ロボット
【課題】全体の大きさや重量を大きくすることなく可搬重量を増やす。
【解決手段】水平多段式伸縮装置3のベース11を、直動ガイド13の長さより短い寸法に形成し、且つこのベース11の下面に同じく直動ガイド13の長さより短い寸法の平行状態をなす一対のレール摺動体12L、12Rを設けている。又、直動ガイド13を2本のレール17L、17Rと二つの連結端板18A(ひとつのみ図示)とから構成している。さらに一対のレールレール17L、17Rを連結するについて各レールの端面で各連結端板18Aをねじ止めする構成とした。
【解決手段】水平多段式伸縮装置3のベース11を、直動ガイド13の長さより短い寸法に形成し、且つこのベース11の下面に同じく直動ガイド13の長さより短い寸法の平行状態をなす一対のレール摺動体12L、12Rを設けている。又、直動ガイド13を2本のレール17L、17Rと二つの連結端板18A(ひとつのみ図示)とから構成している。さらに一対のレールレール17L、17Rを連結するについて各レールの端面で各連結端板18Aをねじ止めする構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直移送装置に水平多段式伸縮装置を組み込んだロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多段式伸縮装置は、最終段の可動体を、当該多段式伸縮装置自身の設置スペース以上の目的のストロークで伸縮させ得る手段として知られている(例えば、特許文献1、2)。
この多段式伸縮装置の構成を概略的に示すと図26ないし図30のようになっている。これら図26ないし図30において、多段式伸縮装置100は、固定側ガイド101と、直動ガイド102と、最終段の可動体としての可動ブロック103と、可動ブロック移動機構104とを備えて構成されている。
【0003】
前記固定側ガイド101は、図28に示すように、固定ベース101aに一対の平行な第1のレール101bをねじ止めにより取り付けて構成されている。前記第1のレール101bの両側面には凹状の第1のガイド部101cが形成されている。上述したねじとしては、図30に示すように、六角穴付きボルト105を用い、前記第1のレール101bには、当該ボルト105の頭部105aを収容するためのねじ頭部収容凹部106aと当該ボルト105のねじ部105bを挿通するためのねじ挿通孔部106bがレール長手方向と直交する方向に形成されている。そして、固定ベース101aには、雌ねじ部106cが形成されている。上記六角穴付きボルト105を前記ねじ頭部収容凹部106a及びねじ挿通孔部106bに通して前記雌ねじ部106cに螺合することにより固定ベース101aに各第1のレール101bがねじ止めされている。
【0004】
又、前記直動ガイド102は、図28に示すように、直動ベース102aの下面に一対の平行な第2のレール102bを前述と同様のねじ止めにより取り付けて構成されており、この第2のレール102bには、凹状の第2のガイド部102dが形成されている。さらに該直動ベース102aの上面には一対の平行なレール摺動体102cが連結されている。このレール摺動体102cにはボール状の第3のガイド部102eが形成されている。各レール摺動体102cはその第3のガイド部102eが前記各第1のレール101bの第1のガイド部101cに摺動可能に保持されている。
【0005】
前記可動ブロック103は、ブロック本体103aと、このブロック本体103aの上面に取付けた一対の被ガイド体103bとから構成されており、この被ガイド体103bにはボール状の第4のガイド部103cが形成されている。この一対の被ガイド体103bの第4のガイド部103cが前記直動ガイド102の各第2のレール102bの第2のガイド部102dに摺動可能に保持されている。
【0006】
前記可動ブロック移動機構104は、前記直動ガイド102の直動ベース102aの一端部(図26右端部)に設けた第1のプーリ104aと、同じく直動ベース102aの他端部に設けた第2のプーリ104bと、これらに架設されたベルト104cとから構成され、ベルト104cの上辺部における図Aでの一端部側の部位Q1が前記固定ベース101aに連結され、同じくベルト104cの下辺部における図26での他端部側の部位Q2が前記可動ブロック103に連結されている。
【0007】
前述した直動ガイド102は図示しない直動ガイド移動機構により図26の位置から図27に示す位置までの間で移動させられるようになっている。
ここで、上記固定側ガイド101が離間する2本のレール101bを備え、又、直動ガイド102も離間する2本のレール102bを備えた理由は、可動ブロック103に取り付けられたハンドなどの動きによって捩じり作用を受けた場合であっても直動ガイド102や可動ブロック103が変形や移動障害を起こすことがないようにするためと、上記直動ガイド移動機構を固定側ガイド101に配置するときにその配置スペースを確保するため、及び直動ガイド102に可動ブロック移動機構104を配置するときにその配置スペースを確保するためである。
【0008】
そして、前記直動ガイド102が図示しない直動ガイド移動機構により図26の位置から矢印R方向へ移動させられると、この直動ガイド102の移動により、該直動ガイド102に対して相対的にベルト104cの下辺部に連結された可動ブロック103が2倍の速さで矢印R方向へ移動する。この結果、図27に示すように、可動ブロック103が最長でストロークSの移動が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−285989号公報
【特許文献1】特開平11−245189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述の多段式伸縮装置100を、垂直・水平移動可能なロボットの垂直移動装置に水平に取付けた場合、上記レール摺動体102cを支持点として直動ガイド102から先が片持ち梁状態となり、この梁の剛性でこの多段伸縮装置100の可搬重量が制限される。この可搬重量を増やすためには、この梁の体格を大きくして剛性を上げることが考えられるが、当該多段式伸縮装置の重量が増えてしまい、垂直移動装置における多段式伸縮装置昇降用のモータの出力を上げなければならず、ロボット全体が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、全体の大きさや重量を大きくすることなく可搬重量を増やすことができるロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成するために、次の調査及び試作を行った。図26に示した従来構成において、多段式伸縮装置の重量を決定する主要な部材としては、固定側ガイド101、直動ガイド102、可動ブロック103があげられる。
本発明者は、上記各主要部材の軽量化について考察した。まず、直動ガイド102のレール摺動体102c、及び可動ブロック103は、その大きさ自体さほど大きくないから、それ以上の軽量化は望めない。
【0013】
次いで、固定側ガイド101の第1のレール101bの軽量化を検討した。第1のレール101bとレール摺動体102cの取付位置関係を逆(第1のレール101bを直動ベース102aの上辺部に取付け、レール摺動体102cを固定ベース101a下面に固定する)としても(図9参照)、直動ガイド102(この構成の直動ガイドを以下直動ガイド102Aという)は自身の移動ストロークを支障なく確保できることが分った。そして、この構成とすると、固定ベース101aにおけるレール摺動体102c以外の部分(図9の領域L部分)は不要となり、この領域L部分は削除でき、重量の軽量化に寄与できる。この削除した状態を図10に示す。
【0014】
上記構成とした場合、直動ガイド102Aは図11ないし図13に示すように、直動ベース102aに対して2倍の本数のレール101b、102bが取り付けられることになり、このままでは、固定側ガイド101の重量を軽減できるものの、直動ガイド102A自体の重量が増加する。
【0015】
そこで、本発明者は、図14ないし図18に示すように、直動ベース102aを廃止し上下のレール101b、102bを一体化することを考えた。この場合、図17に示すように、各レール101b、102bが有するねじ挿通孔部106b及びねじ頭部収容凹部106aを利用し、各レール101b、102bを六角穴付きボルト105とナット107とを用いて、上下のレール101b、102bを1本に連結する構成とする。
【0016】
この図11ないし図18の構成の場合、廃止した直動ベース102aに代わり、レール101b及び102bの一体化レール108の端部間を、連結端部109、109で連結する構成(図19参照)とする。この構成の直動ガイドを直動ガイド102Bという。
【0017】
