説明

ロータリー式換気ユニット

【課題】
一つの換気ユニットで外気のみ室内へ、外気を空調設備経由で室内へ、内気を空調設備経由で室内へと3通り空気流の換気が可能なロータリー式換気ユニットを提供する。
【解決手段】
建物内部に、横長で円筒形を有するエアフローチャンバー8に外気連通ダクト4と内気取入れダクト5と空調設備連通ダクト6と室内連通ダクト7とがそれぞれが導通されるように連結され、しかも4と7、5と6が互いに円筒形の軸芯に対し互いに対称形を為す位置にそれぞれ開口部が設けられ、円筒内を回転して開口部を塞ぐ回転ドラム19は大羽根13と小羽根14とを有し、それらは回転軸11に対して互いに対称位置に設けられ、大羽根13が5と7の開口部を同時に塞ぐ時、小羽根13は開口部を塞がず、大羽根13が5か7のいずれか1つ開口部を塞ぐ時、小羽根13はその対称位置にある開口部を塞ぐように構成されているロータリー式換気ユニット

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビル等における壁面の外気取入れ口部に設けられる複合換気ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
換気方法として従来から行われている最も単純な方法は窓や障子などを開閉して室内空気と外界の空気の入れ換えをする自然換気方法であるが、高層ビル等の窓は地上より風が強いため窓の開閉が出来ないような構造になっている場合が多く、そのほとんどはビル空調による集中システムが採用されている。しかしながら近年においてはエコ・ブームのこともあり、ビル空調においても自然換気方法を導入するための様々な工夫がされ、建物外壁に換気口を設け建物内外を連通させた風洞を設け風洞内に風量調整弁を設けた自然換気ユニット(特許文献1参照)や無目を利用して室内を換気する装置(特許文献2参照)などが提供されてきていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−232039号公報 図1〜図2
【0004】
【特許文献2】実開昭59−2807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら単に外部空気を流量調整しながら室内に送り込むだけの自然換気では非常に調整がしにくいという問題点があった。本発明は掛かる不都合を解決することを目的として提供されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる不都合を建造物内外の温度差や室内における上と下の温度差による自然な空気流による換気ユニットと空調設備とをドッキングさせる工夫をおこなうことによって簡単な構造で効率のよい室内空調も可能な循環構造の換気ユニットを提供するものである。
【0007】
すなわち本発明は一つには建物の内部と外部とが連通する外気取入れ口が設けられてなる建物において、この外気取入れ口に更に外気連通ダクトが組み込まれ、この外気連通ダクトと内気取入れダクトと空調設備連通ダクトと室内連通ダクトとが建物内部に設けられた横長で円筒形を有するエアフローチャンバーにそれぞれが導通されるように連結され、しかも前記外気連通ダクトと前記室内連通ダクト、前記内気取入れダクトと前記空調設備連通ダクトとが互いに前記エアフローチャンバーの軸芯に対し互いに対称形を為すようにそれぞれ開口部が設けられ、前記円筒形のエアフローチャンバー内には回転軸の両袖にフランジを有し両フランジ間には表面が円筒内径と略同一径を有する大羽根と軸心に対し対称位置側に小羽根が設けられて回転ドラムが形成され、この回転ドラムの大羽根はある時は内気取入れダクトと室内連通ダクトの2つの開口部を同時に塞ぎ、またある時は内気取り入れダクトあるいは室内連通ダクトのうちいずれか1つの開口部を塞ぎ、小羽根は前記大羽根が内気取り入れダクトあるいは室内連通ダクトのうち1つの開口部を塞ぐ場合のみ、その対称位置上にある開口部を塞ぐことが出来、前記大羽根あるいは小羽根のいずれか一方が少なくとも前記外気連通ダクトの開口部上に達して停止した際はこの開口部が水密気密性が保てるように構成され、空気の流れは外気を、空調設備を通して室内流出させるものと、外気を、直接室内連通ダクトを介して室内流出させるものと、内気を、空調設備を通して再度室内流出させるものとの3通りの空気流コントロールを操作可能にしてなることを特徴とするロータリー式換気ユニットであり、また一つは前記外気連通ダクトのエアフローチャンバー入口のエアフローチャンバー側の開口部周縁に密閉部材が設けられ、前記回転ドラムの大羽根あるいは小羽根が前記開口部周縁の密閉部材上に達した時、この密閉部材が押圧されてこの開口部が密封されることを特徴とするロータリー式換気ユニットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロータリー式換気ユニットはフランジと大羽根と小羽根との組み合わせによって構成された回転ドラムを回転させることにより外気をそのまま室内取り込みする自然換気、外気を空調設備経由させた上で室内へ送り込む機械換気、内気を空調設備経由させた上で室内へ戻す機械換気と一つの換気ユニットで3種類のバラエティに富んだ室内空調の方法を選択することが出来、またエアフローチャンバーが横長の円筒形状を有し、内部は羽根を有する回転式のドラムであるため構造が簡単で、設置面積が極めて小さく出来るという利点があり、その分コストが安価で済むという効果があり、特に外気導入の際には風雨や風圧により雨風が吹き込むことが想定されるため少なくともその部分のみを密閉部材を用いて密閉構造にすることより水密気密性が保たれるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明ロータリー式換気ユニットの建物および室内における取り付け状況を示す断面説明図。
