説明

レーダ装置

【課題】アンビギュイティが発生した場合にも、高精度ドップラー補正を行い、超分解能測距精度の改善を図るレーダ装置を得る。
【解決手段】周波数をステップ状に変えて電波を生成し、目標で反射した電波を受信する送受信系(10、2〜6)と、受信した前記電波に基づいて目標を検出する目標検出処理系(7、20、30)と、目標信号のドップラー周波数がドップラー帯域幅の範囲外に存在することに起因して発生する速度アンビギュイティを考慮して、ドップラー効果に起因する目標信号の位相回転を補正し、補正後の目標信号の送信周波数方向に対する位相変化に基づいて速度アンビギュイティを解き、目標の超分解能測距を行う超分解能処理系(40、50)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標を検出するためのレーダ装置に関し、特に、高速度で移動する目標を検出するためのレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図22は、従来の超分解能測距方式によるレーダ装置の構成図である。この従来のレーダ装置は、多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)20、非アンビギュイティ考慮型目標検出手段130、非アンビギュイティ考慮型ドップラー補正手段140、非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150で構成され、目標4の測距を行う(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
各構成要素は、以下の機能を有する。多周波送信機10は、周波数をステップ状に変えて電波を生成する送信機である。サーキュレータ2は、電波の送信と受信を切り換える。送受信アンテナ3は、電波の送信または受信を行う。ミキサー5は、受信信号と参照信号をミキシングする。受信機6は、受信信号の帯域制限、位相検波を行う。A/D変換器7は、アナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成する。
【0004】
パルスヒット方向FFT20は、受信信号のドップラー周波数を求める。非アンビギュイティ考慮型目標検出手段130は、速度推定値に関するドップラー周波数帯域幅から定まる速度最大値の整数倍だけの不確定さを考慮せずに(アンビギュイティを考慮せずに)目標の距離と速度を検出する。非アンビギュイティ考慮型ドップラー補正手段140は、パルスヒット方向FFT出力信号の目標信号成分の位相回転を補正する。さらに、非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150は、目標距離を超分解能測距する。
【0005】
次に、図22に示した従来のレーダ装置の動作について説明する。
図23は、従来のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。多周波送信機10から、この図23の時間チャートに従って、送信周波数がfからfのパルスが順次生成され、サーキュレータ2を通して送受信アンテナ3から出力される。
【0006】
目標4で反射したパルスは、再び送受信アンテナ3で受信される。受信パルスは、ミキサー5にて参照信号とミキシングされた後、受信機6で帯域制限、位相検波される。受信機6の出力信号は、A/D変換器7にて周期Tsampでサンプリングされ、ディジタル信号が出力される。
【0007】
ここで、送信周波数f(1≦n≦N)、パルスヒット数n(1≦n≦N)、レンジビンn(1≦n≦N)のA/D変換出力信号をsn、np、nrと表記する。パルスヒット方向FFT20−#nでは、A/D変換出力信号sn、np、nrのドップラー周波数成分であるドップラー信号pn、nd、nr(0≦n≦N-1)を、下式(1)により算出する。なお、下式(1)におけるwnpは、FFTを行う際の重みを表している。
【0008】
【数1】

【0009】
ドップラー信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrは、非アンビギュイティ考慮型目標検出手段130と、非アンビギュイティ考慮型ドップラー補正手段140−#nに伝達される。非アンビギュイティ考慮型目標検出手段130では、ドップラー信号pn、nd、nrの電力値|pn、nd、nrと、誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドとを比較し、目標信号の存在するレンジビンの推定値
【数2】

と、ドップラービンの推定値
【数3】

の組
【数4】

を求める。
【0010】
下式(2)により、各組
【数5】

に対応する目標の速度推定値
【数6】

を算出する。このとき、あらかじめ定められた番号nの送信周波数fn0を用いる。また、下式(2)において、cは光速、TPRIはパルス繰り返し周期を表している。
【0011】
【数7】

【0012】
レンジビン推定値と速度推定値の組
【数8】

と、対応する目標の速度推定値
【数9】

は、非アンビギュイティ考慮型ドップラー補正手段140−#nに伝達される。非アンビギュイティ考慮型ドップラー補正手段140−#nでは、次式(3)によりドップラー補正信号
【数10】

を求める。
【0013】
【数11】

【0014】
ドップラー補正信号
【数12】

は、非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150に伝達される。図24は、従来のレーダ装置における非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150の内部構成を示した図である。この非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150は、相関行列生成手段61、MUSIC用固有ベクトル算出手段62、MUSIC処理手段63で構成されている。ドップラー補正信号
【数13】

は、相関行列生成手段61に伝達される。相関行列生成手段61では、下式(4)により相関行列
【数14】

を生成する。
【0015】
【数15】

【0016】
ここで、Mは、相関行列の次元数、
【数16】

は、ベクトル
【数17】

の共役転置を表している。相関行列
【数18】

は、MUSIC用固有ベクトル算出手段62に伝達される。
【0017】
MUSIC用固有ベクトル算出手段62では、相関行列
【数19】

の固有値
【数20】

と、固有値
【数21】

に対応する固有ベクトル
【数22】

を求める。さらに、固有値
【数23】

の大きさ等から目標数Kを推定する。
【0018】
そして、固有ベクトル
【数24】

を出力する。固有ベクトル
【数25】

は、MUSIC処理手段63に伝達される。MUSIC処理手段63では、固有ベクトル
【数26】

を雑音空間として、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)処理を行う。具体的には、目標距離をrとして、下式(5)によりステアリングベクトル
【数27】

