する載置台の配置例を示す図である。
【図3】レーザービームを円形と楕円形にした場合における被照射物上での照射領域を示す図である。
【図4】シリコン(Si)における各波長の光の吸収率を示す図である。
【図5】S偏光とP偏光に対するシリコン単結晶の反射率を示す図である。
【図6】シリコンウエハの表面を活性化する際に必要なエネルギー密度を示す図である。
【図7】本発明の照射エネルギー密度の小さなレーザーアニール装置を用いて、シリコンウエハを処理したときの結果を示す図である。
【図8】ビームを平行光にする凸レンズを設けた場合の構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例の構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第3の実施例の構成を示す模式図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示す図(1)である。
【図12】本発明の第4の実施例を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の第1の実施例のレーザーアニール装置の構成を示す図である。
図1は本実施例のレーザーアニール装置の模式図であり、同図(a)はNd:ガラスレーザー装置100の構成図、同図(b)はNd:ガラスレーザー装置100の出射光を波長変換して被照射物に照射する部分の構成図であり、同図(a)でAで示したレーザービームが同図(b)のAで示すレーザービームに対応する。なお、図1は同図中のXYZ軸で示すように、Z方向から見た図を示している。
図1において、10は図示しないフラッシュランプの励起光により励起されるφ6mmのNd:YAGレーザー発振器、11は部分反射ミラー、12は全反射ミラー、13はEOスイッチであり光路を開閉するQスイッチとして機能する。
Nd:YAGレーザー発振器10はフラッシュランプの励起光により励起されるが、Nd:YAGレーザー発振器10の内側に設けられたEOスイッチ13は、Nd:YAGレーザー発振器10の励起エネルギーが貯まるまで閉じた状態である。
励起エネルギーが貯まると、EOスイッチ13を開け、共振ミラーである全反射ミラー12と部分反射ミラー11との間で共振を開始させ、ビームエネルギーを増幅する。このレーザービームの発振周期は、例えば1秒間に10パルス(10PPS)である。
出射したレーザー光は凸レンズと凹レンズの組み合わせによるビーム拡大器14によりビーム径がNd:YAGレーザー20のロッド径に合わせて拡大されてNd:YAGレーザ20に入射する。
20は図示しないフラッシュランプにより励起されるφ9mmのNd:YAGレーザー、21は光路を開閉するEOスイッチであり、EOスイッチ21は例えば10分間に一回開き、レーザービームのパルス(例えば10pps)から1パルス分を取り出すと同時にレーザービームのパルス幅を30〜10n秒に切り出しレーザービームのパルス幅を最適化するEOスイッチである。
上記1パルス分のレーザービームは、上記Nd:YAGレーザー20に入射し増幅される。なお、レーザービームの波長は1064nmである。
【0009】
上記レーザー光はミラー22、光を一方向にだけ通過させるアイソレータ24、集光レンズ47によりミラー25を介してビームフィルタ26に入射する。ビームフィルタ26は内部が真空に保持されており、大気との圧力を保持する平行平面窓26a,26b、アパーチャ26cで構成され、上記レーザービーム形状を成形する。
ビームフィルタ26から出射したレーザービームは、集光レンズ47により縮小された後に焦点位置を通過後に徐々に拡大され、Nd:ガラスレーザー30のロッド径に合わせてビーム径を拡大しながら入射する。さらに図示しないフラッシュランプの励起光により励起されるφ16mmのNd:ガラスレーザー30で増幅され、光を一方向にだけ通過させるアイソレータ31を介して、φ25mmのNd:ガラスレーザー40にビーム径を拡大しながら入射して増幅される。
このレーザービームは、ビーム整形レンズ46a,46bによりフィルタ43の中心43cの近傍で集光するようにビームが整形される。そしてミラー41,42を介して、平行平面窓43a,43b、アパーチャ43cで構成される真空に保持されたビームフィルタ43に入射してビーム形状が成形され、ビーム整形レンズ46a,46bにより集光されて焦点位置を通過後に徐々に拡大されながらNd:ガラスレーザー50のロッド径の大きさにあわせて拡大され、ミラー44,46を介して、φ45mmのNd:ガラスレーザー50に入射して増幅される。
