説明

ワイヤレスパケットネットワークのためのブロック肯定応答プロトコル

【課題】ブロック要求および肯定応答に対して要求されるオーバーヘッドとチャネル帯域とを減少させる回路、方法および装置を提供する。
【解決手段】異なるデータストリームに対して受信されたフレームを肯定応答する拡張ブロック肯定応答を使用する。他システムはトリガイベントの発生後に肯定応答を送出する。他のものは送信データフレーム中に肯定応答フィールドを含めることによって、肯定応答フレームの必要性を無くす。これらのブロック肯定応答と肯定応答フィールドは、異なるトラフィック識別子を持っているそれぞれのデータストリームに対して受信されたフレームの肯定応答を含んでいてもよく、肯定応答はすべての受信されたフレームに対するものであってもよく、特定のトラフィッククラスもしくはクラスのグループに対するものであってもよく、特定のユーザ優先順位に対するものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、複数入力複数出力(MIMO)ワイヤレスネットワークにおけるブロック肯定応答プロトコルに一般的に関連し、より詳細には、ブロック肯定応答信号通信により消費されるオーバーヘッドとチャネル帯域とを減少させることに関連する。
【0002】
ワイヤレスネットワークにおいて帯域を増加させることに対する需要は、過去数年とどまるところを知らず、そして、衰える兆しを見せていない。都合のよいことに、カリフォルニア州、PaloAltoのAirgo Networks,Inc.(登録商標)は、これらの需要を満たすワイヤレスネットワークのための製品を開発してきた。実際、これらの製品は重要なしきい値に到達した。Airgo Networksにより開発された複数入力複数出力(MIMO)ネットワークは、家庭用エンターテイメントのためのビデオストリーミング、および、他の高データレートアプリケーションに対して必要とされる、100Mビットデータレートを達成した最初のものである。この途方もないデータレートを達成するため、従来の回路および技術に関する重要な改良が開発されてきた。
【0003】
例として、従来のネットワークでは、第1の局から第2の局にデータを送信した後、第2の局が、データ送信が適切に実行されたことを示す肯定応答フレームで返答する。問題を単純化するため、要求されるオーバーヘッドは、ブロック肯定応答を使用することにより減少させてもよい。このケースでは、第1の局は第2の局に数フレームのデータを送信する。次に、第1の局は、ブロック肯定応答要求を送出することによって、第2の局からの肯定応答を要求する。次に、第2の局はブロック肯定応答を送出することにより返答する。これらのブロック肯定応答は問題を改善するが、さらなる拡張が可能である。
【0004】
ネットワークにおいて、異なるタイプのデータが、異なるトラフィック識別子(TID)によって識別される。異なるTIDを持っているフレームの受信の肯定応答は、チャネル帯域のかなりの量を消費する。都合の悪いことに、肯定応答信号通信に対して使用される何らかのチャネル帯域は、肯定応答信号通信に対して使用されない場合には、データ送信に対して利用可能でない帯域である。
【0005】
したがって、ブロック要求および肯定応答に対して要求されるオーバーヘッドとチャネル帯域とを減少させる回路、方法および装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の実施形態は、データ受信の肯定応答に対して要求されるオーバーヘッドとチャネル帯域とを減少させる回路、方法および装置を提供する。本発明の例示的な実施形態は、拡張ブロック肯定応答フレームを提供する。この拡張ブロック肯定応答は、1つ以上の予約ビットを特定の状態に設定することによって、従来のブロック肯定応答から区別することができる。予約ビットは、ブロック肯定応答(BA)制御中、フレーム制御中、または、他の適切なフィールド中に存在していてもよい。代わりに、拡張ブロック肯定応答フレームの1つ以上の他のビットまたは特徴を変更して、それを従来のブロック肯定応答から区別してもよい。
【0007】
拡張ブロック肯定応答は、異なるトラフィック識別子のような異なる特徴を持っている各データストリームに対して受信されたフレームの肯定応答を含んでいてもよい。肯定応答は、すべての受信されたフレームに対するものであってもよく、特定のトラフィッククラス、もしくは、特定のトラフィッククラスのグループに対するものであってもよく、特定のユーザ優先順位に対するものであってもよく、または、受信フレームの他のサブグループに対するものであってもよく、そして、1つより多くのそのような肯定応答を含んでいてもよい。本発明の特定の実施形態では、拡張ブロック肯定応答は、受信された各データストリームに対するTIDブロック肯定応答を含む。ブロック肯定応答要求フィールドは、同様に拡張してもよい。このようにして、肯定応答ハンドシェークにより消費されるオーバーヘッドとチャネル帯域とを減少させる。
【0008】
