説明

ワイヤハーネス用固定具および当該ワイヤハーネス用固定具を備えたワイヤハーネス

【課題】パネルに配索される電線のぐらつきと移動を防止するワイヤハーネス用固定具および当該ワイヤハーネス用固定具を備えたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス用固定具2は、パネルに配索される電線11と、前記電線11の外周面に被覆され当該電線11に固定された固定部12と、前記固定部12から立設され前記パネルの取付孔に係止される係止部17と、前記固定部12の前記電線11の長手方向の一端から当該電線11の長手方向に沿って延長された延長部15と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルに配索される電線のぐらつきと移動を防止するワイヤハーネス用固定具および当該ワイヤハーネス用固定具を備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等には、種々の電子機器と電装品とが搭載されている。前記電子機器や電装品には、バッテリなどの電源等からの電力や制御装置からの制御信号などを伝えるワイヤハーネスが電気的に接続されている。
【0003】
ワイヤハーネスは、自動車等の車体を構成するパネルに配索されている。ワイヤハーネスは、電源等や制御装置などに電気的に接続するコネクタやターミナルなどが端末に設けられた電線と、前記電線に取り付けられ前記パネルの取付孔に係止されるワイヤハーネス用固定具と、を備えている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のワイヤハーネス用固定具は、前記電線に対して移動可能に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−315164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のワイヤハーネス用固定具は、当該ワイヤハーネス用固定具の電線と、前記パネルに配索される複数本の電線を束ねた電線束とが粘着テープ等で捲回されて、前記電線束に前記ワイヤハーネス用固定具が取り付けられた際に、前記ワイヤハーネス用固定具自体は前記粘着テープに捲回されないため、前記ワイヤハーネス用固定具上で前記電線束がぐらつくという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載のワイヤハーネス用固定具は、電線に対して移動可能に形成されているため、前記ワイヤハーネス用固定具上で前記電線束が当該電線束の軸方向に移動したり、前記電線束の外周面方向に移動したりする問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、パネルに配索される電線のぐらつきと移動を防止するワイヤハーネス用固定具および当該ワイヤハーネス用固定具を備えたワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、パネルに配索される電線と、前記電線の外周面に被覆され当該電線に固定された固定部と、前記固定部から立設され前記パネルの取付孔に係止される係止部と、前記固定部の前記電線の長手方向の一端から当該電線の長手方向に沿って延長された延長部と、を備えていることを特徴とするワイヤハーネス用固定具である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記延長部が、平板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス用固定具である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、パネルに配索される複数本の電線が束ねられた電線束と、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス用固定具と、を備えていることを特徴とするワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、ワイヤハーネス用固定具は、電線の外周面を被覆する電線被覆部が、延長部と固定部とに連続して設けられているため、固定部に前記電線が確実に固定される。さらに、前記延長部と電線束とを粘着テープ等によって捲回することによって、ワイヤハーネス用固定具に前記電線束が確実に固定される。従って、ワイヤハーネス用固定具は、ぐらついたり移動したりすることなく電線束をパネル上に固定することができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、ワイヤハーネス用固定具は、延長部が平板状に形成されているため、粘着テープ等が延長部に粘着される粘着性が向上すると共に、電線束に対して前記延長部の安定性が向上する。このため、ワイヤハーネス用固定具は、より強固に安定して電線束をパネル上に固定することができる。
