説明

ロール紙の梱包構造

【課題】巻芯を有さないロール紙であっても確実に保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供する。
【解決手段】ロール紙Rを梱包するための構造であって、ロール紙Rを収納するための外箱2と、ロール紙Rの外径と合致するような内径を有する凹部31,41が形成され、外箱2内に嵌合するような外形を有する下部保持部材3及び上部保持部材4と、を備えている。下部保持部材3は、凹部31を上方に向けて外箱2内に設置されており、上部保持部材4は、凹部41を下方に向けて、下部保持部材3の上方において外箱2内に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙の梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、業務用プリンタなどの記録装置にはロール紙が一般的に用いられているが、このロール紙を搬送する際、ロール紙をそのまま段ボール箱に入れた状態で搬送すれば、ロール紙が搬送中に段ボール箱内で移動して、その外周面やエッジ部分に傷が付いてしまう。このため、通常は、段ボール箱内に保持部材をロール紙と一緒に梱包し、この保持部材によってロール紙が段ボール箱内で移動しないように保持している。例えば、特許文献1には、巻芯を有するロール紙の両端に軸受け部材を設置し、各軸受け部材の軸受け部をロール紙の巻芯の内部に挿入することによって、ロール紙を支持している。
【特許文献1】特開平7−69341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、コスト削減や省資源化などの要求から、巻芯を省略したコアレスタイプのロール紙が普及し始めている。このようなコアレスタイプのロール紙は、軸部が巻芯を有さず中空状態となっているため、その軸部の強度は巻芯を有するタイプのロール紙に比べて低い。このため、上述したような方法で軸受け部材の軸受け部をコアレスタイプのロール紙の軸部に挿入しても、その強度が低いためにロール紙を十分に保持することができないといった問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、巻芯を有さないロール紙であっても確実に保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るロール紙の梱包構造は、上記課題を解決するためになされたものであり、ロール紙を梱包するための構造であって、ロール紙を収納するための外箱と、ロール紙の外径と合致するような内径を有する凹部が形成され、前記外箱内に嵌合するような外形を有する下部保持部材及び上部保持部材と、を備え、前記下部保持部材は、前記凹部を上方に向けて前記外箱内に設置されており、前記上部保持部材は、前記凹部を下方に向けて、前記下部保持部材の上方において前記外箱内に設置されている。
【0006】
この構成によれば、下部保持部材及び上部保持部材は、外箱内に嵌合するような外形を有しているため、外箱内に設置すると、外箱内に嵌合されて固定される。また、下部保持部材及び上部保持部材に、ロール紙の外形と合致するような内径を有する凹部が形成されている。そして、この各凹部が対向するように下部保持部材及び上部保持部材が外箱内に設置されている。このため、ロール紙の下端部を下部保持部材の凹部内に嵌合させて保持するとともに、ロール紙の上端部を上部保持部材の凹部内に嵌合させて保持することができる。このように、外箱内に嵌合されて固定された下部保持部材及び上部保持部材によってロール紙の外周面を保持することができるので、巻芯を有さないロール紙であっても確実に保持することができる。なお、上記「ロール紙の外径と合致するような内径」とは、ロール紙の外径と凹部の内径とが全く同一の寸法である必要はなく、凹部内にロール紙を挿入した際にロール紙が凹部によってしっかりと保持されるような寸法であればよい。例えば、各保持部材の凹部の内径が1〜2mm、好ましくは1〜1.5mm程度ロール紙の外径よりも大きくすることができる。また、各保持部材の凹部によってロール紙の各端部を保持する際に、凹部とロール紙との間に緩衝シートなどを介在させることがあるが、この場合は、凹部が、緩衝シートを介してロール紙をしっかりと保持できるような寸法であればよい。
【0007】
