説明

ローションの高い転移性を有するティッシュ・ペーパー

ティッシュ・ペーパー及びティッシュ・ペーパーから製造される製品、例えばペーパー・ハンカチーフ、フェイシャル・ティッシュ・ペーパー、トイレットペーパー及び化粧用ティッシュ・ペーパー、いずれかの種類のティッシュ・ペーパー拭き取り用品など。本発明は、ローションの高い転移性を有する、滑らかな及び吸収性のローション付きティッシュ・ペーパーを製造するための方法の両方を記載する。この方法の工程は、(a)少なくとも1つの回転面を含むローション付与装置に隣接して連続的に走行するティッシュ・ペーパーウェブを準備する工程、(b)前記ローションを1つの回転面上に転移する工程、(c)主として前記回転面の回転の遠心力により前記ローションを前記回転面からローション液滴の流れの中に放出する工程、(d)前記ローション液滴の流れにより前記ティッシュ・ペーパーを捕捉する工程を含む。本発明はまた、その表面に不連続な付着物として分配されるローションを含むティッシュ・ペーパーを記載する。付着物は、ローションの高い局所濃度を有し、ティッシュ・ペーパーの相対的に小さい面積を覆う。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はティッシュ・ペーパー、並びにティッシュ・ペーパーから製造される製品、例えばキッチン用ペーパータオル、トイレットペーパー、フェイシャル・ティッシュ・ペーパー、及び使い捨てハンカチーフ、並びにティッシュ・ペーパーの表面にローションを付着するための方法に関する。とりわけ、本発明は、その表面に特有の分布を有するローションを含むティッシュ・ペーパー、及びローションをティッシュ・ペーパーに付着するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペーパー・ウェブ若しくはペーパー・シート、ティッシュ・ペーパー、ティッシュ・レイヤー、ペーパー・プライ、又はティッシュ・ペーパー・ウェブと呼ばれることもあるティッシュ・ペーパー、及びそれらから製造される製品、例えば、ペーパー・ハンカチーフ、ペーパーキッチンタオル、又はトイレットペーパー(bath tissue)、トイレットペーパー(toilet paper)、又はフェイシャル・ティッシュ・ペーパーは、現代社会において広範な用途が見出されており、当該技術分野において周知である。ティッシュ・ペーパーは、一般に、濡れた状態のセルロース繊維を網の上に重ねて層を形成させ、様々な添加剤又は他の成分を添加した後、乾燥工程を実施することによって製造される。前述した抄紙工程前、抄紙工程中、又は抄紙工程後の他のプロセス工程は、ティッシュ・ペーパーに所望の特性を与えることを目的とする。加工工程は、ティッシュ・ペーパー(類)から最終製品を作り出すことを目的とし、例えばエンボス加工、ローション付与、印刷、結合、切断、穿孔、又は折り畳みを包含することができる。
【0003】
比較的厚く、しかも柔らかい使い捨てペーパー製品、即ちペーパー・ハンカチーフの形態をした製品が知られている。例えば、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)により販売されるテンポ(Tempo)(商標)は、厚くて柔らかいとされ、約0.3mmのキャリパーを有する多プライ・ペーパー製品である。高いキャリパーは、高度の乾燥及び湿潤強度の観念を消費者に伝える。湿潤破裂強度とも呼ばれる湿潤強度が高いと、特に引裂又は破裂が防止され、ペーパー・ハンカチーフの場合、そのことが次にはユーザーの手が粘液又は他の体液で汚染されるのを防ぐことになる。
【0004】
ティッシュ・ペーパー表面の滑らかさを向上させる一般的なやり方は、材料をカレンダー処理することである。ハンカチーフのようなティッシュ・ペーパー製品のユーザーに知覚される滑らかさの感覚を改善する別のやり方は、抄紙段階の間及び/又は加工段階の間にティッシュ・ペーパーの組成物を幾つかの添加剤により補うことである。あるいは又は更には、幾つかの添加剤は、例えば皮膚を滑らかにすること又は皮膚への水分補給など、ティッシュ・ペーパー製品に触れる又は使用するユーザーの皮膚に効果がある。滑らかにするローション(本明細書においては、ローション、柔軟化剤、又は柔軟化組成物とも呼ばれる)は、(a)ティッシュ・ペーパー材料に柔軟化効果がある添加剤、(b)好ましくは、皮膚に効果がある添加剤、及び(c)使用中にユーザーの皮膚に部分的に転移される添加剤を表す総称である。滑らかにするローションを、ティッシュ・ペーパー製品の(製造の抄紙段階とは対照的に)製造の加工段階において未加工のティッシュ・ペーパー表面に付与することは、通常の工業的手法である。通常は、ローションはティッシュ・ペーパーの外側表面に付与されるが、内側表面にも付与できる。ローションについての一般知識及び一般的な付与方法は、多数の公報に見出すことができる。それらの中で、次のもの:米国特許第5,525,345号、EP0806157、及びPCT国際公開特許WO02/066740が特に関連性がある。PCT国際公開特許WO98/29605(ビンソン(Vinson)ら)は、ティッシュ・ペーパーが送達する感触の利益を高める構成での、均一な表面に離散された付着物による、滑らかにするローションのティッシュ・ペーパー上への付与を記載する。PCT国際公開特許WO97/48854(トロカーン(Trokhan)ら)では、ティッシュ・ペーパーの特有の形態(即ち、隆起)が、ローションの特有の付与(例えば、前記隆起に)と組み合わされて、ティッシュ・ペーパーの柔らかさを高めて異なる特性を有するティッシュ・ペーパー領域を作り出せることを記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
滑らかにするローションは、通常は疎水性の性質であるか又は疎水性化合物を含有するため、ティッシュ・ペーパーの表面におけるローションの存在は、ティッシュ・ペーパーの特性に対して悪影響を有する可能性がある。第1に、疎水性ローションにより親水性ティッシュ・ペーパー表面を遮蔽することは、ティッシュ・ペーパーの吸収力又は吸収速度を低減する可能性がある。第2に、ローションは、ティッシュ・ペーパー構造体を通ってティッシュ・ペーパー表面から移動し、ティッシュ・ペーパーをより親水性でないようにし、滑らかにする利益を皮膚に送達する表面でのローションの利用可能性をより低くする可能性がある。時間の経過によるローションのその予想される移動に対処する伝統的なやり方は、長時間の貯蔵の後でさえも、ティッシュ・ペーパー表面上のローションのある程度の利用可能性を保証するために相対的に多量のローションを用いることである。しかしながら、これは新しく製造されたティッシュ・ペーパーに過剰のローションを付与する可能性があり、否定的な脂っぽい感触を使用中に引き起こす可能性がある(及びティッシュ・ペーパーの吸収力を更に低減させる)。第3に、繊維をコーティングするローションは、使用中にティッシュ・ペーパーにより放出されにくく、ひいてはユーザーの皮膚にそれほど転移されやすくない。これは、ローション原材料の価格が相対的に高いため、経済的に不利である可能性がある。
【0006】
それ故に、ティッシュ・ペーパー表面で利用可能な相対的に多量のローション、及びティッシュ・ペーパー又はティッシュ・ペーパー製品の内部構造体の相対的に少量のローションを好ましくは同時に示すとともに、高い吸収力及びユーザーの皮膚へのローションの高い転移性を保持するためのティッシュ・ペーパー全体としての低い疎水性、並びにティッシュ・ペーパーの中/上の相対的に少ないローション総量を示す、ティッシュ・ペーパーを提供することへの要求がある。
【0007】
また、1つの改善が他方に対して有害であることなしに、ティッシュ・ペーパーの滑らかにする利益の改善、ティッシュ・ペーパーの吸収力の改善、及びローションのユーザーの皮膚への転移性の改善についての要求も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
先行技術の不利点に対処するため、本発明はローションをティッシュ・ペーパーに付与する方法を提供し、この方法は、少なくとも1つの回転面を包含するローション付与装置に隣接して連続的に走行するティッシュ・ペーパー・ウェブを準備する工程、前記ローションを1つの回転面上に転移する工程、主として前記回転面の回転の遠心力により前記ローションを前記回転面からローション液滴の流れの中に放出する工程、選択肢として、任意に、所望の付与の幅に適合するように調節された調節可能フラップにより、液滴の流れが放出される角度を任意に低減する工程、前記ローション液滴の流れを前記ティッシュ・ペーパーにより捕捉する工程、並びに任意に、前記ティッシュ・ペーパーにより捕捉されなかったローションを収集し、前記収集されたローションをリサイクルする工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、高レベルの表面の滑らかさ及び柔らかさ、高い吸収力、高い強度、並びに高い嵩高さを示すティッシュ・ペーパーを提供する。これら一見して矛盾するように思われる特徴が、本発明の構想に従うことによって兼ね備えられた。
【0010】
「ローション」は、ティッシュ・ペーパーに、その柔らかさ/滑らかさを改善するために、及び好ましくは皮膚に滑らかにする効果をもたらすために、好ましくは加工段階において添加される組成物である。幾つかのローションは、ティッシュ・ペーパー物品の使用時に、ティッシュ・ペーパーからユーザーの皮膚に、転移することができる。ローションは、あるいは、滑らかにする又は柔軟にするローション若しくは組成物と呼ぶこともできる。ローションは、柔軟化/結合抑制剤、皮膚軟化剤、固定剤、及びこれらの混合物を含んでもよい。好適な柔軟化/結合抑制剤には、第四級アンモニウム化合物、ポリシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な皮膚軟化剤には、プロピレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、鯨蝋又はその他のワックス、ペトロラタム脂肪酸、脂肪族アルコール、及び12〜28個の炭素原子をそれらの脂肪酸鎖に有する脂肪族アルコールエーテル、鉱油、即ちシリコーンオイル、例えばジメチコン及びイソプロピルパルミテート(isopropyl palmitrat)、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な固定剤には、ワックス、脂肪族アルコール、脂肪酸、例えばセレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、石油ワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス、パラフィンワックス、ステアリルアルコール、及びパラフィン、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、並びにこれらの混合物が挙げられる。ほとんどの場合、ローションは少なくとも1つの固定剤及び皮膚軟化剤を含有する。ローションは、乳濁液又は分散液であることができる。他の任意構成成分には、香料、抗菌活性物質、抗ウイルス活性物質、消毒剤、薬剤活性物質、皮膜形成剤、防臭剤、不透明化剤、収れん剤、溶媒などが挙げられる。ローション構成成分の特有の例には、カンファー、チモール、メントール、カモミール抽出物、アロエベラ、キンセンカが挙げられる。
【0011】
用語「ペーパー・ティッシュ」、「ペーパー・ティッシュ・ウェブ」、「ティッシュ・ウェブ」、「ティッシュ・ペーパー」、「ペーパー」、及び「ウェブ」は本明細書において同義的に用いられる。本発明は、一般にティッシュ・ペーパーに関して有用であり、これには従来のフェルト圧縮ティッシュ・ペーパー、嵩高パターン高密化ティッシュ・ペーパー、及び嵩高非圧縮ティッシュ・ペーパー、及び通気乾燥ペーパーが挙げられるが、これらに限定されない。ティッシュ・ペーパーは、均質又は多層の構成であることができ;及びそれらから製造されたティッシュ・ペーパー製品は、単プライ又は多プライの構成であることができる。ティッシュ・ペーパーは、好ましくは約10g/m2〜約65g/m2の坪量、及び約0.6g/cc以下の密度を有する。より好ましくは、坪量は約40g/m2以下であり、密度は約0.3g/cc以下である。どのようにしてティッシュ・ペーパーの密度を測定するかについて記載する米国特許第5,059,282号(アンパルスキー(Ampulski)ら、1991年10月22日発行)の第13欄61〜67行を参照のこと。(特に指定のない限り、ペーパーに関連するすべての量及び重量は、乾燥基準である)本発明に使用される抄紙繊維には、普通は、木材パルプに由来する繊維が挙げられる。綿リンター、バガスなど他のセルロース繊維性パルプ繊維を使用することができ、これらは本発明の範囲内にあるものとする。デンプン及びその他の多糖類を包含するもののような非セルロース繊維。レーヨン繊維、ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維のような合成繊維もまた、単独で又は天然セルロース繊維と組み合わせて使用することができる。利用可能な1つの代表的なポリエチレン繊維は、ハーキュレス社(Hercules,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能なパルペックス(Pulpex)(登録商標)である。利用可能な木材パルプには、クラフト(Kraft)パルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、並びに例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプを包含するメカニカルパルプが挙げられる。抄紙繊維に加えて、ティッシュ・ペーパー構造体を製造するために用いられる抄紙完成紙料も、それらに添加される、当該技術分野において既知であり得る又は後に既知となり得るその他の構成成分又は材料を有することができる。望ましい添加剤の種類は、企図されるティッシュ・ペーパー・シートの特有の最終用途に依存する。例えば、トイレットペーパー、ペーパータオル、フェイシャル・ティッシュ・ペーパー、及びその他の同様な製品などの製品では、高い湿潤強度が望ましい属性である。したがって、抄紙完成紙料に、当該技術分野において「湿潤強度」樹脂として既知の化学物質を添加することは多くの場合望ましい。
【0012】
本発明のティッシュ・ペーパーは、材料の単一層から形成することもできるし、又は多層のティッシュ・ペーパー・ウェブであることもできる。用語「多層のティッシュ・ペーパー・ウェブ、多層ペーパー・ウェブ、多層ウェブ、多層ペーパー・シート、及び多層ペーパー製品」はすべて、異なる繊維の種類から好ましくは構成される、水性抄紙完成紙料の2以上の層から調製されるペーパーのシートを指すために、当該技術分野において同義的に用いられ、この繊維は典型的には、ティッシュ・ペーパーの抄紙において用いられるような相対的に長い針葉樹繊維及び相対的に短い広葉樹繊維である。層は、無数の小孔のある1以上の表面に、希釈された繊維スラリーの別個の流れの付着から好ましくは形成される。層が、初めに別個の小孔のある表面に形成される場合、層はその後濡れている時に組み合わされて、多層のティッシュ・ペーパー・ウェブを形成することができる。
【0013】
本発明の「ティッシュ・ペーパー製品」は、上記のティッシュ・ペーパーの1又は複数のプライから製造されたキッチンタオル又はペーパー・ハンカチーフのような最終製品である。多プライ・ペーパー製品の各プライは、様々な材料から製造されること、又は抄紙若しくは加工工程において様々なやり方で製造されることができる。本明細書で使用する時、用語「単プライ・ティッシュ・ペーパー製品」は、それが、ティッシュ・ペーパーの1つのプライから構成されることを意味し;そのプライは事実上実質的に均質であるか、又はそれは多層のティッシュ・ペーパー・ウェブであることができる。本明細書で使用する時、用語「多プライ・ティッシュ・ペーパー製品」は、それが、1を超えるティッシュ・ペーパーのプライから構成されることを意味する。多プライ・ティッシュ・ペーパー製品のプライは、事実上実質的に均質であること、又はそれは多層のティッシュ・ペーパー・ウェブであることができる。
【0014】
「ローションの付着物」(又は「付着物」)は、相対的に高いローションの坪量のエリアである。付着物は、少なくとも10g/平方メートルのローションの局所坪量を有する、ローション付きティッシュ・ペーパーのエリアとして定義される。より低い局所坪量を有するティッシュ・ペーパーのエリアは、付着物の一部ではない。ティッシュ・ペーパーの局所坪量は、この後に記載されるように測定される。
【0015】
「付着物のローションの坪量」は、グラム毎平方メートルにより表される、ティッシュ・ペーパーのローションの付着物内でのローションの濃度である。これは付着物のエリア、及び付着物内でのローションの量のみを考慮に入れる。これは測定される付着物の平均値である。付着物の坪量は、この後に記載される方法により測定される。
【0016】
「ティッシュ・ペーパーのローションの坪量」は、グラム毎平方メートルにより表される、ティッシュ・ペーパーのローションの全体的な濃度である(合計又は全体坪量又は濃度とも呼ばれる)。坪量は、いずれかの標準的方法、例えば溶媒抽出により測定すること、又はプロセス条件から推論することができる(ティッシュ・ペーパーの総面積で割ったティッシュ・ペーパーに付着されたローションの量)。
【0017】
「付着物のサイズ」は、この後に記載される方法により測定される時、ティッシュ・ペーパーのローションの付着物の平均サイズである。
【0018】
「ローションにより影響を受けるティッシュ・ペーパーのエリア」は、本明細書に記載される方法により決定される時、3g/平方メートルを超えるローションの局所坪量を有するエリアである。
【0019】
上記のように、ティッシュ・ペーパーのユーザーの皮膚に容易に転移することができるローションを含む、滑らかなティッシュ・ペーパーを提供することは望ましい。本発明によると、ティッシュ・ペーパーのローションの分配を多数の離散された付着物として選択することで、ティッシュ・ペーパーからユーザーの皮膚上へのローションの転移性を高めることができる。ローションの局所濃度(=坪量)が高ければ高いほど、使用時にユーザーの皮膚に転移する能力(転移性)は高くなる。実際、離散された付着物におけるローションの相対的に高い局所濃度により、相対的に少量のローションが、ティッシュ・ペーパー繊維に「結合され」(繊維コーティング)、ひいては相対的により多くのローションが、転移可能となる。
【0020】
ティッシュ・ペーパーのローションの相対的に高い合計坪量により、ローションの高濃度を有する付着物を相対的に容易に得ることができる。しかしながら幾つかの態様では、本発明は、不連続な付着物としてのティッシュ・ペーパーのローションの分配について、付着物内のローションの相対的に高い局所濃度(=付着物のローションの坪量)、及びティッシュ・ペーパー内のローションの相対的に低い合計坪量の両方を可能にする。本発明の幾つかの実施形態では、付着物内のローションの坪量は、少なくとも11g/平方メートル、13g/平方メートル、15g/平方メートル、17g/平方メートル、20g/平方メートル、25g/平方メートルであるか、又は30g/平方メートルを超える。またティッシュ・ペーパーのローションの合計坪量は、9g/平方メートル以下、6g/平方メートル未満、4.5g/平方メートル未満、3.0g/平方メートル未満、又は2g/平方メートル未満である。
【0021】
幾つかの実施形態では、ティッシュ・ペーパーのローションの合計坪量に対する付着物のローションの坪量の比R3が考察され得る。
【0022】
【数1】