本発明の他の例示的実施形態は、ブロック肯定応答要求に対する必要性を無くすことによって、このオーバーヘッドを減少させる。この実施形態では、要求に続いて肯定応答を送出する代わりに、トリガイベントの発生後に肯定応答を送出する。例えば、特定の継続時間が経過した後に、肯定応答を送出してもよい。この継続時間は予め定められていてもよく、変化させてもよく、あるいは、送信アンテナの数、受信アンテナの数、または、信号強度のような、しかしこれらに制限されない、1つ以上のシステムパラメータの関数として設定されてもよい。代わりに、いくつかのフレームの受信後に、拡張ブロック肯定応答を送出してもよく、または、特定のシーケンス番号を持っているフレームが受信された後に、拡張ブロック肯定応答を送出してもよい。これらの実施形態では、時間制限内にフレームの数に到達しない場合に、拡張ブロック肯定応答を送出するように、時間制限を課してもよい。このことは、望ましくない長さの時間の間、送信者が送信中のエラーを知らない状況を防ぐ。送出された肯定応答は、上で説明したように拡張ブロック肯定応答であってもよく、または、従来のブロック肯定応答のような、他のブロック肯定応答であってもよい。
【0009】
これらのさまざまな実施形態では、拡張ブロック肯定応答は、遅延した拡張ブロック肯定応答であってもよい。すなわち、要求またはトリガイベントに続いて、肯定応答を送信してもよい。この肯定応答は従来のものであってもよく、または、拡張ブロック肯定応答と同じ量の、TIDのような詳細情報を含んでいない他の肯定応答であってもよい。より単純なこの肯定応答の後に拡張ブロック肯定応答が続いてもよい。
【0010】
本発明のさらなる他の例示的な実施形態は、肯定応答フレームに対する必要性を無くす。ブロック肯定応答フレームの代わりに、送信されるデータフレーム中に肯定応答を含めることができる。肯定応答は、データの受信に続く、最初のフレーム中に含めてもよく、それは、ある局による最後の送信以降に、その局により受信したデータの肯定応答を示してもよい。上記のように、この肯定応答は、異なるトラフィック識別子を持っている各データストリームに対して受信されたフレームの肯定応答を含んでいてもよい。肯定応答は、すべての受信されたフレームに対するものであってもよく、特定のトラフィッククラス、もしくは、特定のトラフィッククラスのグループに対するものであってもよく、特定のユーザ優先順位に対するものであってもよく、または、受信フレームの他のサブグループに対するものであってもよい。また、1つより多くのそのような肯定応答が含まれていてもよい。本発明のさまざまな実施形態は、これらの1つ以上のもの、または、ここで説明した他の特徴を組み込んでもよい。
【0011】
本発明の例示的な実施形態は、ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する方法を提供する。この方法は、第1の特徴を持っている第1のデータ構造を受信することと、第2の特徴を持っている第2のデータ構造を受信することと、第1の特徴を持っている第1のデータ構造と、第2の特徴を持っている第2のデータ構造とが受信されたことの肯定応答に対する要求を受信することと、第1の特徴を持っている第1のデータ構造と、第2の特徴を持っている第2のデータ構造とが受信されたことの肯定応答を送信することとを含む。
【0012】
本発明の他の例示的な実施形態は、ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する他の方法を提供する。この方法は、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームを受信することと、第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームを受信することと、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと、第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとが受信されたことの肯定応答を送信することとを含む。
【0013】
本発明のさらに他の例示的な実施形態は、ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する他の方法を提供する。この方法は、第1の局で、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームを送信することと、第1の局で、第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームを送信することと、第2の局で、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと、第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとを受信し、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとが第2の局により受信されたことのブロック肯定応答を送信することと、第1の局で、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとが第2の局により受信されたことのブロック肯定応答を受信することとを含む。
【0014】