上記梱包構造は種々の構成をとることができるが、例えば、上記下部保持部材及び上部保持部材の少なくとも一方は、外箱の内壁面との間で空間部を画定するような外形を有することが好ましい。このように、保持部材と外箱内壁面との間に空間部を設けることで、落下などによって衝撃が加わってもその空間部によって衝撃を吸収し、ロール紙への衝撃を緩和することができる。
【0008】
また、上記下部保持部材及び上部受け部材の少なくとも一方は、外箱内に嵌合するように形成された板状の基台部と、基台部上に積層され、第2の貫通穴が形成されるとともに、外箱の内壁面との間で空間部を画定するような外形を有する板状の第2保持部と、第2保持部上に積層され、第1の貫通穴が形成されるとともに、外箱の内壁面との間で空間部を画定するような外形を有する板状の第1保持部と、を有しており、第1保持部と第2保持部とは、一方の辺同士が少なくとも一部連結され、第1保持部と基台部とは、一方の辺とは反対側の他方の辺同士が少なくとも一部連結されており、上記凹部は、前記第1及び第2の貫通穴により構成されていることが好ましい。
【0009】
このように、第1保持部の他方の辺が第2保持部を介して基台部に接続されているため、第1保持部は基台部に対して適度に移動することができる。このため、搬送時の揺れに対して柔軟に対応することが可能となり、ロール紙への衝撃をより緩和することができる。
【0010】
また、上記下部保持部材及び上部保持部材の少なくとも一方の凹部を覆うように配置された、衝撃を緩和させるための緩衝シートをさらに備えていることが好ましい。このように、保持部材の凹部を覆うように緩衝シートを配置することで、ロール紙を凹部内に嵌合させるとロール紙と凹部との間に緩衝シートが介在することになるので、この結果、ロール紙への衝撃をより緩和することができる。
【0011】
また、上記上部保持部材の上方において、外箱内に嵌合するように設置された収納箱がさらに備えられていてもよい。この収納箱内には例えばインクリボンなどを収納することができる。通常、外箱が落下するときはその底面から先に落下するため、外箱の下部に一番大きな衝撃が加わる。しかし、収納箱は外箱内の上部に設置されているため落下時の衝撃の影響が少なく、衝撃に弱いインクリボンなどを衝撃から守ることができる。
【0012】
また、上記収納箱は、被収納物を収納するための箱本体部と、箱本体部の側面から外方に突出した羽根部とを有していることが好ましい。このように、被収納物が収納された箱本体部は、羽根部を介して外箱に設置されているため、外箱に衝撃が加わった際、羽根部によってその衝撃を吸収し、被収納物が収納された箱本体部を衝撃から確実に保護することができる。
【0013】
また、被収納物を包装するための包装シートをさらに備え、包装シートは、被収納物を包装して残った部分を丸めた状態にして収納箱内に収納されていることが好ましい。このように被収納物を包装シートによって包装することで被収納物を衝撃から確実に保護することができる。また、余った包装シートを丸めた状態にして収納箱内に収納しているため、この丸められた包装シートによって衝撃を吸収することができ、より確実に被収納物を衝撃から保護することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、巻芯を有さないロール紙であっても確実に保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る梱包構造の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るロール紙の梱包構造を示す正面断面図、図2は、本実施形態に係る下部保持部材の折り畳み前(a)から折り畳み後(c)までを示す平面図、図3は、本実施形態に係る下部保持部材の斜視図である。
【0016】
図1に示すように、梱包構造1は、直方体状の外箱2を備えており、この外箱2内には、底面側から順に、ロール紙Rの下端部を保持するための下部保持部材3、ロール紙Rの上端部を保持するための上部保持部材4,インクリボンTを収納するための収納箱5が設置されている。そして、ロール紙Rが、下部保持部材3と上部保持部材4との間に収納されている。このロール紙Rは、円柱状であって、その軸方向を上下方向に向けて収納されている。また、ロール紙Rの軸部分は、巻芯を有しておらず、断面円形状の空洞部R1が軸方向に延びるように形成されている。
【0017】
上記梱包構造1を構成する各部材の詳細について説明すると、まず、外箱2は、段ボールなどによって直方体状に構成され、いわゆる段ボール箱として構成されており、その上面はフラップ21aを折り曲げることによって開閉可能であり、底面はフラップ21bを折り曲げることによって開閉可能である。なお、図1のようにロール紙Rを梱包した状態では、上面及び底面のフラップ部21a、21bはともに閉められており、ガムテープなどの接着テープを貼ることによってその閉められた状態で保持されている。