幾つかの実施形態では、R3は、少なくとも5、7、10、15、又は20である。
【0023】
前述したように、相対的に大きな面積の「自由吸収空間」、即ちローションのないティッシュ・ペーパーの面積を提供することはまた望ましいことが見出された。ローションは、事実上一般に疎水性であり、及びローションが付着される局所エリアのティッシュ・ペーパーの吸収力を低減する傾向がある。あるいは、相対的に親水性のローション(例えば、エマルション)は、ティッシュ・ペーパーの局所飽和を提供し、ひいてはローションが存在する場所の残りの吸収を低減する可能性がある。それ故に、付着物の集積面積が小さくなればなるほど、ティッシュ・ペーパーの吸収力は高くなる。幾つかの態様では、本発明は、相対的に小さい付着物を提供する(それらはまた好ましくはローション濃度が相対的に高く、ローションの影響を受けない面積が相対的に大きい。
【0024】
小さいサイズの付着物は、ティッシュ・ペーパーのローションの低い合計坪量を相対的に得やすい可能性がある。しかしながら本発明は、相対的に小さい付着物及びティッシュ・ペーパーのローションの相対的に高い合計坪量の両方を提供する。
【0025】
幾つかの実施形態では、付着物のサイズ(面積)は、本明細書の中に記載される方法により決定される時、
比Rが考察され得る。Rは:
【0026】
【数2】

として定義される。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態のように、Rは0.15平方メートル/g未満、0.13平方メートル/g未満、0.10平方メートル/g未満、0.08平方メートル/g未満、又は0.05平方メートル/g未満である。
【0028】
特定の実施形態では、ティッシュ・ペーパーのローションの合計坪量は、少なくとも0.3g/平方メートル、0.6g/平方メートル、1.0g/平方メートル、1.5g/平方メートル、又は2.5g/平方メートルである。幾つかの実施形態では、付着物及びティッシュ・ペーパーのローションの絶対量が考察され得る。比R2は、その点に関して:
【0029】
【数3】

と定義される。
【0030】
これらの実施形態では、R2は、少なくとも0.02、0.05、0.1、0.2、0.4であるか、又は0.8を超える。
【0031】
幾つかの実施形態では、本発明は、ティッシュ・ペーパーの「開放面積」(=ローションにより影響を受けない/覆われない面積)の比率に関する。R4
【0032】
【数4】