上述の図19に示した直動ガイド102Bの重量と、図29に示した従来の直動ガイド102(レール摺動体102cを除く)の重量とを比較した場合、図19で示した構成の直動ガイド102Bの重量を、図29の従来の場合よりも軽量化できることが分かった。この軽量化達成について実証する。本発明では、搬送負荷が20kg未満であるいわゆる小形のロボットを対象としており、このような小形のロボットにおいて、図29で示した従来では、レールの幅をaとしたときレール102b間の寸法は、前述したように捩じりに対する剛性強化や直動ガイド移動機構用のスペースなどを考慮し、通常5a以上に設定している。従って、従来における前記直動ベース102aの幅寸法は、図29から分かるように7a以上となっている。そして直動ベース102aは、レール102b連結の連結強度を満足すればいいので、一般的にはさほど剛性の高くない材料であるアルミニウムなどが採用される。このような剛性の高くない材料は、比較的密度も小さく軽量である。これに対して、レール102bは可動ブロック103を直接支持するから、一般的には高い剛性を期待できる材料である鋼材などが使用される。この鋼材は、密度としてアルミニウムのほぼ3倍程度あり、単位体積当たりの重量もほぼ3倍と重い。
【0018】
今、図29において、直動ベース102aのレール102bから食み出した部分z、zと、図19における連結端板109、109とが重量的にほぼ相殺される。又、レール102bの高さ寸法Haと直動ベース102aの厚み寸法Hbとが同じとすると、図29における直動ガイド102の長手方向における単位重量は、レール102bの重量が、[a×2]×3(比重)=6aで、直動ベース102aが、7a以上×1(比重)であるから、合計で13a以上となる。
【0019】
これに対して、図18における直動ガイド102Bの重量は、a×4×3(比重)=12aとなる。従って、図14ないし図19で示す構成とすることにより直動ガイド102Bの軽量化が図れた。
【0020】
ここで、本発明者はさらなる軽量化を図るべく、図17及び図18における一体化レール108の高さ寸法HA(2×Ha)を短くできないかを考えた。上記レール101b、102bの高さHa及び幅寸法Hbは、使用する必要最小限の六角穴付きボルト105の大きさに対して設定された前記ねじ挿通孔部106bの必要最小限長さとねじ頭部収容凹部106aの必要最小限深さと、その周囲の必要肉厚寸法とを考慮して決定されており、このように大きさを小さくできない事情にある上記レール101b、102bを2段連結した一体化レール108は、剛性上問題はないが(むしろ過剰な剛性)重量的には改善の余地がある。このため、上記レール101b及び102bを上述のようにそのまま2段結合して一体化レール108を構成すると、剛性が過剰に高く且つ重量的にも重い一体化レール108となってしまう。
【0021】
そこで本発明者は、一体化レール108を、図20ないし図25に示すように、上部及び下部にガイド部110a、110bを有する一本のレール110から構成し、且つ、レール110の端面から内部の長尺方向に雌ねじ部110c(図22参照)を形成し、連結端板111にはねじ頭部収容凹部111a及びねじ挿通孔部111bを形成し、この連結端板111を前記レール110の端面に宛がい、六角穴付きボルト105によりこの連結端板111とレール110とを連結する構成とした。これによると、レール110に形成するねじ穴としては、端面での雌ねじ部110cのみの形成ですみ(ねじ頭部収容凹部は形成せずに済み)、レール110に必要な剛性を確保しつつ該レール110の上下幅寸法HA´を短くでき、さらなる軽量化を図り得た。
【0022】
請求項1の発明は、上述の調査及び試作を考慮してなされたものであり、垂直駆動用モータにより上下移動される昇降部材を備えた垂直昇降装置を備えると共に、この垂直昇降装置における前記昇降部材に水平状態に連結されるベースと、このベースに水平方向へ移動可能に設けられた直動ガイドと、水平装置用駆動モータを有して前記直動ガイドを移動させるガイド移動機構と、前記直動ガイドに対して移動可能な可動ブロックと、前記直動ガイドの移動によって前記可動ブロックを該直動ガイドに対してその移動方向と同方向へ移動させる可動ブロック移動機構とを有する水平多段式伸縮装置とを備えた小型ロボットであって、前記水平多段式伸縮装置の前記ベースは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され、このベースの下面に、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ下方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びる第1のガイド部を形成した一対のレール摺動体を平行状態に設け、前記水平多段伸縮装置の前記直動ガイドは、一対の平行なレールと、この一対のレールの各一端面に宛がわれた状態で該各一端面にねじ止めされた第1の連結端板と、前記一対のレールの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされた第2の連結端板とを有し、前記一対のレールの両側面上部にその長手方向に延びるように前記一対のレール摺動体の第1のガイド部に摺動可能に係合する上部ガイド部を形成し、且つ前記一対のレールの下部にその長手方向に延びるように下部ガイド部を形成し、前記可動ブロックは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成されたブロック本体と、このブロック本体の上面に平行状態に設けられ、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ上方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びて前記下部ガイド部と摺動可能に係合する第2のガイド部を形成した一対の被ガイド体とから構成され、前記可動ブロック移動機構は、前記直動ガイドの前記第1の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第1のプーリと、前記直動ガイドの前記第2の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第2のプーリと、これら第1のプーリ及び第2のプーリに架設したベルトとを有し、該ベルトにおける対極位置の一方を前記ベースに固定すると共に他方を前記可動ブロックに固定したところに特徴を有する。
【0023】
上記請求項1の発明においては、水平多段式伸縮装置のベースを、直動ガイドの長さより短い寸法に形成し、且つこのベースの下面に同じく直動ガイドの長さより短い寸法の平行状態をなす一対のレール摺動体を設けたから、従来の固定ベースよりも短くでき、水平多段伸縮装置の重量軽減に寄与できる。
又、直動ガイドが2本のレールと二つの連結端板とから構成されているから、平板状の直動ベースと2本のレールから構成されている従来に比して、直動ガイドの軽量化を図ることができる。
【0024】
さらに一対のレールを連結するについて各レールの端面で各連結端板をねじ止めする構成としたから、このねじ止め方式だと、連結端板のほうにねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部を形成し、レールの端面にはねじ頭部収容凹部よりは径が小さい雌ねじを形成するだけで済み、レールにねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部を形成する従来構成とは異なり、レールに必要な剛性を確保しつつ該レールの上下幅を短くでき、さらなる軽量化を図り得る。これにより、水平多段式伸縮装置の軽量化を図り得、この結果、垂直装置用駆動モータの負荷を軽減でき、該垂直装置用駆動モータの小型化を図ることができる。そして、上述したように直動ガイドの軽量化を図り得ることにより、その分、可動ブロックで搬送する可搬重量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示すロボット全体の斜視図
【図2】水平多段式伸縮装置部分を示す斜視図
【図3】ガイド移動機構を除いた水平多段式伸縮装置の斜視図
【図4】直動ガイドの斜視図
【図5】直動ガイドにおける端部ねじ止め箇所を示す断面図
【図6】図7(a)の切断線E−Eに沿う断面図
【図7】(a)は水平多段式伸縮装置部分の概略構成を示す側面図、(b)は(a)とは異なる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成を示す側面図
【図8】直動ガイドのレール部分の断面図
【図9】発明の経緯を説明するための第1参考例を示し、水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図10】第2参考例を示す水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図11】図10の切断線D−Dに沿う断面図
【図12】直動ガイドの断面図
【図13】直動ガイドの斜視図
【図14】第3参考例を示す水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図15】図14とはなる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成を示す側面図
【図16】図14の切断線F−Fに沿う断面図
【図17】レールの結合構造を示す断面図
【図18】直動ガイドのレール部分の断面図
【図19】直動ガイドの斜視図
【図20】第4参考例を示すレールの断面図
