説明

ワークに付着した異物を除去する洗浄装置

【課題】自動車部品等、ワーク表面、鋳物中子孔内部、ネジ穴内部等に残留した切粉、切削油等の異物を除去する洗浄装置であって、洗浄効率が高い。
【解決手段】開口部2を備えた洗浄室3と、洗浄室3内に設置されたワーク把持冶具4と、洗浄室3外に設置された、冶具4をサーボモータで回転駆動する駆動ユニット5と、洗浄ノズル6と、洗浄液を洗浄室3外に排出する排液口7とから構成され、洗浄室内の体積をワーク体積の5倍以下に定め、洗浄室内の流速を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車部品等、ワークの表面、鋳物中子孔内部、ネジ穴内部等に残留した切粉、切削油等の異物を除去する洗浄装置に係り、洗浄効果を向上させる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン部品であるシリンダーヘッドや、シリンダーブロックには多量のネジ穴やウオータージャケット穴がある。これら自動車部品ワークは機械加工が施された後に部品組み立てがなされる。このとき、ワークの表面、鋳物中子孔内部、ネジ穴内部等に切粉や、切削油等の異物が残留するため、部品に組み立てに先立ってこれら異物を除去しなければならない。
【0003】
これら異物を除去する技術として、従来、加圧洗浄液を直接、穴等の異物に噴射して洗浄除去する装置が使用されていた、例えば、自動車エンジン部品であるシリンダーヘッドや、シリンダーブロックには、多量のネジ穴やウオータージャケットが存在するが、これら穴の異物を除去しやすい姿勢にワークの位置決めを施し、その状態に対応した洗浄ノズルを配置していた。
【0004】
しかし、この技術では、洗浄装置が大型化し、複雑な構造にならざるを得なかった。また、ワークを位置決めする冶具や洗浄ノズルは一種類のワーク専用であり、このため、他のワークを洗浄する場合には、例え類似ワークであっても、異なった冶具や洗浄ノズルとなり、非常に大がかりな改造工事が必要であった。
【0005】
さらに、これら公知技術を改良する装置として、図1に示されるように、ワーク1を投入するための開口部2を備えた洗浄室3と、洗浄室3内に設置されたワーク把持冶具4と洗浄室3外に設置された、冶具4をサーボモータで回転駆動する駆動ユニット5と、洗浄室3内に備えられた洗浄ノズル6と、洗浄室内3内に滞留された洗浄液を洗浄室3外に排出する排液口7とを備えた洗浄装置が知られている。(特開2008−104904号公報)
【0006】
しかし、この装置は洗浄室内体積と、ワーク体積との関係を吟味しておらず、充分な洗浄効率を挙げることができない。すなわち、洗浄室体積を小さくすることにより、洗浄室内を流動する洗浄液の流速が高まり、洗浄効率が向上するはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−091903号公報
【特許文献2】特開2008−104904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は自動車部品等、ワークの表面、鋳物中子孔内部、ネジ穴内部に残留した切粉、切削油等の異物を、簡易な構造の装置で迅速に、かつ、短時間で、効率よく除去し、前述の公知技術に存する欠点を改良した洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明のワークに付着した異物を除去する洗浄装置によれば、ワークを投入するための開口部を備えた洗浄室と、洗浄室内に設置されたワーク把持冶具と、洗浄室外に設置された、前記冶具をNC制御されたサーボモータで回転駆動する駆動ユニットと、前記洗浄室内に備えられた洗浄ノズルと、洗浄室内に滞留された、洗浄液を洗浄室外に排出する排液口とからなる洗浄装置において、前記洗浄室内体積をワーク体積の5倍以下に定めてなり、これにより洗浄液の流速を高め、ワークに付着した異物を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は洗浄すべきワークを洗浄室外に設置したサーボモータで駆動し、かつ、搬送系と洗浄系を切り離し、さらにサーボモータで駆動し、洗浄および排液を最適な姿勢で実施することにより、装置が小型化、簡易化され、洗浄効率が高くなる。しかし、従来技術では洗浄室内体積とワーク体積との関係を吟味してなかったので、洗浄効率が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の洗浄装置の一具体例を示した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面を用いて具体的に詳述する。