【0013】
請求項3に記載された発明によれば、ワイヤハーネスは、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス用固定具を備えているため、パネルに配索される電線束のぐらつきと移動とを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるワイヤハーネスの斜視図である。
【図2】図1に示すワイヤハーネスのワイヤハーネス用固定具の斜視図である。
【図3】図2に示すワイヤハーネス用固定具の側面図である。
【図4】図2に示すワイヤハーネス用固定具を成形する金型の要部断面図である。
【図5】図4に示す金型の下型の斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態にかかるワイヤハーネスの斜視図である。
【図7】図6に示すワイヤハーネスのワイヤハーネス用固定具の斜視図である。
【図8】図7に示すワイヤハーネス用固定具を成形する金型の要部断面図である。
【図9】図8に示す金型の下型の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0016】
本発明の第一の実施形態にかかるワイヤハーネス1は、図1に示すように、パネルに配索される電線束5と、前記電線束5に組み付けられ前記パネルの取付孔に係止されるワイヤハーネス用固定具2と、を備えている。
【0017】
前記電線束5と前記ワイヤハーネス用固定具2とには、図1に示すように、ワイヤハーネス用テープ9等の粘着テープが互いに捲回されている。電線束5は、複数本の電線8が前記ワイヤハーネス用テープ9によって捲回されて束ねられている。電線8は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線とされている。芯線は、複数本の導線が撚られて形成されている。導線は、銅や銅合金等の導電性の金属からなる。被覆部は、ポリ塩化ビニル樹脂、あるいは、ポリエチレン樹脂などからなり、前記芯線の外周面に設けられ当該芯線を被覆している。このため、電線8の外表面は、前記被覆部の外表面となっている。なお、芯線は、一本の導線から構成されても良い。
【0018】
ワイヤハーネス用固定具2は、図2に示すように、電線11に固定される固定部12と、パネルの取付孔に係止される係止部17と、を備えている。ワイヤハーネス用固定具2は、ポリプロピレン樹脂などの可撓性を有する合成樹脂で形成されている。
【0019】
電線11は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線とされている。芯線は、複数本の導線が撚られて形成されている。導線は、銅や銅合金等の導電性の金属からなる。被覆部は、ポリ塩化ビニル樹脂、あるいは、ポリエチレン樹脂などからなり、前記芯線の外周面に設けられ当該芯線を被覆している。このため、電線11の外表面は、前記被覆部の外表面となっている。なお、芯線は、一本の導線から構成されても良い。
【0020】
固定部12は、図2に示すように、平面楕円形状の板状に形成されている。固定部12は、長手方向の一方の縁端から延長され前記電線11の軸方向に平行に延長された延長部15が設けられている。固定部12と延長部15とには、図2および図3に示すように、前記延長部15の長手方向の一端から前記固定部12の他方の縁端にまで前記電線11に沿って膨出され当該電線11の外表面を覆う電線被覆部19が設けられている。
【0021】
延長部15は、図3に示すように、前記固定部12の長手方向よりも僅かに長尺に形成されている。延長部15は、前記固定部12と同じ肉厚に形成されている。延長部15は、図2に示すように、前記電線11の線径の三倍程度の幅に形成されている。
【0022】
電線被覆部19は、図2に示すように、前記電線11の外形に沿って表面が円弧状に形成されている。電線被覆部19は、前記固定部12と前記延長部15とに一体に形成されている。電線被覆部19は、前記電線11の線径の0.2倍程度の肉厚で当該電線11の外表面を被覆している。
【0023】
係止部17は、図3に示すように、前記固定部12から立設され互いに平行する柱状部21,21と、前記の柱状部21,21の先端から前記固定部12に向かって延長された係止片22と、パネルの表面を押圧する押圧部23と、を備えている。
