説明

ロータリー作業機

【課題】リヤカバーを左右に揺動自在とする左右揺動部を着脱可能に備えるロータリー作業機を提供する。
【解決手段】トラクタのエンジンからの駆動力によって進行方向に回転する複数の耕耘爪と、耕耘爪を上方より覆うロータリーカバー16と、ロータリーカバー16の後端の略中央に取り付けられた、機体の幅方向に揺動可能な揺動部材を備える左右揺動部60と、中央部を揺動部材に取り付け、機体の前後進方向に回動可能なリヤカバー回動軸61と、リヤカバー回動軸61に固設されたリヤカバー17とを備え、左右揺動部60をリヤカバー回動軸61に着脱可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源からの駆動力によって回転する爪軸と、爪軸の半径方向外側に向けて突設された複数の耕耘爪と、耕耘爪を上方より覆うロータリーカバーと、ロータリーカバーの後端に、上下方向に回動自在に取り付けられたリヤカバーとを備えるロータリー作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリー作業機は、トラクタなどの後部に連結して耕耘作業などを行うものであり、トラクタからの駆動力によって回転する耕耘爪、耕耘爪を上方および前方から覆うロータリーカバー、耕耘爪の後部を覆うリヤカバー、リヤカバーの下端に固設された整地板などで構成されている。そして、耕耘爪を回転させて圃場の土の耕耘作業を行って不整地となった耕耘土を整地板で平坦化させていた。しかし、リヤカバーが前後方向(機体の進行方向)にのみ回動するため、リヤカバーは前後回動することで進行方向の起伏に対しては追随可能であるが、車幅方向(進行方向と直交する方向)の起伏に対しては追随することができず、整地する耕耘土の土厚が不均一となってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1のように、ロータリーカバーの後端の略中央に取り付けられた左右方向(機体の車幅方向)に回動可能な左右揺動部と、中央部を左右揺動部に固設されたリヤカバー回動軸と、リヤカバー回動軸に取り付けられたリヤカバーと、リヤカバーの下端に連結された整地板を備えるロータリー作業機が開示されている。この技術によると、リヤカバーは、機体の前後左右方向に自在に傾動することができるため、整地板が複雑な起伏の地形に追随することができ、耕耘土を均一の厚さで整地することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−56803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この特許文献1の技術では、左右揺動部が前記ロータリーカバーから着脱できない。このため、左右(車幅)方向にスイングする左右揺動部が磨耗した際、これを交換することができず、ロータリー作業機全体の使用年限を短くしてしまう恐れがあった。そこでこの発明は、リヤカバーを左右に揺動自在とする左右揺動部を着脱可能に備えるロータリー作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、動力源からの駆動力によって進行方向に回転する爪軸と、
該爪軸の半径方向に延設された複数の耕耘爪と、
該耕耘爪を上方より覆うロータリーカバーと、
該ロータリーカバーの後端の略中央に取り付けられた、機体の幅方向に揺動可能な揺動部材を備える左右揺動部と、
中央部を前記揺動部材に取り付け、前記機体の前後進方向に回動可能なリヤカバー回動軸と、
該リヤカバー回動軸に固設されたリヤカバーとを備えるロータリー作業機において、
前記揺動部材を前記リヤカバー回動軸に着脱可能に取り付けることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロータリー作業機において、前記ロータリーカバーの両側にそれぞれサイドフレームを固設し、
前記リヤカバー回動軸の両端を回動自在に支持する一対の回動軸ステーを、前記サイドフレームから張り出すように取り付け、
