説明

レーザ加工装置及びMOPA方式ファイバレーザ発振器

【課題】装置本体と加工ヘッドとを光ファイバで接続した場合の不便や問題点を全て解消して、装置の信頼性、コスト性およびメンテナンス性を向上させる。
【解決手段】このレーザ加工装置は、装置本体10および加工ヘッド12と、両ユニット10,12を電気的に接続する外部電気ケーブル14とを有する。装置本体10は、電源回路16、主制御部18および操作パネル20を備える。加工ヘッド12は、MOPA方式のファイバレーザ発振器30、冷却部32、伝送光学系34、シャッタ36、ガルバノスキャナ38、ガイドLD40およびfθレンズ42を備える。加工ヘッド12内で電気的に動作する部品またはアッセンブリは外部電気ケーブル14を介して装置本体10側の主制御部18および/または電源回路16に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を被加工物に照射して所望のレーザ加工を行うレーザ加工装置およびこれに用いるMOPA方式ファイバレーザ発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、レーザ加工装置の多くは、装置本体から離れた任意の場所でレーザ加工が行われることを予定しており、そのようなアプリケーションに対応できるシステム形態を採っている。すなわち、レーザ加工装置の2大構成要素であるレーザ発振部およびレーザ出射部を各々独立したユニットである装置本体および加工ヘッドにそれぞれ搭載し、装置本体と加工ヘッドとを光ファイバで結ぶ形態が採られている。
【0003】
この場合、装置本体には、レーザ発振部に加えて、マン・マシン・インタフェース用の操作パネル、装置内の各部を個別制御ないし統括制御する制御部、装置内の電気回路に所要の電力を供給する電源等も搭載され、さらにはレーザ発振部より発振出力されたレーザ光を光学レンズで絞って光ファイバの一端に導入する入射ユニットも設けられる。
【0004】
一方、加工ヘッドには、光ファイバの他端より一定の拡がり角で出射されるレーザ光を平行光にするためのコリメータと、このコリメータを透過したレーザ光を被加工物上の加工点に集光させるための集光レンズが設けられる。さらに、レーザマーキング装置においては、レーザ光をスキャニングするためのガルバノスキャナも加工ヘッドに搭載される。この場合、ガルバノスキャナの可動光学系およびアクチエータが加工ヘッドに設けられる。そして、装置本体側の制御部よりスキャニング用の制御信号が電気ケーブルを介して加工ヘッド内のガルバノスキャナに与えられる。
【0005】
通常、装置本体は、定置型のユニットとして構成される。一方、加工ヘッドは、可搬型のユニットとして構成され、光ファイバの長さが許す範囲内で装置本体から離れた任意の場所に移動ないし設置可能であり、任意の姿勢をとることができる。加工ヘッドに搭載される部品(コリメータ、集光レンズ、ガルバノスキャナ等)はレーザ共振器ほどの精緻な光軸合わせを要しないため、移動や姿勢変更によって特に支障を来すことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−167433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように装置本体と加工ヘッドとを光ファイバで結ぶレーザ加工装置においては、そのような伝送用の光ファイバに関連して幾多の不便や問題点がある。すなわち、光ファイバは、曲げや引っ張りに弱く、加工ヘッドの移動や設置等に際して許容範囲を超える曲げや過度な引っ張りを受けると、容易に断線する。また、光ファイバおよび光コネクタは、埃や汚れに非常に敏感であり、埃や汚れが付くと機能上の不具合や性能低下を来しやすい。このように、装置本体と加工ヘッドとを結ぶ光ファイバは、現場の関係者にとっては取り扱いの難しいやっかいな部品になっている。しかも、光ファイバは高価である。
【0008】
とりわけ、多点同時加工あるいはマルチポジション加工を行うレーザ加工装置においては、1台の装置本体から複数台の加工ヘッドまで複数本の光ファイバを介してレーザ光を伝送する方式を採るため、光ファイバの本数に比例して上記のような不便や問題点が増大する。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術を解決するものであり、装置本体と加工ヘッドとを光ファイバで接続した場合の不便や問題点を全て解消して、装置の信頼性およびメンテナンス性を向上させ、さらには多点同時加工あるいはマルチポジション加工にも有利に対応できるレーザ加工装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、収納性、取り扱い性、メンテナンス性および安全性に優れたMOPA方式ファイバレーザ発振器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点におけるレーザ加工装置は、加工用のレーザ光を発振出力するMOPA方式のファイバレーザ発振器と、前記加工用レーザ光を被加工物上の加工点に集光させる集光レンズとを備える独立したユニットの加工ヘッドと、前記加工ヘッド内で所定の制御信号を必要とする電気回路向けに前記所定の制御信号を生成する主制御部と、前記加工ヘッド内で所定電圧の電力を必要とする電気回路向けに前記所定電圧の電力を出力する電源回路とを備える独立したユニットの装置本体と、前記装置本体側から前記加工ヘッド側へ前記制御信号および前記電力を伝送するための電気ケーブルとを有する。
【0012】
本発明の第2の観点におけるレーザ加工装置は、加工用のレーザ光を発振出力するMOPA方式のファイバレーザ発振器と、前記加工用のレーザ光を被加工物へ向けて照射する光学系とを備える光学系ユニットと、前記ファイバレーザ発振器の発振出力を制御するための制御信号を生成する主制御部と、前記ファイバレーザ発振器の駆動に必要な電力を出力する電源部とを備える電気系ユニットと、を有し、前記光学系ユニットと前記電気系ユニットとは前記制御信号と前記電力を伝送する1本または複数本の電気ケーブルのみで接続されることを特徴とする。
【0013】
本発明のレーザ加工装置においては、装置本体(または電気系ユニット)側から電気ケーブルを介して送られてくる制御信号および電力に基づいて加工ヘッド(または光学系ユニット)内のMOPA方式ファイバレーザ発振器により加工用のレーサ光が生成され、この加工用のレーサ光は加工ヘッドに備わっている集光レンズ(または光学系)を介して被加工物に照射される。これにより、装置本体と加工ヘッドとの間に光ファイバを設ける必要がない。したがって、装置本体(または電気系ユニット)と加工ヘッド(または光学系ユニット)とを光ファイバで結んだ場合の不便、不利点または問題点が全て解消される。
【0014】
本発明の好適な一態様によれば、加工ヘッドに、MOPA方式ファイバレーザ発振器を冷却するための冷却部(好ましくは空冷ファン)、MOPA方式ファイバレーザ発振器からの加工用レーザ光をスキャニングするためのガルバノスキャナ、被加工物上で加工用レーザ光をアライメントするための可視的なガイド光を発生するガイド光源および/またはMOPA方式ファイバレーザ発振器からの加工用レーザ光を透過し、かつ前記被加工物からの反射戻り光を遮断する第1の光アイソレータが設けられる。
【0015】
また、好適な一態様によれば、装置本体に電気ケーブルの一方の端部と脱着可能に接続するための第1のコネクタが設けられ、加工ヘッドに電気ケーブルの他方の端部と脱着可能に接続するための第2のコネクタが設けられる。
【0016】
本発明の第1の観点におけるMOPA方式ファイバレーザ発振器は、シード光を発生するシード光源と、前記シード光源からの前記シード光を入力端よりコアの中に入れ、前記シード光を出力端に向けて伝搬させながら誘導放出により増幅する増幅用光ファイバと、前記増幅用光ファイバのコアを励起するための励起光を発生する励起光源と、複数の入力ポートと前記増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する光結合器と、前記シード光源、前記増幅用光ファイバおよび前記励起光源と熱的に結合する放熱板と、前記光結合器を支持する支持板と、前記シード光源と前記光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第1の伝送用光ファイバと、前記励起光源と前記光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第2の伝送用光ファイバとを有し、前記支持板と前記放熱板とが前記シード光源、前記増幅用光ファイバおよび前記励起光源を挟んで重ねて配設されている。
