説明

レーダ装置の制御方法、レーダ装置、プログラム

【課題】レーダ装置において、対象物の測定精度を向上させる。
【解決手段】FM−CWレーダ機能とパルスレーダ機能とを併せ備えたレーダ装置において、FM−CWレーダ機能による対象物の測定(ステップ121)と、FM−CWレーダ機能で得られた距離データの部分だけでのパルスレーダ機能による測定と、これらの測定結果の比較(ステップ122)と、パルスレーダ機能で、FM−CWレーダ機能の測定結果の距離に対象物を検知できない場合、矛盾があった距離データの電力ピーク値の近傍のスライス値(Th1)を下げて行う再度のピーク探索と再ペアリング(ステップ124)とにより、レーダ装置による対象物の距離や速度の測定精度を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置の制御技術、レーダ装置、プログラムに関し、特に、複数の異なる方式のレーダを併せ備えたレーダ装置等に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、対象物までの距離を測定するレーダ技術として、特許文献1のFM−CWレーダ技術や、特許文献2のパルスレーダ技術が知られている。
FM−CWレーダでは、測定対象物に放射される送信波に対して三角波による周波数変調を施し、送信波の上昇区間および下降区間の各々と測定対象物からの反射波との周波数差であるビート信号を生成し、上昇区間および下降区間に対応した二つの前記ビート信号の周波数スペクトルの突出部の対をとるペアリングにより、測定対象物に関する距離および速度を測定する。
【0003】
この場合、周波数スペクトルの突出部の抽出は、各周波数の信号レベルに閾値を設定して抽出することが考えられるが、閾値の設定によっては、上昇区間と下降区間とにおいて抽出される突出部の数に不整合が生じ、誤ったペアリングが行われる懸念がある。この誤ったペアリングが行われると測定対象物の位置および速度が不正確になる。
【0004】
このため、特許文献1では、FM−CWレーダが搭載される車両等の移動体の移動速度を測定し、静止物に対応した上昇区間と下降区間のビート信号の周波数スペクトルに現れる突出部の周波数差を逆算し、その周波数差に対応したペアを優先的に抽出することで、誤ペアリングを防止しようとしている。
【0005】
しかし、この特許文献1の技術では、適当な静止物が観測範囲内に存在しない場合には誤ペアリングを防止できない。
一方、特許文献2にも開示されているように、パルスレーダでは、パルス波を対象物に繰り返し放射して、その反射波が戻るまでの時間を検出することで対象物の速度を測定するが、パルス波の1周期以内に対象物からの反射波が戻ってきているかどうかは保証されないという、いわゆるレンジアンビギュイティの問題がある。
【0006】
なお、特許文献2では、パルスレーダにおいて、距離の測定時と、速度の測定時とで、受信パルスの取り扱いを異ならせることで、レンジアンビギュイティと、ドップラアンビギュイティを独立に設計することを可能にしようとしているが、レンジアンビギュイティによる距離の誤測定を防止するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−12198号公報
【特許文献2】特開平4−274786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、レーダ装置において、対象物の測定精度を向上させることにある。
本発明の他の目的は、FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ備えたレーダ装置において、対象物の測定精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ持つレーダ装置の制御方法であって、
前記FM−CWレーダ手段で測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定するとともに前記パルスレーダ手段で前記測定対象物までの距離を測定する第1工程と、
前記FM−CWレーダ手段および前記パルスレーダ手段の一方の測定結果を用いて他方の測定結果を検証および/または補正する第2工程と、
を含むレーダ装置の制御方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の観点は、FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ持つレーダ装置の制御方法であって、
前記FM−CWレーダ手段で測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定する第1工程と、
測定範囲を、前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を含む範囲に設定して、前記パルスレーダ手段による距離の測定を行うことで、前記FM−CWレーダ手段による測定結果を検証および/または補正する第2工程と、
を含むレーダ装置の制御方法を提供する。
【0011】
本発明の第3の観点は、FM−CWレーダ手段と、
パルスレーダ手段と、
前記FM−CWレーダ手段の測定結果および前記パルスレーダの測定結果を用いて、一方の前記測定結果から他方の前記測定結果を検証および/または補正する検証手段と、
を含むレーダ装置を提供する。
【0012】
本発明の第4の観点は、測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定するFM−CWレーダ手段と、
