説明

ロボットコントロール装置、ロボットコントロール方法

【課題】CPUが動作制御装置を単独で制御する用途、および、CPUを備えず動作指示装置からの指示に基づきロボットの動作制御する用途の両方の使い方を可能にするロボットコントロール装置、ロボットコントロール方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ロボットコントロール装置1は、動作指示装置2と動作制御装置3とを備えている。動作制御装置3は、ロボット4が信号線5を介して接続されている。動作制御装置3は、通信ユニット300と動作制御ユニット400を備え、通信ユニット300と動作制御ユニット400とは、BUS端子302とBUS端子401を用いて接続され、通信ユニット300は、通信部301と、BUS端子302とを備え、動作制御ユニット400は、BUS端子401と、拡張ユニット判別部402と、実行部403と、第1記憶部404と、第2記憶部405と、ロボット制御部406とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットコントロール装置、ロボットコントロール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の組み立てや部品搬送用途向け等に用いるロボットをコントロールするロボットコントロール装置は、一般的に動作制御装置(サブ・ロボットコントローラーまたは、スレーブ・ロボットコントローラー)と動作指示装置(主ロボットコントローラー)を備えている。動作指示装置は、例えば、外部ネットワークとのインターフェース、汎用アプリケーション、ロボット動作に必要な制御プログラムなどを備え、動作制御装置と動作指示装置とが所定の通信規格に基づいて接続されている。また、動作制御装置は、例えば、ロボットの各軸のモーターを制御し、ロボットが所望の動作をするように制御し、外部ネットワークとのインターフェース、プログラムを実行するCPU(中央演算装置)などを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、別の構成のロボットコントロール装置において、動作指示装置は、外部ネットワークとのインターフェース、汎用アプリケーション、ロボット動作に必要な制御プログラムなどを備え、動作制御装置と動作指示装置とが所定の通信規格に基づいて接続されている。動作制御装置は、ロボットの各軸のモーターを制御し、ロボットが所望の動作をするように制御し、外部ネットワークとのインターフェース、ロボットの動作を制御する制御部を備えている。このようなロボットコントロール装置の動作制御装置はCPUを備えず、動作指示装置からの制御プログラムに基づき動作制御装置の制御部がロボットの動作制御を行う(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−295622号公報
【特許文献2】特開平10−223594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、機器の組み立て等に用いるロボットにおいても、コスト低減の要求が高い。このため、動作制御装置は、特許文献1のように内部にCPU(中央演算装置)を備え、CPUが制御プログラムに基づき制御する用途と、特許文献2のようにCPUを備えず動作指示装置からの制御プログラムに基づき動作制御装置の制御部がロボットの動作制御する用途の両方の使い方ができることが望ましい。また、このようなロボット制御を行うために使用するCPUは、汎用的なCPUと比較して高価である。
しかしながら、動作制御装置のCPUを使用せずに動作制御する用途では、特許文献1の構成の場合、動作制御装置のCPUを用いずに動作指示装置からの制御プログラムに基づき動作制御装置の制御部がロボットの動作制御することも可能ではあるが、動作制御装置の高価なCPUのコストが余計にかかってしまうという問題点があった。また、特許文献2の構成においては、動作制御装置にCPUを備えていないため、CPUが単独でロボットを制御する用途で使用できず、別のCPUを備える動作制御装置を購入する必要があるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、CPUが動作制御装置を単独で制御する用途、および、CPUを備えず動作指示装置からの指示に基づきロボットの動作制御する用途の両方の使い方を可能にするロボットコントロール装置、ロボットコントロール方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかるロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定の接続手段で接続されているロボットコントロール装置において、前記動作制御装置は、前記ロボットの動作制御を行う動作制御ユニットと、前記動作制御ユニットの機能を拡張する拡張ユニットとを備え、前記動作制御ユニットは、前記拡張ユニットを接続し、前記拡張ユニットとデータの入出力を行う拡張部と、前記拡張部に接続された前記拡張ユニットが出力するデータに基づき制御信号を生成する実行部と、前記実行部が生成した制御信号に基づき前記ロボットの制御を行うロボット制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明にかかるロボットコントロール装置において、前記拡張部に接続されている前記拡張ユニットを判別する拡張ユニット判別部とをさらに備え、実行部は、前記拡張ユニット判別部が判別した前記拡張ユニットに基づいて動作モードを切り替え、切り替えた動作モードに応じて制御信号を生成することを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかるロボットコントロール装置において、前記拡張ユニットは、前記動作指示装置とデータ送受信を行う通信部と、前記通信部が前記動作指示装置から受信したデータを前記動作制御ユニットに出力し、さらに前記動作制御ユニットと接続する第2拡張部とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明にかかるロボットコントロール装置において、前記拡張ユニットは、前記動作指示装置とデータの送受信を行い、受け取ったデータに基づき制御指示を生成する制御部と、前記制御部が生成した制御指示を前記動作制御ユニットに出力し、さらに前記動作制御ユニットと接続する第3拡張部とを備えることを特徴としている。
【0011】
また、本発明にかかるロボットコントロール装置において、前記実行部は、前記拡張ユニット判別部が、前記通信部を備える拡張ユニットと判別した場合、前記判別結果に基づき、前記動作制御装置は前記動作指示装置からの指示で前記ロボット制御を行う動作モードを切り替えることを特徴としている。
【0012】
また、本発明にかかるロボットコントロール装置において、前記実行部は、前記拡張ユニット判別部が、前記制御部を備える拡張ユニットと判別した場合、前記判別結果に基づき、前記動作制御装置単独で前記ロボット制御を行う動作モードを切り替えることを特徴としている。
【0013】
また、本発明にかかるロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定の接続手段で接続され、前記動作制御装置は動作制御ユニットの機能を拡張する拡張ユニットと前記ロボットの動作制御を行う動作制御ユニットとを備えるロボットコントロール装置のロボットコントロール方法において、前記動作制御ユニットの拡張部は、前記拡張ユニットとデータの入出力を行う拡張工程と、前記動作制御ユニットの実行部は、前記拡張部に接続された前記拡張ユニットが出力するデータに基づき制御信号を生成する実行工程と、前記動作制御ユニットのロボット制御部は、前記実行工程が生成した制御信号に基づき前記ロボットの制御を行うロボット制御工程と、を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、動作制御装置を拡張部を用いて接続した拡張ユニットと動作制御ユニットとで構成し、動作制御ユニットの拡張ユニット判別部で接続されている拡張ユニットを判別し、判別結果に基づき動作制御装置の動作モードを切り替えるようにした。この結果、CPUが動作制御装置を単独で制御する用途、および、CPUを備えず動作指示装置からの指示に基づきロボットの動作制御する用途の両方の使い方に対応できるロボットコントロール装置、ロボットコントロール方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係るロボットコントロール装置のブロック図の一例を示す図である。
【図2】第一または第三の実施形態に係るロボットコントロール装置の動作手順のフローチャートである。
【図3】第二実施形態に係るロボットコントロール装置のブロック図の一例を示す図である。
【図4】第二実施形態に係るロボットコントロール装置の動作手順のフローチャートである。
【図5】第三実施形態に係るロボットコントロール装置のブロック図の一例を示す図である。
【図6】動作制御ユニットと拡張ユニットの接続の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を用いて説明する。なお、本発明は係る実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0017】
[第一実施形態]
図1は、第一の実施形態におけるロボットコントロール装置の構成の一例を示すブロック図である。ロボットコントロール装置1は、動作指示装置2と動作制御装置3とを備え、動作指示装置2と動作制御装置3は信号線5を介して接続されている。動作制御装置3は、ロボット4が接続されている。また、ロボット4は、例えば、産業用のスカラロボットや多軸ロボット等であり、ロボットコントロール・システム1により動作が制御される。
