説明

ロール角度プラウシビリテイ検出

【課題】
ロール角度表示のプラウシビリテイを検出する車両安全システムを提供すること。
【解決手段】
車両安全システム(20)はロール角速度センサー(26)出力を処理することにより得られたロール角度指示のもっともらしさを確認する制御器24を包含する。制御器24はロール角度指示が期待範囲内にあるか否かを決定する。開示された例では、制御器24は縦加速度値と第一期待範囲と横加速度値と第二期待範囲を利用する。加速度値の両方がそれぞれの期待範囲外にあるときに、制御器はロール角度指示が無効であることを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2003年6月27日に出願された米国予備出願第60/483341号の優先権を請求する。
この発明は一般に車両安全システムに関する。更に特に、この発明はロール角度表示のプラウシビリテイを検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
車両安全システムは周知である。多くの状況において、エアバックのような補助拘束装置は選定条件下で配置される。車両内の制御器はセンサー信号に基づく駆動条件を監視して例えばエアバックを配置するときに決定する。駆動条件を検出する種々の配列が知られている。
【0003】
多くの車両安全システムによりアドレスされ得る一つのタイプの駆動条件は車両転倒(ロールオーバー)である。多くの状況では、ロール角速度センサーは、安全システム制御器が補助拘束装置を配置する適切な決定を行なうように積分される角速度を提供する。たとえそうでないとしても、ロール角速度センサー出力の処理が車両転倒条件を示す種々の状況がある。一つの例はセンサー出力の不適当な積分である。
【特許文献1】特開2004−29008号公報
【特許文献2】特開2002−283949号公報
【特許文献3】特開2002−29352号公報
【特許文献4】特開2002−310644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロール角速度センサー出力に基づく所定ロール角度が実際に車両の転倒条件を正確に表現するので、安全システム制御器が適切な作用を採用できるか否かを決定する能力が必要である。この発明はその必要性をアドレスすることである。
【課題を解決するための解決手段】
【0005】
ロール角速度センサー出力を処理する例の開示方法は、ロール角速度センサー出力に一致する加速度値が期待値内にあるか否かを決定することを包含する。加速度値が期待値外にあるときに、ロール角速度センサー出力は無効と考慮されることができる。一つの例では、縦加速度値と横加速度値とが考慮される。縦加速度値と横加速度値の両方が期待値外にあるときに、ロール角速度センサー出力が無効と考慮される。
【0006】
車両転倒情報を処理する例の装置は、対応車両加速度値が期待値内にあるか否かを決定することによりロール角度値が有効であるか否かを決定する制御器を包含することを開示している。一例の制御器は、縦加速度値が第一期待範囲外にあり且つ横加速度値が第二期待範囲外にあるならばロール角度値が無効であるを決定する。一例では、期待範囲はロール角度値の少なくとも一部に基づいて決定される。
【0007】
開示配列は、車両加速度値に基づいたロール角速度センサー出力を確認する方法を提供する。加速度値がロール角速度センサーにより示されるように転倒(ロールオーバー)条件に一致しないときに、転倒条件が無視されることができる。
【0008】
この発明の種々の特徴と利点は、現実の好ましい実施態様の次の詳細な記載から当業者にとって明らかになる。詳細な記載を添付する図面が主として次のように記載されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は車両内にある車両安全システム20の選定部分を概略的に例示する。制御器24は種々のセンサー信号を処理する。この例では、ロール角速度センサー26は角速度出力を制御器24に与える。例の制御器24はロール角速度センサー26からの信号に基づくロール角度指示を得る公知技術を使用する。一例では、制御器24は角速度出力を積分してロール角度を決定する。
【0010】
少なくとも一つ加速度センサー28は車両縦加速度値と車両横加速度値に関して指示を制御器24に与える。センサー26と28は論理目的のために概略的に示される。この記載の利益を有する当業者は、如何に多くのセンサー成分がその特定状況の必要性に最も良く合うかや、どこに特定車両におけるそのような成分を配置するかを悟ることができる。
【0011】
制御器24は、ロール角速度センサー26からの出力の少なくとも一部に基づいている所定ロール角度がもっともらしいか否かを決定する加速度センサー28からの情報を利用する。言い換えると、制御器24は、所定ロール角度がもっともらしいか否かを決定してそれを他の車両条件指示器に与える。この方法では、制御器24は、ロール角速度センサー26からの出力に基づくロール角度決定が有効であるか否かを確認するので、制御器24は次に車両安全システム20の適当な部分により適当な作用を起動できる。
【0012】
図2は、制御器24がセンサー出力を分析する一例アプローチを要約するフローチャート線図30である。例の処理は32で開始する。ロール角度指示は最初に、34で合理的限度内にあるか否かを決定するために検討される。この例では、ロール角度が−142°以下であるか、或いは142°より大きいならば、ロール角度が36でもっともらしくないと考慮される。38で縦加速度値はもっともらしいに分類され、40で横加速度値はもっともらしいに分類される。図3の例では、ロール角度が−142°以下であるならば、1に分類された長方形領域に一致するか、或いはロール角度が142°より大きいならば、2に分類された長方形領域に一致する。いずれかの場合に、ロール角度が図2における36でもっともらしくないに分類される。
【0013】
