説明

レーダの設置情報の確認画面と調整画面の表示方法

【課題】
道路付近に設置したレーダの設置位置や設置方向の確認や調整を容易に行う。
【解決手段】
レーダの傍らにカメラを設置してレーダとカメラの相対位置と相対方向を冶具により所定値に保持しておき、カメラの画像中の所定物標を空間の座標系により点もしくは直線で定義し、所定の幾何式で計算した上記点あるいは直線の投影をカメラの画像上に描画したオーバレイ画面を合成して表示する。
オーバレイ画面中においての物標と描画物が一致していない場合、物標と描画物との表示位置が一致するように処理装置内のデータを調整するユーザインタフェース画面を表示して処理装置内のデータを調整することで、道路中と処理端末内のレーダの設置位置や設置方向が一致するよう画面上で調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に設置したレーダの検知情報を入力とした情報処理により、通過車両の台数計測や事故車両の検出などを行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、深刻の度合いを一層増す交通渋滞の解消や年間一万人近い交通事故の死亡者の削減といった社会的要請の背景をうけて、情報通信技術を用いて道路インフラと車両とを一体のシステムとして構築する高度道路交通システム (ITS:Intelligent Transport
Systems)の積極的な推進が図られている。この高度道路交通システムの一つとして、道路に向けて電波を照射するレーダと処理装置を道路付近に設置し、レーダの検知情報を入力とした処理装置の情報処理によって、車両の通過台数や通過速度を計測して信号機の切替えタイミングに活用する技術が特開平11−86183号公報に示されている。また、道路に向けて電波を照射するレーダと処理装置と表示板を道路付近に設置し、レーダの検知情報を入力とした処理装置の情報処理によって、検知対象の道路上の位置と速度から判定して本線上の停止車が存在する場合には表示板に警報を出力してドライバの注意を喚起する技術が特開2000−67368号公報に示されている。
【0003】
上記の従来技術では、道路における実際のレーダの設置位置や設置方向と、処理装置内のレーダの設置位置や設置方向の値が一致していることを前提として処理が行われている。従って、装置設置時の人為ミスや経年時の変化により両者が一致しない場合には、道路における車両の実際の位置と、処理装置が計算した車両の道路上の位置が一致せず、特開平11−86183号公報の技術では対象車線の隣接車線の通過台数や通過速度を誤って計測する可能性や、特開2000−67368号公報の技術では路肩の停止車両を誤って本線上の車両と判定して不必要な警報を表示板に出力する可能性がある。
【0004】
このため、管理者はレーダの設置位置や設置方向を確認することが必要になるが、設置するレーダの数が多くなると、個々のレーダの設置位置や設置方向を計測装置により直接的に計測するには多くの時間と作業を要する。また、レーダの設置位置や設置方向が一致しない場合に、レーダの設置個所に移動して取付けを調整することにも多くの時間と作業を要する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−86183号公報
【特許文献2】特開2000−67368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、処理装置内のレーダの設置位置や設置方向の値と道路に設置したレーダの設置位置や設置方向を簡易に比較して確認できない点にある。また、道路に設置したレーダの設置位置や設置方向がずれていた場合に、レーダの設置位置や設置方向の調整結果を容易に確認出来ず、簡易に調整できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、レーダの傍らにカメラを設置してレーダとカメラを冶具により一体にし、レーダとカメラの相対位置と相対方向を互いの位置関係を所定値に固定しておく。このカメラで撮影される画像中の所定の物標を空間の座標系により点もしくは直線で定義し、所定の幾何式で計算した上記の点あるいは直線の投影をカメラの画像上に描画したオーバレイ画面を表示することと、処理装置内のデータを調整するユーザインタフェース画面を表示することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のオーバレイ画面を表示することによって、管理者が上記オーバレイ画面において上記の物標と上記の描画物が一致していることを確認することにより、道路中と処理装置内のレーダの設置位置と設置方向が一致していることを確認できるという利点がある。
【0009】
