説明

ワイヤハーネス用クリップ

【課題】車体パネルの取付穴からの浸水を防ぐ防水性能を向上させる。
【解決手段】基板タイプのクリップでは基板部11またはバンドタイプのクリップではバンド係止部51を備えた本体部50から軸部21を突出し、該軸部21の先端から羽根部23を折り返し状に設け、羽根部23の先端には車体パネルPの取付穴Hに係止する係止段部24を備えると共に、軸部21を中心とする皿状部22を軸部21の基部21aから突設し、皿状部22の軸部突出側面22bに弾性材からなる止水部材B1〜B3を密着させて取り付けている。止水部材B1〜B3は皿状部22の外周縁22aよりも軸部21の突出方向に突出させ、この突出部分を車体パネルPの取付穴Hの内周面または車体表面側周縁の少なくともいずれか1つの周方向全長にわたって密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に配索するワイヤハーネスを車体パネルの取付穴に係止固定するためのクリップに関し、特に、車体パネルの取付穴を通して室外側から車室側へ浸水することを防止するために止水部材を取り付けたワイヤハーネス用クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索されるワイヤハーネスは、クリップを介して車体パネルに固定することによって配索経路を位置決めしている。
【0003】
この種のクリップは、図11(A)に示すクリップ1のように、車体係止構造として、皿状部1aと、該皿状部1aの中心から突出する軸部1bと、軸部1bの先端より両側に折り返し状に形成した係止羽根部1cとを備えており、該係止羽根部1cを車体パネル6の取付穴7に挿入係止してワイヤハーネス5を車体パネル6に固定する。
【0004】
前記クリップ1は、図11(B)に示すように、前記皿状部1aの凹部1dに円環形状の弾性止水部材2を組み付けている。該弾性止水部材2は、その厚みtを、皿状部1aの外周壁1eの高さhと略同一としている。これにより、車体パネル6の取付穴7にクリップ1を係止したときに、前記皿状部1aと共に前記弾性止水部材2が車体パネル6の表面に押し当てられて密着し、取付穴7を通って水が室外X側から車室Y側へと浸入することを防止できる。(特開平11−82815号公報参照)
【0005】
この種の防水クリップの他の例として、図12(A)(B)に示すクリップ3がある。 このクリップ3は前記クリップ1と同様の車体係止構造を備えているが、軸部3aの基部周縁から突出する皿状部3bの凹部内部に防水性と粘性を有するゲル状物質4を収容している。これにより、車体パネル6の取付穴7にクリップ3を係止したときに、皿状部3bが車体パネル6の表面に押し付けられることにより前記ゲル状物質4も車体パネル6の表面に圧接して水密に密着するとしている。(特開2000−249120号公報参照)
【0006】
しかしながら、これらのクリップ1、3は、クリップ1では弾性止水部材2の表面2aが皿状部1aの外周縁1fと略同一高さであり、クリップ3ではゲル状物質4の表面4aが皿状部3bの外周縁3cよりも低いため、いずれも皿状部1a、3bの外周縁1f、3cが車体パネル6の表面に押し付けられて変形しなければ、弾性止水部材2およびゲル状物質4も車体パネル6の表面に密着することができない。従って、ワイヤハーネス5の引っ張りやハーネス5自体の重さにより皿状部1a、3bが変形し、図13に示すように(図示はクリップ1の例)、車体パネル6の表面から皿状部1a、3bが離れると、車体パネル6と弾性止水部材2およびゲル状物質4との間にも隙間ができて水密状態を維持できず、取付穴7からの浸水を完全に防止できない虞がある。
【0007】
また、前記クリップ3は、止水材としてゲル状物質4を用いているため、コスト高となる問題もある。
【0008】
【特許文献1】特開平11−82815号公報
【特許文献2】特開2000−249120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネス用クリップにおいて、車体パネルの取付穴からの浸水を防ぐ防水性能を低コストで向上させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネスを車体パネルに固定するため、テープ巻きして取り付ける基板タイプまたはバンドを巻き付けて締結するバンドタイプのクリップであり、前記基板タイプのクリップでは基板または前記バンドタイプのクリップではバンド係止部を備えた本体部から軸部を突出し、該軸部の先端から羽根部を折り返し状に設け、該羽根部の先端に前記車体パネルの取付穴に係止する係止段部を備えたワイヤハーネス固定用のクリップにおいて、
