レーザ式ガス分析計の校正装置
【課題】レーザ式ガス分析計の校正を容易化し、水分濃度を高精度に測定可能とする。
【解決手段】発光ユニット250及び受光ユニット260を備え、信号処理回路が受光部207の出力信号から光源部204の変調信号の2倍波信号を検出して測定対象ガスの濃度を測定するものであって、水分濃度を測定可能なレーザ式ガス分析計の校正装置に関する。両ユニット250,260の間に気密的に接続され、レーザ光の所定の光路長を保持する配管301と、配管301内に所定水分濃度の空気を供給するガス洗浄瓶500と、配管301内に供給された水分含有空気の酸素濃度を測定する酸素計400とを備え、測定した酸素濃度から水素濃度を換算し、この水素濃度と前記光路長とを用いてガス分析計による水素濃度の測定値を校正する。
【解決手段】発光ユニット250及び受光ユニット260を備え、信号処理回路が受光部207の出力信号から光源部204の変調信号の2倍波信号を検出して測定対象ガスの濃度を測定するものであって、水分濃度を測定可能なレーザ式ガス分析計の校正装置に関する。両ユニット250,260の間に気密的に接続され、レーザ光の所定の光路長を保持する配管301と、配管301内に所定水分濃度の空気を供給するガス洗浄瓶500と、配管301内に供給された水分含有空気の酸素濃度を測定する酸素計400とを備え、測定した酸素濃度から水素濃度を換算し、この水素濃度と前記光路長とを用いてガス分析計による水素濃度の測定値を校正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば煙道内のガスや排ガスなどの各種ガスの濃度をレーザ光により測定するレーザ式ガス分析計の校正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体状のガス分子には、それぞれ固有の光吸収スペクトルがあることが知られている。例えば、図9はNH3(アンモニア)ガスの吸収スペクトラム例である。
レーザ式ガス分析計は、レーザ光の特定波長の吸収量が測定対象ガスの濃度に比例することを利用した分析計であり、ガス濃度の測定方法としては、2波長差分方式と周波数変調方式とに大別される。このうち、本発明は、例えば周波数変調方式を用いたレーザ式ガス分析計に適用して好適なものである。
【0003】
まず、周波数変調方式を用いた従来のレーザ式ガス分析計の測定原理を説明する。
図10は、周波数変調方式の原理図を示しており、例えば特許文献1に記載されているものである。なお、この特許文献1に記載されたガス濃度測定装置は、測定対象ガスが存在するガスセルの透過光からガス濃度を測定するように構成されている。
周波数変調方式のレーザ式ガス分析計では、中心周波数fc、変調周波数fmで半導体レーザの出射光を周波数変調し、測定対象のガスに照射する。ここで、周波数変調とは、半導体レーザに供給するドライブ電流の波形を正弦波状にすることである。
半導体レーザは、図11,図12に示すようにドライブ電流や温度によって発光波長が変化するので、周波数変調を行うことにより、ドライブ電流の変調に伴って発光波長が変調されることになる。
【0004】
図10に示したように、ガスの吸収線は変調周波数に対してほぼ2次関数となっているので、この吸収線が弁別器の役割を果たし、受光部では変調周波数fmの2倍の周波数の信号(2倍波信号)が得られる。ここで、変調周波数fmは任意の周波数でよいため、例えば変調周波数fmを数kHz程度に選ぶと、ディジタル信号処理装置(DSP)または汎用のプロセッサを用いて、2倍波信号の抽出等の高度な信号処理を行うことができる。
また、受光部によりエンベロープ検波を行えば、振幅変調による基本波を推定することができる。この基本波の振幅と前記2倍波信号の振幅との比を位相同期させて検出することにより、測定対象ガス濃度に比例した信号を得ることができる。
【0005】
この周波数変調方式では、半導体レーザの種類の中でも、分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)を用いて単一波長のレーザ光のみを出射し、ガス濃度を測定する場合が多い。この場合、DFBレーザが発光するスペクトル線幅の方が測定対象ガスの吸収線幅よりも小さいため、DFBレーザの発光波長を測定対象ガスの吸収波長に合わせる必要がある。
その方法として、測定対象ガスと同じガス成分を予め封入した参照ガスセルを用いて、DFBレーザの発光波長を温度によって制御する方法が用いられている。
【0006】
上述したような検出原理を用いた従来技術としては、例えば特許文献2に記載されたガス濃度測定装置がある。図13は、特許文献2に記載されたガス濃度測定装置の全体的な構成を示しており、この測定装置は、測定対象ガスが存在するガス配管などからの反射光を用いてガス濃度を測定するものである。
このガス濃度測定装置1は、主として、光源ユニット2、測定光集光部3、測定光増幅部4、受信信号検出部5、校正信号生成部6、基本波信号増幅器7Aと2倍波信号増幅器7Bとからなる参照信号増幅部7、信号微分検出器8Aと信号同期検出器8Bとからなる参照信号検出部8、波長安定化制御回路9、温度安定化PID回路10、電流安定化回路11、測定/校正切替部12、演算部13から構成されている。
【0007】
光源ユニット2は、前述の測定対象ガス特有の吸収線に合致した波長のレーザ光を発生するものであり、図14に示すように、金属パッケージからなる箱型形状のケース本体26の内部に、半導体レーザモジュール21、参照ガスセル22、光検出器(受光部)23が収容されている。
半導体レーザモジュール21のケース21a内には、図15に示すように、周波数変調されたレーザ光を両面から出射する半導体レーザ(レーザダイオード)24が配設されている。図14に示す如く、ケース21aからはコネクタ25aを備えた光ケーブル25が延びており、半導体レーザ24から出射される一方の光が、光ケーブル25を介して図13の測定光集光部3から外部(測定対象ガスの雰囲気)に出射される。
【0008】
図14において、ケース本体26の底面には、冷却用フィン27が取り付けられたペルチェ素子等の温度制御素子(図示せず)が配置されている。この温度制御素子によって動作温度を一定温度に制御することで、発振波長が制御される。
また、図15に示すように、半導体レーザ24の前後両側の光軸上には、出射光を集光するための平坦面を持たない非球面レンズ29a,29bが配設されている。これらの非球面レンズ29a,29bを集光用レンズとして使用することにより、半導体レーザ24に光が反射して戻るのを防止している。
【0009】
図15に示す如く、半導体レーザ24の前後両側の光軸上で非球面レンズ29a,29bの外側には、光アイソレータ30a,30bが配設されている。
これらの光アイソレータ30a,30bは、90°の偏波面の光のみを通す偏光子と45°の偏波面の光のみを通す検光子との間に配置された結晶に磁界を印加することで、結晶中を透過する光の偏波面を回転させて偏光子での反射光の通過を阻止し、半導体レーザ24に反射光が戻るのを防止している。
【0010】
図14,図15において、半導体レーザ24の後側の光路上に配置された参照ガスセル22は、測定光発振波長の安定化や測定対象ガス濃度の校正用に用いられる。この参照ガスセル22において、空洞の金属胴22aの対向面に光を通過させる貫通穴が形成され、金属胴22aの内部に参照ガスが封入された後、貫通穴がガラス窓22bによって封止されている。
参照ガスセル22は、内径の長さが予め決められており、封入される参照ガスは、測定対象ガスの測定場所の環境とほぼ等しい組成、圧力とされている。例えば、測定場所の環境が空気であれば、参照ガスはエアバランス、すなわち空気と同じ組成であり、圧力も1気圧となっている。
【0011】