前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を含むように測定範囲を設定して距離の測定を行うパルスレーダ手段と、
前記パルスレーダ手段による前記距離の測定結果に基づいて、前記FM−CWレーダ手段の測定結果を検証および/または補正する検証手段と、
を含むレーダ装置を提供する。
【0013】
本発明の第5の観点は、FM−CWレーダ手段と、パルスレーダ手段と、前記FM−CWレーダ手段および前記パルスレーダ手段を制御するコンピュータとを含むレーダ装置を制御するプログラムであって、
前記FM−CWレーダ手段の測定結果および前記パルスレーダの測定結果を用いて、一方の前記測定結果から他方の前記測定結果を検証および/または補正する検証機能を前記コンピュータに実現させるプログラムを提供する。
【0014】
上記した本発明によれば、FM−CWレーダとパルスレーダの各々の測定結果を照合することで、FM−CWレーダおよびパルスレーダの測定結果の精度を向上させることが可能になる。すなわち、FM−CWレーダの誤ペアによる対象物の距離や速度の誤検知は、パルスレーダによる距離の測定結果で補正し、パルスレーダのレンジアンビギュイティは、FM−CWレーダによる距離の測定結果で補正することで、誤りのない測定結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レーダ装置において、対象物の測定精度を向上させることができる。
また、FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ備えたレーダ装置において、測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態であるレーダ装置の制御方法を実施するレーダ装置の作用の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態であるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態であるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態であるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるレーダ装置の設置例を示す概念図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるレーダ装置の設置例を示す概念図である。
【図7】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の動作原理を示す概念図である。
【図8】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の動作原理を示す線図である。
【図9】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の動作原理を示す線図である。
【図10】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果の一例を示す概念図である。
【図11】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の動作原理を示す線図である。
【図12】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果の一例を示す概念図である。
【図13】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダのレンジアンビギュイティを説明する概念図である。
【図14】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果の一例を示す線図である。
【図15】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの一例を示す概念図である。
【図16】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの一例を示す概念図である。
【図17】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図18】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図19】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図20】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図21】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図22】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図23】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図24】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるFM−CWレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図25】本発明の一実施の形態であるレーダ装置におけるパルスレーダ機能の測定結果を処理するためのテーブルの記憶内容の変遷例を示す概念図である。
