説明

レーザ加工装置、その調整方法、およびプログラム

【課題】
レーザ加工装置のキャリブレーションテーブル作成、更新手順をできるだけ自動化する。
【解決手段】
レーザ光源、ガルバノスキャナ、キャリブレーションテーブルを備えたレーザ加工装置の調整方法は、(a)複数のスケールマークを備えたスケール板を対象面に配置する工程と、(b)ガルバノスキャナを駆動し、スケール板のスケールマークの各々をカメラで観察して補正値を求め、ガルバノスキャナに対するカメラのキャリブレーションテーブルを得る工程と、(c)対象面に加工対象物を配置する工程と、(d)ガルバノスキャナを駆動し、レーザ光を照射して複数の加工箇所を形成する工程と、(e)ガルバノスキャナを駆動し、加工対象物の加工箇所の各々をカメラで観察して補正値を求め、ガルバノスキャナに対するレーザ光のキャリブレーションテーブルを得る工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置、その調整方法に関し、特にガルバノスキャナを備えたレーザ加工装置、その調整方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
加工対象物に孔を開けたり、切断したり、マーキングを行なったり、選択した領域のアブレーションを行なったりするのにレーザ加工技術が採用されている。平面上の任意の位置にレーザ光を照射するために2軸ガルバノスキャナが用いられている。
【0003】
図4に、特開平8−174256号が開示する、ガルバノスキャナを備えたレーザ加工装置として、特開2002−316288号が紹介する構成を示す。レーザ発振器52から出射されたレーザビームの光路上に2軸ガルバノミラー53が配置され、ガルバノミラー53aを機械的に駆動することによって、被加工材55の所望の位置にレーザビームが照射される。fθレンズ54は、入射光を被加工材の表面に垂直に偏向するレンズである。ガルバノスキャナは、ミラーの幾何学的な配置が原因になってピンクッション歪を生じる。ピンクッション歪を補正するためには、目的とするターゲットの座標を樽型の座標系に較正(キャリブレーション)することが知られている。さらに、実際にはレーザ光軸の誤差や個々のレーザ加工装置の誤差により照射位置のずれが生じる。そこで、加工対象面内に、例えば65×65=4225の格子点を設定し、各格子点に孔を形成し、ずれを測定して補正情報を得ることが提案されている。中間点では補間演算を行なって補正情報を得る。このようにして得た補正情報をガルバノスキャナを制御する制御部に入力しておき、レーザビームの照射位置を補正する。
【0004】
特開2002−316288号は、このような補正データを得るのは時間と手間がかかるのでより少ないサンプル点の測定により、有効な補正情報を得るため、非線形回帰分析により加工領域全体のずれを表現できる、歪を表現する計算式を用い、各項の係数を重回帰分析によって計算し、加工の際にはビームの照射位置を計算式を用いて補正することを提案する。
【0005】
【特許文献1】特開平8−174256号公報
【特許文献2】特開2002−316288号公報 この様に、ガルバノスキャナを備えたレーザ加工装置にとって、ガルバノスキャナを駆動するための較正(キャリブレーション)テーブルを作成することが必要とされている。レーザ加工装置は、使用と共にその性能が経時的に変化する。キャリブレーションテーブルも、性能変化に合わせて更新する必要がある。キャリブレーションテーブルの補正値は、人間が観察、判断することで検出している。従って、レーザ加工装置のキャリブレーションテーブルの作成、更新には多くの手間と時間を必要としている。かつ、目視と人の判断に依存するため、その精度は必ずしも高くない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、レーザ加工装置のキャリブレーションテーブルを高精度にかつ高速度で作成、更新できるようにすることである。
【0007】
本発明の他の目的は、レーザ加工装置のキャリブレーションテーブル作成、更新手順をできるだけ自動化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点によれば、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を対象面上でスキャンする、ガルバノミラーと該ガルバノミラーの駆動系とを備えたガルバノスキャナと、
前記対象面を前記ガルバノスキャナを介して観察できるカメラと、
前記ガルバノスキャナに対する、前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、
前記ガルバノスキャナに対する、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルと、
を有するレーザ加工装置
が提供される。
【0009】
本発明の他の観点によれば、
レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を対象面上でスキャンする、ガルバノミラーと該ガルバノミラーの駆動系とを備えたガルバノスキャナと、前記対象面を前記ガルバノスキャナを介して観察できるカメラと、前記ガルバノスキャナに対する、前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、前記ガルバノスキャナに対する、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルと、を有するレーザ加工装置の調整方法であって、
(a)複数のスケールマークを備えたスケール板を前記対象面に配置する工程と、
