説明

ワイパーメンテナンスワゴン

【課題】ガソリンスタンド等におけるワイパー部品の購入や交換作業を簡単化できるようにして、ワイパー部品の交換し忘れを極力解消することや、それに伴う雨天走行のし難さの改善を図ることにも寄与するワイパーメンテナンスワゴンを提供する。
【解決手段】ワイパーメンテナンスワゴンにおいて、ワイパーブレードwbを蓄えるワイパーストック部2と、ワイパーブレードwbの長さを測定可能なワイパ長測定手段aとを有する台枠1に、この台枠1を移動可能とする移動手段bが装備されて成り、ワイパ測長手段aは、ワイパーアームに対する取付用としてワイパーブレードwbの長さ方向で中心位置に設けられるセンター箇所を合致させて位置合せするための基準箇所kと、その基準箇所kからの距離を二倍した数値sの複数とが記される半割測長ボード9を設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ワイパーの部品交換時に使用されるメンテナンスワゴンに係り、詳しくは、主にガソリンスタンドにおいて、ワイパーブレードやワイパーゴムの交換作業を便利で迅速に行うに役立つワイパーメンテナンスワゴンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントやリヤーウィンドウ外面の掃除用として装備されるワイパーは、特許文献1や2において開示されるように、自動車本体に装備されて往復回動駆動される駆動軸に根元側端部が取付けられるワイパーアームと、このワイパーアームの先端に枢支されるワイパーブレードとから成る構造のものが一般的(アームとブレードとが一体化される構造のワイパーもある)である。
【0003】
ワイパーは外装部品であって風雨に晒されるとともに、使用の有無に拘らずに時間の経過に伴って劣化して行く。特に、直接ウィンドウに擦り付け続けられるワイパーゴムは痛み易く、比較的頻繁に交換を余儀なくされる部品である。また、ワイパーゴムを交換してもワイパーがスムーズに動かないとか、汚れが落ち易い箇所と落ち難い箇所がある、というような場合には、ワイパーブレード自体に歪みや変形が生じていることが多いため、ワイパーゴムほどではないにせよ、ワイパーブレードも定期的に交換すること(1年に1回程度)が望ましい。
【0004】
上述のようなワイパーに関する不具合は、雨天使用時の拭取り効果の悪化により、ドライバー自身が気が付くことが殆どであり、適宜に部品交換され易いものであるように思える。しかしながら、次の雨天時までにはワイパー部品を交換しようと思いながら忘れてしまうことが比較的多いとともに、自動車のメカに弱いドライバー等では、雨天時に前が良く見えないことの原因が、ワイパーブレード等の不具合であることに気が付かないこともある。従って、実際にはガソリンスタンドでの給油時における給油スタッフの目視チェック等により、ワイパーゴムやワイパーブレードに不具合が生じていることを指摘されることも多い。
【0005】
このような場合、ガソリンスタンドの店内にワイパーブレードやワイパーゴムを交換部品として品揃えしてあれば、ドライバーが店内に出向く等して合致するブレードやゴムを探し出して購入し、それからドライバーが、或いは給油スタッフが劣化した部品を新品に交換することができ、その後の雨天走行に備えることが可能である。ガソリンスタンドに交換部品が無ければ、ドライバーがその後に自動車用品店等に出向いて購入し、自分で或いは自動車整備士等によってワイパーブレードやワイパーゴムを交換することになる。
【0006】
ワイパー部品を交換する場合、ドライバーが自車のワイパーブレードやワイパーゴムの長さを把握していることは稀であるから、殆どの場合は車に携帯されているユーザーズガイドをめくってワイパーのサービスデータを調べるか、実際にワイパー長さを測定するか、或いは、ワイパー部品会社が供給している適用カタログを見ることによって対象商品を限定(主に長さである)し、それから購入する、という手順を踏むことになる。従って、ガソリンスタンドに交換部品が置いてある場合には、そのガソリンスタンドにて上述の手順を行うとともに、ワイパーブレード等のワイパー部品の付換え作業を行うことになる。ところが、このワイパー部品の選定や付換えが面倒であって時間が掛ることもあるため、特に晴天の場合には結局ワイパー交換が後回しになってしまうことが多い。従って、次の雨天時に交換忘れを思い出す、という不都合な事態を招き易い。
【0007】