本発明のさらに他の例示的な実施形態は、ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する方法を提供する。この方法は、第1のフレームを送信することと、第1のトラフィック識別子を持っている第2のフレームを受信することと、第2のトラフィック識別子を持っている第3のフレームを受信することと、第4のフレームを送信することとを含む。第4のフレームは、第1のトラフィック識別子を持っている第2のフレームと第2のトラフィック識別子を持っている第3のフレームとが受信されたことの肯定応答を含む。
【0015】
以下の詳細な説明および添付の図面を参照して、本発明の性質および利点のよりよい理解が得られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態を組みこむことによって改良されてもよいワイヤレスネットワークを図示する。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態を組み込むことにより改良されるハンドシェークルーチンの例を図示する。
【図2B】図2Bは、第1の局から第2の局に対して送出されたデータのいくつかのフレームの受信に続く肯定応答を図示する。
【図2C】図2Cは、遅延したブロック肯定応答フレームの例を図示する。
【図2D】図2Dは、本発明の実施形態を組み込むことにより改良されてもよいブロック肯定応答フレームを図示する。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態を組み込むことにより改良されるブロック肯定応答の使用を図示する。
【図3B】図3Bは、本発明の実施形態にしたがった、拡張ブロック肯定応答の使用を図示する。
【図3C】図3Cは、本発明の実施形態にしたがった、遅延した拡張ブロック肯定応答を図示する。
【図3D】図3Dは、本発明の実施形態にしたがった、ブロック肯定応答を図示する。
【図4】図4は、本発明の実施形態にしたがった、TIDブロック肯定応答返答を図示する。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、ブロック肯定応答が、本発明の実施形態にしたがった周期的または非周期的なベースで送信される。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、いくつかの受信フレームに続いて、拡張ブロック肯定応答フレームが送信される。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、特定のシーケンス番号に到達した後に、拡張ブロック肯定応答フレームが送出される。
【図5D】図5Dは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、埋め込まれたトリガを含んでいるフレームが受信された後に、ブロック肯定応答が送出される。
【図6】図6は、本発明の実施形態にしたがった方法を図解し、方法ではデータフレーム中に肯定応答データが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【0017】
図1は、本発明の実施形態を組み込むことによって改良されてもよいワイヤレスネットワークを図示する。このワイヤレスネットワークは、複数入力複数出力(MIMO)ネットワーク、または、他のタイプのワイヤレスネットワークであってもよい。図1は、第1の局、局1 100を含み、局1 100が、第2の局、局2 140に対してデータを送信することを示している。局2 140が、局1 100に対してデータの受信を肯定応答していることを示している。第1の局、局1 100は、無線120にデータを提供するデジタル信号処理回路110を含む。第2の局、局2 140は、デジタル信号処理回路180にデータを提供する無線150を含む。図1は、他の含まれている図と同様に、例示の目的で示したものであり、本発明の可能な実施形態または特許請求の範囲を制限するものではない。
【0018】
これらの局のそれぞれ、局1 100および局2 140は、ネットワークインターフェイスカード(NIC)上、マザーボード上に含まれていてもよく、あるいは、そうでなければ、計算システムまたは他の電子システムと通信していてもよい。代わりに、局1 100および局2 140の1つまたは両方は、ワイヤレスルータ上、ワイヤレスアクセスポイント上、プリンタサーバ上、記憶デバイス上、あるいは、他のネットワーキングデバイス上またはネットワーク化されたデバイス上に含まれていてもよい。
【0019】
局1 100から局2 140に対して送出されたデータは、いくつかの異なるデータタイプを含むことができる。例えば、送信されたフレームは、音声、ビデオ、ファイル転送プロトコル、および、他のタイプのデータを含んでいてもよい。これらのデータタイプのそれぞれは、異なるTIDにより識別することができる。異なるTIDを持っているデータを、局1 100から局2 140に対して、または、局2 140から局1 100に対してシーケンシャルに送出することができる。
【0020】
この例では、局1 100は局2 140に対してデータを送信する。これに続いて、局2 140は、局1 100に対して、データが受信されたことを示す肯定応答を送出する。このハンドシェークの例を以下の図で示す。
【0021】