(b)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記スケール板のスケールマークの各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するカメラのキャリブレーションテーブルを得る工程と、
(c)前記対象面に加工対象物を配置する工程と、
(d)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記レーザ光を照射して複数の加工箇所を形成する工程と、
(e)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記加工対象物の加工箇所の各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するレーザ光のキャリブレーションテーブルを得る工程と、
を含むレーザ加工装置の調整方法
が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の観点によれば、
レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を対象面上でスキャンする、ガルバノミラーと該ガルバノミラーの駆動系とを備えたガルバノスキャナと、前記対象面を前記ガルバノスキャナを介して観察できるカメラと、前記ガルバノスキャナに対する、前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、前記ガルバノスキャナに対する、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルと、を有するレーザ加工装置の調整プログラムであって、
(a)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記対象面に配置した、複数のスケールマークを備えたスケール板のスケールマークの各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するカメラのキャリブレーションテーブルを得る手順と、
(b)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記レーザ光を照射して、前記対象面に配置した加工対象物に複数の加工箇所を形成する手順と、
(c)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記加工対象物の加工箇所の各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するレーザ光のキャリブレーションテーブルを得る手順と、
を含むレーザ加工装置の調整プログラム
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
レーザ光用キャリブレーションテーブルと、カメラ用キャリブレーションテーブルとを用いることにより高精度のキャリブレーションテーブルを容易に作成することが可能となる。
【0012】
キャリブレーションテーブルを高精度、かつ高速度に作成できる。
【0013】
キャリブレーションテーブル作成、更新手順の大部分を自動化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0015】
図1Aは、レーザ加工装置の構成を示すブロック図である。レーザ光源1は加工用レーザ光を出射する。たとえば、レーザ光源1は緑色の2次高調波を出射する固体レーザである。出射されたレーザ光は、ミラーM1、z方向フォーカスレンズ11、ダイクロイックミラーDMを介して、光走査部4に入射する。光走査部4は、x軸ガルバノスキャナ41、y軸ガルバノスキャナ42、夫々の駆動を行なう駆動系44を含む。x軸ガルバノスキャナ41、y軸ガルバノスキャナ42は、2軸ガルバノスキャナを構成する。光走査部4で走査されたレーザ光はステージST上に載置される加工対象物の対象面(像面)5の所望位置を照射する。光走査部4の駆動系44は、制御部3から供給される制御信号により制御される。制御部3は、中央演算ユニット(CPU)31、メモリ32、レーザ光用キャリブレーション(較正)テーブル33を含み、所望の加工位置にレーザ光を照射するために必要な制御信号を生成する。メモリ32は、レーザ加工装置が理想的であった場合、レーザ光を所望の位置に照射するための2軸ガルバノスキャナのキャリブレーションテーブル、照射位置による光路長の変化に応じてz方向フォーカスレンズ11の焦点距離を調整するテーブル等を記憶している。以上の構成は、公知のものであり、公知の種々の置換、変更、追加、組合せ等が可能である。たとえば、走査範囲は狭くなるが、図4に示したようなfθレンズを用いてもよい。
【0016】
レーザ加工装置は、さらに対象面5を照明できる照明光源9を有し、対象面5から反射した光が光走査部4を介して光路上に配置されたダイクロイックミラーDMを透過した光を受ける位置にCCD型等のカメラ2が配置されている。すなわち、カメラ2は光走査部4を通して照明光源9で照明された対象面5をモニタできる構成である。カメラ2の分解能は例えば25μmであるが、目的に応じて変更できる。キャリブレーションテーブル作成時には、まず、ステージST上に高精度のスケールマークを形成したガラススケール6を位置合わせして治具で固定する。なお、ダイクロイックミラーDMはレーザ光源1からのレーザ光は反射させ、対象面5からの光は透過させるミラーである。従って、レーザ光が対象面から反射しても、カメラ2には入射しない。ダイクロイックミラーDMは、誘電体多層膜等で構成できる。
【0017】
