説明

レーダ装置

【課題】電力の微弱な目標の探知性能を向上できるレーダ装置を得る。
【解決手段】目標からの反射パルスを受信してA/D変換する受信手段1と、パルスヒット毎の受信、送信信号の相関をとるパルス圧縮手段2と、目標からの直接波とリピータを介した目標からの間接波とが存在するレンジビンを推定し、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する積分路探索手段3と、前記積分路に従って、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施するレンジ方向ノンコヒーレント積分手段4と、パルスヒット毎に得たレンジ方向ノンコヒーレント積分手段4の出力をヒット方向にノンコヒーレント積分を実施するヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5の積分結果を閾値処理し、閾値を越えたレンジビンに対して目標の検出とみなす閾値手段6とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送受信を行う1つのアクティブセンサと複数のリピータによって構成されるセンサネットワークにおいて、受信電力の微弱な目標を検出するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置においては、複数のセンサによりセンサネットワークを構成し、間接波の信号をレンジ方向にノンコヒーレント積分している。
【0003】
従来のレーダ装置について、図17及び図18を参照しながら説明する。図17は、従来のレーダ装置におけるGPS(Global Positioning System)衛星、GPS受信機及び目標の配置関係を示す図である(例えば、非特許文献1参照)。また、図18は、従来のレーダ装置における直接波と間接波の関係を示す図である。
【0004】
従来のレーダ装置では、図17に示すように、複数のGPS衛星SV、SVによる目標(Target)tの間接波をGPS受信機(Receiver)rで受信する。この時、間接波からの到来時刻は、図18のように表され、すべての間接波をノンコヒーレント積分すれば目標の信号が積分されるため、目標の探知性能が改善される。
【0005】
【非特許文献1】E. P. Glennon, A. G. Dempster and C. Rizos, “Feasibility of Air Target Detection Using GPS as a Bistatic Radar, “ Proc GNSS 2005, Hong Kong, Dec 8-10 2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のレーダ装置では、間接波をノンコヒーレント積分しようとしても、低SNR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音電力比)の場合、直接波並びに間接波の見極めが困難であるという問題点があった。また、受信機雑音などによる誤警報を間接波と誤って積分する可能性があるという問題点があった。このため、ノンコヒーレント積分を実施する前に間接波と直接波の判別を行うことが望まれていた。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、レーダからの送信波が目標で反射された直接波と目標で反射されリピータを介した間接波とが存在するレンジビンを推定し、また、間接波と判断されたレンジビンを直接波のレンジビンにノンコヒーレント積分し、目標からの信号を積分することで電力の微弱な目標の探知性能を向上させることができるレーダ装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るレーダ装置は、送受信を行う1つのアクティブセンサと複数のリピータによって構成されるセンサネットワークにおいて、レーダからの送信波が目標で反射された直接波、及び目標で反射されリピータを介した間接波を含む反射パルスを受信し、パルスヒット毎の受信信号をA/D変換する受信手段と、パルスヒット毎の受信信号と送信信号との相関をとるパルス圧縮手段と、前記パルス圧縮手段の出力に基づき、前記直接波及び間接波が存在するレンジビンを推定し、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する積分路探索手段と、前記積分路探索手段によって得られた積分路に従って、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施するレンジ方向ノンコヒーレント積分手段と、パルスヒット毎に得た前記レンジ方向ノンコヒーレント積分手段の出力をヒット方向にノンコヒーレント積分を実施するヒット方向ノンコヒーレント積分手段と、前記ヒット方向ノンコヒーレント積分手段の積分結果を閾値処理し、閾値を越えたレンジビンに対して目標の検出とみなす閾値手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るレーダ装置は、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るレーダ装置について図1から図6までを参照しながら説明する。
【0011】
図1は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置とリピータの配置関係を示す図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の直接波と間接波の関係を示す図である。
【0012】
この発明の実施の形態1では、上記の理論(すべての間接波をノンコヒーレント積分すれば目標の信号が積分されるため、目標の探知性能が改善される)を、図1に示すような1つのレーダ装置(アクティブセンサ)と複数のリピータRPT1、RPT2、RPT3によって構成されるセンサネットワークに適用する。ここで、リピータの総数は既知とし、この総数をM(1以上の自然数)とする。この場合、パルスを送信するレーダ装置は、目標で反射して直接受信する直接波と、目標で反射し、リピータRPT1、RPT2、RPT3経由で間接的に受信する間接波とが得られる。すなわち、レーダ装置の受信信号は、図2のように直接波と間接波が含まれる。従って、間接波の信号を直接波の信号にノンコヒーレント積分すれば目標の信号が積分でき、探知性能が改善される。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0014】
図3において、この実施の形態1に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段3と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、閾値手段6と、メモリ100とが設けられている。
【0015】
また、積分路探索手段3は、振幅検波部31と、積分路探索部32と、積分路評価部33と、直接波決定部34と、間接波決定部35と、推移確率設定部36とが設けられている。
【0016】
この発明の実施の形態1は、図1に示す、送受信を行う1つのアクティブセンサと複数のリピータによって構成されるセンサネットワークを仮定している。なお、リピータの代わりに、コーナーリフレクタのような反射体も適用可能である。また、この実施の形態1は、積分路探索の処理に特徴を有するので、センサを含む受信処理の詳細説明は省略している。
【0017】
つぎに、この実施の形態1に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の間接波から直接波への積分路を説明するための図である。
【0018】
受信手段1は、目標からの反射パルスを受信し、パルスヒット毎の受信信号をA/D変換する。パルス圧縮手段2は、パルスヒット毎の受信信号と送信信号との相関をとる。この処理は、従来のレーダ信号処理と変わらない。この結果、パルスヒット毎に得られるパルス圧縮手段2の出力は、図2に示すように、目標からの直接波と、リピータを介した目標からの間接波が得られる。但し、低SNR環境を想定しているため、それらの受信電力は小さいことを想定している。
【0019】
積分路探索手段3は、パルス圧縮手段2の出力に基づき、レーダからの送信波が目標で反射された直接波と目標で反射されリピータを介した間接波とが存在するレンジビンを推定する。この結果により、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する。
【0020】
振幅検波部31は、パルス圧縮後のレンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出する。
【0021】
積分路探索部32は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。図4において、縦方向はレンジビンを表している。この「レンジビン」とは距離の最小単位を意味し、A/D変換のサンプリング周期で決まる。ここでは、全レンジビン数をm(1以上の自然数)とおく。また、横方向は間接波から直接波への積分路の推移を表しており、これらは同一ヒットにおけるパルス圧縮後の受信信号である。図4におけるヒット1からヒット1’への矢印のながれがレンジビンの遷移を表しており、積分路探索部32では、図4に示すように、間接波レンジビンi、つまり間接波が存在するレンジビンiから直接波レンジビンj、つまり直接波が存在するレンジビンjへのすべての遷移を設定する。
【0022】
積分路評価部33では、積分路探索部32で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価においては、間接波レンジビンから直接波レンジビンへの推移の可能性である推移確率の設定が必要であり、その設定を推移確率設定部36において実施する。
【0023】
直接波決定部34では、積分路評価部33で得た積分路に対する評価関数値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0024】
間接波決定部35では、直接波決定部34で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部33で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0025】
レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4は、積分路探索手段3の出力である直接波レンジビンj、間接波レンジビンi(総数M)を入力し、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施する。すなわち、間接波レンジビンiに含まれる振幅検波後のビデオ信号を直接波レンジビンに加算する。加算後の間接波レンジビンiにはノイズレベル相当の振幅値を与える。積分後の結果は、メモリ100に蓄える。以上、積分路探索手段3(振幅検波部31〜間接波決定部35)からレンジ方向ノンコヒーレント積分手段4までの処理をパルスヒット毎に実施する。
【0026】
ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5は、パルスヒット毎に得たレンジ方向ノンコヒーレント積分手段4の出力をヒット方向に積分処理する。この処理は従来と変わらず、同じレンジビン同士の振幅情報をヒット方向に加算処理する。
【0027】
閾値手段6は、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5の出力である積分結果を入力し、閾値処理を実施する。閾値を越えたレンジビンに対して目標の検出とみなす。
【0028】
つづいて、この実施の形態1に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の積分路探索を説明するための図である。また、図6は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【0029】
積分路探索手段3では、パルス圧縮手段2の出力に基づき、積分路を探索する。まず、振幅検波部31は、レンジビン毎のディジタルビデオ信号V(j)について、次の式(1)のように振幅値A(j)を算出する。ここで、kはヒット番号、jはレンジビン番号を表す。
【0030】
【数1】

【0031】
積分路探索部32は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。図4におけるヒット1からヒット1’への矢印のながれがレンジビンの遷移を表しており、積分路探索部32では、図4に示す間接波レンジビンiから直接波レンジビンjへのすべての遷移を設定する。なお、ヒット1、ヒット1’とは厳密には同じパルスヒットによる受信データであるが、間接波から直接波への遷移を示すために記号を分けている。間接波から直接波への遷移の設定は、式(2)の関係に基づいて処理される。各レンジビンを直接波レンジビンとみなした場合、間接波の遅れ量は、式(2)の関係によって記述されるため、各レンジビンを直接波と仮定した場合の間接波からの積分路が決まる。式(2)において、rは直接波レンジビン、rはレーダ装置とリピータの距離を、θはレーダ装置の方位角、θはレーダ装置から見たリピータの方位角、Δrはシステム雑音を表す。式(2)のように、間接波は直接波に比べて距離が遠いことを想定しているため、間接波から直接波への推移は、図4に示す如く右斜め下の方向となる。
【0032】
積分路評価部33は、積分路探索部32で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価は、式(3)、(4)に示す評価関数を使用する。ここで、Aは図4に示すヒット1’におけるレンジビンの集まりである。式(3)において、右辺第1項はヒット1から1’までの評価関数の増分、右辺第2項はヒット1までの評価関数を表す。したがって、各ヒットまでの評価関数は、各ヒットから次ヒットに至る評価関数の増分を算出し、それを累積することで得られる。式(4)において、右辺第1項は目標がレンジビンAk−1からAに推移する確率、右辺第2項は目標がθに存在した場合の受信信号の振幅値zの確率密度(目標の振幅モデルより算出)ならびに受信機雑音振幅値の確率密度の尤度比である。式(4)のうち、推移確率に相当する項については、推移確率設定部36により設定され、設定方法としては、例えば式(5)に従う。ここで、Lは遷移の総数である。
【0033】
図1の処理を式(3)、(4)を用いて表現したものを図5に示す。図5の丸印(○)は、レンジビンを示している。縦方向がレンジビン番号、横方向がヒット方向のながれ、実際には同じヒットのデータであり、間接波から直接波へのながれを意味する。例えば、ヒット番号1から太い丸印で示したヒット番号1’、レンジビン番号jへの推移を考える。このレンジビンへはヒット番号1のレンジビンから3本の矢印が繋がっている。この矢印は、ヒット番号1から太い丸印で示したヒット番号1’、レンジビン番号jへの推移の可能性があることを示している。積分路評価部33では、この3本の矢印で現される推移を式(3)、(4)を用いて評価する。
【0034】
直接波決定部34では、積分路評価部33で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。例えば、図6(a)において、塗りつぶしたレンジビンが式(3)、(4)で計算される評価関数値の合計が最大となったとすると、塗りつぶしたレンジビンを直接波が存在するレンジビンとみなされる。
【0035】
間接波決定部35では、直接波決定部34で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部33で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。例えば、図6(b)において塗りつぶしたレンジビンがヒット1’における直接波とみなされた場合、間接波の候補は塗りつぶしたレンジビンに接続されているレンジビンとなる。そこで、個々の積分路に対する評価関数の値を参照し、評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0036】
レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4は、積分路探索手段3の出力である直接波レンジビンj、間接波レンジビンi(総数M)を入力し、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施する。すなわち、間接波レンジビンiに含まれる振幅検波後のビデオ信号を、図6(c)に示すように直接波レンジビンに加算する。加算後の間接波レンジビンiにはノイズレベル相当の振幅値を与える。積分後の結果は、メモリ100に蓄える。
【0037】
ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5は、パルスヒット毎に得たレンジ方向ノンコヒーレント積分手段4の出力をヒット方向に積分処理する。この処理は従来と変わらず、同じレンジビン同士の振幅情報をヒット方向に加算処理する。
【0038】
閾値手段6は、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5の出力である積分結果を入力し、閾値処理を実施する。閾値を越えたレンジビンに対して目標の検出とみなす。
【0039】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができる。
【0040】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るレーダ装置について図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0041】
図7において、この実施の形態2に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段7と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段8と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、閾値手段6と、メモリ100とが設けられている。
【0042】
また、積分路探索手段7は、振幅検波部71と、積分路探索部72と、積分路評価部73と、直接波決定部74と、間接波決定部75と、推移確率設定部76とが設けられている。
【0043】
つぎに、この実施の形態2に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。ここでは、この実施の形態2の要旨とする部分のみを説明する。
【0044】
図7において、積分路探索手段7は、パルス圧縮手段2の出力に基づき、レーダからの送信波が目標で反射された直接波と目標で反射されリピータを介した間接波とが存在するレンジビンを推定する。この結果により、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する。
【0045】
振幅検波部71は、パルス圧縮後のレンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出する。
【0046】
積分路探索部72は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。
【0047】
積分路評価部73では、積分路探索部72で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価においては、間接波レンジビンから直接波レンジビンへの推移の可能性である推移確率の設定が必要であり、その設定を推移確率設定部76において実施する。
【0048】
直接波決定部74では、積分路評価部73で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計上位N(1以上の自然数)個のヒット1’におけるレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0049】
間接波決定部75では、直接波決定部74で得られたN個の直接波レンジビンの積分路をそれぞれ逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部73で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。直接波はN個抽出されているので間接波とみなされるレンジビンの総数はN×Mとなる。
【0050】
レンジ方向ノンコヒーレント積分手段8は、積分路探索手段7の出力である直接波レンジビンj(総数N)、間接波レンジビンi(N通りの直接波毎に総数M)を入力し、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施する。すなわち、間接波レンジビンiに含まれる振幅検波後のビデオ信号を直接波レンジビンに加算する。加算後の間接波レンジビンiにはノイズレベル相当の振幅値を与える。積分後の結果は、メモリ100に蓄える。
【0051】
つづいて、この実施の形態2に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。図8は、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【0052】
積分路探索手段7では、パルス圧縮手段2の出力に基づき、積分路を探索する。まず、振幅検波部71は、レンジビン毎のディジタルビデオ信号V(j)について、式(1)のように振幅値A(j)を算出する。ここで、kはヒット番号、jはレンジビン番号を表す。
【0053】
積分路探索部72は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。間接波から直接波への遷移の設定は、式(2)の関係に基づいて処理される。各レンジビンを直接波レンジビンとみなした場合、間接波の遅れ量は、式(2)の関係によって記述されるため、各レンジビンを直接波と仮定した場合の間接波からの積分路が決まる。式(2)において、rは直接波レンジビン、rはレーダ装置とリピータの距離、θはレーダ装置の方位角、θはレーダ装置から見たリピータの方位角、Δrはシステム雑音を表す。式(2)のように、間接波は直接波に比べて距離が遠いことを想定しているため、間接波から直接波への推移は、図4に示す如く右斜め下の方向となる。
【0054】
積分路評価部73は、積分路探索部72で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価は、式(3)、(4)に示す評価関数を使用する。ここで、Aは図4に示すヒット1’におけるレンジビンの集まりである。式(3)において、右辺第1項はヒット1から1’までの評価関数の増分、右辺第2項はヒット1までの評価関数を表す。したがって、各ヒットまでの評価関数は、各ヒットから次ヒットに至る評価関数の増分を算出し、それを累積することで得られる。式(4)において、右辺第1項は目標がレンジビンAk−1からAに推移する確率、右辺第2項は目標がθに存在した場合の受信信号の振幅値zの確率密度(目標の振幅モデルより算出)ならびに受信機雑音振幅値の確率密度の尤度比である。式(4)のうち、推移確率に相当する項については、推移確率設定部76により設定され、設定方法としては、例えば式(5)に従う。ここで、Lは遷移の総数である。
【0055】
直接波決定部74では、積分路評価部73で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計上位N個までのヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。例えば、図8(a)において塗りつぶしたレンジビンが式(3)、(4)で計算される評価関数値の合計上位N個とすると、塗りつぶしたレンジビンを直接波が存在するレンジビンとみなされる。
【0056】