【図26】本発明の一実施の形態であるレーダ装置およびその制御方法の変形例の作用の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるレーダ装置の制御方法を実施するレーダ装置の作用の一例を示すフローチャートであり、図2、図3および図4は、本実施の形態のレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。また、図5および図6は、本実施の形態のレーダ装置の設置例を示す概念図である。
【0018】
本実施の形態のレーダ装置10は、たとえば、図5に例示されるように、道路200を走行する車両201に搭載され、他の車両201の位置や速度を検出する、いわゆる「車載センサ」として用いることができる。
【0019】
また、たとえば、図6に例示されるように、列車210が走行する線路211の踏切212に設置し、この踏切212を通過する車両201や、歩行者202等の障害物の検知に用いることもできる。
【0020】
図2例示されるように、本実施の形態のレーダ装置10は、FM−CWレーダを実現するための矩形波発振器10a、発振制御電圧源10b、周波数可変発振器10c、送信アンプ10d、送信アンテナ10e、受信アンテナ10f、受信アンプ10g、ミキサ10h、バンドパスフィルタ10j、ミキサ10k、を備えている。
【0021】
さらに、これらのFM−CWレーダの構成の一部を共用する態様にて、パルスレーダを実現するためのパルス生成回路11a、プログラマブルディレイライン11b、パルス生成回路11c、パルス生成回路11dおよびゲート回路11eを備えている。
【0022】
すなわち、本実施の形態のレーダ装置10は、FM−CWレーダおよびパルスレーダの両方の機能を兼ね備えており、FM−CWレーダおよびパルスレーダに任意に切り替えて動作させることが可能である。
【0023】
ローパスフィルタ10mの出力側には、制御コンピュータ20が接続されている。この制御コンピュータ20は、マイクロプロセッサ21、主記憶22、不揮発性メモリ23、通信インターフェイス24、A/D変換器25、ディレイライン制御部26およびバス27で構成されている。
【0024】
A/D変換器25は、ローパスフィルタ10mから出力されるアナログのレーダ受信信号をデジタル信号に変換する。
ディレイライン制御部26は、パルスレーダとしての動作時に、プログラマブルディレイライン11bを制御してレーダ受信波の入力タイミングを制御する。
【0025】
マイクロプロセッサ21は、主記憶22に格納された制御プログラム28を実行することで、レーダ装置10の全体の制御を行うとともに、FM−CWレーダとして機能する場合の高速フーリエ変換や信号処理、パルスレーダとして機能する場合の信号処理を行う。
【0026】
さらに、本実施の形態の場合には、マイクロプロセッサ21は、制御プログラム28を実行することで、図1に例示されるフローチャートや、後述の図26に例示されるフローチャートの動作を実行し、FM−CWレーダとしての測定結果と、パルスレーダとしての測定結果を相互参照することで、測定結果の検出や補正を行う。
【0027】
主記憶22には、マイクロプロセッサ21が実行する制御プログラム28や、後述のFM−CWレーダ測定結果テーブル40、アップ用測定データテーブル41、ダウン用測定データテーブル42およびパルスレーダ測定結果テーブル50が格納され、マイクロプロセッサ21からアクセスされる。
【0028】
不揮発性メモリ23には、マイクロプロセッサ21を動作させるために必要な制御プログラム28やデータが電源切断時にも消えないように不揮発に記憶されている。そして、レーダ装置10の電源投入時に、不揮発性メモリ23の情報が主記憶22にロードされ、マイクロプロセッサ21にてアクセスされる。
【0029】
通信インターフェイス24は、レーダ装置10における測定結果の情報を外部の図示しない情報処理システムに送信したり、外部の当該情報処理システムからのコマンド等の制御情報を受信するために用いられる。
【0030】
図2のレーダ装置10の構成において、パルスレーダとして機能する際には、以下のように動作させる。すなわち、送信側では、発振制御電圧源10bから一定電圧を周波数可変発振器10cに入力して一定の周波数で発振させるとともに、パルス生成回路11aから入力されるパルスにて送信アンプ10dをON/OFFすることで、送信アンプ10dを経由して送信アンテナ10eから放射されるレーダ波がパルス状になるように制御する。
【0031】
受信側では、プログラマブルディレイライン11bにおいて、パルス生成回路11aのONのタイミング(レーダ波の送信タイミング)から所定の遅延時間後に受信アンプ10gおよびゲート回路11eを動作させることで、受信アンテナ10fに到来する反射波を受信アンプ10gに取り込み、ミキサ10h、ゲート回路11e、バンドパスフィルタ10j、ミキサ10k、ローパスフィルタ10mを経て制御コンピュータ20に入力する。
【0032】
制御コンピュータ20では、プログラマブルディレイライン11bにてレーダ波の送信時からの受信タイミングを所定の範囲で変化させ、受信波のピークの入力時刻と送信時刻との時間差に基づいて対象物との距離を測定する。また、測定される距離の範囲は、プログラマブルディレイライン11bによる発振と受信のタイミング差を可変とすることで任意に制御できる。
