説明

レーダのタイミング調整方法およびタイミング自動調整機能を有するレーダ装置

【課題】 増幅器のオン/オフのタイミングおよびアンテナ選択のタイミングを精密に調整する。
【解決手段】 増幅器のオン/オフの調整の際には、送信信号の変調を停止し、スイッチ12にいずれのアンテナも選択させないことにより送信信号を全反射させて、ミキサ32の出力レベルの平均値が最小となるようにタイミングを制御する。アンテナ選択のタイミングの調整の際には、送信信号の変調を停止し、アンテナ10の近傍に反射物を置いたときに、ミキサ32の出力レベルの平均値が最大となるように選択のタイミングを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ、特に送受共用器が用いられたFM−CWレーダにおける増幅器のオン/オフ制御およびアンテナ切換制御のタイミングの調整方法およびタイミング自動調整機能を有するレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FM−CWレーダは、三角波でFM変調された送信波を前方へ放射し、ターゲットによる反射波に送信信号の一部をミキサで混合してビート信号を生成し、三角波の上昇区間および下降区間それぞれにおけるビート信号の周波数からターゲットとの距離および相対速度を同時に算出するものであり、車載用レーダとして実用化されている。
【0003】
特開2002−122661号公報には、送受共用器を用いて1本のアンテナを送受共用としたFM−CWレーダが記載されており、送受共用器において送信波が受信側に漏洩して受信波を妨害することを防止するため、送信側増幅器のバイアス電圧と受信側増幅器のバイアス電圧を交互にオン/オフすることが開示されている。
【0004】
この場合において、送信側増幅器のオン期間の後縁から受信側増幅器のオン期間の前縁が、例えば3.3nsec以上離れると1m以内に存在するターゲットからの反射波をとらえることができなくなる。逆に、送信側増幅器のオン期間の後縁に受信側増幅器のオン期間の前縁が重なると前述した漏洩が発生するので、これら増幅器の相対的なタイミングを精密に調整する必要がある。
【0005】
また、特開平11−160423号公報には、複数の受信アンテナを順次切り換え、同一ターゲットからの反射波の受信位相差からターゲットの方向を決定するDBF(Digital Beam Forming)方式のFM−CWレーダが開示されている。特開2000−155171号公報には、DBF方式において複数の送信アンテナを用いることにより、実際に用いられているよりも多くの受信アンテナを用いた時と等価の結果を得ることが開示されている。さらに、本願の出願時には出願公開されていないが、特願2003−164122号には、DBF方式において複数のアンテナを送信用にも受信用にも使用することで、一層小型化かつ軽量化することが開示されている。
【0006】
そこで、図1に示すような、複数のアンテナ10の1つを送信用または受信用として選択するスイッチ12と送受共用器14を用いた構成を想定する。この構成において、送信側増幅器16と受信側増幅器18のオン/オフのタイミングを、図2(a)(b)欄に示すように、何らかの手段で精密に調整できたとしても、スイッチ12において送信アンテナおよび受信アンテナを選択するタイミング((c)(d)(e)欄)を送信増幅器と受信増幅器のオン/オフのタイミングと一致させる必要がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−122661号公報
【特許文献2】特開平11−160423号公報
【特許文献3】特開2000−155171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の第1の目的は、送受共用器が使用され送信側増幅器と受信側増幅器が交互にオン/オフされるレーダにおけるオン/オフのタイミングを精密に調整する方法およびタイミングの自動調整機能を有するレーダ装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、送受共用器およびアンテナ切換スイッチが用いられたレーダにおいて、増幅器のオン/オフとアンテナ切換スイッチにおけるアンテナ選択のタイミングを精密に調整する方法およびタイミングの自動調整機能を有するレーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、送信信号を増幅する送信増幅器と、受信信号を増幅する受信増幅器と、該送信増幅器の出力側、該受信増幅器の入力側およびアンテナに接続され、該アンテナを送受共用とするための送受共用器と、送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサとを具備するレーダにおける該送信増幅器および該受信増幅器を交互にオン/オフするタイミングを調整する方法であって、送信信号の変調を停止し、前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成し、変調の停止の後において、該時間平均が最小となるように前記送信増幅器および前記受信増幅器のオン/オフの相対的なタイミングを調整するステップを具備するレーダのタイミング調整方法が提供される。