このNd:ガラスレーザー50から出射するNd:レーザービームは二倍波の偏光光に変換する非線形結晶への変換効率が最適な偏光光、最適なエネルギー密度になるように偏光板16にて偏光方向が調整され、凸レンズと凹レンズからなるビーム縮小器15によって縮小された並行光となるように調整される。なお、偏光板16は、図1でアイソレーター31と、Nd:ガラスレーザー40との間に設けているが、部分反射ミラー11とビーム縮小器15との間のいずれかに設けてもかまわない。
【0010】
Nd:YAGレーザー発振器10から取り出されたビームの1パルスを高いエネルギーまで増幅する為には、大きな蓄積エネルギーを有するNd:ガラスレーザー媒質からエネルギーを抽出する必要があり、このときにNd:ガラスレーザー媒質の単位面積あたりのダメージを抑えるために単位面積あたりのレーザーエネルギー密度をある一定値以下にしながら、このビーム径を段階的に大きくしながらエネルギーを増幅していくことが必要である。このビームを増幅するため、上述したようにNd:ガラスレーザー30,40,50,60が設けられ、順次増幅される。
ここで、Nd:YAGレーザー20及びNd:ガラスレーザー30の出射側には、光を一方向にだけ通過させるアイソレーター24,31が設けられているが、これは、一般にNd:YAGレーザー及びNd:ガラスレーザーは光が出力側から入射すると、破損することがあるためであり、光路の途中にアイソレーター24,31を設けることで、Nd:ガラスレーザーの破損を防止することができる。
【0011】
また、Nd:ガラスレーザー30及び50の入射側に設けられたビームフィルタ26,43は内部が真空であり、入口側と出口側に平行窓26a,26b,43a,43bを有し、入り口側の凸レンズ47, 46bで光を集光し、フィルタ26,43に設けたアパーチャ26c,43cを通過させて成形するものであり、アパーチャ26c,43cには例えば円形の貫通穴であり、ビームの形状を円状に成形する。
以上のように、光路内でのビームの自然な広がり、あるいは凸レンズを利用した広がりにより、所望のビーム径(φ50mm)のレーザービームを形成し、その途中にビーム径にあわせて、Nd:ガラスレーザー30,40,50,60を順次配置して増幅することで、所望のビーム径を有し、且つ、所望のエネルギーを有したビームを得ることができる。
Nd:ガラスレーザー60から出射するレーザービームは、ビーム径60mm、波長1064nm、ビームエネルギーは150J(ジュール)である。このビームをビーム縮小器15を通過させることで、所望のビーム径φ40mmとすることができる。
【0012】
Nd:ガラスレーザー60から出射するレーザービームは、ビーム縮小器15と偏光板16により、二倍波のP偏光光に最高の効率で変換されるように高調波変換非線形結晶70、回折型ビーム成形光学素子80から構成される光学素子85に入射する。
高調波変換非線形結晶70は、レーザービームを、二倍波に波長変換した偏光光にさせる。この高調波変換非線形結晶としては、例えばDKDP(Deuterated potassium dihydrogen phosphate:りん酸二重水素カリウム)が用いられる。
このDKDPは、その結晶の光学軸に対して、ある角度で入射した偏光したレーザービームを波長変換し、偏光させる。偏光方向は、上記光学軸の入射偏光光と入射角度に応じて定まり、P偏光あるいはS偏光に変換する。
本実施例では、偏光板16の回転方向により最適に調整されたレーザー光が高調波変換非線形結晶70には入射したレーザービームを二倍波のP偏光光に変換するように配置されている。
すなわち、高調波変換非線形結晶70に入射する波長1064nm(ビームエネルギー150J)のレーザービームは、その一部が高調波変換非線形結晶70で波長532nmのP偏光(例えば60J)に変換される。このため、高調波変換非線形結晶70から出射されたレーザービームは、波長1064nmと波長532nm(約60J)の光の混合されたものとなる。
すなわち、高調波変換非線形結晶70から出射するレーザービームは、例えばビーム径40mm、波長532nm(波長1064nmの光を含む)、パルス幅5〜30ns、波長523nmの光のエネルギーは60J以上である。