【0017】
上記の構成においては、コンパクトなアッセンブリの下で、シード光源、増幅用光ファイバおよび励起光源より放出される熱が放熱板を介して効率よく外部に放出され、それらの発熱性部品の機能が安定に保たれる。上記の構成において、好ましくは、支持板と放熱板とがヒンジを介して開閉可能に結合される。上記ファイバレーザ発振器は、ヒンジを閉じた状態で、加工ヘッド内の任意のスペースに任意の姿勢で配置され得る。この場合、ヒンジを閉めて支持板を放熱板の上に折り畳むと、発振器全体がコンパクトに収まり、加工ヘッドへの搭載が容易になる。また、ヒンジを開けると、発振器全体が平面状に展開され、部品交換や修理を容易に行える。また、支持板がヒンジによって放熱板に物理的に拘束(結合)されているため、作業者がヒンジを開けた際に、各階の部品(特に光学部品)を接続しているケーブル類(特に光ファイバ)に過度の引っ張り力が加わることがない。このことによって、メンテナンス時にケーブル類(特に光ファイバ)の断線を確実に防止することができる。
【0018】
別の好適な一態様においては、放熱板に熱的に結合される熱伝導率の高い材質からなる筒状ファイバ支持体が設けられ、この筒状ファイバ支持体に増幅用光ファイバが螺旋状に巻かれる。かかる構成により、増幅用光ファイバより発せられる熱も、筒状ファイバ支持体および放熱板を介して効率よく外部へ放出される。
【0019】
本発明の第2の観点におけるMOPA方式ファイバレーザ発振器は、シード光を発生するシード光源と、前記シード光源からの前記シード光を入力端よりコアの中に入れ、前記シード光を伝搬させながら誘導放出より増幅して、出力端より第1段増幅の光ビームを出す第1の増幅用光ファイバと、前記第1の増幅用光ファイバのコアを励起するための第1の励起光を発生する第1の励起光源と、複数の入力ポートと前記第1の増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する第1の光結合器と、前記第1の増幅用光ファイバの出力端からの前記第1段増幅の光ビームを入力端よりコアの中に入れ、前記第1段増幅の光ビームを伝搬させながら誘導放出により増幅して、出力端より第2段増幅の光ビームを出す第2の増幅用光ファイバと、前記第2の増幅用光ファイバのコアを励起するための第2の励起光を発生する第2の励起光源と、前記第1の増幅用光ファイバの出力端に接続される第1の入力ポートおよび前記第2の励起光源に接続される第2の入力ポートと前記第2の増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する第2の光結合器と、前記シード光源、前記第1および第2の増幅用光ファイバならびに前記第1および第2の励起光源と熱的に結合する放熱板と、前記第1および第2の光結合器を支持する1つまたは複数の支持板と、前記シード光源と前記第1の光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第1の伝送用光ファイバと、前記第1の励起光源と前記第1の光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第2の伝送用光ファイバと、前記第2の励起光源と前記第2の光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第3の伝送用光ファイバとを有し、各々の前記支持板と前記放熱板とが前記シード光源、前記第1の増幅用光ファイバ、前記第2の増幅用光ファイバおよび前記励起光源を挟んで重ねて配設されている。
【0020】
上記の構成においては、コンパクトなアッセンブリの下で、シード光源、第1および第2の増幅用光ファイバならびに第1および第2の励起光源より放出される熱が放熱板を介して効率よく外部に放出され、それらの発熱性部品の機能が安定に保たれる。上記の構成において、好ましくは、各々の支持板と放熱板とがヒンジを介して開閉可能に結合される。この場合、上記ファイバレーザ発振器は、ヒンジを閉じた状態で、加工ヘッド内の任意のスペースに任意の姿勢で配置され得る。また、各ヒンジを閉めて各支持板を放熱板の上に折り畳むと、発振器全体がコンパクトに収まり、加工ヘッドへの搭載が容易になる。また、各ヒンジを開けると、発振器全体が平面状に展開され、部品交換や修理を容易に行える。また、各支持板が各ヒンジによって放熱板に物理的に拘束(結合)されているため、作業者が各ヒンジを開けた際に、各階の部品(特に光学部品)を接続しているケーブル類(特に光ファイバ)に過度の引っ張り力が加わることがない。このことによって、メンテナンス時にケーブル類(特に光ファイバ)の断線を確実に防止することができる。
【0021】
別の好適な一態様においては、放熱板に熱的に結合される熱伝導率の高い材質からなる第1および第2の筒状ファイバ支持体が設けられ、この筒状ファイバ支持体に増幅用光ファイバがそれぞれ螺旋状に巻かれる。そして、第2の筒状ファイバ支持体が放熱板に取り付けられるとともに、第1の筒状ファイバ支持体がいずれかの支持板に取り付けられ、ヒンジを閉じた状態で、第1の筒状ファイバ支持体が、第2の筒状ファイバ支持体と重なり、第2の筒状ファイバ支持体を介して放熱板に熱的に結合される。かかる構成により、第1および第2の増幅用光ファイバよりそれぞれ発せられる熱も、第1および第2の筒状ファイバ支持体および放熱板を介して効率よく外部へ放出される。
【発明の効果】
【0022】
本発明のレーザ加工装置によれば、上記のような構成および作用により、装置本体(または電気系ユニット)と加工ヘッド(または光学系ユニット)とを光ファイバで接続した場合の不便や問題点を全て解消して、装置の信頼性およびメンテナンス性を向上させ、さらには多点同時加工あるいはマルチポジション加工にも有利に対応することができる。
【0023】
また、本発明のMOPA方式ファイバレーザ発振器によれば、上記のような構成および作用により、収納性、取り扱い性、メンテナンス性および安全性を大きく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態におけるレーザ加工装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】上記レーザ加工装置の加工ヘッド内のレイアウト構成を示す側面図である。
【図3】上記加工ヘッド内のレイアウト構成を示す背面図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるMOPA方式ファイバレーザ発振器(MOPA発振器)の電気光学的な構成を示す図である。
【図5】上記MOPA発振器のアッセンブリの構成(展開した状態)を示す平面図である。
【図6A】上記MOPA発振器のアッセンブリの構成(折り畳んだ状態)を示す一側面図である。
【図6B】上記MOPA発振器のアッセンブリの構成(展開した状態)を示す一側面図である。
【図7A】上記MOPA発振器のアッセンブリの構成(折り畳んだ状態)を示す別の側面図である。
【図7B】上記MOPA発振器のアッセンブリの構成(展開した状態)を示す別の側面図である。
【図8】実施形態のレーザ加工装置において多点同時加工あるいはマルチポジション加工を行う場合のシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0026】
図1に、本発明の一実施形態におけるレーザ加工装置のシステム構成を示す。このレーザ加工装置は、各々独立したユニットとして構成される装置本体10および加工ヘッド12と、両ユニット10,12を電気的に接続する外部電気ケーブル14とを有する。
【0027】
