説明

ローダ

【課題】ウエハとダイシングフレーム付きウエハの双方に使用することができるローダを提供する。
【解決手段】本発明のローダ10は、複数のウエハWが収納された第1のカセットC1と複数のダイシングフレーム付きウエハDFWが収納された第2のカセットC2の双方を載置し得るロードポート12と、ウエハWとダイシングフレーム付きウエハDFWの双方を搬送し得るウエハ搬送機構14と、を備え、それぞれのウエハWの電気的特性検査を行う検査装置に用いられるローダ10であって、ロードポート12は、第1、第2のカセットC1、C2の双方を載置し得る移動体12Bと、第1のカセットC1が載置された時にのみ移動体12Bを初期位置からウエハ搬送機構14とのウエハWの受け渡し位置へ移動させる移動駆動機構12Cと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハの電気的特性検査を行う検査装置に用いられるローダに関し、更に詳しくは、ウエハを複数収納するカセットと同一サイズのウエハをダイシングフレームで支持したダイシングフレーム付きウエハを複数収納するカセットのようにサイズの異なるカセットに適用可能なローダに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程で製造されたデバイスの電気的特性検査を行う方法として、例えば、複数のデバイスが形成されたウエハを検査装置に供給し、ウエハ状態のまま各デバイスの電気的特性検査を行う方法がある。この種の検査装置は、例えば、ウエハをカセット単位で収納すると共にカセット内のウエハを搬送するローダを有するローダ室と、ローダ室からウエハを受け取ってウエハの電気的特性検査を行う検査室と、を備えている。
【0003】
ローダは、ウエハをカセット単位で収納する載置部と、載置部上のカセットと検査室との間でウエハを搬送するウエハ搬送機構と、を備えている。ウエハ搬送機構にはカセット内に収納された複数のウエハを一枚ずつ検出するマッピングセンサが装備され、カセットからウエハを搬出する前にマッピングセンサを用いてカセット内のウエハを確認している。カセット内のウエハをマッピングする時にはマッピングセンサがカセット正面の搬出入口まで接近し、マッピングセンサの発光素子と受光素子によってカセット内の各段で支持されているウエハWの存否を確認している。また、ローダにはカセット内から飛び出したウエハを検出する飛び出しセンサが配置され、ウエハ面の周縁部に光線を照射して飛び出しウエハを検出している。尚、以下では、ウエハを収納するカセットを第1のカセットと称す。
【0004】
また、近年、ウエハレベルパッケージやウエハの薄型化等に対応して、ダイシングフレームの片面に貼り付けられたシートの面上に粘着されたウエハ(以下、「ダイシングフレーム付きウエハ」と称す。)をそのまま検査装置に供給してウエハの電気的特性検査を行うことが多くなっている。この場合には、ダイシングフレーム付きウエハ用のカセット(以下、「第2のカセット」と称す。)をローダの載置部に載置し、第2のカセットからのダイシングフレーム付きウエハの飛び出しを検出し、飛び出しがない時にはダイシングフレーム付きウエハをマッピングした後、ウエハ搬送機構が第2のカセットと検査室との間でダイシングフレームを搬送する
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウエハとダイシングフレーム付きウエハはそれぞれの外径が異なり、飛び出しセンサやマッピングセンサによるウエハの検出位置が異なるため、ウエハとダイシングフレーム付きウエハとで固有の載置部を備えたローダを使用し、一つのローダを共用することができなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ウエハとダイシングフレーム付きウエハの双方に使用することができるローダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のローダは、複数のウエハが収納された第1のカセットと複数のダイシングフレーム付きウエハが収納された第2のカセットの双方を載置し得るロードポートと、上記第1のカセット内のウエハと上記第2のカセット内のダイシングフレーム付きウエハの双方を搬送し得る搬送機構と、を備え、上記各ウエハの電気的特性検査を行う検査装置に用いられるローダであって、上記ロードポートは、上記第1、第2のカセットの双方を載置し得る移動体と、上記第1のカセットが載置された時に上記移動体を初期位置から上記搬送機構との上記ウエハの受け渡し位置へ移動させる駆動機構と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のローダは、請求項1に記載の発明において、上記第2のカセットが上記移動体に載置された時には、上記移動体の初期位置が上記第2のカセット内のダイシングフレーム付きウエハの受け渡し位置になり、上記ダイシングフレーム付きウエハの受け渡し位置が上記ウエハの受け渡し位置と一致することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載のローダは、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記駆動機構は、シリンダ機構からなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載のローダは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記受け渡し位置で上記第1のカセット内のウエハまたは上記第2のカセット内のダイシングフレーム付きウエハをマッピングするマッピングセンサを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ウエハとダイシングフレーム付きウエハの双方に使用することができるローダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のローダの一実施形態で、第1のカセットを載置した時のローダの動作を説明する平面図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ図1に示すローダに第1、第2のカセットを載置した状態を示す側面図で、(a)は第1のカセットを載置した状態を示す図、(b)は第2のカセットを載置した状態を示す図ある。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ図2の(a)に示す第1のカセットがローダ上で移動する状態を説明するための側面図で、(a)は第1のカセットを載置した時の図、(b)は第1のカセットがウエハの受け渡し位置へ移動した時の図である。
【図4】第2のカセットを載置した時のローダを示す平面図である。
【図5】図4に示すダイシングフレーム付きウエハをマッピングする状態を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図5に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
【0014】
本実施形態のローダ10は、図1に示すように、支柱で四隅が支持された基台11と、基台11の中央部に移動可能に配置されたロードポート12と、基台11の右隣に回転可能で且つ昇降可能に配置された回転体13と、回転体13上面の中心を通る直線方向に沿って移動可能に設けられたウエハ搬送機構14及びマッピングセンサ15と、を備え、検査室(図示せず)に隣接して配置されている。また、ウエハ搬送機構14の左隣にはダイシングフレーム付きウエハDFWを一定方向に揃えるプリアライメント機構14Bが配置されている。
【0015】
ロードポート12は、図2の(a)、(b)に示すように、複数のウエハWを収納する第1のカセットC1(同図の(a)参照)と複数のダイシングフレーム付きウエハDFWを収納する第2のカセットC2(同図の(b)参照)の双方を載置できるように構成されている。このロードポート12は、回転駆動機構(図示せず)を介して第1、第2のカセットC1、C2の供給位置(白抜きの矢印がカセットの供給方向を示す)とウエハ搬送機構14によるウエハWまたはダイシングフレーム付きウエハDFWの受け渡し位置との間で正逆方向に回転するように構成されている。また、回転体13は、矢印θ1に示すように回転駆動機構(図示せず)を介して正逆方向に回転し、ウエハ搬送機構14の向きをロードポート12、検査室及びプリアライメント部などの方向に転換できるように構成されている。
【0016】
而して、ロードポート12は、図1及び図2の(a)、(b)に示すように、円形に形成された載置台12Aと、載置台12A上で中心を通る直線方向に移動する矩形状の移動体12Bと、移動体12Bに連結された移動体駆動機構12Cと、移動体12Bの上面に配設されたカセット固定機構12Dと、を備えている。移動体12Bは、例えばその裏面に形成された溝(図示せず)が載置台12A上に配置されたリニアガイド(図示せず)に係合し、リニアガイドに従って直進する。あるいは、移動体12Bは、載置台12Aの上面に形成された幅広の浅いガイド溝に嵌合し、浅いガイド溝に従って直進するようにしても良い。要は、移動体12Bが載置台12A上で直線方向に所定の範囲で移動する構造であれば、特に制限されない。
【0017】
図2の(a)、(b)に示すように、載置台12Aの上面12Aには移動体12Bの移動方向に従って長孔12Aが形成され、この長孔12Aを介して移動体12Bと移動体駆動機構12Cが連結されている。即ち、移動体駆動機構12Cはシリンダ機構からなり、シリンダ機構のロッド先端に移動体12Bに連結された連結部材12Eが固定されている。移動体駆動機構12Cは、ロッドが伸縮し移動体12Bを直線方向に距離Lの範囲で移動させる。つまり、図2の(a)に示すように移動体駆動機構12Cのロッドが最も伸びた位置が移動体12Bの初期位置になり、ロッドが最も縮んだ位置がウエハWの受け渡し位置になる。この受け渡し位置は、第1、第2のカセットC1、C2で共通している。また、移動体駆動機構12Cは、同図に示すように載置台12Aの下面12A上に設けられている。
