説明

ワーク移載装置

【課題】 基板のロードとアンロードを上面に触れずに行う。
【解決手段】 真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3を、真空引きと空気供給を切換可能とする。真空吸着ステージ2上の基板載置領域に基板1の搬入と搬出を行わせるためのロボットハンド11に、真空引きと空気供給を切換可能な真空吸着チャック部12を設ける。真空吸着ステージ2の上方位置に、楔状の爪部7bを下端に有する係止爪部材7を基板載置領域13に近接、離反する方向と昇降方向に動作可能に備えてなるワーク昇降手段6を設ける。真空吸着ステージ2より基板1のアンロードを行う場合は、空気供給する真空吸着チャック部3上で空気浮上させた基板1の外周縁部の下面側に、ワーク昇降手段6の係止爪部材7を係止させてから上昇させることで基板1の外周縁部を持ち上げ、この状態で基板1の下側に挿入させるロボットハンド11により、基板1を搬出させる。ロードは逆の手順で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空吸着ステージに対してワークのロードとアンロードを行うワーク移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状のワークのステージ上へのロードとアンロードを行うために用いられるワーク移載装置としては、下端に吸盤を備えた吸着装置(真空吸着チャック)によりワークの上面を接触吸着して保持する形式のものが広く一般的に用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
又、上面吸着が許されない形式のワークについては、ベルヌーイチャック(たとえば、特許文献2参照)や、静電チャックを用いてワークを非接触で上方から吸着して保持することが行われている。
【0004】
更に、上記特許文献2に示されたベルヌーイチャックでは、該ベルヌーイチャックにより吸着したワークの外周部の下方に差し込むようにしてある保持部を備えた搬送チャックを付設して、上記ベルヌーイチャックで吸着したワークを上記搬送チャックにより落下を防止した状態で搬送できるようにする考えが示されている。
【0005】
ところで、近年、液晶ディスプレイ等の電極パターン(導電パターン)を所要の基板上に形成する手法として、金属蒸着膜のエッチング等による微細加工に代えて、導電性ペーストを印刷インクとして用いた印刷技術、たとえば、凹版オフセット印刷技術を用いて基板上に微細な電極パターンを印刷して形成する手法が提案されてきており、この種のオフセット印刷では、基板を印刷用の吸着ステージにロード及びアンロードする工程がある。
【0006】
なお、薄板状のワークを真空吸着する吸着面を備えた真空吸着形式の吸着テーブルにおいて、ワーク搬送時には、上記吸着面に設けた複数の小孔より排出する圧縮空気(エア)をワークに吹き付けて該ワークを吸着面から浮上させるようにし、一方、ワーク加工時は上記小孔より空気を吸引してワークを吸着面に吸着させるようにする考えは従来提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0007】
又、フォーク部材により板状ワークの受け渡しを行う移載装置において、上記フォーク部材における各櫛歯部の上面に、気体を噴出又は吸引させる多孔質体を備えた複数の多孔質ユニットを設けてなる構成とすることは従来提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−52137号公報
【特許文献2】特開2004−83180号公報
【特許文献3】特開2008−159784号公報
【特許文献4】特開2007−22758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、前述した精密電子回路を基板に印刷するようなグラビアオフセット印刷にて、上記基板を印刷用の吸着ステージにロードしたり、アンロードする工程では、印刷面である基板の上面に触れることはできないため、特許文献1に示されたような接触吸着形式のワーク移載装置を用いることはできない。
【0010】
又、特許文献2に示されたベルヌーイチャックでは、ワークを吸着するためのエジェクタ効果をもたらす高速気流が、基板上の未乾燥のインクを乱す虞が懸念されることから、前述した精密電子回路を基板に印刷するようなグラビアオフセット印刷における基板のロードとアンロードを行うためのワーク移載に採用することはできない。
【0011】
なお、上記精密電子回路を印刷するような基板は、薄いものであって撓むため、上記特許文献2に示されたワークの外周部の下方に保持部を差し込むようにしてある形式の搬送チャックのみで、ベルヌーイチャックを併用しないで上記基板の搬送を行うことは困難である。
【0012】
静電チャックでは、静電気力や放電により、導電性ペーストを印刷インクとして印刷により形成した回路が破壊される可能性が懸念される。
【0013】
なお、特許文献3、4に示されたものは、ワークの下面全体を接触させる形式の真空吸着ステージに対するワークのロードとアンロードを、ワークの上面に非接触で行う構成を何ら示唆するものではない。
【0014】
