説明

ワイパモータ

【課題】部品点数を増加させずに簡易かつ安価な構造で大きな負荷から構成部品を保護でき、小型化へのニーズに対応する。
【解決手段】出力ギヤ51の外周側に当該出力ギヤ51の周方向に沿って略半周に亘りギヤ歯51aを設け、ギヤケース31に出力ギヤ51の径方向に向けて突出する突起部31cを設け、ギヤ歯51aおよび突起部31cに互い当接可能に出力軸44の所定角度以上の回転を規制する当接面51b,51c,31d,31eを設けた。これにより、出力軸44に大きな負荷が掛かった場合に、ギヤ歯51aの各当接面51b,51cと突起部31cの各当接面31d,31eとが当接して、出力軸44が所定角度以上に回転するのを規制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の回転運動をギヤ機構により揺動運動に変換し、出力軸に取り付けられるワイパ部材を一側反転位置と他側反転位置との間で揺動駆動するワイパモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両のリヤガラスを払拭するリヤワイパ装置は、回転軸の回転運動を揺動運動に変換するギヤ機構を備えたワイパモータを有している。そして、出力軸に取り付けられるワイパ部材をリヤガラス上の一側反転位置と他側反転位置との間で揺動駆動することにより、リヤガラスに付着した雨水や埃等を払拭するようになっている。
【0003】
このようなワイパモータは、回転軸を収容するモータケースとギヤ機構を収容するギヤケースとを備え、モータケースおよびギヤケースを互いに連結することで一つのユニットとして形成されている。ギヤケースの内部には、ギヤ機構を形成する減速機構および運動変換機構が収容され、減速機構は、回転軸により回転するウォームと、ウォームに噛み合うウォームホイールとを備えている。これにより、ウォームの回転を所定の速度にまで減速して高トルク化し、高トルク化された回転力がウォームホイールから出力される。
【0004】
一方、運動変換機構は、セクタギヤと連結部とを有する運動変換部材,出力軸に一体回転可能に設けた出力ギヤ,出力ギヤとセクタギヤとの噛み合いを保持する連結板を備えている。運動変換部材の連結部は、ウォームホイールの回転中心軸から離れた位置にある連結軸に回転自在に連結され、連結板は、セクタギヤの軸心にある歯車軸および出力ギヤとともに回転する出力軸の双方に回転自在に連結されている。これにより、ウォームホイールの回転運動に伴い運動変換部材が揺動運動し、ひいてはセクタギヤに噛み合う出力ギヤ、つまり出力軸が揺動駆動される。
【0005】
このようなギヤ機構を備えたワイパモータとしては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載されたワイパモータは、出力軸と同軸上にクラッチ装置を備え、当該クラッチ装置は、例えば、積雪等によりワイパブレード(ワイパ部材)からの負荷が大きい場合に作動し、当該負荷をウォームホイール等に伝達させないようにしている。これにより、ワイパモータの内部機構(ギヤ機構等)を保護しつつ、ワイパモータの小型化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−302038号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたワイパモータによれば、クラッチ装置を、係合ベース,コイルスプリング,クラッチディスク,入力ディスクにより形成し、これらの複数の部品を出力軸と同軸上に配置している。したがって、部品点数が多くなって組み付け工程が煩雑化するばかりか、ワイパモータの重量が増加したり、ワイパモータのさらなる小型化が困難になったりする等の問題が生じていた。
【0008】
本発明の目的は、部品点数を増加させずに簡易かつ安価な構造で大きな負荷から構成部品を保護でき、小型化へのニーズに対応可能なワイパモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワイパモータは、回転軸の回転運動をギヤ機構により揺動運動に変換し、出力軸に取り付けられるワイパ部材を一側反転位置と他側反転位置との間で揺動駆動するワイパモータであって、前記ギヤ機構を収容するギヤケースと、前記ギヤ機構を形成し、前記出力軸に一体回転可能に設けられる出力ギヤと、前記出力ギヤの外周側に設けられ、前記出力ギヤの周方向に沿って略半周に亘り形成されるギヤ歯と、前記ギヤケースに設けられ、前記出力ギヤの径方向に向けて突出する突起部と、前記ギヤ歯および前記突起部に互い当接可能に設けられ、前記出力軸の所定角度以上の回転を規制する当接面とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のワイパモータは、前記突起部を前記ギヤケースに一体成形することを特徴とする。
【0011】