装置本体10は、たとえば樹脂製またはスチール製の筺体15を有する電気系ユニットとして構成されており、この筺体15の中に電源回路16および主制御部18を収容し、筺体15の正面(つまり装置本体10の正面)に操作パネル20を取り付け、筺体15の側面または裏面にコネクタ(ソケット)22,24を取り付けている。
【0028】
電源回路16は、たとえば交流入力/直流出力(AC−DC)型の安定化電源であり、商用交流電源(図示せず)より電気ケーブル26、コネクタ22および内部配線(通常は電気ケーブル)を介して入力する商用交流電力を直流電力に変換して、このレーザ加工装置内で電力を必要とする全ての電気回路向けに様々な定格値を有する複数種類の電源電圧(電力)を出力する。電源回路16より出力される各種電源電圧(電力)の一部は内部配線(電気ケーブル、プリント配線等)を介して主制御部18および操作パネル20の電気回路に供給され、他の一部はコネクタ24および外部電気ケーブル14を介して加工ヘッド12側の電気回路に送られる。
【0029】
主制御部18は、マイクロコンピュータ、メモリおよび各種インタフェース回路および周辺回路で構成され、このレーザ加工装置内の各部の動作を個別に制御し、かつ装置全体の動作ないしシーケンスを統括制御する。このために、主制御部18は、このレーザ加工装置内で制御信号を必要とする全ての電気回路向けに所定の制御信号を生成する。主制御部18より出力される制御信号の一部は、内部配線(電気ケーブル、プリント配線等)を介して電源回路16および操作パネル20の電気回路に供給され、他の一部はコネクタ24および外部電気ケーブル14を介して加工ヘッド12側の電気回路に送られる。
【0030】
操作パネル20は、使用者側から各種条件値、設定値を入力するためのキーボードあるいはマウス等の入力部や、装置側から使用者に対して設定値、モニタ値等を表示出力するためのディスプレイ等の表示部を有している。
【0031】
加工ヘッド12は、たとえば樹脂製またはスチール製の筺体28を有する光学系ユニットとして構成されており、この筺体28にMOPA(Master Oscillator _ Power Amplifier)方式のファイバレーザ発振器(以下、「MOPA発振器」と略称する。)30、冷却部32、伝送光学系34、シャッタ36、ガルバノスキャナ38、ガイドLD(ガイド光源)40およびfθレンズ42を収容または搭載し、筺体28の裏面または側面にコネクタ(ソケット)44を取り付けている。
【0032】
MOPA発振器30は、基本構成として、シード光を発生するシード光源と、このシード光源からのシード光を入力端よりコアの中に入れ、シード光を出力端に向けて伝搬させながら誘導放出により増幅する1つまたは複数の増幅用光ファイバと、各増幅用光ファイバのコアを励起するための励起光を発生する励起光源とを有している。冷却部32は、MOPA発振器30内で発熱する部品を放熱させるためのものであり、小型・軽量・簡易化を図るうえで好ましくは空冷式のファン46(図3)を有している。MOPA発振器30の構成は後に詳しく説明する。
【0033】
伝送光学系34は、MOPA発振器30より発振出力された加工用のレーザ光LBをガルバノスキャナ38まで導くための光伝送路を形成し、たとえばダイクロイックミラー48およびビームエクスパンダ50(図2)を有している。
【0034】
ガルバノスキャナ38は、通常のものでよく、互いに直交して配置されるX軸回転ミラーおよびY軸回転ミラーと、これらの回転ミラーを被加工物W上のスキャニング位置に応じた振れ角にそれぞれ回転移動させるためのX軸ミラー回転部およびY軸ミラー回転部とを有している。各々のミラー回転部は、たとえばモータからなるアクチエータと、このアクチエータを電気的に駆動するためのスキャナ駆動回路とを有している。
【0035】
シャッタ36は、伝送光学系34とガルバノスキャナ38との間に設けられ、たとえば、加工用レーザ光LBを遮断するための遮光板36a(図2)と、この遮光板36aをレーザ光路上の遮断位置(シャッタ閉位置)とレーザ光路外の退避位置(シャッタ開位置)との間で移動させるためのアクチエータ36b(図2)とを有している。
【0036】
ガイドLD40は、被加工物W上で加工用レーザ光LBをアライメントするための可視波長のガイド光GBを発生する。このガイドLD40より発せられるガイド光GBは、伝送光学系34内で加工用レーザ光LBに重畳されるようになっている。fθレンズ42は、スキャニング用の集光レンズであり、ガルバノスキャナ38によって等角度走査された光ビーム(LB,GB)を被加工物W上で等速度走査する機能を有している。そのため、被加工物Wの表面でレーザ光のビーム径が最小となるように、焦点距離を調節することが容易である。なお、被加工物Wにレーザ光を集光させる集光レンズとしては、fθレンズ42に代えて、他のレンズや凹面鏡を用いることもできる。
【0037】
通常、加工ヘッド12において、fθレンズ42は筺体28の下面に取り付けられ、ガルバノスキャナ38はfθレンズ42に隣接してその真上つまり筺体28の底部に配置される。伝送光学系34は、ガルバノスキャナ38のレーザ光導入口の位置に応じて、たとえばガルバノスキャナ38の上または横に配置される。シャッタ36は、伝送光学系34とガルバノスキャナ38との間に配置される。ガイドLD40は、伝送光学系34の適当な箇所に取り付けられる。MOPA発振器30は、後述するようにレーザ共振器を備えておらず、加工用レーザ光LBを光ファイバ内で生成し、かつ光ファイバを通じて伝送光学系34へ出力するので、加工ヘッド12内の任意のスペースに任意の姿勢で配置可能であり、それによって何の支障も来さないようになっている。
【0038】
図2および図3に、加工ヘッド12内の各部の配置構成(レイアウト)に関する好適な一実施例を示す。
【0039】
この実施例における加工ヘッド12の筺体28は、縦長の直方体に形成されている。ガルバノスキャナ38は、略直方体形状のケーシングを有するアッセンブリとして構成されており、加工ヘッド12の正面12a(図2)に寄って筺体28内の底部に配置される。fθレンズ42は、筺体28の下面から突出した状態で、ガルバノスキャナ38の下に取り付けられる。MOPA発振器30は、後述するように展開可能および折り畳み可能に構成されており、筺体28内では略直方体形状に折り畳んだ状態でガルバノスキャナ38の横隣に冷却部32の冷却ファン48と並んで配置される(図3)。そして、ガルバノスキャナ38の上方にガイドLD40、伝送光学系34およびシャッタ36が縦方向一列に並んで配置され、MOPA発振器30の上方に伝送光学系34と接続するように円筒状の光アイソレータ52が横向きに配置される。筺体28には、特に空冷ファン48と隣接する部分には、外から空気流を入れるための通気孔47が形成されている(図3)。
【0040】
MOPA発振器30と光アイソレータ52は、後述する伝送用光ファイバHF65を介して光学的に接続されている。伝送光学系34は、円筒状のケーシング内にダイクロイックミラー48およびビームエクスパンダ50を設けている。ここで、ダイクロイックミラー48は、横隣の光アイソレータ52と45°の傾きをもって対向し、上隣りのガイドLD40とも45°の傾きをもって対向する。ダイクロイックミラー48には、MOPA発振器30からの加工用レーザ光LBの波長に対して反射性の膜がコーティングされるとともに、ガイドLD40からのガイド光GBに対して透過性の膜がコーティングされている。これにより、ダイクロイックミラー48に入射して90°の角度で反射する加工用レーザ光LBと、ダイクロイックミラー48に入射してまっすぐ透過するガイド光GBとがその先の光路を同じにする(重畳する)。重畳した加工用レーザ光LBとガイド光GBは、ビームエクスパンダ50、シャッタ36、ガルバノスキャナ38およびfθレンズ42を通って被加工物W(図1)上の加工点に照射される。
【0041】
この実施例では、加工ヘッド12内で加工用レーザ光LBの出力をモニタするために、ダイクロイックミラー48とビームエクスパンダ50との間に加工用レーザ光LBの一部(たとえば1%)を抜き出すためのビームスプリッタまたはミラー54が配置され、このビームスプリッタ54により抜き出されたモニタ光MBを電気信号(レーザパワーモニタ信号)に変換する光電変換部56がその近くに配置されている。
【0042】
この加工ヘッド12内で電気的に動作する部品またはアッセンブリはいずれも内部配線(電気ケーブル、プリント配線等)を介してコネクタ44に接続され、ひいては外部電気ケーブル14(図1)を介して装置本体10(電気系ユニット)側の主制御部18および/または電源回路16に電気的に接続されている。
【0043】
外部電気ケーブル14は、好ましい一形態として、各々1本または複数本の電源線、信号線およびアース線を含む多芯の同軸ケーブルとして構成されており、その両端に装置本体10および加工ヘッド12のそれぞれのコネクタ(ソケット)24,44と脱着可能に接続するコネクタ(プラグ)を取り付けている。もちろん、別の形態として、外部電気ケーブル14を複数本の電気ケーブル(たとえば、制御信号専用の電気ケーブルと電力専用の電気ケーブル)で構成することも可能である。
【0044】
加工ヘッド12内で装置本体10内の主制御部18からの制御信号を必要する各々の電気回路は、加工ヘッド12内の各対応する内部配線、外部電気ケーブル14内の各対応する信号線および装置本体10内の各対応する内部配線を介して主制御部18の各対応する出力端子に電気的に接続される。また、加工ヘッド12内で装置本体10内の電源回路16からの電力(電源電圧)を必要する各々の電気回路は、加工ヘッド12内の各対応する内部配線、外部電気ケーブル14内の各対応する電源線および装置本体10内の各対応する内部配線を介して電源回路16の各対応する出力端子に電気的に接続される。
【0045】
こうして、MOPA発振器30は、後述するシード光源および励起光源の電気回路(LD駆動回路、温調回路等)に必要な制御信号および電力(電源電圧)を主制御部18および電源回路16よりそれぞれ受け取る。冷却部32は、空冷ファン48の電気回路(ファンモータ駆動回路)に必要な電力(電源電圧)を電源回路16より受け取る。ガルバノスキャナ38は、X軸ミラー回転部およびY軸ミラー回転部の電気回路(スキャナ駆動回路)に必要な制御信号および電力(電源電圧)を主制御部20および電源回路18よりそれぞれ受け取る。ガイドLD40は、そのLD駆動回路に必要な制御信号および電力(電源電圧)を主制御部18および電源回路16よりそれぞれ受け取る。シャッタ36は、アクチエータ36bの電気回路(シャッタ駆動回路)に必要な制御信号および電力(電源電圧)を主制御部18および電源回路16よりそれぞれ受け取る。パワーモニタ用の光電変換部56は、その動作に必要な電力(電源電圧)を電源回路16より受け取る一方で、出力信号(レーザパワーモニタ信号)を主制御部18に送るようになっている。
【0046】
この実施例における加工ヘッド12は、MOPA発振器30を展開可能および折り畳み可能なアッセンブリとして構成し、筺体28内ではMOPA発振器30を略直方体形状に折り畳んだ状態でガルバノスキャナ38の横隣(光アイソレータ52の下)のスペースに冷却部32の空冷ファン46と並べて配置しており、これによって筺体28を従来の加工ヘッドつまりMOPA発振器を搭載しない加工ヘッドの筺体と大して違わないサイズに抑えている。
【0047】
次に、図4〜図7につき、この実施形態におけるMOPA発振器30の構成を詳しく説明する。
【0048】
図4に、MOPA発振器30の電気光学的な構成をブロック図で示す。このMOPA発振器30は、シード光源60と第1および第2の増幅用光ファイバ(以下「アクティブファイバ」と称する)62,64とを第1および第2の光アイソレータ66,68および第1および第2の光結合器70,72を介して光学的に縦続接続し、パルス波形の加工用レーザ光LBを発振出力するように構成されている。
【0049】
シード光源60は、シード用のレーザダイオード(以下「シードLD」と称する。)74と、このシードLD74をパルス波形の電流で駆動してパルス発振させるシードLD駆動回路76と、シードLD74の温度を制御するLD温調部78とを有している。シードLD74は、ファイバカップリングLDとして構成されており、伝送用の光ファイバHF74を介して出射先の光学部品(66)と接続される。シードLD駆動回路76およびLD温調部78には、主制御部18(図1)からの制御信号S76,S78がそれぞれ供給されるとともに、電源回路16(図1)からの電力(電源電圧)V76,V78がそれぞれ供給される。なお、LD温調部78は、たとえばペルチェ素子、サーミスタ、温度調節回路等を有している。
【0050】
シード光源60と第1のアクティブファイバ62との間に設けられる第1の光結合器70は、複数たとえば3つの入力ポートと1つの出力ポートとを有している。第1の入力ポートには、伝送用光ファイバHF74、第1の光アイソレータ66および伝送用光ファイバHF66を介してシードLD74が接続される。第2の入力ポートには、第1のアクティブファイバ62のコアを励起するための第1の励起用LD(以下「ポンプLD」と称する。)80が伝送用光ファイバHF80を介して接続される。第3の入力ポートは、増設ポートであり、ここに別の第1のポンプLD(図示せず)を伝送用光ファイバHF80を介して接続することも可能となっている。光結合器70の出力ポートには、アクティブファイバ62の入力端が接続される。第1のポンプLD80も、ファイバカップリングLDとして構成され、伝送用の光ファイバHF80を介して出射先の光学部品(70)と接続される。第1のポンプLD80を電気的に駆動してレーザ発振させるための第1のポンプLD駆動回路82には、主制御部18(図1)からの制御信号S82と電源回路16(図1)からの電力(電源電圧)V82とが供給される。
【0051】
シード光源60、第1の光アイソレータ66および第1の光結合器70によって、第1のアクティブファイバ62に対するシード光注入部が構成されている。また、第1のポンプLD80、第1のポンプLD駆動回路82および第1の光結合器70によって、第1のアクティブファイバ62に対する励起光注入部が構成されている。
【0052】
第1のアクティブファイバ62は、少なくともYbイオンを添加した石英からなるコアと、このコアを同軸に取り囲むたとえば石英からなるクラッドとを有しており、全長(ファイバ長)がたとえば3〜15mに選ばれている。第1のアクティブファイバ62(第1段アンプ)の利得は、ポンプLD80の総合出力によりたとえば10〜40dBの範囲で調節可能となっている。
【0053】
第1のアクティブファイバ62と第2のアクティブファイバ64との間に設けられる第2の光結合器72は、複数たとえば7つの入力ポートと1つの出力ポートとを有している。第1の入力ポートには、第2の光アイソレータ68および伝送用の光ファイバHF68を介して第1のアクティブファイバ62の出力端が接続される。第2〜第5の入力ポートには、第2のアクティブファイバ64のコアを励起するための第2のポンプLD84が伝送用の光ファイバHF84を介してそれぞれ接続される。第6および第7の入力ポートは空きポートとなっているが、必要に応じて他の第2のポンプLDを光ファイバHF84を介して増設することもできる。光結合器72出力ポートには、第2のアクティブファイバ64の入力端が接続される。
【0054】
なお、図示の構成例では、第1のアクティブファイバ62の出力端が第2の光アイソレータ68の入力に直接接続されている。しかし、第1のアクティブファイバ62の出力端が、余った励起光を吸収するためのポンプダンパ(図示せず)と伝送用光ファイバ(図示せず)を介して第2の光アイソレータ68の入力に接続される構成も可能である。
【0055】
第2のポンプLD84も、ファイバカップリングLDとして構成され、伝送用の光ファイバHF84を介して外部と接続される。第2のポンプLD84を電気的に駆動してレーザ発振させるための第2のボンプLD駆動回路86には、主制御部18(図1)からの制御信号S86と電源回路16(図1)からの電力(電源電圧)V86とが供給される。
【0056】
