説明

レーザ装置

【課題】波長変換によって生じるレーザ光(紫外光)の質を向上させたレーザ装置を提供する。
【解決手段】レーザ装置1が、レーザ光Lsを発生させるレーザ光発生部10と、誘導ラマン散乱を利用してレーザ光Lsの波長を所定波長に変換する波長変換器20と、波長変換器20により所定波長に変換されたレーザ光Ls1の波長を紫外域の波長に変換する波長変換光学系30とを備え、波長変換光学系30が非臨界位相整合による和周波発生により波長変換を行う波長変換光学素子34を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光発生部から射出されたレーザ光を紫外光に波長変換する波長変換部を備えたレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波長変換を行うことにより紫外光を出力するレーザ装置としては、例えば、レチクルのパターンを基板に転写する露光装置や、各種光学式検査装置、レーザ治療装置等の光源として用いられている。この種のレーザ装置では、光増幅器により増幅された赤外波長領域のレーザ光を、複数の波長変換光学素子から成る波長変換部において順次波長変換し、最終的にArFエキシマレーザの発振波長と同じ波長である193[nm]の紫外光として出力するような構成のものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−200747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成のレーザ装置では、波長変換によって生じるレーザ光(紫外光)の質が比較的低いものであり、紫外光への波長変換効率が低下する一因となっていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、波長変換によって生じるレーザ光(紫外光)の質を向上させたレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係るレーザ装置は、レーザ光を発生させるレーザ光発生部と、誘導ラマン散乱を利用して前記レーザ光の波長を所定波長に変換する波長変換器と、前記波長変換器により前記所定波長に変換された前記レーザ光の波長を紫外域の波長に変換する波長変換光学系とを備え、前記波長変換光学系が非臨界位相整合による和周波発生により波長変換を行う波長変換光学素子を有して構成される。
【0007】
なお、上述のレーザ装置において、前記レーザ光発生部は、前記レーザ光を発生させる第1の光源部と、前記第1の光源部から発生した前記レーザ光を増幅して前記波長変換器に入射させる光増幅器と、前記所定波長を有するレーザ光を発生させて前記波長変換器に入射させる第2の光源部とを有して構成されることが好ましい。
【0008】
また、上述のレーザ装置において、前記波長変換光学系は、前記所定波長を有するレーザ光が入射して、前記所定波長の1/2倍の波長を有するレーザ光を発生させる第1の波長変換光学素子と、前記所定波長を有するレーザ光および前記1/2倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/3倍の波長を有するレーザ光を発生させる第2の波長変換光学素子と、前記1/2倍の波長を有するレーザ光および前記1/3倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/5倍の波長を有するレーザ光を発生させる第3の波長変換光学素子と、前記所定波長を有するレーザ光および前記1/5倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/6倍の波長である前記紫外域の波長を有するレーザ光を発生させる第4の波長変換光学素子とを有し、前記第4の波長変換光学素子が前記非臨界位相整合により波長変換を行うことが好ましい。
【0009】
また、上述のレーザ装置において、前記波長変換光学系は、前記所定波長を有するレーザ光が入射して、前記所定波長の1/2倍の波長を有するレーザ光を発生させる第1の波長変換光学素子と、前記所定波長を有するレーザ光および前記1/2倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/3倍の波長を有するレーザ光を発生させる第2の波長変換光学素子と、前記1/2倍の波長を有するレーザ光および前記1/3倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/5倍の波長を有するレーザ光を発生させる第3の波長変換光学素子と、前記所定波長を有するレーザ光および前記1/5倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/6倍の波長である前記紫外域の波長を有するレーザ光を発生させる第4の波長変換光学素子とを有し、前記第2の波長変換光学素子と前記第3の波長変換光学素子との間の光路上に前記1/2倍または前記1/3倍の波長を有するレーザ光の整形を行うビーム整形素子が設けられるとともに、前記第3の波長変換光学素子が前記非臨界位相整合により波長変換を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、波長変換によって生じるレーザ光(紫外光)の質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るレーザ装置の概略構成図である。