【0018】
次に、動作指示装置2の構成について説明する。動作指示装置2は、通信部201と、演算部202と、ROM203と、RAM204と、第1記憶部205とを備えている。
【0019】
通信部201は、信号線5を介して動作制御装置3と接続する。また、通信部201は、演算部202が出力する制御装置3のコントローラープログラムを受け取り、動作制御装置3とのロボット4の制御に関わる各種データや各種指示等の送受信、および、受け取った制御装置3のコントローラープログラム等の送信を行う。
【0020】
演算部202は、ROM203に記憶されている動作指示装置2の制御プログラムや各種データを読み出し、読み出した制御プログラムや各種データをRAM204に書き込んで記憶させる。また、演算部202は、RAM204に記憶されている制御プログラムや各種データを読み出し、読み出した制御プログラムや各種データに基づき動作指示装置2の動作を開始する。さらに、演算部202は、通信部201が出力する各種データや各種指示等を受け取り、受け取った各種データをRAM204に書き込んで記憶させ、または、
受け取った各種指示に基づき適時ROM203に記憶されているデータを読み出し、読み出したデータを通信部201に出力する。
ROM203は、例えば、OS(オペレーティング・システム)や動作指示に関するアプリケーション、ロボット4へ指示する座標等の動作指示に関する各種データが記憶されている。RAM204は、制御プログラムや各種データが書き込まれて記憶されている。さらにまた、演算部202は、第1記憶部205に記憶されている制御装置3のコントローラープログラムを読み出し、読み出した制御装置3のコントローラープログラムを通信部201に出力する。
【0021】
第1記憶部205は、制御装置3のコントローラープログラムが記憶されている。
【0022】
次に、動作制御装置3の構成について説明する。動作制御装置3は、通信ユニット300と動作制御ユニット400を備えている。また、通信ユニット300と動作制御ユニット400とは、BUS端子302とBUS端子401を用いて、所定のデータ送受信の手法で電気的に接続されている。また、通信ユニット300は、通信部301と、BUS端子302とを備え、動作制御ユニット400は、BUS端子401と、拡張ユニット判別部402と、実行部403と、第1記憶部404と、第2記憶部405と、ロボット制御部406とを備えている。
【0023】
通信部301は、信号線5を介して動作指示装置2と接続し、動作指示装置2との各種データや各種指示、コントローラープログラム等を受信する。また、通信部301は、受信した各種データや各種指示、コントローラープログラムを、BUS端子302を介して動作制御ユニットに出力する。さらに、通信部301は、BUS端子302を介して動作制御ユニットから、各種データや各種指示に対する応答等を受け取り、受け取った各種データや各種指示に対する応答等を、信号線5を介して動作指示装置2に送信する。さらにまた、通信部301は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)である。さらに、通信部301は、通信ユニットであることを示す拡張ユニット識別信号を、BUS端子302を介して、動作制御ユニット400に出力する。
【0024】
BUS端子302(第2拡張部)とBUS端子401(拡張部)は、例えば、汎用的な基板間コネクタやD−sub等のコネクタであり、一方が雄端子で他方が雌端子である。また、BUS端子401は、例えば、動作制御ユニット400の筐体内にあり、通信ユニット300をスロットに挿入して拡張する。
【0025】
拡張ユニット判別部402は、BUS端子401を介して接続されているユニットから拡張ユニット識別信号を受け取り、受け取った拡張ユニット識別信号を用いて動作制御ユニット400に接続されているユニットの種類を判別する。なお、ユニットの種類は、例えば、通信ユニット300、CPUユニット等である。また、拡張ユニット判別部402は、判定したユニット種類情報を実行部403に出力する。
【0026】
実行部403は、第1記憶部404に記憶されている制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて動作を行う。また、実行部403は、拡張ユニット判別部402が出力するユニット種類情報を受け取り、受け取ったユニット種類情報に応じて通信ユニット300接続時の動作モードに切り替える。さらに、実行部403は、BUS端子401を介して通信部301が出力する各種データや各種指示、コントローラープログラム等を受け取り、受け取った各種データや各種指示、コントローラープログラム等を第2記憶部405に書き込んで記憶させる。さらに、実行部403は、受け取った各種指示に対する応答や、各種データを、BUS端子401を介して通信ユニット300に出力する。さらに、実行部403は、第2記憶部405に記憶されているコントローラープログラムに基づき、ロボット4への動作指示やロボット4を制御するために必要な各種データ(座標など)を、ロボット制御部406に出力する。また、動作制御ユニット400の実行部403と第2記憶部405は、例えばDSPで構成しても良い。
