説明

ローラコンベアポート及び搬送材の位置決め方法

【課題】 搬送材をローラコンベアポートの停止位置に精度良く停止できるローラコンベアポート及び搬送材の位置決め方法を提供する。
【解決手段】 搬送方向Cに向けて延びる駆動ローラモジュール21と、駆動ローラモジュール21の制御装置22と、搬送材55の位置を検出する位置検出手段41、42とからなるローラコンベアポート20であって、少なくとも一対の位置検出手段41、42が搬送方向Cに縦列に配置され、一方の位置検出手段41が検出状態となり、他方の位置検出手段42が非検出状態となったことを以って、搬送材55が停止位置40まで搬送されたと判断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送材を所定の停止位置に精度良く停止できるローラコンベアポート及び搬送材の位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造工場においては、半導体基板が収容されたキャリアなどを搬送する搬送システムとして、OHS(Over Head Shuttle)、OHT(Over Hoist Transport)及びローラコンベアが広く使用されている(特許文献1参照)。
ここで、ローラコンベアにおいては、半導体装置やストッカーの手前にローラコンベアポートが設けられ、このローラコンベアポートに静置されたキャリアが、移載ロボットを使用して半導体装置やストッカーに移載されるのである。この移載ロボットによる移載作業を安定的に行うためには、ローラコンベアポート上におけるキャリアの停止位置精度が問題となる。
【0003】
図9に、従来のローラコンベアポートの一例を示す。
ローラコンベアポート1は、駆動ローラモジュール2と、この駆動ローラモジュール2の制御装置3と、フォトセンサ4とを有している。
駆動ローラモジュール2は、複数の駆動ローラ5と、この駆動ローラ5の駆動手段6と、駆動ローラ5に対向するように配置された従動ローラ7と、駆動ローラ5及び従動ローラ7を支持するローラ支持フレーム8とを有する。
【0004】
一対のローラ支持フレーム8が互いに対向するように平行に、かつ、搬送方向Cに向けて延びるように配置されている。
ローラ支持フレーム8には、複数のローラ軸9が回動自在に支持されており、このローラ軸9の外周面に荷受部10が設けられ、この荷受部10のローラ支持フレーム8側には、荷受部10よりも一段大径の鍔部11が形成されている。
【0005】
駆動ローラ5が支持されるローラ支持フレーム8には、駆動ローラ5を駆動する駆動手段6として、モータ12とこのモータ12の駆動軸とローラ軸9とを連結するタイミングベルト13とタイミングベルト13の張力を維持するテンションローラ14とが備えられている。
【0006】
また、ローラコンベアポート1に備えられたフォトセンサ4は、発光素子4Aと受光素子4Bとから構成されている。ローラ支持フレーム8にセンサホルダ15が設けられ、駆動ローラ5が支持されるローラ支持フレーム8のセンサホルダ15に発光素子4Aが固定され、従動ローラ7が支持されるローラ支持フレーム8のセンサホルダ15に受光素子4Bが固定されている。そして、この発光素子4Aから照射されるビーム16の位置がキャリア18の停止位置17とされている。
【0007】
このように構成されたローラコンベアポート1では、駆動ローラ5及び従動ローラ7の荷受部10上にキャリア18が載置される。この状態で、モータ12を駆動させることによりタイミングベルト13が周回移動し、複数の駆動ローラ5が同期して回転して駆動ローラ5及び従動ローラ7の上に載置されたキャリア18が搬送方向Cに向けて搬送されることになる。
【0008】
キャリア18がフォトセンサ4の部分まで搬送されて、発光素子4Aから照射されているビーム16をキャリア18が遮断してフォトセンサ4から出力信号を得た時点でモータ12を停止させて、キャリア18を停止位置17で停止させるものである。
【特許文献1】特表2003−524544号公報
【特許文献2】特開2001−31235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ひとつのフォトセンサ4を備えた従来のローラコンベアポート1では、発光素子4Aからのビーム径及びビームの指向性の問題から、停止位置17に対して精度良く、例えば±1mmの範囲内で停止させることは困難であった。