本発明のワイパモータは、前記ギヤ歯に設ける当接面を、前記出力ギヤの周方向に沿う前記ギヤ歯の両端側にそれぞれ設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のワイパモータによれば、出力ギヤの外周側に当該出力ギヤの周方向に沿って略半周に亘りギヤ歯を設け、ギヤケースに出力ギヤの径方向に向けて突出する突起部を設け、ギヤ歯および突起部に互い当接可能に出力軸の所定角度以上の回転を規制する当接面を設けている。これにより、出力軸に大きな負荷が掛かった場合に、ギヤ歯の当接面と突起部の当接面とが当接して、出力軸が所定角度以上に回転するのを規制することができる。このとき、突起部の当接面が大きな負荷を受けるので、ギヤケースに収容される他の構成部品には大きな負荷が伝達されない。したがって、ワイパモータを形成する構成部品を保護することができる。また、構成部品には大きな負荷が掛からないので、構成部品の剛性を弱めてワイパモータを軽量化することが可能となる。さらに、出力ギヤおよび突起部に当接面を形成するだけで良いので、部品点数を増加させずに簡易かつ安価な構造にでき、組み立て工程の簡素化が図れるとともに、ワイパモータをより小型化することが可能となる。
【0013】
本発明のワイパモータによれば、突起部をギヤケースに一体成形するので、ギヤケースに突起部を組み付ける等の手間を省くことができる。したがって、ワイパモータの組み立て工程をより簡素化することが可能となる。
【0014】
本発明のワイパモータによれば、ギヤ歯に設ける当接面を、出力ギヤの周方向に沿うギヤ歯の両端側にそれぞれ設けるので、ワイパ部材の一側反転位置および他側反転位置の双方において出力軸に大きな負荷が掛かった場合であっても、ワイパモータを形成する構成部品を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るワイパモータの出力軸の揺動駆動範囲を説明する説明図である。
【図2】図1のワイパモータの詳細構造を示す平面図である。
【図3】(a),(b)は、図2の破線円A部を拡大して示す出力ギヤの通常動作状態を説明する説明図である。
【図4】ワイパ部材が第1反転位置(停止位置)にある場合の動作説明図である。
【図5】ワイパ部材が第2反転位置にある場合の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係るワイパモータの出力軸の揺動駆動範囲を説明する説明図を、図2は図1のワイパモータの詳細構造を示す平面図を、図3(a),(b)は図2の破線円A部を拡大して示す出力ギヤの通常動作状態を説明する説明図を、図4はワイパ部材が第1反転位置(停止位置)にある場合の動作説明図を、図5はワイパ部材が第2反転位置にある場合の動作説明図をそれぞれ表している。
【0018】
図1および図2に示すワイパモータ10は、自動車等の車両のリヤガラスを払拭するためのリヤワイパ装置(図示せず)の駆動源として用いられるもので、ワイパモータ10は、電動モータであるモータ部20とギヤ機構40を有するギヤ部30とを備えている。なお、図2においては、ギヤケース31の内部構造を説明するためにギヤカバー32を省略している。
【0019】
モータ部20は、鋼板等の磁性材料をプレス加工(深絞り加工)することにより、有底筒状に形成されたモータケース21を備えている。モータケース21の内部には、図2に示すように、断面が略円弧形状に形成された複数の永久磁石22(図示では2つ)が対向するよう固定されている。各永久磁石22の内側には、コイル23が所定の巻き方で巻装されたアーマチュア24が回転自在に設けられ、アーマチュア24の回転中心には回転軸としてのアーマチュア軸25が貫通して固定されている。
【0020】
アーマチュア軸25の軸方向に沿う略中間部分には、筒状のコンミテータ(整流子)26が固定され、コンミテータ26にはコイル23の端部が電気的に接続されている。コンミテータ26の外周部分には、一対のブラシ27が摺接するようになっており、これにより車載コントローラ(図示せず)から各ブラシ27に駆動電流を供給することで、コンミテータ26を介してコイル23に駆動電流が供給される。そして、コイル23への駆動電流の供給によりアーマチュア24には回転力(電磁力)が発生し、ひいてはアーマチュア軸25が所定の回転方向/回転速度で回転するようになっている。
【0021】
アーマチュア軸25は、モータケース21から突出して、ギヤ部30を形成するギヤケース31の内部にまで延ばされている。アーマチュア軸25の突出端側には、螺旋状のウォーム28(詳細図示せず)が一体に設けられ、ウォーム28はモータ部20への駆動電流の供給によってアーマチュア軸25と一体回転するようになっている。ここで、ウォーム28は、例えば転造加工等により形成されている。
【0022】