を生成する。
【0019】
【数28】

【0020】
さらに、MUSIC処理手段63は、固有ベクトル
【数29】

の全てに直交するK種類のステアリングa(r)を求める。このときのrを
【数30】

とする。ここで、
【数31】

は、k番目の目標の距離を表している。以上の処理により、ドップラー分解能、レンジ分解能よりも近接したK種類の目標について、距離が求まる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】稲葉敬之他、“多周波ステップICWレーダによる多目標分離法”、電子情報通信学会論文誌 B Vol.J89−B No.3 pp.373−383
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の方式では、高速度で移動する目標については、目標の推定速度にドップラー周波数帯域幅から定まる速度最大値の整数倍だけの不確定さが残るアンビギュイティが発生する。そして、従来のレーダ装置では、このアンビギュイティを解く手段がないため、高精度ドップラー補正を行えず、超分解能測距精度の劣化を引き起こす問題点があった。
【0023】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、アンビギュイティが発生した場合にも、高精度ドップラー補正を行い、超分解能測距精度の改善を図るレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係るレーダ装置は、周波数をステップ状に変えて電波を生成し、目標で反射した電波を受信する送受信系と、受信した前記電波に基づいて目標を検出する目標検出処理系と、目標信号のドップラー周波数がドップラー帯域幅の範囲外に存在することに起因して発生する速度アンビギュイティを考慮して、ドップラー効果に起因する目標信号の位相回転を補正し、補正後の目標信号の送信周波数方向に対する位相変化に基づいて速度アンビギュイティを解き、目標の超分解能測距を行う超分解能処理系とを備えるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るレーダ装置によれば、目標信号のドップラー周波数がドップラー帯域幅の範囲外に存在することに起因して発生する速度アンビギュイティを考慮して、ドップラー効果に起因する目標信号の位相回転を補正し、補正後の目標信号の送信周波数方向に対する位相変化に基づいて速度アンビギュイティを解き、目標の超分解能測距を行う超分解能処理系を備えることにより、アンビギュイティが発生した場合にも、高精度ドップラー補正を行い、超分解能測距精度の改善を図るレーダ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーダ装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における超分解能測距手段の内部構成を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるレーダ装置の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態2のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。
【図5】本発明の実施の形態3におけるレーダ装置の構成図である。
【図6】本発明の実施の形態3のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。
【図7】本発明の実施の形態4におけるレーダ装置の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態5におけるレーダ装置の構成図である。
【図9】本発明の実施の形態5における高速型超分解能測距手段の内部構成を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態6におけるレーダ装置の構成図である。
【図11】本発明の実施の形態7におけるレーダ装置の構成図である。
【図12】本発明の実施の形態8におけるレーダ装置の構成図である。
【図13】本発明の実施の形態8のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。
【図14】本発明の実施の形態9におけるレーダ装置の構成図である。
【図15】本発明の実施の形態9のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。
【図16】本発明の実施の形態10におけるレーダ装置の構成図である。
【図17】本発明の実施の形態10のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。
【図18】本発明の実施の形態11におけるレーダ装置の構成図である。
【図19】本発明の実施の形態12におけるレーダ装置の構成図である。
【図20】本発明の実施の形態13におけるレーダ装置の構成図である。
【図21】本発明の実施の形態14におけるレーダ装置の構成図である。
【図22】従来の超分解能測距方式によるレーダ装置の構成図である。
【図23】従来のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。
【図24】従来のレーダ装置における非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150の内部構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のレーダ装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、以下の全ての実施の形態1〜14において、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、およびA/D変換器7は、共通の構成要素であり、説明を省略する。
【0028】
また、以下の実施の形態1〜14において、送受信系には、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、および符号10〜15のいずれかで示される多周波送信機が含まれる。また、目標検出処理系には、A/D変換器7、符号20または21で示されるFFT、符号30〜37のいずれかで示される目標検出手段、およびパルス圧縮手段80が含まれる。さらに、超分解能処理系には、符号40または41で示されるドップラー補正手段、符号50または51で示される超分解能測距手段、およびソート手段70が含まれる。
【0029】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態1におけるレーダ装置は、多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、目標検出手段30、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50で構成され、目標4の測距を行う。
【0030】
従来のレーダ装置における図22の構成と比較すると、本実施の形態1における図1の構成は、非アンビギュイティ考慮型目標検出手段130、非アンビギュイティ考慮型ドップラー補正手段140、非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150の代わりに、それぞれ、目標検出手段30、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50を備えている点が異なっている。
【0031】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。目標検出手段30は、速度アンビギュイティを考慮した検出目標の速度と距離を出力する。ドップラー補正手段40は、速度アンビギュイティを考慮してドップラー効果により回転した目標信号の位相を補正する。さらに、超分解能測距手段50は、速度アンビギュイティを探索して速度推定値を算出し超分解能測距を行う。
【0032】
次に、図1に示した本実施の形態1におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態1に特有の構成要素を中心に説明する。
多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より電波が送信される。以降、従来技術と同様に動作し、目標検出手段30にドップラー信号pn、nd、nrが伝達される。目標検出手段30では、まずドップラー信号pn、nd、nrの電力値|pn、nd、nrと、誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドとを比較し、目標信号の存在するレンジビンの推定値
【数32】

と、ドップラービンの推定値
【数33】

を求める。さらに、下式(6)により、速度アンビギュイティを考慮した目標速度推定値を求める。ここで、下式(6)における速度アンビギュイティの範囲を定めるLは、あらかじめ設定されているものとする。
【0033】
【数34】

【0034】
次に、速度推定値
【数35】

と、レンジビン推定値
【数36】

を、ドップラー補正手段40に伝達する。ドップラー補正手段40では、下式(7)により、ドップラー効果に起因するドップラー信号
【数37】

の位相回転を補正したドップラー補正信号
【数38】

を生成する。
【0035】
【数39】

【0036】
ドップラー補正信号
【数40】

は、超分解能測距手段50に伝達される。図2は、本発明の実施の形態1における超分解能測距手段50の内部構成を示した図である。従来技術で用いられている図24に示した非アンビギュイティ考慮型超分解能測距手段150の構成と比較すると、本実施の形態1で用いられている図2に示した超分解能測距手段50は、相関行列生成手段61、MUSIC用固有ベクトル算出手段62、MUSIC処理手段63に加え、さらに、アンビギュイティ探索手段64を備えている。
【0037】
相関行列生成手段61にドップラー補正信号
【数41】