図2Aは、本発明の実施形態を組み込むことにより改良されるハンドシェークルーチンの例を図示する。この例では、データが第1の局から第2の局に送出され、肯定応答が第2の局から第1の局に戻される。特に、局1 210はデータ212を局2に対して送信する。他の含まれている図の中のデータと同様に、このデータは、データのフレームまたはパケットとして形成してもよいデータ構造である。データ212が送信された後、局2 220は、データ212が適切に受信されたことを示す信号化された肯定応答222を送信する。
【0022】
データが送られるたびに肯定応答を要求する場合、この肯定応答プロセスは過剰なチャネル帯域を消費しかねない。したがって、いくつかのデータパケットの送信に続いて、ブロック肯定応答要求を行うことができる。これは、次に、ブロック肯定応答によって返答することができる。この例を以下の図で示す。
【0023】
図2Bは、第1の局から第2の局に対して送出されたデータのいくつかのフレームの受信に続く肯定応答を図示する。局1 230は、データ232および234を含むいくつかのデータフレームを送信する。これに続いて、局1はブロック肯定応答要求236を行う。これは、ブロック肯定応答242を送信する局2 240により返答される。
【0024】
必要とされるブロック肯定応答242を計算し、フォーマットするのにいくらかの時間がかかるかもしれない。したがって、局2が、従来の肯定応答を送信することを許容することができ、遅延したブロック肯定応答フレームが従来の肯定応答に続く。この遅延は、必要とされるブロック肯定応答フレームを計算しフォーマットする時間を局2に与える。以下の図で例を示す。
【0025】
図2Cは、遅延したブロック肯定応答フレームの例を図示する。また、第1の局すなわち送信局は、第2の局すなわち受信局に対してデータを送信する。特に局1 250は、データ252および254を含むいくつかのデータフレームを送信する。これに続いて、局1はブロック肯定応答要求256を行う。
【0026】
局2 260は肯定応答262で返信する。局2 260は、局1 250に対してブロック肯定応答フレーム264を送る。次に、局1 250は、そのブロック肯定応答フレーム264の受信に続いて、肯定応答258を送信する。また、この遅延は、必要とされるブロック肯定応答フレームを決定する時間を局2 260に与える。このようなブロック肯定応答の例を以下の図で示す。
【0027】
図2Dは本発明の実施形態を組み込むことにより改良してもよいブロック肯定応答フレームの例を図示する。この図では、フレームサイズは150バイトであり、フレームの各フィールドの上に、バイト数で割当を示した。このビットマップ中のブロックは、最大1,024フレームに対する肯定応答を提供することができる。
【0028】
BA制御フィールドは4ビットTID値を含むサブフィールドを含む。BA制御フィールドの2バイトは、一般的に0に設定される予約ビットを含む。以下で理解されるように、拡張ブロック肯定応答方法で使用するための拡張されたビットとして1つ以上のこれらの予約ビットを指定してもよい。代わりに、フレーム制御フィールドのような他のフィールド中の、1つ以上のビットをこの目的のために使用してもよい。この拡張はMIMOワイヤレスシステムで要求される肯定応答要求の数を減少させる。
【0029】
特に、MIMOワイヤレスシステムで従来の肯定応答方法を使用するとき、結果として生じる肯定応答信号通信は、望ましくない量のオーバーヘッドを要求する。特に、特定のトラフィック識別子の値を持っているストリームの1つ以上のフレームを、各送信局が送信する。次に送信局はこれらのストリーム中のそれぞれのフレームの受信の肯定応答を要求する。次に、それぞれのこれらのストリームに対する肯定応答が送られる。したがって、本発明の実施形態は、これらの肯定応答に関係するオーバーヘッドを減少させるための回路、方法および装置を提供する。
【0030】
図3Aは、本発明の実施形態を組み込むことにより改良するブロック肯定応答の使用を図示する。図3Aは、従来のシステムにより要求される過剰な量の肯定応答オーバーヘッドを図示する。この例では、局1 300は、フレーム302および304を局2 310に送信する。これらのフレームは異なるTIDを持ち、特にデータフレーム302は0のTIDを持っており、データフレーム304は1のTIDを持っている。フレーム302の送信に先立って、局1 300から局2 310に他のフレームを送信してもよい。単純化のため、2フレームのみを示した。
【0031】
データフレーム304の送信に続いて、局1 300は、0のTIDを持っているデータに対する拡張ブロック肯定応答要求326を送信する。これは、局2 310により返答され、局2 310はTID0に対するブロック肯定応答332を送信する。同様に、局1 300は、1のTIDを持っているデータに対するブロック肯定応答要求328を送信する。これは局2 310によって返答され、局2 310はTID1に対するブロック肯定応答334を送信する。
【0032】
また、これは、第1および第2の局の間で利用可能なチャネルのかなりの量の帯域を消費する。したがって、本発明の実施形態は、異なるTIDを持っている複数のデータストリームに対する肯定応答を結合する、拡張ブロック肯定応答を提供する。以下の図で例を示す。
【0033】
図3Bは、本発明の実施形態にしたがった拡張ブロック肯定応答の使用を図示する。この例では、第1の局すなわち送信局は、第2の局すなわち受信局に対してデータを送信する。また、単純化のために2フレームのみを示した。