参照ガスセル22は、非球面レンズ29bの後側の後方出射光が入射しやすい位置に固定され、参照ガスセル22を通過したレーザ光は、その後側に配設された光検出器23によって受光検出される。上記参照ガスセル22は、半導体レーザ24への戻り光を低減するため、光が通過する両端面が斜め(例えば出射光軸に対して約6°)に形成されている。
【0012】
図13において、測定光集光部3は、半導体レーザ24からの光を外部に出射し、測定対象となるガス配管などから反射した測定光をレンズ31により集光する。そして、測定光集光部3は、集光した光を光検出器32により検出して電気信号に変換する。
測定光増幅部4はプリアンプによって構成されており、光検出器32にて検出した光電流を電圧に変換し、増幅して出力する。また、測定光増幅部4では、受信信号検出部5が検出する基本波位相敏感検波信号(f信号:以下、基本波信号と略称する)と2倍波位相敏感検波信号(2f信号:以下、2倍波信号と略称する)とがほぼ同じレベルになるように、基本波信号、2倍波信号のそれぞれについて最適増幅度が設定されている。
【0013】
受信信号検出部5は、測定/校正切替部12が測定光増幅部4側に切り替えられているときに、測定光増幅部4からの測定光信号を処理し、基本波信号(f信号)、2倍波信号(2f信号)、及び、2f/f信号を検出する。
また、受信信号検出部5は、測定/校正切替部12が校正信号生成部6側に切り替えられているときに、校正信号生成部6からの信号を処理し、校正用基本波信号(rf信号)、校正用2倍波信号(r2f信号)、及び、r2f/rf信号を検出する。
上記構成では、参照ガスセル22を用いて半導体レーザ24の発光波長を制御している。また、光検出器32の出力からガス濃度を示す2f信号を抽出することにより、測定対象ガスの濃度を測定している。
【0014】
【特許文献1】特開平7−151681号公報(段落[0004],[0005]、図4等)
【特許文献2】特開2001−235418号公報(段落[0012]〜[0024]、図2,図11等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
さて、この種のレーザ式ガス分析計により測定される測定値は、測定対象ガスが存在する領域(言い換えれば光の伝播距離)とガス濃度とによって吸収強度が変わるため、ガス濃度と光の伝播距離の積とにより表されるのが一般的である。
例えば、同じガス濃度、例えば100ppmのNH3ガスを1mの距離をおいて測定した場合は100ppm・mとなり、5mの距離をおいて測定した場合は吸収が500ppm・mとなるので、5mの距離をおいた方が測定値が大きくなる。
そのため、実際のガス分析計では、測定対象ガスが存在する光路長(上述した光の伝播距離)により測定値を除算して、ガス濃度を表示している。なお、この点については、前述した特許文献1の段落[0004]にも同様の記載がある。
【0016】
上記のようにしてガス濃度を演算し、表示する場合、測定性能を保証するために、光路長とガス濃度との積によってガス分析計の測定値を校正することが必要になる。すなわち、測定対象ガスの濃度範囲に合わせて、例えばガスボンベを用意し、その出力と合うようにガス濃度の測定値を校正することになる。
このように、ガス分析計の測定性能を保証するためには校正作業が必要不可欠であり、そのためには、ガスボンベ等を用いて所定濃度のガスを用意する必要がある。
【0017】
しかしながら、これらのガスボンベを製造できない場合として、水分濃度を測定する場合などがある。
図16は、温度と水分濃度との関係を示す図である。水分濃度は水の沸点である100℃を100%として、各温度における飽和水蒸気圧の比率として求められる。図16によれば、高濃度の水分で校正する場合には、ガス分析計を100℃以上の環境下に置いて水を沸騰させなくてはならない。
更に、水分の高濃度を安定化するためには温度管理も必要となり、結果として高濃度の水分を用いた校正は困難であった。仮に、代表値を用いて校正するとしても、数値が正確でなく、測定値に誤差が含まれるという問題があった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、レーザ式ガス分析計の校正を容易化し、水分濃度を高精度に測定可能とした校正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、請求項1に係る校正装置は、周波数変調されたレーザ光を出射する光源部、及び、この光源部からの出射光をコリメートする光学系、を有する発光ユニットと、
前記光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された光を集光する光学系、この光学系により集光された光を受光する受光部、及び、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路、を有する受光ユニットと、を備え、
前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号を検出して測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
前記測定対象ガスの濃度として水分濃度を測定するレーザ式ガス分析計を校正するための校正装置において、
前記発光ユニットと受光ユニットとの間に気密的に接続され、かつ、前記レーザ光の所定の光路長を保持可能な配管と、
前記配管の内部に所定の水分濃度の空気を供給する水分含有ガス供給手段と、
前記配管の内部に供給された空気中の酸素濃度を測定する酸素計と、を備え、
前記酸素計により測定した酸素濃度から水素濃度を換算し、この水素濃度と前記光路長とを用いて前記レーザ式ガス分析計による水素濃度の測定値を校正するものである。
【0020】
請求項2に係る校正装置は、請求項1に記載した校正装置において、前記水分含有ガス供給手段を、大気により水をバブリングして得た水分含有ガスを前記配管内部に供給するガス洗浄瓶により構成したものである。
【0021】
請求項3に係る校正装置は、請求項1または2に記載した校正装置において、前記配管が、前記水分含有ガスが流入するガス導入口と、前記水分含有ガスが排出されるガス排出口と、前記酸素計が接続されるポートと、を備えたものである。
【0022】
請求項4に係る校正装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載した校正装置において、前記光源部が、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とする波長走査駆動信号と前記発光波長を変調するための高周波変調信号とを合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換する電流制御部と、この電流制御部から出力された電流が供給される前記レーザ素子と、このレーザ素子の温度を安定化させる温度安定化手段と、を備え、かつ、前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記2倍周波数成分の信号の振幅を検出する同期検波回路と、この同期検波回路の出力信号に存在するガス吸収波形から測定対象ガスの濃度を検出する演算部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発光ユニットと受光ユニットとの間に接続される配管と、ガス洗浄瓶等の水分含有ガス供給手段とからなる簡単な構成により、レーザ式ガス分析計における水分濃度の測定値を容易に校正することができ、ガス分析計の水分検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1はこの実施形態の校正装置が適用されるレーザ式ガス分析計の一例を示す全体構成図である。図1において、フランジ201a,201bは、例えば、測定対象ガスが内部を通過する煙道などの配管の壁101a,101bに、溶接等によって固定されている。一方のフランジ201aには、取付座202aを介して、有底円筒状のカバー203aが取り付けられている。