間接波決定部75では、直接波決定部74で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部73で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。例えば、図8(b)において塗りつぶしたレンジビンがヒット1’における直接波とみなされた場合、間接波の候補は塗りつぶしたレンジビンに接続されているレンジビンとなる。そこで、個々の積分路に対する評価関数値を参照し、評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0057】
レンジ方向ノンコヒーレント積分手段8は、積分路探索手段7の出力である直接波レンジビンj、間接波レンジビンi(総数M)を入力し、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施する。すなわち、間接波レンジビンiに含まれる振幅検波後のビデオを図8(c)に示すように直接波レンジビンに加算する。加算後の間接波レンジビンiにはノイズレベル相当の振幅値を与える。積分後の結果は、メモリ100に蓄える。
【0058】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができ、かつ複数目標に対応することができる。
【0059】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るレーダ装置について図9を参照しながら説明する。図9は、この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0060】
図9において、この実施の形態3に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段9と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、閾値手段6と、メモリ100とが設けられている。
【0061】
また、積分路探索手段9は、振幅検波部91と、積分路探索部92と、積分路評価部93と、直接波決定部94と、間接波決定部95と、推移確率設定部96と、ヒット数カウンタ97と、探索ヒット数設定部98とが設けられている。
【0062】
つぎに、この実施の形態3に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。ここでは、この実施の形態3の要旨とする部分のみを説明する。
【0063】
図9において、積分路探索手段9は、パルス圧縮手段2の出力に基づき、目標からの直接波とリピータを介した目標からの間接波とが存在するレンジビンを推定する。この結果により、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する。
【0064】
振幅検波部91は、パルス圧縮後のレンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出する。
【0065】
積分路探索部92は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。
【0066】
積分路評価部93では、積分路探索部92で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価においては、間接波レンジビンから直接波レンジビンへの推移の可能性である推移確率の設定が必要であり、その設定を推移確率設定部96において実施する。
【0067】
直接波決定部94では、積分路評価部93で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’におけるレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0068】
間接波決定部95では、直接波決定部94で得られた直接波レンジビンの積分路をそれぞれ逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部93で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0069】
ヒット数カウンタ97は、パルスヒット毎のビデオ信号を受信するごとにヒット数をカウントし、カウント値を直接波決定部94、間接波決定部95にそれぞれ出力する。また、探索ヒット数設定部98は、探索処理を実施するヒット数上限値HL(1以上の自然数)が設定されており、ヒット数上限値HLを直接波決定部94、間接波決定部95にそれぞれ出力する。直接波決定部94及び間接波決定部95は、ヒット数カウンタ97により出力されるヒット数がヒット数上限値HLを上回る場合には、それぞれ探索処理を実施せずに前ヒットで出力された直接波レンジビン、間接波レンジビンの値を適用する。
【0070】
つづいて、この実施の形態3に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。
【0071】
積分路探索手段9では、パルス圧縮手段2の出力に基づき、積分路を探索する。まず、振幅検波部91は、レンジビン毎のディジタルビデオ信号V(j)について、式(1)のように振幅値A(j)を算出する。ここで、kはヒット番号、jはレンジビン番号を表す。
【0072】
積分路探索部92は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。間接波から直接波への遷移の設定は、式(2)の関係に基づいて処理される。各レンジビンを直接波レンジビンとみなした場合、間接波の遅れ量は、式(2)の関係によって記述されるため、各レンジビンを直接波と仮定した場合の間接波からの積分路が決まる。式(2)において、rは直接波レンジビン、rはレーダ装置とリピータの距離、θはレーダ装置の方位角、θはレーダ装置から見たリピータの方位角、Δrはシステム雑音を表す。式(2)のように、間接波は直接波に比べて距離が遠いことを想定しているため、間接波から直接波への推移は、図4に示す如く右斜め下の方向となる。
【0073】
積分路評価部93は、積分路探索部92で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価は、式(3)、(4)に示す評価関数を使用する。ここで、Aは図4に示すヒット1’におけるレンジビンの集まりである。式(3)において、右辺第1項はヒット1から1’までの評価関数の増分、右辺第2項はヒット1までの評価関数を表す。したがって、各ヒットまでの評価関数は、各ヒットから次ヒットに至る評価関数の増分を算出し、それを累積することで得られる。式(4)において、右辺第1項は目標がレンジビンAk−1からAに推移する確率、右辺第2項は目標がθに存在した場合の受信信号の振幅値zの確率密度(目標の振幅モデルより算出)ならびに受信機雑音振幅値の確率密度の尤度比である。式(4)のうち、推移確率に相当する項については、推移確率設定部96により設定され、設定方法としては、例えば式(5)に従う。ここで、Lは遷移の総数である。
【0074】
ヒット数カウンタ97は、パルスヒット毎のビデオ信号を受信するごとにヒット数をカウントし、カウント値を直接波決定部94、間接波決定部95にそれぞれ出力する。
【0075】
直接波決定部94では、積分路評価部93で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。ただし、探索ヒット数設定部98により設定された探索処理のヒット数上限値HLを、ヒット数カウンタ97のカウント値が上回った場合には、探索処理は実施せずに前ヒットでの探索結果を使用する。
【0076】
間接波決定部95では、直接波決定部94で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部93で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。ただし、探索ヒット数設定部98により設定された探索処理のヒット数上限値HLを、ヒット数カウンタ97のカウント値が上回った場合には、探索処理は実施せずに前ヒットでの探索結果を使用する。
