説明

一定濃度の蒸発のための方法およびその方法を使用する装置

【課題】化学蒸着(CVD)用金属含有前駆体を一定濃度で蒸発させる装置及び方法を提供する。
【解決手段】本装置は外部ケーシング102と内部ケーシング110からなりその間を流体で恒温とした蒸発器100と熱交換器304からなり、内部ケーシングはキャリア流体を導入する第1の導管210と前駆体を同伴したキャリア流体を取り出す第2の導管214、熱交換器から蒸発器へ前駆体を導入する第1の前駆体導管306からなっている。熱交換器を蒸発器の近傍に配置することによって、蒸発器内の前駆体の温度と同じ温度で蒸発器に新たな前駆体を供給できるので、蒸発器内の前駆体を実質的に一定の温度に維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一定濃度の蒸発のための方法およびその方法を使用する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属含有膜は様々な電子および光電子用途に使用される。エレクトロニクス産業、特に半導体産業においては、化学蒸着(CVD)プロセスが多くの場合使用されて、基体上に金属含有層(または膜)を堆積させる。金属含有前駆体および場合によってはドーパント(以降「前駆体」)が堆積反応器に送達され、基体上に堆積されて、金属含有膜を形成する。前駆体は一般的にバブラー(シリンダーまたは蒸発器とも称される)内に提供される。使用においては、キャリア流体がバブラーに入り、前駆体を通過し、前駆体で飽和することとなり、次いでキャリアガス/前駆体蒸気混合物がシリンダーを出て、堆積反応チャンバーに向かわせられる。堆積チャンバーにおいては、前駆体からの金属を含む層または膜が基体上で成長させられる。基体はシリコンウェハ、サファイアウェハ、InPウェハ、GaAsウェハ、SiCウェハ、ゲルマニウムウェハなどの任意の好適な物質であることができる。
【0003】
商業的に入手可能な自動リフィルシステムに利用されるものをはじめとするバブラーは、得られる蒸気濃度に悪影響を及ぼしうる流体量におけるずれを補正するために、比較的大きな流体体積に頼っている。光ファイバーおよび半導体産業における蒸気源は多くの場合危険な流体なので、作業場所内でこれら流体の多くの最大許容体積を低減させることが望まれる。よって、蒸気濃度制御を悪化させることなく蒸気発生点において必要とされる流体体積を低減させることが望まれる。
【0004】
バブラー容器は単一の管を含み、この管は膨張可能な体積の前駆体を保持する。キャリア流体が流体カラム内に導入され、それを通って上昇し、そして前駆体表面を出てヘッドスペースに至る。キャリア流体が流体カラムを通過するにつれて、キャリア流体は蒸気を同伴することとなり、このことは対応する流体体積の低減をもたらす。次いで、同伴された蒸気は基体の表面に移送され、そこで蒸気は化学的に反応して物質膜を形成する。キャリア流体もしくは流体の温度もしくは圧力に変動がある場合には、その変動は不均一な生成物の形成をもたらす。
【0005】
狭い規格範囲内にあって、かつ再現性があり互換性のある半導体もしくは繊維を製造するために、製造プロセス中に変動しない蒸気濃度を使用することが望ましい。よって、再現性があってかつ一定の生成物を得るために、蒸気を含むキャリア流体の温度、キャリア流体滞留時間(すなわち、バブラー中の液体レベル)およびキャリア流体の蒸気圧を制御することが望ましい。
【0006】
キャリア流体中の化学物質蒸気の濃度に影響を及ぼす可変事項の1つは前駆体の温度である。揮発性前駆体の蒸気圧は前駆体の温度の関数である。よって、何らかの所定の温度において、キャリア流体は平衡条件で化学物質蒸気で飽和されることとなる。温度が一定範囲のままである限りは、キャリア流体および化学物質蒸気はその平衡飽和条件で共存する。しかし、温度が低下すると、化学物質蒸気の一部分が蒸気状態から凝縮して、キャリア流体中の化学物質蒸気の濃度の変化をもたらす。
【0007】
バブラー内の温度を制御するために、市販のユニットは組み合わせられた冷却装置および加熱装置ユニットを使用する。これらの装置は、周囲温度から独立して蒸発器における温度を調節する簡便な手段を提供する。プロセス装置に送達されるときにキャリア流体から化学物質蒸気が凝縮するのを妨げるために、その気体は飽和が起こる温度よりも低い温度にかけられない。低い周囲温度は前駆体の加熱を必要とし、高い周囲温度は前駆体の冷却を必要とする。
【0008】
飽和プロセス中に、蒸気への前駆体の変換は液体からの熱の除去をもたらす。この熱除去の全体的な影響は、前駆体の温度が冷却または加熱媒体の制御温度未満に低下しうることである。温度制御ユニットは、蒸発器への熱フローを増大させることによって、温度の低下を補填することを試みる。しかし、従来の温度制御ユニットは、使用中の蒸発器内の前駆体の設定温度を適切に維持しない。
【0009】
キャリア流体中の化学物質蒸気濃度に影響を及ぼしうるさらに他の可変事項はキャリア流体の圧力である。商業的に入手可能な装置は機械式圧力制御装置を使用しており、これは圧力を感じそして制御するバネおよび隔壁に頼っている。しかし、このような市販の機械式装置に関しては、システムの変化に対する応答において本質的な遅れが存在する。このことは、圧力変動をもたらし、ひいては、このことは、化学物質蒸気濃度の変動を生じさせる。
【0010】