また、モータ12を停止させた後も慣性力によってキャリア18が動いてしまい、停止位置17を越えてしまう場合があった。これを防止するために、キャリア18を早期に検出できるようにフォトセンサ4の検出レベルを過度に低くした場合には、キャリア18が停止位置17よりも手前側で停止してしまうことがあった。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、搬送材をローラコンベアポートの停止位置に精度良く停止できるローラコンベアポート及び搬送材の位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、搬送方向に向けて延びる駆動ローラモジュールと、該駆動ローラモジュールの制御装置と、搬送材の位置を検出する位置検出手段とからなるローラコンベアポートであって、少なくとも一対の前記位置検出手段が前記搬送方向に縦列に配置され、一方の前記位置検出手段が検出状態となり、他方の前記位置検出手段が非検出状態となったことを以って、前記搬送材が停止位置まで搬送されたと判断することを特徴としている。
【0012】
この構成のローラコンベアポートによれば、一対の位置検出手段が搬送方向に配置されており、2つの位置検出手段によって搬送材の停止位置を決定するので、ひとつの位置検出手段で決定する場合に比べて、搬送材を所定の停止位置に精度良く停止させることができる。よって、例えば移載ロボットなどによる搬送材の受け渡し作業を安定して行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記位置検出手段が位置検出センサであるとともに、一方の前記位置検出センサと他方の前記位置検出センサとが、互いに異なる出力信号を発信することを特徴としている。
この構成のローラコンベアポートによれば、一対の位置検出センサが配置されているので、一対の位置検出センサ間に搬送材の先端部が位置するようにして搬送材を停止させることができる。ここで、他方の位置検出センサによって搬送材が停止位置を越えたことを検出できるので、一方の位置検出センサの検出レベルを高くして搬送材の検出タイミングを遅くすることができ、搬送材が停止位置の手前側で停止することを防止でき、搬送材を精度良く停止させることができる
また、位置検出センサ間の距離を小さくすることにより、搬送材の停止位置のばらつきを小さく抑えることができる。
【0014】
また、一方の位置検出センサと他方の位置検出センサとが、検出状態及び非検出状態で互いに異なる出力信号を発信する構成とされているので、一方の位置検出センサと他方の位置検出センサがともにハイレベル(H)出力信号を発信したときに搬送材が停止位置に載置されたと判断して、搬送材を次の工程に移行させることできる。したがって、ノイズや回路トラブルによってローレベル(L)出力信号が発信されても次の工程に移行しないため、誤動作を避けることができ、ローラコンベアポートの動作を安定して行うことができる。
また、一対の位置検出センサが設けられているので、1つの位置検出センサが故障した場合に、これらの位置検出センサの出力信号のパターンを解析することにより位置検出センサの故障を早期に確認することができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記位置検出センサが、発光素子と受光素子とからなるフォトセンサであり、一方の前記フォトセンサと他方の前記フォトセンサとで前記発光素子と前記受光素子とが互いに異なる配置とされていることを特徴としている。
この構成のローラコンベアポートによれば、発光素子と受光素子とで構成されたフォトセンサによって搬送材の位置検出を行うことができる。また、一方のフォトセンサと他方のフォトセンサとで発光素子と受光素子との配置を逆にしているので、例えば一方のフォトセンサの発光素子から照射されたビームを他方のフォトセンサの受光素子が受けて誤作動するおそれがなく、この2つのフォトセンサ間の距離を小さくすることができる。よって、搬送材の停止位置精度をさらに向上させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記位置検出センサが、超音波発信機と超音波受信機とから構成されていることを特徴としている。
この構成のローラコンベアポートによれば、超音波発信機と超音波受信機とによって搬送材の位置検出を確実に行うことができ、搬送材を停止位置に精度良く停止させることができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、前記位置検出センサが磁気センサで構成され、前記搬送材に磁性部材が備えられていることを特徴としている。
この構成のローラコンベアポートによれば、搬送材に備えられた磁性部材を磁気センサによって検出できるので、搬送材の位置検出を確実に行うことができ、搬送材を停止位置に精度良く停止させることができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記搬送方向に配置された一対の前記位置検出手段が、前記搬送材に設けられた検出部材と、該検出部材に形成された透過孔と、ひとつのフォトセンサとで構成されていることを特徴としている。