が伝達される。以降は、従来技術と同様に動作し、MUSIC処理手段63から
【数42】

レンジビンの
【数43】

ドップラービンにおける目標の測距候補値
【数44】

が出力される。
【0038】
そして、測距候補値
【数45】

は、アンビギュイティ探索手段64に伝達される。また、MUSIC用固有ベクトル算出手段62から、測距候補値
【数46】

を算出するのに用いた雑音空間を構成する固有ベクトル
【数47】

が、アンビギュイティ探索手段64に伝達される。アンビギュイティ探索手段64では、下式(8)により測距候補値
【数48】

に関するアンビギュイティ評価値
【数49】

を算出する。
【0039】
【数50】

【0040】
アンビギュイティ評価値
【数51】

の内、値を最大とする測距候補値を
【数52】

とするとき、これを
【数53】

レンジビンの
【数54】

ドップラービンにおけるk番目目標の測距値
【数55】

とする。
【0041】
以上のように、実施の形態1によれば、目標検出手段、ドップラー補正手段、超分解能測距手段を備えて、レーダ装置を構成している。これにより、速度アンビギュイティが発生しても、これを探索してドップラー補正でき、高精度な超分解能測距を行うことができる。
【0042】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態2におけるレーダ装置は、送信順序ランダム型多周波送信機11、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、目標検出手段30、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50、ソート手段70で構成され、目標4の測距を行う。
【0043】
先の実施の形態1のレーダ装置における図1の構成と比較すると、本実施の形態2における図3の構成は、多周波送信機10の代わりに、送信順序ランダム型多周波送信機11を備えているとともに、さらに、ソート手段70を備えている点が異なっている。
【0044】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。送信順序ランダム型多周波送信機11は、周波数の送信順序をランダムにして送信する。また、ソート手段70は、送信周波数の小さい方から大きい方に受信信号を並べ替える。
【0045】
次に、図3に示した本実施の形態2におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態2に特有の構成要素を中心に説明する。
図4は、本発明の実施の形態2のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。送信順序ランダム型多周波送信機11、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より、図4に示す時間チャートに従って、送信周波数の大小の順序をランダムにして、電波を送信する。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、ソート手段70にドップラー補正信号
【数56】

が入力する。
【0046】
ソート手段70では、ドップラー補正信号
【数57】

を送信周波数の小さい方から大きい方に並べ替えた信号を生成する。この信号を
【数58】

とする。そして、ソート信号
【数59】

は、超分解能測距手段50に伝達される。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、測距値が出力される。
【0047】
以上のように、実施の形態2によれば、送信周波数の順序をランダムにして送信し、後で送信周波数の小さい方から大きい方に受信信号を並べ替える構成を備えている。これにより、時間順序をランダム化し、ドップラー効果による位相変化をランダム化することができる。この結果、速度アンビギュイティがある速度推定値を用いてドップラー補正を行った場合に、ランダム化したドップラー効果による位相変化の影響で、上式(8)のアンビギュイティ評価値が小さくなり、このアンビギュイティ評価値を用いたアンビギュイティ探索を行うことができる。
【0048】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態3におけるレーダ装置は、符号変調型多周波送信機12、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、目標検出手段30、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50、パルス圧縮手段80で構成され、目標4の測距を行う。
【0049】
先の実施の形態1のレーダ装置における図1の構成と比較すると、本実施の形態3における図5の構成は、多周波送信機10の代わりに、符号変調型多周波送信機12を備えているとともに、さらに、パルス圧縮手段80を備えている点が異なっている。
【0050】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。符号変調型多周波送信機12は、符号変調の施されたパルスを生成する。また、パルス圧縮手段80は、符号変調の施されたパルスを圧縮する。
【0051】
次に、図5に示した本実施の形態3におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態3に特有の構成要素を中心に説明する。
図6は、本発明の実施の形態3のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。符号変調型多周波送信機12で、あらかじめ生成したランダム符号列の値(+1か−1)に従って、チップ幅Tchipごとに、送信波の位相を0°か180°回転する。図6に示す時間チャートに従って、送信周波数がfからfのパルスが順次生成され、サーキュレータ2を通して送受信アンテナから出力される。
【0052】
以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、A/D変換器出力信号sn、np、nrがパルス圧縮手段80−#nに伝達される。A/D変換のサンプリング周期Tsampでパルスをサンプリングした場合、Nサンプリングの範囲でパルスがサンプリングされるものとする。パルス圧縮手段80−#nでは、まず、距離0mに静止目標がいるときのA/D変換器出力信号を模擬した参照信号hn、ng(1≦n≦N)を用いる。そして、nレンジビンの相関信号yn、np、nr、ngを、下式(9)により算出する。ここで、下式(9)におけるh*n、ngは、参照信号hn、ngの複素共役を表す。
【0053】
【数60】

【0054】
次に、相関信号yn、np、nr、1・・・、yn、np、nr、NgにFFTを施し、相関信号周波数成分fyn、np、nr、0・・・、fyn、np、nr、Ng-1を求める。さらに、|fyn、np、nr、0・・・、|fyn、np、nr、Ng-1を最大にする相関信号周波数成分を、fyn、np、nr、nd0として、これを下式(10)に示すように、パルス圧縮信号s'n、np、nrとする。ここで、nd0は、粗精度推定されたドップラー周波数のドップラービンを表している。
【0055】
【数61】

【0056】
パルス圧縮信号s'n、np、nrは、パルスヒット方向FFT20−#nに伝達される。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、測距値
【数62】