として定義される。
【0033】
こうした比R4は、0.4未満、0.3未満、0.2未満、0.15未満、又は0.1未満であり得ることが見出された。
【0034】
幾つかの実施形態では、本発明は、付着物により覆われる、即ち、少なくとも0.005平方ミリメートル、0.01平方ミリメートル、0.025平方ミリメートルより大きいか、又は0.03平方ミリメートル〜3平方ミリメートルのサイズの付着物により覆われる、総面積の百分率P1に関する。この百分率P1は、好ましくは20%より大きく、50%より大きく、70%より大きく、及び85%より大きいことが見出された。
【0035】
幾つかの実施形態では、本発明は、多プライ・ティッシュ・ペーパー製品に関する。多プライ・ティッシュ・ペーパー製品が2つのプライを含む場合、少なくとも1つの外部表面(外側に向いた表面)は、その対応する内部表面(内側に向いた表面)より多くのローションを有することが望ましいことが見出された。これは、電子顕微鏡検査を走査することにより決定できる。多プライ・ティッシュ・ペーパー製品が、少なくとも3つのプライを有する場合、外側のプライの1つに、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のローションが位置付けられる時、ローションの転移性は好適であることが見出された。実際に、内部プライ(類)の上に存在するローションは、ユーザーの皮膚へのローションの転移について、それほど貢献しない。
【0036】
ローション:
本明細書に記載されるように、本発明は、滑らかにするローションについて特に重点的に取り組んでいる。いずれの種類の添加剤又は化合物も、物理的特性(例えば、融点、粘度)及び付与温度が、ティッシュ・ペーパーの表面において付与される添加剤又は化合物の所望の分配パターンを得るために調節される限り、記載されるプロセスにより付与できることに注意するべきである。これらの添加剤又は化合物品には:水分補給ローション、石鹸、保湿剤、日差しよけ、メークアップ除去成分、老化防止、消毒剤、又は美容及び治療分野においてより一般的な添加剤/化合物、洗剤、石鹸、ワックス、洗浄添加剤、並びに物体、表面又は機械的部品の洗浄、保守、保護、及び処理のためのより一般的な化合物を挙げることができる。
【0037】
ローションは、ほとんどの場合、異質の組成物である。それらは、固体、結晶性ゲル構造体、ガラス点未満のポリマー材料、多数の相(例えば、油相及び水相)、及び/又は乳化構成成分を含有してもよい。ローションの溶融温度を正確に決定することは困難である場合がある。即ち、液体形態、疑似液体形態、擬似固体形態、及び固体形態の間の転移温度を決定することは困難である場合がある。用語、溶融温度、融点、転移点、及び転移温度は本明細書において同義的に用いられ、同じ意味を有する。
【0038】
本発明の目的のために、溶融温度は、ローションの形態又は状態(液体、固体、擬似液体、擬似固体)の定義に関係するだけでなく、そのレオロジー的特性にも関係することが考察される。本発明の目的のために、液体又は擬似液体ローションは、例えば付与のプロセスの間に遭遇する力のもとで、流動、移動、及び転移可能であることが定義される。固体又は擬似固体ローションは、自由に流動することができず、それらの位置に幾分かは固定される。例えば、ローションは、それが回転面上に供給され、用いられるプロセス条件のもとでそこから放出され得る場合には、液体又は擬似液体と言われる。ローションは、室温、即ち23℃で、製品が通常用いられるまでに、ローションがティッシュ・ペーパーの表面から内部構造体に、顕著に自由に移動しない場合には、固体又は半固体と言われる。
【0039】
ローションは、表面処理剤を含んでもよい。ローションに包含されてもよい好適な表面処理剤の非限定例は:ポリエチレン及びその誘導体のようなポリマー、炭化水素、ワックス、油、シリコーン(ポリシロキサン)、第四級アンモニウム化合物、フッ化炭素、置換C10〜C22アルカン、置換C10〜C22アルケン、特に脂肪族アルコール及び脂肪酸の誘導体(例えば、脂肪酸アミド、脂肪酸縮合物、及び脂肪族アルコール縮合物)、ポリオール、ポリオール誘導体(例えば、エステル及びエーテル)、糖誘導体(例えば、エーテル及びエステル)、ポリグリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、並びにこれらの混合物から成る群から選択され得る。
【0040】
ローションは、油及び/又は皮膚軟化剤及び/又はワックス(これらのいずれか及びすべては転移性剤であってもよい)及び/又は固定剤を含んでもよい。1つの例では、ローションは、約10%〜約90%の油及び/若しくは液体皮膚軟化剤、並びに約10%〜約50%の固定剤、並びに/又は約0%〜約60%のペトロラタム、並びに任意にビヒクルの残部を含む。
【0041】
ローションは、異質であってもよい。それらは、固体、ゲル構造体、ポリマー材料、多数の相(例えば油相及び水相)、及び/又は乳化構成成分を含有してもよい。ローションの溶融温度を正確に決定することは困難である場合がある。即ち、液体形態、疑似液体形態、擬似固体形態、及び固体形態の間の転移温度を決定することは困難である場合がある。用語、溶融温度、融点、転移点、及び転移温度は本明細書において同義的に用いられ、同じ意味を有する。
【0042】
ローションは、高粘度の半固体であってもよく、そのためそれらは製品又はゲル構造体の寿命の間に活性化されずには実質的に流動しない。
【0043】
ローションは、シアシニング(shear thinning)であってもよく、及び/又はそれらは皮膚温度付近でそれらの粘度を大きく変更して、ユーザーの皮膚での転移及び容易な拡散を可能にしてもよい。
【0044】
ローションは、乳濁液及び/又は分散液の形態であってもよい。
【0045】
ローションの1つの例では、ローションは、約20%未満、及び/又は10%未満、及び/又は約5%未満、又は約0.5%未満の水分含有量を有する。
【0046】
別の例では、ローションは、少なくとも約15%、及び/又は少なくとも約25%、及び/又は少なくとも約30%、及び/又は少なくとも約40%から約100%まで、及び/又は約95%まで、及び/又は約90%まで、及び/又は約80%までの固形成分含有量を有してもよい。
【0047】
好適な油及び/又は皮膚軟化剤の非限定例には、グリコール(例えば、プロピレングリコール及び/又はグリセリン)、ポリグリコール(例えば、トリエチレングリコール)、ペトロラタム、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アルコールエステル及び脂肪族アルコールエーテル、脂肪酸エトキシレート、脂肪酸アミド及び脂肪酸エステル、炭化水素油(例えば、鉱油)、スクアラン、フッ素化皮膚軟化剤、シリコーンオイル(例えば、ジメチコン)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
固定剤には、皮膚軟化剤がティッシュ・ペーパー及び/若しくは衛生ティッシュ・ペーパー製品の表面、並びに/又はティッシュ・ペーパー及び/若しくは衛生ティッシュ・ペーパー製品の表面の表面処理組成物に主として残留して、ローションのユーザーの皮膚への転移を促進するように、皮膚軟化剤のティッシュ・ペーパーへの移動を妨げてもよい剤が挙げられる。固定剤は、粘度増加剤及び/又はゲル化剤として機能してもよい。
【0049】
好適な固定剤の非限定例には、ワックス(例えば、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、石油ワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス、シリコーンワックス、パラフィンワックス)、脂肪族アルコール(例えば、セチル及び/又はステアリルアルコール)、脂肪酸及びそれらの塩(例えば、ステアリン酸の金属塩)、モノ及びポリヒドロキシ脂肪酸エステル、モノ及びポリヒドロキシ脂肪酸アミド、シリカ及びシリカ誘導体、ゲル化剤、増粘剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
1つの例では、ローションは、少なくとも1つの固定剤及び少なくとも1つの皮膚軟化剤を含む。
【0051】
1つの例では、ローションは、脂肪酸のスクロースエステルを含む。
【0052】
ローションは転移性剤を含んでもよく、ひいては転移性ローションであるとみなされてもよい。転移性ローションは、使用時にユーザーの皮膚のような相対する表面に転移され得る少なくとも1つの転移性剤を含む。1つの例では、ユーザー接触面に存在する転移性ローションの少なくとも0.1%が、使用中にユーザーの皮膚に転移する。使用中にユーザーの皮膚に転移する転移性組成物の量は、ユーザーによるティッシュ・ペーパー及び/又は衛生ティッシュ・ペーパー製品の使用後に、3Mから入手可能なテガダーム・テープ(Tegaderm Tapes)を用いて、皮膚を3回テープストリッピングし、及び転移性組成物について、又は転移性組成物のすべての構成成分は等しく転移すると仮定して転移性組成物中の構成成分についてテープを分析することによるなど既知の方法により決定することができる。
【0053】
ローションに包含されてもよいその他の任意構成成分には、ビヒクル、香料、特に長持ちする及び/又は長続きする香料、抗菌活性物質、抗ウイルス活性物質、消毒剤、薬剤活性物質、皮膜形成剤、防臭剤、不透明化剤、収れん剤、溶媒、冷感剤などが挙げられる。ローション構成成分の特有の例には、カンファー、チモール、メントール、カモミール抽出物、アロエベラ、キンセンカ、α−ビサボロール(bisalbolol)、ビタミンE、ビタミンEアセテートが挙げられる。
【0054】
1つの例では、ローションは、ティッシュ・ペーパー及び/若しくは衛生ティッシュ・ペーパー製品の表面、並びに/又はティッシュ・ペーパー及び/若しくは衛生ティッシュ・ペーパー製品の表面に存在する表面処理組成物に、ユーザー接触面当たり、少なくとも約0.5g/m2、及び/又は少なくとも約1.0g/m2、及び/又は少なくとも約1.5g/m2の濃度で存在する。別の例では、ローションは、ティッシュ・ペーパー及び/若しくは衛生ティッシュ・ペーパー製品の表面、並びに/又はティッシュ・ペーパー及び/若しくは衛生ティッシュ・ペーパー製品の表面に存在する表面処理組成物に、ユーザー接触面当たり、約0.5g/m2から、及び/又は約1.0g/m2から、及び/又は約1.5g/m2から約10g/m2まで、及び/又は約8g/m2まで、及び/又は約6g/m2までの濃度で存在する。
【0055】
本明細書で使用する時、「ビヒクル」は、表面処理組成物を形成する剤及び/又はローションを希釈するため及び/又は乳化して分散液/乳濁液を形成するために用い得る物質である。ビヒクルは、表面処理組成物及び/又はローションに、特に表面処理組成物の付与中及び/又はティッシュ・ペーパーへの付与中に存在してもよい。ビヒクルは、構成成分を溶解してもよいし(真溶液若しくはミセル溶液)、又は構成成分がビヒクル全体に分散されてもよい(分散液又は乳濁液)。懸濁液又は乳濁液のビヒクルは、典型的にはその連続相である。即ち、分散液又は乳濁液の他の構成成分は、ビヒクル全体に分子レベルで、又は離散粒子として分散される。
【0056】
本発明のビヒクルとして用いるために好適な物質には、水が挙げられるがこれに限定されないヒドロキシル官能液体が挙げられる。1つの例では、ローションは、約20重量%未満、及び/又は約10重量%未満、及び/又は約5重量%未満、及び/又は約0.5重量%未満のビヒクル、例えば水を含む。1つの例では、表面処理組成物は、約50重量%を超える、及び/又は約70重量%を超える、及び/又は約85重量%を超える、及び/又は約95重量%を超える、及び/又は約98重量%を超えるビヒクル、例えば水を含む。
【0057】
本発明の好適なローションは、20%未満、10%未満、5%未満、又は0.5%未満の水分含有量を有することが見出された。
【実施例】
【0058】
ローション処方の実施例1:
ローションが次の組成(重量/重量百分率による)を有する場合に、本発明は特に有効であることが見出された。
【0059】
【表1】