【図2】第2実施形態に係るレーザ装置の概略構成図である。
【図3】レーザ光発生部の変形例を示す図である。
【図4】レーザ光発生部の第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。第1実施形態に係るレーザ装置1を図1に示しており、このレーザ装置1は、半導体デバイス製造用の露光装置、各種の光学式検査装置、レーザ治療装置などに好適に用いられるものである。第1実施形態のレーザ装置1は、赤外〜可視域の波長を有するシード光(レーザ光)Lsを発生させるレーザ光発生部10と、誘導ラマン散乱を利用してシード光Lsの波長を所定波長に変換する波長変換器20と、波長変換器20により所定波長に変換されたシード光Ls1の波長を紫外域の波長に変換する波長変換光学系30とを備えて構成される。
【0013】
レーザ光発生部10は、狭帯域化された単一波長のシード光Lsを発生させる。このようなレーザ光発生部10として、例えばYb(イッテルビウム)ファイバーレーザが用いられ、本実施形態では、レーザ光発生部10が波長λ=1086[nm]となる連続波(CW)のシード光Lsを発生させる。波長変換器20は、誘導ラマン散乱(SRS:Stimulated Raman Scattering)を利用して、レーザ光発生部10から発生したシード光Lsの波長を1086[nm]から1146[nm]にシフトさせる(変換する)。このような波長変換器20として、例えばラマンセルが用いられる。このようにして、波長変換器20により波長を1146[nm]にシフトさせたシード光Ls1を基本波として波長変換光学系30に入射させる。
【0014】
波長変換光学系30は、非線形光学結晶や周期分極反転結晶などの波長変換光学素子を主体に構成され、波長変換器20から出射されたシード光Ls1を波長変換光学素子に入射させ、第2高調波発生(SHG)や和周波発生により高調波を発生させる。本実施形態の波長変換光学系30は、4つの波長変換光学素子31〜34と、2つのビームスプリッター35,38と、2つのミラー36,37とを有して構成される。
【0015】
波長変換器20から出射され、基本波として波長変換光学系30に入射したシード光Ls1は、第1のビームスプリッター35で2つの光に分岐する。第1のビームスプリッター35で反射した基本波(波長を1146[nm]にシフトさせたシード光Ls1)は、第1のミラー36で反射して第1の波長変換光学素子31に集光入射し、一部の光が2倍波(すなわち、波長が基本波の1/2である573[nm]のレーザ光)に変換される。なお、2倍波発生用の波長変換光学素子31として、例えばLBO結晶が用いられるが、PPLN結晶、PPLT結晶、PPKTP結晶等を用いることもできる。
【0016】
第1の波長変換光学素子31から発生した2倍波と、第1の波長変換光学素子31を透過した基本波は、第2の波長変換光学素子32に集光入射し、一部の光が臨界位相整合(CPM:Critical Phase Matching)による和周波発生により3倍波(すなわち、波長が基本波の1/3である382[nm]のレーザ光)に変換される。なお、3倍波発生用の波長変換光学素子32として、例えばBBO結晶が用いられるが、LBO結晶等を用いることもできる。
【0017】
第2の波長変換光学素子32から発生した3倍波と、第2の波長変換光学素子32を透過した2倍波は、第3の波長変換光学素子33に集光入射し、一部の光が臨界位相整合(CPM)による和周波発生により5倍波(すなわち、波長が基本波の1/5である229[nm]のレーザ光)に変換される。なお、5倍波発生用の波長変換光学素子33として、例えばBBO結晶が用いられる。
【0018】
第3の波長変換光学素子33から発生した5倍波と、第1のビームスプリッター35を透過して第2のミラー37で反射した基本波は、第2のビームスプリッター38で同軸に重ね合わされて第4の波長変換光学素子34に集光入射し、一部の光が和周波発生により6倍波(すなわち、波長が基本波の1/6である191[nm]のレーザ光)に変換される。これにより、ArFエキシマレーザの発振波長(193[nm])に近い191[nm]の波長を有する紫外光(深紫外光)Lvを得ることができる。なお、6倍波発生用の波長変換光学素子34として、例えばCLBO結晶が用いられる。
【0019】
ところで、第4の波長変換光学素子34は、非臨界位相整合(NCPM:Non-critical Phase Matching)による和周波発生により波長変換を行う。温度調整により光の位相整合(温度位相整合)を行う非臨界位相整合(NCPM)では、ウォークオフ角度(入射光軸に対する出射光軸のズレ角)が0度になるため、M2が1に近い、質の高いレーザ光(紫外光)を得ることができる。なお、M2は、レーザビーム伝播のファクタ(パラメータ)の一つであり、M2=1のとき、理論上のガウシアンレーザービームとなる。
