説明

ワンタッチ画像変換手段

【課題】 本発明は、白地に黄色い文字や細線を引いた画像の視認性を簡便な方法で飛躍的に向上させることをその目的としている。
【解決手段】 オン状態とオフ状態の2つの設定状態しか持たないユーザインタフェースと、設定状態に応じて、画像の色情報をあらかじめ決められた数値分だけ彩度を落とすように作用するか、あるいは線分情報をあらかじめ決められた数値分だけポイント数を上げて太らせるように作用する画像変換手段とから成り立っており、結果として、ユーザに煩雑な画像処理パラメータを操作させることなく、簡単に画像の視認性を向上させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の情報処理装置において、画像データの変換を行ったりする画像処理分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データの視認性を上げようとする場合、画像表示ソフトウェアや印刷ソフトウェアにおいて、数多くある画像調節パラメータのそれぞれをユーザが微調整しては、印刷や表示を行い、最終的に最適な視認性を持つ表示や印刷結果が得られるまで微調整と表示あるいは印刷を繰り返すようなことを行っていた。
【0003】
従来の画像調節パラメータは、複数のパラメータが存在し、そのそれぞれを調節することによって構成されていた。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2001−61076号公報(第15頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来例においては、最適な視認性が得られるまでにユーザが行わなければならないことが多すぎるために煩雑であり、なおかつ画像の微調整に関する決まった法則が無いため、最終的に得られた画像の視認性が必ずしも最適なものにはならないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、画像を構成する線や面の色を識別する手段と、前記識別した画像の線や面の色の彩度を変化させる第一の手段と、前記識別した画像の線の太さを変化させる第二の手段と、前記第一の手段、または前記第二の手段の実行を指示するオンとオフだけの状態を持つ指示手段と、を有し、前記簡便な指示手段の指示に従って、画像を構成する線や面の色を変換し、あるいは線の太さを変化させることにより、画像を印刷したりディスプレイ装置に表示させたりする際の視認性を上げられるようにしたことを特徴とするワンタッチ画像変換手段が提供されることになる。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明によれば、画像変換手段にオン状態とオフ状態のみを持つユーザインタフェースを設け、その設定状態に応じて、画像の色情報や線分の太さ情報を一律にある一定の幅で変換するようにすることで、煩雑な画像処理パラメータを操作することなく、画像の視認性を大幅に上げることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像変換手段のユーザインタフェース部のスクリーンショットである。係るユーザインタフェース部は、“濃く印刷する”というオン状態とオフ状態のみを表現できる設定項目を持つことが最大の特徴である。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例を表す画像変換手段のユーザインタフェース部のスクリーンショットである。図では、PCの画面に表示されるダイアログ1を模式的に示している。図に示す、用紙とインクの設定を行う設定領域12には用紙の種類とインクとが表示され、それぞれ設定を変更可能に構成されている。また、13は、カラーマッチング、明るさの設定、変更が可能な領域、14は、設定に対してOK、キャンセルを指示するボタンである。また、11は、本発明の特徴的な設定項目である、「濃く印刷する」という設定について、オン、オフの状態を表現したものである。図においては、チェックボックスがチェックされておらず、濃く印刷する設定がオフの状態を示している。
【0010】
図2は、本発明の実施例を表す処理の対象となる元画像の一例である。四角や円を表現する線は細く視認性の良くない状態を表している。また、“This is sample data.”という文字列は黄色の純色で表現されており、白地の背景に対しては非常に視認性の悪い状態を表している。
【0011】
図3は、本発明の実施例を表す処理を“This is sample data.”という文字列に対して行った後の画像表示状態である。図1で示された“濃く印刷する”をオンに設定すると、画像表示装置は一律に画像を構成する色情報の彩度をある一定の幅で下げるように作用する。白地に純色の黄色は非常に視認性が悪いが、彩度を下げることで黄色が山吹色のようになり、白地に対しても非常に視認性を上げることができる。
【実施例2】
【0012】
本実施例は、図1におけるユーザインタフェース部の、「濃く印刷する」という設定を、「太く印刷する」としたものである。
【0013】
図4は、本発明の実施例を表す処理を四角や円を表現する線に対して行った後の画像表示状態である。図1で示された“太く印刷する”をオンに設定すると、画像表示装置は一律に画像を構成する線情報の太さをある一定の幅で上げるように作用する。1ポイントや2ポイントの線分は視認性があまり良くないが、線分を一律に太くすることで、視認性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る画像変換手段のユーザインタフェース部である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像変換手段に入力する元画像である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像変換手段により、「濃く印刷する」が実行された後の変換後の画像である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像変換手段により、「太く印刷する」が実行された後の変換後の画像である。
【符号の説明】
【0015】
1 ユーザインタフェース部
2 変換前の元画像
3 「濃く印刷する」をオンに設定することによって変換された画像
4 「太く印刷する」をオンに設定することによって変換された画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を構成する線や面の色を識別する手段と、
前記識別した画像の線や面の色の彩度を変化させる第一の手段と、
前記識別した画像の線の太さを変化させる第二の手段と、
前記第一の手段、または前記第二の手段の実行を指示するオンとオフだけの状態を持つ指示手段と、
を有し、前記簡便な指示手段の指示に従って、画像を構成する線や面の色を変換し、あるいは線の太さを変化させることにより、画像を印刷したりディスプレイ装置に表示させたりする際の視認性を上げられるようにしたことを特徴とするワンタッチ画像変換手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−235708(P2006−235708A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45568(P2005−45568)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】