この構成のローラコンベアポートによれば、検出部材又は搬送材によって発光素子からのビームが一度遮断された後に、透過孔によってビームが通過して受光素子に届くことになる。ここで、発光素子からのビームが遮断された出力信号を受けた時点でローラコンベアの停止準備をして、透過孔を検出した時点で停止させることにより、搬送材を停止位置に精度良く停止させることができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、搬送方向に延びるローラコンベアによって搬送される搬送材の停止位置を決定する搬送材の位置決め方法であって、少なくとも一対の位置検出手段が前記搬送方向に縦列に配置され、一方の前記位置検出手段が検出状態となり、他方の前記位置検出手段が非検出状態となったことを以って、前記搬送材が前記停止位置まで搬送されたと判断することを特徴としている。
この構成の位置決め方法によれば、2つの位置検出手段を使用することにより搬送材の停止位置を精度良く決定することができる。
【発明の効果】
【0020】
上述のように、本発明によれば、搬送材をローラコンベアポートの停止位置に精度良く停止させることができるローラコンベアポート及び搬送材の位置決め方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1から図3に本発明の第1の実施形態であるローラコンベアポートを示す。図4に本発明のローラコンベアポートが用いられる例えば半導体製造工場の搬送システム全体を示す。
図4に示す搬送システム50は、工場内を大きく周回する工程間軌道51と、この工程間軌道51から分岐するように設けられた4つの工程内軌道52とを有する。
【0022】
工程間軌道51は、上面視して長方形をなしており、4つの直線コンベア53とこれら直線コンベア53が交差する部分にコーナターンテーブル54が備えられている。この直線コンベア53の上には、半導体基板が収容されたキャリア55が載置されており、このキャリア55が直線コンベア53上を移動し、コーナターンテーブル54で90°回転されることで、工程間軌道51を周回できる構成とされている。本実施形態では、図4に示すようにキャリア55は周回方向Xに向けて周回移動されている。
【0023】
工程間軌道51と工程内軌道52との間には、工程間軌道51と工程内軌道52とを連結する一対の軌道間ポート57が設けられており、工程間軌道51及び工程内軌道52のうち軌道間ポート57と連接する部分にはそれぞれターンテーブル56が備えられている。工程間軌道51を周回するキャリア55が工程間軌道51に備えられたターンテーブル56の上に載置されて90°回転され、軌道間ポート57を介して工程内軌道52に備えられたターンテーブル56に搬送される。このようにして、キャリア55が工程間軌道51から工程内軌道52へと移送される。
【0024】
工程内軌道52は、図4に示すように上面視して長方形をなしており、4つの直線コンベア53とこれら直線コンベア53が交差する部分にコーナターンテーブル54が備えられており、キャリア55が工程内軌道52を周回方向Yに向けて周回する構成とされている。また、工程内軌道52には、直線コンベア53から分岐するように複数(本実施形態では図4に示すように6つ)の半導体装置58が備えられている。
【0025】
工程内軌道52と半導体装置58との間には、搬入ターンテーブル59、搬入コンベアポート60及び搬出コンベアポート61、搬出ターンテーブル62が設けられている。工程内軌道52を搬送されてきたキャリア55が搬入ターンテーブル59で90°回転され、搬入コンベアポート60へ移送される。ここで、図示しない移載ロボットによりキャリア55が半導体装置58の中に移載される。半導体装置58で加工等された後に、キャリア55が搬出コンベアポート61に載置され、搬出ターンテーブル62を介して工程内軌道52へと戻る。そして、次の半導体装置58へと搬送されていく。
【0026】
工程内軌道52内での加工が終了したキャリア55は、工程内軌道52に備えられたターンテーブル56の上に載置されて90°回転され、軌道間ポート57を介して工程間軌道51に備えられたターンテーブル56に搬送される。これにより、キャリア55が工程内軌道52から工程間軌道51へと移送され、次工程へと移送されていくのである。
【0027】
ここで、半導体装置58への搬入コンベアポート60として、図1に示すローラコンベアポート20が使用される。
ローラコンベアポート20は、駆動ローラモジュール21と、この駆動ローラモジュール21の制御装置22とを有しており、位置検出センサとして一対のフォトセンサ41、42が備えられている。
