説明

ワーク搬送装置及び電子部品搬送装置

【課題】搬送テーブルの貫通孔に収納されて電子部品が搬送される電子部品搬送装置において、圧縮気体を用いて貫通孔から電子部品を速やかにかつ確実に取り出すことができるともに、圧縮空気の残圧による所望でない電子部品の飛び出し等が生じ難く、搬送効率を高め得る電子部品搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送ステージ3の搬送面3aに開口しており、搬送テーブル4が駆動されて噴出孔11に貫通孔4bが重なり合う位置において、圧縮気体により貫通孔4b内に収納された電子部品6が取り出されるように構成されており、かつ前記噴出孔11に連なるように吸引溝4eが搬送テーブル4の第1の主面4cに設けられており、該吸引溝4eに臨み得るように、補助噴出孔12が、前記搬送面3aに開口しており、該補助噴出孔12が、圧縮気体供給装置に接続されている、ワーク搬送装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ型電子部品などの多数のワークを搬送するためのワーク搬送装置に関し、より詳細には、ワークが収納される収納部としての貫通孔が設けられている搬送テーブルを搬送ステージ上で移動させることによりワークを搬送する形式のワーク搬送装置及び電子部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップ型電子部品の製造に際しては、チップ型電子部品を作製し、特性を検査した後、特性に応じて良品や不良品の選別が行われている。また、特性に応じて、得られたチップ型電子部品を複数のグループに分別することも行われている。これらの作業を自動化し、生産性を高めるために、様々な製造装置が提案されている。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、この種の電子部品搬送装置の一例が開示されている。この電子部品搬送装置では、電子部品を搬送するために、テーブルベースの搬送面に接触するように、円板状の搬送テーブルが配置されている。円板状の搬送テーブルは、その中心軸まわりに回転し得るように、回転駆動源に連結されている。そして、ホッパーから順次供給される1個の電子部品が収納される貫通孔が搬送テーブルの周方向に沿って複数形成されている。この各貫通孔内に電子部品がホッパーから供給される。搬送テーブルがテーブルベースの搬送面上をスライドしつつ回転することにより、電子部品が搬送テーブルの周方向に搬送される。
【0004】
ここでは、電子部品を搬送テーブルの周方向に搬送する間に、電子部品の特性の測定が行われている。そして、測定結果に基づき、良品・不良品の選別をしたり、特性値に応じて分別するために、特性が測定された電子部品が、上記貫通孔から適宜の電子部品取り出し手段を用いて取り出される。
【0005】
なお、上記搬送に際し電子部品の姿勢を保持するために、上記搬送面には、上記貫通孔に連なる吸引用凹部が形成されており、該吸引用凹部が真空吸引源などに接続されている。
【0006】
他方、特性の測定を終えた電子部品の取り出しに際しては、図4に示す構造が用いられている。すなわち、図4に示すように、電子部品搬送装置101では、上記搬送テーブル102が、貫通孔102aを有する。貫通孔102aに、電子部品104が収納されている。なお、搬送テーブル102の一方面102bは、テーブルベース103の搬送面103aと当接されている。
【0007】
そして、テーブルベース103の搬送面103aにおいては、電子部品104の取り出し位置に、噴出孔103bが開口している。噴出孔103bは、搬送面103aから搬送面103aとは反対側の面103c側に向かって延ばされており、かつ圧縮空気供給ホース105に接続されている。圧縮空気供給ホース105は、コンプレッサーやボンベ等の圧縮空気供給源に接続されている。
【0008】
測定を終えた電子部品104が、搬送テーブル102の回転により電子部品取り出し位置にきたとき、貫通孔102aの一部に、貫通孔102aの開口部よりも小さな径の上記噴出孔103bが臨むことになる。そして、噴出孔103bから圧縮空気が噴射される。圧縮空気の圧力により、電子部品104が貫通孔102a外方に移動され、電子部品104が取り出される。
【0009】
この方法によれば、機械的な衝撃を与えることなく電子部品104を取り出し得るので、電子部品104の損傷が生じ難い。