また、オーバレイ画面中において上記の物標と上記の描画物が一致していない場合に、管理者がユーザインタフェース画面を用いて上記の物標と描画物が一致するように上記の処理装置内のデータを調整することによって、道路中と処理装置内のレーダの設置位置や設置方向が一致するように調整できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
レーダの設置情報の確認や調整を管理者が容易に行えるという目的を、カメラの画像上に線やマークを描画したオーバレイ画面を表示することと、線やマークを描画する位置を調整するインタフェース画面を表示することで実現した。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1の機器構成を示す図である。レーダ1とカメラ2は冶具7で固定されており、レーダ1とカメラ2とは所定の相対位置と相対方向で保持されている。処理装置3は、道路付近に設置されており、レーダ1,カメラ2,処理装置5と接続されて信号の送受信が可能になっている。処理装置5は、処理装置3,入力装置4,表示装置6と接続されて信号の送受信が可能になっている。この入力装置4,処理装置5,表示装置6は管理センタに設置されており、表示装置6は管理者への表示を行う。また入力装置4は、キーボードやマウス,トラックボールなどであり、管理者の入力を受け付ける。処理装置3と処理装置5との間の信号は伝送路24で中継される。この伝送路24は、有線伝送路,無線伝送路,有線伝送路と無線伝送路の組合せのいずれであってもよい。
【0012】
レーダ1は座標系21で定義された所定の位置と所定の方向に設置されているものとする。座標系21は道路に対して設定された空間の座標系であり、空間中の位置(X,Y,Z),空間中の原点0,回転(P,T,R)で定義される。調整の際に扱う回転軸については操作の順番を定める必用があるが、P→T→Rのように一つ順番を定めておく。回転角(P,T,R)は所定の基準方向からの回転として空間中の物標の方向を定義する。レーダ1は設置位置と設置方向に応じて定まる検知領域22に向けて電波を照射して、検知領域22内の車両や歩行者といった検知対象や標識等の構造物からの反射波を受信する。この受信波を入力とした内部の信号処理装置の情報処理によって検知対象の存在を検知し、検知対象の距離,速度,方位角を算出して外部に出力する。カメラ2は、レーダ1の設置位置と設置方向と、冶具7によって保持されるレーダ1とカメラ2の相対位置と相対方向で定まる位置と方向に設置されている。カメラ2は、この設置位置と設置方向とカメラ2の画角よって定まる道路上の撮影領域23内の可視画像を撮影する。
【0013】
図2は、本発明の実施形態1におけるシステムの機能の構成を示す図である。図2において、カメラ保持部12,描画部15,座標計算部14の機能は処理装置3が行い、データ保持部13,入力受付部16,表示部17は処理装置5が行う。カメラ保持部12では、カメラ2からの道路上の画像を受信して、デジタル画像データなどの情報処理可能な形式で保持する。データ保持部13は、レーダ1が設置されている地点の位置情報とレーダ1と対になっているカメラの情報とそのカメラの設置データを組にして保持する。図4
(a)にデータ保持部13が保持するデータを示す。データ保持部13は、座標保持部
13が複数地点のデータを保持する場合でも、管理者は地点を特定することで所定地点のデータを特定することができる。また、データ保持部13は、入力受付部16からの信号に応じて、保持するデータを更新する機能を持つ。
【0014】
座標計算部14は幾何演算の機能を有し、透視変換等のカメラの光学系を近似した一般的な幾何式を用い、座標系21で定義した空間中の点の座標位置を入力として、この点をカメラの画像で定義された座標系25に投影した点の位置を計算する機能を持つ。この座標系25はカメラの画像上に定義された座標系であり、カメラ画像の左上端を原点として定義する。また、座標計算部14は上記と同じ幾何式を用いて、座標系21の空間上で定義した直線のパラメータを入力として、この直線をカメラの画像上に投影した直線の座標系25におけるパラメータを計算する。
【0015】
描画部15は、表示装置6に図3に示す表示を行う。なお図3において、座標系25はカメラの画像に定義された座標系を示したものであり実際には画面上には描画されない。図3の表示例のように、カメラ保持部12が保持するカメラの画像上に、このカメラの撮像範囲に存在する道路の白線に対して座標系21上で定義された直線を画像上の座標系
25に投影した直線51,52を重ねて描画したオーバレイ画面31と、座標系25に投影され直線51,52に関する記述41をあわせた画面が、描画部15で作成される。
【0016】