前記回動軸ステーに上下方向に延びた長孔を形成し、該長孔に前記リヤカバー回動軸の端部を遊嵌させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロータリー作業機において、前記回動軸ステーを前記サイドフレームに取り外し可能に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、動力源からの駆動力によって進行方向に回転する爪軸と、爪軸の半径方向に延設された複数の耕耘爪と、耕耘爪を上方より覆うロータリーカバーと、ロータリーカバーの後端の略中央に取り付けられた、機体の幅方向に揺動可能な揺動部材を備える左右揺動部と、中央部を揺動部材に取り付け、機体の前後進方向に回動可能なリヤカバー回動軸と、リヤカバー回動軸に固設されたリヤカバーとを備えるロータリー作業機において、揺動部材をリヤカバー回動軸に着脱可能に取り付ける。
【0010】
したがって、左右揺動部がロータリーカバーから着脱となり、左右揺動部を交換することができる。これによって、左右揺動部の消耗のためにロータリー作業機全体の使用年限を短くすることがなくなる。よって、リヤカバーを左右に揺動自在とする左右揺動部を着脱可能に備えるロータリー作業機を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ロータリーカバーの両側にそれぞれサイドフレームを固設し、リヤカバー回動軸の両端を回動自在に支持する一対の回動軸ステーをサイドフレームから張り出すように取り付け、回動軸ステーに上下方向に延びた長孔を形成し、長孔にリヤカバー回動軸の端部を遊嵌させる。これによって、リヤカバー回動軸が機体の幅方向に揺動する範囲を規制することができる。これによって、極端に大きな起伏があった場合には、リヤカバーがこれに追随して大きく揺動しないようにすることができ、リヤカバーが他の構成部品と接触して破損することを防止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、回動軸ステーをサイドフレームに取り外し可能に取り付けるので、揺動する範囲を規制されることなく、リヤカバー回動軸を機体の幅方向に揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一例のロータリー作業機の左後方からの斜視図である。
【図2】その、一部拡大図である。
【図3】(a),(b)は、左右揺動部の取り付けを説明するための図である。
【図4】(a)は左右揺動部の斜視図、(b)は連結板の斜視図、(c)は連結板と円筒部との取り付けを説明するための図、(d)は回動板の斜視図、(e)は回動部を基板に取り付けた状態を説明するための図である。
【図5】(a)はリヤカバー回動軸を回動軸ステーに遊嵌させた状態を示す図、(b)はリヤカバー回動軸とサイドリブの取り付けを説明するための図である。
【図6】ロータリー作業機を用いて耕耘作業をする様子を説明するための背面図であり、(a)はリヤカバーが右に傾動した状態を示す図、(b)はリヤカバーが左に傾動した状態を示す図である。
【図7】ロータリー作業機を用いて耕耘作業をする様子を説明するための側面図であり、(a)はリヤカバーが前に傾動した状態を示す図、(b)はリヤカバーが後に傾動した状態を示す図である。
【図8】この例のロータリー作業機の整地レベラーの右側の取付状況を説明するための図である、(a)は組み付けた図、(b)はリヤカバー単体の図、(c)は整地レベラー単体の図である。
【図9】この例のロータリー作業機の整地レベラーの左側の取付状況を説明するための図である、(a)は組み付けた図、(b)はリヤカバー単体の図、(c)は整地レベラー単体の図である。
【図10】整地レベラーが起伏に合わせて回動する様子を示す図である。