*米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
**クロンプトン社(Crompton Corporation)から入手可能
この処方は、約51℃の融点、及び0.1L/sの剪断速度で測定される56℃で約17m*Pasの溶融粘度を有する。この処方中に用いられる鉱油は、20℃で約21mPa*sの粘度を有する。処方は、ティッシュ・ペーパーの実施例1に記載されるティッシュ・ペーパー基材の両外側表面に等しい量により、3.6g/平方メートル、4.2g/平方メートル、6g/平方メートル、7.2g/平方メートル、8.4g/平方メートル、及び11.4g/平方メートルの総付加濃度で付与された。消費者の使用試験では、すべての製品が顕著なローションの感触を提供し、皮膚ケア特性について及び手触りが粗くないことについて、未処理の基礎のティッシュ・ペーパー製品より消費者に好まれた。このローションは、所望の構造体を安定化するのに役立つ、処方中の高濃度の脂肪族アルコールのために、本発明の中で主張されるようにローションの付着物及び分配を提供するのに特に適していると仮定される。低粘度の油が使用される場合には、30%を超える、35%を超える、又は40%を超える脂肪族アルコールが処方中に存在する場合に、本発明が最良に機能すると考えられている。
【0060】
ローションの実施例2:
発明の一部としてではあるがまた独立して、次の組成(重量百分率による)が特に有効であることがまた見出された。
【0061】
【表2】

*脂肪酸のスクロースエステル、米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
**米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
このローションは、本発明の中で主張されるようにローションの付着物及び分配を提供するのに特に適していると仮定される。ローション中に用いられる油の相対的に高い粘度は、ローションの有効性に関して具体的な利益を提供することが、別に推測される。上記の処方は、室温で剪断力に敏感な半固体であり、約50℃の融点、及び0.1/sの剪断速度において、56℃で約50mPasの溶融粘度を有する。この処方中に用いられる油(脂肪酸のスクロースエステル)は、24℃で約418mPa*sの流体粘度を有する。
【0062】
上記の処方は、ティッシュ・ペーパーの実施例1に記載される基材の両外側表面に等しく、更に以下に記載される装置及び方法を用いて付与された。総付加濃度は、各表面について6g/平方メートル、3g/平方メートルであった。
【0063】
製品は次に、本実施例に記載される処方の代わりに実施例1に記載される処方により製造された同じティッシュ・ペーパー製品と共に、消費者使用試験を受けた。平均して、官能試験員は、本実施例の処方により製造された製品を好ましく、及び肌触りについて実施例1の処方より気持ちが良いと評価した。特に、ローションの感触は、実施例1のローションより蝋様でないと評価される。油の高い粘度がより気持ちのよい肌触りの原因であると推測される。20℃及び0.1mPa*sの剪断速度で、30mPasを超える、好ましくは40mPasを超える、より好ましくは60mPa*sを超える、更により好ましくは100mPas、150mPa*s、200mPa*s、250mPa*s、300mPa*sを超える、及び最も好ましくは350mPasを超える粘度を有する油又は油の混合物が、この処方のより低い粘度の油又は油の混合物と比較して、感触の利益を生じると考えられている。シアシニングの油又は油の混合物については、好ましい粘度は更により高い可能性がある。油の好適な種類には、鉱油、炭化水素系油、植物油、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、シリコーンオイル、グリコール及びポリグリコール又はこれらの混合物、及び低粘度の基油との混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
処方の高い溶融粘度は、少量の固定剤と共に処方される場合でさえも、処方がティッシュ・ペーパーに消散するのを最小にすることにより、最終製品のローションの転移を高めるのに役立つことが更に推測される。本実施例では、付与後に十分に迅速に処方を固定するために、20%のステアリルアルコールは十分である。処方の蝋様の感触を低減するのはこの少量の固定剤であると考えられている。付与温度での、20mPas、好ましくは40mPas、更により好ましくは60mPa*s、80mPa*s、100mPa*s、150mPa*s、200mPa*s、250mPa*s、300mPa*sより高く、好ましくは2000mPa*s未満の溶融粘度は、最終製品のローションの転移を改善すると更に考えられている。これは、溶融物の付与直後の固化プロセスの間に相対的に減速するローションのウェブへの浸透によるものであると考えられている。用いられる油、又は用いられる油の混合物の粘度の、温度及び/又は剪断力への強い依存が、最終製品のローションの転移を改善するのに役立つと更に仮定される。
【0065】
反対に、次の処方は、本実施例の最初の処方と同じプロセス及び量でウェブに付与された場合に、はるかに多くがティッシュ・ペーパーに消散することが見出された。高い粘度の油が存在しないことによりこれは生じると推測される。
【0066】
【表3】

*米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
**クロンプトン社(Crompton Corporation)から入手可能
ローションの実施例3:
発明の一部としてではあるがまた独立して、次の組成(重量百分率による)が特に有効であることがまた見出された。このローションは、本発明の中で主張されるようにローションの付着物及び分配を提供するのに特に適していると仮定される。ローションに用いられる油の相対的に高い粘度は、ローションの有効性に関して具体的な利益を提供することが、別に推測される。
【0067】
【表4】

*脂肪酸のスクロースエステル、米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
**米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
上記の処方は、室温で剪断力に敏感な半固体であり、約50℃の融点、並びに56℃及び0.1/sの剪断速度で約50mPasの溶融粘度を有する。この処方中に用いられる油(脂肪酸のスクロースエステル)は、24℃で約418mPa*sの流体粘度を有する。
【0068】
上記の処方は、ティッシュ・ペーパーの実施例1に記載されるティッシュ・ペーパー基材の両外側表面に等しく、更に記載される装置及び方法を用いて付与された。総付加濃度は、各外側表面について4.2g/平方メートル、2.1g/平方メートル(g/qm)であった。製品は次に、本実施例に記載される処方の代わりに実施例1に記載される処方により製造された同じティッシュ・ペーパー製品と共に、消費者使用試験を受けた。平均して、官能試験員は、本実施例の処方により製造された製品を、肌触りに関連する属性について実施例2の処方より悪いと評価した。特に、この処方は、より蝋様であると知覚された。しかしながら、実施例2では、より少ないローションが付与されたにもかかわらず、本実施例の製品は、ティッシュ・ペーパーのローション量について同様であると評価された。より多量の脂肪族アルコールが、より蝋様の感触及びローションをより感じられるようにする原因であると推測される。
【0069】
ローションの実施例4:
発明の一部としてではあるがまた独立して、次の組成が特に有効であることがまた見出された。このローションは、本発明の中で主張されるようにローションの付着物及び分配を提供するのに特に適していると仮定される。用いられる特有成分が、ユーザーによるローションの知覚について、顕著な利益を提供すると、別に推測される。
【0070】
【表5】

*米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
**クロンプトン社(Crompton Corporation)から入手可能
***ミレニアム・スペシャルティ・ケミカルズ(Millennium Specialty Chemicals)から入手可能
上記の処方は、実施例1のティッシュ・ペーパー基材のもとに記載されるティッシュ・ペーパー基材の両外側表面に等しく付与された。総付加濃度は、各外側表面について6g/平方メートル、3gであった。製品は、非常にかすかなハッカの香りを有しただけであった。次に製品は、実施例1のティッシュ・ペーパー製品と共に、同じ付加濃度により消費者使用試験を受けた。顕著に高い比率の官能試験員が、実施例1の製品と比較して、本実施例の製品を用いる時、爽快になる感触を知覚し、より自由に呼吸できると主張した。WS−23の存在が上記の利益の原因であると推測される。その他の相対的に無臭の化合物(「冷感剤(cooling sensates)」)に関して、ティッシュ・ペーパーに付与された時に同様な利益が得られることが更に推測される。化合物の好適な種類には、非環式又は環式カルボキサミド、好ましくは2−イソプロピル−2,3−ジメチル酪酸の誘導体、より好ましくは2−イソプロピル−2,3−ジメチルブチルアミドの誘導体、及び最も好ましくは2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、メンタン誘導体、好ましくは3−置換p−メンタン誘導体、より好ましくはp−メンタン−3−カルボキサミド及びその誘導体、エステル、エーテル、若しくはアミドのようなメントール誘導体、又はメントン誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。「冷感剤(cooling sensate)」が揮発性化合物であり、処方から蒸発することができる場合には、知覚される効果はより強いことが更に推測される。可能性のある「冷感剤(cooling sensate)」の揮発性の評価のための好適な方法は、ガスクロマトグラフのヘッドスペース分析である。
【0071】
ローションの実施例5:
発明の一部としてではあるがまた独立して、次の組成が特に有効であることがまた見出された。このローションは、本発明の中で主張されるようにローションの付着物及び分配を提供するのに特に適していると仮定される。用いられる特有成分が、ユーザーによるローションの知覚について、顕著な利益を提供すると、別に推測される。
【0072】
【表6】

