説明

ワクチン選択のための初期B細胞検出

本発明は、標的分子の少なくとも4つのコピーと、標的分子に対して特異的な少なくとも2つの結合分子とを有する粒子を含む親和性結合アッセイであって、第1の結合分子が第1のラベルに関連付けられ、第2の結合分子が第2のラベルに関連付けられ、第1のラベルを有する粒子と第2のラベルを有する粒子とが、第1および第2のラベルの両方を有する分子から区別可能であり、第1の結合分子と第2の結合分子とがそれぞれ、標的分子に対して特異的な少なくとも2つの結合領域を含む、親和性結合アッセイを開示する。本発明はまた、第1のラベルに関連付けられた第1の結合分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の結合分子とを含み、第1のラベルおよび第2のラベルから得られるシグナルが、第1および第2のラベルの組合せシグナルから区別可能である組成物であって、第1および第2の結合分子がそれぞれ、本質的に同一の標的分子に対して、好ましくは、標的分子上の本質的に同一のエピトープに対して、特異的な少なくとも2つの結合領域を有することを特徴とする組成物を開示し、本開示の組成物および方法を用いることを含む、少なくとも3つの抗原のコレクションから合成抗原を選択する方法を開示する。本発明はさらに、上述の方法によって得られ、初期免疫応答を含み得る抗原、前記方法を実行するための部品キット、ワクチンとしての使用のために前記方法によって選択される抗原の使用、および、抗原および抗体の治療薬としての使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、免疫の分野およびワクチン開発に関する。本発明はさらに、特異的抗体による免疫化後の初期B細胞応答の検出に関する。
【0002】
ワクチンは、公衆衛生を改善する非常に有効な手段であることが判明している(Jacksonら、2002年)。しかし、従来のワクチン開発は、高コストであるだけでなく、病原体不活性化における技術的問題によって妨害され得る。
【0003】
さらに、多くの抗原が免疫系によって直ちに異種として認識されず、したがって、それらの抗原は適切な免疫応答を引き起こさない。これらの場合、ペプチド系合成ワクチンが有効な代替物となる(Jacksonら、2002年)。ペプチドワクチンは、感染症の予防に(Monzavi−Karbassiら、2002年)、ならびに、腫瘍(Ribasら、2003年;Noguchiら、2003年)、アミロイドーシス(Nicollら、2003年)および自己免疫疾患(Liuら、2002年)の治療に、成功裏に使用されてきた。
【0004】
人体によって異種と認識されない抗原に対するワクチンの調製における1つの困難は、耐性現象に起因する。通常、免疫応答は異種として認識された抗原に対して発現するが、自己抗原に対しては発現しない。ワクチンが奏功するためには、ワクチンは充分に異種でなければならない。ワクチンが充分に異種すなわち充分に免疫原性であるときのみ、免疫系がワクチンに対して反応し、免疫応答が誘発される。しかしながら、逆に、免疫細胞および/または抗体は、依然として自己物質または耐性抗原を認識し得なければならず、よって、ワクチンはあまりに「異種」であることはできない。このため、その抗原のペプチドが作られ、このペプチドは、その抗原の免疫原性を高めるように修飾される。このペプチドまたは修飾ペプチドはペプチドワクチンとして使用される。
【0005】
ペプチドワクチンの開発は、多大な労力を要し、時間のかかる手続きである。ペプチドワクチン候補は、免疫応答を発現しなければならず、特異的T細胞および/またはB細胞のクローン性増殖を引き起こさなければならない。この免疫応答は、T細胞および/またはB細胞によって認識され、抗原特異的T細胞およびB細胞の増殖反応を開始するエピトープによって発現される。増殖反応すなわち「クローン性増殖」は、抗原と免疫系の最初の接触の後、たとえばワクチン接種後、数時間以内に始まる。特異的免疫B細胞の数は、クローン性増殖によって、ワクチン接種後3、4週間後にエフェクター細胞が高レベルに達するまで増加する。クローン性増殖後のこれらのエフェクター細胞のレベルは、エフェクター細胞を従来の方法で検出するに足る高さである。ペプチドがBまたはT細胞エピトープを曝すか否かを検出するためには、ペプチドの多数のセットの動物免疫化処理でのスクリーニングが必要である。B細胞およびT細胞特異性の免疫レパートリは非常に多様であり(DavisおよびBjorkmann、1988年)、抗体応答に関与する抗原特異的B細胞の頻度は非常に低いので、B細胞の検出が、B細胞の機能的および分子的特徴付けにおいて主たる困難となり(Newmanら、2003年)、B細胞反応の研究者に大きな問題を課す。クローン性増殖の後、活性化されたB細胞が抗原特異的抗体を産生する(Adamsら、2003年)。したがって、抗原に対するB細胞応答は、通常、循環血液における抗原特異的抗体のレベルを測定することによって、測定される。その結果、通常の免疫化処理の後、抗原に対して向けられた抗体が、比較し解釈し得るレベルに達するまでに、少なくとも4〜5週間はかかるので、多数の実験動物をかなりの期間にわたって飼育しなければならない。実際、これが、迅速かつ系統的な合成ペプチドワクチンの開発にとって、主たる障害になっている。
【0006】
B細胞は、通常、抗原または抗体をシグナリング分子に結合させることによって行われる直接染色法または間接染色法によって、特異的に検出することが可能であり、シグナリング分子には、たとえば、蛍光染色剤(フルオレセインイソチオシアナート、FITC、またはローダミン)、または、化学的な、放射性の、もしくは酵素的なシグナル源、または、他のマーカー物質であって、マーカー物質のB細胞への結合を熟練者が検出することを可能にするものなどがある。B細胞検出の感度を向上させる多くの方法が開発されており、大きな細胞コレクション内たとえば脾臓細胞内の少数の抗原特異的B細胞が検出可能な程度にまでなっている。現在までのところ、クローン性増殖の前の抗原特異的B細胞の数は、既存の検出方法によって検出するには少なすぎる。クローン性増殖の過程は、B細胞またはB細胞によって産生される抗体のいずれかが検出され得るレベルにまで、B細胞の数を増大させる。蛍光染色技術に基づいて、フローサイトメトリが開発されて、抗原特異的B細胞に適用されるまでになっている(McHeyzer−Williamsら、1993年)。歴史的には、研究者は、抗原特異的B細胞の研究に2つの異なる研究手法を組み合わせて用いてきた。一方の手法は、免疫反応性B細胞を捕捉するハイブリドーマ技術であり、他方の手法は、増強された数の抗原特異的B細胞によって遺伝子的に操作された動物を研究することである。両方法ともに、ワクチン接種後かつクローン性増殖が完了する前に出現する、低レベルの抗原特異的B細胞を検出するには感度が低すぎる。
【0007】
B細胞の検出のために開発された1つの方法は、T細胞の染色を適用したものである。T細胞検出の感度は、四量体ペプチド−MHC分子であってそのペプチド−MHC複合体に特異的なT細胞受容体に結合するものと共に、細胞を培養することによって、高められている(Altmanら、1996年;Stetsonら、2002年)。上述の方法は、抗原特異的B細胞の検出に適用されてきたが(Newmanら、2003年)、通常の処理の感度は10倍増大したにすぎない。これは未だ、ワクチン接種後すぐに出現する低頻度の抗原特異的B細胞を効果的に検出するには、あまりに低感度である。
【0008】
低頻度の標的細胞の検出レベルを高めるための他の方法が、Townsendらによって2001年に記載されており、同氏らは、B細胞を、そのB細胞受容体であって異なる2つのラベルにコンジュゲートさせておいたものに特異的な、2種類の試薬で染色することによって、検出閾値を低下させることに成功している(「単一エピトープ多重染色」とも呼ばれる)。この順次染色処理(第1の試薬は飽和濃度以下で使用される)の原理は、偽陽性細胞が両試薬に結合する可能性は、偽陽性細胞が一方の試薬のみに結合する可能性よりもはるかに小さいことである。しかしながら、Townsendらは、適合移植されたBCR−トランスジェニック細胞の特徴付けを行ったのみで、彼らの方法が、ワクチンによって誘発される反応を含む真の免疫応答の解析にまで外挿し得るか否かの問いに、解答を与えていない。
【0009】
この「単一エピトープ多重染色処理」は、背景の染色を低減し、これによって、フローサイトメトリの感度が1〜2オーダ向上し、高親和性抗原特異的B細胞の生体内での検出が可能になっている。感度のこのような向上は、トランスジェニックB細胞またはクローン性増殖が完了した後のB細胞の検出を可能にするかもしれないが、免疫化後7日以内の低頻度の初期B細胞の検出には、やはり低感度すぎる。しかも、この方法は複雑であり、著者は、フローサイトメトリの感度を向上させることにおいてこの方法が有効になるには、いくつかの必要条件が満たされなければならないことに注意することが決定的に重要であると、人々に警告している。上述のTownsendらの方法は、マウスにとって異種の抗原、すなわちニワトリの卵白リゾチームを、抗原として使用している。GnRHのような自己抗原に対する特異的B細胞の検出に適用したとき、この方法は、特異的B細胞を背景染色から識別することができなかった(本出願の実施例1参照)。したがって、Townsendらの方法は自己抗原に対する低頻度のB細胞の検出には適さなかった。
【0010】
本発明者らは、免疫応答の非常に初期の段階におけるクローン性増殖の間の出現B細胞の特異的染色に基づいて、ペプチドワクチン候補を選択するための高感度で再現性のある親和性結合アッセイ(affinity-binding assay)を開発した。親和性結合アッセイは、互いに対してある程度の親和性を有する2以上の物質の結合を、検出または測定する試験である。これは、たとえば、抗体と抗原との、酵素とその基質との、あるいは、ホルモンとそのホルモン受容体との結合であり得る。本出願において、本発明者らは、例として、抗原特異的B細胞受容体と抗原との親和性結合を記載する。当然、この親和性結合は種々の方法で検出し、または測定することができる。例として、本発明者らは、適応フローサイトメトリ法(adapted flow cytometry method)による親和性結合の検出を開示する。
【0011】
本出願は、結合アッセイおよびこの結合アッセイを用いた試験方法を開示するが、この結合アッセイでは、少なくとも4つの標的分子から成る粒子または細胞、たとえば、細胞膜に結合した抗体、受容体、または抗原特異的B細胞受容体(BCR)を、その粒子または細胞を異なるラベルを有する少なくとも2つの結合分子に接触させることによって、検出することが可能である。粒子または細胞をフローサイトメトリによって検出することは、その粒子または細胞を蛍光ラベルで染色し、蛍光検出器を用いて蛍光シグナルを記録することによって、ラベルをつけた粒子または細胞を検出することに基づいている。各蛍光ラベルは、強度および背景染色のレベルに関して固有の特性を有する。本出願は、抗原の多重形から成り、本質的に同一の抗原の少なくとも2または3の、好ましくは4以上の結合エピトープが存在し露出している分子で染色することが、染色の強度を向上させることを開示する。強度のさらなる向上は、上述の抗原の多重形の染色と、異なる2つの蛍光ラベルとを組み合わせることで達成される。この目的のために、本質的に同一の多重抗原分子の2つの量が、異なる2つのラベルに関連付けられる。この場合、たとえば、R−フィコエリトリン(PE)でラベルしたニュートラアビジン、および、ストレプトアビジンに結合させたアロフィコシアニン(APC)などの、蛍光シグナルの点で異なるラベルが選択される。異なるラベルを付したこれらの抗原分子の両方に細胞を接触させることで、細胞は両分子に結合し、異なる2つの蛍光ラベルを表面上で結集させる。この接触は、たとえば連続したステップで行うことが可能であり、たとえば、細胞を、まず、飽和濃度未満の量の第1の蛍光ラベル抗原分子と共に培養し、次いで、より飽和濃度に近いまたは飽和濃度の量の第2の蛍光ラベル抗原と共に培養する。粒子または細胞を両方の蛍光ラベル抗原分子で染色する方法の他の例は、2つの異なるラベル抗原分子を略等モル量で混合し、粒子または細胞をその混合物と共に培養することである。分離した2つの分子の同一粒子への特異的結合の可能性は非常に低いので、この方法の特異性は向上する。この向上した特異性は、多重抗原分子との結合のより高い親和性と相まって、感度を驚くほど向上させて、100万個の細胞中における僅か20〜30個の細胞の特異的検出を可能にする。本出願では、抗体分子または免疫細胞の表面に存在する抗原特異的B細胞受容体は、標的分子または親和性結合ペアのメンバーと呼ばれ、このメンバーは、たんぱく様分子のエピトープに特異的である。標的分子に結合する抗原分子は、本出願では、結合分子または分子と名付けられる。この(結合)分子は、1以上のペプチド、またはたんぱく質もしくはそのフラグメントを含んでもよい。さらに、この(結合)分子は、染色する分子を含んでもよい。本出願における粒子は、ウィルス、微生物、または細胞もしくは酵母の一部であり得る。この粒子の大きさは、好ましくは、最小では、ウィルスの大きさ程度であり、最大では、1000細胞の大きさ程度、より好ましくは、100細胞の大きさ程度、さらに好ましくは、10細胞の大きさ程度、さらに好ましくは1細胞の大きさ程度である。本特許出願において、好ましくはフローサイトメトリの結果を解釈することによって、二重に染色された粒子または細胞が、ラベルを1つのみ有する、またはラベルを全く有さない粒子または細胞から、区別できることについて、「区別可能」という語を使用する。好ましくは、この区別は、第1および第2のラベルからのシグナルの差異を通じてなされる。本明細書において、ラベルとは、好ましくは蛍光染色ラベルを意味するが、磁気ラベルまたは他のどのような種類の染色ラベルであってもよい。
【0012】
したがって、本発明は、標的分子の少なくとも2つのコピーと、標的分子に特異的に結合する少なくとも2つの結合分子とを有する粒子を含み、第1の結合分子が第1のラベルに関連付けられ、第2の結合分子が第2のラベルに関連付けられ、第1のラベルを有する粒子と第2のラベルを有する粒子が、第1のラベルと第2のラベルの両方を有する粒子から区別可能であり、第1の結合分子および第2の結合分子が、それぞれ、標的分子に特異的な少なくとも2つの結合領域を有する、親和性結合アッセイを開示する。粒子は細胞であってもよく、したがって、本発明は、上述のアッセイであって、粒子が細胞であるアッセイも開示する。細胞は生きている細胞でよいし、または、細胞は、たとえば、ホルマリン、アセトン、アルコールまたはグルタルアルデヒドなどの、フローサイトメトリで通常使用される固定剤のような、固定剤で処理してもよい。
【0013】
本発明の方法は非常に感度が高いので、このような方法が、たとえば非常に初期の免疫B細胞のような、非常に低頻度の抗原特異的B細胞を検出し得ることは、これが初めてである。これらの非常に初期の免疫細胞は、完全なクローン性増殖過程を終えていないので、非常に低い頻度でのみ存在する。したがって、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、前記細胞に、1次免疫応答のクローン性増殖相における活性化された免疫細胞が含まれる、アッセイを開示する。たとえばマウスにおいては、この活性化は、抗原との最初のまたは2回目の接触の後、数時間以内に起こり、3〜4週間以内に末梢血に抗体が現れる結果となる。
【0014】