駆動ローラモジュール21は、複数の駆動ローラ23と、この駆動ローラ23の駆動手段24と、駆動ローラ23に対向するように配置された従動ローラ25と、駆動ローラ23を支持する駆動ローラ支持フレーム26と、従動ローラ25を支持する従動ローラ支持フレーム27とを有する。
【0028】
図1及び図2に示すように、駆動ローラ支持フレーム26と従動ローラ支持フレーム27とが互いに対向するように平行に、かつ、搬送方向Cに向けて延びるように配置されている。
駆動ローラ支持フレーム26には、複数のローラ軸28が回動自在に支持されており、このローラ軸28の外周面に荷受部29が設けられ、この荷受部29の駆動ローラ支持フレーム26側には、荷受部29よりも一段大径の鍔部30が形成されている。また、荷受部29の外周面には円筒状のウレタンゴム31が嵌合されている。
【0029】
また、駆動ローラ支持フレーム26には、駆動ローラ23を駆動する駆動手段24が備えられている。駆動手段24は、図3に示すように、モータ32とこのモータ32の駆動軸33に固定されたスプロケット34とローラ軸28に備えられた歯付プーリ35とテンションローラ36とこれらスプロケット34、歯付プーリ35及びテンションローラ36を連結するタイミングベルト37とで構成されている。
【0030】
タイミングベルト37は無端ベルトとされており、内周面が歯付プーリ35及びスプロケット34の外周面に形成された歯部と係合可能な歯状面とされ、外周面は平滑面とされている。タイミングベルト37の内周面が歯付プーリ35及びスプロケット34に係合されるとともに、外周面にテンションローラ36が掛合されている。
【0031】
また、従動ローラ支持フレーム27には、駆動ローラ支持フレーム26と同様にローラ軸28、荷受部29、鍔部30及びウレタンゴム31が備えられている。
【0032】
このローラコンベアポート20には、位置検出センサとして、一対のフォトセンサ41、42が備えられている。フォトセンサ41、42は発光素子41A、42Aと受光素子41B、42Bとから構成されており、発光素子41A、42Aから照射されるビーム43を受光素子41B、42Bが受けることで発光素子41A、42Aと受光素子41B、42Bとの間に物体が存在するか否かを判断するものである。
また、フォトセンサ41、42では、物体の有無を検出する際のスレッシュホールド値を調整することにより、検出レベルを調整することができる。
【0033】
第1フォトセンサ41は、駆動ローラ支持フレーム26に設けられたセンサホルダ38に発光素子41Aが固定され、対向する従動ローラ支持フレーム27に設けられたセンサホルダ38に受光素子41Bが固定されている。一方、第2フォトセンサ42は、駆動ローラ支持フレーム26に設けられたセンサホルダ38に受光素子42Bが固定され、対向する従動ローラ支持フレーム27に設けられたセンサホルダ38に発光素子42Aが固定されている。
つまり、第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42とで、発光素子41A、42Aと受光素子41B、42Bとが互いに異なるように配置されているのである。
【0034】
本実施形態では、図1に示すようにキャリア55の停止位置40を挟み込むようにして一対のフォトセンサ41、42が配置されている。停止位置40よりも搬送方向C後方側、つまり停止位置40よりも手前側に第1フォトセンサ41が配置され、停止位置40よりも搬送方向C前方側、つまり停止位置40よりも奥側に第2フォトセンサ42が配置されているのである。
【0035】
また、第1フォトセンサ41では、受光素子41Bがビーム43を受けている場合にはローレベル(L)出力信号を発信し、物体を検出した場合にハイレベル(H)出力信号を発信するように構成されている。一方、第2フォトセンサ42では、第1フォトセンサ41とは逆に、受光素子42Bがビーム43を受けている場合にはハイレベル(H)出力信号を発信し、物体を検出した場合にローレベル(L)出力信号を発信するように構成されている。
【0036】
このように構成されたローラコンベアポート20では、駆動ローラ23及び従動ローラ25のウレタンゴム31の上にキャリア55が載置される。この状態で、モータ32の駆動軸33を駆動させることによりスプロケット34が回転され、この回転に伴ってタイミングベルト37が周回移動し、複数の駆動ローラ23が同期して回転することになり、駆動ローラ23及び従動ローラ25の上に載置されたキャリア55が搬送方向Cに向けて搬送される。ここで、駆動ローラ23及び従動ローラ25に形成された鍔部30は、キャリア55がローラコンベアポート20から側方へ落下しないためのガイドの役割を果たしている。