【0077】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができ、かつ結果がヒット毎に変わることを防ぐことができる。
【0078】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係るレーダ装置について図10及び図11を参照しながら説明する。図10は、この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0079】
図10において、この実施の形態4に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段10と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、閾値手段6と、メモリ100とが設けられている。
【0080】
また、積分路探索手段10は、振幅検波部101と、積分路探索部102と、積分路評価部103と、直接波決定部104と、間接波決定部105と、推移確率設定部106と、直接波候補選択部107とが設けられている。
【0081】
つぎに、この実施の形態4に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態4に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。ここでは、この実施の形態4の要旨とする部分のみを説明する。
【0082】
図10において、積分路探索手段10は、パルス圧縮手段2の出力に基づき、レーダからの送信波が目標で反射された直接波と目標で反射されリピータを介した間接波とが存在するレンジビンを推定する。この結果により、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する。
【0083】
振幅検波部101は、パルス圧縮後のレンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出する。
【0084】
積分路探索部102は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図11に示すように設定する。図11におけるヒット1からヒット1’への矢印のながれがレンジビンの遷移を表しており、積分路探索部102では、図11に示す間接波レンジビンiから直接波レンジビンjへのすべての遷移を設定する。
【0085】
これまでの実施の形態においては、全レンジビンを積分路探索の対象としていたが、本実施の形態4においては、積分路探索の対象を限定する。すなわち、直接波候補選択部107により、振幅検波部101の出力に基づき、直接波レンジビンの候補を振幅検波部101が算出した振幅値の上位AP(1以上の自然数)レンジビン分を直接波の候補とみなす。
【0086】
積分路評価部103では、積分路探索部102で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価においては、間接波レンジビンから直接波レンジビンへの推移の可能性である推移確率の設定が必要であり、その設定を推移確率設定部106において実施する。
【0087】
直接波決定部104では、積分路評価部103で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0088】
間接波決定部105では、直接波決定部104で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部103で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0089】
つづいて、この実施の形態4に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。
【0090】
積分路探索手段10では、パルス圧縮手段2の出力に基づき、積分路を探索する。まず、振幅検波部101は、レンジビン毎のディジタルビデオ信号V(j)について、式(1)のように振幅値A(j)を算出する。ここで、kはヒット番号、jはレンジビン番号を表す。
【0091】
積分路探索部102は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図11に示すように設定する。図11におけるヒット1からヒット1’への矢印のながれがレンジビンの遷移を表しており、積分路探索部102では、図11に示す間接波レンジビンiから直接波レンジビンjへのすべての遷移を設定する。
【0092】
但し、直接波の候補としては、直接波候補選択部107により、振幅検波部101の出力に基づき、振幅検波部101が算出した振幅値の上位APレンジビン分を直接波の候補とみなす。すなわち、ヒット1’における直接波の候補は、図11の太線で示したレンジビンに限定される。
【0093】
間接波から直接波への遷移の設定は、式(2)の関係に基づいて処理される。各レンジビンを直接波レンジビンとみなした場合、間接波の遅れ量は、式(2)の関係によって記述されるため、各レンジビンを直接波と仮定した場合の間接波からの積分路が決まる。但し、直接波の候補は振幅値が上位APレンジビンであるため、それ以外のレンジビンの積分路は棄却される。式(2)において、rは直接波レンジビン、rはレーダ装置とリピータの距離、θはレーダ装置の方位角、θはレーダ装置から見たリピータの方位角、Δrはシステム雑音を表す。式(2)のように、間接波は直接波に比べて距離が遠いことを想定しているため、間接波から直接波への推移は、図11に示す如く右斜め下の方向となる。
【0094】
積分路評価部103は、積分路探索部102で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価方法は、他の実施の形態と同様なので省略する。
【0095】
直接波決定部104では、積分路評価部103で得た積分路に対する評価値の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0096】
間接波決定部105では、直接波決定部104で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部103で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0097】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができる。また、直接波レンジビンの候補を絞りこむことで処理、負荷の軽減を図ることができる。
【0098】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係るレーダ装置について図12及び図13を参照しながら説明する。図12は、この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0099】
図12において、この実施の形態5に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段11と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、閾値手段6と、メモリ100とが設けられている。
【0100】
また、積分路探索手段11は、振幅検波部111と、積分路探索部112と、積分路評価部113と、直接波決定部114と、間接波決定部115と、推移確率設定部116と、CFAR型直接波候補選択部117とが設けられている。
【0101】
つぎに、この実施の形態5に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。図13は、この発明の実施の形態5に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。ここでは、この実施の形態5の要旨とする部分のみを説明する。
【0102】