第2のアクティブファイバ64も、第1のアクティブファイバ12と同様に、少なくともYbを添加した石英からなるコアと、このコアを同軸に取り囲むたとえば石英からなるクラッドとを有しており、全長(ファイバ長)がたとえば3〜15mに選ばれている。第2のアクティブファイバ64(第2段アンプ)の利得は、第2のポンプLD84の総合出力によりたとえば10〜40dBの範囲で調節可能となっている。
【0057】
第2のアクティブファイバ64の終端にポンプダンパ65および伝送用光ファイバHF65を介して接続される第3(終端)の光アイソレータ52は、高出力用のために小出力用の第1の光アイソレータ66や中出力用の第2の光アイソレータ68に比して格段に大きなサイズを有しているので、MOPA発振器30のアッセンブリの外に配置される(図2および図3)。
【0058】
このレーザ加工装置において、たとえばマーキング加工を行う場合、シード光源60は、所定の波長を有するパルス波形のシード光(LD光)を所望のパルス幅(たとえば0.1〜200ns)、所望のピークパワー(たとえば10〜1000mW)および所望の繰り返し周波数(たとえば20〜500kHz)で出力するように構成されている。繰り返し周波数は、10kHz〜1MHzの範囲で出力するように構成することができる。シード光源60より出力されたパルス波形のシード光は、第1の光アイソレータ66および第1の光結合器70を介して第1のアクティブファイバ62のコアに注入される。
【0059】
一方、第1のポンプLD80は、所定の波長を有する連続波(cw)の励起光(LD光)を出力するように構成されている。第1のポンプLD80より出力される連続波の励起光は第1の光結合器70を介して第1のアクティブファイバ62のコアに注入される。
【0060】
第1のアクティブファイバ62の中で、シード光は、コアとクラッドとの境界面での全反射によって閉じ込められながらコアの中を軸方向にファイバ出力端側に向って伝搬する。一方、励起光は、クラッド外周界面の全反射によって閉じ込められながらアクティブファイバ62の中を軸方向に伝搬し、その伝搬中にコアを何度も横切ることでコア中のYbイオンを光励起する。
【0061】
こうして、シード光と励起光とが第1のアクティブファイバ62を伝搬する間に、そのYb添加コアにおいて励起光スペクトルの吸収とシード光スペクトルの誘導放出とが繰り返し行われ、アクティブファイバ62の出力端に所望のパワー(たとえば200Wのピークパワー)を有するまでに増幅されたシード光つまり第1段増幅パルスの光ビームが得られる。第1の光結合器70ないし第1のアクティブファイバ62で発生して逆方向に伝搬する反射戻り光は、第1の光アイレータ66によって遮断され、シードLD74には入射しない。
【0062】
第1のアクティブファイバ62の出力端から出た第1段増幅パルスの光ビームは、第2の光アイソレータ68および第2の光結合器72を介して第2のアクティブファイバ64のコアに注入される。一方で、第2のポンプLD84からの連続波(cw)の励起光が第2の光結合器72を介して第2のアクティブファイバ64のコアに注入される。なお、第1および第2のポンプLD80,84は、マーキングのスキャニング動作において各ストロークの描画期間だけ励起光を出力し、ストロークとストロークとの間の非描画期間中は励起光の出力を一時的に停止するようになっている。
【0063】
第2のアクティブファイバ64においても、増幅対象の光ビームが異なるだけで、つまりシード光が第1段増幅光ビームに置き換わるだけで、第1のアクティブファイバ62と同様の誘導放出機構による光増幅が行われ、アクティブファイバ64の出力端に所望のパワー(たとえば20kWのピークパワー)を有する第2段増幅パルスの光ビームが得られる。第2の光結合器72ないし第2のアクティブファイバ64で発生して逆方向に伝搬する反射戻り光は、第2の光アイレータ68によって遮断され、第1のアクティブファイバ62には入射しない。
【0064】
こうして、第2のアクティブファイバ64の出力端から取り出された第2段増幅パルスの光ビームつまり加工用の光ビームLBが第3の光アイソレータ52を介して伝送光学系34(ひいては被加工物W)に向けて出力される。なお、被加工物Wから加工ヘッド12内に入った反射戻り光は、第3(終端)の光アイレータ52によって遮断され、第2のアクティブファイバ64には入射しない。
【0065】
次に、図5〜図7Bにつき、この実施形態のおけるMOPA発振器30のアッセンブリ(以下「MOPAアッセンブリ」と略称する。)[30]の構成を説明する。ここで、図5は、展開した状態のMOPAアッセンブリ[30]の平面図である。図6Aは、図5の矢印Aの方向で見た折り畳み状態のMOPAアッセンブリ[30]の一部断面側面図である。図6Bは、図5の矢印Aの方向で見た展開状態のMOPAアッセンブリ[30]の一部断面側面図である。図7Aは、図5の矢印Bの方向で見た折り畳み状態のMOPAアッセンブリ[30]の一部断面側面図である。図7Bは、図5の矢印Bの方向で見た展開状態のMOPAアッセンブリ[30]の一部断面側面図である。なお、図5においては、図解を容易にするために、ボルト等の取付手段を削除し、主要な部品(特に電気部品および光学部品)のみを示す。
【0066】
このMOPAアッセンブリ[30]は、放熱板を兼ねる長方形のベース板90と、このベース板90にヒンジ92,94を介してそれぞれ開閉可能に結合される2つの長方形の支持板96,98とを有し、これらベース板90および支持板96,98に上述したMOPA発振器30(図4)の構成部品(62〜86)をグループ分けして取り付けている。
【0067】
ベース板90は、熱伝導率の高い金属たとえばアルミニウムからなり、部品を搭載する上面は平坦に形成され、空冷ファン46(図3)と対向する裏面には放熱フィン99が形成されている(図7A,図7B)。ベース板90の上面は、2つの部品搭載領域90a,90bに二分されている(図5)。
【0068】
ベース板90の片方の部品搭載領域90aには適当なギャップを挟んでプリント基板100が平行に取り付けられ、このプリント基板100上に上述したMOPA発振器30の電気回路(シードLD駆動回路76、LD温調部78、ポンプ駆動回路82,86等)をそれぞれ搭載する多数の電気部品パッケージ102が取り付けられる。ここで、シードLD74は、LD温調部78と同一の電気部品パッケージ102Aに入ってプリント基板100上に配置される。この電気部品パッケージ102Aに取り付けられる伝送用の光ファイバHF74は、第1の光アイソレータ66の入力端に通じている。MOPA発振器30の電気回路の中でも特に発熱量の多い電気部品(スイッチングトランジスタ等)104は、ベース板90に直接接触した状態でプリント基板100の裏側に配置される(図6A,図6B)。
【0069】
ベース板90の他方の部品搭載領域90bには、第1および第2のポンプLD80,84が直付けで搭載されるとともに、第2の円筒状ファイバ支持体110がその軸方向をベース板90の板面に直交させて取り付けられる。各々のポンプLD80,84の電気端子は、電気ケーブル105、プリント基板100上の電極端子106およびプリント配線(図示せず)を介して各対応するポンプLD駆動回路82,86(電気部品パッケージ102)に電気的に接続されている。第2の円筒状ファイバ支持体110は熱伝導率の高い金属たとえばアルミニウムからなり、その外周面に第2のアクティブファイバ64が螺旋状に巻かれる。ヒンジ92,94は、ベース板90の部品搭載領域90bと支持板96,98との間に取り付けられる。これにより、ヒンジ92,94を閉めてMOPAアッセンブリ[30]を折り畳むと、支持板96,98がベース板90の部品搭載領域90bの上に折り重なるようになっている。
【0070】
中階の支持板96は、たとえばスチールからなり、ヒンジ92を閉めた状態でベース板90と対向する側の面を部品取付面にしている。この部品取付面には、第2の光結合器72が取り付けられる。支持板96は、部品(72)を直接支持する内側支持板96Aと、折り畳み用の(つまり支持板96をベース板90と平行に保つための)突支棒114を支持する外側支持板96Bとの二重構造になっている(図7A,図7B)。支持板96には、第2の光結合器72からオフセットした位置に開口112が形成されている。この開口112に、各部品間を接続する光ファイバを通すことにより、支持板96A,96B間の空間に光ファイバを束ねて収容することができる。これにより、光ファイバが無理に曲げられたり、支持板等に挟まれたりして破損することを防止できる。なお、このような開口は必要に応じて適宜設けることができる。