【0018】
この閉鎖された外箱2の底面に、下部保持部材3が凹部31を上方に向けて設置されている。この下部保持部材3は、図2及び図3に示すように、外箱2の底面の形状とほぼ合致するような外形を有する基台部32と、第1の貫通穴311が形成された第1保持部33と、第2の貫通穴312が形成された第2保持部34と、によって構成されている。この第1の貫通穴311と第2の貫通穴312は同一の形状となっている。また、基台部32の中心部には第1及び第2の貫通穴よりも十分に小さい第3の貫通穴323が形成されている。この貫通穴323は作業者の指が入る程度の大きさに形成されているため、この貫通穴323を利用して作業性良く下部保持部材3を外箱2内から取り出すことができる。
【0019】
図2(a)に示すように、基台部32、第1及び第2保持部33,34は一体的に形成されており、例えば、一枚の段ボールによって形成することができる。第1保持部33と第2保持部34との間には、裏まで貫通しないように切込みを入れることで切込み線35が形成されており、これにより第2保持部34が第1保持部33に対して山折りできるようになっている。また、第1保持部33と基台部32との間には、裏まで貫通するような切込みを入れることでI字状の切込み線36が形成されている。このI字状の切込み線36は、縦方向に延びる縦切込み線361と、縦切込み線361の上端及び下端と連結して横方向に延びる横切込み線362a、362bとから構成されている。そして、この上端の横切込み線362aの左端及び右端からそれぞれ下部保持部材3の上端まで延びる折り曲げ線37aが形成されており、また、下端の横切込み線362bの左端及び右端からそれぞれ下部保持部材3の下端まで延びる折り曲げ線37bが形成されている。このようにI字状の切込み線36及び折り曲げ線37が形成されていることによって、第1保持部33は基台部32に対して山折りできるようになっている。
【0020】
このように一枚の段ボールから形成された下部保持部材3を、本実施形態の梱包構造1で使用する形態へと折り曲げる手順について説明すると、図2(a)にあるような折り曲げていない状態から、まず第1の保持部材33を基台部34に対して谷折りする(図2(b))。次に、図2(b)の状態から、第2の保持部材33に対して、第1の保持部材32を谷折りする(図2(c))。このように、下部保持部材3を外箱2内に設置する際は、図3に示すように、下部保持部材3は、基台部32の上に第1の保持部33が積層され、この第1の保持部33の上に第2の保持部34が積層された状態となっている。そして、このように積層された状態では、第1の貫通穴311上に第2の貫通穴312が重なり、この第1の貫通穴311と第2の貫通穴312によって、凹部31が構成されている。なお、後述する上部保持部材4も上述した下部保持部材3と同一の構成をとっている。
【0021】
図1に戻って説明を続けると、以上のように構成された下部保持部材3が凹部31を上方に向けて外箱2の底面に設置されており、この凹部31を覆うように緩衝シート7が配置されている。この緩衝シート7の材質は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンや発泡ポリエチレン等を使用することが好ましい。ポリエチレンとしてはミラーマット、発泡ポリエチレンとしてはエアーキャップ(登録商標)等を使用することが好ましい。そして、緩衝シート7が覆われた凹部31内に、ロール紙Rの下端部を挿入する。緩衝シート7を介してロール紙Rを凹部31内に挿入した状態では、ロール紙Rは、凹部31内に嵌合しており、凹部31によって保持されている。
【0022】
そして、ロール紙R上には、上部保持部材4が設置されており、上部保持部材4の凹部41内にロール紙Rの上端部が挿入している。なお、下部保持部材3の場合と同様に、上部保持部材4の凹部41も緩衝シート7を介してロール紙Rの上端部が挿入されており、この状態でロール紙Rの上端は、凹部41内に嵌合され、凹部41によって保持されている。この上部保持部材4は、図4及び図5に示したように、上述した下部保持部材3と同一の構成を取っており、基台部42と、第1の貫通穴411が形成された第1保持部43と、第2の貫通穴412が形成された第2保持部44とによって構成されている。また、第1の貫通穴411と第2の貫通穴412とによって凹部41が構成されている。