【0018】
距離Lは、ウエハWの外径とこれと同一サイズのウエハWを持つダイシングフレーム付きウエハDFWの外径によって設定される。例えば、ウエハWの外径が300mmで、ダイシングフレーム付きウエハDFWの外径が400mmの時には、距離Lは27mmに設定される。
【0019】
また、ウエハ搬送機構14は、例えば、図1に示すようにウエハWまたはダイシングフレーム付きウエハDFWを水平に吸着保持するハンド14Aと、ハンド14Aを進退動させる駆動機構(図示せず)を備え、回転体13上で直線方向に移動するように構成されている。マッピングセンサ15は、同図に示すように、平面形状がコ字状の支持体15Aと、支持体15Aの先端部で互いに対向する面にそれぞれ固定された発光素子15B及び受光素子15Cと、支持体15Aを進退動させる駆動機構(図示せず)と、を有し、例えばウエハ搬送機構14のハンド14Aの前方に配置されている。マッピングセンサ15は、図1に実線で示す位置から一点鎖線で示すウエハWの受け渡し位置まで進出し、ウエハWの外周面の一部を発光素子15Bと受光素子15Cによって挟んで光線Rが遮断されたか否かによってウエハWの存否を検出する。
【0020】
而して、第1のカセットC1をロードポート12に載置すると、図2の(a)に示すように第1のカセットC1がカセット固定機構12Dを介して移動体12B上に固定される。また、第2のカセットC2をロードポート12に載置すると、図2の(b)に示すように第2のカセットC2がカセット固定機構12Dを介して第1のカセットC1と同様に移動体12B上に固定される。図2の(a)、(b)からも明らかなように、移動体12B上に載置された第1のカセットC1の搬出入口のある正面と、第2のカセットC2の搬出入口のある正面との間には距離Lの差がある。第2のカセットC2の正面がウエハ搬送機構14によるダイシングフレーム付きウエハDFWの受け渡し位置になる。また、この受け渡し位置が第1のカセットC1内のウエハWの受け渡し位置にするために、移動体12Bを使用する。
【0021】
即ち、第1のカセットC1を使用する時には、第1のカセットC1をロードポート12上に載置した初期位置では、図1、図3の(a)に示すように第1のカセットC1の正面がウエハWの受け渡し位置よりも距離Lだけ後退した位置にある。この位置では第1のカセットC1内のウエハWは、図1に実線で示すように最も進出したマッピングセンサ15によるウエハWの検出位置から離れており、ウエハWをマッピングすることができない。そこで、図3の(a)に白抜きの矢印で示すように第1のカセットC1が移動体12Bを介して距離Lだけ進出し、図3の(b)で示すように第1のカセットC1がウエハWの受け渡し位置に達する。この位置では図1に一点鎖線で示すように第1のカセットC1内のウエハWをマッピングセンサ15によってマッピングすることができる。
【0022】
また、ウエハWの受け渡し位置にある第1のカセットC1の正面のやや前方には、第1のカセットC1から飛び出したウエハWを検出するウエハ飛び出しセンサ(図示せず)が配置されている。ウエハ飛び出しセンサは、第1のカセットCの正面のやや前方の上下に配置された発光素子と受光素子を有し、上下の発光素子と受光素子とで第1のカセットC1から飛び出したウエハWを挟み、発光素子からの光線Rを遮断するか否かで飛び出したウエハWの存否を確認する。従って、ウエハ飛び出しセンサは、第1のカセットC1が初期位置にある時には第1のカセットC1から飛び出したウエハWを検出することができない。
【0023】
一方、第2のカセットC2をロードポート12に載置すると、図4に示すように第2のカセットC2内のダイシングフレーム付きウエハDFWがその受け渡し位置にあるため、その位置でダイシングフレーム付きウエハDFWの飛び出しを検出することができ、また、ダイシングフレーム付きウエハDFWをマッピングすることができる。尚、図4には受け渡し位置にあるウエハWも一点鎖線で示してある。
【0024】
更に、第1のカセットC1をウエハWの受け渡し位置まで移動させるようにしたため、第1のカセットC1としてFOUPを利用しても、その蓋を開けるオープナ(図示せず)をロードポート12とウエハ搬送機構14の境界に設置することができる。
【0025】
図5は第2のカセットC2内のダイシングフレーム付きウエハDFWをマッピングする時のダイシングフレーム付きウエハDFWとマッピングセンサ15の位置関係を示している。また、同図には第1のカセットC1が受け渡し位置まで移動した時のウエハW(同図では一点鎖線で示してある)とマッピングセンサ15との関係も示してある。このように受け渡し位置では、移動後の第1のカセットC1内のウエハWと移動しない第2のカセットC2内のダイシングフレーム付きウエハDFWとは受け渡し位置が一致し、ウエハWの外周円がダイシングフレーム付きウエハDFWの外周円に内接し、いずれもマッピングセンサ15によって検出することができる。
