説明

ログ情報生成装置

【課題】 あらかじめ認証アプリケーションとログ記録アプリケーションとの連携を意識した開発を行うことなく、生成されるログ情報の質を向上させることが可能なログ情報生成装置を提供する。
【解決手段】 認証アプリケーションに、従来の認証モジュールに加えて、認証保存モジュールと通知モジュールを追加し(a)、ログ記録アプリケーションに、従来のログ生成モジュールに加えて、アプリケーションID、保存先取得モジュール、認証情報取得モジュールを追加する。認証保存モジュール、通知モジュール、保存先取得モジュール、認証情報取得モジュールとして既に存在するDLLを用いることにより、簡易に認証アプリケーションとログ記録アプリケーションを連携させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証アプリケーションにて取得した認証情報を、連携するログ記録アプリケーションに渡し、ログ記録アプリケーションで生成されるログ情報の質を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ等の端末の操作内容をログ情報として生成するログ記録アプリケーションでは、OSが管理するOS−IDにより、操作を行った利用者を特定することが行なわれている。また、システム環境を大きく変更せずに、セキュリティを高める技術も開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310686号公報
【特許文献2】特開2008−176506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、OSが管理するOS−IDによって操作を行った利用者を特定する場合、OS−IDとそのOS−IDのパスワードを知っているユーザであれば、なりすましによるコンピュータ利用が可能で、実際に誰がコンピュータを操作したのか厳密に特定することが出来ない。この問題を解決するためには身分を証明するICカード認証システムとのログ連携が必要だが、身分を証明するICカードを認証する認証アプリケーションと、ログを記録するログ記録アプリケーションは連携されておらず、連携したプログラムを作成するには負荷がかかる。
また、上記従来の技術においては、いわゆるシンクライアントを利用してアプリケーションを実行しているため、サーバ側でアプリケーションを実行し、ログはサーバに残る。ところが、サーバ側でログを記録しておきたいが、アプリケーションは、ログを残すサーバに限定せず、任意の環境で実行したいという要望がある。この場合、実行されるアプリケーションとログを残すサーバで連携する必要があるが、連携したプログラムを作成するには負荷がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、あらかじめ認証アプリケーションとログ記録アプリケーションとの連携を意識した開発を行うことなく、生成されるログ情報の質を向上させることが可能なログ情報生成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、認証を行なうためのアプリケーションプログラムである認証アプリケーションと、ログの記録を行なうためのアプリケーションプログラムであるログ記録アプリケーションを記憶し、前記認証アプリケーションとログ記録アプリケーションを実行することによりログ情報を生成するログ情報生成装置であって、前記認証アプリケーションは、認証モジュールと認証情報保存モジュールと通知モジュールとを有し、前記ログ記録アプリケーションは、自身を特定するアプリケーションIDと、保存先取得モジュールと、認証情報取得モジュールと、ログ生成モジュールとを有し、処理手段が、前記認証アプリケーションを実行することにより、認証に成功した認証情報を所定の保存先に保存した後、前記ログ記録アプリケーションを起動し、前記認証アプリケーションの実行により得られる認証情報の保存先を認識して、当該保存先から認証情報を取得し、認証情報に対応したログ情報を生成するログ情報生成装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、認証アプリケーションが、認証モジュールに加えて、認証情報保存モジュールと通知モジュールを有し、ログ記録アプリケーションが、ログ生成モジュールに加えて、アプリケーションIDと、保存先取得モジュールと、認証情報取得モジュールを有する構成とし、これらのアプリケーションを実行することにより、ログ情報を生成するようにしたので、OSに対応するIDだけでなく、カードID等の他の認証情報に対応したログ情報を、あらかじめ認証アプリケーションとログ記録アプリケーションとの連携を意識した開発を行うことなく、生成することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、あらかじめ認証アプリケーションとログ記録アプリケーションとの連携を意識した開発を行うことなく、生成されるログ情報の質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るログ情報生成装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】アプリケーションプログラムの構成を示す図である。
【図3】本発明に係るログ情報生成装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係るログ情報生成装置により生成されるログ情報と、従来手法により生成されるログ情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.装置構成)
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るログ情報生成装置の一実施形態を示す構成図である。図1において、10はCPU、20はプログラム記憶部、30はカードR/W、40はICカード、50はログ情報記憶部である。
【0011】
プログラム記憶部20は、CPU10が実行可能なアプリケーションプログラムを記憶したものであり、ハードディスク等の記憶装置により実現される。ログ記憶部50は、ログ記録アプリケーションにより生成されたログを記憶するものであり、ハードディスク等の記憶装置により実現される。プログラム記憶部20、ログ記憶部50は、物理的に1つのハードディスクに設けられていても良いし、2つ以上のハードディスクに設けられていても良い。結局、図1に示したログ情報生成装置は、ハードウェア的には、カードR/Wが接続された汎用のコンピュータで実現される。
【0012】