【0013】
図1は本発明にかかる洗浄装置の一具体例の断面図である。
【0014】
本発明洗浄装置Aは図1に示されるように、ワーク1を投入するための開口部2を備えた洗浄室3と、ワーク1の把持冶具4と、駆動ユニット5と、洗浄ノズル6と、排液口7とから主に構成される。
【0015】
洗浄室3は開口部シャッター8を備え、ワーク1を室内に挿入する場合には、開口部シャッター8を開いて挿入し、ワーク1を室外に取り出す場合には、開口部シャッター8を開いて取り出す。いずれも、洗浄の操作中は開口部シャッター8を閉じておく。
【0016】
把持冶具4は開口部2から洗浄室3内に挿入されたワーク1を把持する冶具であって、クランプ9でクランプして固定し、洗浄室3の外部に設備された洗浄液を洗浄ノズル6に送液する配管10を通してワーク1に噴射する。このとき、ワーク1は回転中心軸11を中心として回転する。すなわち、冶具4とワーク1を回転させながら洗浄する。洗浄の姿勢、時間、旋回の速度、洗浄液の排出姿勢を最適に設定するために、駆動ユニット5でサーボモータ(駆動ユニット中にある)を使用してNC制御している。12はワーク1および冶具4の旋回半径である。
【0017】
洗浄室3内に留まった洗浄液は洗浄中に液面13が矢印方向に上昇し、ワーク1が水没状態でも洗浄を続けるのでノズルからの噴流が周りの水をまき込みワーク1に広い範囲で衝突しノズル直撃部以外も洗浄が可能になる。本発明の特徴は洗浄室3内体積をワーク1体積の5倍以下に定めたことに存し、これにより洗浄室内を流動する洗浄液の流速が高まり、洗浄効果が高まり、ワークに付着した異物を効率よく除去する。
【0018】
なお、水没中にワークのウオータージャケット等の入口が狭く、内部が深い通常洗浄が困難な部分も水没中に洗浄し、内部液が最も抜け易い姿勢で、排出口7のダンパー14を開き、洗浄液を矢印方向に急激に抜き、内部の深い穴が確実に洗浄できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の洗浄装置Aは洗浄室外に設置したサーボモータで駆動し、かつ搬送系と洗浄系を切り離すことによりコンパクトな洗浄装置となり、さらに、サーボモータで駆動するので、洗浄を最適な姿勢で実施できる。しかも、洗浄室3内体積がワーク1体積の5倍以下なので室内の流速が高くなり、洗浄効率が向上する。なお、従来では、サーボモータ駆動ではなかったので最適化が困難であった。このようにして本発明洗浄装置Aは産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0020】
A 洗浄装置
1 ワーク
2 開口部
3 洗浄室
4 把持冶具
5 駆動ユニット
6 洗浄ノズル
7 排液口
8 開口部シャッター
9 クランプ
10 配管
11 回転中心軸
12 旋回半径
13 液面
14 ダンパー




























【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを投入するための開口部を備えた洗浄室と、洗浄室内に設置されたワーク把持冶具と、洗浄室外に設置された、前記冶具をNC制御されたサーボモータで回転駆動する駆動ユニットと、前記洗浄室内に備えられた洗浄ノズルと、洗浄室内に滞留された洗浄液を洗浄室外に排出する排液口とを備えた洗浄装置において、前記洗浄室内体積をワーク体積の5倍以下に定めてなり、これにより洗浄液の流速を高め、ワークに付着した異物を除去することを特徴とするワークの洗浄装置。











































【図1】
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【公開番号】特開2012−45499(P2012−45499A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190796(P2010−190796)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000145149)株式会社滋賀山下 (25)
【Fターム(参考)】