図1Bは、ガラススケール6に形成されたスケールマークの例を示す。ガラススケール6には、たとえば20mmピッチで高精度のスケールライン25,26が形成されている。図には、簡略化してx方向ライン25、y方向ライン26として、それぞれ9本の直線が示されているが、実際はより多く、例えば65本×65本のスケールラインが形成され、128cm×128cmのスキャンエリアをカバーする。以下、x方向スケールライン25とy方向スケールライン26の各交点をスケールマークとして利用する場合を説明する。たとえば、最上x方向ライン上の交点を1−65と番号付けし、次のx方向ライン上の交点を66−130、次のライン上の交点を131−195、の様にスケールマークを番号付けしておく。n番目のスケールマークの位置を(xn、yn)で表す。
【0018】
レーザ光源から微弱なレーザ光を出射させる。ガルバノスキャナをオフセット(デフォルト)状態とし、レーザ光照射位置(スキャナ原点)にガラススケールの原点(中央の交点O)を位置合わせする。y軸ガルバノスキャナを振って、レーザ光をx方向にスキャンし、端の交点E1,E2をレーザ光が通過するようにガラススケールの治具を調整する。次に、x軸ガルバノスキャナを振って、レーザ光をy方向にスキャンし、端の交点E3,E4をレーザ光が通過するようにガラススケールの治具を調整する。これらの手順により、ガラススケールが精度良く設置される。その後、レーザ光をオフにする。以下、キャリブレーションテーブル作成工程を説明する。
【0019】
図2,3はキャリブレーションテーブル作成工程を示すフローチャートである。図2は、カメラ用キャリブレーションテーブル作成のフローチャート、図3はレーザ光用のキャリブレーションテーブル作成のフローチャートである。
【0020】
必要に応じて照明光源9をオンにし、ステップS11でカメラ2をオンにし、ステップS12でスケールマーク番号nを1に設定する。ステップS13で光走査部4を駆動して、1番目のスケールマーク(xn、yn)=(x1、y1)に合わせる。ステップS14で、カメラ2から画像情報を取り込む。
【0021】
図1Cは、カメラの画角21内の画像例を示す。当初のキャリブレーションテーブルが理想的であれば、画角の中心22にスケールマーク23が重なる筈である。実際上は、スケールマーク23は、画角中心22からΔr=(Δx、Δy)ずれている。
【0022】
ステップS15の画像処理により、スケールマークを検出し、ステップS16で自動的にずれ量Δr=(Δx、Δy)を検出する。Δxを補正するには、y軸ガルバノスキャナの駆動量をどの程度調整すればよいかを算出する。同様Δyを補正するには、x軸ガルバノスキャナの駆動量をどの程度調整すればよいかを算出する。
【0023】
図1Dは、完全な補正がされた状態の画角内の画像例を示す。画角の中心22とスケールマーク23とが一致する。但し、補正量が大きい場合、一回の補正でずれが完全になくなるとは限らない。
【0024】
ステップS17でずれ量Δrの絶対値が閾値Th未満か否かを判定する。閾値以上であれば、Nの矢印に従ってステップS18に進み、リトライフラグRFを1にした後、ステップS19に進む。ステップS17の判定がイエスYであれば、ステップS17からステップS19に進む。ステップS19で、検出した補正値に基づき、キャリブレーションテーブルを更新する。
【0025】
ステップS20では、スケールマーク番号nが最終スケールマーク番号nmaxに達しているか否かを判定する。最終スケールマーク番号nmaxに達していなければ、ステップS21でnをインクリメントし、ステップS13に戻って、次のスケールマークの検出を行なう。この様にして、次々にスケールマークを検出し、補正量を算出し、キャリブレーションテーブルを更新する。ステップS20で最終スケールマークに達していた場合は、ステップS22でリトライフラグRFが1か否かを判定する。1であれば、大きな補正量を含んでいることを示しているので、更新したキャリブレーションテーブルに従って再度各スケールマークの検出を行なう。ステップS23でリトライフラグRFを0に戻し、ステップS12に戻る。
【0026】
キャリブレーションテーブルの更新を繰り返すことにより、精度が向上する。リトライフラグが0のまま全スケールマークの補正量を算出した時は、満足できるキャリブレーションテーブルが得られた状態であり、ステップS24でカメラをオフにして、処理を終了する。照明用光源をオンにしていた場合は、照明用光源をオフにする。この様にして得られたキャリブレーションテーブルは、カメラ用のキャリブレーションテーブルである。レーザ光の光軸とカメラ用光線の光軸は一致させてある筈であるが、僅かな誤差は避けがたく、またレーザ光源側の条件も変化し得る。
【0027】
そこで、レーザ光用のキャリブレーションテーブルを別途作成する。レーザ光用のキャリブレーションテーブルを作成、更新するためには、加工対象物に実際加工、たとえば孔開け、を行ない、その加工箇所の位置を検出してキャリブレーションテーブルを更新する。そのため、ステージST上に、ガラススケール6の代わりに、加工対象物7を配置する。加工対象物は、ステージ上で固定されればよい。初めは、カメラ用キャリブレーションテーブルを用いてガルバノスキャナを駆動する。
【0028】
図3のステップS31において、レーザ光源をオンにし、ステップS32で加工スポット番号nを1に初期化する。ステップS33でスケールマークと同じ位置の加工スポット(xn、yn)=(x1、y1)にガルバノスキャナを駆動し、ステップS34でレーザ光を照射して加工を行う。ステップS35で最終加工スポットnmaxに達していない時は、ステップS36で加工スポット番号をインクリメントし、ステップS33に戻って、次の加工スポットを加工する。