【0033】
一方、FM−CWレーダとしての動作する場合には、図2において示したパルス生成回路11a〜ゲート回路11eの各回路を休止させ、図3に例示される構成の如くになるように動作させる。
【0034】
すなわち、FM−CWレーダとして動作させる場合と、パルスレーダとして動作させる場合の相違は、図2においてハッチングを施されたプログラマブルディレイライン11b、およびパルス生成回路11a、パルス生成回路11c、パルス生成回路11dおよびゲート回路11eである。
【0035】
FM−CWレーダとして動作させる場合は、パルスレーダ時のプログラマブルディレイライン11bはディレイ量を固定し、パルス生成回路11a、パルス生成回路11cおよびパルス生成回路11d等のパルス生成回路は微分回路であるので単なるバッファになるように制御し、ゲート回路11eはON/OFF回路であるのでONのままになるように制御する。この制御により、レーダ装置10をFM−CWレーダとして機能させることができる。
【0036】
FM−CWレーダとして動作する場合、発振制御電圧源10bから周波数可変発振器10cに三角波の電圧信号を入力して周波数変調された高周波を生成し、送信アンプ10dから送信アンテナ10eを経由して外部にレーダ波として放射する。この時、矩形波発振
器10aから送信アンプ10dには一定レベルのON信号が入力され、常時ONの状態で動作し、三角波で周波数変調されたレーダ波は連続して放射される。
【0037】
受信側では、ON/OFFの時間比が1:1となるような矩形波を矩形波発振器10aから受信アンプ10gに入力することで、受信波の取り込みのON/OFFを制御する。
受信アンプ10gから取り込まれた受信高周波信号は、ミキサ10hにて、送信側の周波数可変発振器10cから出力される送信高周波信号とミキシングされ、中間波帯域のIF信号に変換された後、当該IF信号を通過させるバンドパスフィルタ10jを経て、さらにミキサ10kにて矩形波発振器10aからの矩形波信号とミキシングされ、ローパスフィルタ10mを経てビート信号として制御コンピュータ20に入力される。
【0038】
制御コンピュータ20では、さらに、このビート信号をA/D変換器25でA/D変換し、さらに、高速フーリエ変換(FFT)を行って、ピークとなる周波数を判定し、ターゲットまでの距離および速度を計算する。
【0039】
このFM−CWレーダの場合の動作原理を図7、図8および図9に示す。まず、距離R離れ、静止した計測対象物の距離計測の場合を説明する。送信アンテナ10eからミリ波の電波を発し、受信アンテナ10fで計測対象物からの反射波を受信する。発する電波と受信電波の信号処理方法の概念を図8および図9に示す。図8において、変調と時間のグラフでは縦軸は周波数を表し、横軸は時間を表す。図8からも分かるように、送信波は、三角波周波数変調をかけ、連続的に出力を行う。受信波は距離R分の時間遅れが発生するので、図8のグラフにプロットすると点線のように表せられる。この送信波と受信波の周波数差をビート信号と呼ぶ。変調時の三角波の上昇区間と下降区間に分けてフーリエ変換を行うとそれぞれ、対象物からの距離Rに比例した周波数frにピークが現れる。従って、このピークの周波数値を検出し、以下の(1)式で対象物までの距離Rが求められる。
【0040】
【数1】

ただし、(1)式において、c:光速、Δf:三角波の変調幅、fm:三角波の変調周波数、である。
【0041】
次に、距離R離れ、速度vで移動する計測対象物の場合を説明する。図9の上側に、そのときの受信波および送信波の様子を、また図9の下側にビート信号の様子を示す。図9に示すように受信波には、対象物に速度vがあるのでそれに比例したドップラ周波数fdのシフトがある。したがって、上昇区間のビート信号では、ドップラ周波数成分が引かれた成分(fup=|fr−fd|)が表れ、下降区間のビート信号では、ドップラ周波数成分が加算された成分(fdown=|fr+fd|)が表れる。変調時の三角波の上昇区間と下降区間に分けてフーリエ変換を行うと、それぞれ、fupとfdownに電力ピークが表れる。それぞれの電力ピークの周波数値を検出し、下記の(2)式、(3)式の演算を行うことにより、距離と速度を得る。
【0042】
【数2】

【0043】
【数3】

ただし、(2)式、(3)式において、c:光速、Δf:三角波の変調幅、fm:三角波の変調周波数、f0:変調中心周波数、である。
【0044】
計測対象物が複数(マルチターゲット)の場合、例えば、図10に示すようにレーダの前に6個の対象物A0〜A5があったとする。このとき、FM−CWレーダを用いた場合の上昇区間と下降区間のFFT結果をイメージしたものを図11に示す。閾値Th1でスライス処理をし、得られる電力ピークとして、上昇区間のU0(周波数値:fu0),U1(周波数値:fu1),・・・・U5(周波数値:fu5)、下降区間のD0(周波数値:fd0),D1(周波数値:fd1),・・・・D4(周波数値:fd4)が得られる。対象物A1からの反射で、U1と下降区間のDf5のピークが存在するが図11のようにスライス処理でDf5は検出できていない。ここで、上昇区間と下降区間の電力ピークからペアを生成する。しかし、Df5が検出されていないので、正しいペアが作れず、U1とD1という誤ったペアを生成し、U2はペア無しとして削除してしまう。その結果、図10の対象物A1,A2が正しく測定できず、図12に示す、誤った対象物AF6が現れてしまう、という技術的課題が、FM−CWレーダではある。
【0045】