図4(b)は、カメラ画像に重ねて描画する直線のデータ構造を示したものであり、データ保持部13がカメラと対応させて保持する。座標系21で直線を定義する道路中の物標としては、白線のほか区画線,道路標示,防護柵,縁石・地覆などを利用できる。図3の例ではオーバレイ画面31上の直線の数は2本であるが、データ保持部13がこのカメラに対して保持する図形データの行数をNとすると、描画部15は直線をN本だけ描画する。
【0017】
図3に示すオーバレイ画面31のカメラ画像中には、2台の車両と3本の白線が存在している。図4(b)の例は、オーバレイ画面31中の中央と左側の白線を座標系21の直線で定義したデータの例である。図3において直線51は、オーバレイ画面31中の中央の白線に対して定義された座標系21の直線を画面上へ投影した直線である。データ保持部13が保持するカメラの設置位置と設置方向と画角、ならびにデータ保持部13が保持する直線のパラメータ(図4の例では1行目のデータ)Y=10X−5,Z=0を入力データとして、座標計算部14が計算した画面上のy切片と傾きを用いて描画される。また、直線D2aの付近には、目印として重ねて描画する対象を区別するためのラベル“(A)”を描画する。同様にして直線52は、オーバレイ画面31中の左側の白線に定義した座標系21の直線を画面上へ投影した直線であり、データ保持部13が保持するカメラの設置位置と設置方向と画角、ならびにデータ保持部13が保持する直線のパラメータ(図4の例では2行目のデータ)Y=10X−35,Z=0を入力データとして、座標計算部14が計算した画面上のy切片と傾きを用いて描画される。そして直線52の付近には、目印として図4(b)における2行目のラベル“(B)”を描画する。直線51,51と白線の対応関係が明確な場合、記述41や直線51,52付近のラベル“(A)”や“(B)”の表示を省略してもよい。
【0018】
図4(b)に示したカメラ画像に重ねて描画する図形(この場合、道路の白線に対応した直線)のデータは、レーダ設置時に計測して取得しておく。あるいは、地図データベースに蓄積された道路の幅に関するデータと白線の幅の値から作成しておいてもよい。カメラ画像に重ねて描画する直線の本数を増やすほど、道路中の対象物との一致の基準が増えて、データ保持部13内の設置位置と設置方向と画角を正確に確認できる一方で、カメラ画像に重ねて描画する図形のデータを準備する手間が増加する。
【0019】
記述41は、データ保持部13が保持するカメラ画像に重ねて描画する図形のデータ
(ラベル,基準物,属性,種別)から、一般的な自然言語処理によって作成される。あるいは、記述41は予め作成してデータ保持部B3に保持されたものを読込むようにしてもよい。
【0020】
図3において、データ保持部12内のカメラ2の設置位置と設置方向と画角の値が実際のカメラの設置状態と一致している場合は、記述41の通りに、オーバレイ画面31において直線51は中央の白線と一致し、直線52は左側の白線と一致する。反対に、データ保持部12内の値と実際のカメラの設置状態の両者が一致しない場合には記述41に反した描画が行われることになる。例えば、オーバレイ画面31において直線51が中央の白線と一致しないか、あるいは直線52が左側の白線とは一致しないことになる。
【0021】
表示部17は描画部15が描画した画面を表示装置6に出力する。管理者は表示装置6上に出力された図3の画面を見たときに、記述41に従いオーバレイ画面31中の直線
51,52と対応する白線を比較することによって、実際のカメラの設置状態とデータ保持部13内のカメラ2の設置位置,設置方向,画角の値が一致しているか否かを確認できる。レーダ1とカメラ2は冶具7によって所定の相対位置と相対方向に保持されているので、カメラ2の設置位置,設置方向,画角について一致を確認することで、レーダ1の設置位置,設置方向が実際と一致していることが確認できる。
【0022】
入力受付部16は図5に示すユーザインタフェース画面を表示装置6上に表示する。図5に示す表示例において、データ保持部13が保持するカメラの設置や画角のデータの項目61と、これら各項目のデータ62が表示される。項目のデータ62の数値は、管理者が入力装置4を操作することによって変更・設定することが可能である。図5のユーザインタフェース画面において項目のデータ62の数値が変更されると、データ保持部13は該当する項目のデータを変更された数値に更新する。また、カメラの設置位置と設置方向が変更されたときには、レーダとカメラが所定の相対位置と相対方向をもつ冶具にて保持されていることを反映して、データ保持部13はカメラの設置位置や設置方向の変化量と同じだけ対応するレーダの設置位置や設置方向のデータを変化させる。項目のデータの数値を入力する場合には、直接数値を入力する形式以外にも、スライドバーなどのGUI
(グラフィカルユーザインタフェース)を操作することにより数値を設定する形式をとってもよい。