本方法は、非常に低頻度のB細胞の検出に特に適しており、抗体応答が進むのをもはや待つ必要がないため、多くの時間を節約する。これよって、少なくとも3〜4週間を要していた各ペプチドについての動物相が、1〜2週間に短縮される。さらに、非常に低頻度のB細胞の検出は、記憶B細胞の検出にも非常に適している。このことは、ある種の疾患に対する免疫状態を評価するために重要であるかもしれない。本出願において、B細胞とは、活性化または分化のあらゆる段階におけるB細胞を意味し、たとえば、抗原特異的前駆B細胞、抗体分泌細胞、形質細胞、および記憶B細胞を含む。したがって、本発明は、好ましい実施形態において、上述のアッセイであって、前記細胞にB細胞が含まれるアッセイを開示する。本出願に開示されるように、B細胞を計数し表現型に関して特徴付けを行うことが可能であることによって、当業者は、免疫化または感染に対する初期免疫応答、たとえば、原始B細胞の抗体分泌細胞、記憶B細胞および形質細胞への増殖および分化の検出ができるようになる。
【0015】
多重抗原分子と多重染色技術との組み合わせによって、感度が驚くほど大きく向上するから、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、第1および第2のラベルを有する粒子が親和性結合アッセイの感度を向上させる親和性結合アッセイを開示する。
【0016】
多重抗原分子の結合特性は、分子上の露出した抗原部位の数と共に向上する。本出願においては、たとえば、4つの抗原部位を含む四量体分子を試験している。当然、同一分子内で繰返す抗原の数を他の数にしても、所望の効果が得られるであろう。したがって、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、第1および第2の結合分子がそれぞれ、標的分子に特異的な結合領域を少なくとも2つ含むアッセイを開示する。好ましくは、結合領域の数は4である。
【0017】
標的分子の抗原部位またはエピトープが本質的に同一のエピトープである場合、結合はさらに高まるかもしれない。したがって、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、少なくとも2つの結合領域が本質的に同一であるアッセイを開示する。このアッセイの大きな利点は、検出アッセイの結合分子が天然たんぱくのエピトープを表現してもよいことであり、なぜならば、これによって、その天然たんぱくの変化抗原による免疫化を、その天然たんぱくに対する交差特異性で監視できるからである。本出願において、天然たんぱくとは天然に存在するたんぱくである。したがって、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、結合分子が天然たんぱくのエピトープを表現するアッセイを開示する。本発明は、低頻度のB細胞の検出に非常に適している。B細胞は、抗原との接触によって活性化されたとき、クローン性増殖の間に、抗原特異的B細胞受容体すなわちBCRをそれらの細胞表面上に露出する。好適なB細胞受容体は、たとえば、FcフラグメントによってB細胞の壁に入り込み、可変部によって抗原を特異的に認識する、周知の細胞結合した抗体様分子であり、その抗原はB細胞を活性化するのに用いた抗原である(Kouskoffら、2000年)。本アッセイにおいて、BCRは結合分子が結合する標的分子である。したがって、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、標的分子にBCRが含まれるアッセイを開示する。
【0018】
さらに好ましくは、アッセイはBCRの抗原特異的部位への結合を検出する。したがって、本発明は、上述の親和性結合アッセイであって、標的分子にBCRの可変部が含まれるアッセイを開示する。
【0019】
アッセイは、標的分子を検出する結合分子の組によって行われる。結合分子は、好ましくは、四量体分子から成る。したがって、他の実施形態における本発明は、第1のラベルに関連付けられた第1の多重結合分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の多重結合分子とを含み、第1のラベルおよび第2のラベルから得られるシグナルが、第1および第2のラベルの組合せシグナルから区別可能であり、各結合分子が、本質的に同一の標的分子に、好ましくは、その標的分子の本質的に同一のエピトープに特異的な、少なくとも4つの結合領域を含む、構成を開示する。
【0020】
クローン性増殖の間の非常に初期の段階におけるB細胞を検出し選択するためのアッセイおよび構成が存在するようになった現在、ワクチン目的のために抗原が評価できるようになるまで、抗体レベルの増大を3〜4週間以上も待つ必要はもはやない。これによって、熟練者が、迅速かつ信頼できる方法で、多くの抗原のコレクションの中から抗原を選択することが可能になる。他の実施形態では、たとえば腫瘍抗原およびホルモンなどを含む治療的ワクチン接種処理に関して、個々の応答が監視可能であり、非応答性個体をより迅速に特定することができる。
【0021】
ある種の抗原に対する免疫系の耐性を克服するために、たとえば合成ペプチドの産生によって、種々の修飾抗原を産生することが可能である。ペプチドにおける変化は、免疫原性を向上させるかもしれず、本発明のアッセイと方法によってそのペプチドを試験することによって、新しい改良された抗原が検出され選択されるかもしれない。ペプチドの抗原性を変化させるためにペプチドに種々の変更を加えることで、そのペプチドの様々な形態が得られ、これはペプチドコレクションとも呼ばれる。本出願に開示する抗原特異的B細胞の検出は、ワクチン免疫原性の評価を促進し、応答の細かな特異性の解析を可能にする。たとえば、多価コンジュゲートワクチンの新規な産生の正確な(サブ)抗原型特異性を、これまでになく詳細に解析することが今や可能である。したがって、本発明は、少なく2つの抗原を含むコレクションの中から合成抗原を選択する方法であって、その合成抗原に特異的な免疫細胞のための親和性結合アッセイにおいて、その抗原コレクションの抗原によって免疫化した哺乳動物から得た細胞サンプル中の抗原特異的免疫細胞のクローン性増殖の検出に、上述の構成を用いることと、そのクローン性増殖を、そのコレクションからの別の抗原によって免疫化した別の哺乳動物のクローン性増殖と比較することと、そのコレクションの中の少なくとも1つの他の抗原について観察されるクローン性増殖よりも、クローン性増殖が広範である抗原をそのコレクションの中から選択することとを含む方法を開示する。より広範なクローン性増殖とは、本出願において、特定のB細胞の数が、他の抗原に対する反応としてのクローン性増殖と比較して、より速やかにより高いレベルに向上することを意味する。たとえばマウスでは、第7日における向上したクローン性増殖は、第14日におけるクローン性増殖、および、免疫応答におけるさらに後の高レベルの抗体の、指標となる。ラットまたは他の動物においては、この向上は、より遅くあるいはより早く現れるかもしれないが、その抗原コレクションの別の抗原で免疫化した他のラットまたは他の動物のクローン性増殖と比較した場合、より広範なクローン性増殖の強い指標となる。
【0022】
当然、上述の方法では、上述した親和性結合アッセイのいずれを使用してもよい。したがって、本発明は、上述の合成抗原を選択する方法であって、本開示に記載したあらゆるアッセイが親和性結合アッセイに含まれる方法を開示する。
【0023】
当然、合成ペプチドが天然たんぱくに対する良好なワクチンであるためには、それらの合成ペプチド抗原に対して向けられた抗体の、それらのペプチドが由来する天然たんぱくとの交差反応を、充分に考慮しなければならない。したがって、上述の方法は、好ましくは、少なくとも2つの結合分子が、標的分子に対する結合部位として、抗原コレクションの合成抗原、または、天然抗原もしくはその抗原の相同物を、含むように使用される。天然抗原とは、本出願において、天然のたんぱくに存在するままの抗原である。抗原の相同物とは、量においては必須ではないが、質において同一の抗原的特徴を示す物質である。相同物は、天然のペプチドもしくはたんぱく、または合成ペプチドもしくはその一部から成ることもある。したがって、直接B細胞染色処理によって、ペプチドワクチンとそれらが由来する天然抗原との、特異的B細胞受容体交差反応性の評価が可能になる。
【0024】
本発明は、上述の方法であって、抗原特異的免疫細胞のクローン性増殖が少なくとも他の抗原のクローン性増殖よりも広範である抗原を選択することを、さらに含む方法も開示する。
【0025】
上述のアッセイおよび方法によって、ある抗原に特異的なB細胞が選択され単離される。単離されたB細胞は、さらに、天然抗原またはその抗原の相同物とも呼ばれる天然たんぱくへの結合の特異性と親和性を試験してもよい。したがって、本発明は、上述の方法であって、さらに抗原特異的免疫細胞が天然抗原またはその抗原の相同物に特異的であるか否かを評価することを、含む方法を教示する。
【0026】
上述の方法およびアッセイによって、当業者は、抗原特異的細胞を選択し単離することが可能になる。したがって、本発明は、抗原特異的免疫細胞の選択のための親和性結合アッセイであって、(a)標的分子のコピーを少なくとも4つの有する細胞を、標的分子に特異的な少なくとも2つの結合分子、好ましくは四量体結合分子に接触させること(第1の結合分子が第1のラベルに対応付けられ、第2の結合分子が第2のラベルに対応付けられる)と、(b)各ラベルで染色される細胞を検出することと、(c)両方のラベルと結合する細胞を選択することとを含むアッセイを開示する。
【0027】
本発明は、上述の方法と共に、抗原コレクションの中から合成抗原を試験し選択するための、天然たんぱくとの交差反応性免疫応答を含む新しい方法を教示する。これは、この分野における技術的可能性の重要な進歩であり、選択のための新たな方法の可能性、したがって、他の製品への可能性を開く。したがって、本発明は、天然たんぱくとの交差免疫応答を含み、上述の方法と共にワクチンとしての使用に選択可能な合成抗原を、開示する。当然、たんぱく様分子に由来する単離したペプチドは、たんぱく様分子への免疫応答を誘起することが可能である。
【0028】
ペプチドの抗原性を向上させるために、そのペプチドモチーフは、2、3またはそれ以上のペプチドが相互に直接またはスペーサ分子を介して連結した、二量体、三量体または多量体ペプチドにすることができる。同一の2つのペプチドを結合して二量体とすることは、そのペプチドの免疫特性をさらに向上させる。したがって、本発明は、上述の方法で得ることが可能な、免疫原性ペプチドであって、二量体ペプチドを含むペプチドを開示する。
【0029】
この二量体ペプチドにおいて、各々のペプチドは、イオウ架橋または他の連結分子によって連結することができる。ペプチドの免疫原性を向上させる他の方法は、ペプチドを結合して、タンデムペプチドおよび/またはタンデム二量体ペプチドにすることである。国際公開第96/40755号パンフレットから、タンデム二量体原理のGnRH−I分子の変異形への適用が、緩和な補助剤との併用によって低用量で高い有効性を示したことが、知られている。したがって、本発明は、抗原由来の免疫原性ペプチドを選択する方法であって、上述の抗原特異的免疫細胞のクローン性増殖を検出することを含み、ペプチドにタンデム二量体が含まれる方法を開示する。
【0030】
本発明で提供するペプチドの抗原特性は、改善された特性を有するペプチドの検出を可能にする、置換網マッピングなどの様々な技術を用いることによって、さらに最適化される。たとえば、そのようなペプチドの1つは、エピトープに対して向けられた抗体に結合して、これによってそのエピトープの免疫特性を模倣するペプチドでよい。そのようなペプチドは、ミモトープと呼ばれる。この方法は、特許出願国際公開第00/29851号パンフレットに開示されている。したがって、本発明は、たんぱく由来の免疫原性ペプチドであって、そのたんぱくのミモトープを含むペプチドも開示する。
【0031】
少なくとも1つのアミノ酸のDアミノ酸および/またはLアラニンによるアミノ酸置換も、国際公開第02/22659号パンフレットに記載されているように、ペプチドの免疫原性を向上させる。したがって、本発明は、たんぱく由来の免疫原性ペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸がDアミノ酸および/またはLアラニンによって置換されたペプチドを開示する。
【0032】
ペプチドがホルモンの配列に従って調製され、上述の方法によって試験されたペプチドホルモンの1つの例は、ゴナドトロピン放出ホルモンすなわちGnRHである。したがって、本出願は、上述の方法であって、抗原に、GnRHペプチドホルモンおよび/またはその一部、またはGnRH由来のペプチドを含む方法を開示する。ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、視床下部によって産生されるデカペプチドである。GnRHは、門脈循環を通って下垂体に達して、ゴナドトロピンFSHおよびLHの放出を刺激する(Talwar、1999年)。抗GnRH免疫は、雌雄両動物の生殖能力を妨害し(Meloenら、2001年)、GnRHワクチンは、前立腺および女性の癌への適用がある(Talwar、1999年;Fuerstら、1997年)。異なる方法の有用性を比較するために、オボアルブミン(OVA)にコンジュゲートさせたGnRH様ペプチドで、マウスを免疫化した。異なる3つのペプチド、すなわち、GnRH単量体(pEHWSYGLRPGC)、GnRHタンデム体(pEHWSYGLRPGQHWSYGLRPGC)、およびGnRHタンデム二量体(TDK、pEHWSYkLRPGQHWSYkLRPGCの二量化体であり、「k」はDリジン残基を表す)が産生された。キャリアたんぱくにコンジュゲートさせたGnRHタンデム体およびTDKペプチドは、高い免疫原性を示し、GnRH中和抗体となり、全ての処理動物において完全な生物学的作用を発現した(Meloenら、1994年;Oonkら、1998年)。したがって、本出願は、上述の方法で得られる免疫原性ペプチドであって、GnRH由来のペプチドを開示する。
【0033】
たんぱくの配列に従って調製され、上述の方法で試験されたペプチドホルモンの他の例は、ガストリンである。したがって、本出願は、ペプチドホルモンに由来し、上述の方法で得られる免疫原性ペプチドであって、ガストリンに由来するペプチドを開示する。ガストリンは、酸分泌、ならびに、正常および悪性の両方の消化管上皮の成長の調節に重要な、ペプチドホルモンである(Jensenら、2002年)。腫瘍細胞は、循環内分泌性ガストリン(Watsonら、1989年)、および自己分泌または傍分泌の形式で作用する局所産生ガストリン(Hooseinら、1990年)の双方に、応答する。ガストリンの効果的な阻害は、結腸直腸癌、胃癌および膵臓癌の治療に有益であるかもしれない。なぜなら、ガストリンはこれらの腫瘍の成長因子として作用するからである。ガストリン受容体アンタゴニストは、いくつかの受容体サブタイプがガストリンの作用に関与し、ガストリンを追放するためには大量が必要であるため、完全には有効でない。ガストリンの中和によって、この問題は回避できるかもしれない。
【0034】
ガストリン由来のペプチドは、ガストリン(アミノ酸配列pEGPWLEEEEEAYGWMDF)に対するワクチンに使用することができる。ワクチンのための好適なペプチドは、アミノ酸1〜X(Xは5〜12)を含む。コンジュゲートのために、システインがN端またはC端に含まれる。これらのペプチドは、タンデムまたはタンデム二量体の形態で、N端またはC端にシステインを加えて、あるいは、pEGPWLEEEECQGPWLEEEEのように、2つのガストリン配列の間にシステインをタンデムに加えて、適用することもできる。LリジンまたはDリジンをタンデム形態に導入して、これらのペプチドが、以下の2式に示すように、システインを介して二量化し、LリジンまたはDリジンを介してコンジュゲートし得るようにする。
【0035】
【化1】