【0029】
図1Eは加工対象物7に孔8を加工した状態を示す。制限的ではないが、加工スポット8のステージ上の位置は、ガラススケール6のスケールマークのステージST上の位置と一致させるのが好ましい。
【0030】
全加工スポットを加工した時は、ステップS35からステップS41に進み、レーザ光源をオフ、カメラをオンにする。続くステップS42〜S51の処理は、内容的にはターゲットのずれを検出し、補正値を算出する、図2のステップS12〜S21の処理と同じ処理であり、異なるのはスケールマークの代わりに加工箇所(たとえば加工した孔)を用いる点である。このようにして、レーザ光用のキャリブレーションテーブルが作成、更新されていく。
【0031】
図1Fは、カメラ2の画角内の画像例を示す。加工孔24は、画角中心22に作成しようとしたのであるが、Δrのずれを生じている。
【0032】
最終加工スポットの検出を終えた時は、ステップS50からS52に進み、リトライフラグRFが1か否かを判定する。リトライフラグRF=1の時は、ステップS53でリトライフラグRFを0に戻し、カメラをオフにして、ステップS31に戻る。キャリブレーションテーブル更新を繰り返すことにより、精度が向上する。リトライフラグRFが0のまま、ステップS52に達した時は、満足できるキャリブレーションテーブルが得られた状態であり、ステップS54でカメラをオフにして、処理を終了する。得られたキャリブレーションテーブルはレーザ光用のキャリブレーションテーブルである。
【0033】
図1Gは、満足できる補正がなされた状態の画角例を示す。加工孔24と画角中心22とが一致している。
【0034】
以上説明した実施例においては、スケールラインの交点をスケールマークとし、孔等のスポット状加工を行った。レーザ加工はスポット状加工のみでなく、切断などライン状の加工を行う場合も多い。加工中、レーザ光はスタティックに一定位置に静止せず、アクティブに動く。スケールマークを、スポットに代え、ラインとすることができる。
【0035】
例えば図1Bに示したライン25,26を利用し、レーザ加工もライン状に行うことができる。ラインの長さを複数種類設定するのが好ましい。カメラによるスケールマークのモニタは始点、終点の座標、幅方向の最大ずれ、オーバーシュート量等を検出する。加工ラインのモニタにおいては、始点、終点の座標、幅方向の最大ずれ等を検出する。
【0036】
さらに、レーザ光の走査速度によって異なるキャリブレーションテーブルを作成してもよい。
【0037】
図5は、応用例を示す側面図である。加工対象物7は、ローラ21に巻かれたシート状材料である。シート状材料は、例えばプラスチックシート状に太陽電池を形成したものである。ローラ21から巻き出された加工対象物7は、プーリP1,P2,P3,ピンチローラPRを介して、巻き取りローラ22に回収される。加工対象物は加工室16内においてプーリp2、p3の間で垂直方向に搬送され、レーザ加工を受け、プーリP3から搬送方向を水平方向に変更し、洗浄室19で洗浄された後、収納室22内の巻き取りローラ22に巻き取られる。加工室16内では、2軸ガルバノスキャナ12でスキャンされたレーザ光がステージ13上に載置された加工対象物7上に照射される。ステージ13は、レーザ光の進行方向に移動可能であり、所定の対象面に加工対象物の表面を合わせることができる。加工室16の外側に配置されたユニット11には、図1Aに示したレーザ光源1、カメラ2、制御部3、z方向フォーカスレンズなどの光学系が収容されている。加工室16には照明光源15も配置されている。加工室16の天井上にはファンフィルタユニット17が設けられ、床下には集塵ユニット18が設けられ、加工室をクリーンルームとしている。
【0038】
以上実施例に沿って、本発明を説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、図2、図3のフローチャートにおいて、手動処理を行なう条件付分岐を付加してもよい。その他、種々の変更、置換、改良、組合せ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1Aは実施例によるレーザ加工装置の構成を概略的に示す側面図、図1Bは高精度のスケールを有するガラススケールの概略上面図、図1C,1Dは実施例によるキャリブレーションデータ作成プロセスにおけるカメラによるガラススケールの視野像、図1Eはキャリブレーションデータ作成のために加工対象物に形成された加工孔の配置を概略的に示す上面図、図1F,1Gは実施例によるキャリブレーションデータ作成のためのカメラによる加工孔の視野像である。
【図2】図2は、カメラ用のキャリブレーションテーブルを作成する手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、レーザ用のキャリブレーションテーブルを作成する手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、従来技術によるレーザ加工装置を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施例を適用するレーザ加工装置の側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 レーザ光源、
2 カメラ(CCD撮像装置)、
3 制御部、
31 CPU,
32 メモリ、
33 レーザ用キャリブレーション(較正)テーブル、
34 カメラ用キャリブレーション(較正)テーブル、
4 光走査部、
41 x軸ガルバノスキャナ、
42 y軸ガルバノスキャナ、
44 駆動系
5 対象面(像面)
6 ガラススケール、