【0037】
第1フォトセンサ41がキャリア55を検出してハイレベル(H)出力信号を発信し、第2フォトセンサ42がキャリア55を検出せずにハイレベル(H)出力信号を発信したことで、キャリア55が停止位置40まで搬送されたと判断し、モータ32を停止させてキャリア55を停止させる。
停止位置40で停止されたキャリア55は、図示しない移載ロボットによって半導体装置58へと移送される。
【0038】
この構成のローラコンベアポート20では、停止位置40を挟みこむように第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42とが配置されているので、キャリア55が停止位置40を超えた場合に、第2フォトセンサ42にて停止位置40を越えたことを検出してキャリア55を搬送方向Cと反対側に戻すことができる。したがって、第1フォトセンサ41の検出レベルを高くしてキャリア55の検出タイミングを遅くすることができ、停止位置40の手前側にキャリア55が停止することを防止できる。よって、キャリア55を停止位置40に精度良く停止させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42とで、受光素子41B、42Bと発光素子41A、42Aの配置を逆にしているので、第1フォトセンサ41の発光素子41Aから照射されたビーム43を第2フォトセンサ42の受光素子42Bが受けることがなく誤動作を防止できる。したがって、第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42との間隔を小さくすることができ、キャリア55の停止位置40のばらつきを小さく抑えることができる。
【0040】
さらに、停止位置40にキャリア55が載置されたことを、第1フォトセンサ41及び第2フォトセンサ42ともにハイレベル出力となったことで判断するので、ノイズや回路トラブルによる誤動作を避けることができ、移載ロボットによるローラコンベアポート20から半導体装置58への受け渡しを安定して行うことができる。
なお、第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42とで異なる種類のフォトセンサを使用しても良い。例えば、第1フォトセンサ41に赤色半導体レーザを使用し、第2フォトセンサ42に青色半導体レーザを使用した場合には、第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42との相互干渉を確実に回避できるので好ましい。また、第1フォトセンサ41及び第2フォトセンサ42の発光素子41A、42Aと受光素子41B、42Bとを同じ配置としても相互干渉を回避できる。
【0041】
次に、このローラコンベアポート20を使用した他のキャリア55の停止方法について説明する。キャリア55がローラコンベアポート20上を搬送され、第1フォトセンサ41がキャリア55を検出した時点で停止準備を行う。停止準備とは、モータ32の回転速度を落として搬送速度を低下させることである。そして、第2フォトセンサ42がキャリア55を検出した時点でモータ32を停止してキャリア55を停止させる。そして、モータ32を逆回転してキャリア55を搬送方向Cと反対側に移送させ、第2フォトセンサ42がキャリア55を検出しなくなった時点でキャリア55が停止位置40に載置されたと判断するものである。
【0042】
この方法では、第1フォトセンサ41と第2フォトセンサ42との間に確実にキャリア55を停止させることができる。とくに、第1フォトセンサ41の検出レベルを高くすることができない場合でも、キャリア55が第1フォトセンサ41の手前側で停止してしまうことを防止できるので効果的である。
【0043】
この停止方法におけるフォトセンサ41、42の故障診断方法について説明する。この停止方法における正常時の出力信号のパターン(第1フォトセンサ41の出力信号/第2フォトセンサの出力信号)は次のようになる。
第1フォトセンサ41及び第2フォトセンサ42がともにキャリア55を検出していない場合には、(L/H)となりキャリア55が搬送される。第1フォトセンサ41がキャリア55を検出すると、(H/H)となり停止準備を行う。第2フォトセンサ42がキャリア55を検出すると、(H/L)となりコンベアが停止される。そして再び(H/H)となるまでキャリア55が逆送される。つまり、第1フォトセンサ41及び第2フォトセンサ42の出力信号の変化は、(L/H)→(H/H)→(H/L)→(H/H)となるのである。
【0044】
ここで、第1フォトセンサ41が故障して常時出力がHであった場合には、キャリア55を搬送する前から(H/H)となっているために第1フォトセンサ41の故障を確認することができる。