【0011】
送信信号の変調を停止したとき、送信増幅器と受信増幅器が共にオンになっている期間では、ミキサからはキャリアのみとなっている送信波と受信波の位相差に相当する直流レベルが出力され、一方がオフとなっている期間ではゼロレベルとなる。したがって、これの時間平均が最小となるようにタイミングを調整することで増幅器のオン/オフのタイミングを精密に調整することができる。
【0012】
1対Nスイッチにいずれのアンテナも選択させないことにより送信信号を受信側に全反射させるかまたはアンテナの直近に反射物を置くことで、送受共用器における漏洩信号に頼ることなく、より精度良く調整することができる。
【0013】
本発明によれば、送信信号を増幅する送信増幅器と、受信信号を増幅する受信増幅器と、該送信増幅器の出力側と該受信増幅器の入力側とに接続された送受共用器と、N本のアンテナと、該送受共用器と該N本のアンテナの間に設けられて該N本のアンテナのいずれか1つを選択して該送受共用器に接続する1対Nスイッチと、送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサとを具備するレーダにおける該送信増幅器のオン/オフと該1対Nスイッチにおけるアンテナ選択のタイミングを調整する方法であって、送信信号の変調を停止し、前記受信増幅器を常時オンとし、前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成し、変調停止および受信増幅器の常時オンの後において、該時間平均が最大となるように前記送信増幅器のオン/オフに対する前記1対Nスイッチにおけるアンテナ選択の相対的なタイミングを調整するステップと具備するレーダのタイミング調整方法もまた提供される。
【0014】
送信信号の変調を停止し受信増幅器を常時オンとしたとき、送信増幅器がオンでありかついずれかのアンテナが選択されている期間では、ミキサからはキャリアのみとなっている送信波とターゲットからの反射波の位相差に相当する直流レベルが出力され、それ以外の期間ではゼロレベルとなる。したがって、これの時間平均が最大となるようにタイミングを調整すれば、送信増幅器のオンの期間とアンテナが選択されている期間を精密に一致させることができる。
【0015】
アンテナの直近に反射物を置くことで、送信共用器の漏洩信号に影響されることなく、より精度良く調整することができる。
【0016】
本発明によれば、送信信号を増幅する送信増幅器と、該送信増幅器と交互にオン/オフされ、受信信号を増幅する受信増幅器と、該送信増幅器の出力側、該受信増幅器の入力側およびアンテナに接続され、該アンテナを送受共用とするための送受共用器と、送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサと、送信信号の変調を停止する手段と、前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成する手段と、送信信号の変調の停止後において、該時間平均が最小となるように前記送信増幅器および前記受信増幅器のオン/オフの相対的なタイミングを調整する手段とを具備するタイミング自動調整機能を有するレーダ装置もまた提供される。
【0017】
本発明によれば、送信信号を増幅する送信増幅器と、受信信号を増幅する受信増幅器と、該送信増幅器の出力側と該受信増幅器の入力側とに接続された送受共用器と、N本のアンテナと、該送受共用器と該N本のアンテナの間に設けられて該N本のアンテナのいずれか1つを選択して該送受共用器に接続する1対Nスイッチと、送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサと、送信信号の変調を停止する手段と、前記受信増幅器を常時オンとする手段と、前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成する手段と、前記変調の停止および前記受信増幅器の常時オンの後において、該時間平均が最大となるように前記送信増幅器のオン/オフに対する前記1対Nスイッチにおけるアンテナ選択の相対的なタイミングを調整する手段と具備するタイミング自動調整機能を有するレーダ装置もまた提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図3は、本発明が適用される、送受共用器とアンテナ切換スイッチが用いられたDBF(Digital Beam Forming)方式のFM−CWレーダの構成の一例を示す。
【0019】
図3において、信号処理部20からD/A変換器22を介して三角波の信号が電圧制御発振器(VCO)24へ周波数制御電圧として与えられる。VCO24から出力された、三角波でFM変調された送信信号は、ハイブリッド26を経て逓倍器28でミリ波帯に逓倍され、送信増幅器16で増幅されて、送受共用器としてのハイブリッド14を経て、スイッチ12により選択されたアンテナ10の1つから送出される。