*米国シンシナティのプロクター・アンド・ギャンブル・ケミカルズ(Procter&Gamble Chemicals)から入手可能
**クロンプトン社(Crompton Corporation)から入手可能
***ミレニアム・スペシャルティ・ケミカルズ(Millennium Specialty Chemicals)から入手可能
****IFFインターナショナル・フレーバーズ・アンド・フレグランシーズ(IFF International Flavors & Fragrances)から入手可能
上記の処方は、ティッシュ・ペーパーの実施例1のもとに記載されるティッシュ・ペーパー基材の両外側表面に等しく、基材の両外側表面に3g/平方メートルの濃度で付与された。総付加濃度は、6g/平方メートルであった。製品は、爽快になる香りを有しただけであった。
【0073】
製品は次に、実施例3のティッシュ・ペーパー製品と共に、同じ付加濃度により消費者使用試験を受けた。平均して、官能試験員は、実施例4の製品と比較して、本実施例の製品に関して、より高いレベルの爽快になる感触を知覚した。製品はまた、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミドを欠いた同じ製品と共に、香りのパネルを受けた。
【0074】
WS−23の存在は上記の利益の原因であること、特にそれは相乗的な方式で香料の知覚を高め補完することが推測される。その他の相対的に無臭の「冷感剤(cooling sensates)」に関して、ティッシュ・ペーパーの香料と組み合わせてティッシュ・ペーパーに付与された時に同様な利益が得られることが更に推測される。化合物の好適な種類には、非環式又は環式カルボキサミド、好ましくは2−イソプロピル−2,3−ジメチル酪酸の誘導体、より好ましくは2−イソプロピル−2,3−ジメチルブチルアミドの誘導体、及び最も好ましくは2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、メンタン誘導体、好ましくは3−置換p−メンタン誘導体、より好ましくはp−メンタン−3−カルボキサミド及びその誘導体、エステル、エーテル、若しくはアミドのようなメントール誘導体、又はメントン誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。「冷感剤(cooling sensate)」が揮発性化合物であり、処方から蒸発することができる場合には、効果はより強いことが更に推測される。可能性のある「冷感剤(cooling sensate)」の揮発性の評価のための好適な方法は、ガスクロマトグラフのヘッドスペース分析である。
【0075】
付与プロセス:
本発明のプロセス工程は、ティッシュ・ペーパー製品の製造の上記の「加工工程」に関連する。ローションの付与は、それからローションが放出されてティッシュ・ペーパーに衝突する、回転面の使用を介して行うことができる。回転面の温度は、2つの現象の組み合わせを少なくとも保証するためにローションの組成物に適合するように選択されるが、その現象は:第1には、放出がローションを液滴の流れ(又は集団)の中に分散する。液滴の流れは、ティッシュ・ペーパーに衝突する時、ローションの特有の分配をティッシュ・ペーパーに生じさせる。ローションは、非常に多数の相対的に小さい離散された付着物として分配される。影響を受けるところへの付着物の全体的分布は、覆われるエリアの中で実質的に巨視的に均一である。第2には、液滴は液体又は擬似液体の形態で放出されると共に、衝突したティッシュ・ペーパーの上では固体又は擬似固体の形態である。液体形態又は擬似液体形態は、速やかな加工条件(装置のパイプを通るローションの流動及び回転面上への連続的流動)を保証するために望ましい。ティッシュ・ペーパーによる捕捉後、ローションの固体又は擬似固体形態は、ティッシュ・ペーパーの構造体への液滴の浸透を低減する利益を与える。液滴は、ペーパー繊維の網状組織に深く浸透せずに、ティッシュ・ペーパーの表面に固定されて留まる傾向を有する。これは、ローションの高い転移性を生じさせる。
【0076】
ティッシュ・ペーパーの内部構造体の中のローションの浸透の低減は、ティッシュ・ペーパーの反対側に存在するローションの検出により測定できる。本発明の幾つかの実施形態では、ローションに直接衝突される表面に相対するティッシュ・ペーパーの表面上では、ローションはそれほど検出できない。
【0077】
本発明の1つの実施形態では、ローションは一連の回転面を示す装置により付与される。実質的に目的のプロセスを実現できる装置の例は、PCT国際公開特許WO−0234519及びPCT国際公開特許WO−234520に見出すことができ、両方共ドイツのワイトマン・アンド・コンラッド社(Weitmann and Konrad GmBh)により付与される。
【0078】
ローションは回転面上に汲み上げられ、その上側表面は、作動中のティッシュ・ペーパーの表面に対してほぼ垂直に向いている(ただし、回転面と作動中のティッシュ・ペーパーとの間が90°と異なる角度を有することについては幾つかの利点が机上では見出せる)。各回転面について、ティッシュ・ペーパーへの噴出の望ましい角度にのみ開くように、フラップ及びカバーが装置の中に任意に構築される。収集システムは、フラップ及びカバーにより捕捉されたローションを収集し、それを回転面上に戻してもよい(無駄になるローションの量を低減する利点を有する)。全装置又はその特定部品(例えば、回転面及び/又は供給パイプ)は、制御されたやり方で所定の温度に保持される。回転面に供給されたローションへの、回転面の回転により生成される遠心力(供給ラインからのローションの流動により生成される力によりあるいは補完される)は、ローションを放出し、微細な液滴の集団の中にそれを分散する。本発明の1つの実施形態では、静電手段が放出及び/又は液滴をティッシュ・ペーパーの上に導くのに役立ち得ることが予見される(こうした静電手段は、回転面とティッシュ・ペーパーとの間、及び/又は装置の他の部品の間に静電場を生成することができる)。任意に、フラップ及びカバーは、付与の幅を限定するために噴出を遮る。フラップ及び/又はカバーは、望ましいプロセス条件に対して調節可能であり得る。任意に、付与装置中では外部環境と比較して上回る圧力又は下回る圧力が、ローションの付与を促進するために用いられる。
【0079】
回転面の速度は、所望のプロセス条件に、容易に制御及び調節され得る。より好ましくは、速度の制御及び調節は、回転面の下位集団に対して(最も好ましくは、個々の回転面に対して)行われることができる。
【0080】
付与装置は、付与の温度を所望の値に容易に制御及び調節するためのシステムを含んでもよい。装置の温度は、ローションの溶融温度より0〜20℃高く及び低く設定されてもよく、ローションの溶融温度より0〜10、0〜5、及び0〜3高く及び低く設定されてもよい。その他の範囲は、ローションの溶融温度より0.5〜2及び1〜2℃高い及び低い温度を包含することができる。
【0081】
回転面上に供給されるローションの流動は、所望のプロセス条件に、容易に制御及び調節され得る。より好ましくは、流動の制御及び調節は、回転面の独立した下位集団(最も好ましくは、各個々の回転面)に対して行うことができる。
【0082】
上記の回転面は、供給ポイントから回転面の外側縁部までのローションの妨げられない流動を可能にするためにほぼ平面を提示する。しかしながら、平らでない、模様付きの、又は構造化表面(例えば、平行な又はらせん状の溝を有する)もまた用いることができる。更に、記載されるように、複数の供給ポイント又はエリアもまた用いることができる。
【0083】
任意のフラップ及びカバーは、ローションが放出される開放角度を低減することにより、ローションの噴出/放出の方向を所望の方向に、即ちティッシュ・ペーパーの向きに、制限することができる。回転面当たり、1つの又は複数の開口部が可能である。
【0084】
複数の回転面:
回転面の数は少なくとも1つであるが、ローション付与の所望の幅全部を覆うように、又は所望の目的のためにティッシュ・ペーパーに送達されるローションの量に合うように適合される。様々な回転面が実質的に列に配置され、したがってティッシュ・ペーパーの幅の一部又は全体を覆うことができる。あるいは又は更には、重ね合わせた回転面を企図することもでき、例えば2(又は3又は4以上)の回転面の重ね合わせた列を作製することができる。一般論として、回転面の位置は自由に選択でき、好ましくは下位集団において又はより好ましくは個々に、意図される目的について自由に選択できる。好ましくは、計器当たりの回転面の数は、2〜40、3〜20、又は5〜10である。回転面の列の数は、好ましくは1〜5、1〜2、又は1である。
【0085】
付与の重なり合い:
ローションの付与は、1を超える回転面の重なり合いから噴出が生じるゾーンを生成する可能性がある。この重なり合いの効果は、回転面並びに/又は任意のフラップ及びカバーの構成を調節することにより、低減又は排除することができる。あるいは、重なり合うことなく付着された量に対して、ティッシュ・ペーパーの全幅(又は一部の幅)上のローションの量を増加するために、ローションの噴出の重なり合いを生じさせることを企図することができる。本発明の1つの実施形態では、1又は多数のゾーン(ティッシュ・ペーパーの幅において)が、重なり合う噴出を有して生成される。これは、回転面(類)及び/又は任意のフラップ若しくはカバーの位置の調節を介して、噴出の重なり合いを注意深く選択することにより行われる。それによって生成されたティッシュ・ペーパーのゾーン(類)は、(重なり合いのない付与と比較して)ローションの増加した量を有する。最適な最終利益(例えば、使用中の多量のローションの転移、中央ティッシュ・ペーパー・ゾーンの高い転移、又は(一般的な方式で)使用中のティッシュ・ペーパーの接触による身体部分の最適な保護を保ちながらローションの総使用を低減する)を機能的に達成するために、ゾーン(類)の位置を選択することができる。
【0086】
あるいは、重なり合いは付与されるローションの量を等しくする(即ち、ティッシュ・ペーパーの幅全体にわたって、付与されるローションの均質な坪量を有する)ために生成できる。これは、各個々の回転面が不規則の(又は不均質の)分配を提供する場合、特に適切である可能性がある。坪量は、ティッシュ・ペーパーの単位面積当たりに、ティッシュ・ペーパーに付与されるローションの重量として定義される。均質な分配は、ティッシュ・ペーパーの幅において考察されるエリアの位置と関係なく、ローションの実質的に同じ坪量が、ティッシュ・ペーパーの各エリアに見出され得るという事実により定義される。好ましくは、様々な回転面から生じる液滴の流れは、ティッシュ・ペーパーの幅において液滴の実質的に均質な分配を生じさせるやり方で調節される重なり合いを生成するように設定される。好ましくは、実質的に均質な分配は、ティッシュ・ペーパーの幅において測定される、平均坪量の+/−40%、+/−20%、+/−10%、+/−5%、又は+/−2%以下の坪量の範囲を生成する。
【0087】
あるいは、本発明の別の実施形態では、ローションの付与は、ティッシュ・ペーパーの幅においてローションの不均質な分配を生成するように、意図的に調節される。ウェブの幅において液滴の噴出の重なり合いを生成する回転面は、液滴の流れが妨げられないような方式、例えば異なる高さで配置され得る。あるいは、付与の全幅が、ティッシュ・ペーパーの幅をほとんど正確に覆うように調節される。
【0088】
間隙:
回転面及び/又は任意のフラップ及び/又はカバーは、ティッシュ・ペーパーにローションにより影響を受けない少なくとも1つのゾーンを生成するように配置され得る。最終結果は、ローションを有するゾーン(類)とローションを有さないゾーン(類)を持つティッシュ・ペーパーである。好ましくは、回転面(類)及び/又は任意のフラップ及び/又はカバーは、1枚の特異な最終製品(例えば、1つのペーパー・ハンカチーフなど)に後に作製される材料の各個々のゾーン上への付与の幅において、いずれの間隙も残さないように調節される。最も好ましくは、装置は、1つの特異な最終製品(例えば、1枚のペーパー・ハンカチーフなど)を後に作製することを意図される材料のゾーンの間に、定義された間隙を残すように設定される。注目すべきことには、1を超える最終製品を加工ティッシュ・ペーパーの幅に切断することは、一般的な工業的手法である(しかしながら、これは本発明にとっては必須ではない)。そのため、特定の実施形態では、最終製品の外側縁部(例えば、ペーパー・ハンカチーフの縁部)にはローションがない一方、最終製品の中央ゾーンはローションを有する連続ゾーンを含む。
【0089】
ティッシュ・ペーパー表面へのローションの液滴の分配:
上記のように、付与方法の結果は、ティッシュ・ペーパー表面に効果的なローションの微細な液滴の集団(又は流れ)である。ローションの付与ウィンドウに対してティッシュ・ペーパー(又はティッシュ・ペーパー・ウェブ)が走行するのにつれて、液滴はローションの不連続な付着物をティッシュ・ペーパーの表面に生成する。注目すべきことに、本発明の目的のために、及び本明細書の中では、用語「液滴」は、回転面から放出されるローションの個々の単位を指す。用語「付着物」(等しく「フレーク」と呼ばれる)は、ティッシュ・ペーパー上への液滴の衝突の結果として得られるローションの単位を指す。液滴の形状及びサイズは、付着物(又はフレーク)と同一ではないことは容易に理解できる。液滴及び付着物のサイズを測定するための方法は、本明細書の終わりの方に、「方法」という節において表される。
【0090】
好ましくは、本発明のプロセスにより生成された液滴の相対的に高い比率は、3*10-4μLより大きく、3*10-3μLより大きく、10-2μLより大きく、3μL〜3*10-4μL、又は0.3μL〜0.03μLである。
【0091】
液滴容積は、以下に記載されるような粒径分析により測定できる液滴直径から計算することができる。液滴の相対的に高い比率とは、液滴の少なくとも20重量%を超える、好ましくは50重量%を超える、更により好ましくは70重量%を超える、及び最も好ましくは90重量%を超えることを意味する。
【0092】
ティッシュ・ペーパー実施例1:
次の実施例で用いられるティッシュ・ペーパーは、約15.4g/平方メートルの坪量を有する、従来の湿潤圧縮の均質な乾燥クレープ・ティッシュ・ペーパーである。ペーパー・ウェブは、約40%の北部針葉樹クラフト(Northern Softwood Kraft)及び60%のユーカリの組成を有する。抄紙に続いて、4シートのペーパーがオフライン組み合わせ操作により共に組み合わされる。予め組み合わせた4プライの親ロールを、次に、4プライのティッシュ・ペーパー製品に加工する。4プライの親ロールを巻き戻し、2つの滑らかなスチールカレンダーロール間におけるカレンダー工程に供し、次いで、高圧エンボス加工によりプライの結合を達成する。ティッシュ・ペーパーの大部分は、高圧エンボス加工により影響を受けないまま残る。最後にティッシュ・ペーパーは、およそ21cm×21cmのシートに機械方向に切断され次に横断方向に切断され、折り畳まれて、9シートの束に積み重ねられ、個々のポケット包装に包装された。上記のプロセスにより得られる4プライのティッシュ・ペーパー製品は、およそ60g/平方メートルの坪量(付与されたいずれのローションも包含しない)、0.27mmの厚さ、504g/cm(1280g/インチ)の機械方向強度、240g/cm(610g/インチ)の横断方向強度、及び約200gの湿潤破裂を有した。それは、湿潤強度剤及び乾燥強度剤を含有した。
【0093】
ティッシュ・ペーパー実施例2
次の実施例で用いられるティッシュ・ペーパーは、約14.6g/平方メートルの坪量を有する、従来の湿潤圧縮の層状の乾燥クレープ・ティッシュ・ペーパーである。外側の層は約100%のユーカリ繊維を含有する一方、内側の層は約85%の北部針葉樹クラフト(Northern Softwood Kraft)、10%のCTMP、及び約5%のユーカリ繊維の完成紙料ミックスから構成される。両方の層は、およそ等しい坪量である(対称的な層の分割)。抄紙に続いて、4シートのペーパーがオフライン組み合わせ操作により共に組み合わされる。予め組み合わせた4プライの親ロールを、次に、4プライのティッシュ・ペーパー製品に加工する。4プライの親ロールを巻き戻し、2つの滑らかなスチールカレンダーロール間におけるカレンダー工程に供し、次いで、高圧エンボス加工によりプライの結合を達成する。ティッシュ・ペーパーの大部分は、高圧エンボス加工により影響を受けないまま残る。最後にティッシュ・ペーパーは、およそ21cm×21cmのシートに機械方向に切断され次に横断方向に切断され、折り畳まれて、9シートの束に積み重ねられ、個々のポケット包装に包装された。上記のプロセスにより得られる4プライのティッシュ・ペーパー製品は、およそ60g/平方メートルの坪量(付与されたいずれのローションも包含しない)、0.27mmの厚さ、464g/cm(1180g/インチ)の機械方向強度、220g/cm(560g/インチ)の横断方向強度、及び約200gの湿潤破裂を有する。それは、湿潤強度剤及び乾燥強度剤を含有する。
【0094】
ティッシュ・ペーパー実施例3
約3%濃度の北部針葉樹クラフト(Northern Softwood Kraft)(NSK)の水性スラリーを慣用的なパルパーを使用して作成し、ストックパイプを通して長網抄紙機のヘッドボックスに送る。ハーキュレスのカイメン 557 LX(Hercules' Kymene 557 LX)の1%分散を調製し、最終的な衛生ティッシュ・ペーパーの乾燥重量を基準として約0.8%のカイメン 557 LX(Kymene 557 LX)を送達放出するのに充分な割合でNSK紙料パイプに添加する。永続性湿潤強度向上樹脂の吸収は、処理されたスラリーをインライン・ミキサーに通すことで向上する。水に溶解して1%の溶液濃度に希釈したカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を、次に最終的な衛生ティッシュ・ペーパーの乾燥重量を基準として約0.1重量%CMCの割合で、インライン・ミキサー後のNSK紙料パイプに添加する。NSK繊維の水性スラリーを、CMCの分布を助けるための遠心性紙料ポンプに通す。1重量%の濃度のジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート(DTDMAMS)水分散液(76℃(170°F))を、最終的な衛生ティッシュ・ペーパーの乾燥重量を基準として約0.1重量%のDTDMAMSの割合でNSK紙料パイプに添加する。約1.5重量%のユーカリノキ由来さらしクラフト繊維性パルプ繊維(ブラジル、アラクルス(Aracruz-Brazil)から入手)の水性スラリーを、従来のリパルパーを用いて調製し、長網抄紙機のヘッドボックスに向かわせる紙料パイプに通す。このユーカリノキ由来完成紙料を、ファンポンプ(fan pump)の場所でNSKスラリーと混合し合流させ、そこで、双方は、約0.2%の濃度まで白水(white water)により希釈される。約3重量%のユーカリノキ由来さらしクラフト繊維性パルプ繊維(ブラジル、アラクルス(Aracruz-Brazil)から入手)の水性スラリーを、従来のリパルパーを用いて調製する。ユーカリノキスラリーを第2のファンポンプに通し、そこで、それは、約0.2%の濃度まで白水(white water)により希釈される。運転中の長網抄紙機ワイヤに排出させるまで別個の層としての流れを維持するための層化リーフ(leaves)が適切に装備された多チャネルヘッドボックス中に、NSK/ユーカリノキとユーカリノキのスラリーは向かわされる。3つのチャンバからなるヘッドボックスが使用される。最終的な衛生ティッシュ・ペーパーの乾燥重量の48%を含有するユーカリノキスラリーを、ワイヤに接触している層に導くチャンバに向かわせ、一方、最終的ペーパーの乾燥重量の52%を含有するNSK/ユーカリノキスラリー(27〜35%NSK及び17〜25%ユーカリノキ)を、中心及び内部層に導くチャンバに向かわせる。NSK/ユーカリノキとユーカリノキスラリーをヘッドボックスの排出時に混合し、複合スラリーとする。複合スラリーを、運転中の長網抄紙機ワイヤに排出し、そらせ板(deflector)及び真空ボックスの助けによって脱水する。初期ウェットウェブを、移送の時点で約17重量%の繊維濃度で長網抄紙機のワイヤから模様付き乾燥ファブリックに移送させる。乾燥ファブリックは、連続する網目状の高密度(ナックル)エリア内に不連続な低密度偏向用エリアを有する高密度模様付きティッシュ・ペーパーが得られるように設計される。この乾燥ファブリックは、不透過性樹脂表面を繊維メッシュ支持ファブリックに流延(casting)することにより形成される。支持ファブリックは48×52のフィラメント製、二重層メッシュである。樹脂型の厚さは、支持ファブリックの上約203μm(8ミル)である。ナックルエリアは、約35〜50%であり、連続気泡は、約438〜3625/cm2(68〜562/平方インチ)の頻度で残る。ウェブが約23〜27%の繊維濃度になるまで、真空の助けによる排水により、更なる脱水が達成される。模様付き形成ファブリックと接触した状態のままで、模様付きウェブを通気することにより約60重量%の繊維濃度まで予備乾燥する。半乾燥ウェブは、次に、ポリビニルアルコールの0.250%水溶液を含むスプレーされたクレーピング接着剤で、ヤンキードライヤーの表面に接着される。クレーピング接着剤は、ウェブの乾燥重量基準で0.1%の接着剤固体の割合で、ヤンキー表面に供給される。ドクターブレードを有するヤンキーからウェブが乾燥クレープ加工される前に、繊維濃度は約98%まで増加する。ドクターブレード後、スチール〜ゴム製カレンダーロールを用いて、2〜3MPa(300〜500psi)の負荷にて、ウェブをその幅全体にわたってカレンダー加工する。結果として得られるティッシュ・ペーパーは、約20〜25g/m2の坪量;98〜146g/cm(250〜370g/インチ)の1つのプライの総乾燥張力、14〜25g/cm(35〜65g/インチ)の1つのプライの湿潤破裂、及び約0.04〜0.05cm(0.015〜0.020インチ)の2つのプライのキャリパーを有する。次に、得られるティッシュ・ペーパーを、その外側にユーカリノキの繊維が面するように、同様のシートと組み合わせて、2つのプライの、クレープ加工した、押紋されたティッシュ・ペーパーを形成し、次に、2つの滑らかなスチールカレンダーロール間でカンレンダー加工に付与する。次に製品は、両方のプライが確実に一緒に保持されるように、機械的プライ結合ホイールを用いて、プライ結合される。結果として得られる2つのプライのティッシュ・ペーパーは、a)約39〜50g/m2の総坪量;b)177〜275g/cm(450〜700g/インチ)の2つのプライの総乾燥張力;c)39〜51g/cm(100〜130g/インチ)の2つのプライの湿潤破裂;d)約0.51〜0.89mmの4プライのキャリパーを有する。
【0095】
上記のティッシュ・ペーパーは、記載されるローションのいずれとも組み合わせて用いることができる。
【0096】
装置:
ティッシュ・ペーパー及び織物業界用のアプリケータヘッドを有する市販の回転噴霧付与装置RFT−コンパクト−III(RFT-Compact-III)(ドイツのラインフェルデン エヒテルディンゲンのワイトマン・アンド・コンラッド社(Weitmann&Konrad GmbH & Co KG)から入手可能)は、本発明を実施するために用いられるように改善された。付与ヘッドは、5セットの回転ディスク(タイプ1/1)を装備し、448mmの有効な付与幅を有する。付与ヘッドの筐体は、付与ヘッドの最上部、最下部、及び後ろ側面において、水加熱壁と交換された。次に全装置が外側に対して絶縁された。これらの改善された付与ヘッドの2つを用い、ティッシュ・ペーパー・ウェブの両側が同時に処理できるよう互いに向かい合わせて設置された。一体型ポンプ(タイプW60/10−12/40(Type W60/10-12/40)、ドイツのケルビプラスト社(Kelviplast GmbH)から入手可能)を有する加熱装置が、所望の温度の水を付与装置に供給するために用いられる。特に、加熱要素の設計は、付与ヘッドの内部の温度が相対的に均一になるように、選択された。付与ヘッドのローションの送り込みは、ヒートトレース配管系を通じて、加熱ポンプに接続され、これはヒートトレース配管を通じて、溶融したローションを保持する100lの加熱タンクに接続される。アプリケータの戻りラインは加熱タンクの中に戻される。加熱された流量計が、ローション供給ラインの中に、ポンプと付与ヘッドの間に設置された。流量計(プロマス(Promass)63M、スイスのエンドレス・アンド・ハウザー(Endress & Hauser)から入手可能)は、RFT−コンパクト−III(RFT-Compact-III)システムの制御装置に接続されるが、これは次にローションのポンプ(タイプ、ラブ・ブロックス(type Labu Brox)のギアポンプ)が所望のローションの流れを付与ヘッドに送達するのを制御するために用いられた。
【0097】
市販の付与ヘッドの回転面の設定、形状、及び寸法にはいずれの変更もされなかった。回転面の各セットは、互いの最上部に積み重ねられた2枚の回転ディスクから成った。各積み重ねの2つの回転面へのローションの供給は、等しく分割される。ディスクは、約98mmの直径を有する。回転面の5つの個々の積み重ねは、約112mmの間隔をあけられる。回転面の第1、第3、及び第5のセットは、水平に重なり合う液滴の流れの間の妨げにならないように、回転面の第2及び第4の積み重ねに対して垂直に移動するように設置される。回転面のセットはドイツのワイトマン・アンド・コンラッド社(Weitmann & Konrad GmbH & Co)から市販される(タイプ1/1(type 1/1)、技術番号(Art. No.)618996[上部セット]及び618997[下部セット])。アプリケータは水平に動作し、約154mmのウェブとディスクの中央との間の距離を有する。ウェブは、2つの付与ヘッドの間を最上部から最下部まで垂直に動く。回転面とウェブとの間の筐体のウィンドウにより制御されて、回転面の各積み重ねは、ウェブ上の約224mmの横断方向の幅を覆うが、例外としてアプリケータの回転面の2つの外側の積み重ねは、各々112mmしか覆わない。各位置において、回転面の2つの積み重ねの流れが重なり合う。ディスクの個々の積み重ねへの均等な分配が、回転ディスクへの送り込みとアプリケータの中央供給パイプとの間に設置された、1mm直径のスロットルを用いて達成された。ローションの温度は、タンク、配管、及び付与ヘッドの温度を所望の値に加熱することにより、所定の値に制御される。流量は、ティッシュ・ペーパーの所望の付加濃度を達成するために調節される。付与中に、ティッシュ・ペーパー・ウェブは、典型的には、室温に保たれる。幾つかの試料が製造されたが、その場合ティッシュ・ペーパーは、ローションの付与前に冷却又は加熱された。ローションは、ペーパー・ウェブに衝突した後、ほとんど即座に固化する。付与装置は、カレンダー加工及び高圧エンボス加工の後、並びにウェブが切断され折り畳まれる前の加工プロセスにおいて設置される。
【0098】
プロセス条件:
回転面は、262rad/s(2500rpm)で、以下に記載される試料について操作されたが、追加の試料はまた、21rad/s(200rpm)〜524rad/s(5000rpm)の速度で行われた。
【0099】
ローションは、通常、融点より約2〜10℃高い温度に保持され、以下に記載されるローションについては、すべての温度設定は56℃に保たれた。製品はまた、融点より2℃下より低く、及び10℃上より高い温度でも製造された。以下の実施例についてのウェブ速度は200m/minであるが、試料は10m/min〜400m/minのウェブ速度でも製造された。
【0100】
データ:
表1は、例示された処方により得られた結果の概略を示す:
【0101】
【表7】