本発明に係るログ情報生成装置は、認証アプリケーション、ログ記録アプリケーションに特徴があり、これらのアプリケーションをCPU10が読み込んで実行することにより、有効な効果が得られる。認証アプリケーションは、カードR/WがICカード40から取得したカードID等の認証情報を用いて認証を行なうためのアプリケーションプログラムであり、認証処理部分は従来の認証アプリケーションと同一であるが、認証後に認証情報をログ記録アプリケーションに受け渡すためのモジュールが追加されている点が特徴である。ログ記録アプリケーションは、OSに認証されたOS−IDとともに発生したイベントをログとして記録する部分は従来のログ記録アプリケーションと同一であるが、その際に、認証アプリケーションから受け取った認証情報を追加して記録する点が特徴である。本実施形態では、プログラム記憶部20に認証アプリケーションは1つだけ記憶されているが、ログ記録アプリケーションは複数記憶されている。各ログ記録アプリケーションは、発生したイベントについてログ情報を生成し、記録する。
【0013】
図2にアプリケーションプログラムの構成を示す。図2(a)は、認証アプリケーション、図2(b)はログ記録アプリケーションを示す。認証アプリケーションは、図2(a)に示すように、主な構成要素として、認証モジュール、認証保存モジュール、通知モジュールを有している。このうち、認証モジュールは、従来の認証アプリケーションにも組み込まれているモジュールである。認証保存モジュール、通知モジュールは、ともに汎用のDLL(ダイナミックリンクライブラリ)を用いることにより実現されるモジュールである。ログ記録アプリケーションは、図2(b)に示すように、主な構成要素として、アプリケーションID、保存先取得モジュール、認証情報取得モジュール、ログ生成モジュールを有している。このうち、ログ生成モジュールは、従来のログ記録アプリケーションにも組み込まれているモジュールである。また、アプリケーションIDは、新規に付与されるものである。保存先取得モジュール、認証情報取得モジュールは、ともに既に存在する汎用のDLLを用いることにより実現されるモジュールである。
【0014】
(2.処理動作)
次に、図1に示した装置の処理動作について説明する。コンピュータを起動すると、CPU10は、プログラム記憶部20から認証アプリケーションを読み込み、カードR/Wからの認証情報の入力待ちの状態となる。コンピュータを利用する場合、利用者は、まず、自身のICカード40をカードR/W30にセットする。カードR/W30は、ICカード40がセットされたことを検知すると、ICカード40に記録された認証情報(例えばカードID)を取得する。その後、OSの指示に従って、CPU10は認証アプリケーションを実行する。認証アプリケーションにおいては、まず、認証モジュールを実行する。認証モジュールを実行することにより、CPU10は、予め登録されている認証情報と、ICカード40より取得した認証情報が一致するかのチェックを行う(S10)。
【0015】
認証モジュールによる認証が成功した場合には、CPU10は、認証情報保存モジュールを実行する。認証情報保存モジュールを実行することにより、CPU10は、記憶装置50に保存されている受け渡し先リストを取得する(S11)。受け渡し先リストには、ログ記録アプリケーションに1対1で対応する受け渡し先情報が1以上記録されている。続いて、CPU10は、認証情報保存モジュールに従って、取得した受け渡し先リストに記録されている各受け渡し先情報に沿うように、認証情報を受け渡し先に従ったフォーマットに整形する(S12)。
【0016】
続いて、CPU10は、認証情報保存モジュールに従って、認証情報を暗号化する(S13)。そして、CPU10は、受け渡し先情報に記録されている保存先アドレス(記憶装置50内の所定のアドレス)で特定される保存先に認証情報を保存する(S14)。この保存先は、受け渡し先である各ログ記録アプリケーションごとに異なっていても良いし、同じであっても良い。
【0017】
認証情報の保存が終わったら、次に、CPU10は、通知モジュールを実行し、認証情報の保存が完了した旨、および認証情報の保存先アドレスをログ記録アプリケーションに通知する(S15)。具体的には、認証アプリケーションの通知モジュールから、アプリケーションIDを指定して、OSにアプリケーションの呼び出しを依頼する。そして、依頼を受けたOSがログ記録アプリケーションを呼び出す。そして、CPU10は、ログ記録アプリケーションの保存先取得モジュールを実行する。CPU10は、保存先取得モジュールを実行することにより、OSから保存先アドレスを取得する(S21)。
【0018】
次に、CPU10は、認証情報取得モジュールを実行し、取得した保存先アドレスで特定される記憶装置50内の所定の領域にアクセスし、暗号化された認証情報を取得する(S22)。続いて、CPU10は、認証情報取得モジュールに従って、暗号化されている認証情報を復号する(S23)。認証情報が復号されたら、CPU10は、ログ生成モジュールを実行し、発生したイベントについて、OS−IDとともに、取得した認証情報を対応付けてログ情報として記憶装置50に保存する(S24)。
【0019】
本発明に係るログ情報生成装置により生成されるログ情報の一例を図4(a)に示す。図4(a)に示すように、認証情報であるカードIDがログ情報の一部として記録されるため、別々の利用者が同一のOS−IDを使用した場合でも、カードIDにより利用者を特定することが可能となる。従来の手法により生成されたログ情報は、図4(b)に示すように、OS−IDとイベントしか記録されないため、別々の利用者が同一のOS−IDを使用した場合、利用者単位での区別ができない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、情報処理に関する産業に利用することができる。特に、認証アプリケーションとログ記録アプリケーションを用いたログ情報の質の向上において有効である。
【符号の説明】
【0021】
10・・・CPU
20・・・プログラム記憶部
30・・・カードR/W
40・・・ICカード
50・・・ログ情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証を行なうためのアプリケーションプログラムである認証アプリケーションと、ログの記録を行なうためのアプリケーションプログラムであるログ記録アプリケーションを記憶し、前記認証アプリケーションとログ記録アプリケーションを実行することによりログ情報を生成するログ情報生成装置であって、
前記認証アプリケーションは、認証モジュールと認証情報保存モジュールと通知モジュールとを有し、
前記ログ記録アプリケーションは、自身を特定するアプリケーションIDと、保存先取得モジュールと、認証情報取得モジュールと、ログ生成モジュールとを有し、
処理手段が、前記認証アプリケーションを実行することにより、認証に成功した認証情報を所定の保存先に保存した後、前記ログ記録アプリケーションを起動し、前記認証アプリケーションの実行により得られる認証情報の保存先を認識して、当該保存先から認証情報を取得し、認証情報に対応したログ情報を生成することを特徴とするログ情報生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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