【図21】直動ガイドの斜視図
【図22】直動ガイドにおける端部ねじ止め箇所を示す断面図
【図23】図24の切断線G−Gに沿う断面図
【図24】水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図25】図24とはなる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図26】従来例を示す水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図27】図27とはなる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図28】図26の切断線C−Cに沿う断面図
【図29】レール摺動体を省略して示す直動ガイドの断面図
【図30】ベースとレールとのねじ止め構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。この実施形態は、前述した最終改良案(図20ないし図25)を具体的に実施したものある。図1において、ロボット1は垂直昇降装置2と水平多段式伸縮装置3とを備えて構成されている。
前記垂直昇降装置2は、装置ベース4に2本の平行なガイドレール5,5を垂直状態に取付けると共に、垂直装置用駆動モータ6及び垂直移動機構7などを取り付けて構成されている。前記ガイドレール5、5には昇降部材8が垂直方向へ移動可能に設けられており、この昇降部材8は、前記垂直装置用駆動モータ6の駆動力を前記垂直移動機構7を介して受けて上下移動する。
【0027】
前記垂直移動機構7は、前記ガイドレール5、5間に垂直状態に回転可能に設けたボールねじ9と、前記垂直装置用駆動モータ6の回転をこのボールねじ9に伝達するベルト伝達機構10と、前記昇降部材8に設けられて前記ボールねじ9の回転により上下動する図示しないボールねじナットとを有して構成されている。前記垂直装置用駆動モータ6が一方向へ回転されると昇降部材8が例えば上方へ移動され、他方向へ回転されると昇降部材8が下方へ移動される。前記昇降部材8には、水平に張り出すベース取付板8aが設けられている。
【0028】
又、前記水平多段式伸縮装置3は、ベース11と、一対のレール摺動体12L、12Rと、直動ガイド13と、ガイド移動機構14と、可動ブロック15と、可動ブロック移動機構16とを有して構成されている。
前記ベース11は前記昇降部材8のベース取付板8aの下面に水平状態に連結されている。このベース11の長さLa(直動ガイド13の移動方向と同方向の長さ、図3参照)は、後述の直動ガイド13の長さLg(レール17L及びレール17Rの長さ)より短く設定している。
【0029】
そして前記ベース11の下面には、図3及び図6にも示すように、前記一対のレール摺動体12L、12Rを、直動ガイド13及び可動ブロック15の移動方向(図3の矢印A方向及び図1の矢印B方向)と水平面において直交する方向の両端部に位置させて平行状態に取り付けている。一対のレール摺動体12L、12Rはいずれも同じ構成である。そのうち一方のレール摺動体12Lには、図6に示すように、下面で開口する凹部12Laが矢印A方向へ延びるように形成されており、この凹部12Laの両内側面には、前記矢印A方向へ直動ガイド13を摺動可能なボール状の第1のガイド部12Lb、12Lbが形成されている。なお、他方のレール摺動体12Rにも同様に凹部12Ra、第1のガイド部12Rb、12Rbが形成されている。
【0030】
又、前記直動ガイド13は、図3及び図4に示すように、一対の平行なレール17L、17Rと、この一対のレール17L、17Rの各一端面に宛がわれた状態で該各一端面にねじ止めされた第1の連結端板18Aと、前記一対のレール17L、17Rの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされた第2の連結端板18Bとを有する。
【0031】
前記一方のレール17Lの両側面上部にはその長手方向に延びるように凹状の上部ガイド部17La、17Laが形成され、又、下部にその長手方向に延びるように下部ガイド部17Lb、17Lbが形成されている。さらに当該一方のレール17Lの両端面(一方のみを図5に示す)には長手方向内部へ指向する雌ねじ部17Lcが形成されている。又、他方のレール17Rの両側面にも、同様の上部ガイド17Ra、17Ra、下部ガイド17Rb、17Rbが形成されていると共に、当該他方のレール17Rの両端面にも前記雌ねじ部17Lc同様の雌ねじ部(図示せず)が形成されている。
【0032】
又、前記第1の連結端板18Aの両端部(図5に一方の端部を示している)には、夫々外面から内面へとねじ頭部収容凹部18Aa及びねじ挿通孔部18Abが形成されている。さらにこの第1の連結端板18Aの前記には水平な張り出し面18Ahを有する張り出し部18Adが形成されている。同様に前記第2の連結端板18Bにも、その両端部に図示しないがねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部が形成されていると共に、図4に示すように、水平な張り出し面18Bhを有する張り出し部18Bdが形成されている。
【0033】
そして、この第1の連結端板18Aは、図5に示すように、前記一対のレール17L、17Rの一端面に宛がわれた状態で、前記ねじ頭部収容凹部18Aa及びねじ挿通孔部18Abを挿通させた六角穴付きボルト19を前記雌ねじ部17Lcに螺合することにより、該各一端面にねじ止めされている。さらに前記第2の連結端板18Bも同様に、前記一対のレール17L、17Rの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされている。
【0034】
前記上部ガイド部17Laは前記一方のレール摺動体12Lの第1のガイド部12Lbに摺動可能に係合し、又、前記上部ガイド部17Raは前記他方のレール摺動体12Rの第1のガイド部12Rbに摺動可能に係合している。これにより直動ガイド13がベース11のレール摺動体12L、12Rに矢印A方向及び矢印B方向へ移動可能に設けられている。
【0035】
前記ガイド移動機構14は、図1及び図2に示すように、前記ベース11に設けた水平装置駆動用モータ24と、この水平装置駆動用モータ24によってベルト伝達機構25を介して回転されるボールねじナット(図示せず)を有するナットケース27と、このボールねじナットと噛合するボールねじ26とを有する。前記ボールねじ26の一端部は前記第1の連結端板18Aを押し引きできるように当該第1の連結端板18Aに連結されており、図2に示す元状態から水平装置駆動用モータ24が一方向へ回転駆動されると第1の連結端板18Aひいては可動ブロック15が矢印A方向へ移動させられ、図1に示す最長ストローク位置に至る。そして、この図1の最長ストローク状態から前記水平装置駆動用モータ24が他方向へ回転駆動されると、可動ブロック15が矢印B方向へ移動させられる。
【0036】
又、前記可動ブロック15は、図6に示すように、前記直動ガイド13の長さより短い寸法に形成されたブロック本体20と、このブロック本体20の上面に平行状態に取り付けられ、夫々、前記直動ガイド13の長さより短い寸法の一対の被ガイド体21L、21Rとを有して構成されている。この一対の被ガイド体21L、21Rのうち一方の被ガイド体21Lには、上方に開放する凹部21Laが前記直動ガイド13を移動させるべき方向(矢印A及びB方向)と同方向へ延びるように形成されており、さらにこの凹部21Laの両内側面には当該凹部21Laの延び方向と同方向へ延びて前記レール17Lの下部ガイド部17Lbと摺動可能に係合するボール状の第2のガイド部21Lbが形成されている。
【0037】
又、他方の被ガイド体21Rにも、同様に、凹部21Ra、前記レール17Rの下部ガイド部17Rbと摺動可能に係合する第2のガイド部21Rbが形成されている。
前記可動ブロック移動機構16は、図3及び図7(a)に示すように、前記直動ガイド13の前記第1の連結端板18Aに前記一対のレール17L、17R間に位置して軸支持体22iを介して設けられた第1のプーリ22Aと、前記直動ガイド13の前記第2の連結端板18Bに前記一対のレール17L、17R間に位置して軸支持体22jを介して設けられた第2のプーリ22Bと、これら第1のプーリ22A及び第2のプーリ22Bに架設したベルト23とを有する。そして、該ベルト23における対極位置の一方である上辺部(図3参照)の一部を前記ベース11に固定具23aにより固定すると共に他方である下辺部の一部を前記可動ブロック15のブロック本体20に固定部23bにより固定している。
【0038】
この可動ブロック移動機構16は、図3の状態から直動ガイド13が矢印A方向へ移動すると、これに伴って、ベルト23の下辺部が、直動ガイド13に対して矢印A方向へ移動することにより可動ブロック15が同矢印A方向へ移動し、図1の最長ストローク位置に至る。
【0039】
なお、前記可動ブロック15には、例えば、図1に示すようなハンド28が張り出しプレート29を介して可動ブロック15から矢印A方向へ張り出した形態で取り付けられている。
【0040】