が求まる。
【0057】
以上のように、実施の形態3によれば、符号変調の施されたパルスを送信し、受信後にパルス圧縮処理する構成を備えている。これにより、遠距離目標の目標信号電力が小さい場合でも、パルス圧縮処理による目標信号電力を積分する効果で、S/N(信号対雑音電力比)を高くすることができ、超分解能測距精度が改善される。
【0058】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態4におけるレーダ装置は、符号変調型多周波送信機12、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段31、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50、パルス圧縮手段80で構成され、目標4の測距を行う。
【0059】
先の実施の形態3のレーダ装置における図5の構成と比較すると、本実施の形態4における図7の構成は、目標検出手段30の代わりに、粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段31を備えている点が異なっている。
【0060】
この異なる構成要素は、以下の機能を有する。粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段31は、パルス圧縮手段80のパルス圧縮処理の過程で推定される粗精度ドップラー推定値より、速度アンビギュイティ探索範囲を設定する。
【0061】
次に、図7に示した本実施の形態4におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態4に特有の構成要素を中心に説明する。
符号変調型多周波送信機12、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より電波が送信される。以降、先の実施の形態3と同様に動作し、粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段31にドップラー信号pn、nd、nrが伝達される。また、パルス圧縮手段80にてパルス圧縮処理の過程で算出された粗精度ドップラービン番号nd0も、粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段31に伝達される。
【0062】
粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段31は、下式(11)により、速度アンビギュイティを考慮した目標速度推定値を求める。ここで、記号[[ ]]は、四捨五入した整数値を出力する関数を表している。
【0063】
【数63】

【0064】
そして、速度推定値
【数64】

とレンジビン推定値
【数65】

が、超分解能測距手段50に伝達される。以降は、先の実施の形態3と同様に動作し、測距値
【数66】

が求まる。
【0065】
以上のように、実施の形態4によれば、目標検出手段として、粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段を備えている。これにより、粗精度推定されたドップラー推定値を用いることで、速度アンビギュイティの探索範囲を限定でき、アンビギュイティ探索に要する処理負荷を低減できる。
【0066】
実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態5におけるレーダ装置は、多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、目標検出手段30、ドップラー補正手段40、高速型超分解能測距手段51で構成され、目標4の測距を行う。
【0067】
先の実施の形態1のレーダ装置における図1の構成と比較すると、本実施の形態5における図8の構成は、超分解能測距手段50の代わりに、高速型超分解能測距手段51を備えている点が異なっている。
【0068】
この異なる構成要素は、以下の機能を有する。高速型超分解能測距手段51は、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法を用いる効果で、超分解能測距処理を高速に行う。
【0069】
次に、図8に示した本実施の形態5におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態5に特有の構成要素を中心に説明する。
図9は、本発明の実施の形態5における高速型超分解能測距手段51の内部構成を示した図である。先の実施の形態1〜4で用いられている図2に示した超分解能測距手段50の構成と比較すると、本実施の形態5で用いられている図9に示した高速型超分解能測距手段51は、MUSIC用固有ベクトル算出手段62、MUSIC処理手段63の代わりに、ESPRIT用固有ベクトル算出手段62a、ESPRIT処理手段63aを備えている。
【0070】
多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より電波が送信される。以降、先の実施の形態1と同様に動作し、高速型超分解能測距手段51にドップラー補正信号
【数67】

が入力される。ドップラー補正信号
【数68】

は、相関行列生成手段61に伝達され、従来技術と同様に動作し、相関行列
【数69】

が生成される。
【0071】
相関行列
【数70】

は、ESPRIT用固有ベクトル算出手段62aに伝達される。ESPRIT用固有ベクトル算出手段62aでは、まず、相関行列
【数71】

の固有値
【数72】

と、固有値
【数73】

に対応する固有ベクトル
【数74】

を求める。さらに、固有値
【数75】

の大きさ等から目標数Kを推定する。
【0072】
そして、固有ベクトル
【数76】

を出力する。また、固有ベクトル
【数77】

を出力する。固有ベクトル
【数78】

は、ESPRIT処理手段63aに伝達される。ESPRIT処理手段63aでは、まず、下式(12)の行列
【数79】

を算出する。
【0073】
【数80】

【0074】
次に、下式(13)により行列
【数81】

を算出する。ここで、下式(13)における行列
【数82】

は、行列
【数83】

のエルミート共役を表している。また、行列J、行列Jは、それぞれM−1行M列の行列で、J(i、k)は、行列Jのi行k列の成分、J(i、k)は、行列Jのi行k列の成分をそれぞれ表している。
【0075】
【数84】

【0076】
そして、下式(14)により各目標の測距候補値
【数85】

を求める。ここで、下式(14)における
【数86】

は、行列
【数87】

のk番目の固有値であり、
【数88】

は、固有値
【数89】

の偏角をそれぞれ表している。また、cは、光速を表している。
【0077】
【数90】

【0078】
測距候補値
【数91】

と、固有ベクトル
【数92】

は、アンビギュイティ探索手段64に伝達される。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、測距値
【数93】

が求まる。
【0079】
以上のように、実施の形態5によれば、ESPRIT法を用いて超分解能測距処理を行う構成を備えている。これにより、高速に測距値を算出できる。
【0080】
実施の形態6.
図10は、本発明の実施の形態6におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態6におけるレーダ装置は、多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、速度平均値出力型目標検出手段32、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50で構成され、目標4の測距を行う。
【0081】
先の実施の形態1のレーダ装置における図1の構成と比較すると、本実施の形態6における図10の構成は、目標検出手段30の代わりに、速度平均値出力型目標検出手段32を備えている点が異なっている。
【0082】
この異なる構成要素は、以下の機能を有する。速度平均値出力型目標検出手段32は、各送信周波数で算出した速度推定値の平均値を出力する。
【0083】
次に、図10に示した本実施の形態6におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態6に特有の構成要素を中心に説明する。
多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より電波が送信される。以降、先の実施の形態1と同様に動作し、速度平均値出力型目標検出手段32にパルスヒット方向FFT出力信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrが入力される。速度平均値出力型目標検出手段32は、各送信周波数にて推定されたドップラービンより求まる目標速度平均値
【数94】

を下式(15)により求める。なお、下式(15)における
【数95】

は、送信周波数fによる送受信で推定されたドップラービンを表している。また、下式(15)における速度アンビギュイティの範囲を定めるLは、あらかじめ設定されているものとする。
【0084】
【数96】

【0085】
目標速度平均値
【数97】

を速度推定値とし、レンジビン推定値
【数98】

と、速度推定値
【数99】

をドップラー補正手段40に伝達する。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、測距値
【数100】