第1フォトセンサ41が故障して常時出力がLであった場合には、キャリア55が第1フォトセンサ41のビーム43を遮断しても(L/H)のままでありキャリア55が搬送されていく。キャリア55が第2フォトセンサ42のビーム43を遮断した時点で出力が(L/L)となる。この時点で第1フォトセンサ41の故障を確認できる。
【0045】
第2フォトセンサ42が故障して常時出力がLであった場合には、キャリア55を搬送する前から(L/L)となっているために第2フォトセンサ42の故障を確認できる。
第2フォトセンサ42が故障して常時出力がHであった場合には、キャリア55が第1フォトセンサ41のビーム43を遮断した時点で(H/H)となり停止準備となる。このままキャリア55が搬送されて第2フォトセンサ42のビーム43を遮断した時点でも(H/H)のままであり、さらにキャリア55が搬送されてキャリア55が第1フォトセンサ41のビーム43を遮断しなくなった時点で(L/H)となる。この時点で第2フォトセンサ42の故障を確認できる。
【0046】
このように第1フォトセンサ41及び第2フォトセンサ42の出力信号の変化を監視することで第1フォトセンサ41及び第2フォトセンサ42の故障を早期に確認することができる。したがって、このローラコンベアポート20による搬送及びキャリア55の停止を安定して行うことができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態であるローラコンベアポートについて説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。図5及び図6に第2の実施形態であるローラコンベアポートを示す。
このローラコンベアポート70では、位置検出センサとしてフォトセンサの代わりに磁気センサ71、72が駆動ローラ23と従動ローラ25との間に配置されており、搬送方向C手前側に第1磁気センサ71が位置し、搬送方向C奥側に第2磁気センサ72が位置している。
【0048】
搬送されるキャリア55の底面には、磁性材料73が備えられている。この磁性材料73の搬送方向Cの長さは、磁気センサ71、72の搬送方向Cの長さよりも短くされている。
この構成のローラコンベアポート70では、第1磁気センサ71が磁性材料73を検出した時点でモータ32を停止してキャリア55を停止位置で停止させることができる、キャリア55が停止位置を越えた際には第2磁気センサ72が磁性材料73を検出するため、キャリア55を停止位置に精度良く停止させることができる。
【0049】
また、第1の実施形態であるローラコンベアポート20と同様に、第1磁気センサ71がキャリア55を検出した時点で停止準備を行い、第2磁気センサ72がキャリア55を検出した時点でモータ32を停止してキャリア55を停止させることもできる。そして、モータ32を逆回転してキャリア55を搬送方向Cと反対側に移送させ、第2磁気センサ72がキャリア55を検出しなくなった時点でキャリア55が停止位置に載置されたと判断する。これにより、キャリア55を停止位置に精度良く停止させることができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施形態であるローラコンベアポートについて説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。図7に第3の実施形態であるローラコンベアポートを示す。
このローラコンベアポート80には、フォトセンサ81がひとつだけ備えられており、駆動ローラ支持フレーム26に設けられたセンサホルダ38に発光素子81Aが固定され、従動ローラ支持フレーム27に設けられたセンサホルダ38に受光素子81Bが固定されている。
【0051】
キャリア55には、図7に示すように、検出部材として搬送方向C前方側に向けて突出する検出板82が、キャリア55の両側面に設けられており、この検出板82には透過孔83が形成されている。
この構成のローラコンベアポート80では、フォトセンサ81がキャリア55の検出板82を検出した時点で停止準備を行い、発光素子81Aからのビーム43が透過孔83を通過して受光素子81Bに届いた時点でモータ32を停止することによりキャリア55を停止位置に精度良く停止させることができるものである。キャリア55が停止位置を越えた場合には、ビーム43がキャリア55によって遮断されることにより判断されるので、モータ32を逆回転させてキャリア55を停止位置まで逆送させることができる。
【0052】