【0036】
【化2】

【0037】
ここで、「k」はDリジンを表す。
これらのペプチドをワクチンとしてマウスにおいて試験し、免疫化後第7日または第14日に、四量体ガストリンペプチド分子を用いる本発明の方法によって、特異的B細胞を検出した。四量体を形成するために、ペプチドpEGPWLEEEEEAYGWMDFK($)#を使用した。ここで、#はアミドであり、pEはピログルタミンであり、K($)はビオチン化リジンである。
【0038】
したがって、本発明は、上述のいずれかの方法で得られる免疫原性ペプチドであって、ガストリンに由来するペプチドを開示する。
【0039】
ペプチドを調製したホルモンのさらなる例は、通常、妊娠中に胎盤によって産生される(Meyerら、2001年)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン−ベータ(hCG−β)である。このたんぱくは、血清中または尿中で検出することができる。hCGベータは、妊娠の第1期において上昇し、しばしば妊娠の指標として用いられる。hCG−βは、種々のタイプの癌に存在する腫瘍関連抗原でもある。最も一般的には、hCGベータは、婦人科癌(Gauchiら、1981年;Higashidaら、2001年;Kinugasaら、1992年)において、また、結腸直腸(Lundinら、2000年)、睾丸精上皮腫(Haraら、2002年)、膀胱(Hotakainenら、2002年)、肝臓(Szavayら、2000年)、胃(Batemanら、1995年)、膵臓(Syrigosら、1998年)、肺(Uckayaら、1998年)、脳(Fujimakiら、2000年)、および腎臓(Hotakainenら、2002年)の癌において、10mIU/mlを超えて上昇する(Gauchiら、1981年)。悪性ではない上昇が、妊娠(Meyerら、2001年)、潰瘍(Manabeら、1985年)、ジュークス病(Carpelan−Holmstromら、1996年)、および肝硬変(Hoermannら、1992年)において観察されることもある。hCG−βのレベルは、腫瘍進行に対する化学療法などの治療の有効性の監視に有用である。hCG−βが高レベルの癌患者は、中央値レベルよりも低いレベルの患者よりも、有意に短い生存可能期間を有する。hCG-βの効果的阻害は、したがって、婦人科、結腸直腸、睾丸精上皮腫、膀胱、肝臓、胃、膵臓、肺、脳、および腎臓の各癌における治療法として、疾患の防止と疾患末期の両方において有益である。hCG−βの効果的阻害は、したがって、潰瘍、ジュークス病、および肝硬変における治療法としても、有益である。hCG−β配列の受託番号はP01233である。スイスたんぱく(Swiss−Protein)エントリ名は、CGHB_HUMANである。このホルモンは165のアミノ酸から成り、アミノ酸1〜20がシグナルペプチドを構成する。
【0040】
キャリアたんぱくへのコンジュゲートのためのN端システインを有する重複した20量体ペプチドが、免疫化に用いられた。これには、21〜40,31〜50,41〜60,51〜70,61〜80,71〜90,81〜100,91〜110,101〜120,111〜130,121〜140,129〜165および141〜165のペプチドが含まれる。実施例4において、hCGのアミノ酸位置109〜145に対応する配列から成るC端ペプチド(CTP)を用いた。
【0041】
ペプチドを調製したさらに別のホルモンは、ヒト副甲状腺ホルモン関連たんぱく(PTHrP)である。
【0042】
高カルシウム血症は、癌を有する患者において最も普通に見られる代謝性合併症である。高カルシウム血症は、末期上皮癌の大多数で発生し、腫瘍のPTHrP分泌によって引き起こされる。健常人においては、PTHrPは検出し得ないレベルである。腫瘍によって分泌されたPTHrPは、普通のPTH受容体に作用するため、高いカルシウムレベルを引き起こす。
【0043】
PTHrPは、乳癌において、重要な役割を果たす。一次腫瘍の約50%がPTHrPを分泌する。この性質は骨転移の進行と関連する。骨転移において、PTHrPは溶骨性骨疾患を誘発し、組織の破壊の原因となる。この溶骨性骨疾患は骨組織からのTGF−Bの放出を招き、これが今度はPTHrPのさらなる産生を刺激する。
【0044】
癌における高カルシウム血症には2つのタイプがある。1つは体液性高カルシウム血症であり、体液性高カルシウム血症においては、一次腫瘍がPTHrPを産生し、PTHrPがホルモンとして作用し、血流中に分泌された後、骨と腎臓とに作用してカルシウムレベルを上昇させる。
【0045】
もう1つは、局所的溶骨性高カルシウム血症であり、これにおいても、PTHrPが骨転移に役割を果たす。PTHrPは、骨転移近傍に局所的骨溶解を誘発し、腫瘍転移を骨組織内にまで成長させる。乳癌においてはほとんど全ての転移が高レベルのPTHrPを含むのに対し、非骨転移の17%のみがPTHrPを発現する。PTHrPは、これらの患者において、骨破砕と骨痛の原因となる。高カルシウム血症の現在の治療法は、ビスフォスフォネートの投与であり、ビスフォスフォネートはカルシウムレベルを下げる。しかし、この治療法はPTHrPレベルに影響を及ぼさない。
【0046】
癌においてPTHrPに対するワクチン接種によってPTHrPを中和することは、末期癌を退行させて、患者の人生の質を向上させることに寄与するかもしれない。スイスたんぱくエントリ名はPTHR_HUMANである。配列の受託番号はP12272である。ヒトPTHrPの長さは177アミノ酸1〜177であり、アミノ酸1〜36がリーダー配列を成す。
【0047】
有効なペプチドは、PTHrPフラグメント37〜70のN端ペプチドであり、37〜X(Xは47〜56)を含む。C端システインが、コンジュゲートのために加えられる。これらのペプチドは、タンデム体およびタンデム二量体の形態で使用することができる。
【0048】
本発明は、薬剤の調製のために上述の方法によって選択することが可能な、免疫原性たんぱくおよび/またはその一部および/または免疫原性ペプチドの使用を開示する。
【0049】
本発明の他の実施形態においては、特異的出現B細胞を、たとえば細胞分類および/または磁気ビーズ分離によって、分類および単離することが可能である。
【0050】
これらの単離されたB細胞は、この分野において一般に知られているハイブリドーマ産生に従って不死化することが可能であり、よって、モノクローナル抗体を産生する不死化B細胞となる。したがって、本発明は、抗体の調製のために上述の方法によって選択されるB細胞、およびハイブリドーマ産生のためのそのようなB細胞の使用も開示する。
【0051】
このB細胞ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体は、診断目的、または、たとえば、血液循環中のGnRHの不活性化のため、または、病原体の複製阻害のための、薬剤の調製に特に有用である。したがって、本発明は、上述のB細胞によって産生された単離抗体、および、薬剤調製のためのその抗体の使用も開示する。
【0052】
本特許出願に記載される技術は、免疫応答誘起のための適切な抗原を選択するために、使用することができる。抗原が一旦判れば、本出願が、その抗原の多重コピーから成る結合分子を作ることによって、いかにしてラベル感度を向上させるか、結合分子をいかにしてラベルするか、および、ラベルした結合分子を抗原の選択にいかに用いるか、を示す。したがって、本出願は、少なくとも、第1のラベルに関連付けられた第1の結合分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の結合分子とを含み、各結合分子が同一の標的分子に対する少なくとも2つの結合領域を含む、部品キットを開示する。このようなキットは、ペプチドライブラリからペプチドを選択するために非常に有用である。したがって、本発明は、そのキットを抗原の選択のために使用することを開示する。
【0053】
本発明は、標的分子の少なくとも4つのコピーを有する粒子と、その標的分子に対して特異的な少なくとも2つの結合分子とを含む親和性結合アッセイであって、第1の結合分子が第1のラベルに対応付けられ、第2の結合分子が第2のラベルに対応付けられ、第1のラベルを有する粒子と第2のラベルを有する粒子が、第1のラベルと第2のラベルとの両方を有する粒子から区別可能であり、第1および第2の結合分子が、それぞれ、標的分子に対して特異的な結合領域を少なくとも2つ含む、親和性結合アッセイを提供する。
【0054】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、粒子に細胞が含まれる親和性結合アッセイを開示する。
【0055】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、細胞に一次免疫応答のクローン性増殖相における活性免疫細胞が含まれる親和性結合アッセイを開示する。
【0056】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、細胞にB細胞が含まれる親和性結合アッセイを開示する。
【0057】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、第1および第2のラベルを有する粒子が親和性結合アッセイの感度を向上させる、親和性結合アッセイを開示する。
【0058】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、第1および第2の結合分子が、それぞれ、標的分子に対して特異的な少なくとも4つの結合領域を含む、親和性結合アッセイを開示する。
【0059】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、少なくとも4つの結合領域が本質的に同一である親和性結合アッセイを開示する。
【0060】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、結合分子が天然たんぱくのエピトープを表現する親和性結合アッセイを開示する。
【0061】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、標的分子にB細胞受容体が含まれる親和性結合アッセイを開示する。
【0062】
本発明はさらに、本発明の親和性結合アッセイであって、標的分子にB細胞受容体の可変部が含まれる親和性結合アッセイを開示する。
【0063】
本発明はさらに、第1のラベルに関連付けられた第1の多重結合分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の多重結合分子とを含む組成物であって、第1のラベルおよび第2のラベルから得られるシグナルが、第1および第2のラベルの組合せシグナルから区別可能であり、結合分子が、それぞれ、本質的に同一の標的分子に対して、好ましくは、標的分子の本質的に同一のエピトープに対して特異的な少なくとも4つの結合領域を含む、組成物を開示する。
【0064】
本発明はさらに、少なくとも2つの抗原を含むコレクションから合成抗原を選択する方法であって、合成抗原に特異的な免疫細胞の親和性結合アッセイにおいて、抗原コレクションの抗原によって免疫化した哺乳動物から得られる細胞サンプル中の抗原特異的免疫細胞のクローン性増殖の検出に、本発明の組成物を使用し、クローン性増殖を、そのコレクションの別の抗原によって免疫化した別の哺乳動物のクローン性増殖と比較して、そのコレクションからの少なくとも1つの別の抗原について観察されるクローン性増殖よりも、クローン性増殖が広範である抗原をそのコレクションの中から選択し、抗原コレクションに本発明のあらゆる抗原が含まれる、方法を開示する。
【0065】
本発明はさらに、本発明の方法であって、親和性結合アッセイに本発明のアッセイまたは本発明の方法が含まれる方法を開示する。
【0066】
本発明はさらに、本発明の方法であって、少なくとも2つの結合分子に、標的分子に対する結合部位として、抗原コレクションの合成抗原、または、天然抗原もしくはその抗原の相同物が含まれる、方法を開示する。
【0067】
本発明はさらに、本発明の方法であって、抗原特異的免疫細胞のクローン性増殖が、他の少なくとも2つの抗原によるクローン性増殖よりも広範な抗原を選択することを、さらに含む方法を開示する。
【0068】
本発明はさらに、本発明の方法であって、抗原特異的免疫細胞が天然抗原またはその抗原の相同物に対して特異的であるか否かを評価することを、さらに含む方法を開示する。
【0069】
本発明はさらに、抗原特異的免疫細胞を選択する親和性結合アッセイのための方法であって、標的分子の少なくとも4つのコピーを有する細胞を、標的分子に対して特異的な少なくとも2つの結合分子(第1の結合分子は第1のラベルに関連付けられ、第2の結合分子は第2のラベルに関連付けられる)に接触させること、各ラベルで染色された細胞を検出すること、両ラベルに結合する細胞を選択すること、を含む方法を開示する。
【0070】
本発明はさらに、天然たんぱくとの交差反応性免疫応答を含み、ワクチンとしての使用のために本発明の方法によって選択可能な、合成抗原を開示する。
【0071】
本発明はさらに、本発明の抗原であって、二量体ペプチドを含む抗原を開示する。
本発明はさらに、本発明の抗原であって、タンデム二量体ペプチドを含む抗原を開示する。
【0072】
本発明はさらに、本発明の抗原であって、抗原のミモトープを含む抗原を開示する。
本発明はさらに、本発明の抗原であって、少なくとも1つのアミノ酸が、Dアミノ酸および/またはLアラニンで置換された抗原を開示する。
【0073】
本発明はさらに、本発明の抗原であって、ペプチドがGnRHに由来する抗原を開示する。
【0074】
本発明はさらに、本発明の抗原であって、ペプチドがガストリンに由来する抗原を開示する。
【0075】
本発明はさらに、本発明の抗原であって、ペプチドがhCGに由来する抗原を開示する。
【0076】
本発明はさらに、本発明の抗原であって、ペプチドがPTHrPに由来する抗原を開示する。
【0077】
本発明はさらに、本発明の抗原を薬剤の調製に使用することを開示する。
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原を、前立腺癌および女性のGnRH関連の癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0078】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原を避妊用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0079】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原を、ガストリン関連の結腸直腸癌および/または胃癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0080】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原を、hCG関連の婦人科、結腸直腸、睾丸精上皮腫、膀胱、肝臓、胃、膵臓、肺、脳および腎臓の各癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0081】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原を、hCG関連の潰瘍、ジュークス病および肝硬変の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0082】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原をPTHrP関連の癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0083】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原をPTHrP関連の溶骨性骨疾患の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0084】