が求まる。
【0086】
以上のように、実施の形態6によれば、速度平均値を出力する目標検出手段を備えている。これにより、各送信周波数にて推定した目標速度を平均する効果で、送信周波数ごとに速度推定値が異なる場合でも、速度推定値の推定誤差を小さくして、速度推定値を求めることができる。
【0087】
実施の形態7.
図11は、本発明の実施の形態7におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態7におけるレーダ装置は、多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、高精度パルスヒット方向FFT21、高精度目標検出手段33、ドップラー補正手段40、超分解能測距手段50で構成され、目標4の測距を行う。
【0088】
先の実施の形態1のレーダ装置における図1の構成と比較すると、本実施の形態7における図11の構成は、パルスヒット方向FFT20、目標検出手段30の代わりに、高精度パルスヒット方向FFT21、高精度目標検出手段33を備えている点が異なっている。
【0089】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。高精度パルスヒット方向FFT21は、ドップラー周波数を高精度に推定する。また、高精度目標検出手段33は、高精度パルスヒット方向FFT出力信号に関して速度アンビギュイティを考慮して検出目標の速度と距離を出力する。
【0090】
次に、図11に示した本実施の形態7におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態7に特有の構成要素を中心に説明する。
多周波送信機10、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より電波が送信される。以降、先の実施の形態1と同様に動作し、高精度パルスヒット方向FFT21−#nにA/D変換器出力信号sn、np、nrが入力される。高精度パルスヒット方向FFT21−#nは、下式(16)によりドップラー信号pn、nd、nrを算出する。ここで、下式(16)では、ドップラー周波数をQ倍の高精度で推定することを想定している。
【0091】
【数101】

【0092】
ドップラー信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrは、高精度目標検出手段33とドップラー補正手段40−#nに伝達される。高精度目標検出手段33は、まず、ドップラー信号pn、nd、nrの電力値|pn、nd、nrと、誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドとを比較する。さらに、送信周波数番号nと目標信号の存在するレンジビンの推定値
【数102】

と、ドップラービンの推定値
【数103】

を求める。そして、下式(17)により、速度アンビギュイティを考慮した目標速度推定値を求める。ここで、下式(17)で速度アンビギュイティの範囲を定めるLは、あらかじめ設定されているものとする。
【0093】
【数104】

【0094】
速度推定値
【数105】

と、レンジビン推定値
【数106】

は、超分解能測距手段50に伝達される。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、測距値
【数107】

が求められる。
【0095】
以上のように、実施の形態7によれば、高精度パルスヒット方向FFT、および高精度目標検出手段を備えている。これにより、目標信号のドップラー周波数を高精度推定することで、目標の速度推定値
【数108】

が高精度に求まり、ドップラー補正を精度よく行うことができる。
【0096】
実施の形態8.
図12は、本発明の実施の形態8におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態8におけるレーダ装置は、同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、同一周波数送信型目標検出手段34、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、超分解能測距手段50で構成され、目標4の測距を行う。
【0097】
先の実施の形態1のレーダ装置における図1の構成と比較すると、本実施の形態8における図12の構成は、多周波送信機10、目標検出手段30、ドップラー補正手段40の代わりに、同一周波数送信型多周波送信機13、同一周波数送信型目標検出手段34、同一周波数送信型ドップラー補正手段41を備えている点が異なっている。
【0098】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。同一周波数送信型多周波送信機13は、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて送信した後、送信周波数をステップさせる。同一周波数送信型目標検出手段34は、同一周波数送信型多周波送信機13にて送受信した信号を用いて、速度アンビギュイティを考慮した検出目標の速度と距離を出力する。また、同一周波数送信型ドップラー補正手段41は、同一周波数送信型多周波送信機13にて送受信した信号に関して、速度アンビギュイティを考慮してドップラー効果により回転した目標信号の位相回転を補正する。
【0099】
次に、図12に示した本実施の形態8におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態8に特有の構成要素を中心に説明する。
図13は、本発明の実施の形態8のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。同一周波数送信型多周波送信機13から図13の時間チャートに従って、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数のパルスの送受信が行われる。そして、周波数をステップさせていき、送信周波数fからfのパルスが順次生成され、サーキュレータ2を通して、送受信アンテナ3から出力される。
【0100】
以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、パルスヒット方向FFT20から同一周波数送信型目標検出手段34にドップラー信号pn、nd、nrが伝達される。同一周波数送信型目標検出手段34は、まず、ドップラー信号pn、nd、nrの電力値|pn、nd、nrと、誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドとを比較し、目標信号の存在するレンジビンの推定値
【数109】

と、ドップラービンの推定値
【数110】

を求める。下式(18)により、速度アンビギュイティを考慮した目標速度推定値を求める。ここで、下式(18)における速度アンビギュイティの範囲を定めるLは、あらかじめ設定されているものとする。
【0101】
【数111】

【0102】
速度推定値
【数112】

と、レンジビン推定値
【数113】

は、同一周波数送信型ドップラー補正手段41に伝達される。同一周波数送信型ドップラー補正手段41は、下式(19)によりドップラー効果に起因するドップラー信号
【数114】

の位相回転を補正し、ドップラー補正信号
【数115】

を生成する。
【0103】
【数116】

【0104】
ドップラー補正信号
【数117】

は、超分解能測距手段50に伝達される。以降は、先の実施の形態1と同様に動作し、測距値
【数118】

が求められる。
【0105】
以上のように、実施の形態8によれば、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて送信し、測距を行う構成を備えている。これにより、パルスヒット方向FFTのサンプリング間隔を短くする効果で、ドップラー周波数帯域幅を広くでき、速度アンビギュイティ数を少なくできる。そのため、アンビギュイティ探索に要する処理負荷を低減することができる。
【0106】
実施の形態9.
図14は、本発明の実施の形態9におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態9におけるレーダ装置は、同一周波数送信型送信順序ランダム型多周波送信機14、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、同一周波数送信型目標検出手段34、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、超分解能測距手段50、ソート手段70で構成され、目標4の測距を行う。
【0107】
先の実施の形態8のレーダ装置における図12の構成と比較すると、本実施の形態9における図14の構成は、同一周波数送信型多周波送信機13の代わりに、同一周波数送信型送信順序ランダム型多周波送信機14を備えるとともに、さらに、ソート手段70を備えている点が異なっている。
【0108】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。ソート手段70は、先の実施の形態2と同じである。また、同一周波数送信型送信順序ランダム型多周波送信機14は、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて送信した後、送信周波数をランダムにステップさせる。
【0109】
次に、図14に示した本実施の形態9におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態9に特有の構成要素を中心に説明する。
図15は、本発明の実施の形態9のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。同一周波数送信型送信順序ランダム型多周波送信機14から図15の時間チャートに従って、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数のパルスの送受信を行った後、送信周波数の大小の順序をランダムにステップさせてfからfのパルスが順次生成される。
【0110】
以降は、先の実施の形態8と同様に動作し、ソート手段70にドップラー補正信号
【数119】