カバー203aの内部には光源部204が配置されており、光源部204から出射したレーザ光は、コリメートレンズ205を含む光学系によって平行光にコリメートされる。コリメートされた光は、フランジ201aの中心を通って壁101a,101bの内部(煙道内部)へ入射される。前記平行光は、壁101a,101bの内部にある測定対象ガスを透過する際に吸収を受ける。
【0025】
他方のフランジ201bには、取付座202bを介して有底円筒状のカバー203bが取り付けられている。煙道内部を通過した平行光は、カバー203b内部の集光レンズ206により集光されて受光部207により受光される。この光は、受光部207により電気信号に変換され、後段の信号処理回路208に入力される。
【0026】
図2は、前記光源部204の構成を示している。
この光源部204は、波長走査駆動信号発生部204aと、高周波変調信号発生部204bと、からなるレーザ駆動信号発生部204sを備えている。波長走査駆動信号発生部204aは、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とし、高周波変調信号発生部204bは、測定対象ガスの吸収波長を検出するために、例えば10kHz程度の正弦波で波長を周波数変調する。
これらの信号発生部204a,204bの出力信号をレーザ駆動信号発生部204s内で合成することにより、レーザ駆動信号が生成される。
レーザ駆動信号発生部204sから出力されたレーザ駆動信号は電流制御部204cにより電流に変換され、半導体レーザからなるレーザ素子204eに供給される。
【0027】
レーザ素子204eに近接して、温度検出素子としてのサーミスタ204fが配置され、サーミスタ204fにはペルチェ素子204gが近接して配置されている。
ペルチェ素子204gは、サーミスタ204fの抵抗値が一定値になるように温度制御部204dによってPID(比例・積分・微分)制御され、結果としてレーザ素子204eの温度を安定化させるためのものである。
【0028】
波長走査駆動信号発生部204aの出力信号は、図3に示すように、一定周期で繰り返されるほぼ台形波状の信号である。
図3において、吸収波長を走査する信号S2は、電流制御部204cを介してレーザ素子204eに供給される電流の大きさを直線的に変える部分である。この信号S2によってレーザ素子204eの発光波長を徐々にずらしていき、例えばNH3ガスであれば、0.2nm程度の線幅を走査可能としている。
また、信号S1は、吸収波長は走査しないがレーザ素子204eは発光させておくオフセット部分であり、レーザ素子204eの発光が安定するスレッショルド電流値以上の値にしておく。
更に、信号S3は駆動電流をほぼ0にした部分である。
【0029】
図4は、図1における信号処理回路208の構成を周辺回路と共に示した図である。
図4において、受光部207は、レーザ素子204eの発光波長に感度を持つフォトダイオード等の受光素子よって構成されている。
受光部207の出力は電流信号であり、この電流信号はI/V変換器208aにより電圧信号に変換され、発振器208cからの2f信号(2倍波信号)が加えられる同期検波回路208bに入力され、出射光の変調信号の2倍周波数成分の振幅のみが抽出される。同期検波回路208bの出力信号は、ノイズ除去用のフィルタ208dを介してCPU等の演算部208eに送られる。
【0030】
次に、上記ガス分析計によるガス濃度の測定動作を略述する。
レーザ素子204eは、吸収波長を走査する信号S2の中心部分で測定対象ガスを測定できるように、サーミスタ204fによって事前に温度が調整される。この状態でレーザ素子204eを駆動することにより、コリメートされた光を壁101a,101bの内部(煙道内部)に出射し、その透過光は受光部207に入射する。
【0031】
煙道内部にNH3ガス等の測定対象ガスが存在しない場合には、同期検波回路208bにより2f信号が検出されないので、同期検波回路208bの出力波形はほぼ直線となる。煙道内部に測定対象ガスが存在する場合、同期検波回路208bからは図5に示すような測定対象ガスの吸収波形が出力される。この出力波形のピークがガス濃度に対応するため、演算部208eは、前記フィルタ208dの出力信号から同期検波回路208bの出力波形のピーク値を検出し、あるいは出力波形を積分することによって測定対象ガスの濃度を測定可能である。
【0032】
次に、このレーザ式ガス分析計に使用される校正装置について説明する。
図6は、本実施形態に係る校正装置の一部である配管301を、前記ガス分析計に取り付けた状態を示す断面図である。図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付してあり、以下では異なる部分を中心に説明する。なお、図6において、250は前記光源部204及びコリメートレンズ205を備えた発光ユニット、260は集光レンズ206及び受光部207を備えた受光ユニットを示す。
【0033】
図6において、配管301は発光ユニット250と受光ユニット260との間に気密状態で接続される。この配管301の長さは、前述した水分濃度の校正に必要な光路長を決定する基準となるため、十分な加工精度のもとで配管長さを設定する必要がある。
また、配管301は、発光ユニット250から出射した光を遮蔽することなく確実に受光ユニット260に伝播可能な内径を有するものとする。
配管301には、その軸方向に沿った二箇所にガス導入口302及びガス排出口303が形成されており、これらのガス導入口302及びガス排出口303を介して水分含有ガスが流通可能であると共に、配管301の長手方向のほぼ中央部には、酸素計400が接続されるポート304が設けられている。
【0034】
図7に示すように、前記ガス導入口302には、外部の水分含有ガス供給手段により生成された水分含有ガスが供給されるようになっており、この水分含有ガス供給手段は、ガス洗浄瓶500及び流路501,502を備えている。
すなわち、ガス洗浄瓶500は、大気に開放された流路501から供給される空気により内部の水Wをバブリングし、その温度における飽和水蒸気圧により規定された濃度の水分を含むガス(空気)を生成して流路502から排出する。この流路502の先端は、配管301のガス導入口302に接続されている。なお、503は配管301のガス排出口303に接続された排気用の流路である。
校正の際に高濃度の水分を含むガスが必要な場合は、ガス洗浄瓶500、配管301及び流路501〜503をヒータにより加熱するか、装置全体を恒温槽などに入れて高温にする。
【0035】
配管301のポート304に接続される酸素計400は、配管301の内部の酸素濃度を測定可能なものであれば、いかなる測定原理、方式によるものでも良い。
この酸素計400としては、図8に示すようなジルコニア酸素計を用いることができる。 図8において、センサ素子401は、有底円筒形のイットリア安定化ジルコニアからなる固体電解質402の外面及び内面に、多孔質の白金からなる測定電極403及び基準電極404をそれぞれ形成し、これらの電極403,404をリード線405,406を介し回路基板409に接続して作成される。なお、図示されていないが、回路基板409には各電極403,404の出力信号から酸素濃度等を演算するための演算部が実装されている。
センサ素子401は、センサ筐体407に内蔵されたヒータ408の内部に挿入・接着されている。410はセンサ筐体407に設けられた通気口、411は測定電極403の保護層である。
【0036】
上記固体電解質402の材料である安定化ジルコニアは、主成分であるジルコニア(酸化ジルコニウムZrO2)に安定化剤としてイットリア(Y2O3)などを加えて作られる。また、これを実際に使用する際には、ヒータ408により固体電解質402を500℃以上の高温に保つことが必要である。