【0027】
第1記憶部404は、ROMであり、実行部403の制御プログラムを記憶している。また、RAM第2記憶部405は、RAMであり、コントローラープログラムや各種データを記憶している。
【0028】
ロボット制御部406は、実行部403が出力するロボット4の各種制御コマンドを受け取り、受け取った制御コマンドに基づいてロボット4を制御する。
【0029】
次に、図2のフローチャートを用いて、ロボットコントロール装置1の動作手順を説明する。本実施形態では、動作制御ユニット400に、通信ユニット300が接続されている例を説明する。まず、実行部403は、第1記憶部404に記憶されている制御プログラムを読み出し(ステップS1)、動作制御ユニット400の動作を開始する。次に、通信部301は、BUS端子302を介して動作制御ユニット400に通信ユニットを示す拡張ユニット識別信号を出力する。
【0030】
次に、拡張ユニット判別部402は、BUS端子401を介して通信ユニット300が出力する拡張ユニット識別信号を受け取り、受け取った拡張ユニット識別信号を用いて動作制御ユニット400に接続されているユニットを判別する(ステップS2)。具体的には、拡張機器識判定部402は、接続されているユニットを拡張ユニット識別信号に基づき通信ユニット300と判別する。接続ユニットを判別した後、拡張ユニット判別部402は、判別したユニット種類情報を実行部403に出力する。
【0031】
次に、実行部403は、拡張ユニット判別部402が出力するユニット種類情報を受け取り、受け取ったユニット種類情報に基づき動作制御ユニット400の動作モードを切り替える(ステップS3)。具体的には、実行部403は、受け取ったユニット判定信号に基づき、動作制御装置は動作指示装置2の指示で制御する動作モードに切り替える。
【0032】
次に、演算部202は、第3記憶部205に記憶されているコントローラープログラムや各種データ等を読み出し(ステップS4)、読み出したコントローラープログラムや各種データ等を通信部201に出力する。次に、通信部201は、演算部202が出力するコントローラープログラムや各種データ等を受け取り、受け取ったコントローラープログラムや各種データ等を、信号線5を介して動作制御装置3に送信する(ステップS5)。
【0033】
次に、通信部301は、信号線5を介して動作指示装置2が出力するコントローラープログラムや各種データ等を受信し(ステップS6)、受け取ったコントローラープログラムや各種データ等を、BUS端子302を介して動作制御ユニット400に出力する(ステップS7)。
【0034】
次に、実行部403は、BUS端子401を介して通信ユニット300が出力するコントローラープログラムや各種データ等を受け取り(ステップS8)、受け取ったコントローラープログラムや各種データ等を第2記憶部405に書き込んで記憶させる(ステップS9)。次に、実行部403は、第2記憶部405に記憶されているコントローラープログラムや各種データ等を読み出し、読み出したコントローラープログラムや各種データ等に基づきロボット4の制御指示等をロボット制御部406に出力する。また、ロボット制御部406は、実行部403が出力するロボット制御指示等に基づきロボット4を制御する(ステップS10)。
以後、動作指示装置2が出力する動作制御指示を動作制御装置3が受け取り、受け取った動作指示に基づきロボット4の制御を行う。このように、動作制御ユニット400に通信ユニット300を組み合わせて動作制御装置1を構成して使用する場合、動作制御装置は、動作指示装置2(主ロボットコントローラー)に対しスレーブ・ロボットコントローラーとして機能する。
【0035】
以上のように、動作制御装置をベースとなる動作制御ユニット400と通信ユニット300とで構成した。また、動作制御ユニット400は、BUS端子401を介して拡張機器である通信ユニット300が接続され、接続されているユニットを拡張ユニット判別部402で判定した後、動作制御ユニット400の動作モードを切り替えるようにした。また、動作モード切替後、実行部404が、動作指示装置2が出力するコントロールプログラムや各種データ、各種動作指示等を受け取り、受け取ったコントロールプログラムや各種データ、各種動作指示等に基づきロボット4の制御指示を行うようにした。この結果、従来のように、動作制御装置3に高価なCPUを備えず、利用者の利用目的に合わせた動作指示装置2と通信ユニット300を組み合わせてコストを抑えた動作制御ユニットを構成することができる。
