説明

ワーク検査装置

【課題】タービンホイール等のワークの外観検査と共振検査をインラインで連続的に効率よく全数検査する。
【解決手段】所定角度毎に間欠回転させられる回転テーブル4と、回転テーブル4の周方向複数個所に設けられ、ワークWを載置してこれを所定角度ごとに間欠自転させる回転支持機構8と、回転テーブル4により移送される回転支持機構8の一の停止位置A1で当該回転支持機構8に支持されたワークWを起振してその振動挙動よりワークWの共振検査を行う共振検査装置と、回転テーブル4により移送される回転支持機構8の他の停止位置A2,A3で回転支持機構8に支持されたワークWの外観を撮像してその外観検査を行うCCDカメラ7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク検査装置に関し、特に、ワークの外観検査と共振検査を効率的に行うことができるワーク検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密鋳造によって製造されるタービンホイールについては、従来、外観検査と共振検査を行っている。表1には外観検査と共振検査でそれぞれ検出可能な欠陥を示す。外観検査は、表中に◎で示すように「凸欠陥」「凹欠陥」「翼欠け」「翼変形」「表面肌」「き裂」のような欠陥を良好に検出することができ、一方、共振検査は「厚さ不均一」「引け巣」のような欠陥を良好に検出することができる。また、共振検査をすることによって、タービンホイールの共振域がエンジン振動域に重なることによる翼破損等を未然に防止することができる。なお、「湯境」の欠陥は、表中に○で示すように、外観検査によって大部分が検出することができる。したがって、外観検査と共振検査を行うことによってタービンホイールの全ての種類の欠陥を検出することが可能である。なお、特許文献1にはタービンホイールの外観検査の一例が示されており、また特許文献2にはタービンホイールの共振(音響)検査の一例が示されている。
【0003】
【表1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−51664
【特許文献2】特開2002−195917
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来は外観検査と共振検査を個別に行っており、検査効率が悪いという問題があった。特に共振検査はオフラインで抜き取り検査をすることが多かった。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、タービンホイール等のワークの外観検査と共振検査をインラインで連続的に効率よく全数検査することができるワーク検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本第1発明では、所定角度毎に間欠回転させられる回転テーブル(4)と、回転テーブル(4)の周方向複数個所に設けられ、ワーク(W)を載置してこれを所定角度ごとに間欠自転させる回転支持機構(8)と、回転テーブル(4)により移送される回転支持機構(8)の一の停止位置で当該回転支持機構(8)に支持されたワーク(W)を起振してその振動挙動よりワーク(W)の共振検査を行う第1検査手段(9)と、回転テーブル(4)により移送される回転支持機構(8)の他の停止位置で回転支持機構(8)に支持されたワーク(W)の外観を撮像してその外観検査を行う第2検査手段(7)とを備える。
【0008】
本第1発明においては、回転テーブルによって順次移送される全てのワークに対して、回転テーブルの各間欠停止位置において外観検査と共振検査がインラインで連続的に効率良く行われる。
【0009】
本第2発明では、ワーク(W)は複数の羽根を有するタービンホイールであり、第1検査手段(9)はタービンホイール(W)を回転支持機構(8)上で保持する保持手段(91,92,93)と、羽根を起振する起振手段(95,96)と、起振された羽根の共振振動数を検出する振動数検出手段(97)とを備えている。
【0010】
本第2発明においては、タービンホイールの羽根の共振検査を速やかに行うことができる。
【0011】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明のワーク検査装置によれば、タービンホイール等のワークの外観検査と共振検査をインラインで連続的に効率よく全数検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示すワーク検査装置の概略平面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すワーク検査装置の要部概略側面図である。