【図11】整地レベラーとリヤカバーの中央部を回動自在に連結する回動連結部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1に示すように、この発明の一例としてのロータリー作業機10には、トラクタのエンジン(動力源)からの駆動力を受ける入力軸11と、入力軸11の駆動力を直交方向(車幅方向)に伝えるギアボックスGBと、ギアボックスGBから車幅方向の両側に延設された伝動ケース12と、伝動ケース12に内装された伝達軸などを備える。また、伝動ケース12の両端にはそれぞれ、側板(サイドフレーム)30A,30Bを固設する。さらに、側板30Aには、伝動ケース13を固設する。この伝動ケース13上部には、前述の伝達軸の一端を回転自在に貫入して備え、その伝動軸の端部にはギアが固設されている。伝動ケース13内の下部には別のギアを備え、2つのギアの間には、チェーンが掛け回されている。なお、符号13Aは、伝動ケース13を路面から保護するための伝動ケースカバーである。
【0015】
伝動ケース13内の下部に配置されたギアの中心には不図示の爪軸の一端を固設する。爪軸は車幅方向全域にわたって延設され、爪軸の半径方向外側に向けて複数の耕耘爪(不図示)を突設する。したがって、入力軸11から入力された駆動力は、ギアボックスGBを介して伝達軸に伝えられ、伝達軸からチェーンを介して爪軸に伝達される。
【0016】
また、耕耘爪を上方より覆うようにロータリーカバー16を備える。ロータリーカバー16は、耕耘土の跳ね上がりを防止するためのものであり、その後端には、上下左右方向に対して回動自在に取り付けられたリヤカバー17を備える。リヤカバー17の下端には、整地レベラー(整地板)18が上下方向に回動自在に取り付けられる。
【0017】
なお、ロータリーカバー16の両側は側板30A,30Bに固設されている。また、ロータリーカバー16の外側面には、一対の補強リブ16A,16Aを進行方向に延びるように固設する。また、ギアボックスGBには上リンク部材H1が固設され、ギアボックスGBの両側に延設した伝動ケース12には、それぞれ下リンク部材H2,H3が固設されている。上リンク部材H1、下リンク部材H2,H3は、トラクタの後部に連結するためのものである。
【0018】
リヤカバー17の外側面には、一対の補強リブ21,21を上下方向に溶接によって固設する。補強リブ21の中央付近にはそれぞれ、ステー22を設ける。また、ロータリーカバー16の後端付近には一対のステー23をボルトで固定し、リヤカバー17のステー22,22との間に、それぞれサブロッド24,24を取り付ける。なお、サブロッド24の上端は、保持部材27を介してステー23に摺動自在に取り付けられている。保持部材27は金属板を側面視で略門型状に折り曲げて形成され、天面にはサブロッド24が摺動自在に貫通する貫通孔を設け、両側面には、固定ピンP1を貫通させるための貫通孔を設けてなる。サブロッド24の上端部外周には、コイルバネ25が備えられ、このコイルバネ25の抜け止めのためのスナップピンをサブロッド24の上端に掛け止める。コイルバネ25の下端は、保持部材27の天面に当接している。一方、サブロッド24の下端は、ステー22には回動自在に固定されている。なお、符号28はサイドカバー、符号29は、耕作面にスムーズに追随しやすくするためのスレッド部材である。
【0019】
図2に示すように、リヤカバー17の上端中央部とロータリーカバー16の後端中央部とは、左右揺動部60によって連結されている。また、この左右揺動部60には、リヤカバー回動軸61が固設されている。リヤカバー回動軸61はリヤカバー17の上端の裏側に機体の幅方向に沿って延設されている。その両端部は、それぞれ回動軸ステー62,62の長孔62LHに支持されている。回動軸ステー62は左右それぞれ、側板30A,30Bにボルトにて固設されている。長孔62LHは回動軸ステー62に上下方向(略鉛直方向)に延びて直線的に形成される。
【0020】
図3,4には、左右揺動部60の詳細な取り付けと詳細な構造を示す。左右揺動部60は金属製で、回動部60A、基板60C、取付板60B、回動板(揺動部材)60Dで構成される。回動部60Aは円筒状の外筒60AOに軸状の回動軸60AIを回動自在に内装してなる。回動軸60AIと外筒60AOとの間は、作動油によってスベリ軸受を形成してなる。回動部60Aは基板60C上に取付板60Bを用いて固設する。詳しくは、外筒60AOの外周に沿うように切り欠かれた2つの取付板60B,60Bを回動部60Aの長手方向に一定間隔で配置し、取付板60B,60Bの下端を基板60Cに溶接によって取り付ける。