【0020】
このように、本実施形態では、波長変換器20での誘導ラマン散乱(SRS)により波長をシフトさせたシード光Ls1を基本波とし、非臨界位相整合(NCPM)による和周波発生により波長変換を行う第4の波長変換光学素子34を有した波長変換光学系30を用いて波長変換を行うことで、当該シード光Ls1から紫外光(深紫外光)Lvを得ている。これにより、基本波の波長を任意に選べるため、紫外光を得るための(第4の)波長変換光学素子34を非臨界位相整合(NCPM)で使用することが容易になる。そのため、波長変換効率が高くて、質の高いレーザ光(紫外光)Lvを得ることができる。
【0021】
また、波長変換光学系30が基本波から6倍波を発生させるように構成されることで、ArFエキシマレーザの発振波長に近い紫外光(深紫外光)Lvを得ることができる。
【0022】
なお、上述の第1実施形態で示した波長変換光学系30は、一つの例であり、波長を1146[nm]にシフトさせた光を基本波とし、当該基本波と5倍波から波長変換光学素子(CLBO結晶)を用いて6倍波である紫外光(深紫外光)を発生させる構成であればよい。
【0023】
次に、レーザ装置の第2実施形態について、図2を参照しながら説明する。第2実施形態に係るレーザ装置51は、赤外〜可視域の波長を有するシード光(レーザ光)Lsを発生させるレーザ光発生部60と、誘導ラマン散乱を利用してシード光Lsの波長を所定波長に変換する波長変換器70と、波長変換器70により所定波長に変換されたシード光Ls1の波長を紫外域の波長に変換する波長変換光学系80とを備えて構成される。
【0024】
レーザ光発生部60は、第1実施形態のレーザ光発生部10と同様の構成であり、本実施形態では、波長λ=1118[nm]となる連続波(CW)のシード光Lsを発生させる。波長変換器70は、第1実施形態の波長変換器20と同様の構成であり、本実施形態では、誘導ラマン散乱(SRS)を利用して、レーザ光発生部60から発生したシード光Lsの波長を1118[nm]から1178[nm]にシフトさせる(変換する)。このようにして、波長変換器70により波長を1178[nm]にシフトさせたシード光Ls1を基本波として波長変換光学系80に入射させる。
【0025】
波長変換光学系80は、非線形光学結晶や周期分極反転結晶などの波長変換光学素子を主体に構成され、波長変換器70から出射されたシード光Ls1を波長変換光学素子に入射させ、第2高調波発生(SHG)や和周波発生により高調波を発生させる。本実施形態の波長変換光学系80は、4つの波長変換光学素子81〜84と、2つのビームスプリッター85,88と、2つのミラー86,87とを有して構成される。
【0026】
波長変換器70から出射され、基本波として波長変換光学系80に入射したシード光Ls1は、第1の波長変換光学素子81に集光入射し、一部の光が2倍波(すなわち、波長が基本波の1/2である589[nm]のレーザ光)に変換される。なお、2倍波発生用の波長変換光学素子81として、例えばLBO結晶が用いられるが、PPLN結晶、PPLT結晶、PPKTP結晶等を用いることもできる。
【0027】
第1の波長変換光学素子81から発生した2倍波と、第1の波長変換光学素子81を透過した基本波は、第2の波長変換光学素子82に集光入射し、一部の光が臨界位相整合(CPM)による和周波発生により3倍波(すなわち、波長が基本波の1/3である393[nm]のレーザ光)に変換される。なお、3倍波発生用の波長変換光学素子82として、例えばBBO結晶が用いられるが、LBO結晶等を用いることもできる。
【0028】
第2の波長変換光学素子82から発生した3倍波は、第1のビームスプリッター85で反射したのち、第1のミラー86および第2のビームスプリッター88で反射する。一方、第2の波長変換光学素子82を透過した基本波および2倍波は、第1のビームスプリッター35を透過したのち、第2のミラー87で反射して第2のビームスプリッター88を透過する。すなわち、第2の波長変換光学素子82から発生した3倍波と、第2の波長変換光学素子82を透過した基本波および2倍波は、第1のビームスプリッター85で分岐したのち、第2のビームスプリッター88で同軸に重ね合わされて第3の波長変換光学素子83に集光入射する。
【0029】
各ビームスプリッター85,88による光の分岐および再結合を行うのは、基本波および2倍波と、3倍波との間でビーム形状が異なるため、別々にビーム整形を行うためである。例えば、第1のミラー86と第2のビームスプリッター88との間の光路上にビーム整形素子として2枚のシリンドリカルレンズ(図示せず)を設けて、楕円形となった3倍波の断面形状を円形に整形することができる。また、第2のミラー87と第2のビームスプリッター88との間の光路上にシリンドリカルレンズ等のビーム整形素子(図示せず)を設けて、基本波および2倍波の断面形状を円形に整形するようにしてもよい。なお、第3の波長変換光学素子83に入射する全ての光が同じビーム形状であれば、第1のビームスプリッター85から第2のビームスプリッター88までの各素子を省略することができる。
【0030】