【0023】
上部保持部材4の上方には、インクリボンT(被収納物)を収納するための収納箱5が設置されている。図6及び図7に示すように、収納箱5は、内部にインクリボンTを収納できるように直方体状に形成された箱本体部51と、箱本体部51の側面から外方に延びる4つの羽根部52とから構成されており、図1の左右方向には羽根部52によって外箱2内に嵌合しており、図1の奥行き方向には箱本体部51によって外箱2内に嵌合している。この箱本体部51内にはインクリボンTが包装シート8によって包装された状態で収納されている。より詳細には、図8に示すように、インクリボンTは、供給ロール部T1と巻取ロール部T2とから構成されている。この供給ロール部T1と巻取ロール部T2との間には緩衝シート7が介在されており、この状態で、包装シート8がインクリボンT全体を覆っている。なお、この包装シート8は、インクリボンTを保護できるような材質であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、ポリエチレンや発泡ポリエチレン等を使用することが好ましい。ポリエチレンとしてはミラーマット、発泡ポリエチレンとしてはエアーキャップ(登録商標)等を使用することができる。また、この収納箱5は、本実施形態ではインクリボンを収納するために使用しているが、特にインクリボンを収納することに限定されるものではなく、その他のものを収納してもよい。
【0024】
次に、上述したロール紙の梱包構造1を使用した梱包方法について図面を参照しつつ説明する。まず、図1に示すように、外箱2を準備し、フラップ21bを閉じてガムテープを貼ることによって底面を形成する。そして、下部保持部材3を凹部31が上方を向くように外箱2内に挿入し、下部保持部材3の下面が外箱2の底面と接するまで下部保持部材3を押し込む。なお、下部保持部材3の平面視の外形は、外箱2の底面の形状とほぼ同じ形状となっているため、下部保持部材3は外箱2内に嵌合されて固定される。
【0025】
続いて、緩衝シート7を下部保持部材3の凹部31上を覆うように配置して、その緩衝シート7の上からロール紙Rの下端部を凹部31内に挿入させる。そして、ロール紙Rの上端に緩衝シート7を被せ、凹部41が下方を向くようにして上部保持部材4を外箱2内に挿入する。上部保持部材4の凹部41内にロール紙Rの上端が挿入して保持されるまで、上部保持部材4を外箱2内に押し込む。なお、上部保持部材4の平面視の外形は、外箱2の横断面形状とほぼ同じ形状となっているため、上部保持部材4は外箱2内に嵌合されて固定される。
【0026】
さらに続いて、インクリボンTを、包装シート8で覆うように包装して、収納箱5の箱本体部51内に収納する。そして、このような状態でインクリボンTが収納された収納箱5を外箱2内に収納し、収納箱5の下面が上部保持部材4の上面に接触するまで収納箱5を押し込む。この状態で収納箱5は、箱本体部51及び4本の羽根部52によって外箱2内に嵌合されるため、外箱2内に固定される。そして、最後に外箱2のフラップ21aを閉じてガムテープを貼ることで、外箱2の上面を閉鎖する。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、ロール紙Rの下端の外周面を下部保持部材3の凹部31によって保持し、ロール紙Rの上端の外周面を上部保持部材4の凹部41によって保持することができる。このため、巻芯を有さないコアレスタイプのロール紙Rであっても、外箱2内で確実に保持することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、下部保持部材3及び上部保持部材4の少なくとも一方を以下のように構成することができる。すなわち、図9及び図10に示すように、下部保持部材3は、外箱2の横断面形状と合致するような外形を有する基台部32と、第1の貫通穴311が形成された第1保持部33と、第2の貫通穴312が形成された第2保持部34と、から構成されている。この第1の貫通穴311と第2の貫通穴312とは同一の形状となっている。
【0029】