本発明はさらに、本発明の抗原の使用であって、本発明の抗原をPTHrP関連の高カルシウム血症の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0085】
本発明はさらに、本発明の方法によって検出された、抗体調製のための単離B細胞を開示する。
【0086】
本発明はさらに、本発明のB細胞に基づくハイブリドーマを開示する。
本発明はさらに、本発明のB細胞または本発明のハイブリドーマによって産生された単離抗体を開示する。
【0087】
本発明はさらに、本発明の単離抗体であって、薬剤の調製のための単離抗体を開示する。
【0088】
本発明はさらに、少なくとも、第1のラベルに関連付けられた第1の結合分子と第2のラベルに関連付けられた第2の結合分子とを含み、結合分子が同一の標的分子に対する少なくとも2つの結合領域を含む、部品キットを開示する。
【0089】
本発明はさらに、本発明の部品キットを抗原の選択に使用することを開示する。
本発明はさらに、標的分子の少なくとも4つのコピーを有する粒子を検出する方法であって、その粒子を、標的分子に対する少なくとも2つの結合部位を有する第1および第2の結合分子(第1の結合分子は第1のラベルに連結され、第2の結合分子は第2のラベルに連結される)に接触させること、および、両方のラベルを有する粒子を検出することを含む方法を開示する。
【0090】
本発明はさらに、本発明の粒子の検出方法であって、第1および第2の結合分子からの組合せシグナルを検出することを含む、方法を開示する。
【0091】
本発明はさらに、本発明の粒子の検出方法であって、天然抗原またはその抗原の相同物によるワクチン接種から14日以内の哺乳動物に由来する粒子を、検出する方法を開示する。
【0092】
本発明はさらに、本発明の粒子の検出方法であって、第1の結合分子と第2の結合分子が略等モル量で存在する方法を開示する。
【0093】
本発明の他の実施形態において、本出願は、親和性結合ペアのメンバーであって、たんぱく様分子のエピトープに特異的なメンバーを含む細胞を検出する方法であって、たんぱく様分子の少なくとも一部分に由来する合成ペプチドを産生することを含み、さらに、ヒト以外の動物を合成ペプチドで免疫化して、その動物から得られるサンプル中の、たんぱく様分子に特異的な親和性結合ペアのメンバーを含む細胞を検出することを、含む方法を開示する。
【0094】
他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、合成ペプチドを修飾して、修飾ペプチドがたんぱく様分子のいずれとも免疫的に相違するようにすることを含み、さらに、ヒト以外の動物を修飾ペプチドで免疫化して、その動物から得られるサンプル中の、たんぱく様分子に特異的な親和性結合ペアのメンバーを含む細胞を検出することを、含む方法を開示する。
【0095】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、たんぱく様分子またはその分子の等価物からのエピトープの少なくとも2つのコピーを含み、第1のラベルを含む第1の分子と、たんぱく様分子またはその分子の等価物からのエピトープの少なくとも2つのコピーを含み、第2のラベルを含む第2の分子と共に、サンプルを培養することと、サンプル中の第1のラベルと第2のラベルとを含む細胞を検出することとを含む方法を開示する。
【0096】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、修飾ペプチドに、二量体および/またはタンデム二量体ペプチド、ミモトープ、置換網マップペプチド、および/または、そのペプチドの20アミノ酸当り1〜4個のアミノ酸置換を含むアミノ酸置換ペプチド、が含まれる方法を開示する。
【0097】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、合成および/または修飾ペプチドがGnRHに由来する方法を開示する。
【0098】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、合成および/または修飾ペプチドがガストリンに由来する方法を開示する。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、合成および/または修飾ペプチドがhCGに由来する方法を開示する。
【0100】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、合成および/または修飾ペプチドがPTHrPに由来する方法を開示する。
【0101】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、細胞が免疫細胞である方法を開示する。
【0102】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、細胞がB細胞である方法を開示する。
【0103】
他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、第1および第2の分子に、エピトープの四量体またはたんぱく様分子の四量体が含まれる方法を開示する。
【0104】
さらに他の実施形態において、本発明は、第1のラベルに関連付けられた第1の分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の分子とを含む組成物であって、第1のラベルおよび第2のラベルから得られるシグナルが、第1のラベルと第2のラベルの組合せシグナルから区別可能であり、それぞれの分子が、たんぱく様分子上の本質的に同一のエピトープに対して特異的な、少なくとも4つの結合領域を含む、組成物を開示する。
【0105】
さらに他の実施形態において、本発明は、抗原を選択する方法であって、抗原コレクションを用意し、ヒト以外の少なくとも1匹の動物をコレクションで免疫化し、たんぱく様分子に特異的なB細胞系統の細胞のクローン性増殖が生じた抗原を、選択する方法を開示する。
【0106】
他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、抗原に、たんぱく様分子の少なくとも一部分に由来し、そのたんぱく様分子のいずれのペプチドとも免疫的に相違する修飾ペプチドが含まれる、方法を開示する。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、抗原特異的免疫細胞のクローン性増殖がコレクションの他の抗原によるクローン性増殖よりも広範な抗原を選択することを、さらに含む方法を開示する。
【0108】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、B細胞系統の細胞のクローン性増殖を本発明の方法によって検出する方法を開示する。
【0109】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の方法によって得られ、天然たんぱくとの交差反応性免疫応答を誘起し得る合成および/または修飾ペプチドを開示する。
【0110】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドであって、GnRHに由来するペプチドを開示する。
【0111】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドであって、ガストリンに由来するペプチドを開示する。
【0112】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドであって、hCGに由来するペプチドを開示する。
【0113】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドであって、PTHrPに由来するペプチドを開示する。
【0114】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、ワクチンの調製に使用することを開示する。
【0115】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、薬剤の調製に使用することを開示する。
【0116】
一実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、前立腺癌および女性のGnRH関連の癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0117】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、避妊用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0118】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、ガストリン関連の結腸直腸癌および/または胃癌および/または膵臓癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0119】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、hCG関連の婦人科、結腸直腸、睾丸精上皮腫、膀胱、肝臓、胃、膵臓、肺、脳および腎臓の各癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0120】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、hCG関連の潰瘍、ジュークス病および肝硬変の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0121】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、PTHrP関連の癌の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0122】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、PTHrP関連の溶骨性骨疾患の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0123】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の合成および/または修飾ペプチドを、PTHrP関連の高カルシウム血症の治療用薬剤の調製に使用することを開示する。
【0124】
他の実施形態において、本発明は、免疫細胞コレクションが、特異的結合ペアのメンバーの少なくとも2つのコピーを有し、たんぱく様分子のエピトープに特異的な細胞を、含むか否かを判定する方法であって、特異的結合ペアのメンバーに特異的な少なくとも2つの分子(第1の分子は第1のラベルに関連付けられ、第2の分子は第2のラベルに関連付けられる)をコレクションに提供することと、両方のラベルによって染色された細胞がコレクションに含まれるか否かを判定すること、を含む方法を開示する。
【0125】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、特異的結合ペアのメンバーの少なくとも2つのコピーを有し、たんぱく様分子のエピトープに特異的な細胞が、B細胞である方法を開示する。
【0126】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明のB細胞に由来するハイブリドーマ細胞系を開示する。
【0127】
他の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の単離B細胞および/または本発明のハイブリドーマを、抗体の調製に使用することを開示する。
【0128】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の単離B細胞および/または本発明のハイブリドーマによって産生される、単離抗体を開示する。
【0129】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の単離抗体を薬剤の調製に使用することを開示する。
【0130】
他の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも、第1のラベルに関連付けられた第1の分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の分子とを含む部品キットであって、それぞれの分子が、たんぱく様分子のエピトープに特異的な親和性結合ペアの同一メンバーに対して、特異的な少なくとも2つの結合部位を含む、キットを開示する。
【0131】
さらに他の実施形態において、本発明は本発明の部品キットを抗原の選択に使用することを開示する。
【0132】
さらに他の実施形態において、本発明は、細胞コレクション中の細胞を検出する方法であって、その細胞に特異的に結合することが可能で、互いに異なるラベルを含み、それぞれその細胞に対する少なくとも4つの結合部位を含む、第1および第2の分子を、細胞コレクションに提供することと、さらに、両方のラベルを含む細胞を検出することとを、含む方法を開示する。
【0133】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、細胞が両方のラベルを略等モル量で含む方法を開示する。
【0134】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、細胞が免疫細胞である方法を開示する。
【0135】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、細胞が前記結合部位を含む分子またはその機能性誘導体によって免疫化した動物から得られる方法を、開示する。
【0136】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、動物が、天然たんぱくの一部分またはペプチドに類似するが同一ではない、機能性誘導体によって免疫化され、結合が、天然たんぱくの一部分またはペプチドと同一である、方法を開示する。
【0137】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、機能性誘導体に二量体ペプチドが含まれる方法を開示する。
【0138】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、機能性誘導体にタンデム二量体ペプチドが含まれる方法を開示する。
【0139】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、機能性誘導体に抗原のミモトープが含まれる方法を開示する。
【0140】
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の方法であって、機能性誘導体に、20アミノ酸当たり1〜6個の、Dアミノ酸および/またはLアラニンによって置換されたアミノ酸が含まれる、方法を開示する。