そこで、本発明は、ワークの下面全体を接触させることができるようにしてある真空吸着ステージに対するワークのロードとアンロードを、ワークの上面に触れることなく実施することができるワーク移載装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ワークをワーク載置領域に載置して保持できるようにしてある真空吸着ステージのステージ上面に設けた真空吸着チャック部に、真空引きと空気供給を行うための真空引き手段と空気供給手段を、真空引きと空気供給を切り換え可能に接続し、上記真空吸着ステージ上に進入できるようにしてあるロボットハンドに、ワークを空気浮上させるための空気浮上手段を備え、更に、上記真空吸着ステージの上方にワーク昇降手段を設け、該ワーク昇降手段は、上記真空吸着ステージのワーク載置領域に載置したワークにおける少なくとも上記真空吸着ステージ上に上記ロボットハンドを差し入れる側に位置する端縁部の下面側に係止させるための係止爪部材を、上記ワーク載置領域に近接、離反する方向に水平動作可能に且つ昇降動作可能に備えてなるものとした構成とする。
【0016】
又、上記構成において、ロボットハンドの先端部の上面側に、該ロボットハンドの先端へ向けて下方傾斜するテーパ面を備え、該テーパ面の部分に、空気噴射手段を備えるようにした構成とする。
【0017】
更に、上記各構成において、真空吸着ステージのステージ上面で且つワーク載置領域におけるロボットハンドによりワークを搬入搬出するときのワーク移動方向に平行な辺のワーク載置領域の外側となる位置に、昇降ピンを設けるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のワーク移載装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ワークをワーク載置領域に載置して保持できるようにしてある真空吸着ステージのステージ上面に設けた真空吸着チャック部に、真空引きと空気供給を行うための真空引き手段と空気供給手段を、真空引きと空気供給を切り換え可能に接続し、上記真空吸着ステージ上に進入できるようにしてあるロボットハンドに、ワークを空気浮上させるための空気浮上手段を備え、更に、上記真空吸着ステージの上方にワーク昇降手段を設け、該ワーク昇降手段は、上記真空吸着ステージのワーク載置領域に載置したワークにおける少なくとも上記真空吸着ステージ上に上記ロボットハンドを差し入れる側に位置する端縁部の下面側に係止させるための係止爪部材を、上記ワーク載置領域に近接、離反する方向に水平動作可能に且つ昇降動作可能に備えてなるものとした構成としてあるので、真空吸着ステージの真空吸着チャック部に空気供給を行うことで該真空吸着チャック部上でワークを空気浮上させることができ、この空気浮上させた状態のワークの少なくとも上記真空吸着ステージ上に上記ロボットハンドを差し入れる側に位置する端縁部の下面側に、ワーク昇降手段の係止爪部材を係止させて持ち上げることができる。したがって、このワークの上記所定個所の端縁部を持ち上げた状態で、該ワークの下方にロボットハンドを差し入れたり抜き出したりすることができるようになるため、真空吸着ステージに対するワークのロード及びアンロードを、該ワークの上面に全く触れることなく実施することができる。
(2)又、上記のように、真空吸着ステージ上ではワークの空気浮上と、該空気浮上させたワークの端縁部のワーク昇降手段による持ち上げにより、上記ワークの下側にロボットハンドを挿入するための隙間を形成できるため、上記真空吸着ステージの上面におけるワーク載置領域には、ワークの下方にロボットハンドを挿入できるようにするための溝や、ワークを一時的に押し上げるための昇降ピンを設ける必要はない。よって、上記真空吸着ステージのワーク載置領域を、ワークの下面全体を接触させることができるようなフラットな面とすることができる。
(3)したがって、電極パターンの印刷のように、高い印刷精度が要求されると共に、ブランケットロールより大きな印圧を均一に作用させることが要求されるようなオフセット印刷装置における印刷対象となるワーク保持用の真空吸着ステージに対するワークのロードとアンロードを行うための装置として適したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のワーク移載装置の実施の一形態を示す一部切断概略側面図である。
【図2】図1のA−A方向矢視図である。
【図3】図1のワーク移載装置の水平動作機構を拡大して示すもので、(イ)は側面図、(ロ)は(イ)のB−B方向矢視図である。
【図4】図1のワーク移載装置におけるロボットハンドの応用例として、該ロボットハンドの先端部にテーパ面と空気噴射手段を備えるようにした構成を示す概略側面図である。
【図5】図1のワーク移載装置における制御機器の接続状態を示すブロック図である。
【図6】図1のワーク移載装置を用いて真空吸着ステージ上の基板のアンロードを行う手順において、ワーク昇降手段の係止爪部材を下降させ、且つ空気供給する真空吸着チャック部により基板を空気浮上させた状態を示す一部切断概略側面図である。
【図7】図1のワーク移載装置を用いて真空吸着ステージ上の基板のアンロードを行う手順において、ワーク昇降手段の係止爪部材により基板を持ち上げ、該基板と真空吸着ステージのステージ上面との間にロボットハンドを挿入する状態を示す一部切断概略側面図である。
【図8】本発明の実施の他の形態を示す一部切断概略側面図である。
【図9】図8のC−C方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図7は本発明のワーク移載装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0022】