ヌルミ(Nurmi)への米国特許第6,135,433号はバブラー内の前駆体の温度および圧力の制御を教示する。温度はバブラーの周りに配置された加熱用ジャケットおよびバブラーの前駆体中に配置される温度プローブの手段によって制御され、一方、圧力はキャリア流体ライン内の圧トランスデューサーによって制御される。しかし、前駆体は周囲条件に維持される貯蔵タンク内に収容される。このことは、バブラーに供給される前駆体が異なる温度であることをもたらす。さらに、加熱装置がバブラーの外表面上に配置されるので、周囲温度の変動が加熱装置の性能に影響を及ぼし、結果的に、バブラー内の前駆体の温度は変動を受ける。これら温度変動は生成物品質の変動をもたらし、このことは望ましくない。
【0011】
キュラン(Curran)への米国特許第7,011,299号は前駆体の供給を含む、バブラーからの蒸気の送達を制御する方法およびシステムを教示する。キャリア流体および前駆体の蒸気圧はバブラーのヘッドスペース内の圧力を前駆体ラインの圧力に制御することにより制御され、よって圧力および流体ダイナミクスに基づいて再現可能に流体レベルを作り出すことができ、これは従来のレベルセンサーおよび制御装置に頼るものではない。このシステムは、キャリア流体の温度および前駆体の温度が緊密に制御されておらず、様々な基体上に堆積された化学物質の量の濃度変動をもたらすという欠点に悩まされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,135,433号明細書
【特許文献2】米国特許第7,011,299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
よって、生成物品質が安定化されるように温度および圧力変動が最小限にされるバブラーを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において、蒸発器および熱交換器を含む装置が開示され;熱交換器は蒸発器と流体連絡しており;蒸発器は外部ケーシングおよび内部ケーシングを含み;内部ケーシングは外部ケーシング内に配置されており;内部ケーシングはプレートと接触しており;内部ケーシングは第1の導管および第2の導管を取り囲んでおり;第1の導管は蒸発器にキャリア流体を導入するように機能し;第2の導管は前駆体を同伴したキャリア流体を取り出すように機能し;外部ケーシングは取り外し可能にプレートに取り付けられており;プレートは第1の前駆体導管と接触しており;第1の前駆体導管は熱交換器から蒸発器へ前駆体を導入するように機能し;熱交換器は、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合に、蒸発器内の前駆体を実質的に一定の温度に維持するのに有効な距離で蒸発器の近傍に配置されている。
本明細書において、熱交換器において前駆体を加熱または冷却する工程;前駆体を熱交換器から蒸発器に送り出す工程;キャリア流体を第1の導管を介して蒸発器に導入する工程;キャリア流体で前駆体をスパージする工程;並びに、前駆体を同伴したキャリア流体を第2の導管を介して蒸発器から取り出す工程;を含む方法であって、蒸発器は外部ケーシングおよび内部ケーシングを含み;内部ケーシングは外部ケーシング内に配置されており;内部ケーシングはプレートと接触しており;内部ケーシングは第1の導管および第2の導管を取り囲んでおり;熱交換器と蒸発器との近さは、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合に、蒸発器内の前駆体を実質的に一定の温度に維持するのに有効である;方法も開示される。
本明細書において、逆U字型導管をプレートの第1の穴の中に、逆J字型導管をプレートの第2の穴の中に、および第1の前駆体導管をプレートの第3の穴の中に配置する工程、ここで前記プレートは熱交換器に固定されている;並びに、熱交換器がプレートに接触している面と反対側のプレートの面上に内部ケーシングおよび外部ケーシングを配置する工程、ここで内部ケーシングは外部ケーシング内に収容されており、内部ケーシングは逆U字型導管、逆J字型導管および第1の前駆体導管を取り囲んでいる;を含む装置を製造する方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1(A)】図1(A)は蒸発器100の上面図を示す。
【図1(B)】図1(B)は蒸発器100の側面図を示す。
【図2】図2は図1(A)のA−A’の断面をとった蒸発器100の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
同様の参照番号は本開示を通じて同様の要素について言及する。
ある要素が別の要素「上」にあると称される場合には、その要素は当該別の要素上に直接存在しうるか、またはそれらの間に介在要素が存在しうると理解されるであろう。これに対して、ある要素が別の要素の「直接上」にあると称される場合には、介在要素は存在しない。本発明において使用される場合、用語「および/または」は関連して列挙された項目の1以上のいずれかおよび全ての組み合わせを包含する。本明細書において使用される場合、「基体」とは、蒸着によってその上に金属含有膜が堆積されるあらゆる表面をいう。
【0017】