【0141】
本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0142】
実施例1
低頻度初期B細胞の検出
材料および方法
動物
6〜8週齢のマウスを用い、本発明者らの機関の倫理指針に従って、処理を施した。マウスを第0日に、完全フロイントアジュバント中の、オボアルブミン(100μg)と結合させたGnRH−TDK、またはジフテリアトキソイドと結合させたガストリン−TDK1(Pepscan Systems、Lelystad、オランダ)によって、腹腔内で免疫化した。対照マウスは免疫化しなかった。第7日に、各グループのマウスの半分を不完全フロイントアジュバントを用いて増強し、動物の半分を犠牲にして脾臓を得た。第14日に、残余のマウスから脾臓を得た。全ての動物実験は、地方倫理委員会(DEC)の許可を得て行った。
【0143】
四量体合成
四量体分子は、200μMのC端ビオチン化、中央ビオチン化、またはN端ビオチン化GnRH(Pepscan Systems)と、R−フィコエリトリン(PE)でラベルした3.3μMのニュートラアビジン(PE−NA、Molecular Probes、 Eugene、 OR)、または、アロフィコシアニン(APC)でラベルした6.1μMのストレプトアビジン(APC−SA、 Molecular Probes)とを、同体積混合することによって、作成した。各混合物を4℃にて少なくとも12時間培養した。次いで、Bio−Gel P−30スピンカラム(Bio− Rad、Hercules、CA)を用いたゲルろ過によって、四量体を非複合化ペプチドから分離した。
【0144】
ビオチン化ガストリンペプチドpEGPWLEEEEEAYGWMDFK($)#を、四量体の形成に用いた。ここで、#はアミド、pEはピログルタミン、K($)は ビオチン化リジンである。
最適濃度の決定のために、各四量体を滴定した。
【0145】
フローサイトメトリ
脾臓を機械的に破砕して脾細胞の細胞懸濁液を得て、0.16Mの塩化アンモニウム溶液pH7.4中で、赤血球を溶解させた。得られた単一細胞懸濁液を、蛍光色素でラベルした抗体とGnRH四量体との組合せによって、最適希釈にて染色した。染色は4℃にて2段階で行った。まず、細胞を、PEでラベルした四量体で、実験的に決定した最適濃度にて、1時間染色した。その後、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄した。次いで、細胞を、APCまたはFITCでラベルした四量体と、PerCPでラベルした抗CD3抗体(クローン145−2C11、BD Biosciences)、FITCでラベルした抗CD19抗体(クローン1D3、BD Biosciences)、PEでラベルした抗CD27抗体(クローンLG.3A10、BD Biosciences)、およびPEでラベルしたCD138抗体(クローン281−2、BD Biosciences)の組合せとによって、染色した。直接ラベルしたリガンドを含む染色実験には、FIFTおよびビオチンでラベルしたGnRH(Pepscan Systems)を用いた。
【0146】
データは、FACSCaliburフローサイトメータ、および、CellQuestソフトウェア(BD Immunocytometry Systems)を用いて取得した。1サンプルあたり1・106の事象が得られた。FACS解析のために、リンパ球に、その前方および側方散乱特性に基づいて、正のゲートをかけ(生リンパ球ゲート)、無関係のT細胞および自己蛍光細胞を、CD3−PerCPへの負のゲートによって除去した。
【0147】
ELIspotアッセイ ニトロセルロースをつけた96−ウェルMultiscreen HAろ過プレート(Millipore)を、20μg/mlの抗原またはヤギ抗マウスIgG抗体(SBA、Cat.No 1031−01)でコートし、4℃にて終夜培養した。ウェルをPBSで3回洗浄し、PBS5%FCSで30分間ブロックした。ブロッキング培地を100μlのRMPI培地10%FCSと細胞培養液からの再懸濁細胞とで置き換えた。プレートを、37℃にて24時間、6%CO2の培養器中で培養した。ウェルをPBS0.05%Tween−20で3回洗浄した。100μl/ウェルのAPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体(SBA、Cat.No 1030−04)を加え、室温にて2〜4時間培養した。ウェルをPBA0.05%Tween−20で3回洗浄した。100μl/ウェルのBCIP/NBT基質を加えた。スポット展開の後、プレートを水道水中で洗浄した。スポットの数をA.EL.VISソフトウェアを用いて測定した。
【0148】
Elisa試験 96ウェル多重ウェルプレートを、20μg/mlの抗原またはヤギ抗マウスIgG抗体(SBA、Cat.No 1031−01)でコートし、4℃にて終夜培養した。ウェルをPBS0.05%Tween−20で3回洗浄し、PBS5%BSA(Sigma)で30分間ブロックした。ウェルをPBS0.05%Tween−20で3回洗浄した。各ウェルにサンプルを加え、1時間培養した。ウェルをPBS0.05%Tween−20で3回洗浄した。100μl/ウェルのPOコンジュゲートヤギ抗マウスIgGを加え、室温にて1時間培養した。ウェルをPBA0.05%Tween−20で3回洗浄した。100μl/ウェルのASBT基質を加えた。3分間の培養後、プレートをElisaリーダ(Bio Rad)によって読み取った。
【0149】
抗ペプチド血清抗体レベル:放射線自己免疫アッセイ
GnRHに対する抗体力価を、Meloenら(1994)が記載しているように、放射線免疫アッセイ(RIA)によって測定した。0.4%ウシ血清アルブミン(BSA)を有するPBS中に1:1000の割合で希釈した50μl量の抗血清を、0.4%BSAを有する50μlPBS中のヨウ化GnRH(Amersham Pharmacia Biotech、Buckinghamshire、英国)と結合させた。4℃での2日間の培養の後、抗体に結合したヨウ化GnRHを、デキストランでコートした活性炭を用いて、未結合物から分離した。上清を計数して、1:2000に希釈した血清中の、抗体が結合したヨウ化GnRHの割合を求めた。
【0150】
結果
本発明者らは、四量体分子を使用して、100万リンパ球中の20〜30個の特異的細胞にまで識別レベルを下げることが可能な、新規なB細胞検出方法を開発した。この方法は、異なる2つの蛍光ラベルされた分子を各ペプチドに用い、これにより、信号対ノイズ比が向上し、したがって、非常に高感度である。超低頻度のB細胞を検出する本発明者らの方法の有用性を示すために、2つのモデルワクチン処方、すなわち、GnRH様ペプチドおよびガストリン様ペプチドを使用した。フローサイトメトリを用いて抗原特異的B細胞を検出するいくつかの方法が、図1に系統的に示すように、これまでに開示されている(McHeyzer−Williamsら、1993年;Townsendら、2001年;Newmanら、2003年)。
【0151】
GnRH特異的B細胞を検出するために、直接ラベルした天然GnRH、または、天然GnRHを有するラベルした四量体を、一重および二重染色手順の両方で使用した。GnRH四量体は、ビオチン化GnRHを、蛍光ラベルしたストレプトアビジンまたはニュートラアビジンと共に培養することによって、生成した。B細胞マーカーCD19およびT細胞マーカーCD3に対するモノクローナル抗体を、染色手順に含めた。自己蛍光細胞はもとより(無関係な)T細胞を否定的に選択するために、抗CD3染色を使用した。図1に示すように、本発明者らの結果は、四量体二重染色のみが識別可能な結果を与え(図1D)、他のいずれの染色方法も識別可能な結果を与えない(図1A〜図1C)ことを示した。ラベルGnRH(図1A、図1B)またはNewmanらの方法による単一四量体(図1C)での直接染色では、高い背景ノイズのみが生じ、Townsendらに従ったラベルGnRHでの二重染色の場合(図1B)は、非常に小さな特異的シグナルが生じた。本発明者らは、本出願に開示された四量体二重染色が、一度の免疫化後の第7日において、106脾細胞当たり20〜30個の頻度で、特異的B細胞を検出することを見出した(図1D)。
【0152】
リンパ球を、ペプチド四量体とCD19およびCD3に対するモノクローナル抗体とで染色した。特異的B細胞の数が非常に少ないと予想していたので、ライブゲート(前方および側方散乱)で破片を除去し、CD3eへの負のゲートでT細胞を除去した。ペプチド特異的細胞を検出するために、ビオチン化GnRH四量体分子またはビオチン化ガストリン四量体分子を二重染色法で使用した(図2A)。この方法を採用することで、免疫化後第7日の100万リンパ球中の、20〜30個の特異的ペプチド四量体二重陽性細胞、および、免疫化後第14日の100個の特異的細胞を、検出することができた(図2A)。
【0153】
ペプチド四量体二重陽性細胞の識別の後、これらの細胞の表現型特性を調べた。成熟B細胞の特徴付けに数人が異なるマーカーを使用してきたが(McHeyzer−Williamsら、1993年)、本発明者らは、汎B細胞マーカーとしてCD19を使用することに決めた。全ての二重陽性細胞はCD19陽性であり、これらの細胞をB細胞として分類させる。興味深いことに、非免疫化マウスに見られる稀な二重陽性細胞も、CD19陽性であり(図2B)、これらの細胞が、天然マウスの100万リンパ球当たり約3〜4個の細胞から成る、特異的抗原に対するB細胞前駆群であることを示している。
【0154】
四量体結合の特異性を、ラベルしていないGnRH(図3A参照)またはガストリン(データ不図示)での阻害試験によって示した。リンパ球を、ラベルしていないペプチドと共に前培養し、次いで、ラベルした四量体、CD19およびCD3e抗体と共に培養した。図3Aに示すように、四量体染色は、ラベルしていないペプチドを含むことによって、用量依存的に阻害された。
【0155】
さらなる特異性試験として、N端、中央、またはC端をラベルしたペプチドを用いて四量体を生成した。図3Bに示すように、C端をビオチン化したGnRH四量体のみが特異的B細胞を検出し得ることが判った。
【0156】
脾臓サンプルから赤血球を除去した後、ガストリンで免疫化したマウスからの脾細胞を、IL−2およびパンソルビン刺激下で5日間培養した。この期間の終わりにおいて、ELISA試験を行うために上清を使用し、細胞をELIspotアッセイに用いた。図4Aに示すように、免疫化したマウスの細胞のみが、ELIspotウェル上でスポットを産生することができた。これらの結果は、ELISA試験で確認され(図4B)、また、FACS解析の結果と整合しており、B細胞検出が、ペプチドワクチンの選択のために信頼できる方法であることを証明している。
【0157】
したがって、本研究において、本発明者らは、非常に低頻度の抗原特異的B細胞を可視化する新規な方法を開示する。本発明者らの実験では、二重四量体染色手順は、前述の方法(たとえば、ラベルしたペプチドリガンド、単一四量体)よりも、高感度で再現性が高かった。本発明者らのペプチド四量体は、極めて特異的なB細胞染色試薬であることが判った。
【0158】
実施例2
GnRH由来ペプチドの免疫原性の比較
材料および方法
動物
6〜8週齢のマウスを用い、ユトレヒト大学の倫理指針に従って処理した。第0日に、マウスを、オボアルブミン(OVA)にコンジュゲートさせたGnRH様ペプチドで、腹腔内にて免疫化した。異なる3つのペプチド、すなわち、GnRH単量体(pEHWSYGLRPGC)、GnRHタンデム体(pEHWSYGLRPGQHWSYGLRPGC)およびGnRHタンデム二量体(TDK、pEHWSYkLRPGQHWSYkLRPGCの二量体であり、「k」はDリジンを表す)(Pepscan Systems、Lelystad、オランダ)を、完全フロイントアジュバント内に調製した。対照マウスは、免疫化しなかった。第7日に、各グループのマウスの半分を、不完全フロイントアジュバントを用いて増強し、動物の半分を犠牲にして脾臓を得た。第14日に、残余のマウスから脾臓を得た。全ての動物実験は、地方倫理委員会(DEC)の許可を得て行った。
【0159】
細胞培養 脾細胞の細胞懸濁液から赤血球を除いて、細胞を、T75フラスコ内で、パンソルビン(SAC、Calbiochem、Cat. No 507858)および組み換えヒトIL−2(CETUS)の存在下、5日間、37℃、5%CO2の培養器中で、培養した。細胞を培養して、RMPI10%FCS中2・106/mlの濃度で、5〜10・107個の脾臓細胞とした。培養後、細胞をチューブに入れて、1200rpmにて10分間遠心分離した。上清をElisa試験に用いた。
【0160】
四量体合成 C端をビオチン化した200μMのペプチド(Pepscan B.V.)と、R−フィコエリトリン(PE)でラベルした3.3μMのニュートラアビジン(PE−NA、Molecular Probes、Eugene、OR)またはアロフィコシアニン(APC)でラベルした6.1μMのストレプトアビジン(APC−SA、Molecular Probes)とを、同量混合して、四量体分子を生成した。各混合物を、4℃にて最低12時間培養した。次いで、Bio−Gel P−30スピンカラム(Bio− Rad、Hercules、CA)を用いたゲルろ過によって、四量体を非複合化ペプチドから分離した。用いたペプチドは、GnRHに由来する(Pepscan B.V.)。
【0161】
フローサイトメトリ 脾臓を機械的に破砕して脾細胞の細胞懸濁液を得て、0.16Mの塩化アンモニウム溶液pH7.4中で、赤血球を溶解させた。得られた細胞懸濁液を、蛍光色素でラベルした抗体とペプチドの四量体分子との組合せによって、最適希釈にて染色した。染色は常法どおり4℃にて2段階で行った。まず、PEでラベルしたペプチドの四量体分子で1時間染色した。その後、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄した。次いで、APCまたはFITCでラベルした四量体と、PerCPでラベルした抗CD3抗体(クローン145−2C11、BD Biosciences)と、FITCでラベルした抗CD19抗体(クローン1D3、BD Biosciences)との組合せを用いて、細胞に、第2段階の染色を施した。FACSCaliburフローサイトメータおよびCell Questソフトウェア(BD Immunocytometry Systems)を用いて、データを取得した。1サンプルあたり1・106の事象が得られた。全データは、少なくとも3匹の実験マウスと3匹の対照マウスを分析する、少なくとも3つの独立実験から得られる典型的なプロットであった。
【0162】
結果
GnRH特異的B細胞を検出するために、二重染色手順によって天然GnRHでラベルした四量体を使用した。B細胞マーカーCD19に対するモノクローナル抗体およびT細胞マーカーCD3に対するモノクローナル抗体を、染色手順に含めた。抗CD3染色は、自己蛍光細胞はもとより(無関係な)T細胞を否定的に選択するために、使用した。
【0163】
上述の方法によって、マウスにワクチン接種するためのGnRHの異なる3処方を比較した。二重四量体染色アッセイの結果を図5Aおよび図5Bに示す。これらの結果は、GnRH TDK−OVAが、免疫化後第7日および第14日の両方の測定において、最も広範なB細胞増殖を生じさせることを示す。
【0164】
実施例3
ガストリン由来ペプチドの免疫原性の比較
上述の方法を用いて、マウスにワクチン接種するためのGnRHの異なる4処方を比較した。
【0165】
【化3】