【0026】
以上説明したように本実施形態によれば、複数のウエハWが収納された第1のカセットC1と複数のダイシングフレーム付きウエハDFWが収納された第2のカセットC2の双方を載置し得るロードポート12と、ウエハWとダイシングフレーム付きウエハDFWの双方を搬送し得るウエハ搬送機構14と、を備え、それぞれのウエハWの電気的特性検査を行う検査装置に用いられるローダ10であって、ロードポート12は、第1、第2のカセットC1、C2の双方を載置し得る移動体12Bと、第1のカセットC1が載置された時にのみ移動体12Bを初期位置からウエハ搬送機構14のウエハWの受け渡し位置へ移動させる移動駆動機構12Cと、を有するため、第1のカセットC1を使用する時には第1のカセットC1を移動体12B及び移動体駆動機構12Cを介してウエハWの受け渡し位置まで移動させることができ、第1のカセットC1内のウエハWのマッピングをマッピングセンサ15によって確実に行うことができる。また、移動後の第1のカセットC1がウエハWの受け渡し位置にあるため、ウエハ飛び出しセンサによって第1のカセットC1から飛び出したウエハWを確実に検出することができる。更に、第1のカセットC1がウエハWの受け渡し位置まで移動できるため、第1のカセットC1としてFOUPを用い、受け渡し位置にオープナを設けることができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、第2のカセットC2が移動体12Bに載置された時には、移動体12Bの初期位置が第2のカセットC2内のダイシングフレーム付きウエハDFWの受け渡し位置になり、この受け渡し位置がウエハWの受け渡し位置と一致するため、第2のカセットC2を使用する時にはそれを移動体12Bに載置するだけで第2のカセットC2内のダイシングフレーム付きウエハDFWをマッピングすることができ、ダイシングフレーム付きウエハDFWの飛び出しを検出することができる。また、本実施形態によれば、移動体駆動機構12Cがシリンダ機構からなるため、簡単且つ低コストで移動体12Bを駆動することができる。
【0028】
尚、本発明は、上記実施形態に何ら制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を適宜設計変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ウエハの検査をする検査装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 ローダ
12 ロードポート
12B 移動体
12C 移動体駆動機構(駆動機構)
14 ウエハ搬送機構(搬送機構)
15 マッピングセンサ
W ウエハ
DFW ダイシングフレーム付きウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウエハが収納された第1のカセットと複数のダイシングフレーム付きウエハが収納された第2のカセットの双方を載置し得るロードポートと、上記第1のカセット内のウエハと上記第2のカセット内のダイシングフレーム付きウエハの双方を搬送し得る搬送機構と、を備え、上記各ウエハの電気的特性検査を行う検査装置に用いられるローダであって、上記ロードポートは、上記第1、第2のカセットの双方を載置し得る移動体と、上記第1のカセットが載置された時に上記移動体を初期位置から上記搬送機構との上記ウエハの受け渡し位置へ移動させる駆動機構と、を有することを特徴とするローダ機構。
【請求項2】
上記第2のカセットが上記移動体に載置された時には、上記移動体の初期位置が上記第2のカセット内のダイシングフレーム付きウエハの受け渡し位置になり、上記ダイシングフレーム付きウエハの受け渡し位置が上記ウエハの受け渡し位置と一致することを特徴とする請求項1に記載のローダ。
【請求項3】
上記駆動機構は、シリンダ機構からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローダ。
【請求項4】
上記受け渡し位置で上記第1のカセット内のウエハまたは上記第2のカセット内のダイシングフレーム付きウエハをマッピングするマッピングセンサを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−66368(P2011−66368A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218244(P2009−218244)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】