図9(a)に示すように、基台部32、第1及び第2保持部33,34は一体的に形成されており、例えば一枚の段ボールによって形成することができる。第1保持部33と第2保持部34との間には、鼓状の打ち抜き穴38aが形成されている。また、下部保持部材3の上端部には、裏まで貫通するような切込みを入れることで逆T字状の切込み線36aが形成され、下部保持部材3の下端部には、裏まで貫通するような切込みが入ったT字形状の切込み線36bが形成されている。そして、逆T又はT字状の切込み線36a、36bにおける横線部361a,361bの右端及び左端から鼓状の打ち抜き穴38aまで延びるように折り曲げ線37a、37bが形成されている。この横線部361a、折り曲げ線37a、及び打ち抜き穴38aによって第1の連結部300aが画定されており、同様に、横線部361b、折り曲げ線37b及び打ち抜き穴38aによって第2の連結部300bが画定されている。これら第1の連結部300a、300bの幅は、第1保持部33と第2保持部34の厚さを合計した寸法とほぼ同一にすることが好ましい。そして、逆T又はT字状の切込み線36a,36bと折り曲げ線37a、37bとによって、第2保持部34が第1保持部33に対して谷折りできるようになっている。
【0030】
また、第1保持部33と基台部32との間には、上記鼓状の打ち抜き穴38aを縦に半分に割った形状の打ち抜き穴38bが形成されており、この打ち抜き穴38bの右上端及び右下端から右方向に切込み線36e、36fが形成されている。この切込み線36e、36fは裏まで貫通するように形成されている。また、上述したような逆TまたはT字状の切込み線36c、36dが下部保持部材3の上端部及び下端部にそれぞれ形成されている。そして、この逆TまたはT字状の切込み線36c、36dにおける横線部361c、361dの左端から打ち抜き穴38bに向かって折り曲げ線37c、37dが形成されるとともに、横線部361c、361dの右端から切込み線36e、36fの右端に向かって折り曲げ線37c、37dが形成されている。この横線部361c、切込み線36e、折り曲げ線37c及び打ち抜き穴38bによって第2の連結部301aが画定されおり、同様に、横線部361d、切込み線36f、折り曲げ線37d及び打ち抜き穴38bによって第2の連結部301bが画定されている。これら第2の連結部301a、301bの幅は、第1保持部33と第2保持部34と基台部32との厚さを合計した寸法とほぼ同一にすることが好ましい。そして、逆T又はT字状の切込み線36c、36d及び折り曲げ線37c、37dによって、第1保持部33は基台部32に対して谷折りできるようになっている。
【0031】
このように一枚の段ボールから形成された下部保持部材3を、外箱2内に設置する際の下部保持部材3の形態へと折り曲げる手順について説明すると、図9(a)にあるように折り曲げていない状態から、まず、第2保持部34を第1保持部33に対して谷折りする(図9(b))。次に、図9(b)の状態から、基台部32に対して、第2保持部34が上に積層された状態の第1保持部33を谷折りする(図9(c))。このように折り曲げられた、外箱2内に設置する際の下部保持部3の形態は、図10に示すように、基台部32の上に第2保持部34が積層され、さらにその第2保持部34の上に第1保持部33が積層した形態となっている。そして、このように各部材が積層された状態で、第1の貫通孔311と第2の貫通孔312が重なり、この第1及び第2の貫通孔311,312で、上記凹部31を構成している。また、第1保持部33と基台部32とは第2の連結部301a、301bによって連結されており、第1保持部33と第2保持部34とは第1の連結部300a、300bによって連結されている。
【0032】
下部保持部材3は、上述したように折り曲げられた状態で外箱2内に設置されるが、第1保持部33及び第2保持部34が外箱2の内壁面との間で空間部Sを画定している(図11)。このように空間部Sがロール紙Rを保持する凹部31と外箱2の内壁面との間に形成されているため、搬送時に外箱2に衝撃を加えても、その衝撃が空間部Sによって緩和される。また、空間部Sが形成されていることによって、外箱2が落下した場合であっても、ロール紙Rを保持している凹部31が外箱2の内壁面側に多少移動することができるため、落下時に下部保持部材3の凹部31内壁面からロール紙Rに掛かる衝撃を緩和させることができる。なお、上部保持部材4も上述したような下部保持部材3と同様の形態とすることもできる。
【0033】
また、その他にも、種々の変形が可能であり、例えば、上記実施形態では、一枚の段ボールなどを折り曲げて下部保持部材3及び上部保持部材4を形成しているが、発泡スチロールなどによって、基台部32、第1保持部33及び第2保持部34が積層された状態のものを形成してもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、収納箱5を上部保持部材4の上方に設置しているが、収納箱5を省略し、その分だけ外箱2の高さを低くすることもできる。