が伝達される。以降は、実施の形態2と同様に動作し、測距値
【数120】

が求められる。
【0111】
以上のように、実施の形態9によれば、送信周波数の順序をランダムにして送信し、後で送信周波数の小さい方から大きい方に受信信号を並べ替える構成(先の実施の形態2と同様の構成)、およびパルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて送信し、測距を行う構成(先の実施の形態8と同様の構成)を備えている。これにより、先の実施の形態2および8の効果を得ることができる。
【0112】
実施の形態10.
図16は、本発明の実施の形態10におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態10におけるレーダ装置は、同一周波数送信型符号変調型多周波送信機15、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、同一周波数送信型目標検出手段34、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、超分解能測距手段50、パルス圧縮手段80で構成され、目標4の測距を行う。
【0113】
先の実施の形態8のレーダ装置における図12の構成と比較すると、本実施の形態10における図16の構成は、同一周波数送信型多周波送信機13の代わりに、同一周波数送信型符号変調型多周波送信機15を備えるとともに、さらに、パルス圧縮手段80を備えている点が異なっている。
【0114】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。パルス圧縮手段80は、先の実施の形態3と同じである。また、同一周波数送信型符号変調型多周波送信機15は、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて符号変調の施されたパルスを送信した後、送信周波数をステップさせる。
【0115】
次に、図16に示した本実施の形態10におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態10に特有の構成要素を中心に説明する。
図17は、本発明の実施の形態10のレーダ装置における送受信パルスの時間チャートを示した説明図である。同一周波数送信型符号変調型多周波送信機15から図17の時間チャートに従って、パルスヒット方向FFT点数分だけパルスの送受信を行った後、周波数をステップさせる処理が行われ送信周波数がfからfのパルスが順次生成される。
【0116】
このパルスには符号変調が施されている。以降は、先の実施の形態8と同様に動作し、A/D変換器出力信号s1、np、nr、・・・、sN、np、nrがパルス圧縮手段80−#nに入力される。以降は、先の実施の形態3と同様に動作し、パルスヒット方向FFT20からドップラー信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrが出力される。以降は、先の実施の形態8と同様に動作し、測距値
【数121】

が求められる。
【0117】
以上のように、実施の形態10によれば、符号変調の施されたパルスを送信し、受信後にパルス圧縮処理する構成(先の実施の形態3と同様の構成)、およびパルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて送信し、測距を行う構成(先の実施の形態8と同様の構成)を備えている。これにより、先の実施の形態3および8の効果を得ることができる。
【0118】
実施の形態11.
図18は、本発明の実施の形態11におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態10におけるレーダ装置は、同一周波数送信型符号変調型多周波送信機15、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段35、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、超分解能測距手段50、パルス圧縮手段80で構成され、目標4の測距を行う。
【0119】
先の実施の形態10のレーダ装置における図16の構成と比較すると、本実施の形態11における図18の構成は、同一周波数送信型目標検出手段34の代わりに、粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段35を備え備えている点が異なっている。
【0120】
この異なる構成要素は、以下の機能を有する。粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段35は、パルス圧縮手段80のパルス圧縮処理の過程で推定される粗精度ドップラー推定値より、速度アンビギュイティ探索範囲を設定する。
【0121】
次に、図18に示した本実施の形態11におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態11に特有の構成要素を中心に説明する。
同一周波数送信型符号変調型多周波送信機15、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より、電波が送信される。以降、先の実施の形態3と同様に動作し、粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段35にドップラー信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrが伝達される。
【0122】
また、パルス圧縮手段80にて、パルス圧縮処理の過程で算出される粗精度ドップラービン番号nd0も伝達される。粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段35は、下式(20)により、速度アンビギュイティを考慮した目標速度推定値を求める。ここで、下式(20)における記号[[ ]]は、四捨五入した整数値を出力する関数を表している。
【0123】
【数122】

【0124】
速度推定値
【数123】

と、レンジビン推定値
【数124】

は、超分解能測距手段50に伝達される。以降は、先の実施の形態10と同様に動作し、測距値
【数125】

が求められる。
【0125】
以上のように、実施の形態11によれば、先の実施の形態10の構成に加え、目標検出手段として、粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段を備えている。これにより、先の実施の形態10の効果に加え、粗精度推定されたドップラー推定値を用いることで、速度アンビギュイティの探索範囲を制限でき、アンビギュイティ探索に要する処理負荷を低減できる。
【0126】
実施の形態12.
図19は、本発明の実施の形態12におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態12におけるレーダ装置は、同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、同一周波数送信型目標検出手段34、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、高速型超分解能測距手段51で構成され、目標4の測距を行う。
【0127】
先の実施の形態8のレーダ装置における図12の構成と比較すると、本実施の形態12における図19の構成は、超分解能測距手段50の代わりに、高速型超分解能測距手段51を備えている点が異なっている。
【0128】
この異なる構成要素は、以下の機能を有する。高速型超分解能測距手段51は、先の実施の形態5と同じである。
【0129】
次に、図19に示した本実施の形態12におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態12に特有の構成要素を中心に説明する。
同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より、電波が送信される。以降、先の実施の形態8と同様に動作し、高速型超分解能測距手段51にドップラー補正信号
【数126】