また、ガソリンスタンドに交換部品が置いていない場合には、その後に自動車用品店に出向く等、言うまでもなくワイパー部品の交換は後回しになるしかないため、上述の交換忘れの確率が高くなり、ガソリンスタンド等で折角にワイパー部品交換の注意喚起を受けても、その効果を有効に生かし難い面があった。
【特許文献1】特開平8−268234号公報
【特許文献2】特開平5−246307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ガソリンスタンドや自動車用品店等におけるワイパー部品の購入や交換作業を簡単化できるようにして、ワイパー部品の交換し忘れを極力解消することや、その交換し忘れに起因した雨天走行のし難さの改善を図ることにも寄与するワイパーメンテナンスワゴンを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、ワイパーメンテナンスワゴンにおいて、ワイパーブレードwb又は/及びワイパーゴムwgを蓄えておくためのワイパーストック部2と、ワイパーブレードwb又は/及びワイパーゴムwgの長さを測定可能なワイパ測長手段aとを有して構成される台枠1に、この台枠1を移動可能とする移動手段bが装備されて成ることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、ワイパーメンテナンスワゴンにおいて、ワイパーブレードwbを蓄えておくためのワイパーストック部2と、ワイパーブレードwbの長さを測定可能なワイパ長測定手段aとを有して構成される台枠1に、この台枠1を移動可能とする移動手段bが装備されて成り、
前記ワイパ測長手段aは、ワイパーアームに対する取付用としてワイパーブレードwbの長さ方向で中心位置に設けられるセンター箇所11を合致させて位置合せするための基準箇所kと、その基準箇所kからの距離を二倍した数値sの複数と、が記される半割測長ボード9を設けて構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のワイパーメンテナンスワゴンにおいて、交換された使用済みのワイパーブレードwb’の蓄えが可能な廃ワイパーストック部3が装備されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載のワイパーメンテナンスワゴンにおいて、ワイパーブレードwbの交換によって生じるゴミ類cの蓄えが可能なゴミストック部4が装備されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のワイパーメンテナンスワゴンにおいて、前記移動手段bは、前記台枠1の引き摺り移動(牽引移動)又は後押し移動を自在とすべく前記台枠1から突設される棒状部材製のハンドル5を有して構成されるとともに、前記ハンドル5に前記ワイパ測長手段aが装備されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のワイパーメンテナンスワゴンにおいて、前記台枠1を構成する縦壁部1a〜1d,1fが通風自在な構造壁に構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、ガソリンスタンド等において、ワイパーメンテナンスワゴンを移動させて自動車の横や前等のすぐ傍に配置することができ、自動車に付設されているワイパーのワイパーブレードやワイパーゴムが変形したり痛んでいたり、或いは摩耗しているような場合には、ワイパーストック部に収容されているワイパーブレードやワイパーゴムと交換することが迅速に行えるものとなる。その際、交換用として適合するワイパーブレードやワイパーゴムの長さを認知していなくても、台枠に装備されているワイパ測長手段によってワイパーブレードやワイパーゴムの長さを測定することができて、間違えることなく正規のワイパーブレードやワイパーゴムに交換することができる。
【0016】
これにより、ワイパーブレードやワイパーゴムに関する部品交換の注意喚起を受けたその時点で、かつ、その場所において、正規で新規の部品に交換することが可能になるので、自動車用品店等の離れた他の場所に行って部品購入する面倒や時間的なずれがなくなり、必要なときに必要なワイパー部品を購入して付換えることができるようになる。