説明

ロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置

【課題】他の物体への接触を検知する信頼性、経済性、及び、稼働率などを向上させることができ、接触トラブルによる損害をより低減することの可能なロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置の提供を目的とする。
【解決手段】ロボットアーム10は、駆動モータ2a、2b、2cと、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cと、減速機と、出力軸用の角度センサ32a、32b、32cと、ロボットアーム部4a、4b、4cと、モータ制御手段50とを備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等において、様々なロボットが使用されてきた。
また、ロボットの開発は、位置決め精度や安全性などを向上させることを目的として、現在においても盛んに行われており、より複雑な動作を行うための多関節を備えたロボット(多間接ロボットアーム)などが、実用化され広く普及している。
【0003】
さらに、上記のように複雑な動作を行う多間接ロボットアームにおいては、ロボットアーム部などが、構造物、ワーク、工具等の他の物体と接触したこと(あるいは、衝突したこと)を検出し、接触による被害を低減する技術が重要であり、様々な技術が提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、モータと、このモータのモータ軸に接続されるエンコーダと、モータのモータ軸に接続され、モータの回転を減速する減速機と、この減速機の駆動軸に接続される位置検出器と、減速機の駆動軸に接続される駆動用フレームと、駆動用フレームに、減速機の駆動軸の回転方向と逆方向の外部拘束力、または減速機の駆動軸の回転方向と同じ方向であって減速機の駆動軸の回転力よりも大きい外部拘束力を負荷するための手段と、エンコーダおよび位置検出器からの出力にもとづいて、モータの回転を制御するモータ制御部とを含む多関節脚制御装置の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、各関節のアクチュエータの出力を制御する手段と、各関節の変位量を計測する手段を有するロボットを備えたロボットの制御装置の技術が開示されている。
このロボットの制御装置は、アクチュエータへの制御入力値を計算し出力する制御演算部と、ロボットを模擬するロボットモデルと、制御演算部を模擬する制御演算モデル部と、ロボットの少なくとも一つ以上のリンク位置および姿勢を関節変位量から計算するリンク位置姿勢算出部と、ロボットモデルのモデル関節変位量から前記リンクに対応するモデルリンク位置および姿勢を計算するモデルリンク位置姿勢算出部と、リンク位置とモデルリンク位置とを比較して結果を出力する位置姿勢比較部とを備えた構成としてある。
【0006】
ところで、減速比の大きな減速機を用いるロボットアームにおいては、一般的に、減速機の出力軸に角度センサ(出力軸用の角度センサ)が取り付けられている。すなわち、減速機の減速比が大きいと、ロボットアームを起動した直後であっても、モータ軸がそれまでに何周しているか不明であるため、出力軸用の角度センサを設けることにより、ロボットアームの正確な位置や姿勢を算出することができる。
ただし、出力軸用の角度センサを用いてのフィードバック制御は、安定性に問題が生じやすいために、通常、行われることはなく、一般的に、出力軸用の角度センサは、ロボットアームの起動時において、初期姿勢を検知するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−291082号公報
【特許文献2】特開2006−116635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の技術(特許文献1、2に記載されている従来技術をも含む。)は、ロボットアームの構造物等への接触を検出するために、たとえば、目標軌道と実軌道の偏差の増加、速度の低下、あるいは、それに伴う駆動トルクの変化などを用いている。ただし、これらの技術では、減速機を構成する歯車のバックラッシュが大きい場合や剛性が不十分な場合には、モータ軸の角度センサや角速度センサの変化が遅れるため、感度が悪くなってしまう。すなわち、接触検知の信頼性が低下する場合があるといった問題や、接触トラブルによる損害をより低減することができない場合があるといった問題があった。
【0009】
また、ロボットアームの構造物等への接触を検出するために、接触検知用のセンサを設ける方法もあるが、たとえば、ロボットアームが多関節ロボットアームの場合、接触点がどこになるか明確でないため、多くのセンサを取り付けることが必要となり、製造原価のコストダウンを図ることができないといった問題があった。
さらに、多くのセンサを用いることは、安定稼働に問題が起きやすいといった問題があった。
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、他の物体への接触を検知する信頼性、経済性、及び、稼働率などを向上させることができ、接触トラブルによる損害をより低減することの可能なロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のロボットアームは、駆動モータと、この駆動モータのモータ軸の角度を検出するモータ軸用の角度センサと、前記モータ軸と接続され、前記駆動モータの回転を減速する減速機と、この減速機の出力軸の角度を検出する出力軸用の角度センサと、前記出力軸に連結されたロボットアーム部と、前記駆動モータを制御するとともに、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号及び前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する前記モータ制御手段とを備えた構成としてある。