以上のように、P偏光に変換する高調波変換非線形結晶70を設けることで、Nd:ガラスレーザーからのビームは、その一部が高調波変換非線形結晶でP偏光に変換され、被照射物には、P偏光のビームのエネルギー(例えば60J)が照射される。これにより、60JのP偏光が被照射物に吸収される。
【0013】
ここで、上記高調波変換非線形結晶70により、波長を1064nmから532nmに変換する理由について説明する。
本発明が対象とする被照射物は、主としてシリコンウエハを想定しており、シリコンウエハに含まれるシリコン(Si)は、以下の特性を有する。
図4にシリコン(Si)における各波長の光の吸収率を示す。同図の横軸は波長(nm)、縦軸は吸収率(波長が200nm以下の光の吸収率を1としたときの相対値)である。
同図から明らかなように、シリコンに対して光を照射したとき、波長によってその光の吸収率が異なる。吸収率が高いほどシリコンへ吸収される光のエネルギーは多く、シリコンの加熱量も多くなる。すなわち、光の吸収率が高い方が、エネルギー効率が良いことになる。
すなわち、波長が1000nmを越えると、吸収率が低すぎて加熱には寄与しなくなり、被照射物に照射するレーザービームの波長を532nmにすることで、被照射物を効率的に加熱することが可能となる。
【0014】
ところで、図1(c)に示すように、高調波変換非線形結晶70から出射するレーザービームの形状は円形に近いものの強度分布は一様でない。
そこで、高調波変換非線形結晶70から出射するレーザービームを、回折型ビーム成形光学素子80に入射させ、強度分布を改善する。
回折型ビーム成形光学素子80は、回折格子を用いた光学素子であり532nmのレーザービームの強度分布を改善して均一化するとともに、その形状を成形(本実施例の場合には楕円形状に成形)する。
図1(d)に回折型ビーム成形光学素子80から出射するレーザービームのビーム形状例を示す。同図に示すように、ビーム形状は楕円形状となり、強度は一様となる。
回折型ビーム成形光学素子80から出射するレーザービームは、ダイクロイックミラー81に入射する。ダイクロイックミラー81は、波長1064nmの光を透過させ、波長532nmのレーザービームのみを反射する。ダイクロイックミラー81で反射したレーザービームは、ミラー82で反射して、凹レンズ83(例えば口径φ100mm、焦点距離f=20以上)に入射してビーム径が拡大され、載置台90上に載せられた被照射物(ウエハW)に照射される。
なお、波長1064nmの光は、被照射物がシリコンウエハの場合、吸収されず透過してしまう。このため、波長1064nmの光は、被照射物のアニールに不要なだけでなく、被照射物を載置している載置台を損傷させる虞がある。そこで、上述したように不必要な波長の光をダイクロイックミラー81で透過させ、必要な波長(P偏光、532nm)の光をダイクロイックミラーで反射させる。
【0015】
図2に、レーザビームに対する載置台の配置例を示す。図2(a)は図1(b)におけるB−B断面図、図2(b)は図2(a)の上面図である。なお、図2(a)は同図中のXYZ軸で示すようにY方向から見た図を示し、図2(b)は同図中のXYZ軸で示すようにZ方向から見た図を示している。
図2(a)に示すように、被照射物は、レーザービームの進行方向に対して、例えば76.5°の角度に傾けて配置されている。すなわち、図2(a)(b)に示すように、被照射物の照射面は、ビームの楕円の短径を含むビームの進行方向に平行な平面に直交し、かつ、ビームの進行方向に対して照射面の角度が76.5°(ビームの進行方向と照射面の垂線のなす角度)になるように載置台は斜めに配置されている。
これは、後述するように、本発明が処理の対象としてるシリコン単結晶においては、入射する偏光光がP偏光の場合、約76.5°の角度から入射したときが反射率が最も小さくなり、その光の殆んどを吸収させることができるためである。これにより、被照射物へ吸収されるビームのエネルギー量を大きくすることができる。
上記のように被照射物(ウエハW)は、レーザービームの進行方向に対して、例えば76.5°の角度に傾けて配置されているため、楕円の短径方向が、載置台上の被照射物に照射される際に引き伸ばされ、図2(b)に示すように楕円形状のレーザービームはウエハW上でほぼ、円形となる。
【0016】