【0071】
上階の支持板98は、たとえばスチールからなり、ヒンジ94を閉めた状態でベース板90と対向する側の面が部品取付面になっている。この部品取付面に、第1および第2の光アイソレータ66,68および第1の光結合器70が取り付けられるとともに、熱伝導率の高い金属たとえばアルミニウムからなる第1の円筒状ファイバ支持体108がその軸方向を支持板98の板面に直交させて取り付けられ、その外周面に第1のアクティブファイバ62が螺旋状に巻かれる。支持板98は、部品を直接支持する内側支持板98Aと、折り畳み用の(つまり支持板98をベース板90と平行に保つための)突支棒116を支持する外側支持板98Bとの二重構造になっている(図6A,図6B)。
【0072】
ヒンジ94を閉めると、第1の円筒状ファイバ支持体108が第2の円筒状ファイバ支持体110の上に載って同軸に重なる(図6A,図7A)。これによって、折り畳んだ状態では第1の円筒状ファイバ支持体108が第2の円筒状ファイバ支持体110を介してベース板90に熱的に結合するようになっている。
【0073】
この実施例のMOPAアッセンブリ[30]においては、上述したように、発熱量の大きいシードLD74、ポンプLD80,82、ポンプLD駆動回路82,86をベース板(放熱板)90上に直付けまたはプリント基板100を介して取り付けるとともに、やはり発熱量の大きいアクティブファイバ62,64を熱伝導率の高い円筒状ファイバ支持体108,110を介してベース板(放熱板)90に熱的に結合させている。一方、発熱量の少ない光アイソレータ66,68および光結合器70,72を支持板96,98に取り付けている。そして、ヒンジ92,94を閉めて支持板96,98をベース板(放熱板)90の上に折り畳んだ状態でベース板(放熱板)90の裏面の放熱フィン98に空冷ファン46からの空気流(外気)を当てて、それら発熱性部品の全てを効率よく冷却するようにしている。
【0074】
また、このMOPAアッセンブリ[30]は、レーザ共振器のような精緻な光学的アライメントを必要とする光学部品を一切持たないので、任意の姿勢をとることができる。
【0075】
また、部品取付領域を拡張させる支持板96,98がヒンジ92,94によってベース板(放熱板)90に開閉可能に結合される構成も非常に重要である。すなわち、ヒンジ92,94を閉めて支持板96,98をベース板90の上に折り畳むと、MOPAアッセンブリ[30]が略直方体形状にコンパクトに収まり(図6A,図7A)、加工ヘッド12への搭載が非常に容易になる。また、ヒンジ92,94を開けると、MOPAアッセンブリ[30]の全体が略面一に展開され(図5、図6B,図7B)、部品交換や修理を容易に行える。また、支持板96,98がヒンジ92,94によってベース板90に物理的に拘束(結合)されているため、作業者がヒンジ92,94を開けた際に、各階の部品(特に光学部品)を接続しているケーブル類(特に光ファイバ)に過度の引っ張り力が加わることがない。このことによって、メンテナンス時にケーブル類(特に光ファイバ)の断線を確実に防止することができる。
【0076】
上述したように、この実施形態のレーザ加工装置は、加工用レーザ光LBを生成するためのレーザ発振器をコンパクトで放熱性にすぐれ、かつ任意の向きおよび任意の姿勢で配置可能なMOPA発振器30で構成し、このMOPA発振器30を装置本体(電気系ユニット)10ではなく加工ヘッド(光学系ユニット)12に搭載し、装置本体(電気系ユニット)10と加工ヘッド(光学系ユニット)12とを外部電気ケーブル14のみで接続している。したがって、装置本体10と加工ヘッド12とを光ファイバで結んだ場合の不便、不利点または問題点(光ファイバの断線、光ファイバや光コネクタの不具合または性能低下、高いメンテナンス費用等)を全て解消することができる。
【0077】
また、この実施形態のレーザ加工装置において、多点同時加工あるいはマルチポジション加工を行う場合は、図8に示すように、1台の装置本体10に複数台(図示の例は2台)の加工ヘッド12A,12Bを電気ケーブル14A,14Bだけで(光ファイバを介さずに)接続するシステム構成を採ることができる。この場合、各々の加工ヘッド12A,12Bは、上記実施形態の加工ヘッド12と同様の構成を有し、異なる被加工物WA,WB(あるいは同一の被加工物)に対して各々独立した加工用レーザ光LBA,LBBを照射して、各々独立したレーザ加工(あるいは合成したレーザ加工)を行うことができる。装置本体10側は、これら複数の加工ヘッド12A,12Bに対して共通の電源回路16、主制御部18および操作パネル20で対応することができる。
【0078】
上記実施形態のMOPA発振器30においては、第1のアクティブファイバ62に第2のアクティブファイバ64を従続接続して2段アンプとしている。しかし、第2のアクティブファイバ64を省いて一段(単)アンプの構成とすることや、あるいは第2のアクティブファイバ64の後段に第3のアクティブファイバを接続して3段アンプの構成とすることも可能である。
【0079】
また、上記実施形態のMOPAアッセンブリ[30]においては、ベース板90に2組のヒンジ92,94を介して2つの支持板96,98をそれぞれ開閉可能に結合する構成が採られた。しかし、1組のヒンジを介して1つの支持板だけをベース板90に開閉可能に結合する構成、あるいは3組のヒンジを介して3つの支持板をベース板90にそれぞれ開閉可能に結合する構成も可能である。
【0080】
さらには、MOPA発振器30において、支持板(96,98)と放熱板90とがヒンジを用いずにシードLD74、アンプファイバ(62,64)およびポンプLD84等の部品を挟むように重なって加工ヘッド12内に配設される構成も可能である。この場合、上記のようなヒンジ機構に基づく利点(展開/折り畳み性、メンテナンス性等)は失われるが、それ以外のすべての利点(放熱性、コンパクト性、向きまたは姿勢の任意性等)は確保される。
【0081】
また、本発明のMOPAアッセンブリは上述したように加工ヘッドに好適に搭載できるが、装置本体に搭載することも可能である。
【0082】
本発明のレーザ加工装置は、マーキング等の表面除去加工に限るものではなく、溶接、穴あけ、切断等の他のレーザ加工にも使用可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 本体
12 加工ヘッド
14 外部電気ケーブル
15 (本体)筺体
16 電源回路
18 主制御部
20 操作パネル
24 コネクタ(ソケット)
28 (加工ヘッド)筺体
30 MOPA方式ファイバレーザ発振器(MOPA発振器)
[30] MOPAアッセンブリ
32 冷却部
34 伝送光学系
38 ガルバノスキャナ
40 ガイドLD(ガイド光源)
42 fθレンズ
44 コネクタ(ソケット)
60 シード光源
62,64 増幅用光ファイバ(アクティブファイバ)
52,66,68 光アイソレータ
70,72 光結合器
74 シードLD
76 シードLD駆動回路
80 ポンプLD
86 ポンプLD駆動回路
90 ベース板(冷却板)
92,94 ヒンジ
96,98 支持板
100 プリント基板
104 電気部品パッケージ
108,110 円筒状ファイバ支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用のレーザ光を発振出力するMOPA方式のファイバレーザ発振器と、前記加工用レーザ光を被加工物上の加工点に集光させる集光レンズとを備える独立したユニットの加工ヘッドと、
前記加工ヘッド内で所定の制御信号を必要とする電気回路向けに前記所定の制御信号を生成する主制御部と、前記加工ヘッド内で所定電圧の電力を必要とする電気回路向けに前記所定電圧の電力を出力する電源回路とを備える独立したユニットの装置本体と、
前記装置本体側から前記加工ヘッド側へ前記制御信号および前記電力を伝送するための電気ケーブルと
を有するレーザ加工装置。
【請求項2】
