説明

一体化された印刷表面をもつ印刷スリーブ

中空の円筒形基底層及びその一番外側層として継ぎ目のない像記録表面を含んでなる継ぎ目のない印刷スリーブが記載される。像記録表面は一体型のフレキソ印刷表面として働く。印刷スリーブは好ましくは、基底層の外面と像記録表面間に中間の感光性重合体又は弾性の重合体層を含んでなる。更に基底層は好ましくは、化学線に均一に透過性又は半透過性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相補的印刷シリンダーに軸方向に容易に設置可能でそしてそれから取り外し可能な、その上に一体の像記録可能な表面を有する円筒形の印刷スリーブを開示する。
【背景技術】
【0002】
歴史的にフレキソ印刷においては、感光性重合体から加工される平らな、柔軟な印刷版は、シリンダーの周囲に印刷版を巻き付け、クランプ、テープ、磁石又はその他の類似の装置のような様々な方法を使用してそれに固定することにより、印刷シリンダー上にに手で取り付けられた。この方法は有効ではあるが、労力を要し、シリンダー上への印刷版の位置合せが正確であることを確保するために多大の注意を払わなければならない。典型的には、印刷工程中に更なる圧縮を許すために圧縮性材料が印刷シリンダーと印刷版の間に挿入される。
【0003】
前記の印刷工程に関しては、様々な印刷作業に合せるために標準的印刷シリンダーの直径を増加するために、円筒形の印刷スリーブを使用することができた。この場合には、印刷スリーブを印刷シリンダー上に嵌合させて、次に印刷版及び、使用される場合には圧縮性材料を印刷スリーブ上に取り付ける。この方法における印刷スリーブの使用は広範な印刷作業に対して1種の標準的印刷シリンダー(高強度の金属から加工され、高価な)の使用を可能にする。これに関しては、その教示物がそれら全体の引用により本明細書に取り込まれている特許文献1を参照されたい(特許文献1参照)。
【0004】
様々な形態の中空の円筒形スリーブは特許文献2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13及び14から知られ、それらそれぞれの教示物はそれら全体を本明細書に取り込まれている(特許文献2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13及び14参照)。概括的にこれらのスリーブは特別の効果のために最適化された様々な材料の層を含む。
【0005】
印刷版を印刷スリーブと合せる努力が実施されてきた。例えば、熱を使用して印刷スリーブに平らな感光性重合体の印刷版が接着されている商品が、商標SEAMEXTMとしてOEC Graphics,Inc.により提供されている。しかし、この工程により、平らな印刷版の末端を接合することにより生ずる継ぎ目を排除する試みにおいて、問題が生ずる。更に、SEAMEXTMの工程は長く、労力を要する。感光性重合体がさらされる熱履歴のために像記録の忠実性の劣化も生ずる可能性がある。
【0006】
Busshoffに対する公開特許出願文献15は感光性像記録可能材料がスリーブの表面上に配置された印刷スリーブにつき考察している(特許文献15参照)。しかし、印刷スリーブの表面に対する感光性像記録材料の弱い接着性のために、Busshoffに従って製造されたスリーブの印刷の品質が損なわれると考えられる。接着性の問題は、感光像記録可能材料が現像される時に感光性像記録可能材料の他の部分から分離される微細な詳細な特徴物(features)を形成するために像記録される時には特に面倒である。この場合は、これらの微細な独立の特徴物の弱い接着性が印刷の忠実性の喪失をもたらすであろう。
【特許文献1】米国特許第4,903,597号明細書
【特許文献2】米国特許第4,391,898号明細書
【特許文献3】米国特許第4,503,769号明細書
【特許文献4】米国特許第4,554,040号明細書
【特許文献5】米国特許第4,601,928号明細書
【特許文献6】米国特許第4,656,942号明細書
【特許文献7】米国特許第4,812,219号明細書
【特許文献8】米国特許第4,949,445号明細書
【特許文献9】米国特許第4,963,404号明細書
