ロボット
【課題】適切な剛性を有する直動軸受が選定されたロボットシステムを提供する。
【解決手段】この塗装ロボット100(ロボットシステム)は、ロボット本体10と、ロボット本体10を直線移動可能に支持する直動軸受2および3とを備え、直動軸受2および3は、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係に基づいて選定されている。
【解決手段】この塗装ロボット100(ロボットシステム)は、ロボット本体10と、ロボット本体10を直線移動可能に支持する直動軸受2および3とを備え、直動軸受2および3は、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係に基づいて選定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受を備えたロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受を備えたロボットシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ガイドレールと、ガイドレール上を直線移動する可動部とを有する直動軸受を備えたロボットシステムが開示されている。この特許文献1では、支持部材の壁状に直立した側面に上下一対のガイドレールを平行に設けるとともに、ロボット本体に取り付けられた一対の可動部を上下一対のガイドレールとそれぞれ係合させることによって、ロボット本体が移動可能に構成されている。また、ロボット本体は、支持部材から離れる方向(ガイドレールの延びる移動方向と直交する方向)に張り出すように設置されている。そして、上記特許文献1によるロボットシステムは、ロボット本体が直動軸受によって支持部材に沿った左右方向に直線移動しながら、塗装対象物に対して塗装作業を行うように構成されている。
【0004】
上記特許文献1に記載の構成を有するロボットシステムでは、ロボット本体の重量などの荷重が直動軸受を構成するガイドレールおよび可動部に加わることになる。ここで、一般に、ロボットシステムに用いる直動軸受の選定は、ロボット本体からの荷重を考慮した負荷条件下において、稼動時に想定される移動動作を実行させた場合に、同一製品のうち略9割が設定した走行距離(寿命)に到達すると考えられるL10寿命を満たすか否かという寿命計算によって行われる。ただし、設計段階で直動軸受に作用する荷重を厳密に解析することは困難である。したがって、通常の寿命計算では、構成要素(ガイドレールおよび可動部など)は全て剛体であると仮定され、各構成要素の変形による影響などは考慮されない。このため、寿命計算に用いられる直動軸受の荷重と、実際に直動軸受に作用する荷重とが相違するという前提の下、経験的に得られた安全係数(許容しろ)などを用いた寿命計算に基づいて直動軸受の選定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−343009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者は、上記特許文献1のような直動軸受を備えたロボットシステムでは、従来の寿命計算では考慮されない構成要素の変形などの影響により想定よりも大きな荷重が作用して、L10寿命の確率(同一製品うちの残りの略1割は計算寿命に到達しないこと)を考慮しても顕著に短い期間で故障が発生する場合があることを見い出すとともに、このような場合には、従来の安全係数などを用いた寿命計算だけでは剛性が不足する場合や過剰な剛性を有する直動軸受が選定される場合があり、適切な剛性を有する直動軸受を選定することが困難であるという問題点(課題)があることを見出した。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、適切な剛性を有する直動軸受が選定されたロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために本願発明者が鋭意検討した結果、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定すれば、適切な剛性を有する直動軸受を選定することが可能であることを見出した。すなわち、この発明の一の局面によるロボットシステムは、ロボット本体と、ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受とを備え、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている。
【0009】
この発明の一の局面によるロボットシステムでは、上記のように、直動軸受を、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定することによって、通常の寿命計算では考慮されない直動軸受の撓みに起因する変位の影響を考慮して、直動軸受の選定を行うことができる。これにより、ロボット本体の重量によって発生する直動軸受の変形(撓みに起因する変位)を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定しておき、この相関関係に基づいて直動軸受を選定することによって、適切な剛性を有する直動軸受を選定することができる。
【0010】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して所定の寿命を得ることが可能な予め設定されたロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている。このように構成すれば、従来の寿命計算では考慮されない直動軸受の変形(撓みに起因する変位)の影響により想定よりも大きな荷重が作用する場合にも、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮した上で設計上のL10寿命を満たす直動軸受を選定することができる。
【0011】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の重量と、ロボット本体の重量に対応する剛性を有する直動軸受のサイズとの相関関係に基づいて選定されている。ここで、直動軸受の剛性は直動軸受のサイズにより決まるので、ロボット本体の重量と、ロボット本体の重量に対応する剛性を有する直動軸受のサイズとの相関関係を予め設定しておくことによって、直動軸受の選定(サイズの選定)を容易に行うことができる。
【0012】
この場合において、好ましくは、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の機種毎の重量の範囲と、重量の範囲に対応する直動軸受のサイズの範囲との相関関係を表すグラフに基づいて選定されている。このように構成すれば、ロボット本体の機種毎の重量の範囲と、重量の範囲に対応する直動軸受のサイズの範囲との相関関係を表すグラフを用いて、ロボット本体の重量に適合する剛性を有する直動軸受のサイズを、より容易に決定することができる。
【0013】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、直動軸受は、案内レールと案内レールに直線移動可能に係合する可動部とを含み、直動軸受は、少なくとも可動部の移動方向を軸とした回転方向であるローリング方向の直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定されている。ここで、案内レール上を可動部が直線移動する直動軸受では、構造上、ローリング方向に案内レールおよび可動部の変形が発生し易いので、少なくともローリング方向の直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定することによって、変位が大きいために影響が大きいと考えられるローリング方向の変位を考慮した直動軸受の選定を行うことができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、ロボット本体は、直動軸受に対して、直動軸受の可動部の移動方向と直交する横方向に向けて突出するように配置されている。このようにロボット本体を横方向に向けて突出するように配置する構成では、ロボット本体の重量により、直動軸受に加わるローリング方向の荷重が特に大きくなるので、ローリング方向の変位を考慮して予め設定されたロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を用いることにより、容易に、適切な剛性を有する直動軸受を選定することができる。
【0015】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係は、直動軸受に荷重が作用したときの直動軸受の変位に基づいて求められた特性を有する仮想的なバネを直動軸受に設けた負荷モデルを用いて、ロボット本体の重量に起因する直動軸受の変位を考慮して予め設定されている。このように構成すれば、直動軸受の撓みに起因する変位を、直動軸受に荷重が作用したときの変位に基づいて求められた特性を有する仮想的なバネの撓み変形に置き換えて求めることができる。これにより、剛体として計算されるために通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受の撓みに起因する変位を容易に求めることができるので、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮したロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、負荷モデルの仮想的なバネは、直動軸受に作用する荷重と、荷重が作用したときの直動軸受の変位との関係を直線近似した特性を有する。このように構成すれば、一般に線形にならない直動軸受に作用する荷重と変位との関係を直線近似することによって、容易に、直動軸受に荷重が作用したときの変位を反映する特性(仮想的なバネのバネ定数など)を得ることができる。これにより、仮想的なバネを用いた負荷モデルに基づくロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0017】
上記ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を負荷モデルを用いて設定する構成において、好ましくは、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係は、負荷モデルを用いて、直動軸受の変位を考慮した場合に直動軸受に作用する荷重を取得するとともに、取得した直動軸受に作用する荷重を用いた寿命計算によってロボット本体の重量に適合する剛性を有する直動軸受を選定することにより、予め設定されている。このように構成すれば、通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受の変位を考慮した場合の荷重を、負荷モデルを用いて容易に取得することができる。その結果、直動軸受の変位を考慮した場合の荷重を用いた寿命計算によって、直動軸受の変位を考慮したロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による塗装ロボットの全体構成を説明するための側面図である。
【図2】図1に示した一実施形態による塗装ロボットの平面図である。
【図3】図1に示した塗装ロボットの直動軸受を説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施形態による塗装ロボットにおける、ロボット本体の重量と直動軸受のサイズとの相関関係を表すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態による塗装ロボットのロボット本体の重量と直動軸受のサイズとの相関関係の設定方法を説明するためのフロー図である。
【図6】直動軸受に加わる荷重と直動軸受の変位との関係の一例を示したグラフである。
【図7】直動軸受に加わる荷重(モーメント)と直動軸受の変位との関係の一例を示したグラフである。
【図8】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルに用いる塗装ロボットの走行パターンの一例を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルに用いる仮想バネの配置を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルにおける直動軸受の変位を説明するための図である。
【図11】図7の直動軸受に加わる荷重(モーメント)と直動軸受の変位との関係を直線近似した例を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルを用いた撓み(変位)解析を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による塗装ロボット100の構造について説明する。なお、本実施形態では、自動車の車体の塗装作業を行う塗装ロボットシステムに本発明を適用した例について説明する。なお、塗装ロボット100は、本発明の「ロボットシステム」の一例である。