また、本実施形態では、1台の動作制御装置3が、動作指示装置2に信号線5を介して接続されている例を説明したが、動作制御装置2に対して複数台の動作制御装置3をデイジーチェーンで接続しても良い。この場合、動作制御装置3同士を通信部301に接続されている信号線5を介してデイジーチェーンで接続する。
【0036】
[第二実施形態]
次に、第二の実施形態について図3と図4を用いて説明する。図3は、第二の実施形態におけるロボットコントロール装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、第一の実施形態と同じ機能部については、図1と同じ番号を用い、説明は省略する。第一の実施形態との相違点は、動作制御ユニット400に接続されている拡張機器がCPUユニット700であり、さらに動作制御蔵置3には、オペレーションパネル6が接続されている。
【0037】
オペレーションパネル6は、パネル部601と、通信部602とを備えている。
パネル部601は、機械式スイッチやタッチパネル式の表示部等を備え、ロボット4の動作指示や各種データの入力等を行う操作パネルである。また、パネル部601は、パネルで設定された指示を読み取り、読み取った指示を通信部602に出力する。
通信部602は、パネル部601が出力する指示を受け取り、受け取った指示を、信号線5を介して動作制御装置3に送信する。
【0038】
CPUユニット700は、CPU701と、BUS端子702を備えている。
CPU701は、中央演算装置でありリアルタイム処理を行う必要があるため、一般的には高価なCPUである。また、CPU(制御部)701は、例えば、パラレル通信端子を備え、このパラレル通信端子を介して信号線5と接続している。すなわち、CPU701は、オペレーションパネル6と信号線5を介して、このパラレル通信端子を用いてロボット指示を受け取る。また、CPU701は、受け取った指示を、BUS端子(第3拡張部)702を介して動作制御ユニット400に出力する。また、BUS端子702は、例えば、汎用的な基板間コネクタやD−sub等のコネクタである。
【0039】
次に、図4のフローチャートを用いて、ロボットコントロール装置1の動作手順を説明する。本実施形態では、動作制御ユニット400に、CPUユニット700が接続されている例を説明する。また、第一の実施形態と同じ手順については図2と同じ番号を用い、説明を省略する。
まず、実行部403は、第1記憶部404に記憶されている制御プログラムを読み出し(ステップS1)、動作制御ユニット400の動作を開始する。次に、CPU701は、BUS端子702を介して動作制御ユニット400に通信ユニットを示す拡張ユニット識別信号を出力する。
【0040】
次に、拡張ユニット判別部402は、BUS端子401を介してCPUユニット700が出力する拡張ユニット識別信号を受け取り、受け取った拡張ユニット識別信号を用いて動作制御ユニット400に接続されているユニットを判別する(ステップS2)。具体的には、拡張機器識判定部402は、接続されているユニットを拡張ユニット識別信号に基づきCPUユニット700と判別する。接続ユニット判別後、拡張ユニット判別部402は、判別したユニット種類情報を実行部403に出力する。
【0041】
次に、実行部403は、拡張ユニット判別部402が出力するユニット種類情報を受け取り、受け取ったユニット種類情報に基づき動作制御ユニット400の動作モードを切り替える(ステップS3)。具体的には、実行部403は、受け取ったユニット判定信号に基づきCPU701が単独で動作制御装置3を制御する動作モードに切り替える。
【0042】
次に、パネル部601は、パネルで設定されたロボット4の指示等を読み取り(ステップS101)、読み取った指示を通信部602に出力し、通信部602は受け取った指示を、信号線5を介して動作制御装置3に出力する(ステップS102)。
【0043】
次に、CPU701は、オペレーションパネル6が出力する指示を受け取り(ステップS103)、受け取った指示に応じて、ロボット4の制御指示を生成し、生成した制御指示を、BUS端子702を介して動作制御ユニット400に出力する(ステップS104)。
【0044】
実行部403は、CPUユニット700が出力する制御指示を受け取り、受け取った制御指示に応じて、ロボット制御部405にロボット4にロボット制御指示を出力する。また、ロボット制御部406は、実行部403が出力するロボット制御指示に基づきロボット4を制御する(ステップS105)。