【0166】
これらのペプチドをマウスにおいてワクチンとして試験し、免疫化後第7日および第14日に、四量体ガストリンペプチドを用いる本発明の方法によって、特異的B細胞を検出した。四量体の形成に、ビオチン化ガストリンペプチドpEGPWLEEEEEAYGWMDFK($)#を使用した。ここで、#はアミド、pEはピログルタミン、K($)はビオチン化リジンである。
【0167】
二重四量体染色アッセイの結果を図6Aおよび図6Bに示す。この結果は、ガストリン TDK2−OVAが、免疫化後第14日の測定において、最も広範なB細胞増殖を生じさせることを示す。
【0168】
実施例4
hCGのC端ペプチドで免疫化したラットにおける低頻度初期B細胞の検出
材料および方法
動物
8週齢のラット(1番、2番および3番)を用い、本発明者らの機関の倫理指針に従って、処理を施した。ラットを第0日に、完全フロイントアジュバント(CFA)中の、300μgのKLHと結合させた、hCGの109〜145位のアミノ酸から成る100μgのC端ペプチド(CTP)で、腹腔内にて免疫化した。hCGの受託番号はP01233であり、スイスたんぱくエントリ名は、CGHB_HUMANである。
【0169】
CFA中のKLHで対照ラット(4番、5番および6番)を免疫化した。第10〜12日に、動物を犠牲にして脾臓を得た。全ての動物実験は、地方倫理委員会(DEC)の許可を得て行った。
【0170】
フローサイトメトリ
脾臓を機械的に破砕して脾細胞の細胞懸濁液を得た。フィコール勾配を用いてリンパ球を収集した。得られた単一細胞懸濁液を、hCG四量体で最適希釈にて染色した。染色は、4℃で2段階で行った。まず、細胞を、PEでラベルしたhCGの四量体で、実験的に決定した最適濃度にて1時間染色した。そして、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄した。次いで、細胞を、APCでラベルしたhCGの四量体で染色し、再度洗浄した。
【0171】
FACSCaliburフローサイトメータおよびCellQuestソフトウェア(BD Immunocytometry Systems)を用いて、データを取得した。1サンプル当たり1・106事象が得られた。FACS解析のために、リンパ球に、その前方および側方散乱特性に基づいて、正のゲートをかけた(ライブリンパ球ゲート)。
【0172】
結果
本発明の方法によって、1回のみ免疫化した動物において12日以内に、四量体分子を用いて、1・106個の脾細胞中に合計136個の特異的細胞を検出した。この方法は、hCG用に異なる2つの蛍光ラベル分子を採用し、これによって、信号対ノイズ比が向上し、したがって、非常に高感度であった。
【0173】
hCG特異的B細胞を検出するために、二重染色手順において、天然hCGでラベルした四量体を用いた。
【0174】
【表1】