【0034】
特に、局1 320はデータフレーム322および324を送信する。これらのフレームは、それぞれ0および1のトラフィックIDを持つ。これらの送信に続いて、局1はブロック肯定応答要求326を送信する。次に、これは局2 350により返答され、局2 330は拡張ブロック肯定応答332を送信する。拡張ブロック肯定応答332は受信されたストリームのそれぞれの中の各フレームに対して肯定応答を提供し、これによって、要求される肯定応答オーバーヘッドを減少させる。
【0035】
上記のように、この拡張ブロック肯定応答フレームを計算およびフォーマットするために、いくらかの時間がかかるかもしれない。したがって、以下の図で示すように、遅延した拡張ブロック肯定応答を使用してもよい。
【0036】
図3Cは、本発明の実施形態にしたがった、遅延した拡張ブロック肯定応答の使用を図示する。また、第1の局すなわち送信局は、第2の局すなわち受信局にデータを送信する。特に、局1 340は、それぞれ0および1のトラフィックIDを持つ、データフレーム342および344を含むデータフレームを送信する。これに続いて、第1の局は拡張ブロック肯定応答要求346を送信する。次に、局2 350は、肯定応答352を提供する。これに続いて、局2 350は、拡張ブロック肯定応答354を計算およびフォーマットし、次に、拡張ブロック肯定応答354を第1の局に送信する。次に、第1の局、局1 340は、拡張ブロック肯定応答354の受信に返答して肯定応答348を送信する。肯定応答348は肯定応答352のような、単純な従来の肯定応答である。
【0037】
拡張ブロック肯定応答354の使用は、従来の技術に比して、かなりのチャネル帯域節減を提供する。特に、従来の技術を使用すると、局1 340は、各TIDに対して個々のブロック肯定応答要求を送信する。これは、肯定応答352のような1つ以上の肯定応答、および、局2 350による各TIDに対する個々のブロック肯定応答で返答する。これは、次に、局1 340によって送信する肯定応答348のような、1つ以上の肯定応答により返答する。本発明の実施形態の使用は、要求される信号通信を非常に単純化させ、したがってデータ送信に対するチャネル帯域を解放させる。
【0038】
また、図3Cに概略を示したハンドシェーキングの方法により提供される遅延は、局2 350が拡張ブロック肯定応答354を計算、および、フォーマットするための時間を許容する。そのような拡張ブロック肯定応答の例を以下の図で示す。
【0039】
図3Dは、本発明の実施形態にしたがった、ブロック肯定応答を図示する。このブロック肯定応答の長さは、固定または可変であってもよい。上で説明したように、BA制御フィールド374中の予約ビットの1つを1に設定することができる。TIDブロック肯定応答返答376は、可変長データフィールドであり、可変長データフィールドの長さは、受信したデータストリームの数に依拠する。拡張ブロック肯定応答要求を、同様に変更してもよい。
【0040】
この例では、このブロック肯定応答を拡張ブロック肯定応答として認識することができるように、ブロック肯定応答フィールド374中の1つ以上の予約ビットが設定される。他の実施形態では、1つ以上のこのフィールドおよび他のフィールド中の、1つ以上のビットをこの目的で使用してもよい。例えば、フレーム制御フィールド370中の1つ以上のビットを使用してもよい。
【0041】
また、TIDブロック肯定応答返答フィールド376は、肯定応答すべきTIDの数に依拠して可変長を持つ。1つのストリームに対するTIDブロック肯定応答返答フィールド376の例を以下の図で示す。
【0042】
図4は、本発明の実施形態にしたがった、TIDブロック肯定応答返答を図示する。この例では、各個別フィールドの上にビット割当を示す。これらのフィールドは、トラフィック識別子410、フレーム開始番号420、ビットマップサイズ430、ビットマップ440および予約ビット450を含む。予約ビット450は、バイト(8ビット)の倍数にフィールドサイズを丸めるために使用する。
【0043】
上の本発明の実施形態では、ブロック肯定応答要求に返答して、ブロック肯定応答を送出する。このような要求を無くすことはチャネル利用をさらに改良するかもしれない。これは、要求を受信した後にブロック肯定応答を提供することとは対照的に、トリガイベントに続いてブロック肯定応答を提供することにより行ってもよい。例えば、ある時間に続いて、いくつかのフレームの受信に続いて、または、特定のシーケンス番号を持っているフレームの受信に続いて、ブロック肯定応答を送信してもよい。これらのブロック肯定応答は、上で説明した拡張ブロック肯定応答と同じであってもよく、または類似していてもよく、あるいは、これらは従来のブロック肯定応答のような他のブロック肯定応答であってもよい。本発明のこれらの実施形態を図示するフローチャートを以下の図で示すが、他の実施形態は他のトリガメカニズムを使用してもよい。
【0044】