ここで、図8に示すように、前記直動ガイド13においてレール17L、17Rの横幅寸法をa[mm]とした場合、各レール17L、17Rの上下幅寸法は既述した最終改良案(図20参照)の寸法HA´としており、この場合例えば1.3×a[mm]としている。そしてレール17L、17Rの離間寸法を本実施形態では6×aとしている。この離間寸法は5×a以上であれば、既述したように直動ガイド13の軽量化が図れるものである。
【0041】
さて、上記構成においては、前記垂直装置用駆動モータ6が一方向へ回転されると昇降部材8が例えば上方へ移動され、これにより、水平多段式伸縮装置3が上方向へ移動される。又、前記垂直装置用駆動モータ6が他方向(逆方向)へ回転されると昇降部材8が例えば下方へ移動され、これにより、水平多段式伸縮装置3が下方向へ移動される。
【0042】
そして、水平装置駆動用モータ24が一方向へ回転駆動されると直動ガイド13が矢印A方向へ移動され、これに伴い可動ブロック移動機構16により可動ブロック15が直動ガイド13の2倍の速度でさらに矢印A方向へ移動させられ、最長ストロークでは、図1に示した位置に至る。又、水平装置駆動用モータ24が他方向(逆方向)へ回転駆動されると直動ガイド13が矢印B方向へ移動され、これに伴い可動ブロック移動機構16により可動ブロック15が直動ガイド13の2倍の速度でさらに矢印B方向へ移動させられる。
【0043】
このようにして可動ブロック15が上下及び前後へ移動されることによりハンド28が所定の動作を行う。
このような本実施形態によれば、水平多段式伸縮装置3のベース11を、直動ガイド13の長さより短い寸法に形成し、且つこのベース11の下面に同じく直動ガイド13の長さより短い寸法の平行状態をなす一対のレール摺動体12L、12Rを設けたから、これらベース11及びレール摺動体12L、12Rの長さを、図26に示した従来の固定側ガイド101よりも短くでき、ベース11及びレール摺動体12L、12Rの合計重量をこの固定側ベース101の重量よりも軽減できる。
【0044】
さらに本実施形態によれば、直動ガイド13を、自身が前記レール摺動体12Lに摺動可能に保持され且つ可動ブロック15の被ガイド体21Lを摺動可能に保持するレール17Lと、自身が前記レール摺動体12Rに摺動可能に保持され且つ可動ブロック15の被ガイド体21Rを摺動可能に保持するレール17Rと、これら2本のレール17L、17Rを連結する2つの連結端板18A、18Bとから構成したから、直動ガイド102が平板状の直動ベース102aと2つのレール摺動体102cと2本のレール102bとから構成されている従来(図26)に比して、直動ガイド13の軽量化を図ることができる。
【0045】
さらに又、本実施形態においては、レール17Lを、図18に示した2本レール結合形態のレール108とは異なり、上部及び下部にガイド部17La、17Lbを有する一本のレール部材から構成し、他のレール17Rも同様に一本のレール部材から構成した。さらに各レール17L、17Rの各端面から内部の長尺方向に雌ねじ部17lc(レール17Rの雌ねじ部は図示していない)を形成し、第1の連結端板18A及び第2の連結端板18Bにはねじ頭部収容凹部18Aa及びねじ挿通孔部18Ab(第2の連結端板18Bのねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部は図示していない)を形成した。そしてこれら連結端板18A、18Bを前記レール17L、17Rの各端面に宛がい、六角穴付きボルト19によりこれら連結端板18A、18Bとレール17L、17Rとを連結する構成とした。
【0046】
これらの構成によって、レール17L、17Rに形成するねじ穴としては、各端面での雌ねじ部17Lcのみの形成ですみ(ねじ頭部収容凹部は形成せずに済み)、レール17L、17Rに必要な剛性を確保しつつ該レール17L、17Rの高さHA´を短くでき、さらなる軽量化を図り得た。
【0047】
このようにベース11及びレール摺動体12L、12Rの合計重量を軽減できると共に、直動ガイド13の重量も軽減できるから、水平多段式伸縮装置3の軽量化を図り得、この結果、垂直装置用駆動モータ6の負荷を軽減でき、該垂直装置用駆動モータ6の小型化を図ることができる。
【0048】
そして、上述したように直動ガイド13の軽量化を図り得ることにより、その分、可動ブロック15で搬送する可搬重量を増やすことができる。
又、本実施形態によれば、可動ブロック移動機構16のプーリ22A、22B及びベルト23を前記両レール17L、17R間に配置させる構成としたから、可動ブロック15における両レール17L、17R間に作用させ得、これにより、該可動ブロック15が均等移動力で当該両レール17L、17Rを移動するようになる。従って、可動ブロック15が直動ガイド13の両レール17L、17Rにこじるように作用することがない。
【0049】
又、直動ガイド13における両レール17L、17Rをほぼ6a(これは5a以上であれば良い)の間隔をおいたことで、搬送負荷が20kg未満であるいわゆる小形のロボットにおいて、十分な剛性を確保しつつ軽量化も図り得た。逆にいえば、本実施形態では、上述の離間寸法が5倍以上である小形ロボットを前提としているから、図9ないし図25に示した経緯を経て、重量軽減に寄与できたものである。
【0050】
なお、上記実施形態では、第1のガイド部12Lb及び12Rb、第2のガイド部21Lb及び21Rbをボール状(凸状)に形成し、レール17L、17Rの上部ガイド部17La、17Ra及び下部ガイド部17Lb、17Rbを凹状に形成したが、それら凹状及び凸状の関係は逆でも良い。
【0051】
なお、搬送負荷が20kg以下の小型ロボットでは、ごく一般的に一対のレール離間寸法がレールの横幅寸法の5倍以上であるから、これについて請求項1には特段言及していないが、実質的には一対のレール離間寸法が5倍以上であることを示しており、そして、本願は、上述したように搬送負荷が20kg以下の小型ロボットを対象としており、ロボット体格に比して搬送可能重量を大きくでき、逆にいえば、従前と同じ搬送重量であればロボット体格を小さくできる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1はロボット、2は垂直昇降装置、3は水平多段式伸縮装置、6は垂直装置用駆動モータ、8は昇降部材、8aはベース取付板、11はベース、12L、12Rはレール摺動体、12La、12Raは凹部、12Lb、12Rbは第1のガイド部、13は直動ガイド、14はガイド移動機構と、15は可動ブロック、16は可動ブロック移動機構、17L、17Rはレール、17La、17Laは上部ガイド部、17Lb、17Lbは下部ガイド部、18Aは第1の連結端板、18Bは第2の連結端板、20はブロック本体、21L、21Rは被ガイド体、21Lb、21Rbは第2のガイド部、22Aは第1のプーリ、22Bは第2のプーリ、23はベルト、24は水平装置駆動用モータを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直移送装置に水平多段式伸縮装置を組み込んだロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多段式伸縮装置は、最終段の可動体を、当該多段式伸縮装置自身の設置スペース以上の目的のストロークで伸縮させ得る手段として知られている(例えば、特許文献1、2)。
この多段式伸縮装置の構成を概略的に示すと図26ないし図30のようになっている。これら図26ないし図30において、多段式伸縮装置100は、固定側ガイド101と、直動ガイド102と、最終段の可動体としての可動ブロック103と、可動ブロック移動機構104とを備えて構成されている。
【0003】
前記固定側ガイド101は、図28に示すように、固定ベース101aに一対の平行な第1のレール101bをねじ止めにより取り付けて構成されている。前記第1のレール101bの両側面には凹状の第1のガイド部101cが形成されている。上述したねじとしては、図30に示すように、六角穴付きボルト105を用い、前記第1のレール101bには、当該ボルト105の頭部105aを収容するためのねじ頭部収容凹部106aと当該ボルト105のねじ部105bを挿通するためのねじ挿通孔部106bがレール長手方向と直交する方向に形成されている。そして、固定ベース101aには、雌ねじ部106cが形成されている。上記六角穴付きボルト105を前記ねじ頭部収容凹部106a及びねじ挿通孔部106bに通して前記雌ねじ部106cに螺合することにより固定ベース101aに各第1のレール101bがねじ止めされている。
【0004】
又、前記直動ガイド102は、図28に示すように、直動ベース102aの下面に一対の平行な第2のレール102bを前述と同様のねじ止めにより取り付けて構成されており、この第2のレール102bには、凹状の第2のガイド部102dが形成されている。さらに該直動ベース102aの上面には一対の平行なレール摺動体102cが連結されている。このレール摺動体102cにはボール状の第3のガイド部102eが形成されている。各レール摺動体102cはその第3のガイド部102eが前記各第1のレール101bの第1のガイド部101cに摺動可能に保持されている。
【0005】