図3を参照すると、期待横加速度値曲線が50で示される。図3はまた横加速度値の期待範囲を示す。期待範囲は図3における3、5、7、10、12と14に分類された長方形領域で示されている。横加速度値が図3のクロスハッチング長方形の一つ内にあるならば、期待範囲の外にあると考えられる。
【0014】
ロール角度が142°以下であるならば、制御器は横加速度値が42で選定限度内にあるか否かを決定する。図3の例を考えると、42で行われた決定は横加速度値が初期チェックとして3或いは14に分類された領域内に適合するか否かを決定することに一致する。そうであるならば、横加速度値が図2における44で45°範囲内にあるものとして分類される。そうでないならば、横加速度値が46でもっともらしいと考えれて、48で45°範囲外であるものとして指示される。
【0015】
図2から認識されることができるように、この例における制御器24により採用された次の工程は縦加速度値が期待範囲内にあるか否かを決定することである。図4は52で期待縦加速度値曲線をグラフで示す。縦加速度値の期待範囲は図4における3、5、7、10、11と14に分類された長方形領域で示されている。クロスハッチング長方形は期待範囲の外にある領域を指示する。
【0016】
図2には、54で制御器24は縦加速度値が45°限度内にあるか否かを決定する。縦加速度値が図4から領域3或いは14の一方内にある事実において、縦加速度値が56で45°内にあるものとして分類される。そうでないならば、縦加速度値が58でもっともらしいと分類され、縦加速度値が60で45°範囲外であるものとして分類される。
【0017】
62で、制御器はロール角度の大きさを考えて、小さい、中間或いは大きいか否かを決定する。一例では、小さい角度は0°と45°の間の任意の角度であり、中間角度は45°と90°の間にあり、大きい角度は90°と142°の間の何なる角度である。ロール角速度センサー26出力に基づくロール角度の大きさに依存して、制御器は加速度値が小さい角度の場合に64で、中間角度の場合に66でと大きい角度の場合に68で期待範囲内にあるか否かを決定するよう処理する。
【0018】
図3と4に示された例の範囲により、小さい角度の分析は領域7、8、9或いは10を包含し;中間角度の分析は5、6、11と12に分類された領域を包含し;大きい角度の分析は4と13領域分類を包含する。
【0019】
図5は、ロール角度が62で分類された後に分析の継続を要約するフローチャート線図である。図5の例における70で行われる第一決定は横加速度が44で45°範囲内としてマークされるか否かである。そうでないならば、横加速度値50が長方形領域3或いは14の一方に適合し、処理が線図に示されるよう継続する。
【0020】
横加速度値が45°範囲内にある事実において、72で横加速度値が長方形領域7或いは10の一方内にあるか否かの決定が行われ、この場合に横加速度値が74でもっともらしいと分類される。横加速度値が長方形領域8或いは9内に適合する事実において、横加速度値が76でもっともらしくないと分類される。
【0021】
縦加速度値が80で点検される。縦加速度値が56で45°範囲内にあるものとしてマークされたならば、縦加速度値が期待範囲の長方形領域3或いは14内に適合する決定は既に公知である。そうでないならば、82で縦加速度が期待範囲内にあるか否かの決定が行われる。ロール角度の大きさが小さい(即ち−45°と45°の間)と仮定すると、縦加速度値は必然的に図4の領域7或いは10に示された領域内にある。ロール角度が中間であったと仮定すると、縦加速度値が領域5或いは11内に適合し、84でもっともらしいと分類されるか否かの決定が行われ、或いは縦加速度値が86でもっともらしくないと分類されたように領域6或いは12内に適合するか否かの決定が行われる。
【0022】
例示された例では、加速度値の期待範囲がサイン関数に基づいており、選択されるサイン関数の角度の範囲がロール角度の大きさに基づいている。例えば、図3における領域7内に示された横加速度用の期待範囲の部分は−45°と0°の間であるロール角度に一致する。その例では、この例に分類される横加速度値yの期待範囲の関連部分は−SIN(30°)<y<−SIN(−45°)に一致する。これは期待範囲を選択する一例方法である。図3と図4に示された他の値は開示された例実施態様の期待範囲に一致する。この記載の利益を有する当業者はその特定状況の必要性に合うように適当な範囲限度に設定できる。
【0023】
制御器24はセンサー26からの出力に基づくロール角度を決定し、縦加速度値と横加速度値が期待範囲内に適合するか否かを決定する。この例では、制御器は、ロール角速度センサー出力を処理するのに基づくロール角度を考えて、もっともらしい範囲内(即ち−142°と142°の間)と縦加速度値或いは横加速度値の少なくとも一方が期待範囲内にあるならば、有用である。縦加速度値と横加速度値の両方が期待範囲外にある事実において、制御器24は所定ロール角度が無効であることを決定する。如何にロール角速度センサー出力が処理される(即ち積分される)かによるチェックとして縦加速度値と横加速度値を使用することは、例えば補助拘束装置を配置する情報を使用する前にロール角度決定のもっともらしさを決定する能力を与える。
【0024】
前述の記載は自然における制限よりむしろ見本である。開示された例の態様は、この発明の本質から必ずしも逸脱しないことが当業者に明らかになる。この発明に与えられた法的保護範囲はその請求項を研究することにより決定されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施態様により設計された車両安全システムの選定部分を概略的に例示する。
【図2】一例のセンサー出力分析を示すフローチャート線図である。
【図3】横加速度値用の例期待値をグラフで例示する。
【図4】縦加速度値用の例期待値をグラフで例示する。
【図5】図2の実施態様により有用である例のセンサー出力処理アプローチを示すフローチャート線図である。
【符号の説明】
【0026】
20.....車両安全システム