すなわち、本発明のワーク移載装置は、ワークとして、たとえば、印刷対象となる基板1を載置して保持するための印刷用の真空吸着ステージ2におけるステージ上面に設けた真空吸着チャック部3に、該真空吸着チャック部3を通して真空引きと空気供給を行うための真空引き手段4と空気供給手段5を、真空引きと空気供給を切換え可能に接続する。
【0023】
上記真空吸着ステージ2の上方位置には、上記真空吸着ステージ2の上側に載置した基板1を上記真空吸着チャック部3に空気供給して該真空吸着チャック部3よりステージ上面側に噴出す空気により空気浮上させた状態のときに該基板1の外周縁部の下方へ差し込んでその下面側に係止させるための係止爪部材7と、該係止爪部材7を昇降動作させるための昇降動作機構8と、上記係止爪部材7を上記基板1の外周縁部に対して近接、離反する水平方向へ動作させるための水平動作機構9を備えてなるワーク昇降手段6を設ける。
【0024】
更に、ロボットアーム10により上記真空吸着ステージ2上へ移動させることができるようにしてあるロボットハンド11を備えると共に、該ロボットハンド11の上面側に、後述するように空気浮上手段として機能させることができるようにしてある真空吸着チャック部12を備えてなる構成とする。
【0025】
詳述すると、上記真空吸着ステージ2は、たとえば、図示しないオフセット印刷装置におけるワーク搬送テーブルとしての基板搬送テーブル上にアライメントステージを介して設けた構成としてあるものとする。又、上記オフセット印刷装置には、上記基板搬送テーブル上の真空吸着ステージ2に対して基板1のロードとアンロードを行うための基板設置エリアが設定してあるものとする。
【0026】
更に、上記真空吸着ステージ2は、図1に示すように、フラットなステージ上面を有し、且つ該ステージ上面の中央部に、図2に二点鎖線で示すように、基板1のサイズに応じたワーク載置領域としての基板載置領域13を設定して、該基板載置領域13と対応する個所に、多孔質吸着形式又は多数の細孔を具備した孔(穴)吸着形式の真空吸着チャック部3が設けてある。
【0027】
上記真空吸着チャック部3には、図1に示すように、空気給排ライン14の一端側が接続してあり、且つ該空気給排ライン14の他端側に、上記真空引き手段4と空気供給手段5が、切換弁15を介して接続してある。これにより、上記切換弁15の操作により上記空気給排ライン14に真空引き手段4を接続した状態では、該真空引き手段4の運転により上記空気給排ライン14を介して上記真空吸着チャック部3を真空引きすることで、上記真空吸着ステージ2上に載置する基板1を、該真空吸着チャック部3に吸着して保持することができるようにしてある。
【0028】
一方、上記切換弁15の操作により上記空気給排ライン14に空気供給手段5を接続した状態では、該空気供給手段5の運転により上記空気給排ライン14を通して上記真空吸着チャック部3に空気16を供給することで、該真空吸着チャック部3よりステージ上面側へ上記空気16を噴出させて、上記真空吸着ステージ2上に配置される基板1を空気浮上させることができるようにしてある。
【0029】
上記ワーク昇降手段6は、図1に示すように、上記基板1の平面形状よりも大きな平面矩形状としてある固定フレーム17を、上記図示しないオフセット印刷装置における基板設置エリアに基板搬送テーブルを配置させるときに該基板搬送テーブルの上部に設けてある上記真空吸着ステージ2の真上となる位置に配置して、該固定フレーム17を図示しない支持構造に固定する。
【0030】
上記固定フレーム17の下側には、上記基板1の平面形状よりも一回り大きな平面矩形状の昇降フレーム18を、上記昇降動作機構8を介して取り付ける。
【0031】
更に、上下方向に延びる支柱部7aと、該支柱部7aの下端部の一側面に底面が水平になるよう横向きに突設した楔状の爪部7bとからなる係止爪部材7を形成し、上記真空吸着ステージ2のステージ上面に設定してある図2に二点鎖線で示した基板載置領域13の4つの辺13a,13b,13c,13dのうち、上記基板載置領域13に対して上記ロボットハンド11を用いて基板1の搬入と搬出を行うときに該基板載置領域13に向けて上記ロボットハンド11を差し入れる側(以下、単にハンド差入側と云う)に位置する辺13aにおける所定間隔の2個所と、該辺13aの対辺、すなわち、上記ハンド差入側より離反する側に位置する辺13cにおける所定間隔の2個所にそれぞれ対応する個所(図2に二点鎖線で示す個所)に、個別の係止爪部材7を、該各係止爪部材7の爪部7bが基板載置領域13の内側を向くように配置して、該各係止爪部材7の上端部となる支柱部7aの上端部を、上記昇降フレーム18の下側に上記水平動作機構9を介して取り付けた構成としてある。
【0032】
上記昇降動作機構8の具体的構成は、たとえば、図1に示すように、上記固定フレーム17の複数個所、たとえば、該固定フレーム17の四隅部の下面側に、上下方向に延びる支柱部材19を取り付け、該各支柱部材19の上端部と下端部に、上記基板載置領域13に対して上記ロボットハンド11により基板1をロード及びアンロードするときの該基板1の移動方向(以下、単に基板移動方向と云う)に沿って延びる取付部材21を取り付け、該各支柱部材19毎の取付部材21の間に、上下方向に延びる個別のガイドロッド20の上下両端部を取り付け、且つ該各ガイドロッド20に上下方向スライド可能に取り付けたガイドブロック22の自由端側(固定フレーム17の内側に突出する端部側)の上面と、その真上に位置する上記固定フレーム17の下面との間に、上下方向に伸縮動作可能な昇降用シリンダ23を取り付けた構成としてある。更に、上記各ガイドブロック22の自由端側は、上記昇降フレーム18の四隅部に取り付けるようにしてある。これにより、上記昇降動作機構8における上記各昇降用シリンダ23の同期した伸長動作により、上記各ガイドブロック22と一緒に上記昇降フレーム18を下降させることができるようにしてある。一方、上記各昇降用シリンダ23の同期した収縮動作により、上記各ガイドブロック22と一緒に上記昇降フレーム18を上昇させることができるようにしてある。