前記可動ブロック103は、ブロック本体103aと、このブロック本体103aの上面に取付けた一対の被ガイド体103bとから構成されており、この被ガイド体103bにはボール状の第4のガイド部103cが形成されている。この一対の被ガイド体103bの第4のガイド部103cが前記直動ガイド102の各第2のレール102bの第2のガイド部102dに摺動可能に保持されている。
【0006】
前記可動ブロック移動機構104は、前記直動ガイド102の直動ベース102aの一端部(図26右端部)に設けた第1のプーリ104aと、同じく直動ベース102aの他端部に設けた第2のプーリ104bと、これらに架設されたベルト104cとから構成され、ベルト104cの上辺部における図Aでの一端部側の部位Q1が前記固定ベース101aに連結され、同じくベルト104cの下辺部における図26での他端部側の部位Q2が前記可動ブロック103に連結されている。
【0007】
前述した直動ガイド102は図示しない直動ガイド移動機構により図26の位置から図27に示す位置までの間で移動させられるようになっている。
ここで、上記固定側ガイド101が離間する2本のレール101bを備え、又、直動ガイド102も離間する2本のレール102bを備えた理由は、可動ブロック103に取り付けられたハンドなどの動きによって捩じり作用を受けた場合であっても直動ガイド102や可動ブロック103が変形や移動障害を起こすことがないようにするためと、上記直動ガイド移動機構を固定側ガイド101に配置するときにその配置スペースを確保するため、及び直動ガイド102に可動ブロック移動機構104を配置するときにその配置スペースを確保するためである。
【0008】
そして、前記直動ガイド102が図示しない直動ガイド移動機構により図26の位置から矢印R方向へ移動させられると、この直動ガイド102の移動により、該直動ガイド102に対して相対的にベルト104cの下辺部に連結された可動ブロック103が2倍の速さで矢印R方向へ移動する。この結果、図27に示すように、可動ブロック103が最長でストロークSの移動が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−285989号公報
【特許文献1】特開平11−245189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述の多段式伸縮装置100を、垂直・水平移動可能なロボットの垂直移動装置に水平に取付けた場合、上記レール摺動体102cを支持点として直動ガイド102から先が片持ち梁状態となり、この梁の剛性でこの多段伸縮装置100の可搬重量が制限される。この可搬重量を増やすためには、この梁の体格を大きくして剛性を上げることが考えられるが、当該多段式伸縮装置の重量が増えてしまい、垂直移動装置における多段式伸縮装置昇降用のモータの出力を上げなければならず、ロボット全体が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、全体の大きさや重量を大きくすることなく可搬重量を増やすことができるロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成するために、次の調査及び試作を行った。図26に示した従来構成において、多段式伸縮装置の重量を決定する主要な部材としては、固定側ガイド101、直動ガイド102、可動ブロック103があげられる。
本発明者は、上記各主要部材の軽量化について考察した。まず、直動ガイド102のレール摺動体102c、及び可動ブロック103は、その大きさ自体さほど大きくないから、それ以上の軽量化は望めない。
【0013】
次いで、固定側ガイド101の第1のレール101bの軽量化を検討した。第1のレール101bとレール摺動体102cの取付位置関係を逆(第1のレール101bを直動ベース102aの上辺部に取付け、レール摺動体102cを固定ベース101a下面に固定する)としても(図9参照)、直動ガイド102(この構成の直動ガイドを以下直動ガイド102Aという)は自身の移動ストロークを支障なく確保できることが分った。そして、この構成とすると、固定ベース101aにおけるレール摺動体102c以外の部分(図9の領域L部分)は不要となり、この領域L部分は削除でき、重量の軽量化に寄与できる。この削除した状態を図10に示す。
【0014】
上記構成とした場合、直動ガイド102Aは図11ないし図13に示すように、直動ベース102aに対して2倍の本数のレール101b、102bが取り付けられることになり、このままでは、固定側ガイド101の重量を軽減できるものの、直動ガイド102A自体の重量が増加する。
【0015】
そこで、本発明者は、図14ないし図18に示すように、直動ベース102aを廃止し上下のレール101b、102bを一体化することを考えた。この場合、図17に示すように、各レール101b、102bが有するねじ挿通孔部106b及びねじ頭部収容凹部106aを利用し、各レール101b、102bを六角穴付きボルト105とナット107とを用いて、上下のレール101b、102bを1本に連結する構成とする。
【0016】
この図11ないし図18の構成の場合、廃止した直動ベース102aに代わり、レール101b及び102bの一体化レール108の端部間を、連結端部109、109で連結する構成(図19参照)とする。この構成の直動ガイドを直動ガイド102Bという。
【0017】
上述の図19に示した直動ガイド102Bの重量と、図29に示した従来の直動ガイド102(レール摺動体102cを除く)の重量とを比較した場合、図19で示した構成の直動ガイド102Bの重量を、図29の従来の場合よりも軽量化できることが分かった。この軽量化達成について実証する。本発明では、搬送負荷が20kg未満であるいわゆる小形のロボットを対象としており、このような小形のロボットにおいて、図29で示した従来では、レールの幅をaとしたときレール102b間の寸法は、前述したように捩じりに対する剛性強化や直動ガイド移動機構用のスペースなどを考慮し、通常5a以上に設定している。従って、従来における前記直動ベース102aの幅寸法は、図29から分かるように7a以上となっている。そして直動ベース102aは、レール102b連結の連結強度を満足すればいいので、一般的にはさほど剛性の高くない材料であるアルミニウムなどが採用される。このような剛性の高くない材料は、比較的密度も小さく軽量である。これに対して、レール102bは可動ブロック103を直接支持するから、一般的には高い剛性を期待できる材料である鋼材などが使用される。この鋼材は、密度としてアルミニウムのほぼ3倍程度あり、単位体積当たりの重量もほぼ3倍と重い。
【0018】
今、図29において、直動ベース102aのレール102bから食み出した部分z、zと、図19における連結端板109、109とが重量的にほぼ相殺される。又、レール102bの高さ寸法Haと直動ベース102aの厚み寸法Hbとが同じとすると、図29における直動ガイド102の長手方向における単位重量は、レール102bの重量が、[a×2]×3(比重)=6aで、直動ベース102aが、7a以上×1(比重)であるから、合計で13a以上となる。
【0019】
これに対して、図18における直動ガイド102Bの重量は、a×4×3(比重)=12aとなる。従って、図14ないし図19で示す構成とすることにより直動ガイド102Bの軽量化が図れた。
【0020】
ここで、本発明者はさらなる軽量化を図るべく、図17及び図18における一体化レール108の高さ寸法HA(2×Ha)を短くできないかを考えた。上記レール101b、102bの高さHa及び幅寸法Hbは、使用する必要最小限の六角穴付きボルト105の大きさに対して設定された前記ねじ挿通孔部106bの必要最小限長さとねじ頭部収容凹部106aの必要最小限深さと、その周囲の必要肉厚寸法とを考慮して決定されており、このように大きさを小さくできない事情にある上記レール101b、102bを2段連結した一体化レール108は、剛性上問題はないが(むしろ過剰な剛性)重量的には改善の余地がある。このため、上記レール101b及び102bを上述のようにそのまま2段結合して一体化レール108を構成すると、剛性が過剰に高く且つ重量的にも重い一体化レール108となってしまう。
【0021】
そこで本発明者は、一体化レール108を、図20ないし図25に示すように、上部及び下部にガイド部110a、110bを有する一本のレール110から構成し、且つ、レール110の端面から内部の長尺方向に雌ねじ部110c(図22参照)を形成し、連結端板111にはねじ頭部収容凹部111a及びねじ挿通孔部111bを形成し、この連結端板111を前記レール110の端面に宛がい、六角穴付きボルト105によりこの連結端板111とレール110とを連結する構成とした。これによると、レール110に形成するねじ穴としては、端面での雌ねじ部110cのみの形成ですみ(ねじ頭部収容凹部は形成せずに済み)、レール110に必要な剛性を確保しつつ該レール110の上下幅寸法HA´を短くでき、さらなる軽量化を図り得た。
【0022】