図3は載置台が斜めに配置されている場合の被照射物上での照射領域を示す図であり、同図(a)はビーム形状(光軸に垂直な平面上に投影されるビーム形状)が円状のときの被照射物での照射領域を示し、(b)はビーム形状(光軸に垂直な平面上に投影されるビーム形状)が楕円状のときの被照射物での照射領域を示す。なお、図3は同図中のXYZ軸で示すようにZ方向から見た図を示している。
ビーム形状を円形とすると、被照射物が円形の場合、同図(a) に示すように被照射物の照射面上ではビームが楕円状になり、円状の照射面(ウエハW)からはみ出す光が多くなる。このため、無駄になる光が多く、エネルギーの利用効率が悪くなる。
一方、回折型ビーム成形光学素子80で、ビームの強度分布を均一化させるだけでなく、ビーム形を楕円状にすることで、図2(b)に示すように、照射領域の形状を円状の照射面(ウエハW)とほぼ同様な形状とすることができる。
このため、照射面からはみ出すビームの量を小さくすることができ、エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0017】
上述したように、本実施例では、被照射物(ウエハW)をレーザービームの進行方向に対して、例えば76.5°の角度に傾けて配置し、ウエハWへのレーザービームの入射角を76.5°としている。
これは以下の理由による。
図5に、S偏光とP偏光に対するシリコン単結晶の反射率を示す。同図の横軸は偏光光のシリコン単結晶への入射角、縦軸は反射率(全反射の場合が1)である。
シリコン単結晶にS偏光だけが入射した場合、同図に示すように、入射角0°のときに、すでに一部が反射され、入射角が大きくなるにつれて、反射率が高くなることが分かる。
一方、シリコン単結晶にP偏光だけが入射した場合、入射角0°のときに、一部反射されるものの、入射角が大きくなるにつれて、反射率が低くなり、入射角が約76.5°のときに、反射することがなくなり、約76.5°からさらに大きくするにつれて、反射率が大きくなる。
【0018】
このように、シリコン単結晶においては、S偏光とP偏光とを入射させたときには、反射率特性が異なり、P偏光とS偏光との混合光の場合は、その比率に応じて反射率が変化する。
P偏光とS偏光の割合が1対1の場合(同図の「Rp+Rs」の曲線参照)は、約76.5°まで反射率が変化せず、約76.5°より大きくするにつれて反射率が大きくなる。また、P偏光とS偏光との混合光は、その比率が7対3(同図の「0.7Rp+0.3Rs」の曲線参照)や8対2(同図の「0.8Rp+0.2Rs」の曲線参照)のように、P偏光の割合が大きくなると、P偏光の特性が大きく影響し、入射角が0°から約76.5°までは順次反射率が低下し、約76.5°より大きくすると、反射率が大きくなる。
以上のように、図5から、シリコン単結晶に対して、P偏光を約76.5°の角度で入射させると、その光の殆んどを吸収することが分かる。また、P偏光とS偏光との混合光の場合でも、約76.5°の角度で入射させることで、最も吸収率を大きくできることができることがわかる。
【0019】
次に、本発明に示したレーザー光を用いたレーザーアニール装置を用いることで、従来の特許文献1に示されるフラッシュランプを用いたアニール装置と比べ、小さなエネルギー量でアニール処理が可能な理由について説明する。
図6は、シリコンウエハの表面を活性化する際に必要なエネルギー密度を示す図であり、同図の横軸は、シリコンウエハへ照射される光のパルス幅(秒)、縦軸はエネルギー密度(J/cm2 )である。
同図中の楕円で囲まれた領域A中の点はフラッシュランプを用いてアニール処理したときにシリコンウエハを活性化するに必要な最小のエネルギーをプロットしたものである。また、領域B中の点はレーザー光を用いてアニール処理したときにシリコンウエハを活性化するに必要な最小のエネルギーを実験により求め、プロットしたものである。
同図の点線は、上記活性化できた最小の点の平均値を結んだものであり、アニール処理によりシリコンウエハを活性化するに必要な最小なエネルギー密度を示す。すなわち、エネルギー密度が点線より上側にあれば、シリコンウエハを活性化することができ、下側にあれば活性化できないことを意味している。
同図から明らかなように、シリコンウエハに照射する光のパルス幅が短いほど、少ないエネルギー密度で活性化することができる。本発明のレーザーアニール装置は、パルス幅をフラッシュランプよりも短くすることができることから、フラッシュランプを用いる場合より照射エネルギー密度を小さくすることができる。