【図2】図1から本発明実施例1のロータリー式換気ユニットのみを取り出した断面説明図で内気を空調設備へ導いた後、室内へ戻すための各パーツの位置関係を示す説明図。
【図3】回転ドラム19の斜視図。
【図4】回転ドラム19の回転軸とフランジを組付けした斜視図。
【図5】回転ドラム19の大羽根と小羽根の構成を示す斜視図。
【図6】実施例1の位置停止手段を説明するための斜視図。
【図7】実施例1の断面説明図で外気を直接、室内へ導くための各パーツの位置関係を示す説明図。
【図8】実施例1の断面説明図で外気を一旦空調設備へ導いた後、室内へ戻すための各パーツの位置関係を示す説明図。
【図9】実施例2の小羽根表面を示す斜視図。
【図10】実施例2の大羽根表面を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
本発明実施例1のロータリー式換気ユニット1は大羽根11の回転停止位置により3ウェイ方式のパターンがあり、空気の流れを白抜きの矢印で示す。まず、実施例1の構成を図に基づいて説明すると、実施例1は図1に示すような建物との関係位置で天井裏に設置するものである。建物の内部と外部とが連通する外気取入れ口2にあらかじめ外気取入れ口ダクト3が設けられてなる建物において、外気連通ダクト4と内気取入れダクト5と空調設備連通ダクト6と室内連通ダクト7とが建物内部に設けられた横長の円筒形を有するエアフローチャンバー8にそれぞれが導通されるように連結され、しかも外気連通ダクト4と室内導入ダクト7、内気取入れダクト5と空調設備連通ダクト6とが互いにエアフローチャンバー8の軸芯に対し互いに対称形を為すようにそれぞれ開口部が設けられ、空調設備連通ダクト6には更に空調用ダクト9が連結されて空調設備(図示せず)を経て室内へと導かれるように構成され、、室内連通ダクト7には更に室内用ダクト10が連結されて室内へと導かれるように構成されている。
【0011】
円筒形のエアフローチャンバー8内には図3〜図5に示すように回転軸11の両袖にフランジ12を有し両フランジ12、12間には表面が円筒内径と略同一径を有する大羽根13とその軸芯に対して反対側に同じく表面が円筒内径と略同一径を有する小羽根14が設けられ、この大羽根13はある時は内気取入れダクト5と室内連通ダクト7の2つの開口部を同時に塞ぎ、またある時は内気取り入れダクト5または室内連通ダクト7のうちどちらか1つの開口部を塞ぎ、小羽根14は大羽根13が内気取り入れダクト開口部5または室内導入ダクト開口部7のうちどちらか1つの開口部を塞ぐ場合のみ、回転軸11に対しその対称位置にある開口部を塞ぐことが出来るように構成されていることを特徴とする3ウェイのロータリー式換気ユニット1である。
【0012】
この換気ユニット1のエアフローチャンバー8の両側面フレーム15、15の円筒形の軸芯にあたる位置には貫通穴が設けられ、側面フレーム15に取り付けされた両軸受16、16によって回転部は支えられ、回転軸11の一方端には駆動モータ(図示せず)が連結され、他方端側に図6に示すように回転部の小羽根14側が所定位置A、B、Cで停止するように近接スイッチ17による停止位置検知手段が設けられている。また、この換気ユニット1の外気連通ダクト4のエアフローチャンバー8側における開口部周縁部には雨水や気流が漏れないように水密気密にするためのエアタイトゴム18が設けられ、回転軸11が回転して大羽根13あるいは小羽根14がそのエアタイトゴム18上に達して停止すると外気はエアフローチャンバー8内に入る事が完全に遮断されるように構成されている。
【0013】
次に実施例1の動作について説明する。図2の場合は換気ユニット1操作用スイッチ(図示せず)の内気→空調の操作ボタンを押した場合であって、この場合図6において回転軸11に設けられた取り付けブラケット21先端の磁石20は近接スイッチ17のA位置で停止することになり大羽根13は室内連通ダクト7の開口部を塞ぎ、小羽根14は外気連通ダクト4を塞いでおり、したがって、この場合、室内のあたたまった空気は内気取り入れダクト5の開口部からエアフローチャンバー8を経て空調設備連通ダクト6の開口部から空調用ダクト9を経て、空調設備を経た後、冷却されて再び室内へと戻る循環のコースをたどることになる。
【0014】
次に外気のみを室内導入する場合を説明すると、外気のみを室内導入する場合を説明すると、換気ユニット1操作用のスイッチ(図示せず)の外気→室内を押すと、回転軸11が回転し始め、図6において回転軸11に設けられた取り付けブラケット21先端の磁石20は近接スイッチ17のC位置で停止することになり、図7に示すような位置で大羽根13と小羽根14は停止する。そのため、外気が外気連通ダクト4を経てエアフローチャンバー8に入り、室内連通ダクト7の開口部から室内用ダクトを経て室内へと入ってゆくコースをたどることになる。