【0021】
回動板60Dは、その略中央に貫通孔60DXを形成するとともに、貫通孔60DXの両側に貫通孔60DHをそれぞれ2つずつ形成してなる。貫通孔60DXには、回動軸60AIを嵌合させて溶接などで固定する。
【0022】
リヤカバー回動軸61の中央部外周には、円筒部64を備える。円筒部64は、金属製の円筒で形成され、リヤカバー回動軸61を回動自在に支持する。なお、円筒部64とリヤカバー回動軸61との間は、作動油によってスベリ軸受を形成してなる。円筒部64の外周には連結板64Aを固定する。連結板64Aは、その略中央に切り欠き64AXを形成するとともに、切り欠き64AXの両側に貫通孔64AHをそれぞれ2つずつ形成してなる。また、その下端に斜めに形成された底面64AAを備える。この底面64AAを円筒部64の外周に溶接などで固設する。
【0023】
基板60Cの四隅には貫通孔が形成されており、これと、ロータリーカバー16の後端の略中央に形成された貫通孔とを合わせて、ボルトBT1にて基板60Cを介して、左右揺動部60をロータリーカバー16に固定する。また、回動板60Dの貫通孔60DHと連結板64Aの貫通孔64AHとを合わせて、ボルトBT2で両者を締め付ける(このとき、回動軸60AIの先端は切り欠き64AXに位置する)。これによって、左右揺動部60をリヤカバー17に固定する。このように、左右揺動部60は、回動板(揺動部材)60Dにてリヤカバー回動軸61と着脱自在に取り付けられている。
【0024】
上記のように構成されるので、図3(a)において、リヤカバー回動軸61は、円筒部64に対しAB方向(すなわち、ロータリー作業機(機体)10の前後進方向)に回動可能である。加えて、リヤカバー回動軸61は、左右揺動部60の回動軸60AIの軸心に対してCD方向(すなわち、ロータリー作業機(機体)10の車幅方向)にも回動可能である。すなわち、リヤカバー17は、ロータリーカバー16に対して、上下方向(前後進方向)に回動可能であるとともに、左右方向(車幅方向)にも回動可能である。
【0025】
なお、リヤカバー回動軸61の左右方向(車幅方向)の回動範囲は回動軸ステー62によって規制されている。回動軸ステー62は、図5(a)に示すように、回動軸ステー62は金属板で形成され、上下方向に直線的に形成された長孔62LHを備える。回動軸ステー62,62はそれぞれ、側板30A,30Bにボルトによって固定されている。したがって、回動軸ステー62は、側板30A,30Bから取り外しが可能である。
【0026】
一方、リヤカバー回動軸61の両側の端部は、図5(b)に示すように、リヤカバー17のサイドリブ17Aの上端に固設されている。サイドリブ17Aは金属板で形成され、その上端部には貫通孔を備える。この貫通孔にリヤカバー回動軸61の端部61Tを所定量だけ貫通させて溶接などで両者を固定する。そして、端部61Tを長孔62LHに挿入する。なお、端部61Tは長孔62LH内で上下に移動自在、かつ、回動自在である。
【0027】
なお、左右揺動部60は、ボルトBT1にてロータリーカバー16に取り付けられているので、ボルトBT1を取り外すことによって各構成部材(たとえば、回動軸60AIなど)の交換が容易である。
【0028】
このように構成されたロータリー作業機10を用いて耕耘作業をする動作について、図1〜5を参照しつつ、図6,7を用いて説明する。まず、ロータリー作業機10をトラクタと連結する。詳しくは、トラクタのPTO軸を入力軸11と連結し、トラクタのエンジンの駆動力をロータリー作業機10に伝達可能とする。また、トラクタの後部に備えるヒッチと、上リンク部材H1、下リンク部材H2,H3とを連結する。
【0029】
そして、トラクタのエンジンをONにして、耕耘作業を開始する。入力軸11からの駆動力によって耕耘爪が回転し、圃場を耕耘する。不整地なった耕耘土は、ロータリー作業機10の後端に備える整地レベラー18によって整地される。ここで、地形が機体の車幅方向(ロータリー作業機10の車幅方向)に起伏している箇所では、図6(a),(b)に示すように、整地レベラー18が地形の起伏に追随しようとする。整地レベラー18と連結されたリヤカバー17は、左右揺動部60の回動軸60AIの軸心を中心として、整地レベラー18の左右傾動に合わせて車幅方向左右に揺動し、圃場の地形の起伏に合わせた整地を可能とする。なお、リヤカバー17の左右への回動角度は、上述のように、回動軸ステー62の長孔62LHの範囲に規制される。