前記基板または本体部から突設する前記軸部を中心とする皿状部を該軸部の基部から突設し、該皿状部の軸部突出側面に弾性材からなる止水部材を密着させて取り付け、
該止水部材を前記皿状部の外周縁よりも前記軸部の突出方向に突出させ、該突出部分を前記車体パネルの取付穴の内周面または車体表面側周縁の少なくともいずれか1つの周方向全長にわたって密着させることを特徴とするワイヤハーネス用クリップを提供している。
【0011】
前記構成のワイヤハーネス用クリップは、弾性材からなる止水部材の表面を皿状部の外周縁よりも軸部突出方向に突出させているため、皿状部の外周縁が車体パネルの表面から離れた場合でも、止水部材の前記突出部分が車体パネルの取付穴周縁または該取付穴の内周面に密着することができる。従って、皿状部がワイヤハーネスの引っ張りやハーネス自体の重みを受けて変形したり上下左右に位置ずれして該皿状部と車体パネル表面との距離が変化しても、前記止水部材と車体パネルとは安定的に密着して水密状態を維持できるため、取付穴からの浸水を有効に防止することができる。
【0012】
前記止水部材は、台円錐形状または円錐形状とし、その中心軸線に沿って設けた貫通穴に前記軸部を密着させて通すと共に、大径の下端面を前記皿状部の軸部突出側面に密着させ、該止水部材の外周面を車体パネルの前記取付穴の内周面に密着させてもよい。
【0013】
このように止水部材を車体パネルの取付穴内に挿入して該止水部材の外周面を取付穴の内周面に密着させることにより、取付穴そのものを止水部材によって塞ぐことができるため、前記皿状部と車体パネルとの距離の変化に影響されることなく、安定した止水機能を発揮することができる。
【0014】
また、止水部材の形状を台円錐形状または円錐形状とすることにより、該止水部材の大径側下側部が取付穴の内周面に押されて撓み変形し、該取付穴の内周面に強く圧接すると共に、最大径の下端部が取付穴内に入り込めずに該取付穴の周縁に引っ掛かった状態となり、この引っ掛かり部分が取付穴の車体表面側周縁に密着する。このように、止水部材が取付穴の内周面と取付穴の車体表面側周縁の2箇所に密着することにより、クリップの防水性をより一層高めることができる。
【0015】
なお、皿状部に前記台円錐形状または円錐形状の止水部材を取り付ける場合は、前記羽根部の先端の内側に、該羽根部の幅方向両側から中心に向かって内側へ突出させた尖端部を形成し、羽根部を車体パネルの取付穴に係止したときに、前記尖端部が止水部材の外周面に刺さるようにすることが好ましい。
【0016】
前記止水部材は、上面および下面を平坦面とする円環形状とすると共に、上面を前記皿状部の外周縁よりも前記軸部の突出方向に突出させ、前記上下両面に両面テープを粘着し、前記下面に粘着した両面テープの下側粘着面を前記皿状部の軸部突出側面に粘着させ、前記上面に粘着した両面テープの上側粘着面を車体パネルの前記取付穴の車体表面側周縁に密着させてもよい。
【0017】
このように、止水部材と皿状部を両面テープで粘着すると共に、該止水部材と取付穴の車体表面側周縁も両面テープで互いに粘着することにより、クリップが引っ張られても車体パネルと止水部材、および止水部材と皿状部とをそれぞれ密着させた状態で維持することができるため、クリップが多少変形したり歪んだりしても取付穴からの浸水を有効に堰き止めることができ、安定した防水性能を備えることができる。
【0018】
前記止水部材は、円環形状とし、その下面は平坦面として前記皿状部の軸部突出側面に密着させると共に、上面は山状凸形状として該山状凸形状の上側部分を前記皿状部の外周縁よりも前記軸部の突出方向に突出させ、該上側部分を前記取付穴の車体表面側周縁に密着させてもよい。
【0019】
このように、止水部材の上面を山状凸形状として、該山状凸形状の上側部分を皿状部の外周縁よりも高く突出させることにより、クリップが引っ張られる等して皿状部と車体パネル表面との距離が変化しても、この距離の変化を前記上側部分の弾性変形によって吸収することができるため、止水部材と車体パネル表面とを安定的に密着させることができる。
【0020】
前記止水部材はウレタン製とすることが好ましい。これにより、止水部材を比較的安価に作製することができる。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本発明によれば、クリップの皿状部に取り付ける止水部材を皿状部の外周縁よりも軸部突出方向に突出させ、この突出部分を車体パネルの取付穴の内周面または該取付穴の車体表面側周縁の少なくともいずれか1つに密着させるため、ワイヤハーネスの引っ張りや重さによってクリップが引っ張られて皿状部が車体パネル表面から離れたときでも、前記止水部材の突出部分が車体パネルに密着して取付穴そのもの、あるいは取付穴周縁を塞ぐことができ、水密状態を維持することができる。よって、車体パネルの取付穴からの浸水を有効に防止することができ、クリップが引っ張られたり変形してもその影響を受けることなく安定した防水機能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