【特許文献10】米国特許第5,468,568号明細書
【特許文献11】米国特許第5,819,657号明細書
【特許文献12】米国特許第5,840,386号明細書
【特許文献13】米国特許第6,038,971号明細書
【特許文献14】米国特許第6,038,975号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2003/0157285号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従うと、好ましくは薄い壁の一体式の、継ぎ目のない印刷表面をもつ印刷スリーブが提供され、該スリーブは順次、(i)重合体樹脂を含む中空の円筒形基底層、(ii)円筒形基底層上の好ましくは、圧縮性層、(iii)感光性重合材料又はその他の重合弾性材料の層、及び(iv)像記録可能表面を有する材料の層、を含む。印刷スリーブ上の連続的層である、感光性重合材料又はその他の重合弾性材料の中間層(iii)を含むことは像記録可能な(感光性重合可能な)表面の接着性を改善し、独立した微細な、詳細な特徴物の像記録及び優れた品質を伴う印刷を可能にすることが見いだされた。前記の印刷スリーブの製法の説明もまた本明細書に開示される。
【0008】
本発明は一体式の像記録可能な印刷表面を有する中空の円筒形印刷スリーブに関する。本発明の印刷スリーブは以下の要素:
(1)場合により繊維強化された高強度の重合体樹脂から製造された中空の円筒形基底層10、
(2)場合により、圧縮性材料の層12、
(3)床層(floor layer)と呼ばれる光重合された感光性重合体又はその他の重合弾性材料の層14(場合により、層12及び14は全く同一層でもよい)、
(4)像記録可能層と呼ばれる少なくとも1層の像記録可能な(好ましくは、感光性像記録可能の)材料16及び
(5)場合により、感光性像記録可能材料を重合するために使用される波長の光線を吸収するが、レーザーアブレーション又はその他の同等な方法により選択的に除去可能なマスキング層18、
を含んでなる。
【0009】
中空の円筒形基底層10は本質的に印刷スリーブであるので、中空の円筒形基底層10は先行技術の印刷スリーブ製造に適用できる材料及び方法を使用して加工することができる。しかし、基底層10が継ぎ目のない表面を有するように、基底層10は繊維材料で強化された重合体樹脂から加工されることが好ましい。
【0010】
繊維材料はガラス、炭素、金属、セラミック、アラミドの繊維又は基底層10の安定性、剛性(stiffness)及び剛性(rigidity)を増加する他の任意の合成の長繊維を含むことができる。繊維材料は好ましくは、ガラス繊維の布である。基底層10の繊維材料の含量は好ましくは、約20−70重量(weight)である。
【0011】
基底層10を加工する際に有用な好ましい樹脂にはポリエステル樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂が含まれるが、エポキシ樹脂がもっとも好ましい。適切な樹脂には以下の市販の樹脂:MinnesotaのEpoxical Inc,からのEpoxical樹脂及びEpoxical硬化剤並びにJeffCo and Bakelite,Augusta,GAからの他のEpoxy樹脂が含まれる。基底層10は好ましくは、化学線が像記録可能層16に基底層10の内面をとおって伝達され得るように実質的に均一に透過性又は半透過性である。基底層10が実質的に均一に透過性又は半透過性である場合には、別の圧縮性層12は好ましくは使用されず、床層14は像記録可能層16と同一であることができ、床層14は基底層10をとおる背面露光(back exposure)により形成される。均一に透過性又は半透過性の基底層10を形成する1方法は繊維材料を含まない(with no fibrous mateiral)比較的透明な樹脂を使用することによる。
【0012】
基底層10を加工する1方法は中空のシリンダーの所望の内径である回転しているマンドレルの周囲を1もしくは複数の選択された樹脂及び1もしくは複数の繊維材料の層を連続的に又は反復してコート(coat)することである。基底層10の壁の厚さが所望の