【0023】
入力受付部16からの信号に応じてデータ保持部13が保持するデータを更新すると、描画部15は表示装置6を描画しなおす。この時、更新後のデータを入力として座標計算部14が、カメラ画像に重ねて描画する直線を再計算することによって、図3の直線51,51のオーバレイ画面31中のy切片と傾きは変化する。
【0024】
管理者は、図5のユーザインタフェース画面中の各数値62を調整して、図3中の記述41に従いオーバレイ画面31中の直線51,52と所定の白線を一致させることで、道路中とデータ保持部13内のカメラ2の設置位置と設置方向と画角を一致させることができる。レーダ1はカメラ2と冶具7によって所定の相対位置と相対方向に保持されているので、管理者はカメラ2の実際に設置されている設置位置と設置方向と画角とデータ保持部13内のカメラ2の設置位置,設置方向のデータとを一致させることで、レーダ1の実際の設置位置,設置方向とデータ保持部13内の設置位置,設置方向の値とを一致させることができる。
【0025】
描画部15は、カメラ画像中の白線に対応した直線を表示するオーバレイ画面31の他、図14に示す画面のように、カメラ保持部12が保持するカメラの画像上に視線誘導標に対応したマークを重ねて描画したオーバレイ画面36を作成する機能を持つ。
【0026】
図14に示すオーバレイ画面36のカメラ画像中には、3本の白線,2台の車両,4つの視線誘導標が存在している。図13はオーバレイ画面36中にある上記4つの視線誘導標の根元を座標系21で定義したデータであり、撮像しているカメラに対応付けられてデータ保持部13が保持する。座標系21で位置を定義する道路中の物標には、視線誘導標のほか区画線,道路標示,道路標識,縁石,スノーポール,道路反射鏡,防護柵,縁石・地覆,眩光防止施設,緩衝施設,照明設備などの道路中の物標あるいは上記物標の一部を利用できる。
【0027】
マーク74,75,76,77は、座標系21で定義した視線誘導標の根元位置の点を画面上へ投影した図形を示す。オーバレイ画面36にはオーバレイ画面31の座標系25と同じ座標系が定義されている。マーク74,75,76,77は、図13に示す1行目,2行目,3行目,4行目のパラメータ、ならびにデータ保持部13が保持するこの視線誘導標を撮像しているカメラの設置位置,設置方向,画角を入力データとして、座標計算部14が計算したオーバレイ画面上の位置にそれぞれ描画される。図14においてマーク74,75,76,77の付近には目印として、データ保持部13が保持する視線誘導標の根元位置の点に付されたラベル“(A)”,“(B)”,“(C)”,“(D)”をそれぞれ描画する。なお、マーク74,75,76,77と視線誘導標の対応関係が明確な場合、記述45内やマーク74,75,76,77付近のラベルを省略し、表示しなくてもよい。
【0028】
図14において記述45は、データ保持部13が保持する各視線誘導標に対応するデータのラベル,基準物,属性,種別から、一般的な自然言語処理によって作成される。あるいは、45の記述はあらかじめ作成してデータ保持部13に保持されたものを読込むようにしてもよい。
【0029】
管理者は図14画面を見て、記述45に従いオーバレイ画面36中のマーク74,75,76,77とこれに対応した視線誘導標の根元を比較することによって、カメラ2の実際の設置位置,設置方向,画角がデータ保持部13内のカメラ2の設置位置,設置方向,画角と一致しているか否かを確認できる。レーダ1とカメラ2は冶具7によって所定の相対位置と相対方向に保持されているので、カメラ2の設置位置,設置方向,画角が一致していることを確認することで、レーダ1の設置位置と設置方向が実際と一致していることを確認できる。
【0030】
図14において、記述45と相違してオーバレイ画面36上でマーク74,75,76,77とこれらに対応した視線誘導標の根元が一致しない場合には、図5のユーザインタフェース画面中の各データ62の数値を調整してマークと視線誘導標両者の表示位置を一致させることにより、道路中とデータ保持部13内のカメラ2の設置位置,設置方向,画角を一致させることができる。レーダ1はカメラ2と冶具7によって所定の相対位置と相対方向に保持されているので、管理者は道路中とデータ保持部13内のカメラ2の設置位置,設置方向のデータを一致させることで、レーダ1の実際の設置位置,設置方向とデータ保持部13内のレーダ1の設置位置,設置方向の値を一致させることができる。
【0031】