【特許文献1】特開2004−226101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、搬送テーブル102は、前述したように、テーブルベース103とは独立に、テーブルベース103の搬送面103a上をスライドしつつ移動する。従って、上記圧縮空気により電子部品104が取り出された後、搬送テーブル102がさらに回転される。その結果、上記噴出孔103bは、搬送テーブル102の一方面102bにより再度閉じられることになる。
【0011】
この場合、圧縮空気が完全に貫通孔102a内に排出されて電子部品104が取り出され、しかる後、圧縮空気の供給を停止した後に、噴出孔103bが搬送テーブル102の一方面102bで閉じられた場合には、問題は生じない。
【0012】
しかしながら、搬送速度を高めた場合には、圧縮空気が噴出孔103b内に残存した状態のまま、噴出孔103bの開口部が搬送テーブル102により閉じられることがあった。その場合には、噴出孔103b内に、圧縮空気が残存し、残圧が生じる。
【0013】
従って、搬送テーブル102がさらに回転し、上記電子部品取り出し位置では取り出してはいけない電子部品が収納されている次の貫通孔が上記噴出孔103b上に移動してくると、本来取り出すべきではない電子部品が残圧により取り出されることがあった。よって、従来の電子部品搬送装置では、電子部品104を取り出した後、搬送テーブル102を直ちに回転移動させず空気を完全に排出させるために、搬送テーブル102を所定時間待機させねばならなかった。すなわち、上記残圧を開放するために、待機時間が必要であり、電子部品搬送装置を高速稼働することができなかった。
【0014】
特に、電子部品のサイズが小さくなるにつれて、上記噴出孔103bの大きさも小さくする必要があった。そのため、噴出孔103bの大きさが小さくなると、空気噴出量が十分ではないため、より一層、残圧を除去するための待機時間を長くしなければならなかった。また、待機時間を長くしたとしても、残圧が十分に開放され難くなるという問題もあった。
【0015】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、ワークが収納されている貫通孔に噴出孔から高圧の気体を噴出させてワークを貫通孔から取り出す構造を備えたワーク搬送装置であって、上記残圧による問題を解消することができ、従って、ワークの予期しない飛び出しを防止でき、かつワークの取り出し工程を含めた搬送工程の高速化を図ることが可能とされている、ワーク搬送装置及び電子部品搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るワーク搬送装置は、ワークが搬送される搬送面を有する搬送ステージと、前記搬送ステージの前記搬送面に対向するように配置された第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有し、第1,第2の面を貫通する貫通孔が備えられている搬送テーブルと、前記搬送テーブルの第1の面を前記搬送ステージの搬送面に対向させた状態で前記搬送テーブルを搬送面に対してスライドさせつつ移動させることを可能とするように、前記搬送テーブル及び/または前記搬送ステージに連結された駆動装置とを備え、前記搬送テーブルの前記貫通孔にワークを挿入した状態で、前記搬送テーブルが前記搬送面に対して移動されることにより前記ワークが搬送されるワーク搬送装置であって、前記搬送ステージの搬送面に、搬送方向に延びる吸引用凹部と、前記貫通孔に挿入された前記ワークを取り出すために、前記貫通孔と重なり合い得るようにワーク取り出し位置に設けられており、かつ圧縮気体を噴出させるための噴出孔とが形成されており、前記搬送テーブルの第1の面には、前記噴出孔と前記吸引用凹部とを連通するように設けられた吸引溝が形成されており、前記吸引用凹部に連結された吸引装置と、前記噴出孔に連結された圧縮気体供給装置とをさらに備え、前記圧縮気体供給装置に接続されており、かつ前記搬送ステージの搬送面において、前記ワーク取り出し位置に位置されており、前記吸引溝に向かって開口している補助噴出孔がさらに形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るワーク搬送装置では、好ましくは、前記搬送テーブルが、中心軸を有し、該搬送テーブルが、前記中心軸周りに前記駆動手段により回転するように構成されており、それによって前記ワーク搬送路が、前記搬送テーブルの周方向に延ばされており、前記吸引用凹部が、搬送テーブルの周方向に延びるように前記搬送ステージの搬送面に設けられている。この場合には、搬送路が搬送テーブル内において周方向に延ばされているため、ワーク搬送装置の小型化を図ることができ、かつ設置スペースの低減を図ることができる。