パルスレーダはパルスを繰り返して打ち出すので、図13に示すように1周期以内に対象物からの反射波が戻って来ているかどうか分からないレンジアンビギュイティという問題がある。図13に示すように本当の距離はA5であるが、パルスの繰返しで測定できる距離の剰余系のような測定結果RA5になる。
【0046】
そこで、本実施の形態の場合には、以下のようにして、FM−CWレーダ時の測定結果と、パルスレーダ時の測定結果を用いて、互いに他の測定結果の検証および補正を行うことで、上述のようなFM−CWレーダ時における誤ペアリングに起因するエラーや、パルスレーダ時におけるレンジアンビギュイティを解消して、対象物までの距離や対象物の速度、等の高精度な測定を実現する。
【0047】
図1は、本実施の形態のレーダ装置10の作用の一例を示すフローチャートである。この図1のフローチャートの動作は、制御コンピュータ20のマイクロプロセッサ21が制御プログラム28を実行し、後述のFM−CWレーダ測定結果テーブル40、アップ用測定データテーブル41、ダウン用測定データテーブル42およびパルスレーダ測定結果テーブル50を処理することで実現される。
【0048】
まず、図2に例示されるレーダ装置10の構成のうち、ハッチングが施されたパルス生成回路11a〜ゲート回路11e等のパルスレーダ機能の構成要素を休止させ、図3に例示されるように、FM−CWレーダとして動作させることで、第一にFM−CWレーダ方式による、歩行者202や他の車両201等の対象物の測定を行う(ステップ101)。
【0049】
この時の測定結果は、送信波の周波数変調の三角波の上昇区間、および下降区間の各々について、図15(a)および(b)のアップ用測定データテーブル41およびダウン用測定データテーブル42に格納される。また、ペアリングの結果は、図15(c)のFM−CWレーダ測定結果テーブル40に格納される。
【0050】
すなわち、アップ用測定データテーブル41には、項番41a、ビート信号周波数41b、受信電力41c、対応ダウン項41d、パルスレーダ対応フラグ41eの情報が設定されている。
【0051】
ダウン用測定データテーブル42には、項番42a、ビート信号周波数42b、受信電力42c、パルスレーダ対応フラグ42eの情報が設定されている。
FM−CWレーダ測定結果テーブル40には、項番40a、距離40b、速度40c、対応アップ項40d、対応ダウン項40e、パルスレーダ対応フラグ40fの情報が設定されている。
【0052】
第二に、レーダ装置10をパルスレーダとして機能させて、FM−CWレーダと同じ対象物の測定を行う(ステップ102)。このパルスレーダ時の測定結果は、図16のパルスレーダ測定結果テーブル50に格納される。このパルスレーダ測定結果テーブル50は、項番50a、距離50b、距離アンビギュイティ50c、FM−CWレーダ対応フラグ50dの情報が格納される。
【0053】
このとき、FM−CWレーダ機能およびパルスレーダ機能の各々の測定データには、上述の図10〜図14で説明したような誤検知データやレンジアンビギュイティが含まれている。
【0054】
第三に、FM−CWレーダ測定結果テーブル40とパルスレーダ測定結果テーブル50の距離測定結果(距離40bと距離50b)を比較し矛盾があるものを抽出する(ステップ103)。
【0055】
例えば、上述の図10の状況をFM−CWレーダ機能で測定し、図12に示すFM−CWレーダ機能の測定結果と、図13に示すパルスレーダ機能の結果を用いるとFM−CWレーダ機能では、AF6とA5が矛盾し、パルスレーダ機能ではRA5,A1,A2が矛盾する。
【0056】
このときのFM−CWレーダ測定結果テーブル40およびパルスレーダ測定結果テーブル50の内容の変化を、図17および図18に示す。FM−CWレーダ機能とパルスレーダ機能の各々の測定結果で矛盾がなかったものはパルスレーダ対応フラグ40fおよびFM−CWレーダ対応フラグ50dに“○”が設定され、矛盾があるものは空欄のままである。
【0057】
第四に、ステップ103で矛盾のなかったデータはデータマージ処理に送る。データマージとは、後述するデータ補正したものと矛盾のなかったデータをマージする作業である(ステップ109)。
【0058】
第五にステップ103で矛盾したデータに対してアンビギュイティの確認処理を行う(ステップ104)。このアンビギュイティの確認処理では、パルスレーダでの矛盾したデータを主にして確認していく。例えば、RA5は、τm5時間反射にかかっているとパルスレーダ機能は誤検知している。τm5+A×C1(パルスの周期、Aは1〜nの自然数)を行い、そのときの距離を求め、FM−CWレーダの矛盾したデータと比較し、A5と一致することを確認する。RA5とA5は、データ再構築データ処理に送り、距離をA5とする(ステップ105)。
【0059】
図19、図20は、このステップ104におけるアップ用測定データテーブル41、ダウン用測定データテーブル42およびFM−CWレーダ測定結果テーブル40と、パルスレーダ測定結果テーブル50の内容の推移を示している。
【0060】
RA5がA5に確定した結果、パルスレーダ測定結果テーブル50のRA5のデータ格納欄(項番50aが5)のFM−CWレーダ対応フラグ50dには、“○”が設定される。
【0061】
また、図21は、ステップ105のデータ再構築処理におけるパルスレーダ測定結果テーブル50の設定結果を示している。距離50bが、ia5からi5に修正されている。
第六に、まだ矛盾しているパルスレーダの測定結果A1,A2とFM−CWレーダのAF6に対して、FM−CWの誤ペアリング確認処理を行う(ステップ106)。