図1aの説明:ローション処方3により処理されるティッシュ・ペーパーの5mm×5mmの試料の局所坪量の分布を表す濃淡度マップ(左、白は試料中のローションの局所坪量の最高レベルを表す)及びその試料の横断面のローションの分布(右、左の絵の点線は、横断面の平面を表す)。
【0102】
図1bの説明:クリネックス・バルサム(Kleenex Balsam)(登録商標)の5mm×5mmの試料の局所坪量の分布を表す濃淡度マップ(左、白は試料中のローションの局所坪量の最高レベルを表す)及びその試料の横断面のローションの分布(右)。
【0103】
試験方法:
液滴のサイズ:液滴のサイズ分布が、ドイツのシンパテック社(Sympatec GmbH)から入手可能なヘロス−バリオ/KF マジック(HELOS-VARIO / KF MAGIC)レーザー回折システムを用いて測定できる。液滴の容積は、以下に記載されるような粒径分析により測定できる液滴直径から計算できる。液滴の相対的に高い比率とは、液滴の少なくとも20重量%を超える、好ましくは50重量%を超える、更により好ましくは70重量%を超える、及び最も好ましくは90重量%を超えることを意味する。
【0104】
溶媒抽出による平均のローション付加濃度(ティッシュ・ペーパーのローションの坪量):約2gのローションで処理されたティッシュ・ペーパーの代表的な試料が、高速溶媒抽出法(Accellerated Solvent Extraction)(ASE)により、米国ジオネックス社(Dionex Corp.)から入手可能なモデルASE200を用いて抽出される。次の条件が用いられる:11mLの抽出セル、溶媒混合物:50%アセトン/n−ヘキサン;温度:100℃(熱及び静電気5分間);圧力:6.8MPa(1000PSI);100%フラッシュにより2サイクル。溶媒を蒸発させ、残留物が重量測定法で決定される。次にローションの付加が、次のように計算される
【0105】
【数5】