その結果、ガソリンスタンドや自動車用品店等におけるワイパー部品の購入や交換作業を簡単化できるようにして、ワイパー部品の交換し忘れを極力解消することや、その交換し忘れに起因した雨天走行のし難さの改善を図ることにも寄与する実用上の利点が大なワイパーメンテナンスワゴンを提供することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ガソリンスタンド等において、ワイパーメンテナンスワゴンを移動させて自動車の横や前等のすぐ傍に配置することができ、自動車に付設されているワイパーのワイパーブレードが変形したり錆びたり損傷していたりしているような場合には、ワイパーストック部に収容されているワイパーブレードと交換することが迅速に行えるものとなる。その際、交換用として適合するワイパーブレードの長さを認知していなくても、台枠に装備されているワイパ測長手段によってワイパーブレードの長さを測定することができて、間違えることなく正規のワイパーブレードに交換することができる。ワイパーブレードは、摩耗し易く比較的頻繁な交換が要求されるワイパーゴムに比べて交換時期が長いので、変形したり歪んだりしても交換されずに使用され続けることが多く、また、それに起因してウィンドウの拭き不良が生じていることも多々有るので、その根本対策が即座に行えるワイパーメンテナンスワゴンの存在は非常に便利であり、かつ、雨天時の安全性向上に寄与できる点でも好都合である。
【0018】
また、ワイパ測長手段は、長さ方向で中心位置に設けられるセンター箇所からの距離を二倍した数値の複数が記載される半割測長ボードを用いるものであって、ワイパーブレードの形状がその長さ中心に対して対称であることを利用して、その大きさを半減することに成功している。故に、市販されている最も長いワイパーブレードの約半分の長さでワイパ測長手段をコンパクトに台枠に装備することができる。
【0019】
このように、ワイパーブレード交換の注意喚起を受けたその時点で、かつ、その場所において、正規で新規のワイパーブレードに交換することが可能になるので、自動車用品店等の離れた他の場所に行って部品購入する面倒や時間的なずれがなくなり、必要なときに必要なワイパーブレードを購入して付換えることができるようになる。その結果、ガソリンスタンドや自動車用品店等におけるワイパーブレードの購入や交換作業を簡単化できるようにして、ワイパーブレードの交換し忘れを極力解消することや、その交換し忘れに起因した雨天走行のし難さの改善を図ることにも寄与する実用上の利点が大なワイパーメンテナンスワゴンを、ワイパ測長手段のコンパクト化による小型化が可能な状態で提供することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、廃ワイパーストック部に使用済みのワイパーブレードを蓄えることができて便利であり、請求項4の発明によれば、ワイパーブレード交換に伴って生じるゴミ類はゴミストック部に蓄えておける便利さがある。これらいずれのものでも、ワゴンの周辺に廃ワイパーブレードやゴミ類を散らかさないようにでき、クリーンな環境を維持できる点でも有用である。
【0021】
請求項5の発明によれば、ハンドルを手指で握っての人力でワイパーメンテナンスワゴンを移動できるものとなり、構造簡単で廉価な移動手段で済む利点があるとともに、そのための構成部材であるハンドルをワイパ測長手段の台枠への取付手段として活用できる合理性を備えたものとすることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、台枠を構成する縦壁が通風自在な構造壁で形成されているので、強風の吹く環境下においても風で倒れたり、移動が妨げられたりする不都合が軽減又は解消され、扱い易さや安全性が向上するとともに軽量化にも寄与できるワイパーメンテナンスワゴンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明によるワイパーメンテナンスワゴンの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は実施例1によるワイパーメンテナンスワゴンを示す各図、図4はワイパ測長手段を示す拡大正面図、図5はガソリンスタンドでのワイパーブレードの交換要領を示す作用図、図6は台枠との衝突保護構造を示す図、図7は実施例2によるワイパーメンテナンスワゴンを示す図である。
【0024】
〔実施例1〕
実施例1によるワイパーメンテナンスワゴンAは、図1〜図3に示すように、ワイパーストック部2と、廃ワイパーストック部3と、ゴミストック部4と、ワイパ長測定手段aと、入力部5とを有する台枠1に、左右一対の転輪6,6と、左右一対のストップ部材7,7とを装備して構成されている。台枠1は、前後左右の縦壁1a,1b,1c,1dと、底壁1eと、仕切り縦壁1fとから成る無蓋箱に形成されており、底壁1eの前端部の左右夫々に下方突出するストップ部材7が取り付けられ、底壁1eの後端部の左右夫々に転輪6が回転自在に支持されている。ストップ部材7の下端にはゴムストッパ7aが取付けられている。