ギヤ部30は、有底のギヤケース31と、ギヤケース31の内部に収容されたギヤ機構40と、ギヤケース31の開口部を閉塞するギヤカバー32とを備えている。ギヤカバー32は、車両のバックドア(図示せず)の内部にワイパモータ10を固定するための取付ステーとしての機能を有し、ギヤカバー32には、取付ボルト(図示せず)が装着される3つの取付脚32a(図1参照)が設けられている。ここで、ギヤケース31の内部に収容されるギヤ機構40は、減速機構41と運動変換機構42とから形成されている。
【0023】
減速機構41は、アーマチュア軸25に設けたウォーム28と、ギヤケース31の内部に回転自在に収容されたウォームホイール43とから形成されている。ウォームホイール43の外周側には歯部43a(詳細図示せず)が形成され、歯部43aはウォーム28に噛み合わされている。これにより、アーマチュア軸25の回転が所定の速度にまで減速され、高トルク化された回転力がウォームホイール43から出力される。
【0024】
ウォームホイール43には回転中心軸43bが固定されており、回転中心軸43bは、ギヤケース31の底部31aを貫通して底部31aにより回転自在に支持されている。ウォームホイール43の回転中心軸43bから径方向外側に所定距離オフセットした位置には、連結軸43cが回転自在に設けられている。連結軸43cには、運動変換部材45の連結部45aが連結されている。
【0025】
運動変換機構42は、出力軸44に固定された出力ギヤ51,運動変換部材45,連結板46,3つの樹脂キャップ47,48,49を備えている。運動変換機構42は、アーマチュア軸25の回転運動を、減速機構41を介して揺動運動に変換し、出力軸44(ワイパ部材)に伝達するものである。
【0026】
出力軸44は鋼鉄製の丸棒からなり、基端側がギヤケース31の内部に配置され、先端側がギヤケース31の外部に延出されている。出力軸44は、ギヤケース31に一体に設けられたボス部31b(図1参照)に回転自在に支持されている。出力軸44とボス部31bとの間には、ゴム製のシール部材50が装着され、シール部材50は雨水や埃等がギヤケース31の内部に進入するのを阻止している。
【0027】
出力軸44の先端側には、ワイパ部材を形成するワイパアーム(図示せず)の基端側が相対回転不能に固定されるセレーション部44aおよび、ワイパアームの基端側を出力軸44に固定するための固定ナット(図示せず)がねじ結合される雄ねじ部44bが一体に設けられている。
【0028】
出力軸44の基端側には、焼結材料等により形成された出力ギヤ51が一体回転可能に固定されている。出力ギヤ51の外周側には、出力ギヤ51の周方向に沿って略半周(約190°の範囲)に亘ってギヤ歯51aが形成されている。出力ギヤ51の周方向に沿うギヤ歯51aの両端側には、当接面としての第1当接面51bおよび第2当接面51cが形成されている。各当接面51b,51cは、ギヤケース31の内部に設けた突起部31cの各当接面31d,31eに、それぞれ略全面で当接可能となっている。
【0029】
出力ギヤ51の中心部分には、出力軸44の基端側が貫通しており、出力軸44の貫通した部分には、連結板46の長手方向一側が回転自在に連結されている。また、出力軸44の基端部には、椀状の樹脂キャップ47が装着され、樹脂キャップ47はギヤカバー32の内側面を摺接するようになっている。樹脂キャップ47は、出力軸44のギヤカバー32に対する相対回転を円滑にする役割を果たしている。
【0030】
運動変換部材45は、鋼板等をプレス加工(打ち抜き加工)することで平板状に形成され、連結部45aおよびセクタギヤ45bを備えている。連結部45aはウォームホイール43寄りに配置され、ウォームホイール43に回転自在に設けた連結軸43cに固定されている。つまり、連結部45aは連結軸43cを介してウォームホイール43に回転自在に連結されている。連結軸43cには、椀状の樹脂キャップ48が装着され、樹脂キャップ48はギヤカバー32の内側面を摺接するようになっている。樹脂キャップ48は、連結軸43cのギヤカバー32に対する相対移動を円滑にする役割を果たしている。
【0031】
セクタギヤ45bは略扇形形状に形成された平歯車であり、出力ギヤ51のギヤ歯51aに噛み合わされている。セクタギヤ45bの軸心には歯車軸52が固定され、歯車軸52には、連結板46の長手方向他側が回転自在に連結されている。また、歯車軸52には、椀状の樹脂キャップ49が装着され、樹脂キャップ49はギヤカバー32の内側面を摺接するようになっている。樹脂キャップ49は、歯車軸52のギヤカバー32に対する相対移動を円滑にする役割を果たしている。
【0032】
出力軸44と歯車軸52との間には、鋼板等をプレス加工(打ち抜き加工)することで平板状に形成された連結板46が設けられている。連結板46の長手方向一側および他側は、それぞれ出力軸44および歯車軸52に揺動自在に連結され、これにより連結板46は、出力ギヤ51のギヤ歯51aとセクタギヤ45bとの噛み合いを保持するようになっている。