第3の波長変換光学素子83に入射した2倍波および3倍波の一部は、非臨界位相整合(NCPM)による和周波発生により5倍波(すなわち、波長が基本波の1/5である236[nm]のレーザ光)に変換される。なお、5倍波発生用の波長変換光学素子83として、例えばCLBO結晶が用いられる。
【0031】
第3の波長変換光学素子83から発生した5倍波と、第3の波長変換光学素子83を透過した基本波は、第4の波長変換光学素子84に集光入射し、一部の光が臨界位相整合(CPM)による和周波発生により6倍波(すなわち、波長が基本波の1/6である196[nm]のレーザ光)に変換される。これにより、ArFエキシマレーザの発振波長(193[nm])に近い196[nm]の波長を有する紫外光(深紫外光)Lvを得ることができる。なお、6倍波発生用の波長変換光学素子84として、例えばCLBO結晶が用いられる。
【0032】
本実施形態では、紫外光による素子の損傷をできるだけ回避するため、素子を介在させずに第3の波長変換光学素子83と第4の波長変換光学素子84とを直列に配置している。このとき、第3の波長変換光学素子83にウォークオフがあると、第4の波長変換光学素子84において基本波と6倍波の同軸が少しずれ、第4の波長変換光学素子84での波長変換効率が低下してしまう。これに対し、本実施形態に係る第3の波長変換光学素子83は、非臨界位相整合(NCPM)による和周波発生により波長変換を行うため、M2が1に近い、質の高いレーザ光(紫外光)を得ることができる。また、第3の波長変換光学素子83を透過する基本波も光軸がシフトすることはない。従って、第3の波長変換光学素子83での波長変換効率が高くなるだけでなく、臨界位相整合(CPM)による和周波発生により波長変換を行う第4の波長変換光学素子84での波長変換効率も高くすることができる。
【0033】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。さらには、より高い波長変換効率を得ることが可能である。
【0034】
なお、上述の第2実施形態で示した波長変換光学系80は、一つの例であり、波長を1178[nm]にシフトさせた光を基本波とし、その2倍波と3倍波から波長変換光学素子(CLBO結晶)を用いて5倍波(および6倍波)を発生させる構成であればよい。
【0035】
また、上述の各実施形態において、レーザ光発生部が連続波(CW)のシード光Lsを発生させているが、これに限られるものではなく、パルス光を発生させるようにしてもよい。そこで、レーザ光発生部の変形例について、図3を参照しながら説明する。図3に示すレーザ光発生部90は、パルス状のシード光Lpを発生させるレーザ光源91と、パルス状のシード光Lpを増幅する光増幅器92とを有して構成される。
【0036】
レーザ光源91は、狭帯域化された単一波長のシード光を発生させる。このようなレーザ光源91として、例えば、発振波長1.1[μm]帯のDFB半導体レーザが用いられ、ペルチェ素子等を利用した温度調整器により温度制御した状態で発振させることにより、レーザ光源91が波長λ=1086[nm](もしくは、1118[nm])となる単一波長のシード光を発生させる。DFB半導体レーザは、励起電流を波形制御することにより任意強度でCW発振またはパルス発振させることができ、図3の例では、例えば、繰り返し周波数が2[MHz]、パルス幅が1〜2[nsec]となるパルス状のシード光Lpを発生させる。
【0037】
光増幅器92は、レーザ光源91から発生したパルス状のシード光Lpを増幅して波長変換器20(もしくは、第2実施形態の波長変換器70)に入射させる。このような光増幅器92として、例えば、イットリビウム(Yb)・ドープ・ファイバー光増幅器(YDFA)が用いられる。そして、第1実施形態の場合、波長変換器20は、光増幅器92により増幅されたシード光Lpの波長を1086[nm]から1146[nm]にシフトさせる。また、第2実施形態の場合、波長変換器70は、光増幅器92により増幅されたシード光Lpの波長を1118[nm]から1178[nm]にシフトさせる。このようにして、波長変換器20(もしくは、第2実施形態の波長変換器70)により波長をシフトさせたパルス状のシード光Lp1を基本波として波長変換光学系30(もしくは、第2実施形態の波長変換光学系80)に入射させることができる。
【0038】
なお、レーザ光源91(DFB半導体レーザ)の後に電気光学変調器(EOM)等の光変調器(図示せず)を設け、レーザ光源91(DFB半導体レーザ)から発生したパルス状のシード光Lpの一部を時間的に切り出して、光増幅器92に入射させるようにしてもよい。このような光変調器(図示せず)は、図示省略する制御装置によりレーザ光源91(DFB半導体レーザ)と同期制御され、例えば、レーザ光源91(DFB半導体レーザ)から発生したパルス幅1〜2[nsec]のシード光から、パルス幅0.3[nsec]程度の光パルスが切り出して、切り出した光パルスによるシード光を光増幅器92に入射させる。
【0039】