いずれの実施形態も、自動車に配索するワイヤハーネスを車体パネルPの取付穴Hに係止固定する樹脂成形品からなるクリップに本発明を適用している。
【0023】
図1乃至図3に、本発明の第一実施形態に係るワイヤハーネス用クリップ10−1を示す。該クリップ10−1は、平板状の基板部11に車体係止部A1を形成した基板タイプのクリップである。
【0024】
前記車体係止部A1は、図1(A)に示すように、前記基板部11の上面中心より上向きに突設した軸部21と、該軸部21を中心として該軸部21の基部21aの周縁から突設した皿状部22と、該軸部21の先端より両側に折り返して形成した羽根部23とを備え、前記軸部21にウレタン製の止水部材B1を取り付けている。
前記皿状部22は、その中心から外周縁22aに向かって前記軸部21の突出方向に湾曲し、軸部突出側面22bを凹形状としている。
前記羽根部23の先端には、外面側には係止段部24を形成していると共に、内面側には、図2(B)にも示すように、各羽根部23の幅方向両側から中心に向かって内側に突出させた尖端部25を形成している。
【0025】
前記止水部材B1は、図1(B)に示すように、中心軸線に沿って貫通穴31を設けた台円錐形状よりなる。該貫通穴31の径は、前記車体係止部A1の軸部21の外径と略同一あるいは小径としている。止水部材B1の大径側となる下側部32の径は車体パネルPの取付穴Hの径よりも大径とし、小径側となる上側部33は取付穴Hの径よりも小径としている。また、止水部材B1の高さは、図1(A)に示すように、下端面34を前記皿状部22の軸部突出側面22bに密着させた状態において、上側部33が皿状部22の外周縁22aよりも軸部21の突出方向に突出して両側の羽根部23の内側に入り込む高さとしている。
前記止水部材B1は、前記貫通穴31に前記車体係止部A1の軸部21を密着させて通し、該軸部21に外嵌させて取り付けると共に、大径側となる下端面34を前記皿状部22の軸部突出側面22bに密着させている。
【0026】
前記クリップ10−1は、図2(A)に示すように、ワイヤハーネスW/Hの軸線方向に沿って前記基板部11を配置し、該基板部11の両端をワイヤハーネスW/HにテープTで巻き付けて固定する。
【0027】
前記ワイヤハーネスW/Hに取り付けたクリップ10−1を車体パネルPに固定する場合、図2(A)に示すように、車体パネルPの取付穴Hにクリップ10−1の前記羽根部23と軸部21を車室Y側から室外X側へ押し込み、羽根部23の前記係止段部24を取付穴Hの室外X側周縁に係止させる。このとき、軸部21に外嵌した前記止水部材B1は、取付穴Hの径よりも大径の下側部32が取付穴Hの内周面におされて弾性変形しながら該取付穴H内に押し込まれる一方、最大径となる下端部35は取付穴Hの室内Y側周縁に引っ掛かる。
【0028】
これにより、止水部材B1は、取付穴Hの内周面にその周方向全長にわたって圧接して取付穴Hと軸部21との隙間を塞ぐと共に、止水部材B1の下端部35も取付穴Hの室内Y側周縁に圧接し、止水部材B1と車体パネルPとが2箇所で水密に密着するため、取付穴Hからの車室Y側への水の浸入を有効に防止することができる。
【0029】
さらに、図3に示すように、ワイヤハーネスW/Hに引っ張られるなどしてクリップ10−1の皿状部22の外周縁22aが車体パネルPの表面から離れたとしても、止水部材B1が取付穴H内に押し込まれて該取付穴Hそのものを塞いでいるため、皿状部22の変形や位置ずれ等の影響を受けることなく水密状態を維持し、安定した防水性能を発揮することができる。
【0030】
なお、前記止水部材B1は、図4(A)(B)に示す変形例1のように円錐形状としてもよい。
【0031】
図5および図6に、本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネス用クリップ10−2を示す。
クリップ10−2は、基板部11の上面中央に車体係止部A2を形成している。該車体係止部A2は、図5(A)に示すように、皿状部22の軸部突出側面22bを平坦面とすると共に該皿状部22の外周縁22aに沿って周壁を設けず、前記軸部突出側面22bに円環形状のウレタン製の止水部材B2を取り付けている。また、羽根部23の内側には尖端部を設けていないが、車体係止部A2のその他の構成は、前記第1実施形態の車体係止部A1と同一であるため、同一符合を付して説明を省略する。
【0032】