【0033】
上記水平動作機構9の具体的構成は、たとえば、図1及び図3(イ)(ロ)に示すように、上記昇降フレーム18の下面における上記各係止爪部材7の配置個所と対応する4個所に、基板移動方向に沿って離隔配置した2つ一組の取付部材25a,25bを取り付け、該各組の取付部材25aと25bの間に、基板移動方向に沿って水平に延びる個別のガイドロッド24の両端部を、取付部材25aと25bを介してそれぞれ取り付け、該各ガイドロッド24にスライド可能に取り付けたガイドブロック26と、上記ガイドロッド24の両端を支持する取付部材25a,25bのうちの一方、たとえば、上記昇降フレーム18の外周寄りに位置する側の取付部材25aとの間に、上記ガイドロッド24と平行な方向に伸縮動作可能な水平動用シリンダ27を介装させて取り付けた構成としてある。
【0034】
更に、上記ガイドブロック26の下側に、それぞれ対応する係止爪部材7の支柱部7aの上端を一体に取り付けた構成としてある。これにより、上記水平動作機構9における各水平動用シリンダ27の同期した伸長動作により、上記各ガイドブロック26と一体に上記各係止爪部材7を、上記真空吸着ステージ2の基板載置領域13に近接する方向へ動作させることができるようにしてある。一方、上記各水平動用シリンダ27の同期した収縮動作により、上記各ガイドブロック26と一体に上記各係止爪部材7を、上記真空吸着ステージ2の基板載置領域13より離反する方向へ動作させることができるようにしてある。
【0035】
なお、上記昇降動作機構8による昇降フレーム18と一緒の各係止爪部材7の昇降範囲は、下端側ストロークエンドでは、上記各係止爪部材7を上記真空吸着ステージ2のステージ上面に近接する位置まで下降させて、該各係止爪部材7の爪部7bの先端を、上記真空吸着ステージ2の空気供給する真空吸着チャック部3上で空気浮上させられる基板1の外周縁部の下面よりも下方に配置することができるように設定してある。
【0036】
一方、上記昇降範囲の上端側ストロークエンドは、上記真空吸着ステージ2の空気供給する真空吸着チャック部3上で空気浮上させられる基板1の外周縁部における下面側に上記各係止爪部材7を係止させる個所、すなわち、該基板1におけるハンド差入側に配置される辺とその対辺を、該各係止爪部材7の上昇に伴って、その下方に位置する上記真空吸着ステージ2のステージ上面との間に上記ロボットハンド11を挿入可能な隙間が形成される高さ位置まで引き上げることができるように設定してある。
【0037】
又、上記水平動作機構9による各係止爪部材7の基板載置領域13に近接する側と、基板載置領域13より離反する側への動作範囲は、基板載置領域13より離反する側のストロークエンドでは、上記各係止爪部材7の爪部7bを、上記基板載置領域13より外側へ或る寸法離反した位置まで退避させることができるように設定してあり、これにより、上記基板載置領域13に配置される基板1の外側で上記各係止爪部材7を該基板1に干渉することなく昇降させることができるようにしてある。
【0038】
一方、上記水平動作機構9による各係止爪部材7の基板載置領域13に近接する側のストロークエンドは、上記各係止爪部材7の爪部7bを、上記基板載置領域13に配置された状態で空気供給される真空吸着チャック部3により空気浮上させられる基板1の外周縁部の下方に挿入できるようにした位置、更には、上記各係止爪部材7の爪部7bを基板1の外周縁部の下面側に係止させた状態で上記昇降動作機構8により昇降フレーム18と一緒に該各係止爪部材7を上昇させて上記基板1の外周縁部におけるハンド差入側に配置される辺とその対辺の部分を持ち上げると、基板1に自重による撓みが生じるようになるが、このような撓みが基板1に生じても該基板1が上記各係止爪部材7の爪部7bより脱落することがないように、上記基板1の撓みによる平面寸法の減少分に応じて上記各係止爪部材7を基板載置領域13の内側へ移動させることができるように設定してある。
【0039】
上記ロボットハンド11は、図1及び図2に示すように、フォーク形状の各爪を略水平方向に延びる厚み寸法の薄い板状としてある。上記各爪の上面側には、多孔質吸着形式又は多数の細孔を具備した孔(穴)吸着形式の真空吸着チャック部12が、たとえば、該各爪の長手方向所要間隔個所毎に設けてある。更に、上記各真空吸着チャック部12に連通接続した空気給排ライン28に、真空引き手段29と空気供給手段30が切換弁31を介して接続してある。これにより、上記切換弁31の操作により上記空気給排ライン28に空気供給手段30を接続した状態では、該空気供給手段30の運転により上記空気給排ライン28を通して上記真空吸着チャック部12に空気16を供給することで、該真空吸着チャック部12よりロボットハンド11の上面側へ上記空気16を噴出させることができるようにしてあり、よって、該真空吸着チャック部12を、上記ロボットハンド11上に配置される基板1を空気浮上させるための空気浮上手段として機能させることができるようにしてある。