【0020】
ターゲット30からの反射波はアンテナ10において受信され、スイッチ12により選択されたアンテナ10の1つにより受信された受信信号はハイブリッド14を経て受信増幅器18で増幅されてミキサ32の一方の入力へ供給される。ミキサ32の他方の入力へはハイブリッド26で分岐され逓倍器34で逓倍された送信信号の一部が供給され、受信信号との間でビート信号が形成される。
【0021】
ミキサ32から出力されるビート信号はデバイダ34を経て増幅器36で増幅され低域通過フィルタ38を経てA/D変換器40でディジタル信号に変換されて信号処理部20へ入力される。信号処理部20では、ビート信号に対してFFT(高速フーリエ変換)演算が行なわれ、同一ターゲットについての三角波の上昇圧間および下降圧間における周波数からそのターゲットとの距離および相対速度が算出される。また、同一ターゲットからの各アンテナで受信される信号の位相差からターゲットが存在する方向が決定される。
【0022】
増幅器16,18のバイアス電圧はドライバ42,44によりオン/オフすることが可能であり、ドライバ42,44は信号処理部20から移相器46,48を経て与えられる制御信号により制御される。移相器46,48における移相量は信号処理部20からD/A変換器50,52を介して与えられるアナログ信号に従って増減される。同様に、スイッチ12におけるアンテナの選択はドライバ54によって制御され、ドライバ54は信号処理部20から移相器56を経て与えられる制御信号で制御され、移相器56における移相量は信号処理部20からD/A変換器58を介して与えられるアナログ信号に従って増減される。
【0023】
本発明においては、信号処理部20からD/A変換器22を介してVCO24に与えられる三角波を停止することによって送信波を無変調とし、このときミキサから出力される、送信波と受信波の位相差に相当する直流電圧レベルを測定することによって増幅器16,18のオン/オフのタイミングおよびスイッチ12におけるアンテナ選択のタイミングを調整する。デバイダ34から増幅器60、低域通過フィルタ62およびA/D変換器64を経て信号処理部20に至る信号ラインは、このときの直流電圧レベルの測定のために設けられている。
【0024】
図4は、増幅器16,18のオン/オフのタイミングの自動調整の際に、信号処理部20において行なわれる処理のフローチャートである。増幅器16,18のオン/オフタイミングの調整のためには、まず、D/A変換器22へ与えるディジタル値の変化を停止することにより送信波を無変調とし(ステップ1000)、スイッチ12にいずれのアンテナも選択させないことにより、スイッチ12のハイブリッド14側の入力を全反射とする(ステップ1002)。このとき、ミキサ32の出力は図5の(c)欄に示すように、送信側のAMP16((a)欄)と受信側のAMP18((b)欄)のいずれかがオフとなっている間はミキサに受信波が入力されないのでゼロレベルとなり、双方がオンになっている間は送信波と受信波の位相差に応じた電圧が出される。低域通過フィルタ62からはこれを積分して時間平均としたものが出力されるので((d)欄)、これが最小となるように増幅器のオン/オフのタイミングを調整すれば良い。そこで、ステップ1004において、デフォルト値を中心としてタイミングを変えて数点についてレベルを測定し(ステップ1004)、最小のレベルを与えるタイミングを選択する(ステップ1006)。
【0025】
この自動調整は、製品間の製造バラツキを吸収するため、製品の出荷前に行う必要があるが、使用中の素子の経年変化に対処するため、レーダを搭載している車が停止中に定期的に実行するようにしてもよい。また、温度変化に対処するため、レーダ装置内に装置の温度を測定するサーミスタ、熱電対等の温度測定手段を設け、複数の温度においてタイミング調整値を得ることにより得られた温度特性をテーブルの形で格納し、この温度特性を用いて、運用中の装置の温度に応じてタイミング調整値を自動的に修正するようにしても良い。さらに、温度特性の経年変化に対処するため、車が停止中に得られた温度の値とタイミング調整値との関係を用いて温度特性を補正するようにしても良い。
【0026】
図6は、増幅器16,18のオン/オフのタイミングの自動調整の終了後において、増幅器16のオンの期間とスイッチ12がいずれかのアンテナを選択する期間を一致させるために、信号処理部20において行なわれる処理のフローチャートである。増幅器16,18のオン/オフタイミングの調整のときと同様に、まず、D/A変換器22へ与えるディジタル値の変化を停止することにより送信波を無変調とし(ステップ1100)、例えば開閉可能に設けられた蓋を閉じることにより、アンテナの直近に反射物を置く(ステップ1102)。このとき、ミキサ32の出力は図7の(c)欄に示すように、送信側のAMP16((a)欄)がオンでかつスイッチ12がいずれかのアンテナを選択している((b)欄)間は送信波と受信波の位相差に応じた電圧が出され、それ以外はゼロレベルとなる((c)欄)。低域通過フィルタ62からはこれを積分して時間平均としたものが出力されるので((d)欄)、これが最大となるようにスイッチ12の選択のタイミングを調整すれば良い。そこで、ステップ1004において、デフォルト値を中心とする数点についてタイミングを変えてレベルを測定し(ステップ1104)、最大のレベルを与えるタイミングを選択する(ステップ1106)。