以後、オペレーションパネル6が出力する指示を動作制御装置3が受け取り、受け取った指示に基づきCPU701が制御指示を生成し、生成した制御指示を実行部403に出力する。そして、実行部403は、受け取った制御指示に基づきロボット制御部405の制御を行う。すなわち、第二の実施形態は、動作制御装置3はコントロールプログラムを備えず、オペレーションパネルからの指示ごとにロボット4の制御をCPUユニット700の制御指示に基づいて行う。このように、動作制御ユニット400にCPUユニット700を組み合わせて動作制御装置1を構成して使用する場合、動作制御装置は、ロボットコントローラーとして機能する。
【0045】
以上のように、動作制御装置をベースとなる動作制御ユニット400とCPUユニット700とで構成した。また、動作制御ユニット400は、BUS端子401を介して拡張機器であるCPUユニット700が接続され、接続されているユニットを拡張ユニット判別部402で判定した後、動作制御ユニット400の動作モードを切り替えるようにした。また、動作モード切替後、CPUユニット700は、オペレーションパネル6が出力するロボット4の指示等を受け取り、受け取ったロボット4の指示等に基づいてロボット4の制御信号を生成し、生成した生成した制御指示を実行部403に出力する。そして、実行部403は、受け取った制御指示に基づきロボット制御部405の制御を行うようにした。この結果、CPU701が単独で動作制御装置を制御し、かつ従来のように、動作制御装置3に通信部を備えず、利用者の利用目的に合わせた動作指示装置2とCPUユニット700を組み合わせてコストを抑えた動作制御ユニットを構成することができる。
【0046】
[第三実施形態]
次に、第三の実施形態について図5と図6を用いて説明する。図5は、第三の実施形態におけるロボットコントロール装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、第二の実施形態と同じ機能部については、図3と同じ番号を用い、説明は省略する。第二の実施形態との相違点は、動作制御蔵置3には、PC8が一般的なネットワーク9を介して接続されている。また、ネットワーク9は、例えば、一般的なISA(Industry Standard Architecture)規格によるものでも良い。
【0047】
PC8は、一般的なパーソナルコンピュータであり、通信部801と、演算部802と、ROM803と、RAM804と、第4記憶部805とを備えている。
【0048】
通信部801は、通信部801は、ネットワーク9を介して動作制御装置3と接続する。また、通信部801は、演算部802が出力する制御装置3のコントローラープログラムを受け取り、動作制御装置3とのロボット4の制御に関わる各種データや各種指示等の送受信、および、受け取った制御装置3のコントローラープログラム等の送信を行う。
【0049】
演算部802は、例えば、ROM803に記憶されているOS(オペレーティング・システム)を読み出し、PC8の動作を行う。また、演算部802は、通信部801が出力する各種データや各種指示等を受け取り、受け取ったデータをRAM804に書き込んで記憶させ、受け取った各種指示に基づきROM803に記憶されているデータを適時読み出して、読み出したデータを通信部801に出力する。ROM803は、例えば、OS(オペレーティング・システム)や動作指示に関するアプリケーション、ロボット4へ指示する座標等の動作指示に関する各種データが記憶されている。RAM804は、制御プログラムや各種データが書き込まれて記憶されている。さらにまた、演算部802は、第4記憶部805に記憶されているコントローラープログラムを読み出し、読み出したコントローラープログラムを通信部801に出力する。
【0050】
第4記憶部805は、制御装置3のコントローラープログラムが記憶されている。
【0051】
次に、図2のフローチャートを用いて、ロボットコントロール装置1の動作手順を説明する。本実施形態では、動作制御ユニット400に、CPUユニット700が接続されている例を説明する。また、第一の実施形態と同じ手順については図2と同じ番号を用い、説明を省略する。
【0052】
ステップS1終了後、CPU701は、BUS端子702を介して動作制御ユニット400に通信ユニットを示す拡張ユニット識別信号を出力する。
【0053】
次に、拡張ユニット判別部402は、BUS端子401を介してCPUユニット700が出力する拡張ユニット識別信号を受け取り、受け取った拡張ユニット識別信号を用いて動作制御ユニット400に接続されているユニットを判別する(ステップS2)。具体的には、拡張機器識判定部402は、接続されているユニットを拡張ユニット識別信号に基づきCPUユニット700と判別する。接続ユニット判別後、拡張ユニット判別部402は、判別したユニット種類情報を実行部403に出力する。
【0054】
次に、実行部403は、拡張ユニット判別部402が出力するユニット種類情報を受け取り、受け取ったユニット種類情報に基づき動作制御ユニット400の動作モードを切り替える(ステップS3)。具体的には、実行部403は、受け取ったユニット判定信号に基づき、CPU701が単独で動作制御装置3を制御する動作モードに切り替える。