指定された溶媒は好ましい選択であるが、考えられるすべての可能性のあるローションを抽出するためには好適ではない場合もある。定量的抽出を行うためにローションがこの溶媒に十分に可溶性でない場合には、ローションを定量的に抽出するために好適である別の溶媒が選択されなければならない。
【0106】
付着物の局所エリアの中のローションを定量化するための全体的な方法:ローションの局所坪量(LLBW)、試料のローションの坪量(LBWS)、付着物のローションの坪量(LBWD)、付着物の影響を受ける面積(AAD)、ローションの影響を受ける面積(AAL)、及び平均の付着物サイズ(ADS)の決定。
【0107】
ローションの局所坪量は、スポットライト(Spotlight)ソフトウェアのバージョン1.1.0B38と組み合わされたパーキン・エルマー・スペクトル・スポットライト300(Perkin Elmer Spectrum Spotlight 300)機器を用いた透過モードによるIR/NIR分光法(吸光光度法)の走査により決定される。
【0108】
次の手順が、繰り返し−(CH2)−単位の直鎖炭化水素構成成分を含有するローションに付与可能である。ローションが、大部分又は全体的に他の物質から構成される場合には、以下に記載されるように同様な手順が適用できる。
【0109】
測定は、ティッシュ・ペーパーの代表的な一連の試料を用いて行われなければならない。各試料は次のように加工される:5×5mmの試料(又はより大きい)がサンプルホルダーに設置され、このサンプルホルダーは、XYテーブルに設定され分析に用いられるスペクトル範囲が、x及びyの両次元に空間分解能25μmで走査される。−CH2−基の直鎖を含有する物質の分析のために、4000cm−1〜4500cm−1の領域が走査され、及び4296cm−1(W1)〜4368cm−1(W2)の範囲が分析のために用いられる。少なくとも16の走査が1cm−1の解像度で行われる。16を超える走査が用いられる場合、試料が加熱による結果として構造を変えないことについて注意を払う必要がある。次に試料の局所坪量のマップが生成される。W2とW1及び勾配のある線形の基線の上の間の積分された吸収が、ソフトウェアのケミマップ(ChemiMap)メニューを用いて25μm×25μmの各ピクセルについて決定される。基線は、W1及びW2における吸光度により定義される。2つの基点の選択肢がソフトウェアのケミマップ(ChemiMap)メニューにおいて選択され、並びにW1及びW2において設定される。積分の開始及び終了点もまたW1及びW2において設定される。倍率は、V1=F*DWとして定義される値V1に設定され、その場合Fは以下に記載される係数であり、及びDW=W2−W1は、cm-1による高部(W2)と低部(W1)波数との間の波数の差である。
【0110】
係数DWによる換算(scaling)は、基線の上の波数域W1とW2との間の平均吸光度を基線の上の積分された吸収に変換する。係数Fは、積分された吸収を、g/平方メートルによる局所坪量に変形する。
【0111】
ケミマップ(ChemiMap)コマンドにより生成されるファイルは、エリア内の25μm×25μmの各ピクセルについて局所坪量を含有する。ファイルはテキストファイル(.txtフォーマット)として、またビットマップ(.bmpフォーマット)として、8ビットのグレースケールフォーマットに保存される。.txtファイルは、エクセル(EXCEL)にインポートされ、第1行及び第1列が除去される(それらは画像データを含有しないが、位置データを含有する)。結果として得られるデータは、g/平方メートルによる局所坪量のピクセルの配列を表している。全データセットの最大(MaxLBW)及び最小(MinLBW)値、並びに平均(AvgLBW)がエクセル(EXCEL)において計算される。
【0112】
ビットマップファイル(.bmpファイル)は、更なる加工のためにアナリシス(AnalySIS)画像解析ソフトウェア(ドイツ、ソフト・イメージング社(Soft Imaging GmbH)から入手可能なアナリシス・プロ・バージョン3.1(Analysis Pro version 3.1)(ビルド508(build508)))にインポートされる。インポートされたグレースケールのファイルは、全3色のチャネルの設定が等しい(8ビット解像度による)RGBフォーマットのままである。アナリシス(AnalySIS)では、ファイルは、3つの等しいカラーチャネルの内の1つ(赤)を抽出するためにカラー分離される。結果として得られるファイルは、今度はG=0〜G=255に目盛りを付けられ、G=0は元のスポットライトデータの最小値(MinLBW)を表し、255は元のスポットライトデータの最大値(MaxLBW)を表す。x及びyの次元によるピクセルのサイズを元の試料に適合するように設定することにより、画像はx−yについて較正される。画像は、g/平方メートルによる局所坪量の値を表示するためにZ方向について再び目盛りをつけられるが、アナリシス(AnalySIS)内のすべての計算はG=0〜G=255の目盛りにおいてなされなければならない。ローションの局所坪量のマップとしての試料の表現の例は、図1a及び1bに示される。
【0113】
Gの値は、次の関係により、容易にローションの局所坪量数に変換できる:
LLBW=A*(G+OFFSET)、その場合A=(MaxLBW−MinLBW)/255及びOFFSET=(255*MinLBW)/(MaxLBW−MinLBW)
Gの値は、次の関係により、容易にローションの局所坪量数(LLBW)に変換できる:G=(LLBW/A)−OFFSET
付着物のローションの坪量の計算:10g/平方メートルを超えるローションの全局所坪量のデータポイントの平均値が、エクセル(EXCEL)データファイルから計算できる。
【0114】
ローションにより影響を受けるティッシュ・ペーパーの面積が、3g/平方メートルと等しいG値における低部閾値を設定し、その閾値の上の面積を計算することにより、アナリシス(Analysis)において計算される。設定「充填されていない孔(holes not filled)」が用いられる。付着物の面積は、10g/平方メートルと等しいG値における(10g/平方メートルはG=10/A−OFFSETと等しい)閾値を設定することにより同様に決定される。
【0115】
付着物が特定の最小及び/最大面積を有するように定義される場合は、最小及び/最大面積はフィルターとして設定される。特定面積より大きい付着物の面積の百分率は、面積フィルターなしに計算される付着物の面積を、面積フィルターありで計算される付着物の面積で割ることにより計算される。
【0116】
積分された吸収値をローションの局所坪量値に変換する係数Fは、次の手順により決定される:既知のローションの平均坪量の較正試料の代表的セットが、上記のような分析に用いられるスペクトル域において走査され、W1とW2との間(主に炭化水素様物質について4296cm−1〜4368cm−1)の積分されたピーク面積について分析された。積分されたピーク面積は、係数Fが1と等しく設定される場合には、上記の手順から得られる。次にデータセットはエクセル(EXCEL)にインポートされ、このデータセットの平均ピクセル値が計算される。係数Fが1と等しく設定されているために、この値は、W1〜W2の波数域の試料の平均の積分ピーク面積(AIPA)と等しい。次に係数Fが、試料のAIPA対平均ローション坪量のプロットの原点を通る線形最小自乗近似のF=1/勾配として計算される。係数Fを決定するための較正試料を調製すること又は既存のローション付き試料を用いることができる。既存の試料を用いる場合には、ローションの坪量を抽出により決定することができる。こうした手順の例は、以下に与えられる。既存の試料(市販製品)を分析することにより、及び較正試料を調製することにより、係数Fをどのようにして決定するかについての例もまた以下に与えられる。分析に用いられる波長域の吸光度は、赤外線信号とローションの局所坪量との間の線形相関を確実にするために、約1を決して超えるべきでないことが重要である。
【0117】
較正試料を調製することによる係数Fの決定(ローションの実施例1の製品):
較正試料の調製:好ましくは、溶融したローションをティッシュ・ペーパーに均一に噴霧することにより、既知の面積、重量、及び坪量の基材の好適な部分がローションにより均一に処理される。好適な種類の装置は、ドイツのアイカーク(Aichach)のMKハイスヴァクステクニーク社(MK Heiswachstechnik GmbH)から入手可能なホットワックスカートリッジ噴霧ガンのタイプMK−デュオライン技術番号140101(MK-DUO Line Art.No. 140101)である。付与後、ローションは、試料を融点の約10℃高い温度で(又はシート中のローションの十分な平衡を可能にするのに好適な温度で)オーブン中に設置することにより平衡化される。相対的に低い粘度の試料については、約1時間の平衡で十分である。次に試料は室温に冷却され、23℃(+−1℃)及び相対湿度50%(+−2%)で水分含有量について平衡化され、再び秤量される。次にその試料のローションの坪量[g/平方メートルによる]が(ローション処理後の試料の重量[gによる]−ローション処理前の試料の重量[gによる])を試料の面積[平方メートルによる]で割ったものとして計算される。次に試料は上記の手順により分析されて係数Fを決定する。好ましくは較正試料は、測定される範囲を包含するローションの坪量の範囲で調製される。
【0118】
較正試料は、較正範囲内の線形性を確認するために用いられるべきである:図2に示される検量線は、ローションの実施例1のローションについて生成された。
【0119】
市販製品(クリネックス・バルサム(Kleenex Balsam)(登録商標)、ドイツでキンバリークラーク(Kimberly Clark)により販売される)の係数Fの決定:試料の坪量は標準手順により決定される。次に試料は、4296cm−1〜4368cm−1の間の平均の積分ピーク面積について、上記の手順により分析される。次に試料は以下に記載される手順により抽出され、ローションの付加を決定する。次に係数Fは次のように計算される。
【0120】
係数F=ローションの坪量[g/平方メートル]/平均積分ピーク面積
ローションが十分な量の直鎖炭化水素様物質を含有しない場合、又は基材が、4296cm−1〜4368cm−1の間のローションの定量化が可能でない物質を含有する場合には、IR分光法によりローションを定量化するのに好適である、赤外線又は近赤外線域の異なる波数域が特定されなければならない。基線の上の積分された吸収係数とローションの坪量との間の線形相関を有するいずれの波数域を用いることもできる。1を超える可能性のある波数域が特定できる場合には、ノイズ比に対して最良の信号を有する域が用いられる。ローションが、CH2基を有する直鎖炭化水素様物質に基づく場合はいつでも、4296cm−1〜4368cm−1の間の吸収バンドが用いられるべきである。
【0121】
本明細書で引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、本発明の特許性を損なうことを容認するものと解釈すべきではない。
【0122】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】記載方法により分析される時のローションを含むティッシュ・ペーパーの表面を表したものである。図1aは参照製品「クリネックス・バルサム(Kleenex Balsam)」。図1bは本発明のティッシュ・ペーパー製品(実施例1のローション)。
【図2】記載方法についての検量線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する第1の表面及び第2の表面を有するティッシュ・ペーパーであって、前記ティッシュ・ペーパーの少なくとも1つの表面にローションを含み、前記ローションが、前記第1の表面に離散された付着物で存在し、ここで前記付着物が、少なくとも11g/平方メートルの平均坪量を有するティッシュ・ペーパー。
【請求項2】
前記ティッシュ・ペーパーの前記ローションの坪量が、9g/平方メートル以下である、請求項1に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項3】
比R3が、
【数1】