【0024】
柱状部21,21は、図3に示すように、前記固定部12に対して直交する方向に延長して設けられ、前記電線11の軸方向に間隔を空けて配されている。柱状部21,21は、前記取付孔内でがたつきを生じさせない程度の大径に基端部側が形成されている。
【0025】
係止片22は、図3に示すように、前記柱状部21,21の先端から前記固定部12に向かって徐々に互いに離間する傾斜に形成されている。係止片22の自由端側には、前記取付孔の周縁部に係止する係止段部が設けられている。係止片22は、前記電線11の軸方向に略平行に揺動可能に形成されている。
【0026】
押圧部23は、図3に示すように、前記固定部12から前記柱状部21,21の先端側に向かって徐々に拡径された傾斜面を有する略楕円の円環状に形成されている。押圧部23は、縁端部で前記パネルを押圧する弾性を有して形成されている。
【0027】
以下、上述の如く構成されたワイヤハーネス用固定具2を成形する金型41について説明する。
【0028】
金型41は、図4に示すように、上型42と下型43とを備え、水平割金型とされている。上型42と下型43とには、上述のワイヤハーネス用固定具2の外形に沿って形成された成形キャビティ44と、前記電線11の外形に沿って形成され当該電線11が収容される電線収容キャビティ45と、が形成されている。なお、金型41は、垂直割金型であっても良い。
【0029】
金型41は、前記金型41を開閉する型締装置と、樹脂を加熱溶融させて前記金型41の成型キャビティ44内に射出する射出装置と、からなる射出成形機に配されている。
【0030】
金型41には、前記射出成形機の射出ノズルから射出された溶融樹脂を前記金型41内に導入するスプルと、前記スプルに供給された溶融樹脂を前記成型キャビティ44に導入するランナと、が設けられている。
【0031】
下型43には、図5に示すように、前記電線収容キャビティ45の両端に前記電線11が導出される導出口48,48が設けられている。なお、上型42には、前記下型43と同様に、前記電線収容キャビティ45の両端に前記電線11が導出される導出口48,48が設けられている。
【0032】
以下、上述の如く構成された金型41によって成形された前述のワイヤハーネス用固定具2と電線束5とを組み付けてワイヤハーネスを製造し、このワイヤハーネスをパネルに固定する方法を説明する。
【0033】
前述した金型41で射出成形されて形成されたワイヤハーネス用固定具2は、図2および図3に示すように、電線11に一体的に形成される。また、図示しない布線板上には、当該布線板上に描かれた布線パターンに従って所要の配索経路に複数本の電線8が配索され、前記複数本の電線8がワイヤハーネス用テープ9で捲回されて電線束5が形成される。
【0034】
ワイヤハーネス用固定具2は、前記布線板上の前記電線束5に沿って配索され、当該電線束5に前記ワイヤハーネス用テープによって捲回されて組み付けられる。このとき、図1に示すように、前記ワイヤハーネス用固定具2と前記電線束5とを捲回したワイヤハーネス用テープが、前記ワイヤハーネス用固定具2の延長部15と電線11とに粘着される。このため、前記ワイヤハーネス用固定具2が電線束5に対して移動することが確実に規制される。
【0035】
前記ワイヤハーネス用テープ9によって前記ワイヤハーネス用固定具2が前記電線束5に組み付けられて、図1に示すように、ワイヤハーネス1が形成される。前記電線束5の電線8と、前記ワイヤハーネス用固定具2の電線11とは、それぞれの端末に図示しないコネクタ等が設けられる。また、ワイヤハーネス1には、チューブやプロテクタ等の外装部品が設けられる。
【0036】
コネクタや外装部品等が設けられたワイヤハーネス1は、前記布線板から取り外され、自動車等を構成するパネルに布線される。前記パネル上に布線されたワイヤハーネス1は、前記ワイヤハーネス用固定具2が取付孔に押し込まれる。
【0037】
取付孔に押し込まれたワイヤハーネス用固定具2は、係止部17が前記取付孔内に挿通され、係止片22のそれぞれの自由端が互いに近接する方向に弾性変形される。
【0038】
前記係止片22のそれぞれの自由端が前記取付孔の周縁部に到達されると、前記係止片22のそれぞれの自由端が互いに離間する方向に弾性回復力によって変位され、前記それぞれの自由端に設けられた係止段部が前記周縁部に係止される。このとき、押圧部23の縁端が前記パネルの表面に当接され、当該パネルが前記押圧部23の弾性力で押圧される。このため、前記係止片22の係止力が向上されて、前記係止部17が取付孔に確実に安定して係止される。そして、ワイヤハーネス1がパネルに固定される。