【0018】
本発明において、ワークは電子部品に限定されず、電子部品以外の他のワークであってもよい。もっとも、電子部品は、小型化が進んできており、その寸法が非常に小さいため、本発明に係る電子部品搬送装置を用い、搬送に際しての残圧による問題を効果的に解消することができる。すなわち、本発明に係るワーク搬送装置は、電子部品搬送装置に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るワーク搬送装置では、搬送ステージの搬送面に対向するように搬送テーブルが配置されており、搬送テーブルに設けられた貫通孔にワークが挿入された状態で、搬送テーブルが、搬送面に対して移動されることによりワークが搬送される。そして、この搬送面には、貫通孔に連ねられた吸引用凹部が設けられているため、吸引により、電子部品が適切な姿勢に保持される。
【0020】
加えて、ワーク取り出し位置では、上記噴出孔から圧縮空気が噴出され、ワーク取り出し位置に搬送されてきたワークが圧縮気体の圧力により、速やかに貫通孔から取り出され得る。
【0021】
この場合、本発明では、圧縮気体供給装置に、上記補助噴出孔が接続されており、該補助噴出孔が、ワーク取り出し位置に位置されているので、吸引保持されていたワークが、補助噴出孔から噴出された圧縮気体により吸引解除され、従って、より速やかに、ワークが貫通孔から取り出される。
【0022】
すなわち、補助噴出孔が設けられていない場合には、ワークを取り出すためだけでなく、まず、上記吸引保持により吸着されていたワークの吸引を解除するだけの圧力を噴出口からの圧縮気体により加える必要がある。従って、高圧かつ多量の圧縮気体を噴出孔から噴出させねばならず、かつまず吸引を解除し、しかる後ワークが移動されることになるため、ワークの取り出しに比較的長い時間を要するという問題があった。また、高圧の圧縮気体を噴出しなければならないため、噴出孔内における残圧が残りがちであり、前述した問題が生じがちであった。
【0023】
これに対して、本発明では、上記補助噴出孔がワーク取り出し位置に設けられており、かつ該補助噴出孔が吸引溝に開口しているので、まず、補助噴出孔から噴出される圧縮気体により、上記吸引を解除することができる。しかる後、吸引解除されると同時に、あるいは吸引解除後に、噴出孔から噴射される圧縮気体により、ワークが貫通孔から移動される。この場合、吸引がすでに解除されているので、噴出孔からは、さほど高圧の圧縮気体を噴出せずとも、ワークを貫通孔から確実に取り出すことが可能となる。よって、噴出孔内に残圧が生じ難く、それによって、待機時間を必要とせずに、あるいは待機時間を短縮して、高速でワークを搬送し、取り出すことが可能となる。また、残圧によるワークの所望でない飛び出しも防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
図2(a),(b)は、本発明の一実施形態に係る電子部品搬送装置を示す略図的正面図及び後述の搬送テーブルを除いた状態の略図的正面図である。
【0026】
電子部品搬送装置1は、ベースプレート2を有する。本実施形態では、ベースプレート2は、設置スペースにおいて上下方向に延びるように立設されている。もっとも、ベースプレート2は、上下方向から傾斜されていてもよく、またベースプレート2は、水平方向に延びるように配置されていてもよい。
【0027】
ベースプレート2の一方面2a上に、搬送ステージ3が配置されている。搬送ステージ3は、本実施形態では、円板状のプレートであるが、角板状等の他の形状を有していてもよい。搬送ステージ3は、ベースプレート2に対して固定されている。搬送プレート3は、ベースプレート2側とは反対側の面に搬送面3aを有する。
【0028】
搬送面3a上に、搬送テーブル4が配置されている。搬送テーブル4は、円板状の形状を有する。搬送テーブル4は、中心軸4aの周りに回転し得るように配置されており、該中心軸4aが、略図的に示す駆動装置5に連結されている。駆動装置5により、搬送テーブル4は、時計回りに回転移動されるように構成されている。
【0029】