【0062】
図14に示すようにA1の距離を静止した場合の周波数f1に変換する。上昇区間および下降区間のf1近傍のスライス値を下げて、f1を中心に均等に上昇区間および下降区間の電力ピークを探す。これはf1に中心に上昇区間および下降区間のFFT結果にピークがあるからである。この処理によってU1とDf5のピークを再検知・再ペアリングを行う。これにより、FM−CWレーダ測定結果テーブル40、アップ用測定データテーブル41、ダウン用測定データテーブル42の内容は、図22から図24のように変化する。パルスレーダの測定結果A2についても同様な処理を行う。これにより、パルスレーダ測定結果テーブル50の内容は、図23から図25のように変化する(ステップ107)。
【0063】
ステップ106で測定結果の補正が不可のペアについては、FM−CWレーダ測定結果テーブル40およびパルスレーダ測定結果テーブル50からのデータの削除を行う(ステップ108)。
【0064】
これにより、FM−CWレーダおよびパルスレーダの測定結果は、全て矛盾のないデータに補正される。最後に上述のデータマージ(ステップ109)を行って処理を終了する。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、レーダ装置10において、FM−CWレーダ機能の誤ペアによる対象物の誤検知を、パルスレーダ機能の測定結果で補正し、パルスレーダ機能のレンジアンビギュイティをFM−CWレーダ機能の測定結果で補正できるので、対象物に関する測定結果の誤りを抑制でき、対象物に関する距離および速度の測定を高精度に行うことができる。
【0066】
すなわち、特定の一つのレーダ原理による測定ではなく、原理の全く異なるFM−CWレーダ機能およびパルスレーダ機能の二つのレーダ技術の測定結果を用いて互いに他の測定結果の検証および補正を行うので、レーダ装置10の測定結果の精度を大幅に向上させることが可能になる。
【0067】
また、本実施の形態のレーダ装置10では、FM−CWレーダとパルスレーダを別個に2つ用意するのではなく、1台のレーダ装置10を制御することによって、FM−CWレーダ機能およびパルスレーダ機能の両タイプのレーダが実現できるので、レーダ装置10の製造コストが抑制できる。
【0068】
たとえば、図5に例示されるように、本実施の形態のレーダ装置10を、車両201に車載センサとして設置した場合には、他の車両201の位置や速度を精密に検知して、車両201の的確な運行制御を実現することが可能になる。
【0069】
また、図6に例示されるように、本実施の形態のレーダ装置10を、踏切212に設置して車両201や歩行者202等の障害物の監視を行う場合には、誤測定に起因する虚報等により列車210の運行を阻害することなく、これらの障害物の検知を正確に行うことが可能になる。
【0070】
次に、図26のフローチャートを参照して、本発明の実施の形態の変形例であるレーダ装置の制御方法について説明する。なお、レーダ装置の構成については、上述の図2および図3の構成のものをそのまま用いる。
【0071】
まず、第一に、レーダ装置10をFM−CWレーダとして機能させるにより、他の車両201や歩行者202等の対象物に関する距離および速度の測定を行う(ステップ121)。
【0072】
第二に、FM−CWレーダ機能で得られた距離データの部分だけパルスレーダ機能で測定し、先のFM−CWレーダ機能の測定結果と比較する(ステップ122)。パルスレーダ機能では、プログラマブルディレイライン11bの制御により受信波の検出タイミングを任意に設定することで、距離の測定範囲を、FM−CWレーダの測定結果の距離に合わせて選択的に測定する。
【0073】
FM−CWレーダ機能とパルスレーダ機能の双方の距離の測定結果で、矛盾がないデータは、そのままデータマージ処理へ送る(ステップ123)。
パルスレーダで、FM−CWレーダの測定結果の距離に対象物を検知できない場合(FM−CWレーダとパルスレーダの距離の測定結果が不一致の場合)は、FM−CWレーダの信号処理に戻り、矛盾があった距離データの電力ピーク値の近傍のスライス値(Th1)を下げて、再度、ピーク探索、再ペアリングを行い(ステップ124)、その結果得られた測定距離の範囲について、再度、パルスレーダ機能で測定し、対象物を検知する(ステップ125)。
【0074】
パルスレーダで対象物を検知した場合、つまりFM−CWレーダの距離の測定結果の矛盾が解消した場合は、データマージ処理(ステップ123)へ送り、全てのデータをまとめて処理を終了する。また、矛盾が解消しない場合は、Th1を変化させながら、既定の回数だけ上述のステップ124、ステップ125の処理を試行し(ステップ126)、FM−CWレーダの測定結果の矛盾が解消しない場合は、データを削除するかエラーを管理者に通知する(ステップ127)。
【0075】
この変形例の場合には、レーダ装置10のFM−CWレーダ機能にて測定された対象物に関する距離の測定結果を、レーダ装置10のパルスレーダ機能の距離の測定結果にて検証することで、FM−CWレーダ機能におけるペアリングの誤りを的確に解消することができる。これにより、レーダ装置10のFM−CWレーダ機能による対象物に関する距離および速度の測定結果の精度を向上させることが可能になる。
【0076】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
(付記1)
FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ持つレーダ装置の制御方法であって、
前記FM−CWレーダ手段で測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定するとともに前記パルスレーダ手段で前記測定対象物までの距離を測定する第1工程と、
前記FM−CWレーダ手段および前記パルスレーダ手段の一方の測定結果を用いて他方の測定結果を検証および/または補正する第2工程と、
を含むことを特徴とするレーダ装置の制御方法。
【0077】
(付記2)
付記1記載のレーダ装置の制御方法において、前記パルスレーダ手段にて測定された前記距離の曖昧さを、前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離によって確定させることを特徴とするレーダ装置の制御方法。
【0078】
(付記3)
付記1記載のレーダ装置の制御方法において、前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離および前記速度の誤りを、前記パルスレーダ手段にて測定された前記距離に基づいて補正することを特徴とするレーダ装置の制御方法。
【0079】
(付記4)
付記1記載のレーダ装置の制御方法において、
前記FM−CWレーダ手段では、前記測定対象物に放射される送信波に対して三角波による周波数変調を施し、前記送信波の上昇区間および下降区間の各々と前記測定対象物からの反射波との周波数差であるビート信号を生成し、上昇区間および下降区間に対応した二つの前記ビート信号の周波数スペクトルの突出部の対をとるペアリングにより、前記測定対象物に関する前記距離および速度を測定し、
前記ペアリングの誤りを、前記パルスレーダ手段にて測定された前記距離に基づいて補正することを特徴とするレーダ装置の制御方法。
【0080】
(付記5)
FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ持つレーダ装置の制御方法であって、
前記FM−CWレーダ手段で測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定する第1工程と、
測定範囲を、前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を含む範囲に設定して、前記パルスレーダ手段による距離の測定を行うことで、前記FM−CWレーダ手段による測定結果を検証および/または補正する第2工程と、
を含むことを特徴とするレーダ装置の制御方法。
【0081】
(付記6)
FM−CWレーダ手段と、
パルスレーダ手段と、
前記FM−CWレーダ手段の測定結果および前記パルスレーダの測定結果を用いて、一方の前記測定結果から他方の前記測定結果を検証および/または補正する検証手段と、
を含むことを特徴とするレーダ装置。
【0082】
(付記7)
付記6記載のレーダ装置において、
前記検証手段は、前記パルスレーダ手段にて測定された測定対象物までの距離の曖昧さを、前記FM−CWレーダ手段にて測定された測定対象物までの距離によって確定させることを特徴とするレーダ装置。
【0083】
(付記8)
付記6記載のレーダ装置において、
前記検証手段は、前記FM−CWレーダ手段にて測定された測定対象物までの距離および測定対象物の速度の誤りを、前記パルスレーダ手段にて測定された測定対象物までの距離に基づいて補正することを特徴とするレーダ装置。
【0084】
(付記9)
付記6記載のレーダ装置において、
前記FM−CWレーダ手段は、前記測定対象物に放射される送信波に対して三角波による周波数変調を施し、前記送信波の上昇区間および下降区間の各々と前記測定対象物からの反射波との周波数差であるビート信号を生成し、上昇区間および下降区間に対応した二つの前記ビート信号の周波数スペクトルの突出部の対をとるペアリングにより、前記測定対象物に関する前記距離および速度を測定し、
前記検証手段は、前記ペアリングの誤りを、前記パルスレーダ手段にて測定された前記距離に基づいて補正することを特徴とするレーダ装置。
【0085】
(付記10)
付記6記載のレーダ装置において、
前記検証手段は、前記パルスレーダ手段による距離の測定範囲を、前記FM−CWレーダ手段で得られた測定対象物までの距離の測定結果を含む範囲に設定して得られた、当該パルスレーダ手段による距離の測定結果に基づいて、前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を検証することを特徴とするレーダ装置。
【0086】
(付記11)
測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定するFM−CWレーダ手段と、
前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を含むように測定範囲を設定して距離の測定を行うパルスレーダ手段と、
前記パルスレーダ手段による前記距離の測定結果に基づいて、前記FM−CWレーダ手段の測定結果を検証および/または補正する検証手段と、
を含むことを特徴とするレーダ装置。
【0087】
(付記12)
FM−CWレーダ手段と、パルスレーダ手段と、前記FM−CWレーダ手段および前記パルスレーダ手段を制御するコンピュータとを含むレーダ装置を制御するプログラムであって、