7 加工対象物、
8 加工孔、
9 照明光源、
11 z方向フォーカスレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を対象面上でスキャンする、ガルバノミラーと該ガルバノミラーの駆動系とを備えたガルバノスキャナと、
前記対象面を前記ガルバノスキャナを介して観察できるカメラと、
前記ガルバノスキャナに対する、前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、
前記ガルバノスキャナに対する、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルと、
を有するレーザ加工装置。
【請求項2】
前記ガルバノミラーよりレーザ光源側で前記レーザ光の光軸に前記カメラの光軸を合わせるミラーと、
をさらに有する請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記ガルバノミラーがxy2軸構成を有し、
加工対象物を載置するステージをさらに有する、
請求項1または2記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記レーザ光の焦点の位置を調整できるz方向フォーカスレンズ、
をさらに有する請求項1〜3のいずれか1項記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルとが、スポットに対するキャリブレーションテーブルと、ラインに対するキャリブレーションテーブルとを含む請求項1〜4のいずれか1項記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記カメラ用のキャリブレーションテーブルを自動的に作成するプログラムと前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルを自動的に作成するプログラムとを記憶するメモリ、
をさらに有する請求項1〜5のいずれか1項記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を対象面上でスキャンする、ガルバノミラーと該ガルバノミラーの駆動系とを備えたガルバノスキャナと、前記対象面を前記ガルバノスキャナを介して観察できるカメラと、前記ガルバノスキャナに対する、前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、前記ガルバノスキャナに対する、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルと、を有するレーザ加工装置の調整方法であって、
(a)複数のスケールマークを備えたスケール板を前記対象面に配置する工程と、
(b)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記スケール板のスケールマークの各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するカメラのキャリブレーションテーブルを得る工程と、
(c)前記対象面に加工対象物を配置する工程と、
(d)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記レーザ光を照射して複数の加工箇所を形成する工程と、
(e)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記加工対象物の加工箇所の各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するレーザ光のキャリブレーションテーブルを得る工程と、
を含むレーザ加工装置の調整方法。
【請求項8】
前記工程(b)は、プログラムにより自動化された画像処理工程を含む請求項7記載のレーザ加工装置の調整方法。
【請求項9】
前記工程(b)は、前記補正値が所定値より大きい時は、繰り返し行なう請求項8記載のレーザ加工装置の調整方法。
【請求項10】
レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を対象面上でスキャンする、ガルバノミラーと該ガルバノミラーの駆動系とを備えたガルバノスキャナと、前記対象面を前記ガルバノスキャナを介して観察できるカメラと、前記ガルバノスキャナに対する、前記レーザ光用のキャリブレーションテーブルと、前記ガルバノスキャナに対する、前記カメラ用のキャリブレーションテーブルと、を有するレーザ加工装置の調整プログラムであって、
(a)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記対象面に配置した、複数のスケールマークを備えたスケール板のスケールマークの各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するカメラのキャリブレーションテーブルを得る手順と、
(b)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記レーザ光を照射して、前記対象面に配置した加工対象物に複数の加工箇所を形成する手順と、
(c)前記ガルバノスキャナを駆動し、前記加工対象物の加工箇所の各々を前記カメラで観察して補正値を求め、前記ガルバノスキャナに対するレーザ光のキャリブレーションテーブルを得る手順と、
を含むレーザ加工装置の調整プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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