なお、本実施形態では、搬送テーブル4が中心軸4aの周りに時計回りに回転されるが、搬送テーブル4が固定されており、搬送ステージ3が中心軸周りに回転されていてもよく、また搬送ステージ3と搬送テーブル4の双方が中心軸4aの周りに異なる速度で、あるいは逆方向に回転されてもよい。
【0030】
すなわち、搬送テーブル4が、相対的に搬送ステージ3の搬送面3aに対して移動されるように構成されておりさえすればよい。
【0031】
搬送テーブル4は、例えば金属もしくは合成樹脂などの硬質材料からなる。この搬送テーブル4の外周近傍には、複数の貫通孔4bが周方向に整列配置されている。貫通孔4bはワークとしての電子部品が収納される収納部を構成している。この複数の貫通孔4bは、周方向に2列形成されている。
【0032】
もっとも、複数の貫通孔4bからなる列の数は特に限定されず、1列、あるいは3列以上の形態で、複数の貫通孔4bが配置されてもよい。
【0033】
図3に図2のA−A′線に沿う部分を部分切欠断面図で示す。図3から明らかなように、搬送テーブル4は、搬送ステージ3の搬送面3a上に当接もしくは近接されている第1の面4cと、第1の面4cとは反対側の面である第2の面4dとを有する。貫通孔4bは、第1の面4cから第2の面4dに向かって貫通している。貫通孔4bの第2の面4dにおける開口部は、電子部品6が入り込み得る大きさとされている。
【0034】
本実施形態では、貫通孔4bは、第2の面4dにおいて矩形の開口形状を有するように設けられている。
【0035】
図2(a)に戻り、電子部品は、上記貫通孔4bに、搬送テーブル4の第2の面4d側から、電子部品供給装置7により挿入される。この電子部品供給装置7としては、ホッパーや適宜の電子部品供給装置を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0036】
また、上記搬送テーブル4が時計回りに回転されることにより、搬送テーブル4の第1の面4cが、搬送ステージ3の搬送面3a上をスライドするように、搬送テーブル4が移動する。その結果、貫通孔4bに収納された電子部品6が、搬送テーブル4の周方向に搬送されていくが、その搬送路の途中には、特性測定装置8が配置されている。特性測定装置8は、例えば電子部品の電極に当接される複数のプローブを有し、電子部品6の電気的特性を測定するために設けられている。この測定結果に応じて良品や不良品の判別が行われたり、あるいは特性値に応じて、搬送されてくる電子部品のグループ分けが行われる。
【0037】
上記測定装置8としては、測定される特性に応じて様々な電気的計測装置を用いることができる。
【0038】
他方、図2(b)において、上記搬送テーブル4を取り外し、搬送ステージ3の搬送面3aを露出させた状態を示すように、搬送面3aには、2本の吸引用凹部3b,3cが同心円上に設けられている。この吸引用凹部3b,3cは、搬送ステージ3上に配置されている搬送テーブル4の貫通孔4bの一部に後述の吸引溝を介して連ねられるように設けられている。同心円上に2本の吸引凹部3b,3cが設けられているのは、複数の貫通孔が周方向に2列整列配置されていることによる。すなわち、一方の吸引凹部3bは、複数の貫通孔4bからなる2列のうち、外側の列の径方向外側に位置しており、吸引凹部3cは、貫通孔4bの小さな径の列の径方向外側に位置されている。そして、外側の列の貫通孔4bに、後述の吸引溝を介して、吸引凹部3bが接続されており、内側の列の貫通孔4bには、後述の吸引溝により、内側の吸引凹部3cが接続される。吸引用凹部3b,3cは、図2(b)に示すように真空吸引源などの吸引源10に接続されている。
【0039】
図3に示すように、上記貫通孔4bは、第1の面4c側において、搬送テーブル4の径方向に延びる吸引溝4eに連ねられている。この吸引溝4eは、その一部が上記吸引用凹部3bまたは吸引用凹部3cに重なり合う位置に設けられている。
【0040】
従って、吸引用凹部3b,3cから吸引源10により吸引することにより、その負圧により電子部品は、貫通孔4b内において正しい位置に保持される。
【0041】
他方、電子部品取り出し装置9においては、図2(b)に示すように、複数の噴出孔11が搬送面3aに開口している。
【0042】
図1(a)及び(b)は、上記搬送路において、ワーク取り出し装置9が設けられている部分の模式的側面断面図及び模式的正面図である。
【0043】
本実施形態では、搬送テーブル4の第1の主面4c側においては、上記貫通孔4bに連なるように吸引溝4eが設けられていたが、該吸引溝4eに向かって開口するように、搬送面3aには、ワーク取り出し位置9において、噴出孔11の側方に補助噴出孔12が設けられている。