壁の厚さを僅かに超えるまで樹脂及び繊維材料の継続的層を適用する。この時点で、熱、化学線及び/又は放射エネルギーを使用して樹脂を硬化する。次に基底層10をマンドレルから分離する。次に基底層10の外径をペーパー仕上げ、研磨あるいは機械加工してサイズを調整する。それに代わる製法は樹脂及び繊維材料を直接押し出して必要な中空のシリンダーを形成することから成ると考えられる。次にシリンダーを硬化し、仕様に仕上げる。
【0013】
基底層10は好ましくは、それが容易に印刷シリンダーに取り付けられそしてそれから外されることができるように、約100p.s.i.または約100p.s.i.未満の空気圧を使用して、内径が僅かに膨張することができるために十分に柔軟で弾性である。しかし、空気圧が解放されると、基底層10の内径はそれが印刷シリンダー上にぴったり嵌合するようにその最初の仕様の内径に収縮しなければならない。空気圧を適用されると、空気が印刷シリンダーの外面と基底層10の内面の間の空間を充填し、それにより基底層10の内径が一時的に膨張して、基底層10を容易に印刷シリンダーに設置させ又はそれから取り外させるように、この操作のための空気圧が印刷シリンダーの表面に小さな穴を通して配送される。基底層10は通常約10ミル(mils)(0.254mm)−100ミル(2.54mm)の厚さの範囲にある。
【0014】
一旦基底層10が加工されると、圧縮性材料の層12が場合により基底層10の外面に適用される。圧縮性層は多数の形態を採ることができる。圧縮性材料12は基底層10の外面に接着された硬い発泡体材料の層からなることができる。この場合は、硬い発泡体の末端が合わさる望ましくない継ぎ目が生じるであろう。あるいはまた、そして好ましくは、圧縮性材料の層12は中空の微小球を未硬化の光硬化性又は熱硬化性樹脂調製物と均一に混合することにより形成することができる。次に樹脂/微小球混合物をナイフ又は押し出しを使用して1もしくは複数層で基底層10に適用して均一な厚さを与える。次に樹脂の微小球層を熱、化学線及び/又は放射エネルギーを適宜使用して、硬化させる。好ましくは、微小球の圧縮性発泡体層を硬化するためには電子ビーム硬化が有利に使用される。第3の代案において、ポリウレタンのような軟らかい弾性の重合体あるいはスチレン−イソプレン−スチレン又はスチレン−ブタジエン−スチレン光硬化性層のより軟らかいバージョンを圧縮性材料として使用することができる。この場合は、未硬化材料を均一な厚さを確保するためにナイフ又は押し出しを使用して同様に適用し、次にそのまま硬化させる。圧縮性層を適用し光硬化後、好ましくは更に研磨又はペーパー仕上げを実施して、継ぎ目のない表面を達成する。第2又は第3いずれかの代案は好ましい継ぎ目のない層を形成する。
【0015】
圧縮性材料の層の厚さは使用されている材料及び特定の印刷適用に応じて変動することができる。概括的に1層の圧縮性材料が使用される場合は、層の厚さは約20ミル〜40ミルの範囲にあることができる。圧縮性層のこの厚さが有意なドット・ゲインを伴わずに印刷中に広い範囲の(wide latitude of)約20ミルの刷り(impression)を確保する。圧縮性材料の硬化層は仕様にあわせてペーパー仕上げ、研磨あるいは他の方法で機械加工して、継ぎ目のない表面を達成することができる。
【0016】
次に、圧縮性材料層が使用されようとされまいと、感光性重合体又はその他の弾性の重合体材料の実質的に連続的層を基底層10の外面上に又は、使用される場合は圧縮性材料の層の外面上に適用する。本明細書で使用される、感光性重合体又はその他の弾性重合体材料のこの実質的連続層は床層14と呼ばれる。圧縮性層12及び床層14は全く同一であることは極めて可能である。床層及び圧縮性層が同一である場合は、その圧縮性を増加するために、重合体/感光性重合体組成物中に微小球を含むことができる。床層14は好ましくは、感光性重合体を含んでなり、それはその後、像記録可能層16が適用される前に硬化される。床層の光硬化は正面をとおって一定の長さの時間、化学線に対する面露出により達成される。再度、床層14は硬化後に好ましくは、仕様に合わせてペーパー仕上げ、研磨あるいは他の方法で機械加工され、継ぎ目のない表面を達成する。床層14の目的は、像記録可能層16中に非常に微細な独立構造物が現像される時ですら、像記録可能層16が優れた接着性を有し、中空の円筒形基底層構造物に硬く取り付けられたままでい