前記FM−CWレーダ手段の測定結果および前記パルスレーダの測定結果を用いて、一方の前記測定結果から他方の前記測定結果を検証および/または補正する検証機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。
【0088】
(付記13)
FM−CWレーダで距離および速度を測定するとともにパルスレーダで距離を測定し、前記FM−CWレーダおよび前記パルスレーダの各々の測定結果を照合して、前記測定結果の精度を高めることを特徴とするレーダ方法。
【符号の説明】
【0089】
10 レーダ装置
10a 矩形波発振器
10b 発振制御電圧源
10c 周波数可変発振器
10d 送信アンプ
10e 送信アンテナ
10f 受信アンテナ
10g 受信アンプ
10h ミキサ
10j バンドパスフィルタ
10k ミキサ
10m ローパスフィルタ
11a パルス生成回路
11b プログラマブルディレイライン
11c パルス生成回路
11d パルス生成回路
11e ゲート回路
20 制御コンピュータ
21 マイクロプロセッサ
22 主記憶
23 不揮発性メモリ
24 通信インターフェイス
25 A/D変換器
26 ディレイライン制御部
27 バス
28 制御プログラム
40 FM−CWレーダ測定結果テーブル
40a 項番
40b 距離
40c 速度
40d 対応アップ項
40e 対応ダウン項
40f パルスレーダ対応フラグ
41 アップ用測定データテーブル
41a 項番
41b ビート信号周波数
41c 受信電力
41d 対応ダウン項
41e パルスレーダ対応フラグ
42 ダウン用測定データテーブル
42a 項番
42b ビート信号周波数
42c 受信電力
42e パルスレーダ対応フラグ
50 パルスレーダ測定結果テーブル
50a 項番
50b 距離
50c 距離アンビギュイティ
50d FM−CWレーダ対応フラグ
200 道路
201 車両
202 歩行者
210 列車
211 線路
212 踏切

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FM−CWレーダ手段とパルスレーダ手段とを併せ持つレーダ装置の制御方法であって、
前記FM−CWレーダ手段で測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定する第1工程と、
測定範囲を、前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を含む範囲に設定して、前記パルスレーダ手段による距離の測定を行うことで、前記FM−CWレーダ手段による測定結果を検証および/または補正する第2工程と、
を含むことを特徴とするレーダ装置の制御方法。
【請求項2】
前記第1工程は、前記測定対象物に放射される送信波に対して三角波による周波数変調を施し、前記送信波の上昇区間および下降区間の各々と前記測定対象物からの反射波との周波数差であるビート信号を生成し、上昇区間および下降区間に対応した二つの前記ビート信号の周波数スペクトルの突出部の対をとるペアリングにより、前記測定対象物に関する前記距離および速度を測定する工程であり、
前記パルスレーダ手段による距離の測定結果と前記FM−CWレーダ手段による距離の測定結果とが不一致の場合、前記不一致の距離データの電力ピーク値の近傍のスライス値を下げて、再度、前記第1工程を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
測定対象物までの距離および前記測定対象物の速度を測定するFM−CWレーダ手段と、
前記FM−CWレーダ手段にて測定された前記距離を含むように測定範囲を設定して距離の測定を行うパルスレーダ手段と、
前記パルスレーダ手段による前記距離の測定結果に基づいて、前記FM−CWレーダ手段の測定結果を検証および/または補正する検証手段と、
を含むことを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
前記FM−CWレーダ手段は、前記測定対象物に放射される送信波に対して三角波による周波数変調を施し、前記送信波の上昇区間および下降区間の各々と前記測定対象物からの反射波との周波数差であるビート信号を生成し、上昇区間および下降区間に対応した二つの前記ビート信号の周波数スペクトルの突出部の対をとるペアリングにより、前記測定対象物に関する前記距離および速度を測定し、
前記パルスレーダ手段による距離の測定結果と前記FM−CWレーダ手段による距離の測定結果とが不一致の場合、前記不一致の距離データの電力ピーク値の近傍のスライス値を下げて、再度、前記FM−CWレーダ手段により、前記測定対象物に関する前記距離および速度を測定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図26】
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【図22】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−96775(P2010−96775A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20338(P2010−20338)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願2004−332882(P2004−332882)の分割
【原出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】