また、より狭帯域化されたパルス状のシード光Lp1を得るため、図4に示すように、レーザ光源91および光増幅器92によるパルス状のシード光Lpに加えて、第2のレーザ光源93(DFB半導体レーザ)により、シフト後の(1次ストークス光の)波長λ´=1146[nm](もしくは、1178[nm])を有するパルス状のレーザ光Lp´を発生させて波長変換器20(もしくは、第2実施形態の波長変換光学系80)に入射させるようにしてもよい。このようにすれば、波長変換器20(もしくは、第2実施形態の波長変換光学系80)での誘導ラマン散乱(SRS)により、レーザ光源91および光増幅器92からのシード光Lpがポンプ光となって第2のレーザ光源93からのレーザ光Lp´が増幅されるため、より狭帯域化された波長(1146[nm]もしくは1178[nm])を有するパルス状のシード光Lp1を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 レーザ装置(第1実施形態)
10 レーザ光発生部 20 波長変換器
30 波長変換光学系
31 第1の波長変換光学素子 32 第2の波長変換光学素子
33 第3の波長変換光学素子 34 第4の波長変換光学素子
51 レーザ装置(第2実施形態)
60 レーザ光発生部 70 波長変換器
80 波長変換光学系
81 第1の波長変換光学素子 82 第2の波長変換光学素子
83 第3の波長変換光学素子 84 第4の波長変換光学素子
90 レーザ光発生部(変形例)
91 レーザ光源(第1の光源部) 92 光増幅器
93 第2のレーザ光源(第2の光源部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生させるレーザ光発生部と、
誘導ラマン散乱を利用して前記レーザ光の波長を所定波長に変換する波長変換器と、
前記波長変換器により前記所定波長に変換された前記レーザ光の波長を紫外域の波長に変換する波長変換光学系とを備え、
前記波長変換光学系が非臨界位相整合による和周波発生により波長変換を行う波長変換光学素子を有して構成されることを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
前記レーザ光発生部は、
前記レーザ光を発生させる第1の光源部と、
前記第1の光源部から発生した前記レーザ光を増幅して前記波長変換器に入射させる光増幅器と、
前記所定波長を有するレーザ光を発生させて前記波長変換器に入射させる第2の光源部とを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記波長変換光学系は、
前記所定波長を有するレーザ光が入射して、前記所定波長の1/2倍の波長を有するレーザ光を発生させる第1の波長変換光学素子と、
前記所定波長を有するレーザ光および前記1/2倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/3倍の波長を有するレーザ光を発生させる第2の波長変換光学素子と、
前記1/2倍の波長を有するレーザ光および前記1/3倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/5倍の波長を有するレーザ光を発生させる第3の波長変換光学素子と、
前記所定波長を有するレーザ光および前記1/5倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/6倍の波長である前記紫外域の波長を有するレーザ光を発生させる第4の波長変換光学素子とを有し、
前記第4の波長変換光学素子が前記非臨界位相整合により波長変換を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記波長変換光学系は、
前記所定波長を有するレーザ光が入射して、前記所定波長の1/2倍の波長を有するレーザ光を発生させる第1の波長変換光学素子と、
前記所定波長を有するレーザ光および前記1/2倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/3倍の波長を有するレーザ光を発生させる第2の波長変換光学素子と、
前記1/2倍の波長を有するレーザ光および前記1/3倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/5倍の波長を有するレーザ光を発生させる第3の波長変換光学素子と、
前記所定波長を有するレーザ光および前記1/5倍の波長を有するレーザ光が入射して、和周波発生により前記所定波長の1/6倍の波長である前記紫外域の波長を有するレーザ光を発生させる第4の波長変換光学素子とを有し、
前記第2の波長変換光学素子と前記第3の波長変換光学素子との間の光路上に前記1/2倍または前記1/3倍の波長を有するレーザ光の整形を行うビーム整形素子が設けられるとともに、前記第3の波長変換光学素子が前記非臨界位相整合により波長変換を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−128330(P2011−128330A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285993(P2009−285993)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】