【0012】
また、本発明のロボットアームの接触検知方法は、駆動モータと、この駆動モータのモータ軸の角度を検出するモータ軸用の角度センサと、前記モータ軸と接続され、前記駆動モータの回転を減速する減速機と、この減速機の出力軸の角度を検出する出力軸用の角度センサと、前記出力軸に連結されたロボットアーム部とが用いられ、前記モータ制御手段が、前記駆動モータを制御するとともに、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号及び前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する方法としてある。
【0013】
また、本発明のロボットアームを備えた装置は、ロボットアームと、このロボットアームに取り付けられ、所定の作業、加工及び測定の少なくとも一つを行うための機器とを備え、前記ロボットアームが、駆動モータと、この駆動モータのモータ軸の角度を検出するモータ軸用の角度センサと、前記モータ軸と接続され、前記駆動モータの回転を減速する減速機と、この減速機の出力軸の角度を検出する出力軸用の角度センサと、前記出力軸に連結されたロボットアーム部と、
前記駆動モータを制御するとともに、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号及び前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する前記モータ制御手段とを有する構成としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明のロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置によれば、位置偏差、速度、指令トルクなどを用いた方法よりも、他の物体への接触を検知する信頼性、経済性(たとえば、製造原価のコストダウン)、及び、稼働率などを向上させることができる。また、接触トラブルによる損害(たとえば、接触した他の物体に与える損害や、ロボットアーム自体が破損することによる損害)をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかるロボットアームの要部の概略図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかるロボットアームの、モータ制御手段を説明するための概略ブロック図を示している。
【図3】図3は、本発明の第二実施形態にかかるロボットアームの要部の概略図を示している。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態にかかるロボットアームの、モータ制御手段を説明するための概略ブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[ロボットアームの第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかるロボットアームの要部の概略図を示している。
図1において、本実施形態のロボットアーム1は、駆動モータ2と、モータ軸用の角度センサ22と、減速機3と、出力軸用の角度センサ32と、ロボットアーム部4と、モータ制御手段5とを備えた構成としてある。
このロボットアーム1は、駆動モータ2が駆動されると、ロボットアーム部4が回動する。
また、本実施形態のロボットアーム1は、一つの関節を有する構成としてある。
【0017】
(駆動モータ)
駆動モータ2は、通常、サーボモータなどが用いられる。また、駆動モータ2は、モータ軸21の一方の端部が、減速機3の入力軸(図示せず)と接続され、他方の端部に、モータ軸用の角度センサ22が取り付けられている。
【0018】
(モータ軸用の角度センサ)
モータ軸用の角度センサ22は、通常、エンコーダが用いられ、駆動モータ2のモータ軸21の回転方向や回転角を検出し、測定信号をモータ制御手段5に出力する。
なお、上記のエンコーダは、モータ軸21に固定されているので、バックラッシは発生しない。
【0019】
(減速機)
減速機3は、複数の歯車や出力軸31等から構成されている。この出力軸31は、ロボットアーム部4が連結されており、また、端部に、出力軸用の角度センサ32が取り付けられている。
また、減速機3は、歯車の遊びによって発生するバックラッシや、歯車等の弾性変形などによって、モータ軸用の角度センサ22と出力軸用の角度センサ32との回転角は、通常、一致しない。
【0020】
ここで、たとえば、ロボットアーム部4が構造物等に接触すると、バックラッシや弾性変形は、その押しつけ方向と反対の方向(反力を受ける方向)に発生するため、ロボットアーム部4の先端部での位置や姿勢の違いが大きくなり、接触を検知することができる。
このように、ロボットアーム部4の構造物等への接触検知に、出力軸用の角度センサ32を用いることは、ロボットアーム部4やロボットアーム1自体に複雑な機械・電気的な改造を必要としないので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
さらに、ロボットアーム1の関節の数(本実施形態では一つ)とその構成は、当然、その目的とする動作に合わせているから、関節角の情報によりロボットアーム部4の衝突を検知することは理にかなっており、装置としての信頼性を向上させることができる。
【0021】
(出力軸用の角度センサ)
出力軸用の角度センサ32は、通常、エンコーダが用いられ、出力軸31の回転方向や回転角を検出し、測定信号をモータ制御手段5に出力する。
なお、上記のエンコーダは、出力軸31に固定されているので、バックラッシは発生しない。
【0022】
(ロボットアーム部)
ロボットアーム部4は、所定の長さを有するアームとしてあり、図示してないが、先端部に、工作機器や保持手段などが取り付けられている。
【0023】
(モータ制御手段)
図2は、本発明の第一実施形態にかかるロボットアームの、モータ制御手段を説明するための概略ブロック図を示している。