【0021】
図1および図2に示すように、塗装ロボット100は、ロボット本体10と、走行台車20と、直動軸受2および3とを備えている。また、塗装ロボット100は、基部1上に設置されている。直動軸受2は、基部1に設けられたレール21と、レール21とC方向(図2参照)に直線移動可能に係合する3つの可動部22a、22bおよび22cとを有している。また、直動軸受3は、基部1に設けられたレール31と、レール31とC方向に直線移動可能に係合する3つの可動部32a、32bおよび32cとを有している。これらの直動軸受2および3は、走行台車20を介してロボット本体10をC方向に直線移動可能に支持するように構成されている。基部1(レール21および31)は、塗装対象物(車体)の搬送経路(C方向の直線経路)と略平行に設けられるとともに、搬送される塗装対象物に伴ってロボット本体10が直線移動しながら塗装作業を行うことが可能なように構成されている。また、図1に示すように、基部1はL字状の断面形状を有し、基部1の上面にレール21が設けられるとともに、基部1の外側面にレール31が設けられている。なお、レール21および31は、それぞれ、本発明の「案内レール」の一例である。
【0022】
ロボット本体10は、基部1(レール21および31)の延びる移動方向(C方向)と直交する横方向に正面側を向けて、基部1から横方向に突出するように設置されている。ロボット本体10は、6軸(6自由度)のロボットアーム11と、ロボットアーム11の先端に設けられるとともに塗装ガン(図示せず)が装着される手先部12と、走行台車20に固定的に取り付けられた台座13とを主として備えている。ロボット本体10は、ロボットアーム11の構造に応じた所定の可動範囲内で任意の位置に手首部12(塗装ガン)を配置することが可能である。たとえば、ロボット本体10は、L軸14回りの前方に角度α(図1参照)の範囲で回動可能に構成されているとともに、S軸15回りの左右方向にそれぞれ角度β(図2参照)の範囲で回動可能に構成されている。このような構成により、ロボット本体10は、搬送される塗装対象物に追従して横方向(移動方向)に移動しながら、L軸14およびS軸15を含む各軸回りにロボットアーム11を駆動することによって塗装作業動作を行うように構成されている。
【0023】
走行台車20は、ロボット本体10を支持するとともに、2つの直動軸受2および3によりC方向に直線移動可能に構成されている。走行台車20には、直動軸受2および3の合計6つの可動部22a、22b、22c、32a、32bおよび32cが設けられている。これにより、走行台車20は、これらの可動部22a〜22cおよび32a〜32cを介して基部1(レール21および31)に直線移動可能に取り付けられている。なお、走行台車20は、図示しないボールネジなどを用いた駆動機構によって、レール21およびレール31に沿ったC方向に直線移動を行うように構成されている。
【0024】
直動軸受2の3つの可動部22a〜22cは、基部1の上面に設けられたレール21と係合するように設けられるとともに、それぞれ移動方向(C方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。また、直動軸受3の3つの可動部32a〜32cは、基部1の外側面に設けられたレール31と係合するように設けられるとともに、それぞれ移動方向(C方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。このため、可動部22a〜22cは、上面が水平方向に対して平行となる状態で配置され、可動部32a〜32cは、上面が鉛直方向(Z方向)に対して平行となる状態で配置されている。
【0025】
図3に示すように、直動軸受2の可動部22aは、レール21の両側面に形成された溝部21aと係合するように構成されている。可動部22aは、レール21に沿ったC方向(アキシアル方向、移動方向)にのみ移動可能に構成されている。可動部22aは環状の溝(図示せず)内に配置された複数のボール(図示せず)を内蔵し、可動部22aの移動時にこれらのボールがレール21と接触しながら環状の溝内で回転移動することにより、摩擦抵抗を軽減するように構成されている。したがって、可動部22aは、移動方向の荷重に対して小さな摩擦抵抗で移動する一方、上下方向(B方向)および横方向(A方向)には移動することなく荷重を受けるように構成されている。なお、直動軸受2の可動部22b、22c、および、直動軸受3の可動部32a〜32c(図2参照)は可動部22aと同一の構造を有するので、説明を省略する。
【0026】
上記の塗装ロボット100の移動機構において、直動軸受2および3(可動部22a〜22cおよび32a〜32c)の選定は、ISOなどの規格により定められた寿命計算(L10寿命)に基づいて行われる。L10寿命は、直動軸受の走行距離を示す数値であって、同一の直動軸受(の製品群)を同一条件下で動作させた場合に、90%の製品が算出された寿命計算値(走行距離)に問題なく到達する値であるとされる。つまり、同一の直動軸受を同一条件で使用した場合、9割の製品は算出されたL10寿命(走行距離)に問題なく到達する一方、残りの1割の製品はL10寿命に到達する前にフレーキング(剥離)などの破損が発生することになる。しかしながら、一般的に寿命計算では、直動軸受を含む構成要素は全て剛体と仮定され、構成要素の変形による影響は考慮されない。また、各機構の取付誤差の影響なども考慮されない。
【0027】
これらの点を検討して、本願発明者は、各構成要素(レールおよび可動部)の変形による影響などの一般的な寿命計算では考慮されない要因が影響して、寿命計算に用いられる荷重よりも大きな荷重が直動軸受2および3(可動部22a〜22cおよび32a〜32c)に作用する可能性があることを見出した。そこで、本願発明者は、図4に示すように、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係を予め設定するとともに、このロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係に基づいて直動軸受2および3を選定することとした。これにより、本実施形態では、直動軸受2および3には、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮して設計上の寿命(L10寿命)を得ることが可能な剛性を有する直動軸受が選定されている。
【0028】
ここで、ロボット本体10は、仕様に応じて重量が異なるため、機種毎に重量の幅がある。また、直動軸受2(3)は、高精度型や高荷重型、防塵型などの型式毎に複数のサイズが存在し、同一の型式においては、サイズに対応して剛性が高くなる。したがって、直動軸受の選定においては、用途および使用環境などに応じて型式が決定されると、その型式内でのサイズ(剛性)が選定される。このため、本実施形態では、図4に示すように、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係として、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲(クラス)と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフが予め設定されている。
【0029】
この図4のグラフに基づき、50kg〜200kgクラスのロボット本体10について、25番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。ここで、「○○番」のサイズとは、直動軸受のレール幅を意味する。また、250kg〜400kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて35番を中心とするレール幅サイズの直動軸受2(3)が選定される。また、400kg〜600kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて45番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。また、600kg〜900kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて55番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。また、980kg〜1200kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて65番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。
【0030】
次に、図3〜図12を参照して、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係の設定方法について説明する。
【0031】
本実施形態では、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係は、ロボット本体10の重量に起因する直動軸受2(3)の変位を考慮するため、仮想バネ40aおよび40bを直動軸受2(3)に内蔵した負荷モデルを用いて設定される。つまり、実際に直動軸受2(3)にロボット本体10および走行台車20を取り付けて塗装作業を実施する場合には、ロボット本体10および走行台車20の重量(荷重)が直動軸受2(3)に作用することにより、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位が発生する。この直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を、直動軸受2(3)に内蔵した仮想バネ40aおよび40bの変形による変位とみなすことにより、直動軸受2(3)の変形(撓みに起因する変位)を実際に測定することなく取得する。そして、図5に示すように、負荷モデルを用いて、直動軸受2(3)の変位を考慮した場合に直動軸受2(3)に作用する荷重を取得するとともに、取得した荷重を用いた寿命計算によってロボット本体10の重量に適合する剛性を有する直動軸受2(3)を選定する。この選定をロボット本体10の機種毎(重量毎)に行うことにより、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係が設定されている。なお、仮想バネ40aおよび40bは、本発明の「仮想的なバネ」の一例である。また、直動軸受2の選定および直動軸受3の選定方法は同様であるので、以下では直動軸受2(可動部22a〜22c)の選定を行い、ロボット本体10の重量と直動軸受2の剛性との相関関係を設定する場合について説明する。
【0032】
まず、図5のステップS1において、直動軸受2の剛性線図を入手する。図6および図7に示すように、剛性線図は、可動部22a(22b、22c)の剛性を示すグラフデータであり、可動部22a(22b、22c)に加わる荷重の方向毎に、可動部22a(22b、22c)に作用する荷重の大きさと、荷重が作用したときの可動部22a(22b、22c)の変位量との相関関係を示した図である。
【0033】
直動軸受2の剛性線図は、図3に示すように、ラジアル方向(矢印B2方向)および逆ラジアル方向(矢印B1方向)と、横方向(A方向)と、移動方向(C方向)を軸とした回転方向(ローリング方向、RC方向)と、移動方向と直交する上下方向(B方向)を軸とした回転方向(ヨーイング方向、RB方向)と、移動方向と直行する横方向(A方向)を軸とした回転方向(ピッチング方向、RA方向)との各方向の可動部22a(22b、22c)の荷重および変位の関係を示す。このような剛性線図は、直動軸受の製品毎に、製造元より提供を受けるか、または実際に直動軸受(同一製品)に対して試験を行うことにより取得する。
【0034】
具体的には、図6に示す剛性線図(荷重−変位曲線)では、たとえば、逆ラジアル方向(矢印B1方向、図3参照)に0.01[mm]の変位が発生した場合、約2[kN]の荷重が直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。同様に、横方向(A方向)に0.01[mm]の変位が発生した場合、約3[kN]の荷重が直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっており、ラジアル方向(矢印B2方向、図3参照)に0.01[mm]の変位が発生した場合、約7[kN]の荷重が直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。また、図7に示す剛性線図(モーメント−変位(角度)曲線)では、たとえば、ローリング方向(RC方向、図3参照)にtanθ=0.005の変位が発生した場合、約50[N・m]のモーメントが直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。同様に、ピッチング方向(RA方向、図3参照)にtanθ=0.005の変位が発生した場合、約400[N・m]のモーメントが直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっており、ヨーイング方向(RB方向、図3参照)にtanθ=0.005の変位が発生した場合、約600[N・m]のモーメントが直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。