22.....車両
24.....制御器
26.....ロール角速度センサー
28.....加速度センサー
30.....フローチャート線図
32,34,36,38,40,42,44,46,48,54,56,58.60,62,64,66,68,70,72,74,80,83,84,86...フローチャートの工程(プロセス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両転倒条件を検出する方法において、ロール角速度センサーに基づく所定ロール角度に一致する加速度値が期待範囲内にあるか否かを決定することを特徴とする方法。
【請求項2】
加速度値が期待範囲外にあるときに、所定ロール角度が無効であることを決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定ロール角度に一致する縦加速度値が第一期待範囲内にあるか否かを決定し且つ所定ロール角度に一致する横加速度値が第二期待範囲内にあるか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
縦加速度値が第一期待範囲内にあるか、或いは横加速度値が第二期待範囲内にあるときに所定ロール角度が有効であることを決定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
縦加速度値が第一期待範囲外にあり且つ横加速度値が第二期待範囲外にあるときに所定ロール角度が無効であることを決定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
所定ロール角度に関連した選定範囲の角度のコサイン関数に基づく第一期待値を決定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
所定ロール角度に関連した選定範囲の角度のサイン関数に基づく第二期待値を決定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
所定ロール角度の大きさを決定し、所定大きさの少なくとも一部に基づく期待範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ロール角速度センサー出力の出力を積分してロール角度を決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
車両転倒情報を処理する装置において、対応車両加速度値が期待値内にあるか否かを決定することによりロール角度値が有効であるか否かを決定する制御器から成ることを特徴とする装置。
【請求項11】
制御器は縦加速度値が第一期待範囲内にあり且つ横加速度値が第二期待範囲内にあるか否かを決定することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
制御器は縦加速度値が第一期待範囲外にあり且つ横加速度値が第二期待範囲外にあるならばロール角度値が無効であるを決定することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
制御器は所定ロール角度の大きさの少なくとも一部に基づく期待範囲を決定することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
車両転倒を検出するシステムにおいて、少なくとも一つロール角速度センサーと、少なくとも一つ加速度センサーと、少なくとも一つロール角速度センサーからの出力に基づくロール角度を決定し且つ少なくとも一つ加速度センサーからの対応出力が期待範囲内にあるか否かを決定することによって所定ロール角度が有効であるか否かを決定する制御器とから成ることを特徴とするシステム。
【請求項15】
制御器は加速度センサーが期待範囲外にあるときにロール角度が無効であることを決定することを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも一つ加速度センサーは横加速度センサーと縦加速度センサーとから成り、制御器は横加速度センサー出力が第一期待範囲内にあるか否かと縦加速度センサー出力が第二期待範囲内にあるか否かとを決定することを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
制御器は、縦加速度センサー出力が第一期待範囲内にあるか、或いは横加速度センサー出力が第二期待範囲内にあるときにロール角度が有効であることを決定することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
制御器は、縦加速度センサー出力が第一期待範囲外にあり且つ横加速度センサー出力が第二期待範囲外にあるときにロール角度が無効であることを決定することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
ロール角度の大きさを決定し且つ所定大きさの少なくとも一部に基づく期待範囲を決定することを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
制御器は、ロール角速度センサーからの出力の積分に基づくロール角度を決定することを特徴とする請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−526539(P2006−526539A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509108(P2006−509108)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020222
【国際公開番号】WO2005/002929
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504469536)シーメンス・ブイディーオー・オートモーティブ・コーポレイション (16)
【Fターム(参考)】