図6のオーバレイ画面32は、カメラ保持部12が保持するカメラの画像上に、座標系21の座標格子の投影をオーバレイした画面である。オーバレイ画面32の上には、オーバレイ画面31と同じ座標系25が定義されている。Y座標軸の投影条件として、投影するY座標軸の本数と投影の開始位置,間隔,Z座標値は撮像するカメラと対応付けられてデータ保持部13に保持されている。個々の投影53,54,55のオーバレイ画面32上でのy切片と傾きはそれぞれ、データ保持部13が保持するカメラ2の設置位置と設置方向と画角、ならびにY座標軸の投影条件から座標計算部14によって計算される。同様にX座標軸の投影条件として、投影するX座標軸の本数と投影の開始位置,間隔,Z座標値もデータ保持部13に保持されている。これらX座標軸とY座標軸の投影条件のデータ構造を図4(c)に示す。個々のX座標軸の投影56,57,58のオーバレイ画面32上でのy切片と傾きはそれぞれ、データ保持部13が保持するカメラ2の設置位置と設置方向と画角,X座標軸の投影条件から座標計算部14によって計算される。このX座標軸の投影条件、ならびにY座標軸の投影条件は画面のレイアウトから見易い間隔に決定してもよい。
【0032】
管理者は、オーバレイ画面32を見ることによって、カメラ2が捕らえる空間のスケールを把握することができるため、入力受付部16が表示するユーザインタフェース画面で各項目のデータ62の数値を入力する際の参考にすることができる。
【0033】
図7においてオーバレイ画面33は、カメラ保持部B2が保持するカメラの画像上に、レーダ1の検知領域22の投影図形26を描画したオーバレイ画面である。オーバレイ画面33の上には、オーバレイ画面31と同じ座標系25が定義されている。データ保持部13には、図4(d)に示すような、レーダ1の設置地点の位置情報と設置方向などの設置データに加え、レーダ1の電波水平幅,電波垂直幅、及び検知領域22が存在する平面を座標系21で定義した平面のパラメータが保持されている。投影図形26を決定する4頂点のオーバレイ画面33上での座標位置は、データ保持部13が保持するカメラ2の設置位置と設置方向と画角、ならびにレーダ1の設置位置と設置方向,レーダ1の電波水平幅,電波垂直幅,検知領域22が存在する平面のパラメータを入力として、座標計算部
14によって計算される。
【0034】
管理者はオーバレイ画面33を見ることで、レーダ1がカバーする道路上の領域を一目のうちに確認することができる。
【0035】
なお、図3,図6,図7に示した各オーバレイ画面は、表示装置6の上に並べて表示する。あるいは、入力装置4からの信号に応じて切替えて表示してもよい。あるいは、図3,図6,図7の各オーバレイ画面でカメラの画像上に重ねて描画していた図形をまとめて1つのオーバレイ画面に表示してもよい。たとえば、図6のオーバレイ画面32に図3に示した直線51,52や記述41あるいは検知領域22の投影図形26を加えてもよい。この場合、管理者は1画面から複数のオーバレイ画面の情報を取得することができる。
【0036】
実施例1において、カメラ保持部12,座標計算部14,描画部15の機能は処理装置3が行い、データ保持部13,入力受付部16,表示部17の機能は処理装置5が行うとしたが、カメラ保持部12,座標計算部14,描画部15の機能は処理装置5で行っても良い。この場合、管理センタで各レーダの管理を一元化して行うことができ、路側に設けられる処理装置3は、カメラの画像データを伝送路24で管理センタの処理装置5へ伝送するだけになるため、小型化することが可能となり、カメラやレーダと一体に構成することも可能である。
【0037】
実施例1において、カメラ2を可視光方式としたが、赤外光や紫外光を受けて像を結ぶ他方式のカメラに置き換えても、同等の機能を果たすことができる。また、レーダ1を電波を放射するレーダから、レーザ光を用いるレーダや超音波方式のセンサや、車番認識などを行う画像センサに置き換えても、同等の機能を果たし、管理者が上記センサ等の実際の設置位置や設置方向とデータ保持部13内の設置位置や設置方向の値の一致を確認したり、データ保持部13内の設置位置や設置方向の値が実際の設置状態と一致するように、データ保持部13内の設置位置や設置方向の値を調整することができる。
【0038】
実施例1において、入力装置4,処理装置5,表示装置6をPDA(Personal Digital
Assistant)のような携帯用の端末のように1つの筐体にまとめて構成することにより、この携帯用端末が管理センタ以外の場所において無線LANなどの通信技術を用いて伝送路24との接続が可能であれば、管理者は同端末を持運び管理センタ以外の場所でオーバレイ画面をみることや、インタフェース画面への入力をすることが可能になる。
【実施例2】
【0039】
図8は、本発明の実施例2における機能構成を示す図である。図8においてカメラ保持部12,データ保持部13,座標計算部14,入力受付部16,表示部17の機能は実施例1と共通である。描画部101は、実施例1の描画部15の機能を併せもつ。
【0040】