【0044】
この補助噴出孔12は、噴出孔11の噴出孔本体部11aに連通している。噴出孔11は、上記噴出孔本体部11aと、搬送面3a側に連なっているノズル部11bとを有する。噴出孔本体部11aが、ボンベやコンプレッサーなどの圧縮空気供給源Xに接続されている。上記補助噴出孔12は、噴出孔本体部11aに連ねられているため、噴出孔11のノズル部11bだけでなく、補助噴出孔12からも圧縮空気が噴出される。
【0045】
他方、補助噴出孔12は、上記のように、吸引溝4e内に開口している。従って、圧縮空気は、噴出孔11のノズル部11aだけでなく、上記補助噴出孔12からも噴出される。他方、吸引溝4e内は、上述した真空吸引により負圧とされている。しかしながら、上記補助噴出孔12から圧縮空気が供給されることにより、負圧が先ず解除され、それによって、ワークとしての電子部品6が貫通孔4bからより取り出しやすくされる。すなわち、負圧が先ず解除されるので、電子部品6に僅かな圧力を噴出孔11からの圧縮空気により与えるだけで、電子部品6を貫通孔4bから速やかに取り出すことができる。よって、上記負圧解除後に、上記噴出孔11のノズル部11bから圧縮空気が噴出されることにより、電子部品6は貫通孔4bから速やかに取り出される。
【0046】
上記のように、本実施形態では、吸引溝4e内に補助噴出孔12が開口し、吸引溝4eに圧縮空気が供給されて、負圧が解消される。吸引溝4e内の負圧が予め解消されるので、ワークとしての電子部品6を噴出孔11のノズル部11bからの圧縮空気により貫通孔4bかつ飛び出させるのに際し、圧力が小さくてもよい。そのため、噴出孔11内には、残圧が生じ難くなる。よって、次に、噴出後の噴出孔11上に、次にその位置で取り出すべきではない電子部品6が移動されてきたとしても、残圧による該電子部品6の所望でない飛び出しは生じ難い。
【0047】
次に、本実施形態の電子部品搬送装置の動作を説明する。
【0048】
図2に示すように、電子部品搬送装置1を用いて特性を選別し、電子部品を搬送するにあたっては、電子部品供給装置7から、電子部品を1個ずつ、上記搬送テーブル4の貫通孔4bに挿入する。そして、搬送テーブル4を駆動装置5を駆動することにより、時計方向に回転させる。その結果、貫通孔4bに収納されている電子部品6は、搬送テーブル4の周方向において時計周りに搬送されることになる。この場合、吸引用凹部3b,3cから吸引することにより、貫通孔4b内において電子部品6が正しい姿勢に保持されて搬送が行われる。
【0049】
そして、特性測定装置8において、搬送されてきた電子部品6の特性が測定され、特性結果に応じて、電子部品の分別が行われる。すなわち、電子部品取り出し装置9において電子部品を取り出すに際し、良品のみを特定の位置で取り出し、不良品を異なる位置で取り出したり、特性値に応じて、複数の異なる位置において電子部品を取り出すことが決定される。このように特性測定結果に応じて、電子部品取り出し装置9において特定の電子部品取り出し位置で電子部品が取り出されるが、このような制御は、電子部品搬送装置1に、制御手段を接続し、特性測定装置8から得られた測定結果に応じて、電子部品装置9を駆動すればよい。
【0050】
そして、上記電子部品取り出し装置9に、貫通孔4bに収納された電子部品6が搬送テーブル4の回転により搬送されてくると、貫通孔4bが、電子部品を取り出すべき位置に設けられている噴出孔11に重なる。このとき、吸引溝4eには、上記補助噴出孔12が臨むことになる。
【0051】
従って、圧縮空気が、補助噴出孔12から吸引溝4eに供給されるので、吸引溝4e内の負圧が解消される。他方、噴出孔11のノズル部11bから圧縮空気が、電子部品6に向かって噴射されるが、上記のように、吸引溝4e内の負圧が解消されるので、電子部品6を取り出すために必要な圧力は比較的小さくて済む。従って、電子部品6が取り出された後、上記必要な圧力を小さくし得るため、噴出孔11の噴出孔本体部11a内やノズル部11b内において残圧が生じ難い。
【0052】
よって、前述した待機時間を必要とせず、あるいは待機時間を設ける場合であっても、短い待機時間を設けるだけでよいため、搬送装置の搬送効率を飛躍的に高めることが可能となる。
【0053】