【0040】
一方、上記切換弁31の操作により上記空気給排ライン28に真空引き手段29を接続した状態では、該真空引き手段29の運転により上記空気給排ライン28を介して上記真空吸着チャック部12を真空引きすることで、上記ロボットハンド11上に載置する基板1を、該真空吸着チャック部12に吸着して保持することができるようにしてある。
【0041】
なお、上記ロボットハンド11は、後述するように、真空吸着ステージ2からの基板1のアンロードを行う際には、空気供給される真空吸着チャック部3上で空気浮上させられ且つ上記各係止爪部材7によりハンド差入側に位置する辺とその対辺が持ち上げられた状態の基板1と、上記真空吸着ステージ2のステージ上面との間(隙間)に挿入する必要がある。この点に鑑みて、図4に示すように、上記ロボットハンド11の先端部を、上面側に該ロボットハンド11の先端へ向けて下方傾斜するテーパ面32を備えた楔形状とするようにしてもよい。このような構成とすれば、上記真空吸着ステージ2上で上記空気浮上させると共に各係止爪部材7で持ち上げる基板1と、真空吸着ステージ2のステージ上面との間に上記ロボットハンド11の先端をより容易に挿入することができると共に、この際、該ロボットハンド11の先端部が上記基板1の下面に接触しても、該基板1の下面を、上記テーパ面に沿わせてロボットハンド11の上側に円滑に導くことができる。
【0042】
更には、図4に示すように、上記ロボットハンド11の先端部のテーパ面32の部分に、多孔質形式又は多数の細孔を具備した孔(穴)形式の空気噴射手段33を備えるようにしてもよい。なお、該空気噴射手段33には、図示しない空気供給手段より必要に応じて空気を供給できるようにしてあるものとする。かかる構成とした場合は、上記真空吸着ステージ2上で上記空気浮上させると共に各係止爪部材7で持ち上げる基板1と、真空吸着ステージ2のステージ上面との間に上記ロボットハンド11の先端部を挿入するときに、上記空気噴射手段33より上記図示しない空気供給手段から供給される空気を噴射させることにより、該噴射される空気によって上記基板1におけるロボットハンド11の先端部の上方に位置する部分をより強力に空気浮上させることができるようになる。このため、上記ロボットハンド11の先端部を、上記基板1との接触をより抑制した状態で、該基板1と真空吸着ステージのステージ上面との隙間により円滑に挿入することが可能になる。
【0043】
更に、図2に示すように、上記真空吸着ステージ2のステージ上面に設定してある上記基板載置領域13の4つの辺13a,13b,13c,13dのうち、該基板載置領域13に対して上記ロボットハンド11を用いて基板1の搬入と搬出を行うときのワーク移動方向としての基板移動方向と平行に延びる2つの辺13bと13dの中間部の基板載置領域13の外側となる個所には、上記ロボットハンド11により搬送する基板1の基板移動方向と直交する方向への位置ずれを防ぐための昇降ピン34が、該ステージ上面より上方へ突出する状態と、ステージ上面に格納した状態に昇降動作可能に設けてある。
【0044】
本発明のワーク移載装置は、更に、図5に示すように、上記真空吸着ステージ2(図1参照)の上側にワークとしての基板1が載置されているか否かを検出するための載荷センサ36、及び、空気供給する真空吸着チャック3(図1参照)上で空気浮上させられる基板1の上記真空吸着ステージ2のステージ上面からの浮上量(浮上距離)を検出するための浮上センサ37から入力されるそれぞれの検出結果に応じて、上記ワーク昇降手段6の昇降動作機構8の昇降用シリンダ23と水平動作機構9の水平動用シリンダ27に指令を与える機能と、真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に接続された真空引き手段4と空気供給手段5の運転及びこれらに対応する切換弁15(図1参照)の切り換えの制御により上記真空吸着チャック部3における真空引きと空気供給を切換制御する機能とを有するコントローラ35を備える。
【0045】
又、上記ロボットアーム10によるロボットハンド11の位置を制御する機能と、該ロボットハンド11の真空吸着チャック部12に接続された真空引き手段29と空気供給手段30の運転及びこれらに対応する切換弁31(図1参照)の切り換えの制御により上記真空吸着チャック部12における真空引きと空気供給を切換制御する機能とを有するロボットコントローラ38を備え、且つ該ロボットコントローラ38と、上記コントローラ35とを、相互通信あるいは相互連絡可能に接続して、それぞれの機能に対応する部分の動作や処理の連係、いわゆるインターロックを行わせることができるようにしてある。
【0046】
以上の構成としてある本発明のワーク移載装置を用いて上記真空吸着ステージ2上にワークとしての基板1のロードとアンロードを行う場合について、上記コントローラ35及びロボットコントローラ38の処理に沿って説明する。
【0047】
先ず、図示しないオフセット印刷装置における基板1に対するオフセット印刷処理が行われた後に該基板1を保持した基板搬送テーブルを基板設置エリアに配置させた状態で、該基板搬送テーブルの上部の真空吸着ステージ2に、図1に示すように、印刷処理後の基板1が吸着保持されている状態から、該基板1のアンロードを行う場合は、コントローラ35により、予めワーク昇降手段6の水平動作機構9で各係止爪部材7を基板載置領域13より離反する側へ退避させた状態としておく。
【0048】