【0027】
この自動調整もまた、製品間の製造バラツキを吸収するため、製品の出荷前に行う必要があるが、使用中の素子の経年変化に対処するため、レーダを搭載している車が停止中に定期的に実行するようにしてもよい。また、温度変化に対処するため、レーダ装置内に装置の温度を測定するサーミスタ、熱電対等の温度測定手段を設け、複数の温度においてタイミング調整値を得ることにより得られた温度特性をテーブルの形で格納し、この温度特性を用いて、運用中の装置の温度に応じてタイミング調整値を自動的に修正するようにしても良い。さらに、車が停止中に得られた温度の値とタイミング調整値との関係を用いて温度特性を補正するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明が対象とするレーダの構成を説明するための図である。
【図2】図1のレーダの動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明が適用されるレーダ装置の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例としてのタイミング調整処理のフローチャートである。
【図5】図3の各部のタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例としてのタイミング調整処理のフローチャートである。
【図7】図5の各部のタイミングチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を増幅する送信増幅器と、受信信号を増幅する受信増幅器と、該送信増幅器の出力側、該受信増幅器の入力側およびアンテナに接続され、該アンテナを送受共用とするための送受共用器と、送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサとを具備するレーダにおける該送信増幅器および該受信増幅器を交互にオン/オフするタイミングを調整する方法であって、
(a)送信信号の変調を停止し、
(b)前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成し、
(c)ステップ(a)の後において、該時間平均が最小となるように前記送信増幅器および前記受信増幅器のオン/オフの相対的なタイミングを調整するステップを具備するレーダのタイミング調整方法。
【請求項2】
前記アンテナはN本のアンテナであり、前記レーダは前記送受共用器を該N本のアンテナのいずれかに選択的に接続する1対Nスイッチをさらに具備し、
(d)ステップ(c)の前において、該1対Nスイッチにいずれのアンテナも選択させないことにより送信信号を受信側に全反射させるステップをさらに具備する請求項1記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項3】
前記レーダは、前記ミキサの出力をレーダとしての運用における信号処理用の第1の分岐と前記電圧レベル検出用の第2の分岐とに分岐させるデバイダと、該第2の分岐内に設けられて前記ミキサが出力する電圧レベルを積分して前記時間平均を生成するための低域通過フィルタとをさらに具備する請求項1または2記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項4】
前記レーダは車載用レーダであり、レーダを搭載する車が停止中にステップ(c)が自動的に実行される請求項1−3のいずれか1項記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項5】
前記レーダは、温度を測定する温度測定手段をさらに具備し、
(e)異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶し、
(f)該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整するステップをさらに具備する請求項1−4のいずれか1項記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項6】
前記レーダは車載用レーダであり、レーダを搭載する車が停止中にステップ(c)が自動実行され、前記レーダは温度を測定する温度測定手段をさらに具備し、
(e)異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶し、
(f)該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整し、
(g)ステップ(c)の前記自動実行により得られたタイミング調整値により、該タイミング調整値と温度との関係を補正するステップをさらに具備する請求項1−3のいずれか1項記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項7】