500℃以上の高温状態において、安定化ジルコニアは固体電解質(イオン導電性固体)の性質をもち、選択的に酸素イオン(O2−)だけを通過させる。すなわち、円筒形の固体電解質402の内外に酸素濃度差があれば、濃度の高い側の電極では、酸素分子(O2)は電子をもらって酸素イオン(O2−)になり(還元反応)、濃度の低い側の電極では、酸素イオン(O2−)が電子を放出して酸素分子(O2)に戻る(酸化反応)。これらの反応式は以下の通りである。
酸素の高濃度側:O2+4e→2O2−(還元反応)
酸素の低濃度側:2O2−→O2+4e(酸化反応)
【0037】
このとき、測定電極403と基準電極404との間には、酸素濃度比によって決まる起電力が発生する。すなわち、両電極403,404間に発生する電圧を高入力インピーダンスの測定器によって測定すれば、酸素濃度比を計測することができる。
そこで、一方の電極(例えば固体電解質402の外側の測定電極403)を大気に直接接触させ、大気中の酸素分圧に相当する一定の酸素濃度に保てば、前記通気口410を介して他方の電極(固体電解質402の内側の基準電極404)に接触する水分含有空気中の酸素濃度を求めることができる。
【0038】
次に、以上のような装置構成において、ガス洗浄瓶500により空気をバブリングし、所定濃度の水分含有ガスを流路502及びガス導入口302から配管301内部に供給してガス分析計の水分濃度測定値を校正するための動作を説明する。
図8に示した酸素計400は、通気口410から供給される配管301内の水分含有空気の酸素濃度を測定し、この酸素濃度から水分濃度を換算する。
すなわち、ガス洗浄瓶500により水Wを大気にてバブリングし、流路502から供給される水分含有空気が配管301内に充満すると、配管301内の空気は、水分濃度の上昇分だけ酸素濃度が低下する。
例えば、ガス洗浄瓶500に流路501から供給される大気の酸素濃度が20.7%であったとし、これをガス洗浄瓶500によりバブリングした結果、水分含有空気の酸素濃度が20%に低下したとする。この場合、酸素濃度20.7%に対して水分濃度が0.7%上昇するので、水分含有空気の水分濃度は、数式1により3.38%となる。
[数式1]
水分濃度=(供給大気の酸素濃度−バブリング後の酸素濃度)/供給大気の酸素濃度×100%
【0039】
以上のようにして、酸素計400により測定される配管301内の酸素濃度から、水分濃度を換算可能である。
従って、この水分濃度を参照値として、配管301の軸方向長さから決定される光路長との積を求めれば、レーザ式ガス分析計による水分濃度の測定値を校正することができる。
なお、従来のようにヒータなどを用いて高水分濃度の校正を行う場合には、ヒータ温度を高精度に安定させる必要があるが、本実施形態では水分含有空気の酸素濃度に基づいて水分濃度をモニタリングしているため、校正が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態が適用されるレーザ式ガス分析計の構成図である。
【図2】図1における光源部の構成図である。
【図3】図2における波長走査駆動信号発生部の出力信号波形図である。
【図4】図1における信号処理回路の構成を周辺回路と共に示した図である。
【図5】ガス吸収波形の位置ずれを示す図である。
【図6】本発明の実施形態における校正装置の主要部の説明図である。
【図7】本発明の実施形態における校正装置の説明図である。
【図8】図6における酸素計の一例を示す構成図である。
【図9】NH3ガスの吸収スペクトラム例である。
【図10】周波数変調方式の原理図である。
【図11】ドライブ電流による半導体レーザの発光波長の変化を示す図である。
【図12】温度による半導体レーザの発光波長の変化を示す図である。
【図13】特許文献2に記載されたガス濃度測定装置の全体的な構成図である。
【図14】図13における主要部の構成図である。
【図15】図13における主要部の構成図である。
【図16】温度と水分濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
101a,101b:壁
201a,201b:フランジ
202a,202b:取付座
203a,203b:カバー
204:光源部
204a:波長走査駆動信号発生部
204b:高周波変調信号発生部
204c:電流制御部
204d:温度制御部
204e:レーザ素子
204f:サーミスタ
204g:ペルチェ素子
204s:レーザ駆動信号発生部
205:コリメートレンズ
206:集光レンズ
207:受光部
208:信号処理回路
208a:I/V変換器
208b:同期検波回路
208c:発振器
208d:フィルタ
208e:演算部
250:発光ユニット
260:受光ユニット
301:配管
302:ガス導入口
303:ガス排出口
304:ポート
400:酸素計
401:センサ素子
402:固体電解質
403:測定電極
404:基準電極
405,406:リード線
407:センサ筐体
408:ヒータ
409:回路基板
410:通気口
411:保護層
500:ガス洗浄瓶
501,502,503:流路
W:水
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば煙道内のガスや排ガスなどの各種ガスの濃度をレーザ光により測定するレーザ式ガス分析計の校正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体状のガス分子には、それぞれ固有の光吸収スペクトルがあることが知られている。例えば、図9はNH3(アンモニア)ガスの吸収スペクトラム例である。
レーザ式ガス分析計は、レーザ光の特定波長の吸収量が測定対象ガスの濃度に比例することを利用した分析計であり、ガス濃度の測定方法としては、2波長差分方式と周波数変調方式とに大別される。このうち、本発明は、例えば周波数変調方式を用いたレーザ式ガス分析計に適用して好適なものである。
【0003】
まず、周波数変調方式を用いた従来のレーザ式ガス分析計の測定原理を説明する。
図10は、周波数変調方式の原理図を示しており、例えば特許文献1に記載されているものである。なお、この特許文献1に記載されたガス濃度測定装置は、測定対象ガスが存在するガスセルの透過光からガス濃度を測定するように構成されている。
周波数変調方式のレーザ式ガス分析計では、中心周波数fc、変調周波数fmで半導体レーザの出射光を周波数変調し、測定対象のガスに照射する。ここで、周波数変調とは、半導体レーザに供給するドライブ電流の波形を正弦波状にすることである。
半導体レーザは、図11,図12に示すようにドライブ電流や温度によって発光波長が変化するので、周波数変調を行うことにより、ドライブ電流の変調に伴って発光波長が変調されることになる。
【0004】
図10に示したように、ガスの吸収線は変調周波数に対してほぼ2次関数となっているので、この吸収線が弁別器の役割を果たし、受光部では変調周波数fmの2倍の周波数の信号(2倍波信号)が得られる。ここで、変調周波数fmは任意の周波数でよいため、例えば変調周波数fmを数kHz程度に選ぶと、ディジタル信号処理装置(DSP)または汎用のプロセッサを用いて、2倍波信号の抽出等の高度な信号処理を行うことができる。
また、受光部によりエンベロープ検波を行えば、振幅変調による基本波を推定することができる。この基本波の振幅と前記2倍波信号の振幅との比を位相同期させて検出することにより、測定対象ガス濃度に比例した信号を得ることができる。
【0005】