図2において、モータ制御手段5は、制御量演算部51、モータ制御量出力部52、モータ軸の回転角取得部53、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54、出力軸の回転角取得部55、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56、接触判定部57、及び、対処指示部58などを有している。
【0024】
(制御量演算部)
制御量演算部51は、対処指示部58から対処を指示する情報(適宜、対処指示情報と略称する。)を入力しないとき(ロボットアーム部4が接触することなく稼動しているとき)、ロボットアーム部4が所定の動作をするように、制御信号をモータ制御量出力部52に出力する。
また、制御量演算部51は、対処指示部58から対処指示情報を入力すると(ロボットアーム部4が接触したとき)、ロボットアーム部4が指示された位置にあるように(本実施形態では、停止する。)、駆動モータ2の回転速度や回転量などの制御信号をモータ制御量出力部52へ出力する。
【0025】
(モータ制御量出力部)
モータ制御量出力部52は、制御量演算部51からの制御信号を入力し、駆動モータ2へ制御信号を出力し、駆動モータ2を制御する。
【0026】
(モータ軸の回転角取得部)
モータ軸の回転角取得部53は、モータ軸用の角度センサ22から計測信号を入力し、この計測信号にもとづいて、モータ軸21の回転角データを取得する。さらに、取得したモータ軸21の回転角データを、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54へ出力する。
【0027】
(モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部)
モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54は、モータ軸の回転角取得部53から入力したモータ軸21の回転角データにもとづいて、ロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出し、接触判定部57へ出力する。
なお、本実施形態では、ロボットアーム部4の先端の位置及び姿勢を算出しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、ロボットアーム部4の先端の位置又は姿勢を算出してもよい。
さらに、ロボットアーム部4の先端に限定されるものではなく、たとえば、所定のポイントでもよい。
【0028】
(出力軸の回転角取得部)
出力軸の回転角取得部55は、出力軸用の角度センサ32から計測信号(出力軸31の回転角データ)を入力し、この計測信号にもとづいて、出力軸31の回転角データを取得する。さらに、取得した出力軸31の回転角データを、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56へ出力する。
【0029】
(出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部)
出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56は、出力軸の回転角取得部55から入力した出力軸31の回転角データにもとづいて、ロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出し、接触判定部57へ出力する。
なお、本実施形態では、ロボットアーム部4の先端の位置及び姿勢を算出しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、ロボットアーム部4の先端の位置又は姿勢を算出してもよい。
さらに、ロボットアーム部4の先端に限定されるものではなく、たとえば、所定のポイントでもよい。
【0030】
(接触判定部)
本実施形態の接触判定部57は、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出した情報)にもとづいて、ロボットアーム部4の接触の有無を判定する。すなわち、通常、誤差を排除するための所定の閾値以上の差がある場合、接触があったと判定し、上記の所定の閾値を超えない場合、接触がなかったと判定する。そして、接触があったと判定すると、接触した旨の情報を対処指示部58に出力する。
【0031】
(対処指示部)
本実施形態の対処指示部58は、接触判定部57から接触した旨の情報を入力すると、ロボットアーム部4を停止する旨の情報(対処指示情報の一つである停止情報)を、制御量演算部51に出力する。上述したように、停止情報を入力した制御量演算部51は、駆動モータ2を停止する旨の制御信号をモータ制御量出力部52へ出力し、モータ制御量出力部52は、この制御信号を駆動モータ2へ出力し、駆動モータ2を停止させる。すなわち、モータ制御手段5は、ロボットアーム部4を迅速に停止させる。
【0032】
次に、上記構成のロボットアーム1の動作などについて説明する。
まず、ロボットアーム1は、ロボットアーム部4が接触することなく稼動しているとき(対処指示部58から停止情報を入力しないとき)、制御量演算部51が、ロボットアーム部4が所定の動作をするように、制御信号をモータ制御量出力部52に出力する。また、モータ制御量出力部52は、制御量演算部51からの制御信号を入力し、駆動モータ2へ制御信号を出力し、駆動モータ2を駆動する。
【0033】
この間、接触判定部57は、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出した情報)にもとづいて、ロボットアーム部4の接触の有無を判定している。すなわち、接触判定部57は、接触した旨の情報を対処指示部58に出力していない。
【0034】