【0039】
本実施形態によれば、ワイヤハーネス用固定具2は、前記延長部15と電線束5とをワイヤハーネス用テープ9で捲回するため、前記ワイヤハーネス用固定具2に前記電線束5が確実に固定される。また、電線11の外周面を被覆する電線被覆部19が、延長部15と固定部12とに連続して設けられているため、前記固定部12に前記電線11が確実に固定される。従って、ワイヤハーネス用固定具2は、ぐらついたり移動したりすることなく前記電線束5をパネル上に固定することができる。
【0040】
また、ワイヤハーネス1は、前述したワイヤハーネス用固定具2を備えているため、前記パネルに配索される前記電線束5のぐらつきと移動とを防止することができる。
【0041】
(第二の実施形態)
次に、本発明にかかるワイヤハーネス1Aの第二の実施形態について、図6〜図9を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同一部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本発明の第二の実施形態にかかるワイヤハーネス1Aは、図6に示すように、電線束5と、ワイヤハーネス用テープ9によって前記電線束5に結束されたワイヤハーネス用固定具2Aと、を備えている。
【0043】
ワイヤハーネス用固定具2Aは、図7に示すように、電線11と、一対の固定部12と、一対の係止部17と、を備えている。一対の係止部17のそれぞれの係止部17は、前記電線11の軸方向に間隔Lを空けて並設されている。間隔Lは、一方の係止部17の中心から他方の係止部17の中心までが、一例として100mmに形成されている。なお、間隔Lは、前記パネルに所要の配索形態で前記電線束5が固定される際に、前記それぞれの係止部17が前記パネルの取付孔に係止可能となる位置に配置される間隔となっている。即ち、それぞれの係止部17は、電線11に対する相対的な位置が前記パネルの前記取付孔に係止可能となる位置に設けられている。
【0044】
一方の固定部12と他方の固定部12には、それぞれの縁端から延長された延長部15が設けられている。それぞれの延長部15,15は、一方の固定部12と他方の固定部12との長手方向の外側の縁端に設けられ、互いに離間する方向に延長して形成されている。
【0045】
以下、上述の如く構成されたワイヤハーネス用固定具2Aを成形する金型41Aについて説明する。
【0046】
金型41Aは、図8に示すように、上型42Aと下型43Aとを備え、水平割金型とされている。上型42Aと下型43Aとには、上述のワイヤハーネス用固定具2Aの外形に沿って形成された成形キャビティ44,44と、前記電線11の外形に沿って形成され当該電線11が収容される電線収容キャビティ45と、が形成されている。なお、金型41Aは、垂直割金型であっても良い。
【0047】
成型キャビティ44,44のそれぞれは、図9に示すように、前記ワイヤハーネス用固定具2Aの一方の係止部17の中心と、他方の係止部17の中心との距離が、前述した間隔Lとされている。即ち、一方の係止部17の成形キャビティ44と、他方の係止部17の成形キャビティ44とは、前記電線11に対する相対的な位置が前記パネルの前記取付孔に一対の係止部17が係止可能となる位置に設けられている。
【0048】
なお、本発明でいう、一対の係止部17が、電線11に対する相対的な位置がパネルの取付孔に係止可能となる位置に設けられているとは、電線収容キャビティ45に対してワイヤハーネス1Aの設計時の相対的な位置に保たれた成形キャビティ44内に溶融した樹脂を射出成形して得られたワイヤハーネス用固定具2Aにおいて、一対の係止部17の電線11に対する相対的な位置が、射出成形時に生じる誤差を除くと、設計時に定められた位置となっていることをいう。なお、ワイヤハーネス用固定具2Aは、複数の係止部17を設けた場合であっても、一対の係止部17の場合と同様に、電線11に対する相対的な位置がパネルの取付孔に係止可能となる位置に設けられる。
【0049】
以下、上述の如く構成された金型41Aによって成形された前述のワイヤハーネス用固定具2Aと電線束5とを組み付けてワイヤハーネス1Aを製造し、このワイヤハーネス1Aをパネルに固定する方法を説明する。
【0050】
前述した金型41Aで射出成形されて形成されたワイヤハーネス用固定具2は、図7に示すように、電線11に一体的に形成される。また、図示しない布線板上には、当該布線板上に描かれた布線パターンに従って所要の配索経路に複数本の電線8が配索され、前記複数本の電線8がワイヤハーネス用テープ9で捲回されて電線束5が形成される。
【0051】