ここで、透過孔83の大きさを変更することにより、停止位置の精度を上げることができる。よって、図8に示すように、検出板82に透過孔83の幅を調整できる調整機構を設けてもよい。透過孔83の一部を遮断できるように調整板84を配置し、この調整板84に調整方向に延びる長孔85を形成して、この調整板84をビス86にて検出板82に固定する。この調整板84を長孔85に沿って移動させることにより、透過孔83の大きさを変更して、キャリア55の停止位置精度を調整することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、半導体製造工場で半導体基板が収容されたキャリアを搬送する搬送システムに使用されるローラコンベアポートとして説明したが、これに限定されることはなく、他の搬送システムに使用するものであってもよい。
また、ローラコンベアの駆動手段についても、本実施形態に限定されることはなく、他の駆動手段を用いたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態であるローラコンベアポートを示す斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1におけるローラコンベアポートに備えられた駆動ローラの駆動手段を示す図である。
【図4】図1のローラコンベアポートが使用される搬送システム全体図である。
【図5】本発明の第2の実施形態であるローラコンベアポートを示す正面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態であるローラコンベアポートを示す斜視図である。
【図8】図7における検出板の他の例を示す図である。
【図9】従来のローラコンベアポートを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
20、70、80 ローラコンベアポート
21 駆動ローラモジュール
22 制御装置
40 停止位置
41 第1フォトセンサ(一方の位置検出センサ)
42 第2フォトセンサ(他方の位置検出センサ)
41A、42A 発光素子
41B、42B 受光素子
55 キャリア(搬送材)
71 第1磁気センサ
72 第2磁気センサ
73 磁性部材
82 検出板(検出部材)
83 透過孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に向けて延びる駆動ローラモジュールと、該駆動ローラモジュールの制御装置と、搬送材の位置を検出する位置検出手段とからなるローラコンベアポートであって、
少なくとも一対の前記位置検出手段が前記搬送方向に縦列に配置され、一方の前記位置検出手段が検出状態となり、他方の前記位置検出手段が非検出状態となったことを以って、前記搬送材が停止位置まで搬送されたと判断することを特徴とするローラコンベアポート。
【請求項2】
前記位置検出手段が位置検出センサであるとともに、一方の前記位置検出センサと他方の前記位置検出センサとが、互いに異なる出力信号を発信することを特徴とする請求項1に記載のローラコンベアポート
【請求項3】
前記位置検出センサが、発光素子と受光素子とからなるフォトセンサであり、一方の前記フォトセンサと他方の前記フォトセンサとで前記発光素子と前記受光素子とが互いに異なる配置とされていることを特徴とする請求項2に記載のローラコンベアポート。
【請求項4】
前記位置検出センサが、超音波発信機と超音波受信機とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載のローラコンベアポート。
【請求項5】
前記位置検出センサが磁気センサで構成され、前記搬送材に磁性部材が備えられていることを特徴とする請求項2に記載のローラコンベアポート。
【請求項6】
前記搬送方向に配置された一対の前記位置検出手段が、前記搬送材に設けられた検出部材と、該検出部材に形成された透過孔と、ひとつのフォトセンサとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のローラコンベアポート。
【請求項7】
搬送方向に延びるローラコンベアによって搬送される搬送材の停止位置を決定する搬送材の位置決め方法であって、
少なくとも一対の位置検出手段が前記搬送方向に縦列に配置され、一方の前記位置検出手段が検出状態となり、他方の前記位置検出手段が非検出状態となったことを以って、前記搬送材が前記停止位置まで搬送されたと判断することを特徴とする搬送材の位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−39182(P2007−39182A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223921(P2005−223921)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】