次に、ロボットアーム部4が、たとえば、構造物等と接触すると、モータ軸の回転角取得部53は、モータ軸用の角度センサ22から計測信号を入力し、この計測信号にもとづいて、モータ軸21の回転角データを取得する。さらに、取得したモータ軸21の回転角データを、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54へ出力する。
続いて、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54は、モータ軸の回転角取得部53から入力したモータ軸21の回転角データにもとづいて、ロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出し、接触判定部57へ出力する。
【0035】
また、ロボットアーム部4が、たとえば、構造物等と接触すると、出力軸の回転角取得部55は、出力軸用の角度センサ32から計測信号を入力し、この計測信号にもとづいて、出力軸31の回転角データを取得する。さらに、取得した出力軸31の回転角データを、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56へ出力する。
続いて、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56は、出力軸の回転角取得部55から入力した出力軸31の回転角データにもとづいて、ロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出し、接触判定部57へ出力する。
【0036】
次に、接触判定部57は、モータ軸用の角度センサ22による位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサ32による位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4の先端の位置と姿勢を算出した情報)にもとづいて、ロボットアーム部4の接触があったと判定し、接触した旨の情報を対処指示部58に出力する。
【0037】
続いて、対処指示部58は、接触判定部57から接触した旨の情報を入力すると、ロボットアーム部4を停止する旨の情報(対処指示情報の一つである停止情報)を、制御量演算部51に出力する。そして、停止情報を入力した制御量演算部51は、駆動モータ2を停止する旨の制御信号をモータ制御量出力部52へ出力し、モータ制御量出力部52は、この制御信号を駆動モータ2へ出力し、駆動モータ2を停止させる。すなわち、モータ制御手段5は、ロボットアーム部4を迅速に停止させることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のロボットアーム1によれば、他の物体への接触を検知する信頼性、経済性(たとえば、製造原価のコストダウン)、及び、稼働率などを向上させることができる。また、接触を確実に、かつ、迅速に検知することができるので、接触トラブルによる損害(たとえば、接触した他の物体に与える損害や、ロボットアーム1自体が破損することによる損害)をより低減することができる。
【0039】
[ロボットアームの第二実施形態]
図3は、本発明の第二実施形態にかかるロボットアームの要部の概略図を示している。
図3において、本実施形態のロボットアーム1aは、上述した第一実施形態のロボットアーム1と比べると、三つの関節軸を連結して構成した多関節ロボットアームとしてある点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、ロボットアーム1とほぼ同様としてある。
したがって、図3、4において、図1、2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0040】
ロボットアーム10は、3関節のロボットアーム(多関節ロボットアーム)であり、それぞれの関節は、第一実施形態とほぼ同様の構成としてある。すなわち、第一の関節は、モータ軸用の角度センサ22aの取り付けられた駆動モータ2aと、出力軸31aに出力軸用の角度センサ32aの取り付けられた減速機(図示せず)と、ロボットアーム部4aとを有している。同様に、第二の関節は、モータ軸用の角度センサ22bの取り付けられた駆動モータ2bと、出力軸31bに出力軸用の角度センサ32bの取り付けられた減速機(図示せず)と、ロボットアーム部4bとを有している。また、第三の関節は、モータ軸用の角度センサ22cの取り付けられた駆動モータ2cと、出力軸31cに出力軸用の角度センサ32cの取り付けられた減速機(図示せず)と、ロボットアーム部4cとを有している。
【0041】
また、各減速機(図示せず)は、歯車の遊びによって発生するバックラッシや、歯車等の弾性変形などによって、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cと出力軸用の角度センサ32a、32b、32cとの回転角は、通常、一致しない。この違いは、動作時の加減速や振動によっても発生するが、一般的に、多関節ロボットアームにおいては、その関節角からアーム先端の位置姿勢を算出すると、各関節が互いに相殺するため、アーム先端での位置姿勢についての差は大きくならない。
しかし、ロボットアーム10が構造物等に接触すると、バックラッシュや弾性変形は、その押しつけ方向と反対の方向(反力を受ける方向)に発生するため、たとえば、ロボットアーム先端41での位置姿勢の違いが大きくなり、第一実施形態と比べると、さらに高い信頼性を有する状態で、接触の検知が可能となる。
【0042】
また、ロボットアーム10は、複数の(三つの)関節を有しているので、構造物等への接触検知に、出力軸用の角度センサ32a、32b、32cを用いることは、各ロボットアーム部4a、4b、4cやロボットアーム10自体に機械・電気的な改造を必要しないので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
さらに、ロボットアーム10の関節の数(本実施形態では三つ)とその構成は、当然、その目的とする動作に合わせているから、関節角の情報でロボットアーム部4a、4b、4cの衝突を検知することは理にかなっており、装置としての信頼性を向上させることができる。