【0015】
次に外気のみを空調設備を通して室内に導入する場合の動作を説明すると、換気ユニット1操作用スイッチ(図示せず)の外気→空調を押すと、回転軸11が回転し始め、図6において回転軸11に設けられた取り付けブラケット21先端の磁石20は近接スイッチ17のB位置で停止することになり、図8に示すような位置で大羽根13と小羽根14は停止する。そのため、外気が外気連通ダクト4を経てエアフローチャンバー8に入り、空調連通ダクト6の開口部から空調用ダクトを経て空調設備へと導かれ、空調設備を経た後、冷却されて再び室内へ流入されるコースをたどることになる。
【0016】
このように換気ユニット1操作用スイッチ(図示せず)の選択ボタンを押すことにより、回転軸11が回転し、回転軸11に設けられた近接スイッチ17の磁石20があらかじめ設定されて設けられた3つの近接スイッチ17の設置位置A、B、Cうち1つを選択して停止し、上記3ウェイの空気流を確保することが出来、室内の適正な換気が確保されることが出来るのもである。
【0017】
本実施例1の場合、停止位置は近接スイッチによって決めたが、回転パルス計測から計算によって制御器内で位置決めしても良く、位置決め手段は他のいかなる方法を用いても構わない。
【実施例2】
【0018】
次に実施例2の構成について説明すると、実施例2は大羽根13と小羽根14の表面側の周縁部に密閉部材であるエアタイトゴム18を設けたものであり、図9に示すように小羽根14の表面は1つの開口部を塞ぐために周縁部にエアタイトゴム18が設けられたものであり、大羽根14の表面側には2つの開口部を同時に塞ぐ場合と1つの開口部を塞ぐ場合があるので図10に示すような形状にエアタイトゴム18が貼り付けられてなる。その他の構成については実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0019】
次に実施例2の動作について説明すると、換気ユニット1操作用スイッチ(図示せず)の内気→空調、外気→室内、外気→空調のいずれのスイッチを押した場合の動作はそれぞれ実施例1で説明した動作と一緒であるが、実施例2の場合は停止位置において塞がれた開口部はすべて密閉されることになり、空気の流れは漏れがなくなって、より鮮明な空気の流れとなる。
【符号の説明】
【0020】
1、換気ユニット
2、外気取入れ口
3、外気取入れダクト
4、外気連通ダクト
5、内気取入れダクト
6、空調設備連通ダクト
7、室内連通ダクト
8、エアフローチャンバー
9、空調用ダクト
10、室内用ダクト
11、回転軸
12、フランジ
13、大羽根
14、小羽根
15、側面フレーム
16、軸受
17、近接スイッチ
18、エアタイトゴム
19、回転ドラム
20、磁石
21、取り付けブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部と外部とが連通する外気取入れ口が設けられてなる建物において、この外気取入れ口に更に外気連通ダクトが組み込まれ、この外気連通ダクトと内気取入れダクトと空調設備連通ダクトと室内連通ダクトとが建物内部に設けられた横長で円筒形を有するエアフローチャンバーにそれぞれが導通されるように連結され、しかも前記外気連通ダクトと前記室内連通ダクト、前記内気取入れダクトと前記空調設備連通ダクトとが互いに前記エアフローチャンバーの軸芯に対し互いに対称形を為すようにそれぞれ開口部が設けられ、
前記円筒形のエアフローチャンバー内には回転軸の両袖にフランジを有し両フランジ間には表面が円筒内径と略同一径を有する大羽根と軸心に対し対称位置側に小羽根が設けられて回転ドラムが形成され、この回転ドラムの大羽根はある時は内気取入れダクトと室内連通ダクトの2つの開口部を同時に塞ぎ、またある時は内気取り入れダクトあるいは室内連通ダクトのうちいずれか1つの開口部を塞ぎ、小羽根は前記大羽根が内気取り入れダクトあるいは室内連通ダクトのうち1つの開口部を塞ぐ場合のみ、その対称位置上にある開口部を塞ぐことが出来、前記大羽根あるいは小羽根のいずれか一方が少なくとも前記外気連通ダクトの開口部上に達して停止した際はこの開口部が水密気密性を保てるように構成され、空気の流れは外気を、空調設備を通して室内流出させるものと、外気を、直接室内連通ダクトを介して室内流出させるものと、内気を、空調設備を通して再度室内流出させるものとの3通りの空気流コントロールを操作可能にしてなることを特徴とするロータリー式換気ユニット。
【請求項2】
前記外気連通ダクトのエアフローチャンバー入口のエアフローチャンバー側の開口部周縁に密閉部材が設けられ、前記回転ドラムの大羽根あるいは小羽根が前記開口部周縁の密閉部材上に達した時、この密閉部材が押圧されてこの開口部が密封されることを特徴とする請求項1記載のロータリー式換気ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−47571(P2011−47571A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196089(P2009−196089)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(397000160)株式会社豊和 (47)
【Fターム(参考)】