すなわち、フラッシュランプを用いる場合は、エネルギーが大きいので、必要でない内部深くまで活性化されるが、レーザーアニールの場合には、必要な表面近くのみ活性化することができ、小さなエネルギーで活性化することが可能となる。
【0020】
図7は、本発明の照射エネルギー密度の小さなレーザーアニール装置を用いて、シリコンウエハφ30cmを処理したときの結果を示す図である。
同図の横軸は、シリコンウエハの照射面からの深さ(nm)を示し、縦軸はイオン(ボロン)の密度を示し、同図の点線はアニール処理をする前、実線はアニール処理をした後のイオン(ボロン)の密度を示す。
同図から、本発明のアニール装置を用いることにより、シリコンウエハの深さ方向にイオン(ボロン)を拡散させることができることが分かる。このときのNd:ガラスレーザーの照射エネルギーは350J以上が必要であった。フラッシュランプの場合、シリコンウエハに照射されるエネルギーは166kJであるので、これに比べればレーザーアニール装置が如何に小さいエネルギーで処理できるかが分かる。
なお、アニール処理によりシリコンウエハの表面を活性化できたか否かは、上記のように拡散深さを調べるほかに、表面抵抗の変化により確認することができる。表面抵抗は、例えば活性化前は2kΩであったものが、活性化後は4Ωになるなど、大きく変化した。
【0021】
なお、上記実施例では、Nd:YAGレーザー発振器を用いているが、発振器はNd:YAGレーザー発振器に限定されるものではなく、Nd:YLFレーザーであってもかまわない。
Nd:YLFレーザーからのビームの波長は1053nmであり、この場合は、Nd:ガラスレーザー装置から出射される波長も1053nmとなるような構成のNd:ガラスレーザーを用いる。 また、前記図1、図2では、被照射物を斜めに配置し、被照射物に対して、ビームの中心光線を約76.5°の入射角で入射させているが、ビームは完全な平行光ではないことから、76.5°以外で入射される光が存在し、被照射物の照射面上で、吸収される光の分布ができてしまう。
このため、図8に示すように、凹レンズ83の後にビームを平行光にする凸レンズ84を入れることが好ましい。ここで、凹レンズ83の焦点距離をf2、凸レンズの焦点距離をf1とすると、平行光にするための倍率はf1/f2となる。
【0022】
上記第1の実施例によれば、以下の効果が得られる。
図4で説明したように、532nmの光は、Siに対して吸収率が高く、シリコン単結晶に吸収されやすい波長である。また、図5で説明したようにP偏光を入射角76.5°でシリコン単結晶に入射させることで、シリコン単結晶表面での反射率を最小にすることができる。
このため、第1の実施例のレーザーアニール装置によれば、シリコンを含む被照射物を効率よく加熱することができる。特に、被照射物へのP偏光の中心光線の入射角が76.5°あるいは、この角度に近い角度(例えば76.5°±5°)になるように入射させることで、効率よく加熱することができる。
また、Nd:ガラスレーザーを複数段を用いることでビーム径が広がっていく過程で、レーザービームを増幅することができ、ビーム径が大きくなっても所期の照度を確保することができる。このため、被照射物を一括照射することができ、スキャン照射が不要であり、短時間で処理することができる。また、凹レンズを用いれば、ビーム径の拡大を容易に行なうことができる。
【0023】
また、図6で説明したように、本実施例のレーザーアニール装置でアニール処理を行うことにより、フラッシュランプで処理するよりも照射エネルギー効率が高く、少ないエネルギーで活性化が可能である。これは、照射光のパルス幅が少ないほうが加熱に必要なエネルギーが少なくて済むためである。
さらに、照射光がシリコンウエハ上で反射されないように、P偏光を斜めに入射させていることで、従来のフラッシュランプを用いた場合に比べ、照射エネルギーをさらに小さくすることができる。
【0024】
第1の実施例では、Nd:ガラスレーザー60からのレーザービーム(1064nm、150J)のうち、一部(60J)をP偏光光(532nm)にしているだけで、残りのビーム(1064nm)は捨てている。すなわち、ダイクロイックミラー81で透過させて、被照射物には照射されないようにしている。
このため、捨てている分、エネルギー効率が悪い。以下の実施例では、この捨てている光を有効活用している。