が伝達される。以降は、先の実施の形態5と同様に動作し、測距値
【数127】

が求められる。
【0130】
以上のように、実施の形態12によれば、先の実施の形態8の構成に加え、ESPRIT法を用いて超分解能測距処理を行う構成を備えている。これにより、先の実施の形態8の効果に加え、超分解能処理にESPRITを用いる効果で、高速に測距値を算出できる。
【0131】
実施の形態13.
図20は、本発明の実施の形態13におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態13におけるレーダ装置は、同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、パルスヒット方向FFT20、速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段36、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、超分解能測距手段50で構成され、目標4の測距を行う。
【0132】
先の実施の形態8のレーダ装置における図12の構成と比較すると、本実施の形態13における図20の構成は、同一周波数送信型目標検出手段34の代わりに、速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段36を備えている点が異なっている。
【0133】
この異なる構成要素は、以下の機能を有する。速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段36は、各送信周波数で算出した速度推定値の平均値を出力する。
【0134】
次に、図20に示した本実施の形態13におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態13に特有の構成要素を中心に説明する。
同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より、電波が送信される。以降、先の実施の形態8と同様に動作し、速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段36にパルスヒット方向FFT出力信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrが伝達される。
【0135】
速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段36は、各送信周波数にて推定されたドップラービンより求まる目標速度平均値
【数128】

を、下式(21)により求める。ここで、下式(21)における
【数129】

は、送信周波数fによる送受信で推定されたドップラービンを表している。
【0136】
【数130】

【0137】
目標速度平均値
【数131】

を速度推定値とし、レンジビン推定値
【数132】

と、速度推定値
【数133】

が、同一周波数送信型ドップラー補正手段41に伝達される。以降は、先の実施の形態8と同様に動作し、測距値
【数134】

が求められる。
【0138】
以上のように、実施の形態13によれば、先の実施の形態8の構成に加え、速度平均値を出力する目標検出手段を備えている。これにより、先の実施の形態8の効果に加え、各送信周波数にて推定した目標速度を平均する効果で、送信周波数ごとに速度推定値が異なる場合でも、速度推定値の推定誤差を小さくして、速度推定値を求めることができる。
【0139】
実施の形態14.
図21は、本発明の実施の形態14におけるレーダ装置の構成図である。本実施の形態14におけるレーダ装置は、同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3、ミキサー5、受信機6、A/D変換器7、高精度パルスヒット方向FFT21、同一周波数送信型高精度目標検出手段37、同一周波数送信型ドップラー補正手段41、超分解能測距手段50で構成され、目標4の測距を行う。
【0140】
先の実施の形態8のレーダ装置における図12の構成と比較すると、本実施の形態14における図21の構成は、パルスヒット方向FFT20、同一周波数送信型目標検出手段34の代わりに、高精度パルスヒット方向FFT21、同一周波数送信型高精度目標検出手段37を備えている点が異なっている。
【0141】
これらの異なる構成要素は、以下の機能を有する。高精度パルスヒット方向FFT21は、先の実施の形態7と同じである。また、同一周波数送信型高精度目標検出手段37は、高精度パルスヒット方向FFT出力信号に関して速度アンビギュイティを考慮した検出目標の速度と距離を出力する。
【0142】
次に、図21に示した本実施の形態14におけるレーダ装置の動作について、本実施の形態14に特有の構成要素を中心に説明する。
同一周波数送信型多周波送信機13、サーキュレータ2、送受信アンテナ3より、電波が送信される。以降、先の実施の形態7と同様に動作し、ドップラー信号p1、nd、nr、・・・、pN、nd、nrが、同一周波数送信型高精度目標検出手段37と同一周波数送信型ドップラー補正手段41−#nに伝達される。
【0143】
同一周波数送信型高精度目標検出手段37は、まずドップラー信号pn、nd、nrの電力値|pn、nd、nrと、誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドとを比較し、送信周波数番号nと目標信号の存在するレンジビンの推定値
【数135】

と、ドップラービンの推定値
【数136】

を求める。
【0144】
そして、下式(22)により、速度アンビギュイティを考慮した目標速度推定値を求める。ここで、下式(22)における速度アンビギュイティの範囲を定めるLは、あらかじめ設定されているものとする。
【0145】
【数137】

【0146】
速度推定値
【数138】

と、レンジビン推定値
【数139】

は、同一周波数送信型ドップラー補正手段41に伝達される。以降は、先の実施の形態8と同様に動作し、測距値
【数140】

が求められる。
【0147】
以上のように、実施の形態14によれば、先の実施の形態8の構成に加え、高精度パルスヒット方向FFT、および高精度目標検出手段を備えている。これにより、先の実施の形態8の効果に加え、目標信号のドップラー周波数を高精度推定することで、目標の速度推定値
【数141】