第1の、第2の、第3のなどの用語は、様々な要素、部品、領域、層および/または区域を記述するために本明細書において使用されることができ、これら要素、部品、領域、層および/または区域はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語はある要素、部品、領域、層または区域を別の要素、部品、領域、層または区域から区別するためにのみ使用される。よって、以下で論じられる第1の要素、部品、領域、層または区域、第2の要素、部品、領域、層または区域は、本発明の教示から逸脱することなく命名されうる。
【0018】
本明細書において使用される専門用語は、具体的な実施形態を記述する目的のみについてであり、限定されることを意図していない。用語「含む」は、本明細書において使用される場合には、示された特徴、領域、整数値、工程、操作、要素および/または成分の存在を特定するが、1以上の他の特徴、領域、整数値、工程、操作、要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0019】
さらに、相対的な用語、例えば「下」または「底部」および「上」または「頂部」は、図面において示されるような、ある要素の別の要素に対する関連性を記述するために本明細書において使用されうる。相対的な用語は、図面において描かれた方向に加えて、その装置の異なる方向を包含することを意図することが理解されるであろう。例えば、別の要素の「下」の面上にあると記載される要素は、図面の1つにおける装置がひっくり返される場合には、結果的に当該別の要素の「上」の面上に方向付けられるであろう。よって、この典型的な用語「下」は、図面の具体的な方向に応じて「下」および「上」の方向双方を包含しうる。同様に、別の要素の「下」もしくは「真下」と記載される要素は、図面の1つにおける装置がひっくり返される場合には、当該別の要素の「上」と方向付けられるであろう。よって、この典型的な用語「下」もしくは「真下」は、上および下の方向の双方を包含しうる。
【0020】
他に定義されない限りは、本明細書において使用される全ての用語(技術用語および科学用語など)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義される用語のような用語は、関連する技術分野および本開示の文脈におけるその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明確にそのように定義されていない限りは、理想的なまたは過度に形式的な意味に解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0021】
本明細書においては、理想化された実施形態の概略図である断面図を参照して典型的な実施形態が記載される。そのようなものとして、例えば、製造技術および/または許容範囲の結果として概略図の形状からのバリエーションが予想される。よって、本明細書に記載された実施形態は本明細書において図示される領域の具体的な形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造により生じる形状における派生物を含むものである。例えば、平坦として図示されまたは記載された領域は、典型的には、粗いおよび/または非線形的なフィーチャを有しうる。さらに、図示されている鋭角は丸められていて良い。よって、図面に図示された領域は実際的には概略的であり、その形状はある領域の正確な形状を図示することを意図しておらず、かつ本請求項の範囲を限定することを意図していない。
【0022】
本明細書においては、第1の熱交換器と流体連絡している蒸発器(evaporator)であって、かつ第1の熱交換器からの前駆体が長期間にわたってかなり一定の温度で蒸発器に供給されるように第1の熱交換器の近傍に配置されている蒸発器が開示される。蒸発器を第1の熱交換器の近傍に配置することにより、化学物質液体の温度に対する周囲温度条件の影響が最小限にされ、よって様々な周囲温度条件下で蒸発器が前駆体を実質的に一定の温度で受け取るのを可能にする。その結果、蒸発器内の前駆体の温度は長期間にわたって実質的に一定のままである。
【0023】
ある実施形態においては、第1の熱交換器によって供給される前駆体の温度は蒸発器内にすでに存在する前駆体の温度と同じである。よって、蒸発器は一定の温度に維持されている前駆体の供給を受ける。このことは蒸発器を用いて製造される半導体もしくは他のデバイスの品質の変動を最小限にする。要するに、蒸発器に熱交換器を直接接続することにより、および熱交換器と蒸発器との間の配管を最小限にすることにより、蒸発器内の前駆体温度または圧力の変動が長期間にわたって最小限にされる。このことは、長期間にわたる均一かつ高品質の(例えば、再現性のある)金属含有膜の生産をもたらす。
【0024】
第1の熱交換器内で加熱された前駆体が、周囲への熱の損失なしに蒸発器に移動する様に、第1の熱交換器は蒸発器と直接接触する。ある実施形態においては、第1の熱交換器からの前駆体は蒸発器に送り出され、蒸発器を取り囲むジャケットには送り出されない。言い換えれば、熱交換器内で加熱される流体は基体をコーティングするために使用される反応性流体(前駆体)である。
【0025】
熱交換器と蒸発器との間の距離はできるだけ短くあるべきであるが、熱交換器と蒸発器とを接続する配管が申し分なく断熱されている限りはあらゆる長さであることができた。