以後、第一の実施形態の動作手順と同様にステップS4〜ステップS10を行う。このように、動作制御ユニット400にCPUユニット700を組み合わせて動作制御装置1を構成して使用する場合、動作制御装置は、ロボットコントローラーとして機能する。
【0055】
以上のように、動作制御装置をベースとなる動作制御ユニット400とCPUユニット700とで構成した。また、動作制御ユニット400は、BUS端子401を介して拡張機器であるCPUユニット700が接続され、接続されているユニットを拡張ユニット判別部402で判定した後、動作制御ユニット400の動作モードを切り替えるようにした。また、動作モード切替後、CPUユニット700は、実行部404が、PC8が出力するコントロールプログラムや各種データ、各種動作指示等を受け取り、受け取ったコントロールプログラムや各種データ、各種動作指示等に基づきロボット4の制御指示を行うようにした。この結果、従来のように、動作制御装置3に通信部を備えず、利用者の利用目的に合わせた動作指示装置2とCPUユニット700を組み合わせてコストを抑えた動作制御ユニットを構成することができる。
【0056】
以上のように、第一の実施形態〜第三の実施形態のようにロボットコントロール装置を構成したので、動作制御装置3は、利用者の利用目的に応じて拡張機器として通信ユニット300やCPUユニット700等を選択してベースとなる動作制御ユニット400と組み合わせて利用することができる。すなわち、第一の実施形態のように動作指示装置2と組み合わせて利用したい場合、動作制御ユニット400と拡張機器の通信ユニット300を組み合わせて動作制御装置3を構成する。このように動作制御ユニット400にCPUユニット700を組み合わせて動作制御装置1を構成して使用する場合、動作制御装置は、スレーブ・コントローラーとして機能する。
また、第二の実施形態のようにオペレーションパネル6を用いてロボット4の制御を行う場合、および、第三の実施形態のようにPC8を用いてロボット4の制御を行う場合、動作制御ユニット400と拡張機器のCPUユニット700を組み合わせて動作制御装置3を構成する。このように、動作制御ユニット400にCPUユニット700を組み合わせて動作制御装置1を構成して使用する場合、動作制御装置は、ロボットコントローラーとして機能する。
この結果、CPUが制御プログラムに基づき制御する用途、および、CPUを備えず動作指示装置からの制御プログラムに基づき制御部がロボットの動作制御する用途の両方の使い方を可能にし、かつコスト的に有利なロボットコントロール装置を構成することができる。
【0057】
また、本実施形態では、BUS端子401が動作制御ユニット400内にあり、スロットに通信ユニット300等を挿入して拡張する例を説明したが、BUS端子401は、図6のように動作制御ユニット400の筐体の露出した部分に拡張端子であるBUS端子401を設けるようにしても良い。図6は、動作制御ユニットと拡張ユニットの接続の一例を説明する図である。この構成によれば、既成の動作制御装置1の筐体を大きくしたりして作り直さなくても本実施形態の構成に対応可能であり、さらに、動作制御装置1を開けて内部に各拡張ユニット(通信ユニット300等)を取り付ける手間が省けるので作業性が良い。以上のような点においてもコスト的に有利なロボットコントロール装置を構成することができる。
【0058】
また、第三の実施形態ではPC8を用いて動作制御装置3に指示を行う例を説明したが、一般的なPLC(Programmable logic controller)を用いて動作制御装置3に指示を行うようにしても良い。
【0059】
また、本実施形態では、拡張機器判別部402が、受け取った拡張ユニット識別信号を用いて接続ユニット種類を判別する例を説明したが、拡張機器判別部402がユニット識別を行う拡張機器識識別信号を接続されている通信ユニット300に出力し、この拡張機器識識別信号に対する応答信号を用いてユニットの判別を行っても良い。
【0060】
また、本実施形態では、動作制御ユニット400に通信ユニット300とCPUユニット700を拡張機器として接続して動作制御装置を構成する例を説明したが、拡張機器は他のユニットでも良い。他のユニットは、例えば、画像表示出力機能を有するユニットや、USB(Universal Serial Bus) I/F(インターフェース)を備えるユニットなどでも良い。
【0061】
また、本実施形態ではまた、BUS端子302とBUS端子401、およびBUS端子702は、端子を用いる例を説明したが、例えば、光通信や赤外線等を用いて接続するようにしても良い。
【0062】