【0025】
ワイパーストック部2は、前縦壁1aと後縦壁1bと右縦壁1dと底壁1eと仕切り縦壁1fとで囲まれた右側の最も大きな空間部として形成さており、パッケージに包装されている新品のワイパーブレードwbの複数を縦向き姿勢で収容することができる。各縦壁1a,1b,1d,1e上端に跨って装備される四角網状の仕切り8が装備されており、ワイパーブレードwbを縦横に整列させて蓄えておけるようになっている。
【0026】
廃ワイパーストック部3は、交換された後の使用済みのもの、即ち廃ワイパーブレードwb’を溜めておく所であり、前縦壁1aと後縦壁1bと左縦壁1cと底壁1eと仕切り縦壁1fとで囲まれた左側の空間部として形成されている。その容積は、一例としてワイパーストック部2の1/3〜1/4程度に設定されている。実施例1においては、この廃ワイパーストック部3はゴミストック部4を兼ねる構成とされている。ゴミストック部4は、ワイパーブレードwgを取り出した後の包装箱17や、包装用の紐やゴムバンド等のゴミ類cを溜めておくことが可能な所である。また、後縦壁1bの後側上部には、適用表、スプレーボトル等の小物を収容する所として、後方に突設される無蓋状の予備ストック部としてのバックポケット12が設けられている。バックポケット12は、水抜き孔を有する板材の壁から成っているが、メッシュ等の網状体による籠でも良い。
【0027】
図1,図6に示すように、台枠1の前側の左右夫々の角部には、他物との衝突による衝撃を吸収したり、他物の保護を図るためのクッション材10が装備されている。左右の各角部、具体的には前縦壁1aと左縦壁1cとの角部の下端部、前縦壁1aと右縦壁1dとの角部の下端部、及び折返し縁部(符記省略)の夫々に形成されてる計四箇所の挿通孔18に挿入される横向きバー部13a,13a及び折返し端部13c、13cと、下側の横向きバー部13aと上側の折返し端部13cとを繋ぐ縦向きバー部13bとから成る屈曲形状のバーフレーム13が装備されており、その縦向きバー部13bに挿通されるビニールチューブでクッション材10が構成されている。挿通孔18に挿入自在な横向きバー部13aの先端部は雄ネジ部14に形成されており、折返し端部13cの挿通孔18への落し込み挿入と、台枠1の内側からナット15を横向きバー部13a先端部に螺着することとにより、バーフレーム13ごとクッション材10が台枠1に取り付けられている。
【0028】
入力部5は、パイプ材(棒状部材の一例)を下向き開放コ字状に屈曲されて成るハンドルに形成されており、その左右両下端部が後縦壁1dに固定されている筒受け部20に挿入されてボルト止めされることで台枠1に取り付けられている。ハンドル5における左右の縦向きパイプ部5a,5bの上部は若干後倒れするように角度が付けられており、それら左右縦向きパイプ部5a,5bの上部に跨って後述の半割測長ボード9が架設装備されている。つまり、台枠1を移動可能とする移動手段bは、ハンドル5と一対の転輪6,6とによって構成されている。
【0029】
ワイパ測長手段aは、図1,図4に示すように、ワイパーアームwaに対する取付用としてワイパーブレードwbの長さ方向で中心位置に設けられるセンターリベット(センター箇所の一例)11を合致させて位置合せするための基準箇所kと、その基準箇所kからの距離を二倍した数値sの複数と、が記される半割測長ボード9を設けて構成されている。即ち、半割測長ボード9には、代表的なワイパーブレードの長さ方向で半分の絵pが描かれており、その絵pにおけるセンターリベット11に相当する丸孔として描かれた部分が基準箇所kであり、その丸孔kを基準として表されるワイパー長さ数値sが300〜650mmの範囲で複数表記されている。各長さ数値の下方には、標準的なメーカー(G社、N社)のモデル名(型式名や、記号等)及び販売価格が情報として一体的に記載されており、良く出回っている一般大衆車であれば長さだけでなく、値段も即座に分るように工夫されている。
【0030】
つまり、自動車のワイパーアームwaから取外されたワイパーブレードwbを、そのセンターピン11を丸孔kに合致させて半割測長ボード9に合せれば、ブレード先端の位置に合致する数値sがそのワイパーブレードwbの全長(ワイパーゴムwgの全長でもある)であることが瞬時に判明するものとなっている。図5では、ワイパーブレードwbの先端位置が「450」の数値sに合致しており、ブレード長(ワイパーゴム長)が450mmであることをワイパ測長手段aが示している。尚、ワイパーゴムwgはブレードゴムとも呼ばれる。