ワイヤハーネス用固定具2Aは、前記布線板上の前記電線束5に沿って配索され、当該電線束5に前記ワイヤハーネス用テープ9によって捲回されて組み付けられる。このとき、図6に示すように、前記ワイヤハーネス用固定具2と前記電線束5とを捲回したワイヤハーネス用テープが、前記ワイヤハーネス用固定具2の一方の固定部12の延長部15と、他方の固定部12の延長部15と、前記電線11とに粘着される。このため、前記ワイヤハーネス用固定具2Aが電線束5に対して移動することが確実かつ十分に規制される。
【0052】
前記ワイヤハーネス用テープ9によって前記ワイヤハーネス用固定具2Aが前記電線束5に組み付けられて、図6に示すように、ワイヤハーネス1Aが形成される。前記電線束5の電線8と、前記ワイヤハーネス用固定具2Aの電線11とは、それぞれの端末に図示しないコネクタ等が設けられる。また、ワイヤハーネス1Aには、チューブやプロテクタ等の外装部品が設けられる。
【0053】
コネクタや外装部品等が設けられたワイヤハーネス1Aは、前記布線板から取り外され、自動車等を構成するパネルに布線される。前記パネル上に布線されたワイヤハーネス1Aは、前記ワイヤハーネス用固定具2Aが取付孔に押し込まれる。
【0054】
取付孔に押し込まれたワイヤハーネス用固定具2Aは、一対の係止部17が前記取付孔内に挿通され、係止片22のそれぞれの自由端が互いに近接する方向に弾性変形される。
【0055】
前記係止片22のそれぞれの自由端が前記取付孔の周縁部に到達されると、前記係止片22のそれぞれの自由端が互いに離間する方向に弾性回復力によって変位され、前記それぞれの自由端に設けられた係止段部が前記周縁部に係止される。このとき、押圧部23の縁端が前記パネルの表面に当接され、当該パネルが前記押圧部23の弾性力で押圧される。このため、前記係止片22の係止力が向上されて、前記一対の係止部17が取付孔に確実に安定して係止される。そして、ワイヤハーネス1Aがパネルに固定される。
【0056】
本実施形態によれば、ワイヤハーネス用固定具2Aは、一対の固定部12から延長されたそれぞれの延長部15と電線束5とがワイヤハーネス用テープ9で捲回されて電線束5に組み付けられるため、当該電線束5をパネル上にぐらついたり移動したりすることなく確実かつ十分に固定することができる。
【0057】
また、ワイヤハーネス1Aは、前述したワイヤハーネス用固定具2Aを備えているため、前記パネルに配索される前記電線束5のぐらつきと移動とを確実に防止することができる。
【0058】
また、ワイヤハーネス1Aは、前述したワイヤハーネス用固定具2Aを備えているため、係止部17が前記パネルの取付孔に係止可能となる位置に配される。このため、係止部17の位置合わせ作業が容易となり、ワイヤハーネス1Aの組立作業の作業効率と、パネルへの取付作業の作業効率とが向上する。
【0059】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A ワイヤハーネス
2,2A ワイヤハーネス用固定具
5 電線束
8 電線
9 ワイヤハーネス用テープ
11 電線
12 固定部
15 延長部
17 係止部
19 電線被覆部
21 柱状部
22 係止片
23 押圧部
41,41A 金型
42,42A 上型
43,43A 下型
44 成形キャビティ
45 電線収容キャビティ
48 導出口
L 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに配索される電線と、前記電線の外周面に被覆され当該電線に固定された固定部と、前記固定部から立設され前記パネルの取付孔に係止される係止部と、前記固定部の前記電線の長手方向の一端から当該電線の長手方向に沿って延長された延長部と、を備えていることを特徴とするワイヤハーネス用固定具。
【請求項2】
前記延長部が、平板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項3】
パネルに配索される複数本の電線が束ねられた電線束と、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス用固定具と、を備えていることを特徴とするワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200033(P2012−200033A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60607(P2011−60607)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】