【0030】
また、地形が機体の前後方向(ロータリー作業機10の前後進方向)に起伏している箇所では、図7(a),(b)に示すように、整地レベラー18が地形の起伏に追随しようとする。整地レベラー18とボルトを介して連結されたリヤカバー17は、リヤカバー回動軸61を中心として、整地レベラー18の上下動に合わせて前後方向(背面視で上下方向)に回動し、圃場の地形の起伏に合わせた整地を可能とする。
【0031】
なお、リヤカバー17の両側と整地レベラー18との取り付けは、図8,9のようであってもよい。リヤカバー17両側のサイドリブ(ガイド板)17A,17Aの下端にはそれぞれ、円弧状の長孔LHと丸孔H1が形成されている。一方、整地レベラー18の両側にはそれぞれ、取付リブ181,181を直立に形成する。取付リブ181には丸孔H2,H3が形成されている。そして、取付リブ181の丸孔H3とサイドリブ17Aの円孔H1とを合わせボルトBT2を挿入してナットにて締め付ける。このとき、取付リブ181とサイドリブ17AとがボルトBT2に対して回動自在となるようにする。次に、取付リブ181の丸孔H2とサイドリブ17Aの長孔LHとを合わせ、ボルト(棒状部材)BT1を挿入してナットをネジつける。このとき、取付リブ181とサイドリブ17AとがボルトBT1に対して回動自在となるようにネジ止めする。したがって、ボルトBT1は長孔LH内に遊嵌している。なお、ボルトBT1は、ナットを緩めることで、取り外し可能である。
【0032】
なお、サイドリブ17Aは、リヤカバー17の側部に沿って上から下まで連続して設けなくてもよい。例えば、回動支持ピンP2を取り付けるためのリブをリヤカバー17の上部両側に設けるとともに、長孔LHを形成するための別のリブをリヤカバー17の下部両側に設けるようにしてもよい。また、ボルトBT1は、これに限定されるものではなく、長孔LHに遊嵌する棒状の部材であればどのようなものでもよい。
【0033】
また、符号18A,18Bは、整地レベラーの延長部を示す。延長部18A,18Bは、回動連結部51を介して整地レベラー18と回動自在に連結されている。延長部18A,18Bは、必要に応じて、作業者が必要に応じて、適宜、手で矢印(図8(a),(c)、9(a),(c))方向に折り畳んだり、広げたりする(折り畳み自在)ことができる。なお、整地レベラー18の両端と延長部18A,18Bとの間にはそれぞれ、コイルバネ52,52の両端を取り付け、延長部18A,18Bを閉じる動作を容易にしている。
【0034】
さらに、整地レベラー18の後端には複数の溝部18Gが形成され、各溝部18Gの間に形成された凸部が整地用レーキとして機能し、耕耘土をきめ細かくならすことができる。
【0035】
このように構成された整地レベラー18は、図10に示すように、リヤカバー17のサイドリブ17Aに形成された長孔LHの範囲内で回動することが可能となる。なお、整地レベラー18の左右端の取付リブ181,181は、左右のサイドリブ17A,17Aと近接して配置されるので、整地レベラー18は、車幅方向に偏ることなく、左右均一に上下回動することができる。
【0036】
回動連結部41は、上記機構によって整地レベラー18が上下方向に回動する際、これをより確実に回動支持するためのものである。回動連結部41は、図11に示すように、回動支持リブ183、回動部184、固定部171などで構成される。回動支持リブ183は、一対の金属板片を所定の間隔で整地レベラー18に溶接にて固定してなる。回動支持リブ183の後端には貫通孔を備える。一方、固定部171は金属板片からなり、ボルトBT3にてリヤカバー17の中央後端に固設してなる。固定部171の後端には回動部184を固設する。回動部184は金属製の円筒からなり、その外周に固定部171の後端を溶接にて固定する。