【0043】
(モータ制御手段)
図4は、本発明の第二実施形態にかかるロボットアームの、モータ制御手段を説明するための概略ブロック図を示している。
図4において、モータ制御手段50は、制御量演算部51a、51b、51c、モータ制御量出力部52a、52b、52c、モータ軸の回転角取得部53、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cによる位置・姿勢の算出部54、出力軸の回転角取得部55、出力軸用の角度センサ32a、32b、32cによる位置・姿勢の算出部56、接触判定部57、及び、対処指示部58などを有している。
【0044】
(制御量演算部)
本実施形態の各制御量演算部51a、51b、51cは、対処指示部58から対処を指示する情報(適宜、対処指示情報と略称する。)を入力しないとき(ロボットアーム部4a、4b、4cが接触することなく稼動しているとき)、ロボットアーム部4a、4b、4cが所定の動作をするように、制御信号をモータ制御量出力部52a、52b、52cに出力する。
また、各制御量演算部51a、51b、51cは、対処指示部58から対処指示情報を入力すると(ロボットアーム部4a、4b、4cが接触したとき)、ロボットアーム部4a、4b、4cが指示された位置にあるように(本実施形態では、移動する。)、駆動モータ2a、2b、2cの回転速度や回転量などの制御信号をモータ制御量出力部52a、52b、52cへ出力する。
【0045】
(モータ制御量出力部)
モータ制御量出力部52a、52b、52cは、制御量演算部51a、51b、51cからの制御信号を入力し、駆動モータ2a、2b、2cへ制御信号を出力し、駆動モータ2a、2b、2cを制御する。
【0046】
(モータ軸の回転角取得部)
モータ軸の回転角取得部53は、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cから計測信号を入力し、この計測信号にもとづいて、各モータ軸21a、21b、21cの回転角データを取得する。さらに、取得した回転角データを、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54へ出力する。
【0047】
(モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部)
モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54は、モータ軸の回転角取得部53から入力した各モータ軸21a、21b、21cの回転角データにもとづいて、各ロボットアーム部4a、4b、4cの先端の位置と姿勢を算出し、接触判定部57へ出力する。
【0048】
(出力軸の回転角取得部)
出力軸の回転角取得部55は、出力軸用の角度センサ32a、32b、32cから計測信号を入力し、この計測信号にもとづいて、各出力軸31a、31b、31cの回転角データを取得する。さらに、取得した回転角データを、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56へ出力する。
【0049】
(出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部)
出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56は、出力軸の回転角取得部55から入力した各出力軸31a、31b、31cの回転角データにもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの先端の位置と姿勢を算出し、接触判定部57へ出力する。
【0050】
(接触判定部)
本実施形態の接触判定部57は、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4a、4b、4cの先端の位置と姿勢を算出した情報)にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの接触の有無を判定する。すなわち、通常、誤差を排除するための所定の閾値を以上の差がある場合、接触があったと判定し、上記の所定の閾値を超えない場合、接触がなかったと判定する。そして、接触があったと判定すると、接触した旨の情報を対処指示部58に出力する。
【0051】
ここで、好ましくは、接触判定部57は、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4a、4b、4cの先端の位置と姿勢を算出した情報)にもとづいて、接触方向及び/又は接触強さを算出するとよい。すなわち、ロボットアーム10は、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4a、4b、4cの先端の位置と姿勢を算出した情報)を生成しているので、接触方向及び/又は接触強さを容易に算出することができ、これにより、接触の状態に応じて、より好ましい対処を行うことができる。
また、本実施形態のロボットアーム10は、各関節に出力軸用の角度センサ32a、32b、32cを設けているので、接触を受けた方向などを容易に、かつ、精度よく検出することができる。
【0052】
なお、本実施形態の接触判定部57は、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56からの情報(それぞれのロボットアーム部4a、4b、4cの先端の位置と姿勢を算出した情報)にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの接触の有無を判定しているが、これに限定されるものではない。たとえば、ロボットアーム部4cのロボットアーム先端41の位置と姿勢を算出した情報にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの接触の有無を判定してもよい。