図9は第2の実施例の構成を示す模式図であり、同図は、図1の点線で囲った高調波変換非線形結晶70、回折型ビーム成形光学素子80から構成される光学素子85の部分の構成を示し、その他の部分は図1と同じである。
第2の実施例では、光学素子85内に、入射するレーザービームを二倍波でP偏光光にする高調波変換非線形結晶70と、回折型ビーム成形光学素子80との間に、高調波変換非線形結晶70で変換できずに残ったガラスレーザービームを二倍波のS偏光光にする高調波変換非線形結晶71を配置した。
【0025】
このため、P偏光光にする高調波変換非線形結晶70で変換できなかったビーム(1064nm)は、高調波変換非線形結晶71で二倍波のS偏光光に変換され、被照射物に照射される。なお、高調波変換非線形結晶70から出射するP偏光光は、高調波変換非線形結晶71で変換されず透過する。
被照射物は、S偏光光の一部を反射するものの一部は吸収する。このため、S偏光光が吸収される分、エネルギー効率を向上させることができる。
なお、第2の実施例のようにP偏光光とS偏光光の混合光とした場合でも、P偏光光の割合が大きければ、P偏光光が吸収されやすい角度(例えば76.5°)で、この混合光を入射させることで、被照射物への吸収効率は高くなる。すなわち、エネルギー効率が高い。
第2の実施例では、Nd:ガラスレーザーからのビーム(1064nm)の光を、二倍波のP偏光光(532nm)とS偏光光(532nm)に変換しているものの、その全てを変換できるものではなく、ごく一部は変換されず残ってしまう。このため、ダイクロイックミラー81で、この変換されなったビーム(1064nm)を透過させている。
【0026】
以上のように第2の実施例では、二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶70と、S偏光光に変換する高調波変換非線形結晶71とを備える。
これにより、Nd:ガラスレーザーからのビームは、その一部が高調波変換非線形結晶70で二倍波のP偏光光に変換され、残りの一部が別の高調波変換非線形結晶71で二倍波のS偏光光に変換され、被照射物には、二倍波のP偏光のビームのエネルギー(例えば60J)と、S偏光光のビームのエネルギー(例えば20J)とが照射される。
このため、二倍波のP偏光(60J)が被照射装置に吸収されるとともに、S偏光(例えば20J)の一部も被照射物に吸収される。したがって、第1の実施例より、二倍波のS偏光光が吸収される分、エネルギー効率を向上させることができる。
【0027】
図10は本発明の第3の実施例の構成を示す模式図であり、同図は図1の点線で囲った光学素子85の部分の構成を示し、その他の部分は図1と同じである。
第3の実施例では、Nd:ガラスレーザー装置からのビーム(1064nm、150J)を、まずS偏光光にする高調波変換非線形結晶72に入射させて、一部を二倍波のS偏光光(532nm、60J)にする。
残った基本波1064nmはダイクロイックミラー75aにて反射される。ダイクロイックミラー75を通過したこのS偏光光(532nm)は、次の複屈折素子(λ/2板)73に入射させることで、90°偏光させ、P偏光光に変換する。この複屈折素子73は、532nmの光を偏光する機能を有するものの、波長を変換する機能を有さない。
【0028】
ダイクロイックミラー75aにて紙面下方に反射した基本波光はミラー76aにて高調波変換非線形結晶74に入射させて一部を二倍波のP偏光光(532nm、20J)に変換される。
残った基本波光1064nmはダイクロイックミラー75b にて反射される。
上記2つの二倍波のP偏光光は回折型ビーム成形光学素子77a、77bにてビームの空間強度が均一にされ、ミラー76b,76cを経てワークに照射される。
このため、Nd:ガラスレーザーからのビームは、殆んどが波長532nmのP偏光光に変換され、この2つのP偏光光を被照射面に斜めに入射させることで、被照射物に反射されずに効率よくアニール処理することができ、エネルギー効率が高い。
なお、第3の実施例でも、Nd:ガラスレーザー60からのレーザービーム(1064nm)の光を、全てを二倍波のP偏光光にできるものではなく、ダイクロイックミラー75a,75b で、変換されなったビーム(1064nm)を反射させている。
【0029】
以上のように本発明の第3の実施例では、二倍波のS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶72と、複屈折素子73と、二倍波のP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶74とを備える。