図5Aは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、本発明の実施形態にしたがった周期的または非周期的なベースで、ブロック肯定応答フレームを送信する。動作510においてフレームを受信する。動作515においてこれらのフレームを追跡する。同時に、動作520において、特定の継続時間が期限切れしたかどうかを決定する。この時間は予め定められていてもよく、または可変であってもよい。例えば、時間は、送信アンテナの数、受信アンテナの数、信号強度、または、他のシステムパラメータに基づいた変数であってもよい。いったん時間が期限切れすると、動作530において、ブロック肯定応答フレームを送信する。また、ブロック肯定応答は、上で説明したような拡張ブロック肯定応答、または、他のタイプのブロック肯定応答であってもよい。
【0045】
図5Bは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、いくつかの受信フレームに続いて、ブロック肯定応答フレームを送信する。また、動作550において、フレームを受信する。動作555において、これらのフレームを追跡し、カウンタをインクリメントさせる。動作560において、トリガカウンタ値に到達したかどうかを決定する。もしそれに到達していた場合、動作565において、ブロック肯定応答フレームを送信する。また、ブロック肯定応答は、上で説明したような拡張ブロック肯定応答、または、他のタイプのブロック肯定応答であってもよい。
【0046】
また、これらの方法を結合してもよい。例えば、トリガカウンタ値に到達することなく時間が経過した場合に、ブロック肯定応答フレームを送信してもよい。このことは、過度の時間の後になって初めて、データが適切に受信されなかったことを送信局が知るのを防止する。
【0047】
図5Cは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、特定のシーケンス番号に到達した後に、ブロック肯定応答フレームを送出する。一般的に、送信すべき各フレームはシーケンシャルな方法で番号付けられる。したがって、特定のシーケンス番号を探すことは、送信するフレームの数を決定する単純な方法とすることができる。
【0048】
上記のように、動作570においてフレームを受信し、動作575においてフレームを追跡する。動作580において受信フレームに対するシーケンス番号を決定する。動作585において、特定のシーケンス番号に到達したかどうかを決定する。もしそれに到達していた場合、動作590において、ブロック肯定応答フレームを送信する。また、ブロック肯定応答は、上で説明したような拡張ブロック肯定応答、または、他のタイプのブロック肯定応答であってもよい。
【0049】
また、これらの方法を結合してもよい。例えば、トリガシーケンス番号に到達することなく時間が期限切れした場合に、ブロック肯定応答フレームを送信してもよい。このことは、過度の時間が経過した後になって初めて、送信局が送信エラーを知るのを防止する。
【0050】
代わりに、これらのブロック肯定応答は、受信されたフレーム中に埋め込まれたデータによりトリガしてもよい。例えば、1つ以上の以前に予約されたビットを、ブロック肯定応答に対するトリガとして動作するように設定してもよく、ブロック肯定応答は、拡張ブロック肯定応答、従来のブロック肯定応答、または、他のタイプのブロック肯定応答であってもよい。代わりに、この目的のために、他の予め規定されたビットを再度規定してもよい。以下の図で例を示す。
【0051】
図5Dは、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法では、埋め込まれたトリガを含んでいるフレームを受信した後に、ブロック肯定応答を送出する。上記のように、動作592において、フレームを受信し、必要なときにブロック肯定応答を計算およびフォーマットしてもよいように、動作594において、フレームを追跡する。動作597において、埋め込まれたトリガを受信したかどうかを決定する。もしそれを受信していた場合、動作598において、ブロック肯定応答フレームを送信する。また、ブロック肯定応答は、上で説明したような拡張ブロック肯定応答、または、他のタイプのブロック肯定応答であってもよい。
【0052】
また、これらの方法を結合してもよい。例えば、埋め込まれたトリガを受信することなく、ある時間が期限切れした場合、ブロック肯定応答フレームが送出されてもよい。このことは、過度の時間が経過した後になって初めて、送信局が送信エラーを知るのを防止する。
【0053】
拡張されたものであれ、従来のものであれ、または、他のタイプのものであれ、そのような肯定応答フレームをまったく無くすことによって、これらの肯定応答フレームによって消費されるオーバーヘッドを減少させてもよい。例えば、このことは、データフレーム自体の中に肯定応答情報を含めることにより行われてもよい。例えば、第1の局は第2の局にデータを送信してもよい。次に、第2の局は第1の局に対してデータを送出してもよく、ここでデータは、第2の局による最後の送信以降に、第2の局により受信したデータの肯定応答を含む。どのようにこのことが行われるかの例を以下の図で示す。
【0054】