が高精度に求まり、ドップラー補正を高精度に行うことができる。
【符号の説明】
【0148】
2 サーキュレータ、3 送受信アンテナ、4 目標、5 ミキサー、6 受信機、7 A/D変換器、10 多周波送信機、11 送信順序ランダム型多周波送信機、12 符号変調型多周波送信機、13 同一周波数送信型多周波送信機、14 同一周波数送信型送信順序ランダム型多周波送信機、15 同一周波数送信型符号変調型多周波送信機、20 パルスヒット方向FFT、21 高精度パルスヒット方向FFT、30 目標検出手段、31 粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段、32 速度平均値出力型目標検出手段、33 高精度目標検出手段、34 同一周波数送信型目標検出手段、35 粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段、36 速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段、37 同一周波数送信型高精度目標検出手段、40 ドップラー補正手段、41 同一周波数送信型ドップラー補正手段、50 超分解能測距手段、51 高速型超分解能測距手段、61 相関行列生成手段、62 MUSIC用固有ベクトル算出手段、62a ESPRIT用固有ベクトル算出手段、63 MUSIC処理手段、63a ESPRIT処理手段、64 アンビギュイティ探索手段、70 ソート手段、80 パルス圧縮手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数をステップ状に変えて電波を生成し、目標で反射した電波を受信する送受信系と、
受信した前記電波に基づいて前記目標を検出する目標検出処理系と、
目標信号のドップラー周波数がドップラー帯域幅の範囲外に存在することに起因して発生する速度アンビギュイティを考慮して、ドップラー効果に起因する目標信号の位相回転を補正し、補正後の目標信号の送信周波数方向に対する位相変化に基づいて速度アンビギュイティを解き、前記目標の超分解能測距を行う超分解能処理系と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、
周波数をステップ状に変えて電波を生成する多周波送信機と、
前記電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータと、
前記電波の送信または受信を行う送受信アンテナと、
受信信号と参照信号をミキシングするミキサーと、
前記受信信号の帯域制限と位相検波を行う受信機と
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、
アナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、
受信信号のドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、
前記目標の距離と速度を検出する目標検出手段と
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーダ装置において、
前記超分解能処理系は、
目標信号のドップラー周波数がドップラー帯域幅の範囲外に存在することに起因して発生する速度アンビギュイティを考慮してドップラー効果に起因する目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段と、
補正した目標信号の送信周波数方向に対する位相変化に基づいて速度アンビギュイティを解き、前記目標の超分解能測距を行う超分解能処理手段と
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、
周波数をステップ状に変えて電波を生成する多周波送信機と、
前記電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータと、
前記電波の送信または受信を行う送受信アンテナと、
受信信号と参照信号をミキシングするミキサーと、
前記受信信号の帯域制限と位相検波を行う受信機と
を有し、
前記目標検出処理系は、
アナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、
受信信号のドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、
前記目標の距離と速度を検出する目標検出手段と
を有し、
前記超分解能処理系は、
目標信号のドップラー周波数がドップラー帯域幅の範囲外に存在することに起因して発生する速度アンビギュイティを考慮してドップラー効果に起因する目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段と、
補正した目標信号の送信周波数方向に対する位相変化に基づいて速度アンビギュイティを解き、前記目標の超分解能測距を行う超分解能処理手段と
を有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレーダ装置において、
前記超分解能処理手段は、
受信信号間の相関を表す相関行列を生成する相関行列生成手段と、
前記相関行列の固有ベクトルを算出する固有ベクトル算出手段と、
算出された前記固有ベクトルに基づいてMUSIC処理により前記目標の距離を超分解能測距するMUSIC処理手段と、
前記MUSIC処理の過程で算出される雑音成分に対応する固有値の固有ベクトルで生成される雑音空間と、目標信号の送信周波数方向に対する位相変化を表すステアリングベクトルとの直交度を求め、前記直交度の最も大きい目標速度候補による測距候補値を測距値とするアンビギュイティ探索手段と
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレーダ装置において、
前記超分解能処理手段は、前記MUSIC処理手段に代えて、ESPRIT処理により前記目標の距離を高速に超分解能測距するESPRIT処理手段を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、前記多周波送信機に代えて、送信周波数の送信順序をランダムにする送信順序ランダム型多周波送信手段を有し、
前記超分解能処理系は、前記位相回転を補正した後に、送信周波数の小さい方から大きい方に受信信号を並べ替えるソート手段を有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項9】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、前記多周波送信機に代えて、符号変調の施されたパルスを生成する符号変調型多周波送信機を有し、
前記目標検出処理系は、前記A/D変換器により生成された前記ディジタル信号において、符号変調されたパルスを圧縮するパルス圧縮手段を有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、前記目標検出手段に代えて、前記パルス圧縮手段における処理の過程で推定される粗精度ドップラー推定値より、速度アンビギュイティ探索範囲を設定する粗精度ドップラー推定値考慮型目標検出手段を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項11】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、前記目標検出手段に代えて、各送信周波数で算出した速度推定値の平均値を出力する速度平均値出力型目標検出手段を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項12】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、前記パルスヒット方向FFTに代えて、高精度にドップラー周波数を推定する高精度パルスヒット方向FFTを有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項13】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、前記多周波送信機に代えて、パルスヒット方向FFTの点数分だけ同一周波数にて送信した後、送信周波数をステップさせる同一周波数送信型多周波送信機を有し、
前記目標検出処理系は、前記目標検出手段に代えて、前記同一周波数送信型多周波送信手段の送信方法を考慮して、目標の距離と速度を検出する同一周波数送信型目標検出手段を有し、
前記超分解能処理系は、前記ドップラー補正手段に代えて、前記同一周波数送信型多周波送信手段の送信方法を考慮してドップラー補正を行う同一周波数送信型ドップラー補正手段を有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項14】
請求項13に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、同一周波数送信型多周波送信機に代えて、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて送信した後、送信周波数をランダムにステップさせる同一周波数送信型送信順序ランダム型多周波送信機を有し、
前記超分解能処理系は、前記位相回転を補正した後に、送信周波数の小さい方から大きい方に受信信号を並べ替えるソート手段を有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項15】
請求項13に記載のレーダ装置において、
前記送受信系は、同一周波数送信型多周波送信機に代えて、パルスヒット方向FFT点数分だけ同一周波数にて符号変調の施されたパルスを送信した後、送信周波数をステップさせる同一周波数送信型符号変調型多周波送信機を有し、
前記目標検出処理系は、前記A/D変換器により生成された前記ディジタル信号において、符号変調されたパルスを圧縮するパルス圧縮手段を有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項16】
請求項15に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、前記同一周波数送信型目標検出手段の代わりに、同一周波数送信型多周波送信手段の送信方法を考慮して、前記パルス圧縮手段における処理の過程で推定される粗精度ドップラー推定値より速度アンビギュイティ探索範囲を設定する粗精度ドップラー推定値考慮型同一周波数送信型目標検出手段を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項17】
請求項13に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、前記同一周波数送信型目標検出手段に代えて、同一周波数送信型多周波送信手段の送信方法を考慮して、各送信周波数で算出した速度推定値の平均値を出力する速度平均値出力型同一周波数送信型目標検出手段を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項18】
請求項13に記載のレーダ装置において、
前記目標検出処理系は、
前記パルスヒット方向FFTに代えて、同一周波数送信型多周波送信手段の送信方法を考慮して、高精度にドップラー周波数を推定する高精度パルスヒット方向FFTを有ことを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−281605(P2010−281605A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133310(P2009−133310)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】