ある実施形態においては、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±15℃以内(境界値を含む)の温度で、特に約±25℃以内(境界値を含む)の温度で、さらに特に約±35℃以内(境界値を含む)の温度で変動する場合に、第1の熱交換器の中央から蒸発器(またはバブラー)まで伸びる流体径路における前駆体の温度の変動はない。
【0026】
別の実施形態においては、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±15℃以内(境界値を含む)の温度で、特に約±25℃以内(境界値を含む)の温度で、更に特に約±35℃以内(境界値を含む)の温度で変動する場合に、第1の熱交換器の中央から蒸発器まで伸びる流体径路における前駆体の温度の変動は約±0.1℃以内(境界値を含む)、特に±0.2℃以内(境界値を含む)、さらに特に±0.5℃以内(境界値を含む)である。
【0027】
ある実施形態においては、第1の熱交換器の中央から蒸発器まで伸びる流体径路における前駆体の温度の変動はない。別の実施形態においては、第1の熱交換器の中央から蒸発器まで伸びる流体径路における前駆体の温度の変動は約±0.1℃以内(境界値を含む)、特に±0.2℃以内(境界値を含む)、さらに特に±0.5℃以内(境界値を含む)である。このことは、約24時間以上、特に約36時間以上、さらに特に48時間以上の期間にわたって、約±0.1℃の範囲外(境界値を含む)、特に±0.2℃の範囲外(境界値を含む)、さらに特に±0.5℃の範囲外(境界値を含む)の量で変動しない、第1の熱交換器に収容されている前駆体の温度をもたらす。
【0028】
蒸発器内にすでに存在する前駆体と同じ温度で蒸発器に新たな前駆体を供給することにより、蒸発器内での前駆体の温度および圧力の変動が低減され、その前駆体から製造された生成物の品質は最小限の変動しか受けない。本明細書において言及される最小限の変動とは、前駆体の蒸気圧の±0.5%であり、これは概して、温度における±0.125℃の変動と換算される。例えば、液体がトリメチルガリウムである場合には、蒸発器と熱交換器との組み合わせについて、トリメチルガリウムの蒸気圧を所望の蒸気圧の±0.5%以内(境界値を含む)に制御するのが望ましい。所望の蒸気圧の±0.5%以内(境界値を含む)に蒸気圧を制御することは、トリメチルガリウムの温度変動を所望の温度の±0.125℃以内(境界値を含む)に限定する。
【0029】
図1(A)は蒸発器100の上面図を描き、一方、図1(B)は蒸発器100の側面図を描く。図2は、図1(A)の断面A−A’でとった蒸発器100の断面図を描く。ここでの図1(A)、1(B)および2への言及に関して、蒸発器100は外部ケーシング102を含み、外部ケーシング102は第1の端部104および第2の端部106を含む。蒸発器100の外部ケーシング102は前駆体を収容する内部ケーシング110を取り囲む。内部ケーシング110は、蒸発器100にキャリアガスを送り出すための第1の導管210、および蒸発器100からキャリアガスを取り出すための第2の導管214を取り囲む。ある実施形態においては、第1の導管は逆U字型導管210であり、一方第2の導管はJ字型導管214である。内部ケーシング110は第1の前駆体導管306にも接しており、第1の前駆体導管306は熱交換器300と流体連絡している。第1の前駆体導管306は第2の前駆体導管302と接している。典型的な例においては、第2の前駆体導管302は第1の前駆体導管306よりも狭い断面を有する。第2の前駆体導管302は蒸発器100のできるだけ近くで熱交換器300に包まれる。
【0030】
外部ケーシング102と内部ケーシング110との間の空間118は第1の流体(例えば、水)で満たされ、この第1の流体は内部ケーシング110内に配置される前駆体の温度を制御するように機能する。第1の流体はポート130を通って空間118に入り、ポート132を通ってこの空間を出る。
【0031】
外部ケーシング102の第1の端部104は環境に対して閉じられており、一方、第2の端部106は第1のフランジ108を有し、第1のフランジ108はプレート200の相対する第2のフランジ202と連絡している。第1のフランジ108および相対する第2のフランジ202はシールまたはガスケット208を介して互いに連絡しており、シールまたはガスケット208はキャリア流体または前駆体の漏れを防ぐ。第1のフランジ108および相対する第2のフランジ202は所望により、ナットとボルト、スクリューねじ山、クランプまたは接着剤結合によって一緒に密着させられうる。
【0032】
外部ケーシング102は1つの穴または複数の穴を有することができ、その穴の中に、蒸発器100へのキャリア流体および前駆体の通過を可能にする導管が配置される。典型的な実施形態においては、これらの穴はプレート200に配置される。
【0033】
ある実施形態においては(図示されない)、外部ケーシング102は第1の穴112、第2の穴114、および第3の穴116を有する。第1の穴112および第2の穴114内に配置されるのは、それぞれ、逆U字型導管210および逆J字型導管214である。第3の穴116内に配置されるのは熱交換器300と流体連絡している導管306である。典型的な実施形態においては(図2に示される)、プレート200は第1の穴112、第2の穴114および第3の穴116を有し、これらを、それぞれ、逆U字型導管210、逆J字型導管214、および導管306が通り、この導管306は熱交換器300と流体連絡している。
【0034】