このため、Nd:ガラスレーザーからのビームは、その一部が高調波変換非線形結晶72で二倍波のS偏光光に変換され、この二倍波のS偏光が複屈折素子73でP偏光光に変換され、ビームの残りの一部が別の高調波変換非線形結晶74で二倍波のP偏光光に変換される。
したがって、被照射物には、複屈折素子73で変換されたP偏光光(例えば60J)と、別の高調波変換非線形結晶74で変換された二倍波のP偏光光(例えば20J)とが照射される。
すなわち、60J+20JのP偏光が被照射物に吸収されることとなり、前記第1及び第2の実施例よりも、エネルギー効率を向上させることができる。
【0030】
ところで、回折型ビーム成形光学素子80には、光軸を折り曲げる機能や、ビーム径を拡大させる機能を持たせることができる。この機能を使って、複数の光源からの照射光を重ね合わせて被照射物に照射するように構成することもできる。
図11、図12は上記機能を用いて、複数の光源からの照射光を重ね合わせて照射したり、凹レンズを省略できるようにした本発明の第4の実施例を示す図である。
同図は、前記図1において、回折型ビーム成形光学素子80、凹レンズ83、被照射物等から構成される部分のみを示し、その他の構成は図1と同じである。
図11において、回折型ビーム成形光学素子80a,80b,80cで光軸の方向が代えられた3つの光源からのレーザービームは、凹レンズ83a,83b,83cでビーム径が拡大され、被照射物(ウエハW)上に重ねて照射される。このように構成することで、被照射面に大きなエネルギーのレーザービームを照射することができる。
【0031】
図12(a)は、回折型ビーム成形光学素子80のビーム径を拡大させる機能を用いて凹レンズを省略できるようにした構成例であり、回折型ビーム成形光学素子80でレーザービームの径が拡大され被照射物(ウエハW)に照射される。
このように構成することで、凹レンズを設ける必要がなく、構成を簡単化することができる。
図12(b)は、回折型ビーム成形光学素子80の光軸を折り曲げる機能と、ビーム径を拡大させる機能との、両方の機能を加え、2つの光源からの照射光を重ね合わせて被照射物に照射するように構成した場合の構成例を示す。
回折型ビーム成形光学素子80a,80bで光軸の方向が代えられ、かつビーム径が拡大された2つの光源からのレーザービームが、被照射物(ウエハW)上に重ねて照射される。このように構成することで、図11と同様に被照射面に大きなエネルギーのレーザービームを照射することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 Nd:YAGレーザー発振器
11 部分反射ミラー
12 全反射ミラー
13 EOスイッチ
14 ビーム拡大器
15 ビーム縮小器
16 偏光板
20 Nd:YAGレーザー
21 EOスイッチ
22,23 ミラー
24,31 アイソレータ
26,43 ビームフィルタ
26a,26b,43a,43b 平行平面窓
26c,43c アパーチャ
30,40,50,60 Nd:ガラスレーザー
41,42,44,45 ミラー
46a,46b ビーム成形レンズ
70,71,72,74 高調波変換非線形結晶
73 複屈折素子
77a,77b、80,80a,80b,80c 回折型ビーム成形光学素子
75a,75b、81 ダイクロイックミラー
76a,76b,76c、82 ミラー
83 凹レンズ
84 凸レンズ
85 光学素子
90 載置台
100 Nd:ガラスレーザー装置
W ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含む被照射物を載置する載置台と、この載置台に向かって光を照射する光源と、を備えたレーザーアニール装置において、
該光源がNd:ガラスレーザーを備え、該Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を高調波変換された偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、該偏光光を含むビームの空間強度分布を均一化する回折型ビーム成形光学素子を設け、
該均一化されたビームを、斜めに入射させるように該載置台を設けた
ことを特徴とするレーザーアニール装置。