【図3】制御装置の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1にはタービンホイールを対象ワークとするワーク検査装置の全体概略平面図を示す。ワーク検査装置は左右位置に給材ストッカー1と払出しストッカー2を備えている。給材ストッカー1には検査前のワークWが整列状態で貯留されている。また、払出しストッカー2には検査後の良品のワークWが整列状態で貯留されている。給材ストッカー1と払出しストッカー2の近傍にはそれぞれ搬送装置3A,3Bが設けられており、これら搬送装置3A,3Bは同一構造で左右対称形に配置されている。
【0015】
各搬送装置3A,3Bは、メインレール31と、これに沿ってY軸方向(図1の上下方向)へ移動する第1補助レール32を備え、各第1補助レール32にはこれに直交し当該補助レール32に沿ってX軸方向(図1の左右方向)へ移動する第2補助レール33が設けられている。そして、第2補助レール33の先端にはZ軸方向(図1の紙面垂直方向)へ移動可能なアーム34が支持され、その下端にはチャッキング機構(図示略)が設けられている。
【0016】
各レール31?33やアーム34、チャッキング機構の作動は図略の制御装置によって行われ、搬送装置3Aのチャッキング機構は三次元空間内で移動して給材ストッカー1内のワークWを順次掴んで、詳細を後述する回転テーブル4上等へ搬送する。また、搬送装置3Bのチャッキング機構は三次元空間内で移動して詳細を後述する回転テーブル5上のワークWを掴み、払出しストッカー2等へ搬送する。
【0017】
回転テーブル4は円形で、図略のモータによってその中心軸41周りに時計方向へ間欠的に回転させられて、等角度(72°)間隔で5箇所A1?A5に一定時間停止させられる。図1中、A1は共振検査位置、A2,A3は外観検査位置、A4は受渡し位置となっている。また、共振検査位置A1を過ぎた回転テーブル4の外方には欠陥品排出コンベア61の一端が位置している。上記搬送装置3Aのチャッキング機構は給材ストッカー1内のワークWを共振検査位置A1へ搬送する。
【0018】
回転テーブル5は回転テーブル4より小径の円形で、図略のモータによってその中心軸51周りに時計方向へ間欠的に回転させられて、等角度(90°)間隔で4箇所B1?B4に一定時間停止させられる。図1中、B1は受取り位置、B2は外観検査位置、B3は検査終了位置となている。検査終了位置B3を過ぎた回転テーブル5の外方には欠陥品排出コンベア62,63の一端がそれぞれ位置している。上記搬送装置3Bのチャッキング機構は検査終了位置B3のワークWを掴んで、欠陥品の場合は欠陥品排出コンベア62,63へ、良品の場合は払出しストッカー2へ搬送する。
【0019】
上記共振検査位置A1には詳細を後述する第1検査手段としての共振検査装置が設けられており、また各外観検査位置A2,A3には必要個数の第2検査手段としてのCCDカメラ7が回転テーブル4に向けて設置されている。上記回転テーブル4には周方向へ等間隔で5箇所に回転支持機構8が設けられており、各回転支持機構8は、図2に示すように、回転テーブル4に上下方向へ埋設された駆動モータ81と、駆動モータ81の上面に配設されて当該モータ81によってワークWの羽根の数で決まる一定角度毎に間欠回転させられる回転台82と、回転台82上に設けられたアタッチメント83から構成されている。ワークWは上記搬送装置3Aによってアタッチメント83上に載置される。なお、回転テーブル5には周方向へ等間隔で4箇所に回転支持機構8が設けられており、各回転支持機構8の構造は回転テーブル4のものと同一である。なお、図1では外観検査位置A2,B2でのみ、回転支持機構8上に載置されたワークWを示してある。
【0020】
共振検査位置A1に設けられる共振検査装置9は、図2に示すように、図略の駆動機構によって上下動させられる逆L字形の支持アーム91を備えている。支持アーム91の先端には下方へ向けて加圧バネ92が設けてあり、その先端には金属球93が固定してある。これら支持アーム91、加圧バネ92、金属球93は保持手段を構成している。アタッチメント83上に載置されたワークWに対して支持アーム91を下降させて、金属球93をワークWの端面に圧接させる。これにより、ワークWがアタッチメント83上で保持される。共振検査位置A2にはさらに、支持スタンド94によって起振手段を構成する電磁弁95が支持されており、これは圧縮空気配管96の途中に設けられている。電磁弁95より先端の配管は噴射ノズル961となっている。噴射ノズル961の先端は、加圧バネ92で保持されたワークWの羽根の一つに向いている。電磁弁95が一時的に開放されると、圧縮空気が上記羽根に当たってこれが起振される。共振検査位置A1にはさらに振動数検出手段たるレーザドップラ振動計97が設けられて、これから発したレーザ光Lが、起振された上記羽根に入射させられている。
【0021】