外部ケーシング102および内部ケーシング110は軸BB’に対して垂直に測定される任意の所望の断面形状を有しうる。内部ケーシング110はプレート200上に取り付けられ、外部ケーシング102に対して同軸にまたは偏心して取り付けられうる。内部ケーシング110は、ナットとボルト、スクリューねじ山などによってプレート200に取り外し可能に取り付けられる。ある実施形態においては、内部ケーシング110はプレート200に溶接によって固定的に取り付けられる。さらなる実施形態においては(図示されていない)、熱交換器300全体はプレート200と一体化されうる。
【0035】
典型的な実施形態においては、内部ケーシング110はスクリューねじ山によってプレート200にネジ留めされる。ガスケットは、内部ケーシング110とプレート200との間に配置されることができ、前駆体またはキャリア流体の漏れを防止することができる。内部ケーシング110と外部ケーシング102との間の体積は、温度が±0.05℃以内(境界値を含む)に維持される加熱もしくは冷却媒体を収容する。蒸発器への加熱もしくは冷却媒体の流れを制御する何らかの電子装置もしくは制御装置が、前駆体が±0.5%の蒸気圧恒常性(これは、±0.125℃の温度恒常性に換算される)を示すように加熱もしくは冷却流体の流れを制御することが望ましい。
【0036】
第1のポート204を有する逆U字型導管210が第1の穴112の中に配置される。第2のポート206を有する逆J字型導管214が第2の穴114の中に配置される。キャリア流体は、第1のポート204を介して蒸発器100に入り、第2のポート206を介して出る。第1のポート204、第2のポート206および熱交換器300の導管302は、それぞれ、蒸発器100への入力を制御するためのバルブを有する。
【0037】
第1のポート204は逆U字型導管210と流体連絡している。逆U字型導管210の他方の端はスパージャー212と流体連絡している。スパージャー212は多孔性もしくは穴が開けられた表面を有し、第1のポート204に導入されるキャリア流体が内部ケーシング110内に収容される前駆体を通って分散させられるのを可能にする。ある実施形態においては、スパージャー212は内部ケーシング110の直径にほぼ等しい直径を有する。言い換えれば、スパージャー212の外周は内部ケーシング110の内周にほぼ等しい。この実施形態においては、スパージャーは逆U字型導管およびJ字型導管を収容するための穴を有することができる。別の実施形態においては、スパージャーは、スパージャー212の外周と内部ケーシング110の内周との間に、逆U字型導管および逆J字型導管が配置されるのを可能にするのに充分小さい直径を有することができる。
【0038】
ある実施形態においては、スパージャー212は、多孔性または穴が開けられた表面を有する中空円筒であることができ、その表面を通ってキャリア流体が前駆体中に分散されうる。別の実施形態においては、多孔性表面は、キャリア流体が前駆体を通る小さな泡の形態で分散されるのを可能にする発泡体を含むことができる。この発泡体は約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの孔を有し、金属、セラミック、ポリマーまたはこれらの組み合わせで構成されうる。ある実施形態においては、スパージャーは約1mmの穴サイズを有する多孔板を含む。
【0039】
第2のポート206は逆J字型導管214と流体連絡している。J字型導管の他方の端はスプラッシュシールド(splash−shield)216によって保護される。このスプラッシュシールド216はJ字型導管216の端の前約3〜約10ミリメートル、特に約5ミリメートルに配置される板である。前駆体を同伴するキャリア流体はスプラッシュシールド216の周りに進み、第2のポート206に移動し、これは同時に前駆体の液滴が同じ挙動をするのを妨げる。図2に認められうるように、スプラッシュシールド216は逆U字型管210に方を向いている。ある実施形態においては(図示されていない)、前駆体の液滴が第2のポート206に移動するのをさらに妨げるために、スプラッシュシールドは逆U字型管とは別の方を向いている。
【0040】
プレート200はその上に配置された加熱または冷却ジャケット230を有する。加熱または冷却ジャケット230は入口ポート220および出口ポート222を有し、入口ポートおよび出口ポートを通って加熱もしくは冷却用流体が加熱または冷却ジャケット230に流れ込み、そしてそこから流れ出る。
【0041】
逆U字型導管210、逆J字型導管214、スプラッシュシールド216、内部ケーシング110、スパージャー212、第1の前駆体導管306、および第2の前駆体導管302は、これら全ては前駆体に接触するが、キャリア流体および/または前駆体の温度に耐えうる材料から製造されうる。この材料が前駆体および/またはキャリア流体と反応しないか、または前駆体および/またはキャリア流体の影響下で腐蝕しないことも望ましい。キャリア流体は、水素、酸素、アルゴン、ヘリウム、窒素など、または上記キャリア流体の少なくとも1種を含む組み合わせ物を含む。