次に、上記コントローラ35は、載荷センサ36からの入力により上記真空吸着ステージ2の上側に基板1が載置されている状態を確認した上で、上記ワーク昇降手段6の昇降動作機構8へ指令を与えて、図6に示すように、昇降フレーム18と共に上記各係止爪部材7を、該各係止爪部材7の下端が上記真空吸着ステージ2のステージ上面に近接する位置まで下降させる。これにより、上記各係止爪部材7が、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域13に保持されている基板1の外側に配置されるようになる。
【0049】
上記のようにして、上記ワーク昇降手段6の各係止爪部材7が、上記真空吸着ステージ2上の基板1の外側に配置されると、上記コントローラ35は、空気供給手段5を運転すると共に、上記真空吸着ステージ2における真空吸着チャック部3を、図6に示すように真空引きから空気供給に切り換えて、該真空吸着チャック部3よりステージ上面側へ空気16を噴出させる。これにより、上記真空吸着ステージ2における真空吸着チャック部3上で、上記基板1が空気浮上させられるようになる。なお、上記基板1を空気浮上させるときには、上記真空吸着ステージ2のステージ上面に設けてある昇降ピン34を、図6に示すようにステージ上面より突出した配置とさせておくことにより、上記基板1の横ずれを防止できるようにする。
【0050】
次に、上記コントローラ35は、浮上センサ37(図5参照)により検出される上記基板1の上記真空吸着ステージ2上での浮上量が、基板1の下側に各係止爪部材7の爪部7bの先端が挿入可能となるよう予め設定してある所定量に達すると、上記ワーク昇降手段6の水平動作機構9へ指令を与えて、上記各係止爪部材7を基板載置領域13に近接する側へ移動させる。これにより、上記空気浮上された状態の基板1におけるハンド差入側に配置された辺とその対辺の縁部の下面側に、上記各係止爪部材7の爪部7bが挿入され、このため、該基板1の外周縁部における上記各係止爪部材7と対応する個所の下面側が、該各係止爪部材7の爪部7bの上側に受けられるようになる。
【0051】
上記のようにして基板1の外周縁部の上記所定個所の下面側が上記各係止爪部材7の爪部7bの上側に受けられるようになると、上記コントローラ35は、上記昇降動作機構8へ指令を与えて、図7に示すように、昇降フレーム18と共に上記各係止爪部材7を上昇させて、該各係止爪部材7の爪部7bを係止させた上記基板1のハンド差入側に配置された辺とその対辺の部分を、その下方にロボットハンド11を挿入できる高さ位置まで持ち上げる。この際、上記各係止爪部材7を上昇させるときの上昇量は、自重により撓む上記基板1の撓み量が、該基板1自体の破損を招くような過大な撓み量とならない範囲となるようにする。なお、上記基板1の中央部は、上記真空吸着チャック部3よりステージ上面側に噴出させる空気16により非接触で支持された状態となる。
【0052】
次いで、ロボットコントローラ38は、予め、空気供給手段30を運転すると共に、ロボットハンド11の真空吸着チャック部12を、図6に示すように真空引きから空気供給に切り換えて、該真空吸着チャック部12より上方へ向けて空気16を噴出させる状態としておいたロボットハンド11を、図7に示すように、上記真空吸着ステージ2上で空気浮上させられると共にハンド差入側の辺とその対辺の部分が上記各係止爪部材7により持ち上げられている基板1とステージ上面との隙間に挿入する。このとき、ロボットハンド11側の真空吸着チャック部12からも上方へ向けて空気16を噴出させるようにしてあるため、上記基板1における該ロボットハンド11の上方に位置するようになる部分は、該ロボットハンド11の真空吸着チャック部12より噴出する空気16により順次空気浮上させることができるようになるため、該ロボットハンド11を上記基板1の下側に非接触状態で差し込むことができる。
【0053】
その後、上記ロボットハンド11が基板1を下方から保持できる位置まで十分に差し込まれると、上記コントローラ35とロボットコントローラ38は、それぞれ対応する真空吸着チャック部3及び12からの空気16の噴出しを停止させる。これにより、上記空気浮上が解除された基板1が上記ロボットハンド11の上側に受けられるようになる。
【0054】
更に、上記コントローラ35とロボットコントローラ38は、上記ワーク昇降手段6の各係止爪部材7の位置を下降させるか、又は、上記ロボットハンド11を上昇させることにより、上記各係止爪部材7を上記基板1の外周縁部の下面側より下方へ離反させて、該基板1の全重量を上記ロボットハンド11によって支持させる。
【0055】
このようにして上記基板1がロボットハンド11上に載置されると、上記ロボットコントローラ38は、真空引き手段29を運転すると共に、ロボットハンド11の真空吸着チャック部12を真空引きに切り換えて、該真空吸着チャック部12により上記基板1を吸着して保持させる。
【0056】
上記のようにして各係止爪部材7を基板1より離反させた後は、上記コントローラ35は水平動作機構9に指令を与えて上記各係止爪部材7を基板載置領域13より離反する方向へ移動させ、この状態で、上記ロボットコントローラ38が上記ロボットハンド11を操作して、上記各係止爪部材7の下方を通して上記真空吸着ステージ2の外部へ搬出するようにする。
【0057】
以上の手順により、上記真空吸着ステージ2上からの基板1のアンロードが実施される。
【0058】