【0031】
次に、実施例1のワイパーメンテナンスワゴンAの使用例について説明する。図3には、ガソリンスタンドにおいて使用されている状態のワイパーメンテナンスワゴンAの一例が示されている。ワイパーストック部2にはほぼ満タンに包装箱入りのワイパーブレードwbが装填されているとともに、廃ワイパーストック部3には複数本の劣化して交換された廃ワイパーブレードwbが剥き出し状態で収容されており、台枠1の装備されている一対の転輪6,6と一対のストップ部材7,7とによって起立した姿勢で床に置かれている。
【0032】
さて、ガソリンスタンドに自動車が入って来ての給油時のサービスとして、給油スタッフがワイパーブレードwb(又はワイパーゴムwg)が変形や摩耗していて要交換時期であることをドライバーに説明し、納得してもらえたら給油事務所の前等に置いてあるワイパーメンテナンスワゴンAを、そのハンドル5を手指で握って一対の転輪6,6で転がしての引張り移動により、対象となる自動車の傍に位置させる。そして、交換対象のワイパーブレードwbを自動車のワイパーアームwaから外し、図5に示すように、外したワイパーブレードwbを、ワイパーメンテナンスワゴンAの半割測長ボード9に所定の姿勢及び位置に合せて当てがい、適合長さを測定するのである。
【0033】
長さ測定により、適合するワイパーブレードwb及びその値段が分るので、その旨をドライバーに知らせ、それからワイパーメンテナンスワゴンAに収容されている新品のワイパーブレードwbをワイパーストック部2から取出すとともに包装箱17からも出し、既存のワイパーアームwaに装着するのである。つまり、交換された使用済みのワイパーブレードが廃ワイパーブレードwb’となり、廃ワイパーストック部3に収容される。この場合、装着作業の終了後、或いは供給対象となるワイパーブレードwbが判明した時点で、ドライバーから代金を頂くようになることが多い。作業が終了するとワイパーメンテナンワゴンAを引張って元の置き場所に移動し、起立姿勢で置いておくのである。
【0034】
このように本発明のワイパーメンテナンワゴンAによれば、市場に多く出ている代表的な車種に適合するワイパーブレードを多く搭載収容させてあり、かつ、それらのワイパーブレード長が即座に分るワイパー測長手段aが装備されているので、給油時のタイムラグを利用して、ドライバーの手を煩わせることなく簡単で便利にワイパーブレード(又はワイパーゴム)の交換を行うことができる。ワイパー不調は雨天走行時に危険であって、適宜に部品交換しなければならない割にはその交換を忘れ易い傾向があるため、ドライバーにとっては、わざわざ買いに行って付換える手間が省けて喜ばしいとともに、ガソリンスタンド側にとってもジャストインタイムな部品販売ができ、しかもお客様に喜んでもらえるサービス行為であるとともに、安全運転にも寄与できて実用上の利点が大である。
【0035】
〔実施例2〕
実施例2によるワイパーメンテナンワゴンAは、図7に示すように、台枠1を構成する各縦壁部が通風自在な構造壁に構成されるとともに、ワイパー測長手段aが着脱自在に装備されている以外は、基本的に実施例1のワイパーメンテナンスワゴンAと同じである。即ち、前後左右及び仕切り縦壁1a〜1d,1fがパンチングメタルで構成されており、ワイパーブレード等の収容物を問題無く支持しながら、横風を極力やり過ごせるようにしてあり、強風が吹いても起立姿勢で置かれているワイパーメンテナンワゴンAが容易には転等しないように構成されている。また、底壁1eもパンチングメタル製として、さらに風に強いものとしても良い。
【0036】
ワイパー測長手段aは、ハンドル5における左右の縦向きパイプ部5a,5bの夫々に装着されているガイドレール部16,16と、これらのガイドレール部16,16に対して上方からの落し込みによる装着、及び上昇移動による上方への抜き出しが自在に装備される半割測長ボード9とを有して構成されている。つまり、半割測長ボード9が着脱自在であるから、ガイドレール16,16から外された半割測長ボード9を、ワイパーアームwaがフロントウィンドウから離し移動されている状態のワイパーブレードwbに移動してあてがう、といった操作を行うことにより、外される前の状態(自動車に装着されたままの状態)で適合ワイパーブレードの長さや値段を知ることが可能になる。この場合、半割測長ボード9とハンドル5や台枠1等とを紐やチェーン等の紐状体19で連結しておけば、しまい忘れたり、紛失したりが防止できて好都合である。