【請求項2】
上記回折型ビーム成形光学素子が、高調波変換された偏光光のビームの形状を楕円形状にする
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーアニール装置。
【請求項3】
上記高調波変換非線形結晶は、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を高調波変換されたP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、該高調波変換非線形結晶の出力光をS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーアニール装置。
【請求項4】
上記高調波変換非線形結晶は、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を高調波変換されたS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、このS偏光光をP偏光光に変換する複屈折素子と、残った基本波光の一部をP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーアニール装置。
【請求項1】
シリコンを含む被照射物を載置する載置台と、この載置台に向かって光を照射する光源と、を備えたレーザーアニール装置において、
該光源がNd:ガラスレーザーを備え、該Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を高調波変換された偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、該偏光光を含むビームの空間強度分布を均一化する回折型ビーム成形光学素子を設け、
該均一化されたビームを、斜めに入射させるように該載置台を設けた
ことを特徴とするレーザーアニール装置。
【請求項2】
上記回折型ビーム成形光学素子が、高調波変換された偏光光のビームの形状を楕円形状にする
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーアニール装置。
【請求項3】
上記高調波変換非線形結晶は、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を高調波変換されたP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、該高調波変換非線形結晶の出力光をS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーアニール装置。
【請求項4】
上記高調波変換非線形結晶は、上記Nd:ガラスレーザーからのビームの少なくとも一部を高調波変換されたS偏光光に変換する高調波変換非線形結晶と、このS偏光光をP偏光光に変換する複屈折素子と、残った基本波光の一部をP偏光光に変換する高調波変換非線形結晶とから構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーアニール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−71261(P2011−71261A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220266(P2009−220266)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成19年度及び平成20年度、文部科学省、「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成「光医療産業バレー」拠点創出」(委託業務)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成19年度及び平成20年度、文部科学省、「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成「光医療産業バレー」拠点創出」(委託業務)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】
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