この周波数変調方式では、半導体レーザの種類の中でも、分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)を用いて単一波長のレーザ光のみを出射し、ガス濃度を測定する場合が多い。この場合、DFBレーザが発光するスペクトル線幅の方が測定対象ガスの吸収線幅よりも小さいため、DFBレーザの発光波長を測定対象ガスの吸収波長に合わせる必要がある。
その方法として、測定対象ガスと同じガス成分を予め封入した参照ガスセルを用いて、DFBレーザの発光波長を温度によって制御する方法が用いられている。
【0006】
上述したような検出原理を用いた従来技術としては、例えば特許文献2に記載されたガス濃度測定装置がある。図13は、特許文献2に記載されたガス濃度測定装置の全体的な構成を示しており、この測定装置は、測定対象ガスが存在するガス配管などからの反射光を用いてガス濃度を測定するものである。
このガス濃度測定装置1は、主として、光源ユニット2、測定光集光部3、測定光増幅部4、受信信号検出部5、校正信号生成部6、基本波信号増幅器7Aと2倍波信号増幅器7Bとからなる参照信号増幅部7、信号微分検出器8Aと信号同期検出器8Bとからなる参照信号検出部8、波長安定化制御回路9、温度安定化PID回路10、電流安定化回路11、測定/校正切替部12、演算部13から構成されている。
【0007】
光源ユニット2は、前述の測定対象ガス特有の吸収線に合致した波長のレーザ光を発生するものであり、図14に示すように、金属パッケージからなる箱型形状のケース本体26の内部に、半導体レーザモジュール21、参照ガスセル22、光検出器(受光部)23が収容されている。
半導体レーザモジュール21のケース21a内には、図15に示すように、周波数変調されたレーザ光を両面から出射する半導体レーザ(レーザダイオード)24が配設されている。図14に示す如く、ケース21aからはコネクタ25aを備えた光ケーブル25が延びており、半導体レーザ24から出射される一方の光が、光ケーブル25を介して図13の測定光集光部3から外部(測定対象ガスの雰囲気)に出射される。
【0008】
図14において、ケース本体26の底面には、冷却用フィン27が取り付けられたペルチェ素子等の温度制御素子(図示せず)が配置されている。この温度制御素子によって動作温度を一定温度に制御することで、発振波長が制御される。
また、図15に示すように、半導体レーザ24の前後両側の光軸上には、出射光を集光するための平坦面を持たない非球面レンズ29a,29bが配設されている。これらの非球面レンズ29a,29bを集光用レンズとして使用することにより、半導体レーザ24に光が反射して戻るのを防止している。
【0009】
図15に示す如く、半導体レーザ24の前後両側の光軸上で非球面レンズ29a,29bの外側には、光アイソレータ30a,30bが配設されている。
これらの光アイソレータ30a,30bは、90°の偏波面の光のみを通す偏光子と45°の偏波面の光のみを通す検光子との間に配置された結晶に磁界を印加することで、結晶中を透過する光の偏波面を回転させて偏光子での反射光の通過を阻止し、半導体レーザ24に反射光が戻るのを防止している。
【0010】
図14,図15において、半導体レーザ24の後側の光路上に配置された参照ガスセル22は、測定光発振波長の安定化や測定対象ガス濃度の校正用に用いられる。この参照ガスセル22において、空洞の金属胴22aの対向面に光を通過させる貫通穴が形成され、金属胴22aの内部に参照ガスが封入された後、貫通穴がガラス窓22bによって封止されている。
参照ガスセル22は、内径の長さが予め決められており、封入される参照ガスは、測定対象ガスの測定場所の環境とほぼ等しい組成、圧力とされている。例えば、測定場所の環境が空気であれば、参照ガスはエアバランス、すなわち空気と同じ組成であり、圧力も1気圧となっている。
【0011】
参照ガスセル22は、非球面レンズ29bの後側の後方出射光が入射しやすい位置に固定され、参照ガスセル22を通過したレーザ光は、その後側に配設された光検出器23によって受光検出される。上記参照ガスセル22は、半導体レーザ24への戻り光を低減するため、光が通過する両端面が斜め(例えば出射光軸に対して約6°)に形成されている。
【0012】
図13において、測定光集光部3は、半導体レーザ24からの光を外部に出射し、測定対象となるガス配管などから反射した測定光をレンズ31により集光する。そして、測定光集光部3は、集光した光を光検出器32により検出して電気信号に変換する。
測定光増幅部4はプリアンプによって構成されており、光検出器32にて検出した光電流を電圧に変換し、増幅して出力する。また、測定光増幅部4では、受信信号検出部5が検出する基本波位相敏感検波信号(f信号:以下、基本波信号と略称する)と2倍波位相敏感検波信号(2f信号:以下、2倍波信号と略称する)とがほぼ同じレベルになるように、基本波信号、2倍波信号のそれぞれについて最適増幅度が設定されている。
【0013】
受信信号検出部5は、測定/校正切替部12が測定光増幅部4側に切り替えられているときに、測定光増幅部4からの測定光信号を処理し、基本波信号(f信号)、2倍波信号(2f信号)、及び、2f/f信号を検出する。
また、受信信号検出部5は、測定/校正切替部12が校正信号生成部6側に切り替えられているときに、校正信号生成部6からの信号を処理し、校正用基本波信号(rf信号)、校正用2倍波信号(r2f信号)、及び、r2f/rf信号を検出する。
上記構成では、参照ガスセル22を用いて半導体レーザ24の発光波長を制御している。また、光検出器32の出力からガス濃度を示す2f信号を抽出することにより、測定対象ガスの濃度を測定している。
【0014】
【特許文献1】特開平7−151681号公報(段落[0004],[0005]、図4等)
【特許文献2】特開2001−235418号公報(段落[0012]〜[0024]、図2,図11等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
さて、この種のレーザ式ガス分析計により測定される測定値は、測定対象ガスが存在する領域(言い換えれば光の伝播距離)とガス濃度とによって吸収強度が変わるため、ガス濃度と光の伝播距離の積とにより表されるのが一般的である。
例えば、同じガス濃度、例えば100ppmのNH3ガスを1mの距離をおいて測定した場合は100ppm・mとなり、5mの距離をおいて測定した場合は吸収が500ppm・mとなるので、5mの距離をおいた方が測定値が大きくなる。
そのため、実際のガス分析計では、測定対象ガスが存在する光路長(上述した光の伝播距離)により測定値を除算して、ガス濃度を表示している。なお、この点については、前述した特許文献1の段落[0004]にも同様の記載がある。
【0016】
上記のようにしてガス濃度を演算し、表示する場合、測定性能を保証するために、光路長とガス濃度との積によってガス分析計の測定値を校正することが必要になる。すなわち、測定対象ガスの濃度範囲に合わせて、例えばガスボンベを用意し、その出力と合うようにガス濃度の測定値を校正することになる。
このように、ガス分析計の測定性能を保証するためには校正作業が必要不可欠であり、そのためには、ガスボンベ等を用いて所定濃度のガスを用意する必要がある。
【0017】
しかしながら、これらのガスボンベを製造できない場合として、水分濃度を測定する場合などがある。
図16は、温度と水分濃度との関係を示す図である。水分濃度は水の沸点である100℃を100%として、各温度における飽和水蒸気圧の比率として求められる。図16によれば、高濃度の水分で校正する場合には、ガス分析計を100℃以上の環境下に置いて水を沸騰させなくてはならない。