そして、回動部184の中心を回動支持リブ183の貫通孔と合わせ、固定ピンPNを通して回動部184と回動支持リブ183とを回動自在に取り付ける。このようにして、整地レベラー18は、その両端と中央部にてリヤカバー17に対して、上下方向に回動自在に取り付けられる。なお、符号184はハンドル(把持部)である。ハンドル184は、金属棒を折り曲げて形成され、その両端部を整地レベラー18の表面に溶接によって固定してなる。ハンドル184は、整地レベラー18の後端を上向きに持ち上げるときに使用するものであり、例えば、整地レベラー18の裏面の保守点検などを行う際に用いる。
【0037】
不整地なった耕耘土は、ロータリー作業機10の後端に備える整地レベラー18によって整地される。このとき、地形が隆起している(凸状地)箇所では、整地レベラー18は、圃場の隆起に追随して上方(前進方向)に向けて回動する。このとき、ボルトBT1が長孔LHに遊嵌しているため、整地レベラー18は長孔LHの範囲内で上方に向けて回動する。
【0038】
また、地形が窪んでいる(凹地)箇所では、整地レベラー18は、圃場の窪みに追随して下方(後進方向)に向けて回動する。このとき、ボルトBT1が長孔LHに遊嵌しているため、整地レベラー18は長孔LHの範囲内で下方に向けて回動する。すなわち、整地レベラー18は、長孔LHによって回動範囲を規制されている。
【0039】
前記ボルトBT1のナットを緩めてボルトBT1を長孔LHから取り外すことで、整地レベラー18は回動範囲の規制を解除することができる。このようにすると、より急傾斜な起伏の地形に追随して動作することができる。
【0040】
また、ボルトBT1を固く締め付けることで、整地レベラー18をリヤカバー17に対して固定するようにしてもよい。
【0041】
なお、上述の例では、ボルトBT1を長孔LHに遊嵌して、整地レベラー18の回動範囲を規制したが、この発明はこれに限定されるものではなく、ボルトに代えて、ピンなどを長孔LHに遊嵌させるようにして、整地レベラー18の回動範囲を規制するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 ロータリー作業機
16 ロータリーカバー
17 リヤカバー
30A,30B 側板(サイドフレーム)
41 回動連結部
60 左右揺動部
61 リヤカバー回動軸
60AI 回動軸
60D 回動板(揺動部材)
61T 端部
62 回動軸ステー
62LH 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源からの駆動力によって進行方向に回転する爪軸と、
該爪軸の半径方向に延設された複数の耕耘爪と、
該耕耘爪を上方より覆うロータリーカバーと、
該ロータリーカバーの後端の略中央に取り付けられた、機体の幅方向に揺動可能な揺動部材を備える左右揺動部と、
中央部を前記揺動部材に取り付け、前記機体の前後進方向に回動可能なリヤカバー回動軸と、
該リヤカバー回動軸に固設されたリヤカバーとを備えるロータリー作業機において、
前記揺動部材を前記リヤカバー回動軸に着脱可能に取り付けることを特徴とする、ロータリー作業機。
【請求項2】
前記ロータリーカバーの両側にそれぞれサイドフレームを固設し、
前記リヤカバー回動軸の両端を回動自在に支持する一対の回動軸ステーを、前記サイドフレームから張り出すように取り付け、
前記回動軸ステーに上下方向に延びた長孔を形成し、該長孔に前記リヤカバー回動軸の端部を遊嵌させることを特徴とする、請求項1に記載のロータリー作業機。
【請求項3】
前記回動軸ステーを前記サイドフレームに取り外し可能に取り付けることを特徴とする、請求項2に記載のロータリー作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−135223(P2012−135223A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287984(P2010−287984)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】