前駆体は、気体または液体であることができ、三臭化ホウ素、オキシ塩化リン、三臭化リン、四塩化ケイ素、ジクロロシラン、四臭化ケイ素、三塩化ヒ素、三臭化ヒ素、五塩化アンチモン、トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、エチルジメチルインジウム、ターシャリーブチルアルシン、ターシャリーブチルホスフィン、シラン(SiH)、ジクロロシラン(SiHCl)、四塩化ゲルマニウム(GeCl)、四塩化スズ(SnCl)、トリメチルヒ素((CHAs)、トリメチルガリウム((CHGa)、トリエチルガリウム((CGa)、イソブチルゲルマン((C)GeH)、ジエチルテルル((CTe)、ジイソプロピルテルル((CTe)、ジメチル亜鉛((CHZn)、ジエチル亜鉛((CZn)、トリメチルアンチモン((CHSb)、トリエチルアンチモン((CSb)、トリクロロシラン(SiHCl)、アンモニア(NH)、三塩化ホウ素(BCl)、塩素(Cl)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)、三フッ化塩素(ClF)、トリシラン(Si)など、または上記前駆体の少なくとも1種を含む組み合わせ物を含む。
【0042】
ある実施形態においては、前駆体が液体であることが望ましい。液体の例は、四塩化ゲルマニウム(GeCl)、四塩化スズ(SnCl)、トリメチルヒ素((CHAs)、トリメチルガリウム((CHGa)、トリエチルガリウム((CGa)、イソブチルゲルマン((C)GeH)、ジエチルテルル((CTe)、ジイソプロピルテルル((CTe)、ジメチル亜鉛((CHZn)、ジエチル亜鉛((CZn)、トリメチルアンチモン((CHSb)、トリエチルアンチモン((CSb)など、または上記前駆体の少なくとも1種を含む組み合わせ物である。
【0043】
典型的な実施形態においては、U字型導管210、逆J字型導管214、スプラッシュシールド216、内部ケーシング110、スパージャー212は金属、セラミック、プラスチックまたはこれらの組み合わせから製造されうる。
【0044】
好適な金属は、ステンレス鋼、例えば、SS316など、チタン、チタン合金、貴金属、例えば、金、銀、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウム、銅など、または上記金属の少なくとも1種を含む組み合わせ物である。好適なセラミックは、シリカ、石英、アルミナ、チタニアなど、または上記セラミックの少なくとも1種を含む組み合わせ物である。ほぼ室温以上のガラス転移温度および/または結晶融点を有するポリマーを使用することが望ましい。このポリマーは、熱可塑性、熱硬化性、またはこれらの組み合わせであることができる。好適なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアクリラート、フェノール系物質など、または上記ポリマーの少なくとも1種を含む組み合わせ物である。
【0045】
熱交換器300は第2の前駆体導管302および外部ジャケット304を含む。第2の前駆体導管302は第1の前駆体導管306と流体連絡しており、第1の前駆体導管はプレート200の第3の穴116内に配置されており、蒸発器110の内部ケーシング110に前駆体を入れる役割を果たす。プレート200はその中に配置されたレベル検出装置308も有する。レベル検出装置308は、前駆体のための、低レベルマーク120、高レベルマーク122、充填開始マーク124および高レベルマーク126(「充填停止」マークとも称される)を示すために、その上にしるしを有する。内部ケーシング110内の前駆体を、充填開始マーク124と充填停止マーク126との間に維持することが望ましい。これらのマークの間に前駆体を維持することにより、キャリア流体中の前駆体蒸気の量は所望の限度内に維持される。レベル検出装置308は音的装置、圧力カラム、または光学装置であることができる。正確さの増大のために、上記レベル検出装置の組み合わせが使用されうる。
【0046】
第1の前駆体導管306は、熱交換器300を出た後の第1の前駆体導管306内の前駆体の温度を測定する熱電対または感温抵抗器312も含む。熱電対または感温抵抗器312は、熱交換器300に熱を供給する制御装置(図示されていない)と電気的に連絡している。この制御装置はコンピュータ、中央処理ユニットなどであることができる。
【0047】
前駆体の温度が約±0.1℃の範囲外(境界値を含む)、特に約±0.5℃の範囲外(境界値を含む)の量で変動する場合には、制御装置は熱交換器300と交信して、その熱源の温度を調節し、このことは、ひいては、前駆体の温度を調節する。ある実施形態においては、熱交換器300はポート320を通って外部ジャケット304に入り、ポート322を通って出る流体を使用することにより、加熱または冷却されうる。別の実施形態においては、外部ジャケット304は、前駆体を加熱するために使用されうる抵抗性加熱用コイルを含むことができる。
【0048】
内部ケーシング110中の前駆体レベルは様々な手段によって制御されうる。ある実施形態においては、蒸発器内の前駆体含有量は好ましくは、蒸発器の質量もしくは重量を監視することによって制御される。この目的のためには、蒸発器は、重量計(図示されていない)の上に取り付けられ、この容器の質量または重量を連続的に測定する。重量計からの信号は制御装置(図示されていない)に送られ、この制御装置はその重量測定値に基づいて液体供給システムの働きを制御する。制御装置は導管302におけるバルブに信号を送り、これは、蒸発器に導入される液体の流れを連続的に制御し、蒸発器内で一定の液体レベルを維持する。
【0049】