送信信号を増幅する送信増幅器と、受信信号を増幅する受信増幅器と、該送信増幅器の出力側と該受信増幅器の入力側とに接続された送受共用器と、N本のアンテナと、該送受共用器と該N本のアンテナの間に設けられて該N本のアンテナのいずれか1つを選択して該送受共用器に接続する1対Nスイッチと、送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサとを具備するレーダにおける該送信増幅器のオン/オフと該1対Nスイッチにおけるアンテナ選択のタイミングを調整する方法であって、
(a)送信信号の変調を停止し、
(b)前記受信増幅器を常時オンとし、
(c)前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成し、
(d)ステップ(a)(b)の後において、該時間平均が最大となるように前記送信増幅器のオン/オフに対する前記1対Nスイッチにおけるアンテナ選択の相対的なタイミングを調整するステップと具備するレーダのタイミング調整方法。
【請求項8】
(e)ステップ(d)の前において、前記N本のアンテナの少くとも1つのアンテナの直近に該アンテナの送信波を反射させる反射物を置くステップをさらに具備する請求項7記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項9】
前記レーダは、前記ミキサの出力をレーダとしての運用における信号処理用の第1の分岐と前記電圧レベル検出用の第2の分岐とに分岐させるデバイダと、該第2の分岐内に設けられて前記ミキサが出力する電圧レベルを積分して前記時間平均を生成するための低域通過フィルタとをさらに具備する請求項7または8記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項10】
前記レーダは車載用レーダであり、レーダを搭載する車が停止中にステップ(d)が自動的に実行される請求項7−9のいずれか1項記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項11】
前記レーダは、温度を測定する温度測定手段をさらに具備し、
(e)異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶し、
(f)該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整するステップをさらに具備する請求項7−10のいずれか1項記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項12】
前記レーダは車載用レーダであり、レーダを搭載する車が停止中にステップ(d)が自動実行され、前記レーダは温度を測定する温度測定手段をさらに具備し、
(f)異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶し、
(g)該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整し、
(h)ステップ(d)の前記自動実行により得られたタイミング調整値により、該タイミング調整値と温度との関係を補正するステップをさらに具備する請求項7−9のいずれか1項記載のレーダのタイミング調整方法。
【請求項13】
送信信号を増幅する送信増幅器と、
該送信増幅器と交互にオン/オフされ、受信信号を増幅する受信増幅器と、
該送信増幅器の出力側、該受信増幅器の入力側およびアンテナに接続され、該アンテナを送受共用とするための送受共用器と、
送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサと、
送信信号の変調を停止する手段と、
前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成する手段と、
送信信号の変調の停止後において、該時間平均が最小となるように前記送信増幅器および前記受信増幅器のオン/オフの相対的なタイミングを調整する手段とを具備するタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項14】
前記アンテナはN本のアンテナであり、
前記送受共用器を該N本のアンテナのいずれかに選択的に接続する1対Nスイッチと、
前記タイミング調整手段によるタイミングの調整の前において、該1対Nスイッチにいずれのアンテナも選択させないことにより送信信号を受信側に全反射させる手段とをさらに具備する請求項13記載のタイミング自動調整機能を備えたレーダ。
【請求項15】
前記ミキサの出力をレーダとしての運用における信号処理用の第1の分岐と前記電圧レベル検出用の第2の分岐とに分岐させるデバイダをさらに具備し、
前記時間平均生成手段は、該第2の分岐内に設けられて前記ミキサが出力する電圧レベルを積分して前記時間平均を生成する低域通過フィルタを含む請求項13または14記載のタイミング自動調整機能を備えたレーダ装置。