前記加工ヘッドに、前記ファイバレーザ発振器を冷却するための冷却部を設ける、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記冷却部は、空冷用のファンを有する、請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記加工ヘッドに、前記ファイバレーザ発振器からの前記加工用レーザ光をスキャニングするためのガルバノスキャナを設ける、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記加工ヘッドに、前記被加工物上で前記加工用レーザ光をアライメントするための可視的なガイド光を発生するガイド光源を設ける、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記加工ヘッドに、前記ファイバレーザ発振器からの前記加工用レーザ光を透過し、かつ前記被加工物からの反射戻り光を遮断する第1の光アイソレータを設ける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記装置本体に前記電気ケーブルの一方の端部と脱着可能に接続するための第1のコネクタを設け、前記加工ヘッドに前記電気ケーブルの他方の端部と脱着可能に接続するための第2のコネクタを設ける、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記ファイバレーザ発振器が、
シード光を発生するシード光源と、
前記シード光源からの前記シード光を入力端よりコアの中に入れ、前記シード光を出力端に向けて伝搬させながら誘導放出により増幅する増幅用光ファイバと、
前記増幅用光ファイバのコアを励起するための励起光を発生する励起光源と、
複数の入力ポートと前記増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する光結合器と、
前記シード光源、前記増幅用光ファイバおよび前記励起光源と熱的に結合する放熱板と、
前記光結合器を支持する支持板と、
前記シード光源と前記光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第1の伝送用光ファイバと、
前記励起光源と前記光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第2の伝送用光ファイバと
を有し、
前記支持板と前記放熱板とが前記シード光源、前記増幅用光ファイバおよび前記励起光源を挟んで重ねて配設されている、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記放熱板に熱的に結合される熱伝導率の高い材質からなる筒状ファイバ支持体を有し、前記筒状ファイバ支持体に前記増幅用光ファイバを螺旋状に巻回してなる、請求項8に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記支持板に取り付けられ、前記シード光源からの前記シード光を透過し、かつ前記光結合器側からの反射戻り光を遮断する第2の光アイソレータを更に有し、
前記第1の伝送用ファイバが、前記シード光源と前記第2の光アイソレータの入力端とを光学的に接続する第3の伝送用光ファイバと、前記第2の光アイソレータの出力端と前記光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第4の伝送用光ファイバとを含む、
請求項8または請求項9に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記支持板と前記放熱板とがヒンジを介して開閉可能に結合され、
前記ファイバレーザ発振器が、前記ヒンジを閉じた状態で、前記加工ヘッド内の任意のスペースに任意の姿勢で配置される、
請求項8〜10のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記ファイバレーザ発振器が、
シード光を発生するシード光源と、
前記シード光源からの前記シード光を入力端よりコアの中に入れ、前記シード光を伝搬させながら誘導放出より増幅して、出力端より第1段増幅の光ビームを出す第1の増幅用光ファイバと、
前記第1の増幅用光ファイバのコアを励起するための第1の励起光を発生する第1の励起光源と、
複数の入力ポートと前記第1の増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する第1の光結合器と、
前記第1の増幅用光ファイバの出力端からの前記第1段増幅の光ビームを入力端よりコアの中に入れ、前記第1段増幅の光ビームを伝搬させながら誘導放出により増幅して、出力端より第2段増幅の光ビームを出す第2の増幅用光ファイバと、
前記第2の増幅用光ファイバのコアを励起するための第2の励起光を発生する第2の励起光源と、
前記第1の増幅用光ファイバの出力端に接続される第1の入力ポートおよび前記第2の励起光源に接続される第2の入力ポートと前記第2の増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する第2の光結合器と、
前記シード光源、前記第1および第2の増幅用光ファイバならびに前記第1および第2の励起光源と熱的に結合する放熱板と、
前記第1および第2の光結合器を支持する1つまたは複数の支持板と、
前記シード光源と前記第1の光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第1の伝送用光ファイバと、
前記第1の励起光源と前記第1の光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第2の伝送用光ファイバと、
前記第2の励起光源と前記第2の光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第3の伝送用光ファイバと
を有し、
各々の前記支持板と前記放熱板とが前記シード光源、前記第1の増幅用光ファイバ、前記第2の増幅用光ファイバおよび前記励起光源を挟んで重ねて配設されている、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
前記放熱板に熱的に結合される熱伝導率の高い材質からなる第1および第2の筒状ファイバ支持体を有し、前記第1および第2の筒状ファイバ支持体に前記第1および第2の増幅用光ファイバをそれぞれ螺旋状に巻回してなる、請求項12に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記第2の筒状ファイバ支持体が前記放熱板に取り付けられるとともに、前記第1の筒状ファイバ支持体がいずれかの前記支持板に取り付けられ、
前記第1の筒状ファイバ支持体が、前記第2の筒状ファイバ支持体と重なり、前記第2の筒状ファイバ支持体を介して前記放熱板に熱的に結合される、
請求項13に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
いずれかの前記支持板に取り付けられ、前記シード光源からの前記シード光を透過し、かつ前記第1の光結合器側からの反射戻り光を遮断する第2の光アイソレータと、いずれかの前記支持板に取り付けられ、前記第1の増幅用光ファイバからの前記第1段増幅の光ビームを透過し、かつ前記第2の光結合器側からの反射戻り光を遮断する第3の光アイソレータとを更に有し、
前記第1の伝送用ファイバが、前記シード光源と前記第2の光アイソレータの入力端とを光学的に接続する第4の伝送用光ファイバと、前記第2の光アイソレータの出力端と前記第1の光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第5の伝送用光ファイバとを含み、
前記第1の増幅用光ファイバの出力端が前記第3の光アイソレータの入力端に接続され、前記第3の光アイソレータの出力端と前記第2の光結合器の第1の入力ポートとが第6の伝送用光ファイバによって接続される、
請求項12〜14のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項16】