別の実施形態においては、事象尺度機能不全における追加の安全性チェックとして、蒸発器内の高いおよび/または低い液体レベルを検出するために、液体レベルセンサー、例えば、フロートスイッチが導入されうる。これらのセンサーは何らかの異常な状態を操作者に警告するための警報システムに接続されうる。液体レベルおよび前駆体中のキャリア流体の分散の目視による監視および観察を可能にするために、任意的なのぞき窓アセンブリがこの容器に導入されうる。こののぞき窓アセンブリは前駆体の漏れおよび汚染を回避するように漏出耐性であるべきである。こののぞき窓は好ましくはo−リングで密封された石英レンズから構築される。
【0050】
図1(A)、1(B)および2は単一の蒸発器と流体連絡している単一の熱交換器のみを示すが、単一の蒸発器と流体連絡している複数の熱交換器を有することが可能である。
【0051】
ある実施形態においては、蒸発器100を製造する一方法において、第1の穴112、第2の穴114および第3の穴116を有するプレート200には、逆U字型導管210、逆J字型導管214、および第1の前駆体導管306が取り付けられ、この第1の前駆体導管には熱交換器300およびレベル検出装置308が取り付けられる。逆J字型導管214はその上に配置されたスプラッシュシールドを有する。内部ケーシング110はプレート200上にネジで取り付けられる。ある実施形態においては、内部ケーシング100はプレート200上に溶接される。内部ケーシングとプレート200との間にシールが配置される。内部ケーシング110は、熱交換器300およびレベル検出装置308に取り付けられる第1の前駆体導管306、U字型導管210、並びに逆J字型導管214を覆う。プレート200の相対する第2のフランジ202が、次いで、第1のフランジ108と位置あわせさせられ、この2つのフランジがボルトで一緒にされてガスケット208を封入する。
【0052】
ある実施形態においては、蒸発器100を操作する一方法において、貯蔵タンク(図示されていない)からの前駆体がまず熱交換器300に導入される。この貯蔵タンクは、前駆体を蒸発器100の温度と実質的に類似する温度に維持する。熱交換器300は所望の温度に前駆体を加熱もしくは冷却する。蒸発器100と連絡している制御装置は、蒸発器内に望まれる前駆体の量およびキャリア流体の量を決定する。所望の量の前駆体が蒸発器100に送り出されて、内部ケーシング110に貯蔵される。
【0053】
制御装置によって決定された量で、前駆体は熱交換器300から蒸発器100に送り出される。キャリア流体は別の貯蔵タンク(図示されていない)から蒸発器100に送り出される。キャリア流体は逆U字型導管に入り、スパージャー212を介して内部ケーシング110に送り出される。内部ケーシング110は所望の温度で前駆体を収容する。キャリア流体は内部ケーシング110内で前駆体を通ってバブリングして、幾分かの前駆体がキャリア流体中に同伴される。キャリア流体中に前駆体を同伴したキャリア流体は、次いで、逆J字型導管214を通って望まれる処理チャンバーに移動する。
【0054】
上述のように、蒸発器100の近傍に配置された熱交換器300を有することによって、その結果、内部ケーシング110内に存在する前駆体の温度または蒸気圧の変動が非常に小さくなる。これは、処理チャンバーへの実質的に一定の供給流体をもたらし、その流体は、キャリア流体の前駆体に対する実質的に一定の比率を有する。ある実施形態においては、加熱チャンバー300は蒸発器100に非常に近く配置されるので、第2の導管によって蒸発器から取り出された後で、キャリア流体対前駆体の重量比は実質的に一定である。このことは、周囲温度が±15℃以内(境界値を含む)の量で、特に±25℃以内(境界値を含む)の量で、さらに特に±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合でさえ起こる。さらなる実施形態においては、熱交換器300は蒸発器100と一体化される。
【0055】
ある実施形態においては、熱交換器300は蒸発器100の非常に近くに配置されるので、キャリア流体の前駆体に対する重量比(濃度)は約0.1%以上、特に約0.2%以上、さらに特に約0.5%以上の量で変化しない。このことは、周囲温度が±15℃以内(境界値を含む)の量で、特に±25℃以内(境界値を含む)の量で、さらに特に±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合でさえ起こる。
【0056】
本発明は、多くの実施形態に関連づけて詳細に記載されてきたが、本発明はこのような開示された実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、これまで記載されていない任意の数のバリエーション、交換、置換、または同等の配置を組み込むために改変されうるが、これらは本発明の範囲に相応する。さらに、本発明の様々な実施形態が記載されてきたが、本発明の形態は記載された実施形態のいくつかのみを含むことができることが理解されるべきである。従って、本発明は上記記載によって限定されるとは認められず、請求項の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0057】
100 蒸発器
102 外部ケーシング
104 第1の端部
106 第2の端部
108 第1のフランジ
110 内部ケーシング
112 第1の穴
114 第2の穴
116 第3の穴
118 空間
120 低レベルマーク
122 高レベルマーク
124 充填開始マーク