図6は、本発明の実施形態にしたがった方法を図示し、方法は、データフレーム中に肯定応答データを含む。この例では、第2の局、局2 620はデータ622を含むいくつかのフレームを送信する。これに続いて、第1の局、局1 610が2つのフレーム、詳細にはデータ612およびデータ614を送信する。これらのフレームは同じまたは異なるトラフィックID番号を持っていてもよい。これらの2つのフレームの後、局2 620は4番目のデータフレーム624を送信する。局2 620が最後のフレーム、詳細にはデータ622を送出した後に、2つのフレーム612および614を局2によって受信したことの肯定応答を、この4番目のデータフレームは含む。
【0055】
この方法は、合計肯定応答フィールドとして呼ばれるフィールドを含んでいてもよく、合計肯定応答フィールドは、受信局の最後の送信以降、成功して受信したフレームの数を示す。このフィールドは、すべてのトラフィックに対する成功した受信の数、あるいは、特定のトラフィッククラスID、特定のトラフィッククラスのグループID、ユーザ優先順位、または、他のサブグループ識別子もしくは特徴に対する成功した受信の数を示していてもよい。代わりに、それぞれが受信フレームのそれら自体のサブグループを表す、複数の合計肯定応答フィールドを使用してもよい。
【0056】
これらの合計肯定応答フィールドは、いくつかの位置の1つに含まれていてもよい。例えば、それらはフレームのペイロードセクションの最初のフィールド中にあってもよい。代わりに、それらはPSDUの開始における最初のフィールド中、PSDUの終了における最後のフィールド中、前のフレームがこの合計肯定応答フィールドフレームの目的地を示しているような、フレームに続くフィールドもしくはフレーム中、または、他の任意の適切な位置の中に位置していてもよい。合計肯定応答フィールド中のエラーは、巡回冗長検査(CRC)または他のエラー訂正の使用により決定してもよい。
【0057】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、図示および説明の目的で提供した。この説明は、網羅的であることと、説明した形態とちょうど同じものに本発明を制限することとを意図しておらず、さまざまな変形および変更は、上記の教示のもとで可能になる。本発明の原則およびその実際の応用を最もよく説明するために、実施形態を選択し、説明した。これらによって、当業者が本発明をさまざまな実施形態で、企図された特定の使用に適しているさまざまな変形で、最もよく利用することを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する方法において、
第1の特徴を持っている第1のデータ構造を受信することと、
第2の特徴を持っている第2のデータ構造を受信することと、
前記第1の特徴を持っている第1のデータ構造と、前記第2の特徴を持っている第2のデータ構造とが受信されたことの肯定応答に対する要求を受信することと、
前記第1の特徴を持っている第1のデータ構造と、前記第2の特徴を持っている第2のデータ構造とが受信されたことの肯定応答を送信することと
を含む方法。
【請求項2】
前記肯定応答に対するフォーマットは、フォーマット制御フィールド中にビットを設定することにより識別される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1および第2のデータ構造はフレームである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の特徴は第1のトラフィック識別子であり、前記第2の特徴は第2のトラフィック識別子である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する方法において、
第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームを受信することと、
第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームを受信することと、
前記第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと前記第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとが受信されたことのブロック肯定応答を送信することと
を含む方法。
【請求項6】
前記ブロック肯定応答に対するフォーマットは、フィールド制御フィールド中にビットを設定することにより識別される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
ブロック肯定応答要求を受信することをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
ブロック肯定応答要求を受信することと、
第1の肯定応答を送信することと
をさらに含み、
前記第1の肯定応答は、前記第1の識別子を持っている第1のデータフレームと前記第2の識別子を持っている第2のデータフレームとが受信されたことを特定しない、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
第1の継続時間が発生したことを決定すること
をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
第1の数のフレームが受信されたことを決定すること
をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項11】