【0035】
次に、図5のステップS2において、寿命計算に用いる負荷モデルを決定する。ここで、直動軸受2に加わる荷重は、塗装ロボット100(ロボット本体10)の姿勢および動作によって大きく変化する。そこで、負荷モデルには、稼働時における塗装ロボット100の動作を反映させるため、実際の塗装作業動作と同様の条件が設定される。
【0036】
具体的には、たとえば図8に示すように、実際の塗装作業の1サイクルの動作内容を反映した走行パターンが作成される。図8に示す走行パターンでは、搬送される塗装対象物の移動に追従して0.07(m/s)でロボット本体10が移動しながら、60秒間の間、ロボット本体10が塗装作業動作を実施する。この間にロボット本体10(走行台車20)は、4200(mm)移動する。塗装作業が終了した後、ロボット本体10が塗装動作を停止するとともに、逆方向に1.5(m/s)まで加速して復路4200(mm)を移動する。その後、ロボット本体10が減速しながら、初期位置で停止する。そして、次の塗装対象物が搬送されるまでの残りの時間を休止状態で待機する。
【0037】
また、塗装作業動作において発生する荷重(負荷)を算出するため、塗装ロボット100の各部の重量および重心位置を求める。すなわち、ロボット本体10のL軸14およびS軸15を含む各軸の駆動部や、ロボットアーム11の各アーム部、手先部12および台座13などについての重量および重心位置がそれぞれ算出される。また、塗装作業動作において、ロボット本体10は、L軸14回りの前方に角度α(図1参照)の範囲内で上下に回動するとともに、S軸15回りの左右方向にそれぞれ角度β(図2参照)の範囲内で回動(首振り)する。このような塗装作業動作を、それぞれの重心位置に配置された質点の運動として考えて、塗装作業動作に伴って発生する荷重(慣性力)を算出する。これにより、ロボット本体10の塗装作業動作状態において直動軸受2に加わる荷重が決定される。このようにして、作成された走行パターンに従ってロボット本体10および走行台車20が移動しながら、ロボット本体10が所定の塗装作業動作を実施するように構成した場合の負荷モデルが構築される。
【0038】
ここで、図9に示すように、本実施形態では、この負荷モデルに仮想バネ40aおよび40bを内蔵した直動軸受2を組み込むことにより、直動軸受2の撓み変形に起因する変位の影響を負荷モデルに反映させる。
【0039】
まず、直動軸受2には、レール21と可動部22aとの間に、4つの仮想バネ40aおよび4つの仮想バネ40bの合計8つの仮想バネが内蔵されていると仮定する。ここで、4つの仮想バネ40aは、レール21の上面側にラジアル方向(矢印B2方向)に向けて配置され、可動部22aの中心Oから横方向(A方向)に距離r1だけ離れるとともに、可動部22aの中心Oから移動方向(C方向)に距離r2だけ離れている。また、4つの仮想バネ40bは、レール21の両側面側に横方向(A方向)に向けて配置され、可動部22aの中心Oから移動方向(C方向)に距離r3だけ離れて配置されている。そして、これらの8つの仮想バネ40aおよび40bの特性(バネ定数およびバネの配置)を、上記の直動軸受2の剛性線図(図6および図7参照)の関係を満たすような特性となるように決定する。これにより、実際に可動部22aに荷重が作用した場合に発生する変位(撓み)を、仮想バネ40aおよび40bの変形に起因する可動部22aの変位に置き換えることが可能である。
【0040】
仮想バネ40aおよび40bの特性および配置は、以下のようにして決定する。図6に示す剛性線図(荷重−変位曲線)における上下方向(B方向)の荷重と変位との関係から、直動軸受2(可動部22a)のラジアル方向のバネ定数kB0を算出する。バネ定数KB0は、たとえば点P1および点P2の間の線分の傾きとして直線近似することにより算出する。このとき、4つの仮想バネ40aの1つ当りのバネ定数ka=kB0/4となる。また、剛性線図(荷重−変位曲線)における横方向(A方向)の荷重と変位との関係から、直動軸受2の横方向のバネ定数kA0を算出する。同様に、バネ定数KA0は、たとえば点P3および点P4の間の線分の傾きとして直線近似することにより算出する。このとき、4つの仮想バネ40bの1つ当りのバネ定数kb=kA0/4となる。
【0041】
次に、たとえば図10に示すように、ローリング方向(RC方向)における点O回りのモーメントMCの釣り合いから、
MC=4kaxr1・・・(1)
を得る。ここで、xは仮想バネ40aの変位量である。この式(1)から、
r1=MC/4kax・・・(2)
となる。
【0042】
また、tanθ=x/r1であり、角度変位θが小さいとき、tanθ≒θとみなすことができる。この結果、θ≒x/r1より、
x=r1θ・・・(3)
とすることができる。この式(3)を上記式(2)に代入すれば、下式
r12=MC/4kaθ・・・(4)
を得る。これにより、仮想バネ40aの位置を示す中心Oからの横方向(A方向)の距離r1の関係式が導出された。同様に、ピッチング方向(RA方向)における点O回りのモーメントMAの釣り合いから、仮想バネ40aの中心Oからの移動方向(C方向)の距離r2の関係式を導出する。
【0043】
また、図7に示す剛性線図(モーメント−変位曲線)の各曲線を、図11に示す近似直線LMCおよびLMABに直線近似する。ここで、図11にプロットされた各点(理論値)は、図7に示す剛性曲線上の複数点を直線近似のために抽出したものである。図11にプロットされた各点(理論値)を実用領域の範囲で方向毎に直線近似することにより、近似直線LMCおよびLMABを得る。なお、ピッチング方向(RA方向)とヨーイング方向(RB方向)とに関して、図7に示した剛性線図(モーメント−変位曲線)が略一致していることから、図11の近似直線LMABも一致している。そして、図11に示す剛性線図(直線近似)におけるローリング方向(RC方向)のモーメントMCと変位との関係、および、ピッチング方向(RA方向)のモーメントMAと変位との関係を満たすような(近似直線と略一致するような)距離r1およびr2の組み合わせを決定する。また、4つの仮想バネ40bの中心Oからの移動方向(C方向)の距離r3は、図11に示す剛性線図(直線近似)におけるヨーイング方向(RB方向)のモーメントMBと変位との関係から決定することができる。
【0044】
このようにして、合計8つの仮想バネ40aおよび40bのそれぞれのバネ定数kaおよびkbと、仮想バネ40aおよび40bの配置(点Oからの距離r1、r2およびr3)とを決定する。この結果、得られた仮想バネ40aおよび40bを内蔵する直動軸受2は、図11に示した剛性線図(近似直線)の関係と略一致した剛性を有することになる。つまり、直動軸受2(可動部22a)に対して、たとえばローリング方向(RC方向)にモーメントM1(図11参照)が作用する場合には、仮想バネ40aおよび40bの変形によって、図11における近似直線LMC上の対応する変位D1が発生することになる。
【0045】
以上により、仮想バネ40aおよび40bを設けた直動軸受2を組み込むことにより、直動軸受2の撓み変形に起因する変位の影響を考慮した負荷モデルが構築される。
【0046】
次に、図5のステップS3において、ステップS2で構築された負荷モデルに対して、FEM(有限要素法)による直動軸受2(可動部22a)の撓み(変位)解析を行う。これにより、図12に示すように、剛体とは異なり撓み変形を生じる実際の直動軸受2の撓みが、負荷モデルにおいて仮想バネ40aおよび40bを内蔵した直動軸受2(可動部22a)の変位に置き換えて解析される。なお、図12に示した直動軸受2の状態は、説明のために誇張して図示している。この直動軸受2(可動部22a)の撓み(変位)解析は、少なくともローリング方向(RC方向)について行われる。撓み(変位)解析の結果、仮想バネ40aおよび40bを内蔵する直動軸受2の変位(実際の直動軸受2の撓み)が得られる。
【0047】
次に、ステップS4において、ステップS3で得られた直動軸受2の変位から、直動軸受2に加わる荷重を取得する。すなわち、直動軸受2において、ステップS3で得られた変位(仮想バネ40aおよび40bを内蔵する直動軸受2の変位)が発生する場合に、直動軸受2に作用している荷重の大きさが取得される。具体的には、図6および図7に示した剛性線図を用いて、得られた変位(変位角度)に対応する荷重が取得される。このようにして、実際の直動軸受2において発生する撓み量(変位量)と、そのとき直動軸受2に作用する荷重の大きさとが、実際に測定を行うことなく解析的に取得される。
【0048】
そして、ステップS5において、ステップS2において構築した負荷モデルにより決定される各方向の荷重におけるローリング方向(RC方向)の荷重(モーメント)を、ステップS4で得られた変位(撓み)を考慮した荷重(ローリング方向(RC方向)のモーメントMC)に置き換えて寿命計算を行う。そして、この寿命計算に基づいて、設定した寿命(L10寿命)を得ることが可能な剛性を有する直動軸受2を選定する。以上により、直動軸受2の撓みに起因する変位を考慮して、直動軸受2に作用する荷重に適合する剛性を有する直動軸受2が選定される。
【0049】
上記の選定作業を、図4に示すように、50kg〜200kgクラス、250kg〜400kgクラス、400kg〜600kgクラス、600kg〜900kgクラス、980kg〜1200kgクラスの各クラスについて実施する。すなわち、上記ステップS2において、各クラスの機種(重量)のロボット本体10について、各部の重量および重心位置や、そのロボット本体10の姿勢および塗装作業動作を反映させた負荷モデルをそれぞれ構築するとともに、それぞれの負荷モデルを用いてステップS3〜S5を実施する。この結果、図4に示した相関関係を表すグラフが設定される。
【0050】
以上により、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフが直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して設定される。
【0051】
本実施形態では、上記のように、直動軸受2および3を、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係に基づいて選定することによって、通常の寿命計算では考慮されない直動軸受2(3)の撓みに起因する変位の影響を考慮して、直動軸受2(3)の選定を行うことができる。これにより、ロボット本体10の重量によって発生する直動軸受2(3)の変形(撓みに起因する変位)を考慮してロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を予め設定しておき、この相関関係に基づいて直動軸受2(3)を選定することによって、適切な剛性を有する直動軸受2(3)を選定することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して設計上の寿命(L10寿命)を得ることが可能な予め設定されたロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係に基づいて選定することによって、従来の寿命計算では考慮されない直動軸受2(3)の変形(撓みに起因する変位)の影響により想定よりも大きな荷重が作用する場合にも、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮した上で設計上のL10寿命を満たす直動軸受を選定することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の重量と、ロボット本体10の重量に対応する剛性を有する直動軸受2(3)のサイズとの相関関係に基づいて選定する。