上記実施形態では、搬送テーブルは円板状の形状を有し、中心軸4aの周りに時計回りに回転駆動されていたが、搬送テーブルは、円板状の形状を有する必要は必ずしもない。また、搬送テーブルは、直線状等の他の方向に移動され、それによって、搬送テーブルに設けられた貫通孔を、周方向ではなく、他の方向に搬送させるように搬送路を構成してもよい。すなわち、本発明のワーク搬送装置は、円板状の搬送テーブルを搬送ステージの搬送面に対し回転させる行動に限定されるものではない。
【0054】
また、上記電子部品搬送装置では、ワークとしての電子部品が搬送されていたが、電子部品以外の他のワークを搬送する用途に用いられてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、圧縮気体として圧縮空気を用いたが、窒素等の他の不活性な気体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a),(b)は、本発明の第1の実施形態のワーク搬送装置において、ワークとしての電子部品を圧縮空気により取り出す部分の構造を示す部分切欠側面断面図及び模式的平面図。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態の電子部品搬送装置の正面図であり、(b)は搬送面に設けられた吸引溝を説明するための正面図。
【図3】図2のA−A′線に沿う部分を拡大して示す側面断面図。
【図4】従来の電子部品搬送装置において、電子部品が取り出される部分を説明するための模式的正面断面図。
【符号の説明】
【0057】
1…電子部品搬送装置
2…ベースプレート
3…搬送ステージ
3a…搬送面
3b,3c…吸引溝
3d…第1の面
3e…第2の面
4…搬送テーブル
4a…中心軸
4b…貫通孔
4c…溝
4e…吸引溝
5…駆動装置
6…電子部品
7…電子部品供給装置
8…特性測定装置
9…取り出し装置
10…吸引源
11…噴出孔
11a…噴出孔本体部
11b…ノズル部
12…補助噴出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが搬送される搬送面を有する搬送ステージと、
前記搬送ステージの前記搬送面に対向するように配置された第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有し、第1,第2の面を貫通する貫通孔が備えられている搬送テーブルと、
前記搬送テーブルの第1の面を前記搬送ステージの搬送面に対向させた状態で前記搬送テーブルを搬送面に対してスライドさせつつ移動させることを可能とするように、前記搬送テーブル及び/または前記搬送ステージに連結された駆動装置とを備え、前記搬送テーブルの前記貫通孔にワークを挿入した状態で、前記搬送テーブルが前記搬送面に対して移動されることにより前記ワークが搬送されるワーク搬送装置であって、
前記搬送ステージの搬送面に、搬送方向に延びる吸引用凹部と、前記貫通孔に挿入された前記ワークを取り出すために、前記貫通孔と重なり合い得るようにワーク取り出し位置に設けられており、かつ圧縮気体を噴出させるための噴出孔とが形成されており、
前記搬送テーブルの第1の面には、前記噴出孔と前記吸引用凹部とを連通するように設けられた吸引溝が形成されており、
前記吸引用凹部に連結された吸引装置と、
前記噴出孔に連結された圧縮気体供給装置とをさらに備え、
前記圧縮気体供給装置に接続されており、かつ前記搬送ステージの搬送面において、前記ワーク取り出し位置に位置されており、前記吸引溝に向かって開口している補助噴出孔がさらに形成されていることを特徴とする、ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記搬送テーブルが、中心軸を有し、該搬送テーブルが、前記中心軸周りに前記駆動装置により回転するように構成されており、それによって前記ワークの搬送路が、前記搬送テーブルの周方向に延ばされており、
前記吸引用凹部が、搬送テーブルの周方向に延びるように前記搬送ステージの搬送面に設けられている、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワーク搬送装置であって、前記ワークとして電子部品が搬送されることを特徴とする、電子部品搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−314278(P2007−314278A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144557(P2006−144557)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】