前記ブロック肯定応答を送信する前に
第1のシーケンス番号を持っているフレームが受信されたことを決定すること
をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項12】
ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する方法において、
第1の局で、第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームを送信することと、
前記第1の局で、第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームを送信することと、
第2の局で、前記第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと、前記第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとを受信し、前記第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと、前記第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとが前記第2の局により受信されたことのブロック肯定応答を送信することと、
前記第1の局で、前記第1のトラフィック識別子を持っている第1のデータフレームと前記第2のトラフィック識別子を持っている第2のデータフレームとが前記第2の局により受信されたことの前記ブロック肯定応答を受信することと
を含む方法。
【請求項13】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
前記第1の局で、ブロック肯定応答要求を送信することと、
前記第2の局で、前記ブロック肯定応答要求を受信することと
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
前記第1の局で、ブロック肯定応答要求を送信することと、
前記第2の局で、前記ブロック肯定応答要求を受信し、第1の肯定応答を送信することと
をさらに含み、
前記第1の肯定応答は、前記第1の識別子を持っている第1のデータ構造と、前記第2の識別子を持っている第2のデータ構造とが受信されたことを特定しない、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記ブロック肯定応答を送信する前に
前記第2の局で、第1の継続時間が発生したことを決定すること
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
前記第2の局で、第1の数のフレームが受信されたことを決定すること
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記ブロック肯定応答を送信する前に、
前記第2の局で、第1のシーケンス番号を持っているフレームが前記第2の局により受信されていることを決定すること
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項18】
ワイヤレスネットワークを通してデータを転送する方法において、
第1のフレームを送信することと、
第1のトラフィック識別子を持っている第2のフレームを受信することと、
第2のトラフィック識別子を持っている第3のフレームを受信することと、
第4のフレームを送信することと
を含み、
前記第4のフレームは、前記第1のトラフィック識別子を持っている第2のフレームと前記第2のトラフィック識別子を持っている第3のフレームとが受信されたことの肯定応答を有する方法。
【請求項19】
前記肯定応答は、前記第4のフレームのペイロードセクションの最初のフィールド中に位置している、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記肯定応答は、前記第4のフレームのPSDUの開始における最初のフィールド中に位置している、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記肯定応答は、前記第4のフレームのPSDUの終了における最後のフィールド中に位置している、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記肯定応答は、前記第4のフレームに続く第5のフレーム中に位置している、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記肯定応答は、前記第4のフレームに続くフィールド中に位置している、請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−10363(P2012−10363A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−167185(P2011−167185)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2008−500862(P2008−500862)の分割
【原出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】