請求項1の発明は、上述の調査及び試作を考慮してなされたものであり、垂直駆動用モータにより上下移動される昇降部材を備えた垂直昇降装置を備えると共に、この垂直昇降装置における前記昇降部材に水平状態に連結されるベースと、このベースに水平方向へ移動可能に設けられた直動ガイドと、水平装置用駆動モータを有して前記直動ガイドを移動させるガイド移動機構と、前記直動ガイドに対して移動可能な可動ブロックと、前記直動ガイドの移動によって前記可動ブロックを該直動ガイドに対してその移動方向と同方向へ移動させる可動ブロック移動機構とを有する水平多段式伸縮装置とを備えた小型ロボットであって、前記水平多段式伸縮装置の前記ベースは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され、このベースの下面に、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ下方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びる第1のガイド部を形成した一対のレール摺動体を平行状態に設け、前記水平多段伸縮装置の前記直動ガイドは、一対の平行なレールと、この一対のレールの各一端面に宛がわれた状態で該各一端面にねじ止めされた第1の連結端板と、前記一対のレールの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされた第2の連結端板とを有し、前記一対のレールの両側面上部にその長手方向に延びるように前記一対のレール摺動体の第1のガイド部に摺動可能に係合する上部ガイド部を形成し、且つ前記一対のレールの下部にその長手方向に延びるように下部ガイド部を形成し、前記可動ブロックは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成されたブロック本体と、このブロック本体の上面に平行状態に設けられ、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ上方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びて前記下部ガイド部と摺動可能に係合する第2のガイド部を形成した一対の被ガイド体とから構成され、前記可動ブロック移動機構は、前記直動ガイドの前記第1の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第1のプーリと、前記直動ガイドの前記第2の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第2のプーリと、これら第1のプーリ及び第2のプーリに架設したベルトとを有し、該ベルトにおける対極位置の一方を前記ベースに固定すると共に他方を前記可動ブロックに固定したところに特徴を有する。
【0023】
上記請求項1の発明においては、水平多段式伸縮装置のベースを、直動ガイドの長さより短い寸法に形成し、且つこのベースの下面に同じく直動ガイドの長さより短い寸法の平行状態をなす一対のレール摺動体を設けたから、従来の固定ベースよりも短くでき、水平多段伸縮装置の重量軽減に寄与できる。
又、直動ガイドが2本のレールと二つの連結端板とから構成されているから、平板状の直動ベースと2本のレールから構成されている従来に比して、直動ガイドの軽量化を図ることができる。
【0024】
さらに一対のレールを連結するについて各レールの端面で各連結端板をねじ止めする構成としたから、このねじ止め方式だと、連結端板のほうにねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部を形成し、レールの端面にはねじ頭部収容凹部よりは径が小さい雌ねじを形成するだけで済み、レールにねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部を形成する従来構成とは異なり、レールに必要な剛性を確保しつつ該レールの上下幅を短くでき、さらなる軽量化を図り得る。これにより、水平多段式伸縮装置の軽量化を図り得、この結果、垂直装置用駆動モータの負荷を軽減でき、該垂直装置用駆動モータの小型化を図ることができる。そして、上述したように直動ガイドの軽量化を図り得ることにより、その分、可動ブロックで搬送する可搬重量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示すロボット全体の斜視図
【図2】水平多段式伸縮装置部分を示す斜視図
【図3】ガイド移動機構を除いた水平多段式伸縮装置の斜視図
【図4】直動ガイドの斜視図
【図5】直動ガイドにおける端部ねじ止め箇所を示す断面図
【図6】図7(a)の切断線E−Eに沿う断面図
【図7】(a)は水平多段式伸縮装置部分の概略構成を示す側面図、(b)は(a)とは異なる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成を示す側面図
【図8】直動ガイドのレール部分の断面図
【図9】発明の経緯を説明するための第1参考例を示し、水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図10】第2参考例を示す水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図11】図10の切断線D−Dに沿う断面図
【図12】直動ガイドの断面図
【図13】直動ガイドの斜視図
【図14】第3参考例を示す水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図15】図14とはなる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成を示す側面図
【図16】図14の切断線F−Fに沿う断面図
【図17】レールの結合構造を示す断面図
【図18】直動ガイドのレール部分の断面図
【図19】直動ガイドの斜視図
【図20】第4参考例を示すレールの断面図
【図21】直動ガイドの斜視図
【図22】直動ガイドにおける端部ねじ止め箇所を示す断面図
【図23】図24の切断線G−Gに沿う断面図
【図24】水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図25】図24とはなる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図26】従来例を示す水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図27】図27とはなる状態での水平多段式伸縮装置部分の概略構成の側面図
【図28】図26の切断線C−Cに沿う断面図
【図29】レール摺動体を省略して示す直動ガイドの断面図
【図30】ベースとレールとのねじ止め構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。この実施形態は、前述した最終改良案(図20ないし図25)を具体的に実施したものある。図1において、ロボット1は垂直昇降装置2と水平多段式伸縮装置3とを備えて構成されている。
前記垂直昇降装置2は、装置ベース4に2本の平行なガイドレール5,5を垂直状態に取付けると共に、垂直装置用駆動モータ6及び垂直移動機構7などを取り付けて構成されている。前記ガイドレール5、5には昇降部材8が垂直方向へ移動可能に設けられており、この昇降部材8は、前記垂直装置用駆動モータ6の駆動力を前記垂直移動機構7を介して受けて上下移動する。
【0027】
前記垂直移動機構7は、前記ガイドレール5、5間に垂直状態に回転可能に設けたボールねじ9と、前記垂直装置用駆動モータ6の回転をこのボールねじ9に伝達するベルト伝達機構10と、前記昇降部材8に設けられて前記ボールねじ9の回転により上下動する図示しないボールねじナットとを有して構成されている。前記垂直装置用駆動モータ6が一方向へ回転されると昇降部材8が例えば上方へ移動され、他方向へ回転されると昇降部材8が下方へ移動される。前記昇降部材8には、水平に張り出すベース取付板8aが設けられている。
【0028】
又、前記水平多段式伸縮装置3は、ベース11と、一対のレール摺動体12L、12Rと、直動ガイド13と、ガイド移動機構14と、可動ブロック15と、可動ブロック移動機構16とを有して構成されている。
前記ベース11は前記昇降部材8のベース取付板8aの下面に水平状態に連結されている。このベース11の長さLa(直動ガイド13の移動方向と同方向の長さ、図3参照)は、後述の直動ガイド13の長さLg(レール17L及びレール17Rの長さ)より短く設定している。
【0029】
そして前記ベース11の下面には、図3及び図6にも示すように、前記一対のレール摺動体12L、12Rを、直動ガイド13及び可動ブロック15の移動方向(図3の矢印A方向及び図1の矢印B方向)と水平面において直交する方向の両端部に位置させて平行状態に取り付けている。一対のレール摺動体12L、12Rはいずれも同じ構成である。そのうち一方のレール摺動体12Lには、図6に示すように、下面で開口する凹部12Laが矢印A方向へ延びるように形成されており、この凹部12Laの両内側面には、前記矢印A方向へ直動ガイド13を摺動可能なボール状の第1のガイド部12Lb、12Lbが形成されている。なお、他方のレール摺動体12Rにも同様に凹部12Ra、第1のガイド部12Rb、12Rbが形成されている。
【0030】