上記構成のワーク検査装置における検査手順を、当該検査装置を構成する制御装置の作動フローチャート(図3)を参照しつつ以下に説明する。検査が開始されると、給材ストッカー1にあるワークWが搬送装置3Aによって共振検査位置A1の回転支持機構8上へ搬送される。ここで、電磁弁95に通電されて噴射ノズル961より圧縮空気がパルス的に所定の羽根に当てられ、当該羽根が起振される。そして、レーザドップラ振動計97でその共振振動数が検出される。回転支持機構8上のワークWは間欠的に自転させられて、新たな羽根に圧縮空気が当てられてその共振振動数が検出される。全ての羽根について共振振動数が検出されて、検出結果に基づき「厚さ不均一」等の欠陥の有無が制御装置で判定される(図3のステップ101)。このような共振検査で欠陥品と判定されると、ワークWは搬送装置3Aによって回転支持機構8上から欠陥品排出コンベア61上へ搬送され、ラインから排出される(図3のステップ102)。
【0022】
共振検査で欠陥が無かったワークWは、回転テーブル4の次の回転タイミングで、回転支持機構8上に載置された状態で外観検査位置A2へ送られる。ここで、間欠的に自転するワークWはCCDカメラ7により主にその上面の画像が撮影されて、公知の方法で「凸欠陥」等の有無が判定される(図3のステップ103)。続いて、回転テーブル4の次の回転タイミングで、ワークWは外観検査位置A3へ送られ、ここで、間欠的に自転するワークはCCDカメラ7により主にその側面の画像が撮影されて、公知の方法で「凸欠陥」等の有無が判定される(図3のステップ104)。
【0023】
回転テーブル4の次の回転タイミングで、ワークWは受渡し位置A4へ移送され、ここで、図略の搬送機構によって反転させられた後に(図3のステップ105)、回転テーブル5の受取り位置B1にある回転支持機構8上に載置される。そして、回転テーブル5の次の回転タイミングで、反転状態のワークWは外観検査位置B2へ送られ、ここで、間欠的に自転するワークWはCCDカメラ7により主にその下面の画像が撮影されて、公知の方法で「凸欠陥」等の有無が判定される(図3のステップ106)。そして、検査終了位置B3にて、これまでの外観検査で欠陥有りと判定されたワークWは、その欠陥の種類に応じて搬送装置3Bによって回転支持機構8上からいずれかの欠陥品排出コンベア62,63上へ搬送されてラインから排出される(図3のステップ107)。そして、欠陥が発見されなかった良品のワークWのみが搬送装置3Bによって再び反転され払出しストッカー2へ搬送される。
【0024】
このようにして、本実施形態のワーク検査装置によれば、回転テーブル4,5によって順次移送される全てのワークWに対して、回転テーブル4,5の各間欠停止位置において外観検査と共振検査がインラインで連続的に効率良く行われる。なお、回転テーブルは必ずしも二つ設ける必要はなく、回転テーブルを一つにして、ワーク反転を当該回転テーブル上で行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0025】
1…給材ストッカー、2…払出しストッカー、3A,3B…搬送装置、4,5…回転テーブル、7…CCDカメラ(第2検査手段)、8…回転支持機構、9…共振検査装置(第1検査手段)、95…電磁弁(起振手段)、96…圧縮空気配管(起振手段)、97…レーザドップラ振動計(振動数検出手段)、W…タービンホイール(ワーク)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度毎に間欠回転させられる回転テーブルと、前記回転テーブルの周方向複数個所に設けられ、ワークを載置してこれを所定角度ごとに間欠自転させる回転支持機構と、前記回転テーブルにより移送される前記回転支持機構の一の停止位置で当該回転支持機構に支持されたワークを起振してその振動挙動よりワークの共振検査を行う第1検査手段と、前記回転テーブルにより移送される前記回転支持機構の他の停止位置で回転支持機構に支持されたワークの外観を撮像してその外観検査を行う第2検査手段とを備えるワーク検査装置。
【請求項2】
前記ワークは複数の羽根を有するタービンホイールであり、前記第1検査手段は前記タービンホイールを前記回転支持機構上で保持する保持手段と、前記羽根を起振する起振手段と、起振された羽根の共振振動数を検出する振動数検出手段とを備えている請求項1に記載のワーク検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−197253(P2010−197253A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43248(P2009−43248)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】