【0033】
ギヤケース31の内部で出力ギヤ51側には、突起部31cが一体に設けられ、突起部31cは、例えば溶融したアルミ材料等を射出してギヤケース31を成形する際に、ギヤケース31に一体成形される。突起部31cは、出力ギヤ51の径方向に向けて突出し、その先端側は出力軸44に向けられている。突起部31cの突出高さは、出力ギヤ51のギヤ歯51aの突出高さよりも若干低い高さに設定され、出力ギヤ51の周方向に沿う突起部31cの両端側には、当接面としての第3当接面31dおよび第4当接面31eが形成されている。
【0034】
次に、以上のように形成したワイパモータ10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
[通常動作状態]
図示しないワイパスイッチを操作し、ワイパモータ10を回転駆動させると、図1に示すようにワイパ部材(出力軸44)は矢印SWの方向に揺動駆動され、一側反転位置である第1反転位置(停止位置)と、他側反転位置である第2反転位置との間で往復払拭動作する。これにより、リヤガラスに付着した雨水や埃等を払拭することができる。このとき、出力軸44に大きな負荷が掛かっていない状態(通常動作状態)においては、出力軸44の揺動角度はα°(例えば、160°)となっている。
【0035】
ワイパモータ10が通常動作状態で、かつワイパ部材が第1反転位置(停止位置)にある場合には、図3(a)に示すように、ギヤ歯51aの第1当接面51bと突起部31cの第3当接面31dとの間には所定隙間S1が形成され、各当接面51b,31dは互いに当接することは無い。また、ワイパモータ10が通常動作状態で、かつワイパ部材が第2反転位置にある場合には、図3(b)に示すように、ギヤ歯51aの第2当接面51cと突起部31cの第4当接面31eとの間には所定隙間S2が形成され、各当接面51c,31eは互いに当接することは無い。
[荷重負荷状態]
図4に示すように、ワイパ部材が第1反転位置(停止位置)にある場合に、例えば、車両の屋根に降り積もった雪Sがリヤガラス上に滑り落ち、雪Sによる大きな荷重F1がワイパ部材に掛かると、出力軸44にも大きな荷重が掛かる。すると、ワイパ部材に掛かる荷重F1によって出力軸44が揺動角度α°を越えて矢印R1方向(正方向)に回転する。すると、ギヤ歯51aの第1当接面51bが突起部31cの第3当接面31dに接近し、各当接面51b,31dは、矢印CP1に示すように互いに全面で接触するようになる。これにより、出力軸44(ワイパ部材)の所定角度以上の回転が規制されて、荷重F1によるギヤ機構40の駆動が停止する。よって、ギヤ機構40をギヤ欠け等から保護、つまりワイパモータ10を形成する構成部品を保護することができる。
【0036】
一方、図5に示すように、ワイパ部材が第2反転位置にある場合に、例えば、車両の屋根に降り積もった雪Sがリヤガラス上に滑り落ち、雪Sによる大きな荷重F2がワイパ部材に掛かると、出力軸44にも大きな荷重が掛かる。すると、ワイパ部材に掛かる荷重F2によって出力軸44が揺動角度α°を越えて矢印R2方向(逆方向)に回転する。すると、出力ギヤ51の第2当接面51cが突起部31cの第4当接面31eに接近し、各当接面51c,31eは、矢印CP2に示すように互いに全面で接触するようになる。これにより、出力軸44(ワイパ部材)の所定角度以上の回転が規制されて、荷重F2によるギヤ機構40の駆動が停止する。よって、ギヤ機構40をギヤ欠け等から保護、つまりワイパモータ10を形成する構成部品を保護することができる。
【0037】
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパモータ10によれば、出力ギヤ51の外周側に当該出力ギヤ51の周方向に沿って略半周に亘りギヤ歯51aを設け、ギヤケース31に出力ギヤ51の径方向に向けて突出する突起部31cを設け、ギヤ歯51aおよび突起部31cに互い当接可能に出力軸44の所定角度以上の回転を規制する当接面51b,51c,31d,31eを設けた。
【0038】
これにより、出力軸44に大きな負荷が掛かった場合に、ギヤ歯51aの各当接面51b,51cと突起部31cの各当接面31d,31eとが当接して、出力軸44が所定角度以上に回転するのを規制することができる。このとき、突起部31cの各当接面31d,31eが大きな負荷を受けるので、ギヤケース31に収容される他の構成部品(ギヤ機構40等)には大きな負荷が伝達されない。したがって、ワイパモータ10を形成する構成部品を保護することができる。また、構成部品には大きな負荷が掛からないので、構成部品の剛性を弱めてワイパモータ10を軽量化することが可能となる。さらに、出力ギヤ51および突起部31cに当接面51b,51c,31d,31eを形成するだけで良いので、部品点数を増加させずに簡易かつ安価な構造にでき、組み立て工程の簡素化が図れるとともに、ワイパモータ10をより小型化することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係るワイパモータ10によれば、突起部31cをギヤケース31に一体成形したので、ギヤケース31に突起部31cを組み付ける等の手間を省くことができる。したがって、ワイパモータ10の組み立て工程をより簡素化することが可能となる。