【0053】
(対処指示部)
本実施形態の対処指示部58は、接触判定部57から接触した旨の情報、並びに、算出された接触方向及び/又は接触強さの情報を入力すると、ロボットアーム部4a、4b、4cを所定の方向へ移動させる旨の情報(対処指示情報の一つである移動情報)を、制御量演算部51に出力する。
【0054】
ここで、好ましくは、上記の所定の方向が、接触方向、又は、接触する前のロボットアーム部4a、4b、4cの移動方向と反対の方向であるとよい。このようにすると、接触状態を迅速に解除することができるので、接触による損害を低減することができる。
また、接触は、ロボットアーム部4a、4b、4cが静止している構造物等にぶつかる場合や、あるいは、ロボットアーム部4a、4b、4cの静止している少なくとも一つに、物体が移動してきてぶつけられる場合がある。一般的に、静止している構造物等にぶつかる場合、上記の所定の方向は、接触する前のロボットアーム部4a、4b、4cの移動方向と反対の方向である。また、ぶつけられた場合、上記の所定の方向は、接触方向(ぶつけられた方向)である。
【0055】
また、上述したように、移動情報を入力した制御量演算部51は、駆動モータ2を所定の方向に移動させる旨の制御信号をモータ制御量出力部52へ出力し、モータ制御量出力部52は、この制御信号を駆動モータ2へ出力し、駆動モータ2を所定の方向へ移動させ停止させる。すなわち、モータ制御手段50は、接触したロボットアーム部4a、4b、4cの接触状態を解除して、迅速に停止させる。
なお、その他の構成や動作は、第一実施形態のロボットアーム1とほぼ同様としてある。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のロボットアーム10によれば、第一実施形態のロボットアーム1とほぼ同様の効果を奏するとともに、接触状態を迅速に解除することができるので、接触による損害を低減することができる。
【0057】
[ロボットアームの接触検知方法の一実施形態]
また、本発明は、ロボットアームの接触検知方法の発明としても有効である。
本実施形態のロボットアームの接触検知方法は、上述した第二実施形態のロボットアーム10を用いた方法としてある。
すなわち、駆動モータ2a、2b、2cと、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cと、各モータ軸と接続され、駆動モータ2a、2b、2cの回転を減速する各減速機と、出力軸用の角度センサ32a、32b、32cと、ロボットアーム部4a、4b、4cとが用いられ、モータ制御手段50が、駆動モータ2a、2b、2cを制御するとともに、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cからの計測信号及び出力軸用の角度センサ32a、32b、32cからの計測信号にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの接触の有無を判定する方法としてある(図2参照)。
【0058】
また、本実施形態では、モータ制御手段50が、モータ軸の回転角取得部53、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54、出力軸の回転角取得部55、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56、接触判定部57、及び、対処指示部58を用いており、モータ軸の回転角取得部53が、モータ軸用の角度センサ22a、22b、22cからの計測信号にもとづいて、各モータ軸の回転角を取得する。さらに、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54が、モータ軸の回転角取得部53からの情報にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの位置及び/又は姿勢を算出する。
【0059】
また、出力軸の回転角取得部55が、出力軸用の角度センサ32a、32b、32cからの計測信号にもとづいて、出力軸31a、31b、31cの回転角を取得する。さらに、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56が、出力軸の回転角取得部55からの情報にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの位置及び/又は姿勢を算出する。
【0060】
また、接触判定部57が、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部54、及び、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部56からの情報にもとづいて、ロボットアーム部4a、4b、4cの接触の有無を判定する。
さらに、対処指示部58が、接触判定部57の情報にもとづいて、各駆動モータ2a、2b、2cへの対処を指示する方法としてある(図4参照)。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のロボットアームの接触検知方法によれば、他の物体への接触を検知する信頼性、経済性(たとえば、製造原価のコストダウン)、及び、稼働率などを向上させることができる。また、接触を確実に、かつ、迅速に検知することができるので、接触トラブルによる損害(たとえば、接触した他の物体に与える損害や、ロボットアーム10自体が破損することによる損害)をより低減することができる。
【0062】
[ロボットアームを備えた装置の一実施形態]
また、本発明は、ロボットアームを備えた装置の発明としても有効である。
本実施形態のロボットアームを備えた装置(図示せず)は、上述した第二実施形態のロボットアーム10と、ロボットアーム10のロボットアーム部4a、4b、4cの少なくとも一つに取り付けられ、所定の作業、加工及び測定の少なくとも一つを行うための機器とを備えた装置としてある。