【0175】
hCG四量体でリンパ球を染色した。特異的B細胞の数が非常に少ないと予想していたので、ライブゲート(前方および側方散乱)で破片を除去した。hCG特異的B細胞を同定するために、二重染色法において、hCG四量体分子を使用した(表1)。この方法によって、免疫化後第12日に、100万脾細胞中に136個の二重陽性の特異的hCG四量体を検出することができた。3匹のラットのうちの1匹のみが、特異的B細胞応答に基づく免疫化に対して応答することが検出された。
【0176】
したがって、この実施例で、本発明者らは、非常に低頻度の抗原特異的B細胞がたんぱく四量体に対しても機能することを視覚化する新規な方法を開示した。本発明者らのたんぱく四量体は極めて特異的なB細胞染色試薬であることが判った。
【0177】
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【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】抗原特異的B細胞を示す図である。特異的B細胞を検出するために、いくつかのフローサイトメトリ法が開発されており、それらの有効性を比較した。 図1A:単一蛍光ラベルペプチドでの染色である。免疫化マウスおよび非免疫化マウスからの脾細胞であって、C端ビオチン化GnRHおよびFIFTでラベルした抗CD19での染色に続いて、APCでラベルしたストレプトアビジンで染色した脾細胞である。 図1B:、免疫化マウス(I)および非免疫化マウス(N)からの脾細胞を、C端ビオチン化およびFITCでラベルしたGnRHで染色し、次いで、APCでラベルしたストレプトアビジンで染色した(Townsendら、2001年、に従った)。 図1C:単一蛍光ラベル四量体での染色である(Newmanら、2003年、に従った)。免疫化マウス(I)および非免疫化マウス(N)からの脾細胞を、PEでラベルしたGnRH四量体およびFITCでラベルした抗CD19で染色した。 図1D:本発明の単一エピトープ多重染色原理を用いた、2蛍光ラベル四量体での染色である。免疫化マウス(I)および非免疫化マウス(N)からの脾細胞を、PEでラベルした、およびAPCでラベルしたGnRH、ならびに、FITCでラベルした抗CD19で染色した。
【0179】
【図2】GNRH特異的B細胞およびガストリン特異的B細胞の同定を示す図である。 図2A:特異的B細胞四量体二重染色である。GnRH−TDKまたはガストリン−TDKで免疫化したマウスからの脾細胞を、ペプチド四量体分子、抗マウスCD3e、抗マウスCD19で染色し、FACSによって解析した。四量体反応性のリンパ球の同定のためのゲート法は、ライブゲート(前方および側方散乱)、および、T細胞を除去するためのCD3eへの負のゲートを含む。PEまたはAPCに結合させた異なる2つのペプチド四量体分子を用いることによって、免疫化後第7日および第14日に、特異的GnRH細胞を検出することができた。全点プロットは、少なくとも5匹の実験マウスと5匹の対照マウスを分析した最小でも3つの独立した実験に由来する。 図2B:特異的四量体二重陽性細胞は、CD19陽性である。四量体二重陽性細胞の同定の後、これらの細胞のみを可視化するためにゲート(R3)をかけた。次いで、これらの細胞上のCD19の表現型発現を観察した。全ての特異的細胞はCD19陽性である。密度プロットは全リンパ球集団の典型を表しており、これらを、CD19陽性細胞の識別のための四分区画の適切な大きさの選択に用いた。
【0180】
【図3】B細胞検出の特異性を示す図である。 図3A:ラベルしていないGnRHまたはガストリンは、特異的B細胞を染色するペプチド四量体分子を阻害することができる。四量体結合の特異性を、阻害実験によって示した。脾細胞を、ラベルしていないGnRHまたはガストリンと共に前培養し、次いで、ラベルした四量体ならびに抗CD19抗体および抗CD3抗体と共に培養した。ラベルしていない抗原の3用量、すなわち、2mM、20μMおよび0.2μMを用いた。その高用量で四量体染色はほぼ終了した。 図3B:特異的B細胞は、C端四量体によってのみ認識される。ビオチン化した異なるGnRHと用いて、ペプチド四量体分子、すなわち、C端、N端および中央ビオチン化ペプチドを作成した。C端ペプチドのみが特異的細胞を識別することができた。
【0181】
【図4】ELIspotアッセイおよびElisa試験による抗原特異的B細胞の検出を示す図である。 図4A:ELIspotアッセイである。赤血球を溶解した後、非免疫化マウスおよび免疫化後14日のマウスからの脾細胞を、パンソルビンおよびIL−2刺激下で、5日間培養した。この培養の後、細胞を、ペプチド四量体、ジフテリアトキソイドおよび抗マウスIgGでコートしたELIspotウェルに加えた。抗マウスIgGでコートしたウェルでは、脾臓の全てのB細胞応答を評価することができる。他のウェルでは、抗原に対する特異的B細胞応答を評価することができる。免疫化したマウスからの細胞のみが、特異的抗原上にスポットを生成し得る。 図4B:Elisa試験である。培養5日後の細胞から収集した上清を、Elisa試験を行うために用いた。全B細胞応答のレベルは、免疫化したマウスと免疫化していないマウスとで等しい。免疫化したマウスからの血清のみが、ガストリンおよびジフテリアトキソイドに対する抗体を含有する。特異的抗体のレベルは、免疫化後14日の方が、7日後よりも高い。これらの結果はFACS解析に合致する。
【0182】
【図5】3つのGnRHワクチンによる免疫化後のGnRH特異的B細胞の計数を示す図である。 図5A:特異的B細胞四量体二重染色である。GnRHモノ、GnRHタンデムおよびTDKタンデム二量体で免疫化したマウスからの脾細胞を、GnRH四量体(PEおよびAPC)、PerCPでラベルした抗CD3、FITCでラベルした抗CD19によって染色し、フローサイトメトリによって解析した。四量体結合性のリンパ球を、ライブゲート(前方および側方散乱)、および、(無関係な)T細胞および自己蛍光細胞の除去のためのFL3+への負のゲートを用いて同定した。各密度プロットについて、1×106事象を取得した。右上の区画に二重陽性B細胞を示す。示したプロットは、少なくとも3匹の実験マウスと3匹の対照マウスを分析した最小でも3つの独立した実験からの典型である。 図5B:各ワクチンについて、少なくとも9つのサンプルを免疫化後第7日および第14日に解析した。グラフに、各グループで見出された二重陽性細胞の数の平均値を示す。
【0183】
【図6】4つのガストリンワクチンで免疫化した後のガストリン特異的B細胞の計数を示す図である。 図6A:特異的B細胞四量体二重染色である。ガストリンモノ、ガストリンタンデム、TDK1タンデム二量体およびTDK2タンデム二量体で免疫化したマウスからの脾細胞を、ガストリン四量体(PEおよびAPC)、PerCPでラベルした抗CD3、FITCでラベルした抗CD19で染色し、フローサイトメトリによって解析した。四量体結合性のリンパ球を、ライブゲート(前方および側方散乱)、および、(無関係な)T細胞および自己蛍光細胞の除去のためのFL3+への負のゲートを用いて同定した。各密度プロットについて、1×106事象を取得した。右上の区画に二重陽性B細胞を示す。示したプロットは、少なくとも3匹の実験マウスと3匹の対照マウスを分析した最小でも3つの独立した実験からの典型である。 図6B:各ワクチンについて、少なくとも9つのサンプルを免疫化後第7日および第14日に解析した。グラフに、各グループで見出された二重陽性細胞の数の平均値を示す。
【図1A】