一方、上記真空吸着ステージ2上に上記ロボットハンド11を用いてワークとしての基板1のロードを行う場合は、上記コントローラ35及びロボットコントローラ38により、上記アンロードの実施手順と時と逆の手順を行わせるようにすればよい。
【0059】
このように、本発明のワーク移載装置によれば、上記基板1の上記真空吸着ステージ2に対するロード及びアンロードを、該基板1の上面に全く触れることなく実施することができる。
【0060】
又、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に空気供給を行うことで、上記基板1を空気浮上させ、更に外周縁部の所定個所を係止爪部材7により一時的に持ち上げた状態の基板1の下側で、ロボットハンド11を基板載置領域13に差し入れたり、抜き出したりすることが可能なため、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域13には、基板1の下方にロボットハンド11を挿入できるようにするための溝や、上記真空吸着ステージ2上で基板を一時的に押し上げて該基板1と真空吸着ステージ2のステージ上面との間にロボットハンド11を挿入できるような隙間を形成させるための昇降ピンを設ける必要はない。よって、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域13を、ワークである上記基板1の下面全体を接触させることができるようなフラットな面とすることができる。
【0061】
したがって、オフセット印刷処理時に真空吸着ステージ2上に保持させる基板1に対して図示しないブランケットロールより大きな印圧を均一に作用させることができるようになると共に、オフセット印刷処理に供された後の基板1にて、印刷に用いたインクが完全に乾いていなくても、印刷パターンに乱れを生じさせることなく該基板1のアンロードを行うことができる。
【0062】
よって、本発明のワーク移載装置は、基板1上への電極パターンの印刷のように、高い印刷精度が要求されるオフセット印刷装置における印刷対象となるワークである基板1の保持用の真空吸着ステージ2に対する基板1のロードとアンロードを行うための装置として適したものとすることができる。
【0063】
次に、図8及び図9は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図7に示したと同様の構成において、ワーク昇降手段6に基板載置領域13のハンド差入側の辺13aとその対辺13cに対応する個所に配置した係止爪部材7を備える構成に代えて、昇降フレーム18(図1、図3(イ)(ロ)参照)における基板載置領域13のハンド差入側の辺13aに対応する個所の下側にのみ、水平動作機構9(図1、図3(イ)(ロ)参照)によって上記基板載置領域13に近接する側と離反する側へ移動可能な係止爪部材7を設けてなる構成のワーク昇降手段6aを備え、更に、真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域13のハンド差入側より離反する辺13cの中間部の外側に、上記基板載置領域13に配置される基板1の上記ハンド差入側とは反対側への位置ずれを防ぐための昇降ピン39を、該真空吸着ステージ2のステージ上面より上方へ突出する状態と、ステージ上面に格納した状態に昇降動作可能に設けた構成としてある。
【0064】
これにより、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に空気供給して該真空吸着チャック部3の上側で空気浮上させた状態の基板1に対し、上記ワーク昇降手段6aの各係止爪部材7を近接させるときには、ステージ上面より突出させた上記昇降ピン39により、上記基板1の上記ハンド差入側とは反対側への変位を防止し、よって、該基板1のハンド差入側の辺の下側に、上記各係止爪部材7の爪部7bを確実に挿入することができるようにしてある。
【0065】
更に、本実施の形態では、上記真空吸着ステージ2の空気供給する真空吸着チャック部3上で空気浮上させる基板1に、上記ワーク昇降手段6aにおける各係止爪部材7の爪部7bを係止させた状態で該各係止爪部材7を上昇させると、上記基板1におけるハンド差入側に位置する辺の部分側のみが持ち上げられることに鑑みて、図8に示すように、上記真空吸着チャック部3に、上記ハンド差入側の区画3aと、ハンド差入側より離反する側の区画3bを、該真空吸着チャック部3を二分するように設けて、上記基板1を空気浮上させるために真空吸着チャック部3に空気供給を行うときには、上記ハンド差入側の区画3aに、上記ハンド差入側より離反する側の区画3bよりも多い流量で空気16を供給することができるようにしてある。
【0066】
なお、図8における空気供給手段5aは、空気供給手段5bよりも空気供給能力が大きいものとする。又、上記真空吸着チャック部3のハンド差入側の区画3aと、ハンド差入側より離反する側の区画3bには、切換え操作が連動するようにしてある2個一組の切換弁15aと15bが、空気給排ライン14aと14bを介して個別に接続してあり、図8に示すように、上記各切換弁15aと15bの一方のポートに、上記空気供給能力が大小異なる空気供給手段5aと5bがそれぞれ接続してあると共に、該各切換弁15aと15bの他方のポートに、共通の真空引き手段4が接続してある。これにより、上記各切換弁15aと15bの連動した切換え操作により、上記したように、上記真空吸着チャック部3におけるハンド差入側の区画3aに、ハンド差入側より離反する側の区画3bよりも多い流量で空気16を供給する状態と、上記両区画3a,3bを共に真空引きする状態とを切り換えることができるようにしてある。