【0040】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ10によれば、出力ギヤ51の周方向に沿うギヤ歯51aの両端側に、各当接面51b,51cをそれぞれ設けたので、ワイパ部材の第1反転位置(停止位置)および第2反転位置の双方において出力軸44に大きな負荷が掛かった場合であっても、ワイパモータ10を形成する構成部品を保護することができる。
【0041】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、焼結材料等により形成された出力ギヤ51と、鋼板等の金属材料により形成された運動変換部材45とを示したが、本発明はこれに限らず、出力ギヤ51と運動変換部材45とを、プラスチック等の樹脂材料により形成することもできる。
【0042】
また、上記実施の形態においては、モータ部20として、ブラシ付きの電動モータを採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、ブラシレスの電動モータ等を採用することもできる。
【0043】
さらに、上記実施の形態においては、ワイパモータ10を自動車等の車両のリヤワイパ装置の駆動源に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、自動車等の車両のフロントウィンドガラスを払拭するフロントワイパ装置の駆動源に適用することもできる。
【0044】
また、上記実施の形態においては、ワイパモータ10を自動車等の車両に搭載されるワイパ装置の駆動源としたものを示したが、本発明はこれに限らず、鉄道車両や航空機,船舶等に搭載されるワイパ装置の駆動源としても用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 ワイパモータ
20 モータ部
21 モータケース
22 永久磁石
23 コイル
24 アーマチュア
25 アーマチュア軸(回転軸)
26 コンミテータ
27 ブラシ
28 ウォーム(ギヤ機構,減速機構)
30 ギヤ部
31 ギヤケース
31a 底部
31b ボス部
31c 突起部
31d 第3当接面(当接面)
31e 第4当接面(当接面)
32 ギヤカバー
32a 取付脚
40 ギヤ機構
41 減速機構(ギヤ機構)
42 運動変換機構(ギヤ機構)
43 ウォームホイール
43a 歯部
43b 回転中心軸
43c 連結軸
44 出力軸
44a セレーション部
44b 雄ねじ部
45 運動変換部材
45a 連結部
45b セクタギヤ
46 連結板
47,48,49 樹脂キャップ
50 シール部材
51 出力ギヤ(ギヤ機構)
51a ギヤ歯
51b 第1当接面(当接面)
51c 第2当接面(当接面)
52 歯車軸
α 揺動角度
S 雪
F1,F2 荷重
S1,S2 所定隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回転運動をギヤ機構により揺動運動に変換し、出力軸に取り付けられるワイパ部材を一側反転位置と他側反転位置との間で揺動駆動するワイパモータであって、
前記ギヤ機構を収容するギヤケースと、
前記ギヤ機構を形成し、前記出力軸に一体回転可能に設けられる出力ギヤと、
前記出力ギヤの外周側に設けられ、前記出力ギヤの周方向に沿って略半周に亘り形成されるギヤ歯と、
前記ギヤケースに設けられ、前記出力ギヤの径方向に向けて突出する突起部と、
前記ギヤ歯および前記突起部に互い当接可能に設けられ、前記出力軸の所定角度以上の回転を規制する当接面とを備えることを特徴とするワイパモータ。
【請求項2】
請求項1記載のワイパモータにおいて、前記突起部を前記ギヤケースに一体成形することを特徴とするワイパモータ。
【請求項3】
請求項1または2記載のワイパモータにおいて、前記ギヤ歯に設ける当接面を、前記出力ギヤの周方向に沿う前記ギヤ歯の両端側にそれぞれ設けることを特徴とするワイパモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−51527(P2012−51527A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197571(P2010−197571)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】