ることを確保することである。床層14はまた、印刷工程中の微細なドット及びラインに物理的支持を与える。これは像記録性感光性重合体及び床層全体が比較的薄い(全体で〜28−30ミル)構造物に対し特に重要である。本明細書で使用される床層(正面からの面露出)はまた、床(floor)の変動が像の忠実性の劣化を生じるであろう良質の印刷適用に必要な凸版層(relief layer)の極端な均一性を確保する。更に、床層は正面から完全に硬化され得るので、それは処理段階及び露光後/デタック(detack)段階後に非常に乾燥した表面を保証する。床層は像記録層中に存在するものと同一の感光性重合体を含んでなることが好ましい。どちらにしても、床層はその下層及び像記録層に対して良好な接着性を示すことが重要である。光硬化性スチレン・ブロック・コポリマーは概括的に適当な床層を提供する点で有効に作用する。
【0017】
平らな印刷版に対しては、床層は、通常、市販のポリエチレンテレフタレート(「PET」)である裏材をとおる背面露光により得られる。裏材のPETのUV吸収は典型的に印刷版上で非常に均一であるので、背面露光中に裏材を通過する光線量を正確に制御することができる。必要ならば、PETは感光性重合体を速硬化するために、背面露光の均一性を増加するためにUV減衰部分(attenuating moiety)でドープすることができる。しかし、結合剤及び繊維の組み合わせ物を有する本発明の基底層基材(base substrate)のスリーブに対しては、化学線の吸収は非常に不均一である。従って、床の正確なゲージ(gage)を維持することは非常に困難であることが発見された。これはスリーブ全体に不均一な床をもたらし、印刷の完全性の劣化を生じた。更に、より厚いスリーブが使用された場合には、通過する化学線の量は、スリーブが半透明のために極めて小さかった。
【0018】
これを克服するために、正面を通る床層14の露光及び仕様を達成するためのその後の研磨、ペーパー仕上げ等が有利であることが発見された。更に、この段階を使用することが当該技術分野で通常使用される下塗り剤(primers)/接着剤の使用を伴わずにスリーブの表面に高い接着性を達成した。
【0019】
床層14は好ましくは、均一な厚さを確保するためにナイフ又は押し出しを使用して液状押し出し物重合体として適用される。層は、一旦適用された後、熱、化学線及び/又は放射エネルギーを使用して正面から硬化されて、基底層10又は、使用される場合は圧縮性材料の層12の外面上に実質的に連続した継ぎ目のない層を形成する。次に、必要な場合は、床層14を適当な外径にペーパー仕上げ、研磨あるいは他の方法で機械加工することができる。床層の厚さは約5ミル−約134ミルの範囲にあることができる。床層14は、硬化されると、感光性重合体の厚さ及び種類に応じて、40%−70%のレジリエンス及びASTM D2240により測定される30−70ショアAの硬さをもたねばならない。
【0020】
像記録層16は機械的に、光学的に、熱又は融点差によりそして/又は化学的にのいずれかで像記録することができる材料から形成される。像記録層16は好ましくは、光硬化性又は感光重合性材料を含んでなる。再度、継ぎ目のない層を形成するために、光硬化性材料が塗布(spreading)、浸漬、注形(casting)、押し出し又は成形により床層14に適用される。厚さは適宜、ナイフ、ダイ又は成形型(mold)のいずれかを使用することにより調節される。必要な場合は、像記録層16の正確な厚さを研磨、ペーパー仕上げ又はその他の機械加工により調節することができる。所望される場合は、2層以上の像記録層を連続的に適用することができる。
【0021】
床層14及び像記録層16を加工する際に使用のための光硬化性材料は概括的に1もしくは複数の結合剤、1もしくは複数のモノマー及び1もしくは複数の光反応開始剤を含んでなる。結合剤は好ましくは、A−B−A型のブロック・コポリマーを含んでなり、ここでAは非エラストマーブロック、好ましくはビニルポリマー又はもっとも好ましくはポリスチレンを表わし、Bはエラストマーブロック、好ましくは、ポリブタジエン又はポリイソプレンを表わす。非エラストマー対エラストマーの比率は好ましくは、10:90〜35:65の範囲内にある。