126 充填停止マーク
130、132 ポート
200 プレート
202 第2のフランジ
204 第1のポート
206 第2のポート
208 シールまたはガスケット
210 第1の導管
212 スパージャー
214 第2の導管
216 スプラッシュシールド
220 入口ポート
222 出口ポート
230 加熱または冷却ジャケット
300 熱交換器
302 第2の前駆体導管
304 外部ジャケット
306 第1の前駆体導管
308 レベル検出装置
312 熱電対または感温抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器および熱交換器を含む装置であって、
熱交換器は蒸発器と流体連絡しており;
蒸発器は外部ケーシングおよび内部ケーシングを含み;内部ケーシングは外部ケーシング内に配置されており;内部ケーシングはプレートと接触しており;内部ケーシングは第1の導管および第2の導管を取り囲んでおり;
第1の導管は蒸発器にキャリア流体を導入するように機能し;
第2の導管は前駆体を同伴したキャリア流体を取り出すように機能し;
外部ケーシングは取り外し可能にプレートに取り付けられており;プレートは第1の前駆体導管と接触しており;第1の前駆体導管は熱交換器から蒸発器へ前駆体を導入するように機能し;熱交換器は、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合に、蒸発器内の前駆体を実質的に一定の温度に維持するのに有効な距離で蒸発器の近傍に配置されている;
蒸発器および熱交換器を含む装置。
【請求項2】
第1の導管が逆U字型導管であり、逆U字型導管が、キャリア流体を蒸発器に導入するための第1のポートと流体連絡している一方の端、およびスパージャーと流体連絡している反対側の端を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第2の導管が逆J字型導管であり、逆J字型導管が、前駆体を同伴したキャリア流体を蒸発器から取り出すための第2のポートと流体連絡している一方の端、およびスプラッシュシールドと流体連絡している反対側の端を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
熱交換器と蒸発器との近さが、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合に、キャリア流体の前駆体に対する比率が約0.5%以上の量で変化しないように維持するのに有効である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
熱交換器と蒸発器との近さが、熱交換器から蒸発器への流体径路における前駆体の温度の変動を約±0.1℃以内(境界値を含む)に維持するのに有効である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
逆U字型導管がプレートの穴を通って蒸発器内に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
逆J字型導管がプレートの穴を通って蒸発器内に配置される、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
熱交換器において前駆体を加熱または冷却する工程;
前駆体を熱交換器から蒸発器に送り出す工程;
キャリア流体を第1の導管を介して蒸発器に導入する工程;
キャリア流体で前駆体をスパージする工程;並びに、
前駆体を同伴したキャリア流体を第2の導管を介して蒸発器から取り出す工程;を含み、
蒸発器は外部ケーシングおよび内部ケーシングを含み;内部ケーシングは外部ケーシング内に配置されており;内部ケーシングはプレートと接触しており;内部ケーシングは第1の導管および第2の導管を取り囲んでおり;
熱交換器と蒸発器との近さが、熱交換器および蒸発器の周りの周囲温度が約±35℃以内(境界値を含む)の量で変動する場合に、蒸発器内の前駆体を実質的に一定の温度に維持するのに有効である;
方法。
【請求項9】
外部ケーシングと内部ケーシングとの間の空間において流体を循環させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
逆U字型導管をプレートの第1の穴の中に、逆J字型導管をプレートの第2の穴の中に、および第1の前駆体導管をプレートの第3の穴の中に配置する工程、ここで、前記プレートは熱交換器に固定されている;並びに、
熱交換器がプレートに接触している面と反対側のプレートの面上に内部ケーシングおよび外部ケーシングを配置する工程、ここで、内部ケーシングは外部ケーシング内に収容されており、内部ケーシングは逆U字型導管、逆J字型導管および第1の前駆体導管を取り囲んでいる;
を含む装置を製造する方法。

【図1(A)】
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【図1(B)】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−167680(P2011−167680A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−2670(P2011−2670)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】