更に、水分の高濃度を安定化するためには温度管理も必要となり、結果として高濃度の水分を用いた校正は困難であった。仮に、代表値を用いて校正するとしても、数値が正確でなく、測定値に誤差が含まれるという問題があった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、レーザ式ガス分析計の校正を容易化し、水分濃度を高精度に測定可能とした校正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、請求項1に係る校正装置は、周波数変調されたレーザ光を出射する光源部、及び、この光源部からの出射光をコリメートする光学系、を有する発光ユニットと、
前記光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された光を集光する光学系、この光学系により集光された光を受光する受光部、及び、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路、を有する受光ユニットと、を備え、
前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号を検出して測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
前記測定対象ガスの濃度として水分濃度を測定するレーザ式ガス分析計を校正するための校正装置において、
前記発光ユニットと受光ユニットとの間に気密的に接続され、かつ、前記レーザ光の所定の光路長を保持可能な配管と、
前記配管の内部に所定の水分濃度の空気を供給する水分含有ガス供給手段と、
前記配管の内部に供給された空気中の酸素濃度を測定する酸素計と、を備え、
前記酸素計により測定した酸素濃度から水素濃度を換算し、この水素濃度と前記光路長とを用いて前記レーザ式ガス分析計による水素濃度の測定値を校正するものである。
【0020】
請求項2に係る校正装置は、請求項1に記載した校正装置において、前記水分含有ガス供給手段を、大気により水をバブリングして得た水分含有ガスを前記配管内部に供給するガス洗浄瓶により構成したものである。
【0021】
請求項3に係る校正装置は、請求項1または2に記載した校正装置において、前記配管が、前記水分含有ガスが流入するガス導入口と、前記水分含有ガスが排出されるガス排出口と、前記酸素計が接続されるポートと、を備えたものである。
【0022】
請求項4に係る校正装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載した校正装置において、前記光源部が、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とする波長走査駆動信号と前記発光波長を変調するための高周波変調信号とを合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換する電流制御部と、この電流制御部から出力された電流が供給される前記レーザ素子と、このレーザ素子の温度を安定化させる温度安定化手段と、を備え、かつ、前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記2倍周波数成分の信号の振幅を検出する同期検波回路と、この同期検波回路の出力信号に存在するガス吸収波形から測定対象ガスの濃度を検出する演算部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発光ユニットと受光ユニットとの間に接続される配管と、ガス洗浄瓶等の水分含有ガス供給手段とからなる簡単な構成により、レーザ式ガス分析計における水分濃度の測定値を容易に校正することができ、ガス分析計の水分検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1はこの実施形態の校正装置が適用されるレーザ式ガス分析計の一例を示す全体構成図である。図1において、フランジ201a,201bは、例えば、測定対象ガスが内部を通過する煙道などの配管の壁101a,101bに、溶接等によって固定されている。一方のフランジ201aには、取付座202aを介して、有底円筒状のカバー203aが取り付けられている。
カバー203aの内部には光源部204が配置されており、光源部204から出射したレーザ光は、コリメートレンズ205を含む光学系によって平行光にコリメートされる。コリメートされた光は、フランジ201aの中心を通って壁101a,101bの内部(煙道内部)へ入射される。前記平行光は、壁101a,101bの内部にある測定対象ガスを透過する際に吸収を受ける。
【0025】
他方のフランジ201bには、取付座202bを介して有底円筒状のカバー203bが取り付けられている。煙道内部を通過した平行光は、カバー203b内部の集光レンズ206により集光されて受光部207により受光される。この光は、受光部207により電気信号に変換され、後段の信号処理回路208に入力される。
【0026】
図2は、前記光源部204の構成を示している。
この光源部204は、波長走査駆動信号発生部204aと、高周波変調信号発生部204bと、からなるレーザ駆動信号発生部204sを備えている。波長走査駆動信号発生部204aは、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とし、高周波変調信号発生部204bは、測定対象ガスの吸収波長を検出するために、例えば10kHz程度の正弦波で波長を周波数変調する。
これらの信号発生部204a,204bの出力信号をレーザ駆動信号発生部204s内で合成することにより、レーザ駆動信号が生成される。
レーザ駆動信号発生部204sから出力されたレーザ駆動信号は電流制御部204cにより電流に変換され、半導体レーザからなるレーザ素子204eに供給される。
【0027】
レーザ素子204eに近接して、温度検出素子としてのサーミスタ204fが配置され、サーミスタ204fにはペルチェ素子204gが近接して配置されている。
ペルチェ素子204gは、サーミスタ204fの抵抗値が一定値になるように温度制御部204dによってPID(比例・積分・微分)制御され、結果としてレーザ素子204eの温度を安定化させるためのものである。
【0028】
波長走査駆動信号発生部204aの出力信号は、図3に示すように、一定周期で繰り返されるほぼ台形波状の信号である。
図3において、吸収波長を走査する信号S2は、電流制御部204cを介してレーザ素子204eに供給される電流の大きさを直線的に変える部分である。この信号S2によってレーザ素子204eの発光波長を徐々にずらしていき、例えばNH3ガスであれば、0.2nm程度の線幅を走査可能としている。
また、信号S1は、吸収波長は走査しないがレーザ素子204eは発光させておくオフセット部分であり、レーザ素子204eの発光が安定するスレッショルド電流値以上の値にしておく。
更に、信号S3は駆動電流をほぼ0にした部分である。
【0029】
図4は、図1における信号処理回路208の構成を周辺回路と共に示した図である。
図4において、受光部207は、レーザ素子204eの発光波長に感度を持つフォトダイオード等の受光素子よって構成されている。
受光部207の出力は電流信号であり、この電流信号はI/V変換器208aにより電圧信号に変換され、発振器208cからの2f信号(2倍波信号)が加えられる同期検波回路208bに入力され、出射光の変調信号の2倍周波数成分の振幅のみが抽出される。同期検波回路208bの出力信号は、ノイズ除去用のフィルタ208dを介してCPU等の演算部208eに送られる。
【0030】
次に、上記ガス分析計によるガス濃度の測定動作を略述する。
レーザ素子204eは、吸収波長を走査する信号S2の中心部分で測定対象ガスを測定できるように、サーミスタ204fによって事前に温度が調整される。この状態でレーザ素子204eを駆動することにより、コリメートされた光を壁101a,101bの内部(煙道内部)に出射し、その透過光は受光部207に入射する。
【0031】