【0022】
光硬化性材料はまた、エチレン様不飽和化合物でなければならない少なくとも1モノマ
ーを含んでなる。適当なモノマーには多官能アクリレート、多官能メタクリレート及びポリアクリロイル・オリゴマーが含まれる。適当なモノマーの例には1もしくは複数のエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート及び1,4−ブタンジオールジアクリレートが含まれる。光硬化性材料はまた少なくとも1種の光反応開始剤を含まなければならない。光反応開始剤の任意の知られた種類、特にキノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、アリールケトン、ペルオキシド、ビイミダゾール、ジアシルヨウドニウム、トリアシルスルホニウム、ホスホニウム及びジアゾニウムのようなフリーラジカルの光反応開始剤。結合剤、モノマー及び光反応開始剤に加えて、光硬化性組成物はまた、可塑化剤、抗酸化剤、酸素スカベンジャー、流動性調整剤、着色剤及び充填剤のような当該技術分野で知られたその他の添加剤を含んでなることができる。
【0023】
前記の光硬化材料が床層14及び像記録層16を加工するために好ましいが、フレキソ印刷版を加工するのに有用なすべての光硬化性材料を使用することができる。これに関して有用な光硬化性材料の更なる例については、それらそれぞれの教示物がそれら全体を引用により本明細書中に取り込まれている米国特許第4,045,231号,第4,323,636号、第5,223,375号及び第5,290,633号明細書を参照されたい。像記録層は通常、印刷の適用に応じて約15ミル−35ミルの範囲にわたる。
【0024】
像記録層の上には場合により、しかし好ましくは、マスキング層18がある。マスキング層18の目的は像記録層の選択的重合を可能にすることである。従って、マスキング層18は像記録層16が重合される領域で除去されるか又は化学線に透過性にならなければならないが、同時にフレキソ印刷に必要な凸版印刷像を形成するために像記録層を未重合のままで残して現像させる領域で化学線をブロックしなければならない。
【0025】
マスキング層は好ましくは、所望の像のパターン中でレーザー光線を使用して選択的に融蝕することができる。レーザーアブレーションの場合には、マスキング層は概括的に紫外線吸収材料、赤外線吸収材料及び結合剤を含んでなる。炭素黒又は黒鉛のような暗色の無機顔料は紫外線吸収材料及び赤外線吸収材料の双方として働くことができる。ポリアミド又はセルロース・ポリマーは適した結合剤である。適したマスキング層はそれらそれぞれの教示がそれら全体を引用により本明細書に取り込まれている米国特許第6,605,410号及び第6,238,837号明細書に記載されている。
【0026】
マスキング層はいくつかの層を使用して像記録層16上に配置することができる。像記録層16上にそれを直接塗布し、乾燥することができる。それはプラスチックのカバーシートに別個して塗布し、像記録層16とカバーシート間にマスキング層18を伴って像記録層16にカバーシートを積層することができる。この場合は、カバーシートは使用前に剥ぎ取られる。マスキング層は像記録層の未硬化部分を現像(除去)するために使用される現像法を使用して除去可能でなければならない。マスキング層は通常、約1μm−約10μmの範囲にあり、2.5−4.5の光学密度を有する。
【0027】
印刷スリーブは以下の方法で使用することができる:
1.マスキング層18を、レーザー光線と接触されたマスキング層の部分を下に横たわる像記録層16を損傷せずに融蝕除去するような波長及び電力におけるレーザー光線に選択的に露出させる。レーザーは好ましくは、所望の像に従ってマスキング層18の表面をスキャンするようにコンピューターで制御される。これに関してはその開示がその全体を引用により本明細書に取り入れられている米国特許第5,760,880号明細書を参照されたい。