ここで、直動軸受2(3)の剛性は直動軸受2(3)のサイズにより決まるので、ロボット本体10の重量と、ロボット本体10の重量に対応する剛性を有する直動軸受2(3)のサイズとの相関関係を予め設定しておくことによって、直動軸受2(3)の選定(サイズの選定)を容易に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲(クラス)と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフに基づいて選定することによって、ロボット本体10のクラスと、クラスに対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフを用いて、ロボット本体10の重量に適合する剛性を有する直動軸受2(3)のサイズを、より容易に決定することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、少なくとも可動部22a〜22c(32a〜32c)の移動方向(C方向)を軸とした回転方向であるローリング方向(RC方向)の直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定する。ここで、レール21(31)上を可動部22a〜22c(32a〜32c)が直線移動する直動軸受2(3)では、構造上、ローリング方向にレール21(31)および可動部22a〜22c(32a〜32c)の変形が発生し易いので、少なくともローリング方向の直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定することによって、変位が大きいために影響が大きいと考えられるローリング方向の変位を考慮した直動軸受2(3)の選定を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット本体10を、直動軸受2(3)に対して、直動軸受2の可動部22a〜22cの移動方向(C方向)と直交する横方向に向けて突出するように配置されている。このようにロボット本体10を横方向に向けて突出するように配置する構成では、ロボット本体10の重量により、直動軸受2(3)に加わるローリング方向(RC方向)の荷重が特に大きくなるので、ローリング方向の変位を考慮して予め設定されたロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を用いることにより、容易に、適切な剛性を有する直動軸受2(3)を選定することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を、直動軸受2(3)に荷重が作用したときの直動軸受2(3)の変位に基づいて求められた特性(バネ定数kaおよびkbおよび配置r1〜r3)を有する仮想バネ40aおよび40bを直動軸受2(3)に設けた負荷モデルを用いて、ロボット本体10の重量に起因する直動軸受2(3)の変位を考慮して予め設定する。このように構成することによって、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を、直動軸受2(3)に荷重が作用したときの変位に基づいて求められた特性を有する仮想バネ40aおよび40bの撓み変形に置き換えて求めることができる。これにより、通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を容易に求めることができるので、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮したロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、負荷モデルの仮想バネ40aおよび40bを、直動軸受2(3)に作用する荷重と、荷重が作用したときの直動軸受2(3)の変位との関係を直線近似(LMC、LMAB、図11参照)した特性(バネ定数kaおよびkbおよび配置(距離r1〜r3))を有するように設定する。これにより、直動軸受2(3)に作用する荷重と変位との関係を実用領域を直線近似することによって、容易に、直動軸受2(3)に荷重が作用したときの変位を反映する特性(バネ定数kaおよびkbおよび配置(距離r1〜r3))を得ることができる。これにより、仮想バネ40aおよび40bを用いた負荷モデルに基づくロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を、負荷モデルを用いて直動軸受2(3)の変位を考慮した場合に直動軸受2(3)に作用する荷重を取得するとともに、取得した荷重を用いた寿命計算によってロボット本体10の重量に適合する剛性を有する直動軸受2(3)を選定することにより、予め設定する。このように構成することによって、通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受2(3)の変位を考慮した場合の荷重を、負荷モデルを用いて容易に取得することができる。その結果、直動軸受2(3)の変位を考慮した場合の荷重を用いた寿命計算によって、直動軸受2(3)の変位を考慮したロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を容易に得ることができる。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、本発明を塗装ロボット100に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、直動軸受を備えたロボットシステムであれば、塗装ロボット100以外の他のロボットシステムに適用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、レール21と係合する可動部22a〜22cを上面が水平となるように配置し、レール31と係合する可動部32a〜32cを上面が垂直になるように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受はどのように配置されていてもよい。したがって、可動部22a〜22cおよび32a〜32cを全て上面が水平となるように配置してもよいし、可動部22a〜22cおよび32a〜32cを全て上面が垂直となるように配置してもよい。また、レールを1本または3本以上設けて、それぞれ1または複数の可動部を配置してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、6軸(6自由度)のロボットアーム11を有するロボット本体10を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット本体10は、たとえば7軸(7自由度)以上のロボットアームを有していてもよいし、5軸(5自由度)以下のロボットアームを有していてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、直動軸受2および3を、走行台車20を介してロボット本体10を直線移動可能に支持するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、走行台車を介さずに、直動軸受が直接ロボット本体を直線移動可能に支持するように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、走行台車20に直動軸受2および3の可動部を合計6つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受の可動部を5つ以下または7つ以上設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、直動軸受2(可動部22a)の撓み(変位)解析を、少なくともローリング方向(RC方向)について行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ローリング方向に加えて、さらにヨーイング方向(RB方向)と、ピッチング方向(RA方向)とについての撓み(変位)解析を行ってもよい。また、さらにラジアル方向(矢印B2方向)および逆ラジアル方向(矢印B1方向)と、横方向(A方向)とについての撓み(変位)解析を行ってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲(クラス)と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフを予め設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲と、対応する直動軸受2(3)の剛性の範囲との相関関係を表すグラフを予め設定してもよい。また、本発明では、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定すればよく、その相関関係の表現形式は、グラフ以外の一覧表や、相関関係を示す数式などであってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、仮想バネ40aおよび40bを直動軸受2(3)に内蔵した負荷モデルを用いてロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係を設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定すれば、その相関関係をどのような方法で設定してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、8つの仮想バネ40aおよび40bの特性(バネ定数ka、kbおよびバネの配置(距離r1〜r3))を、直動軸受2(3)の剛性線図における荷重と変位との関係を直線近似した特性とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受の剛性線図を直線近似することなく、仮想バネの特性を直動軸受の剛性線図と略一致する特性となるように設定してもよい。また、仮想バネの特性を、直線近似以外の他の方法によって近似した特性として設定してもよい。
【符号の説明】
【0070】
2、3 直動軸受
10 ロボット本体
21、31 レール(案内レール)
22a、22b、22c、32a、32b、32c 可動部
40a、40b 仮想バネ(仮想的なバネ)
100 塗装ロボット(ロボットシステム)
A方向 直動軸受の横方向
B方向 直動軸受の上下方向
C方向 直動軸受の可動部の移動方向
RA方向 ピッチング方向
RB方向 ヨーイング方向
RC方向 ローリング方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受を備えたロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受を備えたロボットシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ガイドレールと、ガイドレール上を直線移動する可動部とを有する直動軸受を備えたロボットシステムが開示されている。この特許文献1では、支持部材の壁状に直立した側面に上下一対のガイドレールを平行に設けるとともに、ロボット本体に取り付けられた一対の可動部を上下一対のガイドレールとそれぞれ係合させることによって、ロボット本体が移動可能に構成されている。また、ロボット本体は、支持部材から離れる方向(ガイドレールの延びる移動方向と直交する方向)に張り出すように設置されている。そして、上記特許文献1によるロボットシステムは、ロボット本体が直動軸受によって支持部材に沿った左右方向に直線移動しながら、塗装対象物に対して塗装作業を行うように構成されている。
【0004】
上記特許文献1に記載の構成を有するロボットシステムでは、ロボット本体の重量などの荷重が直動軸受を構成するガイドレールおよび可動部に加わることになる。ここで、一般に、ロボットシステムに用いる直動軸受の選定は、ロボット本体からの荷重を考慮した負荷条件下において、稼動時に想定される移動動作を実行させた場合に、同一製品のうち略9割が設定した走行距離(寿命)に到達すると考えられるL10寿命を満たすか否かという寿命計算によって行われる。ただし、設計段階で直動軸受に作用する荷重を厳密に解析することは困難である。したがって、通常の寿命計算では、構成要素(ガイドレールおよび可動部など)は全て剛体であると仮定され、各構成要素の変形による影響などは考慮されない。このため、寿命計算に用いられる直動軸受の荷重と、実際に直動軸受に作用する荷重とが相違するという前提の下、経験的に得られた安全係数(許容しろ)などを用いた寿命計算に基づいて直動軸受の選定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−343009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者は、上記特許文献1のような直動軸受を備えたロボットシステムでは、従来の寿命計算では考慮されない構成要素の変形などの影響により想定よりも大きな荷重が作用して、L10寿命の確率(同一製品うちの残りの略1割は計算寿命に到達しないこと)を考慮しても顕著に短い期間で故障が発生する場合があることを見い出すとともに、このような場合には、従来の安全係数などを用いた寿命計算だけでは剛性が不足する場合や過剰な剛性を有する直動軸受が選定される場合があり、適切な剛性を有する直動軸受を選定することが困難であるという問題点(課題)があることを見出した。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、適切な剛性を有する直動軸受が選定されたロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために本願発明者が鋭意検討した結果、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定すれば、適切な剛性を有する直動軸受を選定することが可能であることを見出した。すなわち、この発明の一の局面によるロボットシステムは、ロボット本体と、ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受とを備え、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている。