【0067】
その他の構成は図1乃至図7に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0068】
以上の構成としてある本実施の形態のワーク移載装置によっても、上記基板1の真空吸着ステージ2に対するロード及びアンロードを、該基板1の上面に全く触れることなく実施することができる。よって、図1乃至図7の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、ワーク昇降手段6における昇降動作機構8及び水平動作機構9は、それぞれ対応する昇降フレーム18の昇降動作、及び、各係止爪部材7の基板載置領域13に近接、離反する方向への動作を行わせることができるようにしてあれば、ボールねじ方式や台形ねじ方式、チェーンによる駆動機構、ラック・ピニオンによる駆動機構等、図示した昇降用シリンダ23や水平動用シリンダ27以外のいかなる形式の往復動手段を採用してもよい。
【0070】
ワーク昇降手段6の固定フレーム17や昇降フレーム18は、係止爪部材7を前述の所定個所に配置できるようにしてあれば、その平面形状を矩形状以外の任意の形状としてもよい。
【0071】
係止爪部材7の数は、真空吸着ステージ2上へのロードとアンロードの実施が望まれるワークとしての基板1の平面形状やサイズに応じて適宜変更してもよい。
【0072】
又、ワーク昇降手段6は、基板載置領域13における基板移動方向と平行な辺13b及び13dに対応する個所に、該基板載置領域13に配置される基板1の外周縁部に係止させるための係止爪部材7を、上記基板載置領域13に近接、離反する方向へ移動可能に設けた構成としてもよい。かかる構成とする場合は、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域13の基板移動方向と平行な辺13b及び13dに対応する個所の基板載置領域13外側の昇降ピン34は省略してもよい。
【0073】
ロボットハンド11の爪の本数や幅寸法は、適宜変更してもよい。又、ロボットハンド11に設ける真空吸着チャック部12は、形状や、該ロボットハンド11の各爪の長手方向の配置及び配列する数を適宜変更してもよい。
【0074】
又、ロボットハンド11に、真空引きと空気供給を切換可能な真空吸着チャック部12に代えて、空気16を上方へ噴出させる機能のみを有する空気浮上手段を備えた構成としてもよい。この場合は、上記ロボットハンド11による基板1の保持は、上記空気浮上手段からの空気16の噴出しを停止させた状態のロボットハンド11上に、該基板1を載置することで行わせるようにすればよい。
【0075】
本発明のワーク移載装置は、上面への接触の防止が望まれる平板状のワークであれば、印刷対象となる基板1以外のいかなるワークの移載に適用してもよい。したがって、本発明のワーク移載装置は、オフセット印刷装置の基板搬送テーブル上に装備された真空吸着ステージ2以外のいかなる真空吸着ステージ2に対するワークのロードとアンロードを行うために適用してもよい。
【0076】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
1 基板(ワーク)
2 真空吸着ステージ
3 真空吸着チャック部
4 真空引き手段
5 空気供給手段
6 ワーク昇降手段
7 係止爪部材
11 ロボットハンド
12 真空吸着チャック部(空気浮上手段)
13 基板載置領域(ワーク載置領域)
32 テーパ面
33 空気噴射手段
34 昇降ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをワーク載置領域に載置して保持できるようにしてある真空吸着ステージのステージ上面に設けた真空吸着チャック部に、真空引きと空気供給を行うための真空引き手段と空気供給手段を、真空引きと空気供給を切り換え可能に接続し、上記真空吸着ステージ上に進入できるようにしてあるロボットハンドに、ワークを空気浮上させるための空気浮上手段を備え、更に、上記真空吸着ステージの上方にワーク昇降手段を設け、該ワーク昇降手段は、上記真空吸着ステージのワーク載置領域に載置したワークにおける少なくとも上記真空吸着ステージ上に上記ロボットハンドを差し入れる側に位置する端縁部の下面側に係止させるための係止爪部材を、上記ワーク載置領域に近接、離反する方向に水平動作可能に且つ昇降動作可能に備えてなるものとした構成を有することを特徴とするワーク移載装置。
【請求項2】
ロボットハンドの先端部の上面側に、該ロボットハンドの先端へ向けて下方傾斜するテーパ面を備え、該テーパ面の部分に、空気噴射手段を備えるようにした請求項1記載のワーク移載装置。
【請求項3】
真空吸着ステージのステージ上面で且つワーク載置領域におけるロボットハンドによりワークを搬入搬出するときのワーク移動方向に平行な辺のワーク載置領域の外側となる位置に、昇降ピンを設けるようにした請求項1又は2記載のワーク移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−99736(P2012−99736A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247812(P2010−247812)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】