2.次に、印刷スリーブの表面を、前項のマスキング層18の部分の融蝕除去の結果として露光された像記録層16の部分は重合されるが、マスキング層18によりカバーされたままの像記録層16の部分は未重合のままであるように化学線にさらす。
3.マスキング層及び、像記録層の未重合部分が除去されて、所望の像中に浮き彫りとし
て浮き出ている像記録層の重合部分を残すように、印刷スリーブに熱及び/又は化学薬品を使用して現像を実施する。
4.場合により、更に、化学線又は熱を使用して残りの像記録層を後硬化及びデタッキング(detacking)を実施する。
5.印刷スリーブの内径を一時拡大するために高圧空気を使用して印刷シリンダー上に印刷スリーブを嵌合し、次に印刷スリーブが収縮して印刷シリンダー上に嵌合するように高圧空気を除去する。
6.場合により、印刷スリーブの内径を一時拡大するために高圧空気を使用してブリッジシリンダー上に上記印刷スリーブを嵌合し、次に印刷スリーブが収縮してブリッジシリンダー上に嵌合するように高圧空気を除去する。次にブリッジシリンダーは印刷構成物として働く。ブリッジシリンダーの適当な例はMacDermid Printing Solutionsから入手できるEliminatorTMである。
7.フレキソ印刷機に印刷シリンダーを設置して印刷を開始する。
【実施例】
【0028】
マンドレルの不完全部又は欠損を検査し、完全に洗浄する。マンドレルに離型を適用し、100°−120°Fに前以て加熱する。エポキシ樹脂と硬化剤(比率約3.3:1)を濃厚になるまで1−2分間手で混合する。次にこの樹脂硬化剤混合物をマンドレルに適用する。次に、4−インチ(9.6cm)の幅に前以て切断されたタイプ106−ガラス繊維の布を、布が確実に全体的に湿るようにマンドレルに巻き付ける。次にポリマー−ガラス複合体を約30分間熱を適用することにより架橋又はゲル化させる。取り外しを補助するためにスリーブとマンドレル間に圧縮空気を導入することによりスリーブとマンドレルがまだ熱い間にスリーブをマンドレルから取り外す。次にスリーブを120°Fで4時間焼結する。焼結段階後、スリーブを仕様のゲージ(16ミル+/−1/2ミルの壁の厚さ)に更に機械加工又は研磨する。
【0029】
床層(表I)を最初に中空の円筒形基底層のいずれかの上に押し出す。次に床層をUV化学線で又は電子ビーム光線のいずれかにより硬化する。次にそれを床に必要な仕様のゲージ(少なくとも20−40ミルの厚さ)に研磨する。次に感光性重合体の像記録層(表II)を床層の上に押し出す。次にこれを必要な仕様ゲージ(通常20−25ミル)に研磨する。マスク層をローラー塗操作を使用して感光性重合体の上に更に適用する。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0032】
以下は本発明の詳細な説明と一緒に参照されなければならない図面の簡単な説明である。
【図1】本発明の中空の円筒形印刷スリーブの1態様の断面図を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.中空の円筒形基底層、
b.感光性重合体及び硬化されると少なくとも40%のレジリエンスをもつ重合体からなる群から選択される硬化された重合体を含む、実質的に連続的な床層並びに
c.少なくとも1層の像記録可能材料、
を含んでなる一体化された像記録可能な印刷表面をもつ中空の円筒形印刷スリーブ。
【請求項2】
基底層が、約100psi未満の流体圧を使用して膨張可能であり、そして流体圧が取り除かれるとその元のサイズに収縮する硬化重合体樹脂を含んでなる請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項3】
印刷スリーブが更に1層の圧縮性材料を含んでなる請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項4】
床層が感光性重合体を含んでなる請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項5】
像記録可能材料が感光性重合体を含んでなる請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項6】