なお、ロボットアーム10の構成や動作は、上述した第二実施形態とほぼ同様である。
【0063】
上記の所定の作業を行うための機器は、通常、作業用機器である。この作業用機器として、たとえば、搬送や移動を行うための保持手段、又は、組立作業などに用いられる工具が挙げられる。
また、上記の所定の加工を行うための機器は、通常、加工用機器である。この加工用機器として、たとえば、工作機器、加熱機器、冷却機器、加圧機器、塗布器が挙げられる。
さらに、上記の所定の測定を行うための機器は、通常、測定用機器である。この測定機器として、たとえば、計測器、観測機器、撮像機器が挙げられる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のロボットアームを備えた装置によれば、ロボットアーム10が、他の物体への接触を検知する信頼性、経済性(たとえば、製造原価のコストダウン)、及び、稼働率などを向上させることができる。また、接触を確実に、かつ、迅速に検知することができるので、接触トラブルによる損害(たとえば、接触した他の物体に与える損害や、ロボットアーム10自体が破損することによる損害)をより低減することができる。
また、本実施形態のロボットアームを備えた装置は、ロボットアーム10が、接触を検知する信頼性などに優れているので、特殊な環境(たとえば、宇宙空間や深海)においても、好適に用いることができる。
【0065】
以上、本発明のロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るロボットアーム、ロボットアームの接触検知方法、及び、ロボットアームを備えた装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明は、回転関節によって構成される、あらゆる多関節のロボットアームに適用可能である。
また、直動関節を有するロボットアームであっても、減速機を用いており、モータ出力位置と減速機の出力位置の検出が可能であるなら、適用可能である。
さらに、ボールねじにより回転運動を直線運動に変換して動作するロボットアームや、その逆に、直線運動を回転運動に変換して動作するロボットアームであっても、回転運動の角度と直線運動の位置が検出可能であるならば、適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1、10 ロボットアーム
2、2a、2b、2c 駆動モータ
21 モータ軸
22、22a、22b、22c 角度センサ
3 減速機
31、31a、31b、31c 出力軸
32、32a、32b、32c 角度センサ
4、4a、4b、4c ロボットアーム部
41 ロボットアーム先端
5、50 モータ制御手段
51、52a、52b、52c 制御量演算部
52、52a、52b、52c モータ制御量出力部
53 モータ軸の回転角取得部
54 位置・姿勢の算出部
55 出力軸の回転角取得部
56 位置・姿勢の算出部
57 接触判定部
58 対処指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
この駆動モータのモータ軸の角度を検出するモータ軸用の角度センサと、
前記モータ軸と接続され、前記駆動モータの回転を減速する減速機と、
この減速機の出力軸の角度を検出する出力軸用の角度センサと、
前記出力軸に連結されたロボットアーム部と、
前記駆動モータを制御するとともに、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号及び前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する前記モータ制御手段と
を備えたことを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
前記モータ制御手段が、
前記モータ軸用の角度センサからの前記計測信号にもとづいて、前記モータ軸の回転角を取得するモータ軸の回転角取得部と、
このモータ軸の回転角取得部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の位置及び/又は姿勢を算出する、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部と、
前記出力軸用の角度センサからの前記計測信号にもとづいて、前記出力軸の回転角を取得する出力軸の回転角取得部と、
この出力軸の回転角取得部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の位置及び/又は姿勢を算出する、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部と、
前記モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部、及び、前記出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する接触判定部と
この接触判定部の情報にもとづいて、前記駆動モータへの対処を指示する対処指示部と
を有することを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記対処指示部が、前記接触判定部から接触した旨の情報を入力すると、停止情報を出力し、前記モータ制御手段が、前記ロボットアーム部を停止させることを特徴とする請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記接触判定部が、前記モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部、及び、前記出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部からの情報にもとづいて、接触方向及び/又は接触強さを算出することを特徴とする請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記対処指示部が、前記接触判定部から接触した旨の情報、並びに、算出された前記接触方向及び/又は接触強さの情報を入力すると、移動情報を出力し、前記モータ制御手段が、前記ロボットアーム部を所定の方向へ移動させることを特徴とする請求項4に記載のロボットアーム。