として定義され、
前記比R3が、少なくとも5である、請求項1又は2のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項4】
前記ティッシュ・ペーパーの部分が前記ローションの影響を受け、比R4が、
【数2】

として定義され、
前記比R4が、0.4未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項5】
前記ティッシュ・ペーパーの部分が、前記ローションの影響を受け、比R1が、
【数3】

として定義され、
前記比R1が、0.15平方メートル/g未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項6】
比R2が、
【数4】

として定義され、
前記比R2が、少なくとも0.02である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項7】
付着物に影響を受ける面積の20%以上が、0.005平方ミリメートルより大きい付着物により覆われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項8】
2つの外部表面及び少なくとも2つの内部表面を有する少なくとも2つのプライの多プライ・ティッシュ・ペーパー製品であり、前記外部表面のいずれかが、前記いずれかの対応する内部表面より多くのローションを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパーを含むティッシュ・ペーパー製品。
【請求項9】
少なくとも1つの内部プライ及び2つの外部プライを有する少なくとも3つのプライの多プライ・ティッシュ・ペーパーであり、前記外部プライが、総合して前記ティッシュ・ペーパー製品のローション総量の60%(重量で)以上を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパーを含むティッシュ・ペーパー製品。
【請求項10】
前記ティッシュ・ペーパーの前記ローションの坪量が、少なくとも0.3g/平方メートルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項11】
前記ローションが、少なくとも30重量%のステアリルアルコール、少なくとも20重量%のペトロラタム及び少なくとも10重量%の鉱油を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項12】
前記ローションが、少なくとも50重量%の脂肪酸のスクロースエステル及び少なくとも10重量%のステアリルアルコールを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項13】
前記ローションが、0.01重量%〜5重量%の2−イソプロピル−N,2,3トリメチルブチルアミドを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパー。
【請求項14】
少なくとも1つの回転面を有するローション付与装置に隣接して連続的に走行するティッシュ・ペーパー・ウェブを準備する工程を含み、
前記ローションを1つの回転面上に転移する工程と;
主として前記回転面の回転の遠心力により前記ローションを前記回転面からローション液滴の流れの中に放出する工程と;
選択肢として、任意に、所望の付与の幅に適合するように調節された調節可能フラップにより、前記液滴の流れが放出される角度を低減する工程と;
前記ティッシュ・ペーパーにより前記ローション液滴の流れを捕捉し;任意に、前記ティッシュ・ペーパーにより捕捉されなかったローションを収集し、収集されたローションをリサイクルする工程と;
を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のティッシュ・ペーパーの製造方法。
【請求項15】
前記付与が、また、前記製造方法を促進することを目的とする静電手段の使用を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ローションが、固体、半固体、液体、又は半液体であり、前記回転面から液体又は擬似液体の形態で放出されると共に、前記ティッシュ・ペーパーによる捕捉後には固体又は擬似固体である、請求項14又は15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記液滴の少なくとも20%が、少なくとも3×10-4μLの容積である、請求項14〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記回転面及び任意に前記フラップの少なくとも2つの位置が、ローションなしの少なくとも1つのティッシュ・ペーパーのエリアに並列するローションを有する少なくとも1つのティッシュ・ペーパーのエリアを生じさせる、請求項14〜17のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−534386(P2007−534386A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509715(P2007−509715)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/014091
【国際公開番号】WO2005/106121
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】