又、前記直動ガイド13は、図3及び図4に示すように、一対の平行なレール17L、17Rと、この一対のレール17L、17Rの各一端面に宛がわれた状態で該各一端面にねじ止めされた第1の連結端板18Aと、前記一対のレール17L、17Rの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされた第2の連結端板18Bとを有する。
【0031】
前記一方のレール17Lの両側面上部にはその長手方向に延びるように凹状の上部ガイド部17La、17Laが形成され、又、下部にその長手方向に延びるように下部ガイド部17Lb、17Lbが形成されている。さらに当該一方のレール17Lの両端面(一方のみを図5に示す)には長手方向内部へ指向する雌ねじ部17Lcが形成されている。又、他方のレール17Rの両側面にも、同様の上部ガイド17Ra、17Ra、下部ガイド17Rb、17Rbが形成されていると共に、当該他方のレール17Rの両端面にも前記雌ねじ部17Lc同様の雌ねじ部(図示せず)が形成されている。
【0032】
又、前記第1の連結端板18Aの両端部(図5に一方の端部を示している)には、夫々外面から内面へとねじ頭部収容凹部18Aa及びねじ挿通孔部18Abが形成されている。さらにこの第1の連結端板18Aの前記には水平な張り出し面18Ahを有する張り出し部18Adが形成されている。同様に前記第2の連結端板18Bにも、その両端部に図示しないがねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部が形成されていると共に、図4に示すように、水平な張り出し面18Bhを有する張り出し部18Bdが形成されている。
【0033】
そして、この第1の連結端板18Aは、図5に示すように、前記一対のレール17L、17Rの一端面に宛がわれた状態で、前記ねじ頭部収容凹部18Aa及びねじ挿通孔部18Abを挿通させた六角穴付きボルト19を前記雌ねじ部17Lcに螺合することにより、該各一端面にねじ止めされている。さらに前記第2の連結端板18Bも同様に、前記一対のレール17L、17Rの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされている。
【0034】
前記上部ガイド部17Laは前記一方のレール摺動体12Lの第1のガイド部12Lbに摺動可能に係合し、又、前記上部ガイド部17Raは前記他方のレール摺動体12Rの第1のガイド部12Rbに摺動可能に係合している。これにより直動ガイド13がベース11のレール摺動体12L、12Rに矢印A方向及び矢印B方向へ移動可能に設けられている。
【0035】
前記ガイド移動機構14は、図1及び図2に示すように、前記ベース11に設けた水平装置駆動用モータ24と、この水平装置駆動用モータ24によってベルト伝達機構25を介して回転されるボールねじナット(図示せず)を有するナットケース27と、このボールねじナットと噛合するボールねじ26とを有する。前記ボールねじ26の一端部は前記第1の連結端板18Aを押し引きできるように当該第1の連結端板18Aに連結されており、図2に示す元状態から水平装置駆動用モータ24が一方向へ回転駆動されると第1の連結端板18Aひいては可動ブロック15が矢印A方向へ移動させられ、図1に示す最長ストローク位置に至る。そして、この図1の最長ストローク状態から前記水平装置駆動用モータ24が他方向へ回転駆動されると、可動ブロック15が矢印B方向へ移動させられる。
【0036】
又、前記可動ブロック15は、図6に示すように、前記直動ガイド13の長さより短い寸法に形成されたブロック本体20と、このブロック本体20の上面に平行状態に取り付けられ、夫々、前記直動ガイド13の長さより短い寸法の一対の被ガイド体21L、21Rとを有して構成されている。この一対の被ガイド体21L、21Rのうち一方の被ガイド体21Lには、上方に開放する凹部21Laが前記直動ガイド13を移動させるべき方向(矢印A及びB方向)と同方向へ延びるように形成されており、さらにこの凹部21Laの両内側面には当該凹部21Laの延び方向と同方向へ延びて前記レール17Lの下部ガイド部17Lbと摺動可能に係合するボール状の第2のガイド部21Lbが形成されている。
【0037】
又、他方の被ガイド体21Rにも、同様に、凹部21Ra、前記レール17Rの下部ガイド部17Rbと摺動可能に係合する第2のガイド部21Rbが形成されている。
前記可動ブロック移動機構16は、図3及び図7(a)に示すように、前記直動ガイド13の前記第1の連結端板18Aに前記一対のレール17L、17R間に位置して軸支持体22iを介して設けられた第1のプーリ22Aと、前記直動ガイド13の前記第2の連結端板18Bに前記一対のレール17L、17R間に位置して軸支持体22jを介して設けられた第2のプーリ22Bと、これら第1のプーリ22A及び第2のプーリ22Bに架設したベルト23とを有する。そして、該ベルト23における対極位置の一方である上辺部(図3参照)の一部を前記ベース11に固定具23aにより固定すると共に他方である下辺部の一部を前記可動ブロック15のブロック本体20に固定部23bにより固定している。
【0038】
この可動ブロック移動機構16は、図3の状態から直動ガイド13が矢印A方向へ移動すると、これに伴って、ベルト23の下辺部が、直動ガイド13に対して矢印A方向へ移動することにより可動ブロック15が同矢印A方向へ移動し、図1の最長ストローク位置に至る。
【0039】
なお、前記可動ブロック15には、例えば、図1に示すようなハンド28が張り出しプレート29を介して可動ブロック15から矢印A方向へ張り出した形態で取り付けられている。
【0040】
ここで、図8に示すように、前記直動ガイド13においてレール17L、17Rの横幅寸法をa[mm]とした場合、各レール17L、17Rの上下幅寸法は既述した最終改良案(図20参照)の寸法HA´としており、この場合例えば1.3×a[mm]としている。そしてレール17L、17Rの離間寸法を本実施形態では6×aとしている。この離間寸法は5×a以上であれば、既述したように直動ガイド13の軽量化が図れるものである。
【0041】
さて、上記構成においては、前記垂直装置用駆動モータ6が一方向へ回転されると昇降部材8が例えば上方へ移動され、これにより、水平多段式伸縮装置3が上方向へ移動される。又、前記垂直装置用駆動モータ6が他方向(逆方向)へ回転されると昇降部材8が例えば下方へ移動され、これにより、水平多段式伸縮装置3が下方向へ移動される。
【0042】
そして、水平装置駆動用モータ24が一方向へ回転駆動されると直動ガイド13が矢印A方向へ移動され、これに伴い可動ブロック移動機構16により可動ブロック15が直動ガイド13の2倍の速度でさらに矢印A方向へ移動させられ、最長ストロークでは、図1に示した位置に至る。又、水平装置駆動用モータ24が他方向(逆方向)へ回転駆動されると直動ガイド13が矢印B方向へ移動され、これに伴い可動ブロック移動機構16により可動ブロック15が直動ガイド13の2倍の速度でさらに矢印B方向へ移動させられる。
【0043】
このようにして可動ブロック15が上下及び前後へ移動されることによりハンド28が所定の動作を行う。
このような本実施形態によれば、水平多段式伸縮装置3のベース11を、直動ガイド13の長さより短い寸法に形成し、且つこのベース11の下面に同じく直動ガイド13の長さより短い寸法の平行状態をなす一対のレール摺動体12L、12Rを設けたから、これらベース11及びレール摺動体12L、12Rの長さを、図26に示した従来の固定側ガイド101よりも短くでき、ベース11及びレール摺動体12L、12Rの合計重量をこの固定側ベース101の重量よりも軽減できる。
【0044】
さらに本実施形態によれば、直動ガイド13を、自身が前記レール摺動体12Lに摺動可能に保持され且つ可動ブロック15の被ガイド体21Lを摺動可能に保持するレール17Lと、自身が前記レール摺動体12Rに摺動可能に保持され且つ可動ブロック15の被ガイド体21Rを摺動可能に保持するレール17Rと、これら2本のレール17L、17Rを連結する2つの連結端板18A、18Bとから構成したから、直動ガイド102が平板状の直動ベース102aと2つのレール摺動体102cと2本のレール102bとから構成されている従来(図26)に比して、直動ガイド13の軽量化を図ることができる。
【0045】
さらに又、本実施形態においては、レール17Lを、図18に示した2本レール結合形態のレール108とは異なり、上部及び下部にガイド部17La、17Lbを有する一本のレール部材から構成し、他のレール17Rも同様に一本のレール部材から構成した。さらに各レール17L、17Rの各端面から内部の長尺方向に雌ねじ部17lc(レール17Rの雌ねじ部は図示していない)を形成し、第1の連結端板18A及び第2の連結端板18Bにはねじ頭部収容凹部18Aa及びねじ挿通孔部18Ab(第2の連結端板18Bのねじ頭部収容凹部及びねじ挿通孔部は図示していない)を形成した。そしてこれら連結端板18A、18Bを前記レール17L、17Rの各端面に宛がい、六角穴付きボルト19によりこれら連結端板18A、18Bとレール17L、17Rとを連結する構成とした。
【0046】