前記止水部材B2は、図5(B)に示すように、車体係止部A2の軸部21を貫通させる貫通穴36を中央に設けた円環形状よりなり、上面37および下面38をいずれも平坦面としている。この上下両面37、38にはそれぞれ円環形状の両面テープ39、40を粘着しており、下面38に粘着した両面テープ40の下面側粘着面を皿状部22の軸部突出側面22bに接着して止水部材B2を車体係止部A2に取り付けている。上面37に粘着した両面テープ39の上面側粘着面39aの剥離紙41は径方向にスリット41aを入れておき、軸部21に引っ掛からずに剥離できるようにしている。
【0033】
ワイヤハーネスW/HにテープTで巻き付けて固定した前記クリップ10−2を車体パネルPに固定するときは、止水部材B2の上面37に粘着した両面テープ39の上面側剥離紙41を剥離して粘着面39aを露出させておき、図6に示すように、車体係止部A2の羽根部23と軸部21を取付穴Hに挿入して羽根部23の係止段部24を取付穴Hの周縁に係止させると同時に、止水部材B2の前記上面側粘着面39aを取付穴Hの室内Y側周縁に押し付けて粘着させる。
【0034】
これにより、車体パネルPの取付穴Hの周縁と皿状部22との間に止水部材B2が介在し、該止水部材B2と皿状部22の軸部突出側面22bとが周方向全長にわたって互いに密着すると共に、止水部材B2と取付穴Hの室内Y側周縁も周方向全長にわたって互いに密着するため、室外X側から取付穴Hを通って室内Y側へと浸水することを確実に防止することができる。
【0035】
また、止水部材B2と皿状部22の軸部突出側面22b、および止水部材B2と取付穴Hの室内Y側周縁が、それぞれ両面テープ40、39によって周方向全長にわたって粘着しているうえ、止水部材B2が弾性を有するウレタン製であることにより、クリップ10−2が引っ張られた場合でも、止水部材B2は皿状部22と車体パネルPの取付穴H周縁の両方に継続して密着し続けることができるため、優れた防水性を安定して機能させることができる。
【0036】
図7乃至図9に、本発明の第3実施形態に係るワイヤハーネス用クリップ10−3を示す。
クリップ10−3は、基板部11の上面中央に車体係止部A3を形成している。該車体係止部A3は、図7(A)に示すように、皿状部22の凹形状の軸部突出側面22bに円環形状のウレタン製止水部材B3を取り付けている。また、羽根部23の内側には尖端部を設けていないが、車体係止部A3のその他の構成は前記第1実施形態の車体係止部A1と同一であるため、同一符合を付して説明を省略する。
【0037】
前記止水部材B3は、図7(B)に示すように、軸部21を貫通させる貫通穴42を中央に設けた円環形状よりなり、下面43を平坦面とする一方、上面44を山状凸形状としている。下面43には両面テープ45を粘着しており、該両面テープ45の下側粘着面を皿状部22の軸部突出側面22bに粘着して止水部材B3を車体係止部A3に取り付けている。該止水部材B3の厚み(高さ)は、図7(A)に示すように、該止水部材B3の下面43を皿状部22の軸部突出側面22bに密着させた状態において、前記山状凸形状の上面44の上側部44aが皿状部22の外周縁22aよりも軸部21の突出方向に突出するように設定している。
【0038】
ワイヤハーネスW/HにテープTで巻き付け固定した前記クリップ10−3を車体パネルPに固定するときは、図8に示すように、車体係止部A3の羽根部23と軸部21を取付穴Hに挿入して羽根部23の係止段部24を取付穴Hの室外X側周縁に係止させると共に、止水部材B3の前記上側部44aを取付穴Hの室内Y側周縁に押し付けて密着させる。
【0039】
これにより、車体パネルPの取付穴Hの車室Y側周縁に、その周方向全長にわたって前記止水部材B3が密着するため、室外X側から取付穴Hを通って車室Y側へと浸水することを防止することができる。
【0040】
また、前記止水部材B3は弾性を有するウレタン製であるうえ、その上側部44aは皿状部22の外周縁22aよりも高く突出しているため、クリップ10−3が引っ張られる等して皿状部22の外周縁22aが車体パネルPの表面から離れたとしても、図9に示すように、止水部材B3の上側部44aが弾性復帰して取付穴Hの周縁に密着し続けることができるため、優れた防水性を安定して機能させることができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態および変形例に限定されるものではない。前記羽根部23は、左右に折り返し状に設ける場合に限らず、4つの羽根部を90度間隔をあけた4方向に折り返し形成してもよい。