また、本実施形態では、拡張ユニット判別部402が動作制御ユニット400に接続されたユニットを判別する例を説明したが、動作制御ユニット400の実行部403が通信ユニット300またはCPUユニットのどちらが接続されても接続された拡張ユニットが出力するプログラムやデータを受け取り、受け取ったプログラムやデータに基づいて制御するようにしても良い。この場合、拡張ユニット判別部402無しで動作制御ユニットを構成できるので、さらにコストダウンを実現できる。
【0063】
なお、実施形態の図1の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ロボットコントロール装置
2・・・動作指示装置
3・・・動作制御装置
4・・・ロボット
5・・・信号線
300・・・通信ユニット
400・・・動作制御ユニット
301・・・通信部
302、401・・・BUS端子
402・・・拡張ユニット判別部
403・・・実行部
404・・・第1記憶部
405・・・第2記憶部
406・・・ロボット制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定の接続手段で接続されているロボットコントロール装置において、
前記動作制御装置は、
前記ロボットの動作制御を行う動作制御ユニットと、前記動作制御ユニットの機能を拡張する拡張ユニットと、
を備え、
前記動作制御ユニットは、
前記拡張ユニットを接続し、前記拡張ユニットとデータの入出力を行う拡張部と、
前記拡張部に接続された前記拡張ユニットが出力するデータに基づき制御信号を生成する実行部と、
前記実行部が生成した制御信号に基づき前記ロボットの制御を行うロボット制御部と、
を備えることを特徴とするロボットコントロール装置。
【請求項2】
前記拡張部に接続されている前記拡張ユニットを判別する拡張ユニット判別部と、
をさらに備え、
実行部は、前記拡張ユニット判別部が判別した前記拡張ユニットに基づいて動作モードを切り替え、切り替えた動作モードに応じて制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットコントロール装置。
【請求項3】
前記拡張ユニットは、
前記動作指示装置とデータ送受信を行う通信部と、
前記通信部が前記動作指示装置から受信したデータを前記動作制御ユニットに出力し、さらに前記動作制御ユニットと接続する第2拡張部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロボットコントロール装置。
【請求項4】
前記拡張ユニットは、
前記動作指示装置とデータの送受信を行い、受け取ったデータに基づき制御指示を生成する制御部と、
前記制御部が生成した制御指示を前記動作制御ユニットに出力し、さらに前記動作制御ユニットと接続する第3拡張部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロボットコントロール装置。
【請求項5】
前記実行部は、
前記拡張ユニット判別部が、前記通信部を備える拡張ユニットと判別した場合、
前記判別結果に基づき、前記動作制御装置は前記動作指示装置からの指示で前記ロボット制御を行う動作モードを切り替える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のロボットコントロール装置。
【請求項6】
前記実行部は、
前記拡張ユニット判別部が、前記制御部を備える拡張ユニットと判別した場合、
前記判別結果に基づき、前記動作制御装置単独で前記ロボット制御を行う動作モードを切り替える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のロボットコントロール装置。
【請求項7】
ロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定の接続手段で接続され、前記動作制御装置は動作制御ユニットの機能を拡張する拡張ユニットと前記ロボットの動作制御を行う動作制御ユニットとを備えるロボットコントロール装置のロボットコントロール方法において、
前記動作制御ユニットの拡張部は、前記拡張ユニットとデータの入出力を行う拡張工程と、
前記動作制御ユニットの実行部は、前記拡張部に接続された前記拡張ユニットが出力するデータに基づき制御信号を生成する実行工程と、
前記動作制御ユニットのロボット制御部は、前記実行工程が生成した制御信号に基づき前記ロボットの制御を行うロボット制御工程と、
を備えることを特徴とするロボットコントロール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−140076(P2011−140076A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1000(P2010−1000)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】