【0035】
また、上記実施形態では、下部保持部材3及び上部支持部材4を、基台部32、第1保持部33及び第2保持部34から構成しているが、特にこれに限定されるものではなく、基台部32を省略したり、第1保持部33及び第2保持部34のどちらか一方を省略してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、包装シート8は、インクリボンTを覆っているのみであるが、例えば図12に示すように、一旦インクリボンTを覆い、余った部分を丸めた状態にしインクリボンTに隣接するような状態で収納箱5内に収納することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るロール紙の梱包構造の実施形態を示す正面断面図である。
【図2】本実施形態に係る下部保持部材の折り畳み前(a)から折り畳み後(b)までを示した平面図である。
【図3】本実施形態に係る下部保持部材の斜視図である。
【図4】本実施形態に係る上部保持部材の折り畳み前を示した展開図である。
【図5】本実施形態に係る上部保持部材の斜視図である。
【図6】本実施形態に係る収納箱を示す平面図である。
【図7】本実施形態に係る収納箱を示す斜視図である。
【図8】本実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【図9】他の実施形態に係る下部保持部材及び上部保持部材の折り畳み前(a)から折り畳み後(b)までを示した平面図である。
【図10】他の実施形態に係る下部保持部材及び上部保持部材の斜視図である。
【図11】他の実施形態に係る下部保持部材及び上部保持部材の斜視図である。
【図12】他の実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 梱包構造
2 外箱
3 下部保持部材
31 凹部
311 第1の貫通孔
312 第2の貫通孔
32 基台部
33 第1保持部
34 第2保持部
4 上部保持部材
41 凹部
411 第1の貫通孔
412 第2の貫通孔
42 基台部
43 第1保持部
44 第2保持部
7 緩衝シート
R ロール紙
S 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を梱包するための構造であって、
ロール紙を収納するための外箱と、
ロール紙の外径と合致するような内径を有する凹部が形成され、前記外箱内に嵌合するような外形を有する下部保持部材及び上部保持部材と、を備え、
前記下部保持部材は、前記凹部を上方に向けて前記外箱内に設置されており、
前記上部保持部材は、前記凹部を下方に向けて、前記下部保持部材の上方において前記外箱内に設置されている、ロール紙の梱包構造。
【請求項2】
前記下部保持部材及び上部保持部材の少なくとも一方は、前記外箱の内壁面との間で空間部を画定するような外形を有する、請求項1に記載のロール紙の梱包構造。
【請求項3】
前記下部保持部材及び上部受け部材の少なくとも一方は、
前記外箱内に嵌合するように形成された板状の基台部と、
前記基台部上に積層され、第2の貫通穴が形成されるとともに、前記外箱の内壁面との間で空間部を画定するような外形を有する板状の第2保持部と、
前記第2保持部上に積層され、第1の貫通穴が形成されるとともに、前記外箱の内壁面との間で空間部を画定するような外形を有する板状の第1保持部と、を有しており、
前記第1保持部と第2保持部とは、一方の辺同士が少なくとも一部連結され、
前記第1保持部と基台部とは、前記一方の辺とは反対側の他方の辺同士が少なくとも一部連結されており、
前記凹部は、前記第1及び第2の貫通穴により構成されている、請求項2に記載のロール紙の梱包構造。
【請求項4】
前記下部保持部材及び上部保持部材の少なくとも一方の凹部を覆うように配置された、衝撃を緩和させるための緩衝シートをさらに備えた、請求項1から3のいずれかに記載のロール紙の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−51540(P2009−51540A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220607(P2007−220607)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(596057435)大善株式会社 (4)
【Fターム(参考)】