また、前記いずれのクリップ10−1〜10−3も、ワイヤハーネス固定部をバンドタイプとしてもよく、その場合、前記車体係止部A1〜A3は、図10に示すように(図示は車体係止部A1の例)、ワイヤハーネスに巻き付けて固定するバンド52を一側面より延在させると共に、該バンド52を係止するバンド係止部51を備えた本体部50の上面より突設する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一実施形態に係るクリップを示し、(A)は断面図、(B)は止水部材の斜視図である。
【図2】図1に示すクリップをワイヤハーネスに取り付けて車体パネルに固定した状態を示し、(A)は要部断面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図3】図2においてクリップが変形したときの状態を示す要部断面図である。
【図4】第1実施形態の変形例1を示し、(A)はクリップの断面図、(B)は止水部材の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るクリップを示し、(A)は断面図、(B)は要部分解斜視図である。
【図6】図5に示すクリップをワイヤハーネスに取り付けて車体パネルに固定した状態を示す要部断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るクリップを示し、(A)は断面図、(B)は要部分解斜視図である。
【図8】図7に示すクリップをワイヤハーネスに取り付けて車体パネルに固定した状態を示す要部断面図である。
【図9】図8においてクリップが変形したときの状態を示す要部断面図である。
【図10】バンドタイプのクリップの例を示す断面図である。
【図11】従来例を示す図である。
【図12】他の従来例を示す図である。
【図13】従来例の問題点を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10−1〜10−3 ワイヤハーネス用クリップ
11 基板部
A1〜A3 車体係止部
21 軸部
22 皿状部
23 羽根部
24 係止段部
B1〜B3 止水部材
W/H ワイヤハーネス
P 車体パネル
H 取付穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に配索されるワイヤハーネスを車体パネルに固定するため、テープ巻きして取り付ける基板タイプまたはバンドを巻き付けて締結するバンドタイプのクリップであり、前記基板タイプのクリップでは基板または前記バンドタイプのクリップではバンド係止部を備えた本体部から軸部を突出し、該軸部の先端から羽根部を折り返し状に設け、該羽根部の先端に前記車体パネルの取付穴に係止する係止段部を備えたワイヤハーネス固定用のクリップにおいて、
前記基板または本体部から突設する前記軸部を中心とする皿状部を該軸部の基部から突設し、該皿状部の軸部突出側面に弾性材からなる止水部材を密着させて取り付け、
該止水部材を前記皿状部の外周縁よりも前記軸部の突出方向に突出させ、該突出部分を前記車体パネルの取付穴の内周面または車体表面側周縁の少なくともいずれか1つの周方向全長にわたって密着させることを特徴とするワイヤハーネス用クリップ。
【請求項2】
前記止水部材は、台円錐形状または円錐形状とし、その中心軸線に沿って設けた貫通穴に前記軸部を密着させて通すと共に、大径の下端面を前記皿状部の軸部突出側面に密着させ、該止水部材の外周面を車体パネルの前記取付穴の内周面に密着させる請求項1に記載のワイヤハーネス用クリップ。
【請求項3】
前記止水部材は、上面および下面を平坦面とする円環形状とすると共に、上面を前記皿状部の外周縁よりも前記軸部の突出方向に突出させ、前記上下両面に両面テープを粘着し、前記下面に粘着した両面テープの下側粘着面を前記皿状部の軸部突出側面に粘着させ、前記上面に粘着した両面テープの上側粘着面を車体パネルの前記取付穴の車体表面側周縁に密着させる請求項1に記載のワイヤハーネス用クリップ。
【請求項4】
前記止水部材は、円環形状とし、その下面は平坦面として前記皿状部の軸部突出側面に密着させると共に、上面は山状凸形状として該山状凸形状の上側部分を前記皿状部の外周縁よりも前記軸部の突出方向に突出させ、該上側部分を前記取付穴の車体表面側周縁に密着させる請求項1に記載のワイヤハーネス用クリップ。
【請求項5】
前記止水部材はウレタン製である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−121773(P2010−121773A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298832(P2008−298832)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】