【0009】
この発明の一の局面によるロボットシステムでは、上記のように、直動軸受を、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定することによって、通常の寿命計算では考慮されない直動軸受の撓みに起因する変位の影響を考慮して、直動軸受の選定を行うことができる。これにより、ロボット本体の重量によって発生する直動軸受の変形(撓みに起因する変位)を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定しておき、この相関関係に基づいて直動軸受を選定することによって、適切な剛性を有する直動軸受を選定することができる。
【0010】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して所定の寿命を得ることが可能な予め設定されたロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている。このように構成すれば、従来の寿命計算では考慮されない直動軸受の変形(撓みに起因する変位)の影響により想定よりも大きな荷重が作用する場合にも、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮した上で設計上のL10寿命を満たす直動軸受を選定することができる。
【0011】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の重量と、ロボット本体の重量に対応する剛性を有する直動軸受のサイズとの相関関係に基づいて選定されている。ここで、直動軸受の剛性は直動軸受のサイズにより決まるので、ロボット本体の重量と、ロボット本体の重量に対応する剛性を有する直動軸受のサイズとの相関関係を予め設定しておくことによって、直動軸受の選定(サイズの選定)を容易に行うことができる。
【0012】
この場合において、好ましくは、直動軸受は、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体の機種毎の重量の範囲と、重量の範囲に対応する直動軸受のサイズの範囲との相関関係を表すグラフに基づいて選定されている。このように構成すれば、ロボット本体の機種毎の重量の範囲と、重量の範囲に対応する直動軸受のサイズの範囲との相関関係を表すグラフを用いて、ロボット本体の重量に適合する剛性を有する直動軸受のサイズを、より容易に決定することができる。
【0013】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、直動軸受は、案内レールと案内レールに直線移動可能に係合する可動部とを含み、直動軸受は、少なくとも可動部の移動方向を軸とした回転方向であるローリング方向の直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定されている。ここで、案内レール上を可動部が直線移動する直動軸受では、構造上、ローリング方向に案内レールおよび可動部の変形が発生し易いので、少なくともローリング方向の直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定することによって、変位が大きいために影響が大きいと考えられるローリング方向の変位を考慮した直動軸受の選定を行うことができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、ロボット本体は、直動軸受に対して、直動軸受の可動部の移動方向と直交する横方向に向けて突出するように配置されている。このようにロボット本体を横方向に向けて突出するように配置する構成では、ロボット本体の重量により、直動軸受に加わるローリング方向の荷重が特に大きくなるので、ローリング方向の変位を考慮して予め設定されたロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を用いることにより、容易に、適切な剛性を有する直動軸受を選定することができる。
【0015】
上記一の局面によるロボットシステムにおいて、好ましくは、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係は、直動軸受に荷重が作用したときの直動軸受の変位に基づいて求められた特性を有する仮想的なバネを直動軸受に設けた負荷モデルを用いて、ロボット本体の重量に起因する直動軸受の変位を考慮して予め設定されている。このように構成すれば、直動軸受の撓みに起因する変位を、直動軸受に荷重が作用したときの変位に基づいて求められた特性を有する仮想的なバネの撓み変形に置き換えて求めることができる。これにより、剛体として計算されるために通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受の撓みに起因する変位を容易に求めることができるので、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮したロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、負荷モデルの仮想的なバネは、直動軸受に作用する荷重と、荷重が作用したときの直動軸受の変位との関係を直線近似した特性を有する。このように構成すれば、一般に線形にならない直動軸受に作用する荷重と変位との関係を直線近似することによって、容易に、直動軸受に荷重が作用したときの変位を反映する特性(仮想的なバネのバネ定数など)を得ることができる。これにより、仮想的なバネを用いた負荷モデルに基づくロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0017】
上記ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を負荷モデルを用いて設定する構成において、好ましくは、ロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係は、負荷モデルを用いて、直動軸受の変位を考慮した場合に直動軸受に作用する荷重を取得するとともに、取得した直動軸受に作用する荷重を用いた寿命計算によってロボット本体の重量に適合する剛性を有する直動軸受を選定することにより、予め設定されている。このように構成すれば、通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受の変位を考慮した場合の荷重を、負荷モデルを用いて容易に取得することができる。その結果、直動軸受の変位を考慮した場合の荷重を用いた寿命計算によって、直動軸受の変位を考慮したロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による塗装ロボットの全体構成を説明するための側面図である。
【図2】図1に示した一実施形態による塗装ロボットの平面図である。
【図3】図1に示した塗装ロボットの直動軸受を説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施形態による塗装ロボットにおける、ロボット本体の重量と直動軸受のサイズとの相関関係を表すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態による塗装ロボットのロボット本体の重量と直動軸受のサイズとの相関関係の設定方法を説明するためのフロー図である。
【図6】直動軸受に加わる荷重と直動軸受の変位との関係の一例を示したグラフである。
【図7】直動軸受に加わる荷重(モーメント)と直動軸受の変位との関係の一例を示したグラフである。
【図8】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルに用いる塗装ロボットの走行パターンの一例を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルに用いる仮想バネの配置を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルにおける直動軸受の変位を説明するための図である。
【図11】図7の直動軸受に加わる荷重(モーメント)と直動軸受の変位との関係を直線近似した例を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施形態による塗装ロボットの負荷モデルを用いた撓み(変位)解析を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による塗装ロボット100の構造について説明する。なお、本実施形態では、自動車の車体の塗装作業を行う塗装ロボットシステムに本発明を適用した例について説明する。なお、塗装ロボット100は、本発明の「ロボットシステム」の一例である。
【0021】
図1および図2に示すように、塗装ロボット100は、ロボット本体10と、走行台車20と、直動軸受2および3とを備えている。また、塗装ロボット100は、基部1上に設置されている。直動軸受2は、基部1に設けられたレール21と、レール21とC方向(図2参照)に直線移動可能に係合する3つの可動部22a、22bおよび22cとを有している。また、直動軸受3は、基部1に設けられたレール31と、レール31とC方向に直線移動可能に係合する3つの可動部32a、32bおよび32cとを有している。これらの直動軸受2および3は、走行台車20を介してロボット本体10をC方向に直線移動可能に支持するように構成されている。基部1(レール21および31)は、塗装対象物(車体)の搬送経路(C方向の直線経路)と略平行に設けられるとともに、搬送される塗装対象物に伴ってロボット本体10が直線移動しながら塗装作業を行うことが可能なように構成されている。また、図1に示すように、基部1はL字状の断面形状を有し、基部1の上面にレール21が設けられるとともに、基部1の外側面にレール31が設けられている。なお、レール21および31は、それぞれ、本発明の「案内レール」の一例である。
【0022】
ロボット本体10は、基部1(レール21および31)の延びる移動方向(C方向)と直交する横方向に正面側を向けて、基部1から横方向に突出するように設置されている。ロボット本体10は、6軸(6自由度)のロボットアーム11と、ロボットアーム11の先端に設けられるとともに塗装ガン(図示せず)が装着される手先部12と、走行台車20に固定的に取り付けられた台座13とを主として備えている。ロボット本体10は、ロボットアーム11の構造に応じた所定の可動範囲内で任意の位置に手首部12(塗装ガン)を配置することが可能である。たとえば、ロボット本体10は、L軸14回りの前方に角度α(図1参照)の範囲で回動可能に構成されているとともに、S軸15回りの左右方向にそれぞれ角度β(図2参照)の範囲で回動可能に構成されている。このような構成により、ロボット本体10は、搬送される塗装対象物に追従して横方向(移動方向)に移動しながら、L軸14およびS軸15を含む各軸回りにロボットアーム11を駆動することによって塗装作業動作を行うように構成されている。
【0023】
走行台車20は、ロボット本体10を支持するとともに、2つの直動軸受2および3によりC方向に直線移動可能に構成されている。走行台車20には、直動軸受2および3の合計6つの可動部22a、22b、22c、32a、32bおよび32cが設けられている。これにより、走行台車20は、これらの可動部22a〜22cおよび32a〜32cを介して基部1(レール21および31)に直線移動可能に取り付けられている。なお、走行台車20は、図示しないボールネジなどを用いた駆動機構によって、レール21およびレール31に沿ったC方向に直線移動を行うように構成されている。
【0024】
直動軸受2の3つの可動部22a〜22cは、基部1の上面に設けられたレール21と係合するように設けられるとともに、それぞれ移動方向(C方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。また、直動軸受3の3つの可動部32a〜32cは、基部1の外側面に設けられたレール31と係合するように設けられるとともに、それぞれ移動方向(C方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。このため、可動部22a〜22cは、上面が水平方向に対して平行となる状態で配置され、可動部32a〜32cは、上面が鉛直方向(Z方向)に対して平行となる状態で配置されている。