【図1A−2】

【図1B】

【図1B−2】

【図1C】

【図1C−2】

【図1D】

【図1D−2】

【図2A−1】

【図2A−2】

【図2A−3】

【図2B−1】

【図2B−2】

【図3A−1】

【図3A−2】

【図3B−1】

【図3B−2】

【図4A】

【図4B】

【図5A−1】

【図5A−2】

【図5A−3】

【図5A−4】

【図5B】

【図6A−1】

【図6A−2】

【図6A−3】

【図6A−4】

【図6A−5】

【図6A−6】

【図6B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
親和性結合ペアのメンバーであって、たんぱく様分子のエピトープに特異的なメンバーを含む、細胞を検出するための方法において、
たんぱく様分子の少なくとも一部に由来する合成ペプチドを生成することと、
ヒト以外の動物を合成ペプチドで免疫化して、動物から得たサンプル中の、たんぱく様分子に特異的な親和性結合ペアのメンバーを含む細胞を検出することと、を含むことを特徴とする細胞を検出するための方法。
【請求項2】
サンプルを、たんぱく様分子またはその等価物からのエピトープの少なくとも2つのコピーを含み、第1のラベルを含む第1の分子、および、たんぱく様分子またはその等価物からのエピトープの少なくとも2つのコピーを含み、第2のラベルを含む第2の分子と共に培養して、サンプル中の、第1のラベルおよび第2のラベルを含む細胞を検出する、ことを特徴とする請求項1記載の細胞を検出するための方法。
【請求項3】
修飾ペプチドがたんぱく様分子のどのペプチドとも免疫学的に異なるように合成ペプチドを修飾する、ことを特徴とする請求項1または2記載の細胞を検出するための方法。
【請求項4】
合成および/または修飾ペプチドに、二量体および/またはタンデム二量体ペプチド、ミモトープ、置換網マップしたペプチド、および/または、ペプチドの20アミノ酸当たり1〜6個のアミノ酸置換を含むアミノ酸置換ペプチドが含まれる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項5】
合成および/または修飾ペプチドがGnRHに由来する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項6】
合成および/または修飾ペプチドがガストリンに由来する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項7】
合成および/または修飾ペプチドがhCGに由来する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項8】
合成および/または修飾ペプチドがPTHrPに由来する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項9】
細胞が免疫細胞である、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項10】
細胞がB細胞である、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項11】
第1の分子および第2の分子に、エピトープの四量体またはたんぱく様分子の四量体が含まれる、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の細胞を検出するための方法。
【請求項12】
第1のラベルに関連付けられた第1の分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の分子とを含む組成物において、
第1のラベルおよび第2のラベルから得られるシグナルが、第1のラベルと第2のラベルとの組合せシグナルから区別可能であり、各分子がエピトープの四量体またはたんぱく様分子の四量体を含む、ことを特徴とする組成物。
【請求項13】
抗原を選択するための方法において、
抗原のコレクションを準備することと、
ヒト以外の少なくとも1匹の動物をコレクションで免疫化することと、
たんぱく様分子に特異的なB細胞系統の細胞のクローン性増殖が生じた抗原を選択することと、を含むことを特徴とする抗原を選択するための方法。
【請求項14】
抗原に、たんぱく様分子の少なくとも一部に由来する修飾ペプチドであって、たんぱく様分子のどのペプチドとも免疫学的に異なる修飾ペプチドが含まれる、ことを特徴とする請求項13記載の抗原を選択するための方法。
【請求項15】
抗原特異的細胞のクローン性増殖が、コレクション中の他の抗原でのクローン性増殖よりも広範な抗原を選択すること、をさらに含むことを特徴とする請求項13または14記載の抗原を選択するための方法。
【請求項16】
B細胞系統の細胞のクローン性増殖を、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によって検出する、ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の抗原を選択するための方法。
【請求項17】
天然たんぱくとの交差反応性免疫応答を含むことが可能で、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法で得られる、ことを特徴とする合成および/または修飾ペプチド。
【請求項18】
GnRHに由来する、ことを特徴とする請求項17記載の合成および/または修飾ペプチド。
【請求項19】
ガストリンに由来する、ことを特徴とする請求項17記載の合成および/または修飾ペプチド。
【請求項20】
hCGに由来する、ことを特徴とする請求項17記載の合成および/または修飾ペプチド。
【請求項21】
PTHrPに由来する、ことを特徴とする請求項17記載の合成および/または修飾ペプチド。
【請求項22】
ワクチンの調製のための、請求項17〜21のいずれか1項に記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項23】
薬剤の調製のための、請求項17〜21のいずれか1項に記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項24】
前立腺癌および女性のGnRH関連の癌の治療用薬剤の調製のための、請求項18記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項25】
避妊用薬剤の調製のための、請求項18記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項26】
ガストリン関連の結腸直腸癌、および/または、胃癌、および/または、膵臓癌の治療用薬剤の調製のための、請求項19記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項27】
hCG関連の婦人科、結腸直腸、睾丸精上皮腫、膀胱、肝臓、胃、膵臓、肺、脳および腎臓の各癌の治療用薬剤の調製のための、請求項20記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項28】
hCG関連の潰瘍、ジュークス病および肝硬変の治療用薬剤の調製のための、請求項20記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項29】
PTHrP関連の癌の治療用薬剤の調製のための、請求項21記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項30】
PTHrP関連の溶骨性骨疾患の治療用薬剤の調製のための、請求項21記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項31】
PTHrP関連の高カルシウム血症の治療用薬剤の調製のための、請求項21記載の合成および/または修飾ペプチドの使用。
【請求項32】
免疫細胞のコレクションに、たんぱく様分子のエピトープに特異的な特異的結合ペアのメンバーの、少なくとも2つのコピーを有する細胞が含まれるか否かを判定する方法において、
特的結合ペアのメンバーに特異的な少なくとも2つの分子であって、第1の分子が第1のラベルに関連付けられ、第2の分子が第2のラベルに関連付けられた2つの分子を、コレクションに供給することと、
両方のラベルによって染色された細胞がコレクションに含まれるか否かを判定することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
たんぱく様分子のエピトープに特異的な特異的結合ペアのメンバーの、少なくとも2つのコピーを有する細胞が、B細胞である、ことを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
請求項33記載のB細胞に由来するハイブリドーマ細胞系。
【請求項35】
抗体の調製のための、請求項32記載の単離B細胞および/または請求項34のハイブリドーマの使用。
【請求項36】
請求項32記載のB細胞または請求項33記載のハイブリドーマによって産生された単離抗体。
【請求項37】
薬剤の調製のための、請求項36記載の単離抗体の使用。
【請求項38】
少なくとも、第1のラベルに関連付けられた第1の分子と、第2のラベルに関連付けられた第2の分子とを含み、第1の分子と第2の分子とが、たんぱく様分子のエピトープに特異的な親和性結合ペアの、同一メンバーに対する少なくとも2つの結合領域を含む、ことを特徴とする部品キット
【請求項39】
抗原を選択するための、請求項38記載の部品キットの使用。
【請求項40】
細胞コレクション中の細胞を検出するための方法において、
前記細胞に特異的に結合することが可能な第1および第2の分子であって、互いに異なるラベルを含み、前記細胞に対する少なくとも4つの結合領域を含む第1および第2の分子を、細胞コレクションに提供することと、
両方のラベルを含む細胞を検出することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記細胞が両方のラベルを略等モル量含む、ことを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記細胞が免疫細胞である、ことを特徴とする請求項40または41記載の方法。
【請求項43】
前記細胞を、前記結合領域を含む分子またはその機能的誘導で免疫化した動物から得る、ことを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項44】
動物を、天然たんぱくまたは天然ペプチドの一部に類似するが同一ではない機能的誘導体で免疫化し、結合が天然たんぱくまたは天然ペプチドの前記一部と同一である、ことを特徴とする請求項43記載の方法。
【請求項45】
機能的誘導体に二量体ペプチドが含まれる、ことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項46】
機能的誘導体にタンデム二量体ペプチドが含まれる、ことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項47】
機能的誘導体に抗原のミモトープが含まれる、ことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項48】
機能的誘導体に、20アミノ酸当たり1〜6個の、Dアミノ酸および/またはLアラニンによって置換されたアミノ酸が含まれる、ことを特徴とする請求項44記載の方法。

【公表番号】特表2007−527000(P2007−527000A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553073(P2006−553073)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000101
【国際公開番号】WO2005/078450
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(503136174)ペプスキャン システムズ ベー.フェー. (4)
【氏名又は名称原語表記】PEPSCAN SYSTEMS B.V.
【住所又は居所原語表記】Edelhertweg 15,Lelystad,the Netherlands
【出願人】(506277373)ウニフェルシテイト ユトレヒト ホールディング ベー.フェー. (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITEIT UTRECHT HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】Yalelaan 40 Utrecht The Netherlands
【Fターム(参考)】