各々の前記支持板と前記放熱板とがヒンジを介して開閉可能に結合され、
前記ファイバレーザ発振器が、前記ヒンジを閉じた状態で、前記加工ヘッド内の任意のスペースに任意の姿勢で配置される、
請求項12〜15のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項17】
加工用のレーザ光を発振出力するMOPA方式のファイバレーザ発振器と、前記加工用のレーザ光を被加工物へ向けて照射する光学系とを備える光学系ユニットと、
前記ファイバレーザ発振器の発振出力を制御するための制御信号を生成する主制御部と、前記ファイバレーザ発振器の駆動に必要な電力を出力する電源部とを備える電気系ユニットと、
を有し、
前記光学系ユニットと前記電気系ユニットとは前記制御信号と前記電力を伝送する1本または複数本の電気ケーブルのみで接続されることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項18】
シード光を発生するシード光源と、
前記シード光源からの前記シード光を入力端よりコアの中に入れ、前記シード光を出力端に向けて伝搬させながら誘導放出により増幅する増幅用光ファイバと、
前記増幅用光ファイバのコアを励起するための励起光を発生する励起光源と、
複数の入力ポートと前記増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する光結合器と、
前記シード光源、前記増幅用光ファイバおよび前記励起光源と熱的に結合する放熱板と、
前記光結合器を支持する支持板と、
前記シード光源と前記光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第1の伝送用光ファイバと、
前記励起光源と前記光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第2の伝送用光ファイバと
を有し、
前記支持板と前記放熱板とが前記シード光源、前記増幅用光ファイバおよび前記励起光源を挟んで重ねて配設されている、
MOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項19】
前記放熱板に熱的に結合される熱伝導率の高い材質からなる筒状ファイバ支持体を有し、前記筒状ファイバ支持体に前記増幅用光ファイバを螺旋状に巻回してなる、請求項18に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項20】
前記支持板に取り付けられ、前記シード光源からの前記シード光を透過し、かつ前記光結合器側からの反射戻り光を遮断する第2の光アイソレータを更に有し、
前記第1の伝送用ファイバが、前記シード光源と前記第2の光アイソレータの入力端とを光学的に接続する第3の伝送用光ファイバと、前記第2の光アイソレータの出力端と前記光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第4の伝送用光ファイバとを含む、
請求項18または請求項19に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項21】
前記支持板と前記放熱板とがヒンジを介して開閉可能に結合される、請求項18〜20のいずれか一項に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項22】
シード光を発生するシード光源と、
前記シード光源からの前記シード光を入力端よりコアの中に入れ、前記シード光を伝搬させながら誘導放出より増幅して、出力端より第1段増幅の光ビームを出す第1の増幅用光ファイバと、
前記第1の増幅用光ファイバのコアを励起するための第1の励起光を発生する第1の励起光源と、
複数の入力ポートと前記第1の増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する第1の光結合器と、
前記第1の増幅用光ファイバの出力端からの前記第1段増幅の光ビームを入力端よりコアの中に入れ、前記第1段増幅の光ビームを伝搬させながら誘導放出により増幅して、出力端より第2段増幅の光ビームを出す第2の増幅用光ファイバと、
前記第2の増幅用光ファイバのコアを励起するための第2の励起光を発生する第2の励起光源と、
前記第1の増幅用光ファイバの出力端に接続される第1の入力ポートおよび前記第2の励起光源に接続される第2の入力ポートと前記第2の増幅用光ファイバの入力端に接続される出力ポートとを有する第2の光結合器と、
前記シード光源、前記第1および第2の増幅用光ファイバおよび前記第1および第2の励起光源と熱的に結合する放熱板と、
前記第1および第2の光結合器を支持する1つまたは複数の支持板と、
前記シード光源と前記第1の光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第1の伝送用光ファイバと、
前記第1の励起光源と前記第1の光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第2の伝送用光ファイバと、
前記第2の励起光源と前記第2の光結合器の第2の入力ポートとを光学的に接続する第3の伝送用光ファイバと
を有し、
各々の前記支持板と前記放熱板とが前記シード光源、前記第1の増幅用光ファイバ、前記第2の増幅用光ファイバおよび前記励起光源を挟んで重ねて配設されている、
MOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項23】
前記放熱板に熱的に結合される熱伝導率の高い材質からなる第1および第2の筒状ファイバ支持体を有し、前記第1および第2の筒状ファイバ状支持体に前記第1および第2の増幅用光ファイバをそれぞれ螺旋状に巻回してなる、請求項22に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項24】
前記第2の筒状ファイバ支持体が前記放熱板に取り付けられるとともに、前記第1の筒状ファイバ支持体がいずれかの前記支持板に取り付けられ、
前記第1の筒状ファイバ支持体が、前記第2の筒状ファイバ支持体と同軸に重なり、前記第2の筒状ファイバ支持体を介して前記放熱板に熱的に結合される、
請求項23に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項25】
いずれかの前記支持板に取り付けられ、前記シード光源からの前記シード光を透過し、かつ前記第1の光結合器側からの反射戻り光を遮断する第2の光アイソレータと、いずれかの前記支持板に取り付けられ、前記第1の増幅用光ファイバからの前記第1段増幅の光ビームを透過し、かつ前記第2の光結合器側からの反射戻り光を遮断する第3の光アイソレータとを更に有し、
前記第1の伝送用ファイバが、前記シード光源と前記第2の光アイソレータの入力端とを光学的に接続する第4の伝送用光ファイバと、前記第2の光アイソレータの出力端と前記第1の光結合器の第1の入力ポートとを光学的に接続する第5の伝送用光ファイバとを含み、
前記第1の増幅用光ファイバの出力端が前記第3の光アイソレータの入力端に接続され、前記第3の光アイソレータの出力端と前記第2の光結合器の第1の入力ポートとが第6の伝送用光ファイバによって接続される、
請求項22〜24のいずれか一項に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。
【請求項26】
各々の前記支持板と前記放熱板とがヒンジを介して開閉可能に結合される、請求項22〜25のいずれか一項に記載のMOPA方式ファイバレーザ発振器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−254478(P2012−254478A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130275(P2011−130275)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000161367)ミヤチテクノス株式会社 (103)
【Fターム(参考)】