【請求項16】
車載用レーダ装置であり、レーダ装置を搭載する車が停止中に前記タイミング調整手段によるタイミングの調整が自動的に実行される請求項13−15のいずれか1項記載のタイミング自動調整機能を備えたレーダ装置。
【請求項17】
温度を測定する温度測定手段と、
異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶する手段と、
該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整する手段とをさらに具備する請求項13−16のいずれか1項記載のタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項18】
車載用レーダ装置であり、レーダ装置を搭載する車が停止中に前記タイミング調整手段によるタイミングの調整が自動実行され、
温度を測定する温度測定手段と、
異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶する手段と、
該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整する手段と、
前記タイミング調整手段の自動実行により得られたタイミング調整値により、該タイミング調整値と温度との関係を補正する手段とをさらに具備する請求項13−15のいずれか1項記載のタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項19】
送信信号を増幅する送信増幅器と、
受信信号を増幅する受信増幅器と、
該送信増幅器の出力側と該受信増幅器の入力側とに接続された送受共用器と、
N本のアンテナと、
該送受共用器と該N本のアンテナの間に設けられて該N本のアンテナのいずれか1つを選択して該送受共用器に接続する1対Nスイッチと、
送信信号の一部と受信信号とを混合するミキサと、
送信信号の変調を停止する手段と、
前記受信増幅器を常時オンとする手段と、
前記ミキサから出力される電圧レベルの時間平均を生成する手段と、
前記変調の停止および前記受信増幅器の常時オンの後において、該時間平均が最大となるように前記送信増幅器のオン/オフに対する前記1対Nスイッチにおけるアンテナ選択の相対的なタイミングを調整する手段と具備するタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項20】
前記タイミング調整手段によるタイミングの調整の前において、前記N本のアンテナの少くとも1つのアンテナの直近に置かれて該アンテナの送信を反射させる反射物をさらに具備する請求項19記載のタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項21】
前記ミキサの出力をレーダとしての運用における信号処理用の第1の分岐と前記電圧レベル検出用の第2の分岐とに分岐させるデバイダをさらに具備し、
前記時間平均生成手段は、該第2の分岐内に設けられて前記ミキサが出力する電圧レベルを積分して前記時間平均を生成する低域通過フィルタを含む請求項19または20記載のタイミング自動調整機能を備えたレーダ装置。
【請求項22】
車載用レーダ装置であり、レーダ装置を搭載する車が停止中に前記タイミング調整手段によるタイミングの調整が自動的に実行される請求項19−21いずれか1項記載のタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項23】
温度を測定する温度測定手段と、
異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶する手段と、
該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整する手段とをさらに具備する請求項19−22のいずれか1項記載のタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。
【請求項24】
車載用レーダ装置であり、レーダ装置を搭載する車が停止中に前記タイミング調整手段によるタイミングの調整が自動実行され、
温度を測定する温度測定手段と、
異なる温度において得られた複数の前記タイミングの調整値と温度との関係を予め記憶する手段と、
該タイミング調整値と温度との関係および前記温度測定手段が測定した温度とに基いてタイミングを自動調整する手段と、
前記タイミング調整手段の自動実行により得られたタイミング調整値により、該タイミング調整値と温度との関係を補正する手段とをさらに具備する請求項19−21のいずれか1項記載のタイミング自動調整機能を有するレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−10329(P2006−10329A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183628(P2004−183628)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】