【0025】
図3に示すように、直動軸受2の可動部22aは、レール21の両側面に形成された溝部21aと係合するように構成されている。可動部22aは、レール21に沿ったC方向(アキシアル方向、移動方向)にのみ移動可能に構成されている。可動部22aは環状の溝(図示せず)内に配置された複数のボール(図示せず)を内蔵し、可動部22aの移動時にこれらのボールがレール21と接触しながら環状の溝内で回転移動することにより、摩擦抵抗を軽減するように構成されている。したがって、可動部22aは、移動方向の荷重に対して小さな摩擦抵抗で移動する一方、上下方向(B方向)および横方向(A方向)には移動することなく荷重を受けるように構成されている。なお、直動軸受2の可動部22b、22c、および、直動軸受3の可動部32a〜32c(図2参照)は可動部22aと同一の構造を有するので、説明を省略する。
【0026】
上記の塗装ロボット100の移動機構において、直動軸受2および3(可動部22a〜22cおよび32a〜32c)の選定は、ISOなどの規格により定められた寿命計算(L10寿命)に基づいて行われる。L10寿命は、直動軸受の走行距離を示す数値であって、同一の直動軸受(の製品群)を同一条件下で動作させた場合に、90%の製品が算出された寿命計算値(走行距離)に問題なく到達する値であるとされる。つまり、同一の直動軸受を同一条件で使用した場合、9割の製品は算出されたL10寿命(走行距離)に問題なく到達する一方、残りの1割の製品はL10寿命に到達する前にフレーキング(剥離)などの破損が発生することになる。しかしながら、一般的に寿命計算では、直動軸受を含む構成要素は全て剛体と仮定され、構成要素の変形による影響は考慮されない。また、各機構の取付誤差の影響なども考慮されない。
【0027】
これらの点を検討して、本願発明者は、各構成要素(レールおよび可動部)の変形による影響などの一般的な寿命計算では考慮されない要因が影響して、寿命計算に用いられる荷重よりも大きな荷重が直動軸受2および3(可動部22a〜22cおよび32a〜32c)に作用する可能性があることを見出した。そこで、本願発明者は、図4に示すように、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係を予め設定するとともに、このロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係に基づいて直動軸受2および3を選定することとした。これにより、本実施形態では、直動軸受2および3には、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮して設計上の寿命(L10寿命)を得ることが可能な剛性を有する直動軸受が選定されている。
【0028】
ここで、ロボット本体10は、仕様に応じて重量が異なるため、機種毎に重量の幅がある。また、直動軸受2(3)は、高精度型や高荷重型、防塵型などの型式毎に複数のサイズが存在し、同一の型式においては、サイズに対応して剛性が高くなる。したがって、直動軸受の選定においては、用途および使用環境などに応じて型式が決定されると、その型式内でのサイズ(剛性)が選定される。このため、本実施形態では、図4に示すように、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係として、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲(クラス)と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフが予め設定されている。
【0029】
この図4のグラフに基づき、50kg〜200kgクラスのロボット本体10について、25番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。ここで、「○○番」のサイズとは、直動軸受のレール幅を意味する。また、250kg〜400kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて35番を中心とするレール幅サイズの直動軸受2(3)が選定される。また、400kg〜600kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて45番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。また、600kg〜900kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて55番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。また、980kg〜1200kgクラスのロボット本体10については、重量に応じて65番を中心とするサイズの直動軸受2(3)が選定される。
【0030】
次に、図3〜図12を参照して、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係の設定方法について説明する。
【0031】
本実施形態では、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係は、ロボット本体10の重量に起因する直動軸受2(3)の変位を考慮するため、仮想バネ40aおよび40bを直動軸受2(3)に内蔵した負荷モデルを用いて設定される。つまり、実際に直動軸受2(3)にロボット本体10および走行台車20を取り付けて塗装作業を実施する場合には、ロボット本体10および走行台車20の重量(荷重)が直動軸受2(3)に作用することにより、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位が発生する。この直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を、直動軸受2(3)に内蔵した仮想バネ40aおよび40bの変形による変位とみなすことにより、直動軸受2(3)の変形(撓みに起因する変位)を実際に測定することなく取得する。そして、図5に示すように、負荷モデルを用いて、直動軸受2(3)の変位を考慮した場合に直動軸受2(3)に作用する荷重を取得するとともに、取得した荷重を用いた寿命計算によってロボット本体10の重量に適合する剛性を有する直動軸受2(3)を選定する。この選定をロボット本体10の機種毎(重量毎)に行うことにより、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係が設定されている。なお、仮想バネ40aおよび40bは、本発明の「仮想的なバネ」の一例である。また、直動軸受2の選定および直動軸受3の選定方法は同様であるので、以下では直動軸受2(可動部22a〜22c)の選定を行い、ロボット本体10の重量と直動軸受2の剛性との相関関係を設定する場合について説明する。
【0032】
まず、図5のステップS1において、直動軸受2の剛性線図を入手する。図6および図7に示すように、剛性線図は、可動部22a(22b、22c)の剛性を示すグラフデータであり、可動部22a(22b、22c)に加わる荷重の方向毎に、可動部22a(22b、22c)に作用する荷重の大きさと、荷重が作用したときの可動部22a(22b、22c)の変位量との相関関係を示した図である。
【0033】
直動軸受2の剛性線図は、図3に示すように、ラジアル方向(矢印B2方向)および逆ラジアル方向(矢印B1方向)と、横方向(A方向)と、移動方向(C方向)を軸とした回転方向(ローリング方向、RC方向)と、移動方向と直交する上下方向(B方向)を軸とした回転方向(ヨーイング方向、RB方向)と、移動方向と直行する横方向(A方向)を軸とした回転方向(ピッチング方向、RA方向)との各方向の可動部22a(22b、22c)の荷重および変位の関係を示す。このような剛性線図は、直動軸受の製品毎に、製造元より提供を受けるか、または実際に直動軸受(同一製品)に対して試験を行うことにより取得する。
【0034】
具体的には、図6に示す剛性線図(荷重−変位曲線)では、たとえば、逆ラジアル方向(矢印B1方向、図3参照)に0.01[mm]の変位が発生した場合、約2[kN]の荷重が直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。同様に、横方向(A方向)に0.01[mm]の変位が発生した場合、約3[kN]の荷重が直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっており、ラジアル方向(矢印B2方向、図3参照)に0.01[mm]の変位が発生した場合、約7[kN]の荷重が直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。また、図7に示す剛性線図(モーメント−変位(角度)曲線)では、たとえば、ローリング方向(RC方向、図3参照)にtanθ=0.005の変位が発生した場合、約50[N・m]のモーメントが直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。同様に、ピッチング方向(RA方向、図3参照)にtanθ=0.005の変位が発生した場合、約400[N・m]のモーメントが直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっており、ヨーイング方向(RB方向、図3参照)にtanθ=0.005の変位が発生した場合、約600[N・m]のモーメントが直動軸受2の可動部22a(22b、22c)に加わっていることを示している。
【0035】
次に、図5のステップS2において、寿命計算に用いる負荷モデルを決定する。ここで、直動軸受2に加わる荷重は、塗装ロボット100(ロボット本体10)の姿勢および動作によって大きく変化する。そこで、負荷モデルには、稼働時における塗装ロボット100の動作を反映させるため、実際の塗装作業動作と同様の条件が設定される。
【0036】
具体的には、たとえば図8に示すように、実際の塗装作業の1サイクルの動作内容を反映した走行パターンが作成される。図8に示す走行パターンでは、搬送される塗装対象物の移動に追従して0.07(m/s)でロボット本体10が移動しながら、60秒間の間、ロボット本体10が塗装作業動作を実施する。この間にロボット本体10(走行台車20)は、4200(mm)移動する。塗装作業が終了した後、ロボット本体10が塗装動作を停止するとともに、逆方向に1.5(m/s)まで加速して復路4200(mm)を移動する。その後、ロボット本体10が減速しながら、初期位置で停止する。そして、次の塗装対象物が搬送されるまでの残りの時間を休止状態で待機する。
【0037】
また、塗装作業動作において発生する荷重(負荷)を算出するため、塗装ロボット100の各部の重量および重心位置を求める。すなわち、ロボット本体10のL軸14およびS軸15を含む各軸の駆動部や、ロボットアーム11の各アーム部、手先部12および台座13などについての重量および重心位置がそれぞれ算出される。また、塗装作業動作において、ロボット本体10は、L軸14回りの前方に角度α(図1参照)の範囲内で上下に回動するとともに、S軸15回りの左右方向にそれぞれ角度β(図2参照)の範囲内で回動(首振り)する。このような塗装作業動作を、それぞれの重心位置に配置された質点の運動として考えて、塗装作業動作に伴って発生する荷重(慣性力)を算出する。これにより、ロボット本体10の塗装作業動作状態において直動軸受2に加わる荷重が決定される。このようにして、作成された走行パターンに従ってロボット本体10および走行台車20が移動しながら、ロボット本体10が所定の塗装作業動作を実施するように構成した場合の負荷モデルが構築される。
【0038】
ここで、図9に示すように、本実施形態では、この負荷モデルに仮想バネ40aおよび40bを内蔵した直動軸受2を組み込むことにより、直動軸受2の撓み変形に起因する変位の影響を負荷モデルに反映させる。
【0039】
まず、直動軸受2には、レール21と可動部22aとの間に、4つの仮想バネ40aおよび4つの仮想バネ40bの合計8つの仮想バネが内蔵されていると仮定する。ここで、4つの仮想バネ40aは、レール21の上面側にラジアル方向(矢印B2方向)に向けて配置され、可動部22aの中心Oから横方向(A方向)に距離r1だけ離れるとともに、可動部22aの中心Oから移動方向(C方向)に距離r2だけ離れている。また、4つの仮想バネ40bは、レール21の両側面側に横方向(A方向)に向けて配置され、可動部22aの中心Oから移動方向(C方向)に距離r3だけ離れて配置されている。そして、これらの8つの仮想バネ40aおよび40bの特性(バネ定数およびバネの配置)を、上記の直動軸受2の剛性線図(図6および図7参照)の関係を満たすような特性となるように決定する。これにより、実際に可動部22aに荷重が作用した場合に発生する変位(撓み)を、仮想バネ40aおよび40bの変形に起因する可動部22aの変位に置き換えることが可能である。