図12において、積分路探索手段11は、パルス圧縮手段2の出力に基づき、レーダからの送信波が目標で反射された直接波と目標で反射されリピータを介した間接波とが存在するレンジビンを推定する。この結果により、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する。
【0103】
振幅検波部111は、パルス圧縮後のレンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出する。
【0104】
積分路探索部112は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図13に示すように設定する。図13におけるヒット1からヒット1’への矢印のながれがレンジビンの遷移を表しており、積分路探索部112では、図13に示す間接波レンジビンiから直接波レンジビンjへの遷移を設定する。
【0105】
但し、本実施の形態5においては、上記実施の形態4と同様に積分路探索の対象を限定する。すなわち、直接波レンジビンの候補としては、CFAR型直接波候補選択部117により、受信ビデオデータにCFAR(Constant False Alarm Rate)処理を実施し、閾値以上となったレンジビンを直接波の候補とみなす。CFAR処理については従来の方法と同じであり、レンジビン毎の振幅値より各レンジビンに対する閾値を決定する。
【0106】
積分路評価部113では、積分路探索部112で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価においては、間接波レンジビンから直接波レンジビンへの推移の可能性である推移確率の設定が必要であり、その設定を推移確率設定部116において実施する。
【0107】
直接波決定部114では、積分路評価部113で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0108】
間接波決定部115では、直接波決定部114で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部113で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0109】
つづいて、この実施の形態5に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。
【0110】
積分路探索手段11では、パルス圧縮手段2の出力に基づき、積分路を探索する。まず、振幅検波部111は、レンジビン毎のディジタルビデオ信号V(j)について、式(1)のように振幅値A(j)を算出する。ここで、kはヒット番号、jはレンジビン番号を表す。
【0111】
積分路探索部112は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図13に示すように設定する。図13におけるヒット1からヒット1’への矢印のながれがレンジビンの遷移を表しており、積分路探索部112では、図13に示す間接波レンジビンiから直接波レンジビンjへの遷移を設定する。
【0112】
但し、直接波の候補としては、CFAR型直接波候補選択部117により、ヒット1’にCFAR処理を施し、閾値を超えたレンジビンを直接波の候補とみなす。すなわち、ヒット1’における直接波の候補は、図13の太線で示したレンジビンに限定される。
【0113】
間接波から直接波への遷移の設定は、式(2)の関係に基づいて処理される。各レンジビンを直接波レンジビンとみなした場合、間接波の遅れ量は、式(2)の関係によって記述されるため、各レンジビンを直接波と仮定した場合の間接波からの積分路が決まる。但し、直接波の候補はCFAR閾値を超えたレンジビンであるため、それ以外のレンジビンの積分路は棄却される。式(2)において、rは直接波レンジビン、rはレーダ装置とリピータの距離、θはレーダ装置の方位角、θはレーダ装置から見たリピータの方位角、Δrはシステム雑音を表す。式(2)のように、間接波は直接波に比べて距離が遠いことを想定しているため、間接波から直接波への推移は、図13に示す如く右斜め下の方向となる。
【0114】
積分路評価部113は、積分路探索部112で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価方法は、他の実施の形態と同様なので省略する。
【0115】
直接波決定部114では、積分路評価部113で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0116】
間接波決定部115では、直接波決定部114で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部113で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。
【0117】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができる。また、直接波レンジビンの候補を絞りこむことで処理、負荷の軽減を図ることができる。
【0118】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係るレーダ装置について図14及び図15を参照しながら説明する。図14は、この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0119】
図14において、この実施の形態6に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段12と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段13と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段14と、閾値手段6とが設けられている。
【0120】
また、積分路探索手段12は、振幅検波部121と、積分路探索部122と、積分路評価部123と、直接波決定部124と、間接波決定部125と、推移確率設定部126と、メモリ127と、第2の直接波決定部128と、第2の間接波決定部129とが設けられている。
【0121】
つぎに、この実施の形態6に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。ここでは、この実施の形態6の要旨とする部分のみを説明する。
【0122】
図14において、積分路探索手段12は、パルス圧縮手段2の出力に基づき、レーダからの送信波が目標で反射された直接波と目標で反射されリピータを介した間接波とが存在するレンジビンを推定する。この結果により、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する。
【0123】
振幅検波部121は、パルス圧縮後のレンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出する。
【0124】
積分路探索部122は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。図4において、縦方向はレンジビンを表している。レンジビンとは距離の最小単位を意味し、A/D変換のサンプリング周期で決まる。ここでは、全レンジビン数をmとおく。また、横方向は間接波から直接波への積分路の推移を表しており、これらは同一ヒットにおけるパルス圧縮後の受信信号である。
【0125】
積分路評価部123では、積分路探索部122で設定した積分路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価においては、間接波レンジビンから直接波レンジビンへの推移の可能性である推移確率の設定が必要であり、その設定を推移確率設定部126において実施する。
【0126】
直接波決定部124では、積分路評価部123で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0127】