印刷スリーブが更に像記録可能材料の一番外側の表面上にマスキング層を含んでなる請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項7】
基底層が化学線に実質的に均一に透過性又は半透過性である請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項8】
基底層が繊維強化重合体を含んでなる請求項2記載の印刷スリーブ。
【請求項9】
圧縮性材料が30−70のショアA硬さ及び40−70%のレジリエンスを有する請求項3記載の印刷スリーブ。
【請求項10】
感光性重合体がA−B−A型のブロック・コポリマーを含んでなる請求項4記載の印刷スリーブ。
【請求項11】
感光性重合体がA−B−A型のブロック・コポリマーを含んでなる請求項5記載の印刷スリーブ。
【請求項12】
マスキング層が、選択される波長及び電力におけるレーザーエネルギーを使用して選択的に融蝕可能である請求項6記載の印刷スリーブ。
【請求項13】
印刷スリーブが更に像記録可能材料の一番外側の層上にマスキング層を含んでなる請求項5記載の印刷スリーブ。
【請求項14】
基底層が繊維強化重合体を含んでなる請求項13記載の印刷スリーブ。
【請求項15】
基底層が化学線に実質的に均一に透過性又は半透過性である請求項13記載の印刷スリーブ。
【請求項16】
感光性重合体がA−B−A型のコポリマーを含んでなる請求項14記載の印刷スリーブ。
【請求項17】
マスキング層が、選択される波長及び電力におけるレーザーエネルギーを使用して選択
的に融蝕可能な請求項14記載の印刷スリーブ。
【請求項18】
床層が更に微小球を含んでなる請求項1記載の印刷スリーブ。
【請求項19】
(a)化学線に実質的に均一に透過性又は半透過性である中空の円筒形基底層、
(b)感光性重合体を含んでなる、基底層の外面上の少なくとも1層の像記録可能材料、を含んでなる一体化された像記録可能な印刷表面をもつ中空の円筒形印刷スリーブ。
【請求項20】
基底層が約100psi未満の流体圧を使用して膨張可能であり、流体圧が除去されるとその元のサイズに収縮する硬化重合体樹脂を含んでなる請求項19記載の印刷スリーブ。
【請求項21】
印刷スリーブが更に像記録可能材料の一番外側の層上にマスキング層を含んでなる請求項19記載の印刷スリーブ。
【請求項22】
感光性重合体がA−B−A型のブロック・コポリマーを含んでなる請求項19記載の印刷スリーブ。
【請求項23】
マスキング層が、選択される波長及び電力におけるレーザーエネルギーを使用して選択的に融蝕可能である請求項21記載の印刷スリーブ。
【請求項24】
感光性重合体がA−B−A型ブロック・コポリマーを含んでなる請求項23記載の印刷スリーブ。
【請求項25】
スリーブが更に、中空の円筒形基底層と少なくとも1層の像記録可能材料間に実質的に連続的な床層を含んでなり、該床層が化学線に実質的に均一に透過性又は半透過性であり、そして該床層が感光性重合体及び、硬化されると少なくとも40%のレジリエンスをもつ重合体からなる群から選択される硬化重合体を含む、請求項19記載の印刷スリーブ。
【請求項26】
該床層が更に微小球を含んでなる請求項25記載の印刷スリーブ。

【図1】
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【公表番号】特表2007−517696(P2007−517696A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549300(P2006−549300)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042815
【国際公開番号】WO2005/070690
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(505317089)マクダーミド・プリンテイング・ソリユーシヨンズ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】