【0037】
〔別実施例〕
台枠1や各ストック部2,3,4等の形状や大きさは種々のものが可能であり、その材料も、圧延鋼板、ステンレス鋼板、アルミ合金板、合成樹脂、木製板材等、種々の変更が可能である。クッション材10は台枠1の後側の左右にも装備されるのが望ましいとともに、もっと径の大きいスポンジゴム等からなる大きなクッション材を装備しても良い。測長手段aは、台枠1の背面に上下向きの姿勢で装備される等により、ワイパーゴムwgの全長を直に測定できるものとして構成されたものでも良い。
【0038】
移動手段bは、一対のストップ部材7,7に代えて、一対のキャスター輪が装備される構成でも良く、加えていずれかの輪6,7にブレーキ機能を設けておくのが望ましい。また、この場合にはワイパ測長手段aを台枠1に設ける等して、ハンドル5をもっと小型化したり省略したりすることが可能である。通風自在な縦壁や底壁1a〜1fとしては、金網や合成樹脂網等の網状体で成るものや、エキスパンドメタル製、或いはプレス加工によって複数の孔が形成されている板材等、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1によるワイパーメンテナンスワゴンの正面図
【図2】図1のワイパーメンテナンスワゴンの斜め後方から見た斜視図
【図3】ワイパーメンテナンスワゴンの使用状況例を示す作用図
【図4】ワイパ測長手段を示す拡大正面図
【図5】ワイパーブレードの測長操作の概要を示す作用図
【図6】クッション材の取付構造を示す要部の(a)斜視図と(b)平面図
【図7】実施例2によるワイパーメンテナンスワゴンを示す概略図
【符号の説明】
【0040】
1 台枠
1a〜1d,1f 通風自在な構造壁
2 ワイパーストック部
3 廃ワイパーストック部
4 ゴミストック部
5 ハンドル
9 半割測長ボード
11 センター箇所
A ワイパーメンテナンスワゴン
a ワイパ測長手段
b 移動手段
k 基準箇所
s 数値
wb ワイパーブレード
wb’ 使用済みのワイパーブレード
wg ワイパーゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーブレード又は/及びワイパーゴムを蓄えておくためのワイパーストック部と、ワイパーブレード又は/及びワイパーゴムの長さを測定可能なワイパ測長手段とを有して構成される台枠に、この台枠を移動可能とする移動手段が装備されて成るワイパーメンテナンスワゴン。
【請求項2】
ワイパーブレードを蓄えておくためのワイパーストック部と、ワイパーブレードの長さを測定可能なワイパ長測定手段とを有して構成される台枠に、この台枠を移動可能とする移動手段が装備されて成り、
前記ワイパ測長手段は、ワイパーアームに対する取付用としてワイパーブレードの長さ方向で中心位置に設けられるセンター箇所を合致させて位置合せするための基準箇所と、その基準箇所からの距離を二倍した数値の複数と、が記される半割測長ボードを設けて構成されているワイパーメンテナンスワゴン。
【請求項3】
交換された使用済みワイパーブレードの蓄えが可能な廃ワイパーストック部が装備されている請求項2に記載のワイパーメンテナンスワゴン。
【請求項4】
ワイパーブレードの交換によって生じるゴミ類の蓄えが可能なゴミストック部が装備されている請求項2又は3に記載のワイパーメンテナンスワゴン。
【請求項5】
前記移動手段は、前記台枠の引き摺り移動又は後押し移動を自在とすべく前記台枠から突設される棒状部材製のハンドルを有して構成されるとともに、前記ハンドルに前記ワイパ測長手段が装備されている請求項1〜4の何れか一項に記載のワイパーメンテナンスワゴン。
【請求項6】
前記台枠を構成する縦壁部が通風自在な構造壁に構成されている請求項1〜5の何れか一項に記載のワイパーメンテナンスワゴン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−100571(P2008−100571A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283570(P2006−283570)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000114363)ムラキ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】