間接波決定部125では、直接波決定部124で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部123で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。以上の処理を信号処理周期(SPI:Signal Processing Interval)内の全ヒットに対して実施し、それらの結果をメモリ127に記憶する。
【0128】
第2の直接波決定部128では、ヒット毎の直接波選択結果を参照し、直接波とみなさたレンジビンのうち、選択頻度が最も高いレンジビンを直接波レンジビンとみなす。どのヒットにおいても直接波レンジビンが異なる場合は、ヒット毎に選択されたレンジビンを出力する。
【0129】
第2の間接波決定部129では、第2の直接波決定部128の結果を入力し、第2の直接波決定部128の出力と同じレンジビンが選択されたヒットにおける間接波選択結果をメモリ127より参照する。その中で選択頻度の高い上位M個の間接波レンジビンを第2の間接波決定部129の出力とみなす。
【0130】
レンジ方向ノンコヒーレント積分手段13は、積分路探索手段12の出力である直接波レンジビンj、間接波レンジビンi(総数M)を入力し、レンジ方向にノンコヒーレント積分を全ヒットに対して実施する。すなわち、積分路探索手段12によってヒット間で同じレンジビンが直接波とみなされる場合は同じ積分処理を実施する。ヒット間で異なるレンジビンが直接波とみなされた場合はヒット毎に異なる積分シフト量を与える。
【0131】
ヒット方向ノンコヒーレント積分手段14は、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段13の出力に基づき、同じレンジビン同士をヒット間で積分する。
【0132】
つづいて、この実施の形態6に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。図15は、この発明の実施の形態6に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【0133】
積分路探索手段12では、パルス圧縮手段2の出力に基づき、積分路を探索する。まず、振幅検波部121は、レンジビン毎のディジタルビデオ信号V(j)について、式(1)のように振幅値A(j)を算出する。ここで、kはヒット番号、jはレンジビン番号を表す。
【0134】
積分路探索部122は、レンジビン毎に間接波から直接波への積分路を考慮した積分路を図4に示すように設定する。間接波から直接波への遷移の設定は、式(2)の関係に基づいて処理される。各レンジビンを直接波レンジビンとみなした場合、間接波の遅れ量は、式(2)の関係によって記述されるため、各レンジビンを直接波と仮定した場合の間接波からの積分路が決まる。式(2)において、rは直接波レンジビン、rはレーダ装置とリピータの距離、θはレーダ装置の方位角、θはレーダ装置から見たリピータの方位角、Δrはシステム雑音を表す。式(2)のように、間接波は直接波に比べて距離が遠いことを想定しているため、間接波から直接波への推移は、図4に示す如く右斜め下の方向となる。
【0135】
積分路評価部123は、積分路探索部122で設定した積分探査路を評価関数(例えば、トラックスコア:track score)で評価し、目標が存在する可能性を評価する。積分路の評価は、式(3)、(4)に示す評価関数を使用する。ここで、Aは図4に示すヒット1’におけるレンジビンの集まりである。式(3)において、右辺第1項はヒット1から1’までの評価関数の増分、右辺第2項はヒット1までの評価関数を表す。したがって、各ヒットまでの評価関数は、各ヒットから次ヒットに至る評価関数の増分を算出し、それを累積することで得られる。式(4)において、右辺第1項は目標がレンジビンAk−1からAに推移する確率、右辺第2項は目標がθに存在した場合の受信信号の振幅値zの確率密度(目標の振幅モデルより算出)ならびに受信機雑音振幅値の確率密度の尤度比である。式(4)のうち、推移確率に相当する項については、推移確率設定部126により設定され、設定方法としては、例えば式(5)に従う。ここで、Lは遷移の総数である。
【0136】
直接波決定部124では、積分路評価部123で得た積分路に対する評価関数の値を参照し、直接波が存在するレンジビンを決定する。すなわち、ヒット1’におけるレンジビンj毎にレンジビンj(j=1,…,m)が接続されているヒット1でのレンジビンi(i=1,…,m)からの評価関数値の合計を算出する。評価関数値の合計が最大となるヒット1’のレンジビンjを直接波が存在するレンジビンとみなす。
【0137】
間接波決定部125では、直接波決定部124で得られた直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、間接波レンジビンを決定する。すなわち、直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路評価部123で得た積分路毎の評価関数値を参照する。リピータ数Mは既知であることから評価関数値の上位M個の積分路を抽出し、積分路の接続元であるヒット1におけるレンジビンi(総数M)を間接波とみなす。以上の処理を信号処理周期(SPI)内の全ヒットに対して適用し、その結果をメモリ127に記憶させる。
【0138】
第2の直接波決定部128では、ヒット毎の直接波選択結果を参照し、直接波とみなさたレンジビンのうち、選択頻度が最も高いレンジビンを直接波レンジビンとみなす。どのヒットにおいても直接波レンジビンが異なる場合は、ヒット毎に選択されたレンジビンを出力する。
【0139】
第2の間接波決定部129では、第2の直接波決定部128の結果を入力し、第2の直接波決定部128の出力と同じレンジビンが選択されたヒットにおける間接波選択結果をメモリ127より参照する。その中で選択頻度の高い上位M個の間接波レンジビンを第2の間接波決定部129の出力とみなす。
【0140】
レンジ方向ノンコヒーレント積分手段13は、積分路探索手段12の出力である直接波レンジビンj、間接波レンジビンi(総数M)を入力し、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施する。すなわち、積分路探索手段12によってヒット間で同じレンジビンが直接波とみなされる場合は、図15(a)のように同じ積分処理を実施する。ヒット間で異なるレンジビンが直接波とみなされた場合は、図15(b)のようにヒット毎に異なる積分シフト量を与える。
【0141】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができる。また、信号処理周期内の全ヒットについて直接波、間接波の選択結果について整合性を取ることで、ヒット毎に結果が異なり不安定となることを防ぐことができる。
【0142】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係るレーダ装置について図16を参照しながら説明する。図16は、この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0143】
図16において、この実施の形態7に係るレーダ装置は、受信手段1と、パルス圧縮手段2と、積分路探索手段3と、レンジ方向ノンコヒーレント積分手段4と、ヒット方向ノンコヒーレント積分手段5と、閾値手段6と、測位手段15と、メモリ100とが設けられている。
【0144】
また、積分路探索手段3は、振幅検波部31と、積分路探索部32と、積分路評価部33と、直接波決定部34と、間接波決定部35と、推移確率設定部36とが設けられている。
【0145】
つぎに、この実施の形態7に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。ここでは、この実施の形態7の要旨とする部分のみを説明する。
【0146】
図16において、測位手段15は、閾値手段6により目標の検出と判定されると、直接波ならびに間接波レンジビンから目標の3次元位置を定める。直接波レンジビン、間接波レンジビンが定まると、それらの距離差を表す関係式より目標の3次元位置を最小自乗法により算出できる。
【0147】