【0040】
仮想バネ40aおよび40bの特性および配置は、以下のようにして決定する。図6に示す剛性線図(荷重−変位曲線)における上下方向(B方向)の荷重と変位との関係から、直動軸受2(可動部22a)のラジアル方向のバネ定数kB0を算出する。バネ定数KB0は、たとえば点P1および点P2の間の線分の傾きとして直線近似することにより算出する。このとき、4つの仮想バネ40aの1つ当りのバネ定数ka=kB0/4となる。また、剛性線図(荷重−変位曲線)における横方向(A方向)の荷重と変位との関係から、直動軸受2の横方向のバネ定数kA0を算出する。同様に、バネ定数KA0は、たとえば点P3および点P4の間の線分の傾きとして直線近似することにより算出する。このとき、4つの仮想バネ40bの1つ当りのバネ定数kb=kA0/4となる。
【0041】
次に、たとえば図10に示すように、ローリング方向(RC方向)における点O回りのモーメントMCの釣り合いから、
MC=4kaxr1・・・(1)
を得る。ここで、xは仮想バネ40aの変位量である。この式(1)から、
r1=MC/4kax・・・(2)
となる。
【0042】
また、tanθ=x/r1であり、角度変位θが小さいとき、tanθ≒θとみなすことができる。この結果、θ≒x/r1より、
x=r1θ・・・(3)
とすることができる。この式(3)を上記式(2)に代入すれば、下式
r12=MC/4kaθ・・・(4)
を得る。これにより、仮想バネ40aの位置を示す中心Oからの横方向(A方向)の距離r1の関係式が導出された。同様に、ピッチング方向(RA方向)における点O回りのモーメントMAの釣り合いから、仮想バネ40aの中心Oからの移動方向(C方向)の距離r2の関係式を導出する。
【0043】
また、図7に示す剛性線図(モーメント−変位曲線)の各曲線を、図11に示す近似直線LMCおよびLMABに直線近似する。ここで、図11にプロットされた各点(理論値)は、図7に示す剛性曲線上の複数点を直線近似のために抽出したものである。図11にプロットされた各点(理論値)を実用領域の範囲で方向毎に直線近似することにより、近似直線LMCおよびLMABを得る。なお、ピッチング方向(RA方向)とヨーイング方向(RB方向)とに関して、図7に示した剛性線図(モーメント−変位曲線)が略一致していることから、図11の近似直線LMABも一致している。そして、図11に示す剛性線図(直線近似)におけるローリング方向(RC方向)のモーメントMCと変位との関係、および、ピッチング方向(RA方向)のモーメントMAと変位との関係を満たすような(近似直線と略一致するような)距離r1およびr2の組み合わせを決定する。また、4つの仮想バネ40bの中心Oからの移動方向(C方向)の距離r3は、図11に示す剛性線図(直線近似)におけるヨーイング方向(RB方向)のモーメントMBと変位との関係から決定することができる。
【0044】
このようにして、合計8つの仮想バネ40aおよび40bのそれぞれのバネ定数kaおよびkbと、仮想バネ40aおよび40bの配置(点Oからの距離r1、r2およびr3)とを決定する。この結果、得られた仮想バネ40aおよび40bを内蔵する直動軸受2は、図11に示した剛性線図(近似直線)の関係と略一致した剛性を有することになる。つまり、直動軸受2(可動部22a)に対して、たとえばローリング方向(RC方向)にモーメントM1(図11参照)が作用する場合には、仮想バネ40aおよび40bの変形によって、図11における近似直線LMC上の対応する変位D1が発生することになる。
【0045】
以上により、仮想バネ40aおよび40bを設けた直動軸受2を組み込むことにより、直動軸受2の撓み変形に起因する変位の影響を考慮した負荷モデルが構築される。
【0046】
次に、図5のステップS3において、ステップS2で構築された負荷モデルに対して、FEM(有限要素法)による直動軸受2(可動部22a)の撓み(変位)解析を行う。これにより、図12に示すように、剛体とは異なり撓み変形を生じる実際の直動軸受2の撓みが、負荷モデルにおいて仮想バネ40aおよび40bを内蔵した直動軸受2(可動部22a)の変位に置き換えて解析される。なお、図12に示した直動軸受2の状態は、説明のために誇張して図示している。この直動軸受2(可動部22a)の撓み(変位)解析は、少なくともローリング方向(RC方向)について行われる。撓み(変位)解析の結果、仮想バネ40aおよび40bを内蔵する直動軸受2の変位(実際の直動軸受2の撓み)が得られる。
【0047】
次に、ステップS4において、ステップS3で得られた直動軸受2の変位から、直動軸受2に加わる荷重を取得する。すなわち、直動軸受2において、ステップS3で得られた変位(仮想バネ40aおよび40bを内蔵する直動軸受2の変位)が発生する場合に、直動軸受2に作用している荷重の大きさが取得される。具体的には、図6および図7に示した剛性線図を用いて、得られた変位(変位角度)に対応する荷重が取得される。このようにして、実際の直動軸受2において発生する撓み量(変位量)と、そのとき直動軸受2に作用する荷重の大きさとが、実際に測定を行うことなく解析的に取得される。
【0048】
そして、ステップS5において、ステップS2において構築した負荷モデルにより決定される各方向の荷重におけるローリング方向(RC方向)の荷重(モーメント)を、ステップS4で得られた変位(撓み)を考慮した荷重(ローリング方向(RC方向)のモーメントMC)に置き換えて寿命計算を行う。そして、この寿命計算に基づいて、設定した寿命(L10寿命)を得ることが可能な剛性を有する直動軸受2を選定する。以上により、直動軸受2の撓みに起因する変位を考慮して、直動軸受2に作用する荷重に適合する剛性を有する直動軸受2が選定される。
【0049】
上記の選定作業を、図4に示すように、50kg〜200kgクラス、250kg〜400kgクラス、400kg〜600kgクラス、600kg〜900kgクラス、980kg〜1200kgクラスの各クラスについて実施する。すなわち、上記ステップS2において、各クラスの機種(重量)のロボット本体10について、各部の重量および重心位置や、そのロボット本体10の姿勢および塗装作業動作を反映させた負荷モデルをそれぞれ構築するとともに、それぞれの負荷モデルを用いてステップS3〜S5を実施する。この結果、図4に示した相関関係を表すグラフが設定される。
【0050】
以上により、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフが直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して設定される。
【0051】
本実施形態では、上記のように、直動軸受2および3を、直動軸受2および3の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係に基づいて選定することによって、通常の寿命計算では考慮されない直動軸受2(3)の撓みに起因する変位の影響を考慮して、直動軸受2(3)の選定を行うことができる。これにより、ロボット本体10の重量によって発生する直動軸受2(3)の変形(撓みに起因する変位)を考慮してロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を予め設定しておき、この相関関係に基づいて直動軸受2(3)を選定することによって、適切な剛性を有する直動軸受2(3)を選定することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して設計上の寿命(L10寿命)を得ることが可能な予め設定されたロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係に基づいて選定することによって、従来の寿命計算では考慮されない直動軸受2(3)の変形(撓みに起因する変位)の影響により想定よりも大きな荷重が作用する場合にも、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮した上で設計上のL10寿命を満たす直動軸受を選定することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の重量と、ロボット本体10の重量に対応する剛性を有する直動軸受2(3)のサイズとの相関関係に基づいて選定する。ここで、直動軸受2(3)の剛性は直動軸受2(3)のサイズにより決まるので、ロボット本体10の重量と、ロボット本体10の重量に対応する剛性を有する直動軸受2(3)のサイズとの相関関係を予め設定しておくことによって、直動軸受2(3)の選定(サイズの選定)を容易に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲(クラス)と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフに基づいて選定することによって、ロボット本体10のクラスと、クラスに対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフを用いて、ロボット本体10の重量に適合する剛性を有する直動軸受2(3)のサイズを、より容易に決定することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、直動軸受2(3)を、少なくとも可動部22a〜22c(32a〜32c)の移動方向(C方向)を軸とした回転方向であるローリング方向(RC方向)の直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定する。ここで、レール21(31)上を可動部22a〜22c(32a〜32c)が直線移動する直動軸受2(3)では、構造上、ローリング方向にレール21(31)および可動部22a〜22c(32a〜32c)の変形が発生し易いので、少なくともローリング方向の直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された相関関係に基づいて選定することによって、変位が大きいために影響が大きいと考えられるローリング方向の変位を考慮した直動軸受2(3)の選定を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット本体10を、直動軸受2(3)に対して、直動軸受2の可動部22a〜22cの移動方向(C方向)と直交する横方向に向けて突出するように配置されている。このようにロボット本体10を横方向に向けて突出するように配置する構成では、ロボット本体10の重量により、直動軸受2(3)に加わるローリング方向(RC方向)の荷重が特に大きくなるので、ローリング方向の変位を考慮して予め設定されたロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を用いることにより、容易に、適切な剛性を有する直動軸受2(3)を選定することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を、直動軸受2(3)に荷重が作用したときの直動軸受2(3)の変位に基づいて求められた特性(バネ定数kaおよびkbおよび配置r1〜r3)を有する仮想バネ40aおよび40bを直動軸受2(3)に設けた負荷モデルを用いて、ロボット本体10の重量に起因する直動軸受2(3)の変位を考慮して予め設定する。このように構成することによって、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を、直動軸受2(3)に荷重が作用したときの変位に基づいて求められた特性を有する仮想バネ40aおよび40bの撓み変形に置き換えて求めることができる。これにより、通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を容易に求めることができるので、直動軸受2(3)の撓みに起因する変位を考慮したロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、負荷モデルの仮想バネ40aおよび40bを、直動軸受2(3)に作用する荷重と、荷重が作用したときの直動軸受2(3)の変位との関係を直線近似(LMC、LMAB、図11参照)した特性(バネ定数kaおよびkbおよび配置(距離r1〜r3))を有するように設定する。これにより、直動軸受2(3)に作用する荷重と変位との関係を実用領域を直線近似することによって、容易に、直動軸受2(3)に荷重が作用したときの変位を反映する特性(バネ定数kaおよびkbおよび配置(距離r1〜r3))を得ることができる。