実施例2の装置構成は、実施例1と共通である。管理者は入力装置4の操作によって、実施例1と実施例2の機能を切替えることもできる。基準物認識部18,基準物比較部
19の機能は、処理装置3,処理装置5のいずれが行ってもよい。図8の全ての機能を処理装置5が行う場合、図1の装置構成から処理装置3が不要となる。
【0041】
図8において、基準物認識部18はカメラ保持部12が保持するカメラの画像を入力として、図4(b)に示したデータ保持部13が保持する物標に対して定義される描画物のデータを、一般的な形状認識の画像処理により、「基準物」で指定された画像上の物標を「種別」で指定された図形の形式でカメラの画像から抽出する。
【0042】
図8において基準物比較部19は、座標計算部14が計算した画面上の描画物と、基準物認識部18が抽出した物標の一致を判定する。比較の方法は、上記の描画物と物標の差を計算し、この差がデータ保持部13が保持する所定のしきい値以下であれば一致、同しきい値を超えれば不一致と判定する。上記の差は例えば、描画物が直線の場合には2つの直線のy切片の差の絶対値と傾きの差の絶対値の重み付け和、描画物が点の場合には2つの点の画面上の距離とする。上記の描画物と物標が複数ある場合には、各々の描画物について差が最小となる物標を探索し、上記の差の内、最小の差が所定のしきい値以下であるかを判定する。全ての描画物について、上記の判定結果が全て一致であれば全体として一致、一つでも不一致であれば全体として不一致とする。
【0043】
基準物比較部19はまた、一般的な最適化の手法を用いて、描画物と物標の表示位置の差を最小とする最適なカメラ2の設置位置,設置方位,画角を計算する機能を持つ。なお描画物が複数ある場合には、基準物比較部19は上記の差の和すべての描画物から計算し、上記の差の和を最小にする最適なカメラ2の設置位置,設置方位,画角を計算する。上記の最適化では、演算量を減少するために、設置位置,設置方位,画角のいくつかを固定値としてもよい。
【0044】
図8において、描画部101は図9に示すような画面を作成する。図9において、オーバレイ画面34は、カメラ保持部12が保持するカメラの画像の上に、物標に対して定義された描画物である直線51,52と、画像認識技術により抽出された物標に対応した
「種別」で指定された図形である直線71,72,73を重ねて描画したものである。図9において、直線51,52は実施例1と同様にして描画される。オーバレイ画面34には、図3の座標系25と同じ座標系が定義されている。
【0045】
直線71,72,73は、図4(b)に示すデータ保持部13が保持する物標に対して定義された描画物の「基準物」が白線、「種別」が直線であることを参照し、基準物認識部18が抽出した白線の描画である。
【0046】
図9の判定結果42は、データ保持部13が保持する図4(b)に示すデータに従って、直線51,52が白線71,72,73に一致するか否かを、基準物比較部19が判定した結果である。基準物比較部19は直線51に対して直線72との差を、また直線52に対しては直線71の差をそれぞれ計算し、それぞれの差について描画物についてデータ保持部B3が保持する所定のしきい値と比較する。図9に示した例の場合、どちらも差がしきい値を超えたため不一致と判定して「×」を表示している。管理者は判定結果42の表示を見た後に、実施例1の図3に示す画面を表示すれば、所定の定量的な基準で、図3の記述41の成否を判断することができる。
【0047】
図9の調整指示43は、直線51と白線72,直線52と白線71の差が最も小さくなるカメラ2の設置位置,設置角度,画角の変化量を基準物比較部19が計算した結果である。管理者は調整指示43の表示を避けて見た後に、図5に示すユーザインタフェース画面への入力を行えば、各項目62への数値入力の参考とすることができる。なお、調整指示43は上記の変化量以外に、直線51と白線72,直線52と白線71の差が最も小さくなるカメラ2の設置位置,設置角度,画角を表示するものであっても、同様に管理者は各項目62への数値入力の参考とすることができる。
【0048】
なお、図9の画面に記述41を加えてもよい。記述41を加えれば、管理者は図9を一目して判定結果42が対象とした物標を把握することができる。
【0049】
実施例2において、カメラ保持部12が図14に示すオーバレイ画面36のカメラの画像を保持し、データ保持部13が図13に示す視線誘導標に対応するデータを保持する場合には、基準物認識部18はカメラの画像中の視線誘導標を抽出し、基準物比較部19は図14におけるマーク74,75,76,77の位置と、基準物認識部18が抽出した視線誘導票の根元の位置から差をそれぞれ計算し、表示位置の一致を判定して判定結果42のように判定結果を出力する。また、基準物認識部18は、所定の最適化の手法によって、両者の位置の差を最小とする最適なカメラ2の設置位置,設置方向,画角を計算して調整指示43のように調整する数値を表示する。