つづいて、この実施の形態7に係るレーダ装置の詳細動作について数式及び図面を参照しながら説明する。
【0148】
測位手段15は、閾値手段6により目標の検出と判定されると、積分路探索手段3により得られた直接波ならびに間接波レンジビンを入力する。直接波ならびに間接波レンジビンより、それらの距離差が得られるから、その関係は次の式(6)のように記述できる。
【0149】
【数2】

【0150】
ここで、(x、y、z)は未知である目標の3次元位置、(x、y、z)は既知のリピータ設置位置、(x、y、z)はレーダ装置の設置位置である。Δは直接波と間接波の距離差である。
【0151】
このように未知数は目標の3次元位置であるが、リピータ数は既知でその数はMであるから、式(6)のような関係式がリピータ設置数分のM個得られる。従って、最小自乗法によって未知数を導出することが可能である。最小自乗法による導出については自明であるため説明を省略する。
【0152】
以上のような構成により、直接波、間接波が存在するレンジビンを推定することで、低SNR環境を想定した電力の微弱な目標に対しても検出性能を改善することができる。また、低SNR環境においても目標の3次元位置が測位可能である。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置とリピータの配置関係を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の直接波と間接波の関係を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の間接波から直接波への積分路を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の積分路探索を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係るレーダ装置のレンジビン間積分を説明するための図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図17】従来のレーダ装置におけるGPS衛星、GPS受信機及び目標の配置関係を示す図である。
【図18】従来のレーダ装置における直接波と間接波の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0154】
1 受信手段、2 パルス圧縮手段、3 積分路探索手段、4 レンジ方向ノンコヒーレント積分手段、5 ヒット方向ノンコヒーレント積分手段、6 閾値手段、7 積分路探索手段、8 レンジ方向ノンコヒーレント積分手段、9 積分路探索手段、10 積分路探索手段、11 積分路探索手段、12 積分路探索手段、13 レンジ方向ノンコヒーレント積分手段、14 ヒット方向ノンコヒーレント積分手段、15 測位手段、31 振幅検波部、32 積分路探索部、33 積分路評価部、34 直接波決定部、35 間接波決定部、36 推移確率設定部、71 振幅検波部、72 積分路探索部、73 積分路評価部、74 直接波決定部、75 間接波決定部、76 推移確率設定部、91 振幅検波部、92 積分路探索部、93 積分路評価部、94 直接波決定部、95 間接波決定部、96 推移確率設定部、97 ヒット数カウンタ、98 探索ヒット数設定部、100 メモリ、101 振幅検波部、102 積分路探索部、103 積分路評価部、104 直接波決定部、105 間接波決定部、106 推移確率設定部、107 直接波候補選択部、111 振幅検波部、112 積分路探索部、113 積分路評価部、114 直接波決定部、115 間接波決定部、116 推移確率設定部、117 CFAR型直接波候補選択部、121 振幅検波部、122 積分路探索部、123 積分路評価部、124 直接波決定部、125 間接波決定部、126 推移確率設定部、127 メモリ、128 第2の直接波決定部、129 第2の間接波決定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信を行う1つのアクティブセンサと複数のリピータによって構成されるセンサネットワークにおいて、
レーダからの送信波が目標で反射された直接波、及び目標で反射されリピータを介した間接波を含む反射パルスを受信し、パルスヒット毎の受信信号をA/D変換する受信手段と、
パルスヒット毎の受信信号と送信信号との相関をとるパルス圧縮手段と、
前記パルス圧縮手段の出力に基づき、前記直接波及び間接波が存在するレンジビンを推定し、間接波が存在するレンジビンから直接波が存在するレンジビンへの積分路を決定する積分路探索手段と、
前記積分路探索手段によって得られた積分路に従って、レンジ方向にノンコヒーレント積分を実施するレンジ方向ノンコヒーレント積分手段と、
パルスヒット毎に得た前記レンジ方向ノンコヒーレント積分手段の出力をヒット方向にノンコヒーレント積分を実施するヒット方向ノンコヒーレント積分手段と、
前記ヒット方向ノンコヒーレント積分手段の積分結果を閾値処理し、閾値を越えたレンジビンに対して目標の検出とみなす閾値手段と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記積分路探索手段は、
前記積分路を評価関数で評価し、評価関数値の合計が最大のレンジビンを直接波とみなすとともに、
直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路毎の評価関数値を参照し、評価関数値が上位の積分路を抽出し、抽出した積分路の接続元であるレンジビンを間接波とみなす
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記積分路探索手段は、
前記積分路を評価関数で評価し、複数目標の存在を考慮し、評価関数値の合計が上位の複数のレンジビンを直接波とみなすとともに、
直接波レンジビンの積分路を逆方向に辿り、積分路毎の評価関数値を参照し、評価関数値が上位の積分路を抽出し、抽出した積分路の接続元であるレンジビンを間接波とみなす
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記積分路探索手段は、
パルスヒット毎のビデオ信号を受信するごとにヒット数をカウントし、
カウント値がヒット数上限値を上回る場合は探索処理を実施せずに前ヒットの探索結果を使用する
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記積分路探索手段は、
レンジビン毎のビデオ信号の振幅値を算出し、
前記振幅値が上位のレンジビンに探索処理の対象を絞る
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記積分路探索手段は、
ビデオ信号にCFAR処理を実施し、
閾値以上のレンジビンに探索処理の対象を絞る
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記積分路探索手段は、
1信号処理周期内のヒット毎の直接波選択結果を参照し、直接波とみなさたレンジビンのうち、選択頻度が最も高いレンジビンを直接波が存在するレンジビンとみなすとともに、
1信号処理周期内のヒット毎の間接波選択結果を参照し、間接波とみなさたレンジビンのうち、選択頻度が高い上位のレンジビンを間接波が存在するレンジビンとみなす
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記閾値手段による目標の検出後、前記積分路探索手段により算出された前記直接波及び間接波が存在するレンジビンを用いて、直接波レンジビンと間接波レンジビンの距離差を表す関係式に基づいて目標の3次元位置を最小自乗法により算出する測位手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−89504(P2008−89504A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273050(P2006−273050)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】