これにより、仮想バネ40aおよび40bを用いた負荷モデルに基づくロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係の設定を容易に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を、負荷モデルを用いて直動軸受2(3)の変位を考慮した場合に直動軸受2(3)に作用する荷重を取得するとともに、取得した荷重を用いた寿命計算によってロボット本体10の重量に適合する剛性を有する直動軸受2(3)を選定することにより、予め設定する。このように構成することによって、通常の選定(寿命計算)において考慮されない直動軸受2(3)の変位を考慮した場合の荷重を、負荷モデルを用いて容易に取得することができる。その結果、直動軸受2(3)の変位を考慮した場合の荷重を用いた寿命計算によって、直動軸受2(3)の変位を考慮したロボット本体10の重量と直動軸受2(3)の剛性との相関関係を容易に得ることができる。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、本発明を塗装ロボット100に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、直動軸受を備えたロボットシステムであれば、塗装ロボット100以外の他のロボットシステムに適用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、レール21と係合する可動部22a〜22cを上面が水平となるように配置し、レール31と係合する可動部32a〜32cを上面が垂直になるように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受はどのように配置されていてもよい。したがって、可動部22a〜22cおよび32a〜32cを全て上面が水平となるように配置してもよいし、可動部22a〜22cおよび32a〜32cを全て上面が垂直となるように配置してもよい。また、レールを1本または3本以上設けて、それぞれ1または複数の可動部を配置してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、6軸(6自由度)のロボットアーム11を有するロボット本体10を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット本体10は、たとえば7軸(7自由度)以上のロボットアームを有していてもよいし、5軸(5自由度)以下のロボットアームを有していてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、直動軸受2および3を、走行台車20を介してロボット本体10を直線移動可能に支持するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、走行台車を介さずに、直動軸受が直接ロボット本体を直線移動可能に支持するように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、走行台車20に直動軸受2および3の可動部を合計6つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受の可動部を5つ以下または7つ以上設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、直動軸受2(可動部22a)の撓み(変位)解析を、少なくともローリング方向(RC方向)について行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ローリング方向に加えて、さらにヨーイング方向(RB方向)と、ピッチング方向(RA方向)とについての撓み(変位)解析を行ってもよい。また、さらにラジアル方向(矢印B2方向)および逆ラジアル方向(矢印B1方向)と、横方向(A方向)とについての撓み(変位)解析を行ってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲(クラス)と、重量の範囲に対応する直動軸受2(3)のサイズの範囲との相関関係を表すグラフを予め設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット本体10の機種毎の重量の範囲と、対応する直動軸受2(3)の剛性の範囲との相関関係を表すグラフを予め設定してもよい。また、本発明では、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定すればよく、その相関関係の表現形式は、グラフ以外の一覧表や、相関関係を示す数式などであってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、仮想バネ40aおよび40bを直動軸受2(3)に内蔵した負荷モデルを用いてロボット本体10の重量と直動軸受2および3の剛性との相関関係を設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受の撓みに起因する変位を考慮してロボット本体の重量と直動軸受の剛性との相関関係を予め設定すれば、その相関関係をどのような方法で設定してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、8つの仮想バネ40aおよび40bの特性(バネ定数ka、kbおよびバネの配置(距離r1〜r3))を、直動軸受2(3)の剛性線図における荷重と変位との関係を直線近似した特性とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動軸受の剛性線図を直線近似することなく、仮想バネの特性を直動軸受の剛性線図と略一致する特性となるように設定してもよい。また、仮想バネの特性を、直線近似以外の他の方法によって近似した特性として設定してもよい。
【符号の説明】
【0070】
2、3 直動軸受
10 ロボット本体
21、31 レール(案内レール)
22a、22b、22c、32a、32b、32c 可動部
40a、40b 仮想バネ(仮想的なバネ)
100 塗装ロボット(ロボットシステム)
A方向 直動軸受の横方向
B方向 直動軸受の上下方向
C方向 直動軸受の可動部の移動方向
RA方向 ピッチング方向
RB方向 ヨーイング方向
RC方向 ローリング方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット本体と、
前記ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受とを備え、
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている、ロボットシステム。
【請求項2】
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して所定の寿命を得ることが可能な予め設定された前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、前記ロボット本体の重量と、前記ロボット本体の重量に対応する剛性を有する前記直動軸受のサイズとの相関関係に基づいて選定されている、請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、前記ロボット本体の機種毎の重量の範囲と、前記重量の範囲に対応する前記直動軸受のサイズの範囲との相関関係を表すグラフに基づいて選定されている、請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記直動軸受は、案内レールと前記案内レールに直線移動可能に係合する可動部とを含み、
前記直動軸受は、少なくとも前記可動部の移動方向を軸とした回転方向であるローリング方向の前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された前記相関関係に基づいて選定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボット本体は、前記直動軸受に対して、前記直動軸受の可動部の移動方向と直交する横方向に向けて突出するように配置されている、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係は、前記直動軸受に荷重が作用したときの前記直動軸受の変位に基づいて求められた特性を有する仮想的なバネを前記直動軸受に設けた負荷モデルを用いて、前記ロボット本体の重量に起因する前記直動軸受の変位を考慮して予め設定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記負荷モデルの前記仮想的なバネは、前記直動軸受に作用する荷重と、前記荷重が作用したときの前記直動軸受の変位との関係を直線近似した特性を有する、請求項7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係は、前記負荷モデルを用いて、前記直動軸受の変位を考慮した場合に前記直動軸受に作用する荷重を取得するとともに、取得した前記直動軸受に作用する荷重を用いた寿命計算によって前記ロボット本体の重量に適合する剛性を有する前記直動軸受を選定することにより、予め設定されている、請求項7または8に記載のロボットシステム。
【請求項1】
ロボット本体と、
前記ロボット本体を直線移動可能に支持する直動軸受とを備え、
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている、ロボットシステム。
【請求項2】
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して所定の寿命を得ることが可能な予め設定された前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係に基づいて選定されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、前記ロボット本体の重量と、前記ロボット本体の重量に対応する剛性を有する前記直動軸受のサイズとの相関関係に基づいて選定されている、請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記直動軸受は、前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された、前記ロボット本体の機種毎の重量の範囲と、前記重量の範囲に対応する前記直動軸受のサイズの範囲との相関関係を表すグラフに基づいて選定されている、請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記直動軸受は、案内レールと前記案内レールに直線移動可能に係合する可動部とを含み、
前記直動軸受は、少なくとも前記可動部の移動方向を軸とした回転方向であるローリング方向の前記直動軸受の撓みに起因する変位を考慮して予め設定された前記相関関係に基づいて選定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボット本体は、前記直動軸受に対して、前記直動軸受の可動部の移動方向と直交する横方向に向けて突出するように配置されている、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係は、前記直動軸受に荷重が作用したときの前記直動軸受の変位に基づいて求められた特性を有する仮想的なバネを前記直動軸受に設けた負荷モデルを用いて、前記ロボット本体の重量に起因する前記直動軸受の変位を考慮して予め設定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記負荷モデルの前記仮想的なバネは、前記直動軸受に作用する荷重と、前記荷重が作用したときの前記直動軸受の変位との関係を直線近似した特性を有する、請求項7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記ロボット本体の重量と前記直動軸受の剛性との相関関係は、前記負荷モデルを用いて、前記直動軸受の変位を考慮した場合に前記直動軸受に作用する荷重を取得するとともに、取得した前記直動軸受に作用する荷重を用いた寿命計算によって前記ロボット本体の重量に適合する剛性を有する前記直動軸受を選定することにより、予め設定されている、請求項7または8に記載のロボットシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−681(P2012−681A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134680(P2010−134680)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
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