【実施例3】
【0050】
本発明の実施例3における機能構成を図10に示す。図10においてカメラ保持部12,データ保持部13,座標計算部14,入力受付部16,表示部17の機能は実施例1と共通である。座標計算部103,描画部102,入力受付部104はそれぞれ、実施例1の座標計算部14,描画部15,入力受付部16の機能をあわせもつ。
【0051】
実施例3の装置構成は、実施例1と共通である。ただし、カメラ2の設置位置,設置方向,画角は、撮影領域23が検知領域22の少なくとも一部をカバーするように設定しておく。管理者は入力受付部104の操作によって、実施例1と実施例3の機能を切替えることもできる。
【0052】
レーダ保持部11は、レーダ1から信号を受信して、レーダ1が検知した検知対象の数,検知対象それぞれの距離,速度,方向を保持する。このレーダ保持部11の機能は、処理装置3,処理装置5のいずれが行っても良い。なお、実施例3でも、図10の全ての機能を処理装置5が果たせば、装置構成から処理装置3を省くことができる。装置構成から処理装置3を省いた場合、伝送路24はレーダ1の信号ならびにカメラ2の画像を処理装置5へ伝送する。
【0053】
描画部102は図11に示すようなオーバレイ画面35を作成する。図11における、オーバレイ画面35は実施例1のオーバレイ画面31の上に、レーダ1により検知された検知対象を示すマーカ50を描画したオーバレイ画面である。オーバレイ画面35には、図3に示した例と同じ座標系25が定義されている。マーカ50は、次の手順で描画される。座標計算部103はまず、レーダ保持部11が保持する検知対象の距離と方向、ならびにデータ保持部13が保持する図4(d)に示すレーダ1の設置位置と設置方向の情報から、座標系21で定義した検知対象の位置を計算する。
【0054】
座標計算部103は次に、上記の座標系21で定義した位置ならびにデータ保持部13が保持する図4(a)に示したカメラの設置位置と設置方向と画角の情報から、上記の座標系21で定義した位置の点、即ちレーダ1による検知対象の座標点をオーバレイ画面
35上へ投影した点の座標位置を計算する。なお、レーダ1が複数の検知対象を検知した場合には、検知対象のマーカ50を複数描画する。
【0055】
管理者は図11の画面を見た際に、まず記述41とオーバレイ画面35中の直線51,52とカメラによる撮影画像を比較して、所定の白線が一致することを確認することが出来る。もしカメラ画像の白線と直線51,52が一致しない場合には、図5のインタフェース画面を用いて、記述41に基づいてオーバレイ画面35中の直線51,52と所定の白線の表示位置を一致させる。次に、オーバレイ画面35において、車両とマーク50の表示位置を比較する。もし、車両とマーク50の表示位置とが一致していれば、冶具7が実際に保持しているレーダ1とカメラ2の相対位置ならびに相対方向と、データ保持部
13内に格納されているレーダ1とカメラ2の相対位置ならびに相対方向の値が一致していることを確認できる。
【0056】
図10において、入力受付部104は、図12に示すユーザインタフェース画面を表示装置6上に表示する。表示されるユーザインタフェース画面には、データ保持部13が保持するレーダ2の設置のデータの項目63と、データ保持部13が保持する各項目のデータ64の数値が表示される。また、項目のデータ64の数値は、管理者が入力装置4を操作することによって変更することが可能であり、この数値が変更されると、データ保持部13は該当するデータの項目63の数値を変更する。なお、図12のユーザインタフェース画面の形式は、図示した形式以外にも、スライドバーなどのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)の形式をとってもよい。
【0057】
図11中の検知対象を示すマーク50と車両等の検知対象の表示位置とが一致しない場合、管理者は両者が一致するように図12のインタフェース画面中の各項目のデータ64に設定される数値を調整することで、冶具7が実際に保持しているレーダ1とカメラ2の相対位置ならびに相対方向と、データ保持部13内に格納されているレーダ1とカメラ2の相対位置ならびに相対方向の値が一致するように調整できる。
【0058】
なお、マーク50を図14のオーバレイ画面36に描画したオーバレイ画面を合成しても、実施例3の画面表示から上記と同様の確認,調整ができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
設置したセンサやレーダの検知情報を入力として情報処理を行うシステムのうち、センサやレーダの設置位置や設置方向が情報処理に影響を及ぼすシステム全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を用いた実施例における装置構成を示す図である。