【請求項6】
前記所定の方向が、前記接触方向、又は、接触する前の前記ロボットアーム部の移動方向と反対の方向であることを特徴とする請求項5に記載のロボットアーム。
【請求項7】
複数の前記駆動モータ、前記モータ軸用の角度センサ、前記減速機、前記出力軸用の角度センサ、及び、前記ロボットアーム部を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のロボットアーム。
【請求項8】
駆動モータと、
この駆動モータのモータ軸の角度を検出するモータ軸用の角度センサと、
前記モータ軸と接続され、前記駆動モータの回転を減速する減速機と、
この減速機の出力軸の角度を検出する出力軸用の角度センサと、
前記出力軸に連結されたロボットアーム部と
が用いられ、
前記モータ制御手段が、前記駆動モータを制御するとともに、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号及び前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定することを特徴とするロボットアームの接触検知方法。
【請求項9】
前記モータ制御手段が、モータ軸の回転角取得部、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部、出力軸の回転角取得部、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部、接触判定部、及び、対処指示部を用い、
前記モータ軸の回転角取得部が、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記モータ軸の回転角を取得し、
前記モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部が、前記モータ軸の回転角取得部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の位置及び/又は姿勢を算出し、
前記出力軸の回転角取得部が、前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記出力軸の回転角を取得し、
前記出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部が、前記出力軸の回転角取得部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の位置及び/又は姿勢を算出し、
前記接触判定部が、前記モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部、及び、前記出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定し、
前記対処指示部が、前記接触判定部の情報にもとづいて、前記駆動モータへの対処を指示することを特徴とする請求項8に記載のロボットアームの接触検知方法。
【請求項10】
ロボットアームと、
このロボットアームに取り付けられ、所定の作業、加工及び測定の少なくとも一つを行うための機器と
を備え、
前記ロボットアームが、
駆動モータと、
この駆動モータのモータ軸の角度を検出するモータ軸用の角度センサと、
前記モータ軸と接続され、前記駆動モータの回転を減速する減速機と、
この減速機の出力軸の角度を検出する出力軸用の角度センサと、
前記出力軸に連結されたロボットアーム部と、
前記駆動モータを制御するとともに、前記モータ軸用の角度センサからの計測信号及び前記出力軸用の角度センサからの計測信号にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する前記モータ制御手段と
を有することを特徴とするロボットアームを備えた装置。
【請求項11】
前記モータ制御手段が、
前記モータ軸用の角度センサからの前記計測信号にもとづいて、前記モータ軸の回転角を取得するモータ軸の回転角取得部と、
このモータ軸の回転角取得部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の位置及び/又は姿勢を算出する、モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部と、
前記出力軸用の角度センサからの前記計測信号にもとづいて、前記出力軸の回転角を取得する出力軸の回転角取得部と、
この出力軸の回転角取得部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の位置及び/又は姿勢を算出する、出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部と、
前記モータ軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部、及び、前記出力軸用の角度センサによる位置・姿勢の算出部からの情報にもとづいて、前記ロボットアーム部の接触の有無を判定する接触判定部と
この接触判定部の情報にもとづいて、前記駆動モータへの対処を指示する対処指示部と
を有することを特徴とする請求項10に記載のロボットアームを備えた装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−228028(P2010−228028A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76485(P2009−76485)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】