煙道内部にNH3ガス等の測定対象ガスが存在しない場合には、同期検波回路208bにより2f信号が検出されないので、同期検波回路208bの出力波形はほぼ直線となる。煙道内部に測定対象ガスが存在する場合、同期検波回路208bからは図5に示すような測定対象ガスの吸収波形が出力される。この出力波形のピークがガス濃度に対応するため、演算部208eは、前記フィルタ208dの出力信号から同期検波回路208bの出力波形のピーク値を検出し、あるいは出力波形を積分することによって測定対象ガスの濃度を測定可能である。
【0032】
次に、このレーザ式ガス分析計に使用される校正装置について説明する。
図6は、本実施形態に係る校正装置の一部である配管301を、前記ガス分析計に取り付けた状態を示す断面図である。図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付してあり、以下では異なる部分を中心に説明する。なお、図6において、250は前記光源部204及びコリメートレンズ205を備えた発光ユニット、260は集光レンズ206及び受光部207を備えた受光ユニットを示す。
【0033】
図6において、配管301は発光ユニット250と受光ユニット260との間に気密状態で接続される。この配管301の長さは、前述した水分濃度の校正に必要な光路長を決定する基準となるため、十分な加工精度のもとで配管長さを設定する必要がある。
また、配管301は、発光ユニット250から出射した光を遮蔽することなく確実に受光ユニット260に伝播可能な内径を有するものとする。
配管301には、その軸方向に沿った二箇所にガス導入口302及びガス排出口303が形成されており、これらのガス導入口302及びガス排出口303を介して水分含有ガスが流通可能であると共に、配管301の長手方向のほぼ中央部には、酸素計400が接続されるポート304が設けられている。
【0034】
図7に示すように、前記ガス導入口302には、外部の水分含有ガス供給手段により生成された水分含有ガスが供給されるようになっており、この水分含有ガス供給手段は、ガス洗浄瓶500及び流路501,502を備えている。
すなわち、ガス洗浄瓶500は、大気に開放された流路501から供給される空気により内部の水Wをバブリングし、その温度における飽和水蒸気圧により規定された濃度の水分を含むガス(空気)を生成して流路502から排出する。この流路502の先端は、配管301のガス導入口302に接続されている。なお、503は配管301のガス排出口303に接続された排気用の流路である。
校正の際に高濃度の水分を含むガスが必要な場合は、ガス洗浄瓶500、配管301及び流路501〜503をヒータにより加熱するか、装置全体を恒温槽などに入れて高温にする。
【0035】
配管301のポート304に接続される酸素計400は、配管301の内部の酸素濃度を測定可能なものであれば、いかなる測定原理、方式によるものでも良い。
この酸素計400としては、図8に示すようなジルコニア酸素計を用いることができる。 図8において、センサ素子401は、有底円筒形のイットリア安定化ジルコニアからなる固体電解質402の外面及び内面に、多孔質の白金からなる測定電極403及び基準電極404をそれぞれ形成し、これらの電極403,404をリード線405,406を介し回路基板409に接続して作成される。なお、図示されていないが、回路基板409には各電極403,404の出力信号から酸素濃度等を演算するための演算部が実装されている。
センサ素子401は、センサ筐体407に内蔵されたヒータ408の内部に挿入・接着されている。410はセンサ筐体407に設けられた通気口、411は測定電極403の保護層である。
【0036】
上記固体電解質402の材料である安定化ジルコニアは、主成分であるジルコニア(酸化ジルコニウムZrO2)に安定化剤としてイットリア(Y2O3)などを加えて作られる。また、これを実際に使用する際には、ヒータ408により固体電解質402を500℃以上の高温に保つことが必要である。
500℃以上の高温状態において、安定化ジルコニアは固体電解質(イオン導電性固体)の性質をもち、選択的に酸素イオン(O2−)だけを通過させる。すなわち、円筒形の固体電解質402の内外に酸素濃度差があれば、濃度の高い側の電極では、酸素分子(O2)は電子をもらって酸素イオン(O2−)になり(還元反応)、濃度の低い側の電極では、酸素イオン(O2−)が電子を放出して酸素分子(O2)に戻る(酸化反応)。これらの反応式は以下の通りである。
酸素の高濃度側:O2+4e→2O2−(還元反応)
酸素の低濃度側:2O2−→O2+4e(酸化反応)
【0037】
このとき、測定電極403と基準電極404との間には、酸素濃度比によって決まる起電力が発生する。すなわち、両電極403,404間に発生する電圧を高入力インピーダンスの測定器によって測定すれば、酸素濃度比を計測することができる。
そこで、一方の電極(例えば固体電解質402の外側の測定電極403)を大気に直接接触させ、大気中の酸素分圧に相当する一定の酸素濃度に保てば、前記通気口410を介して他方の電極(固体電解質402の内側の基準電極404)に接触する水分含有空気中の酸素濃度を求めることができる。
【0038】
次に、以上のような装置構成において、ガス洗浄瓶500により空気をバブリングし、所定濃度の水分含有ガスを流路502及びガス導入口302から配管301内部に供給してガス分析計の水分濃度測定値を校正するための動作を説明する。
図8に示した酸素計400は、通気口410から供給される配管301内の水分含有空気の酸素濃度を測定し、この酸素濃度から水分濃度を換算する。
すなわち、ガス洗浄瓶500により水Wを大気にてバブリングし、流路502から供給される水分含有空気が配管301内に充満すると、配管301内の空気は、水分濃度の上昇分だけ酸素濃度が低下する。
例えば、ガス洗浄瓶500に流路501から供給される大気の酸素濃度が20.7%であったとし、これをガス洗浄瓶500によりバブリングした結果、水分含有空気の酸素濃度が20%に低下したとする。この場合、酸素濃度20.7%に対して水分濃度が0.7%上昇するので、水分含有空気の水分濃度は、数式1により3.38%となる。
[数式1]
水分濃度=(供給大気の酸素濃度−バブリング後の酸素濃度)/供給大気の酸素濃度×100%
【0039】
以上のようにして、酸素計400により測定される配管301内の酸素濃度から、水分濃度を換算可能である。
従って、この水分濃度を参照値として、配管301の軸方向長さから決定される光路長との積を求めれば、レーザ式ガス分析計による水分濃度の測定値を校正することができる。
なお、従来のようにヒータなどを用いて高水分濃度の校正を行う場合には、ヒータ温度を高精度に安定させる必要があるが、本実施形態では水分含有空気の酸素濃度に基づいて水分濃度をモニタリングしているため、校正が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態が適用されるレーザ式ガス分析計の構成図である。
【図2】図1における光源部の構成図である。
【図3】図2における波長走査駆動信号発生部の出力信号波形図である。
【図4】図1における信号処理回路の構成を周辺回路と共に示した図である。
【図5】ガス吸収波形の位置ずれを示す図である。
【図6】本発明の実施形態における校正装置の主要部の説明図である。
【図7】本発明の実施形態における校正装置の説明図である。
【図8】図6における酸素計の一例を示す構成図である。
【図9】NH3ガスの吸収スペクトラム例である。
【図10】周波数変調方式の原理図である。
【図11】ドライブ電流による半導体レーザの発光波長の変化を示す図である。
【図12】温度による半導体レーザの発光波長の変化を示す図である。
【図13】特許文献2に記載されたガス濃度測定装置の全体的な構成図である。
【図14】図13における主要部の構成図である。
【図15】図13における主要部の構成図である。