【図2】本発明を用いた実施例における機能構成図である。
【図3】本発明を用いた実施例における表示画面の例である。
【図4】データ保持部が保持するデータ構造を示す図である。
【図5】カメラの設置位置,設置方向,画角を調整するインタフェース画面である。
【図6】カメラの画像上に座標系の座標軸の投影した画面である。
【図7】カメラの画像上にレーダの検知領域を投影した図形を描画した画面である。
【図8】本発明を用いた他の実施例における機能構成図である。
【図9】本発明を用いた他の実施例における表示画面である。
【図10】本発明を用いた他の実施例における機能構成図である。
【図11】本発明を用いた他の実施例における表示画面である。
【図12】レーダの設置位置,設置方向を調整するインタフェース画面である。
【図13】データ保持部が保持するマークに関するデータ構造の例である。
【図14】本発明を用いた実施例における表示画面の例である。
【符号の説明】
【0061】
1…レーダ、2…カメラ、3,5…処理装置、4…入力装置、6…表示装置、7…冶具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダまたは距離センサとカメラを一体に固定した検知装置の設置情報調整方法において、
前記レーダまたは距離センサとカメラの設置情報と、前記カメラによる撮像領域内に存在する所定物標を路上で定義された座標系により点もしくは直線で定義した情報とを保持し、
前記カメラによる画像を取り込んで、画像中の前記所定物標に関する前記点もしくは直線の定義情報を前記カメラの画像上に投影した図形を描画した画面を合成して表示し、
処理装置内の前記カメラの設置情報の更新を促す調整画面を表示し、
該設定画面によりいずれかの設定情報が更新された場合には、前記所定物標に関する前記点もしくは直線の定義情報を前記カメラの画像上に再び投影して画面を更新する
ことを特徴とする検知装置の設置情報調整方法。
【請求項2】
レーダまたは距離センサとカメラを一体に固定した検知装置の設置情報確認方法において、
前記レーダまたは距離センサとカメラの設置情報と、前記カメラによる撮像領域内に存在する所定物標を路上で定義された座標系により点もしくは直線で定義した情報とを保持し、
前記カメラによる画像を取り込んで、画像中の前記所定物標に関する前記点もしくは直線の定義情報を前記カメラの画像上に投影した図形を描画した画面を合成して表示すること
を特徴とする検知装置の設置情報確認方法。
【請求項3】
請求項2に記載の検知装置の設置情報確認方法において、
前記カメラによる画像上の物標を画像処理により認識し、前記カメラによる撮像領域内に存在する所定物標を路上で定義された座標系により点もしくは直線で定義した情報と比較して
前記画像上の物標と前記所定物標を点もしくは直線で定義した情報との一致を判定した結果を表示すること
を特徴とする検知装置の設置情報確認方法。
【請求項4】
請求項1に記載の検知装置の設置情報調整方法において、
前記カメラによる画像上の物標を画像処理により認識し、前記カメラによる撮像領域内に存在する所定物標を路上で定義された座標系により点もしくは直線で定義した情報を前記カメラの画像上に投影した結果と比較して、前記画像上の物標と前記所定物標を点もしくは直線で定義した情報を前記カメラの画像上に投影した結果との一致を判定した結果を表示するとともに、前記画像上の物標と画像上に投影した前記所定物標を点もしくは直線で定義した情報の差を所定値以下とするための前記カメラの設置情報の調整量を表示すること
を特徴とする検知装置の設置情報調整方法。
【請求項5】
請求項1に記載の検知装置の設置情報調整方法において、
物標を道路中の区画線,道路標示,防護柵,縁石・地覆としカメラの画像上に直線を描画すること
を特徴とする検知装置の設置情報調整方法。
【請求項6】
請求項1に記載の検知装置の設置情報調整方法において、
物標を道路中の区画線,道路標示,道路標識,縁石,視線誘導標,スノーポール,道路反射鏡,防護柵,縁石・地覆,眩光防止施設,緩衝施設,照明設備あるいは上記物標の一部とし、カメラの画像上に点あるいは点を示すマーカを描画すること
を特徴とする検知装置の設置情報調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−90826(P2006−90826A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276350(P2004−276350)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】