これらの構成によって、レール17L、17Rに形成するねじ穴としては、各端面での雌ねじ部17Lcのみの形成ですみ(ねじ頭部収容凹部は形成せずに済み)、レール17L、17Rに必要な剛性を確保しつつ該レール17L、17Rの高さHA´を短くでき、さらなる軽量化を図り得た。
【0047】
このようにベース11及びレール摺動体12L、12Rの合計重量を軽減できると共に、直動ガイド13の重量も軽減できるから、水平多段式伸縮装置3の軽量化を図り得、この結果、垂直装置用駆動モータ6の負荷を軽減でき、該垂直装置用駆動モータ6の小型化を図ることができる。
【0048】
そして、上述したように直動ガイド13の軽量化を図り得ることにより、その分、可動ブロック15で搬送する可搬重量を増やすことができる。
又、本実施形態によれば、可動ブロック移動機構16のプーリ22A、22B及びベルト23を前記両レール17L、17R間に配置させる構成としたから、可動ブロック15における両レール17L、17R間に作用させ得、これにより、該可動ブロック15が均等移動力で当該両レール17L、17Rを移動するようになる。従って、可動ブロック15が直動ガイド13の両レール17L、17Rにこじるように作用することがない。
【0049】
又、直動ガイド13における両レール17L、17Rをほぼ6a(これは5a以上であれば良い)の間隔をおいたことで、搬送負荷が20kg未満であるいわゆる小形のロボットにおいて、十分な剛性を確保しつつ軽量化も図り得た。逆にいえば、本実施形態では、上述の離間寸法が5倍以上である小形ロボットを前提としているから、図9ないし図25に示した経緯を経て、重量軽減に寄与できたものである。
【0050】
なお、上記実施形態では、第1のガイド部12Lb及び12Rb、第2のガイド部21Lb及び21Rbをボール状(凸状)に形成し、レール17L、17Rの上部ガイド部17La、17Ra及び下部ガイド部17Lb、17Rbを凹状に形成したが、それら凹状及び凸状の関係は逆でも良い。
【0051】
なお、搬送負荷が20kg以下の小型ロボットでは、ごく一般的に一対のレール離間寸法がレールの横幅寸法の5倍以上であるから、これについて請求項1には特段言及していないが、実質的には一対のレール離間寸法が5倍以上であることを示しており、そして、本願は、上述したように搬送負荷が20kg以下の小型ロボットを対象としており、ロボット体格に比して搬送可能重量を大きくでき、逆にいえば、従前と同じ搬送重量であればロボット体格を小さくできる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1はロボット、2は垂直昇降装置、3は水平多段式伸縮装置、6は垂直装置用駆動モータ、8は昇降部材、8aはベース取付板、11はベース、12L、12Rはレール摺動体、12La、12Raは凹部、12Lb、12Rbは第1のガイド部、13は直動ガイド、14はガイド移動機構と、15は可動ブロック、16は可動ブロック移動機構、17L、17Rはレール、17La、17Laは上部ガイド部、17Lb、17Lbは下部ガイド部、18Aは第1の連結端板、18Bは第2の連結端板、20はブロック本体、21L、21Rは被ガイド体、21Lb、21Rbは第2のガイド部、22Aは第1のプーリ、22Bは第2のプーリ、23はベルト、24は水平装置駆動用モータを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直駆動用モータにより上下移動される昇降部材を備えた垂直昇降装置を備えると共に、この垂直昇降装置における前記昇降部材に水平状態に連結されるベースと、このベースに水平方向へ移動可能に設けられた直動ガイドと、水平装置用駆動モータを有して前記直動ガイドを移動させるガイド移動機構と、前記直動ガイドに対して移動可能な可動ブロックと、前記直動ガイドの移動によって前記可動ブロックを該直動ガイドに対してその移動方向と同方向へ移動させる可動ブロック移動機構とを有する水平多段式伸縮装置とを備えた小型ロボットであって、
前記水平多段式伸縮装置の前記ベースは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され、
このベースの下面に、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ下方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びる第1のガイド部を形成した一対のレール摺動体を平行状態に設け、
前記水平多段伸縮装置の前記直動ガイドは、一対の平行なレールと、この一対のレールの各一端面に宛がわれた状態で該各一端面にねじ止めされた第1の連結端板と、前記一対のレールの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされた第2の連結端板とを有し、前記一対のレールの両側面上部にその長手方向に延びるように前記一対のレール摺動体の第1のガイド部に摺動可能に係合する上部ガイド部を形成し、且つ前記一対のレールの下部にその長手方向に延びるように下部ガイド部を形成し、
前記可動ブロックは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成されたブロック本体と、このブロック本体の上面に平行状態に設けられ、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ上方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びて前記下部ガイド部と摺動可能に係合する第2のガイド部を形成した一対の被ガイド体とから構成され、
前記可動ブロック移動機構は、前記直動ガイドの前記第1の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第1のプーリと、前記直動ガイドの前記第2の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第2のプーリと、これら第1のプーリ及び第2のプーリに架設したベルトとを有し、該ベルトにおける対極位置の一方を前記ベースに固定すると共に他方を前記可動ブロックに固定したことを特徴とするロボット。
【請求項1】
垂直駆動用モータにより上下移動される昇降部材を備えた垂直昇降装置を備えると共に、この垂直昇降装置における前記昇降部材に水平状態に連結されるベースと、このベースに水平方向へ移動可能に設けられた直動ガイドと、水平装置用駆動モータを有して前記直動ガイドを移動させるガイド移動機構と、前記直動ガイドに対して移動可能な可動ブロックと、前記直動ガイドの移動によって前記可動ブロックを該直動ガイドに対してその移動方向と同方向へ移動させる可動ブロック移動機構とを有する水平多段式伸縮装置とを備えた小型ロボットであって、
前記水平多段式伸縮装置の前記ベースは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され、
このベースの下面に、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ下方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びる第1のガイド部を形成した一対のレール摺動体を平行状態に設け、
前記水平多段伸縮装置の前記直動ガイドは、一対の平行なレールと、この一対のレールの各一端面に宛がわれた状態で該各一端面にねじ止めされた第1の連結端板と、前記一対のレールの各他端面に宛がわれた状態で該各他端面にねじ止めされた第2の連結端板とを有し、前記一対のレールの両側面上部にその長手方向に延びるように前記一対のレール摺動体の第1のガイド部に摺動可能に係合する上部ガイド部を形成し、且つ前記一対のレールの下部にその長手方向に延びるように下部ガイド部を形成し、
前記可動ブロックは、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成されたブロック本体と、このブロック本体の上面に平行状態に設けられ、夫々、前記直動ガイドの長さより短い寸法に形成され且つ上方に開放する凹部を前記直動ガイドを移動させるべき方向と同方向へ延びるように形成しさらにこの凹部の両内側面に当該凹部の延び方向と同方向へ延びて前記下部ガイド部と摺動可能に係合する第2のガイド部を形成した一対の被ガイド体とから構成され、
前記可動ブロック移動機構は、前記直動ガイドの前記第1の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第1のプーリと、前記直動ガイドの前記第2の連結端板に前記一対のレール間に位置して設けられた第2のプーリと、これら第1のプーリ及び第2のプーリに架設したベルトとを有し、該ベルトにおける対極位置の一方を前記ベースに固定すると共に他方を前記可動ブロックに固定したことを特徴とするロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−173208(P2011−173208A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38623(P2010−38623)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]