【図16】温度と水分濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
101a,101b:壁
201a,201b:フランジ
202a,202b:取付座
203a,203b:カバー
204:光源部
204a:波長走査駆動信号発生部
204b:高周波変調信号発生部
204c:電流制御部
204d:温度制御部
204e:レーザ素子
204f:サーミスタ
204g:ペルチェ素子
204s:レーザ駆動信号発生部
205:コリメートレンズ
206:集光レンズ
207:受光部
208:信号処理回路
208a:I/V変換器
208b:同期検波回路
208c:発振器
208d:フィルタ
208e:演算部
250:発光ユニット
260:受光ユニット
301:配管
302:ガス導入口
303:ガス排出口
304:ポート
400:酸素計
401:センサ素子
402:固体電解質
403:測定電極
404:基準電極
405,406:リード線
407:センサ筐体
408:ヒータ
409:回路基板
410:通気口
411:保護層
500:ガス洗浄瓶
501,502,503:流路
W:水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調されたレーザ光を出射する光源部、及び、この光源部からの出射光をコリメートする光学系、を有する発光ユニットと、
前記光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された光を集光する光学系、この光学系により集光された光を受光する受光部、及び、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路、を有する受光ユニットと、を備え、
前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号を検出して測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
前記測定対象ガスの濃度として水分濃度を測定するレーザ式ガス分析計を校正するための校正装置において、
前記発光ユニットと受光ユニットとの間に気密的に接続され、かつ、前記レーザ光の所定の光路長を保持可能な配管と、
前記配管の内部に所定の水分濃度の空気を供給する水分含有ガス供給手段と、
前記配管の内部に供給された空気中の酸素濃度を測定する酸素計と、
を備え、
前記酸素計により測定した酸素濃度から水素濃度を換算し、この水素濃度と前記光路長とを用いて前記レーザ式ガス分析計による水素濃度の測定値を校正することを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項2】
請求項1に記載したレーザ式ガス分析計の校正装置において、
前記水分含有ガス供給手段を、大気により水をバブリングして得た水分含有ガスを前記配管内部に供給するガス洗浄瓶により構成したことを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載したレーザ式ガス分析計の校正装置において、
前記配管は、前記水分含有ガスが流入するガス導入口と、前記水分含有ガスが排出されるガス排出口と、前記酸素計が接続されるポートと、を備えたことを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載したレーザ式ガス分析計の校正装置において、
前記光源部が、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とする波長走査駆動信号と前記発光波長を変調するための高周波変調信号とを合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換する電流制御部と、この電流制御部から出力された電流が供給される前記レーザ素子と、このレーザ素子の温度を安定化させる温度安定化手段と、を備え、かつ、
前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記2倍周波数成分の信号の振幅を検出する同期検波回路と、この同期検波回路の出力信号に存在するガス吸収波形から測定対象ガスの濃度を検出する演算部と、を備えたことを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項1】
周波数変調されたレーザ光を出射する光源部、及び、この光源部からの出射光をコリメートする光学系、を有する発光ユニットと、
前記光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された光を集光する光学系、この光学系により集光された光を受光する受光部、及び、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路、を有する受光ユニットと、を備え、
前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号を検出して測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
前記測定対象ガスの濃度として水分濃度を測定するレーザ式ガス分析計を校正するための校正装置において、
前記発光ユニットと受光ユニットとの間に気密的に接続され、かつ、前記レーザ光の所定の光路長を保持可能な配管と、
前記配管の内部に所定の水分濃度の空気を供給する水分含有ガス供給手段と、
前記配管の内部に供給された空気中の酸素濃度を測定する酸素計と、
を備え、
前記酸素計により測定した酸素濃度から水素濃度を換算し、この水素濃度と前記光路長とを用いて前記レーザ式ガス分析計による水素濃度の測定値を校正することを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項2】
請求項1に記載したレーザ式ガス分析計の校正装置において、
前記水分含有ガス供給手段を、大気により水をバブリングして得た水分含有ガスを前記配管内部に供給するガス洗浄瓶により構成したことを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載したレーザ式ガス分析計の校正装置において、
前記配管は、前記水分含有ガスが流入するガス導入口と、前記水分含有ガスが排出されるガス排出口と、前記酸素計が接続されるポートと、を備えたことを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載したレーザ式ガス分析計の校正装置において、
前記光源部が、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とする波長走査駆動信号と前記発光波長を変調するための高周波変調信号とを合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換する電流制御部と、この電流制御部から出力された電流が供給される前記レーザ素子と、このレーザ素子の温度を安定化させる温度安定化手段と、を備え、かつ、
前記信号処理回路が、前記受光部の出力信号から前記2倍周波数成分の信号の振幅を検出する同期検波回路と、この同期検波回路の出力信号に存在するガス吸収波形から測定対象ガスの濃度を検出する演算部と、を備えたことを特徴とするレーザ式ガス分析計の校正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−96561(P2010−96561A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266013(P2008−266013)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]