説明

一酸化窒素供与体ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオラート部分を有する新規非ステロイド系抗炎症薬

【課題】 本発明は、心血管系リスクならびに消化管リスクを高めることなく関節炎の患者に役立つプロドラッグを提供する。新規のハイブリッド一酸化窒素放出非ステロイド性抗炎症薬(NO-NSAID)群は、従来のNSAIDのアスピリン、イブプロフェン及びインドメタシンのカルボン酸基に、1炭素メチレンスペーサーを介して部分を付加することにより合成される。これらのエステルプロドラッグは、親アスピリン、イブプロフェン、インドメタシンと比較して、インビボで同程度の抗炎症活性を示した。NO-プロドラッグから親ドラッグと一酸化窒素が同時に放出されることは、血栓形成の予防や、脳卒中、心筋梗塞などの有害な心血管イベントの予防に有効であろう。インビボの潰瘍指数(UI)分析で得られたデータから、このエステルプロドラッグ群は同じ用量の親ドラッグと比較して病変が観察されないことが示された。従って、ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート部分を有するこれらハイブリッド非ステロイド性抗炎症薬プロドラッグは、胃潰瘍形成性が低減された抗炎症薬の合理的なデザインのための新しいアプローチである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年10月19日に出願の米国仮特許出願第60/728,364号、ならびに2005年5月16日に出願の米国仮特許出願第60/681,842号の権利を主張するものである。これら先行出願の内容を参照することによりその全体を本出願に含むこととする。
本出願を通じて、様々な出版物を引用する。これらの出版物の全体を参照することにより本出願に含み、本発明に付随する最新技術をさらに詳細に説明することとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、心血管系リスクや消化器リスクを高めることなく、関節炎の患者を助けるプロドラッグを提供する。
【0003】
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)が抗炎症活性を発揮する主な作用機序は、シクロオキシゲナーゼ(COX)由来のプロスタグランジン(PG)合成を阻害することである(文献1-4)。PGは、炎症反応に望ましくない影響を及ぼす因子であることに加え、消化器の細胞保護や血管ホメオスタシスなどの重要な生理的機能も発揮する(文献5-7)。この点に関して、COX-1アイソザイムと比較してCOX-2アイソザイムをより選択的に阻害する薬剤は、胃における細胞保護PGの合成に有益であるのと共に、関節における炎症性PG合成を同時阻害することができる。NSAIDを慢性的に使用すると、消化器の構造と機能の変化を伴い(文献8,9)、その結果、胃潰瘍を進行させる(文献10)。従って、アスピリンの胃刺激効果(1)は、脳卒中や心筋梗塞などの有害な心血管系イベントを予防するための長期使用を抑止する可能性がある(文献11,12)。アスピリンは、COX-1とCOX-2の一次COX結合部位にあるセリン530ヒドロキシル基をアセチル化できる能力を持つことから、特異な非選択的COX阻害薬であると言える。この点に関して、アスピリンは、COX-2に対する阻害作用よりもCOX-1に対する阻害作用が10〜100倍さらに強力である(文献13)。セリン530の弱い求核性を持つOHをアスピリンがアセチル化するのは、まず、アスピリンのCOOHが、COX結合部位の口部近くにあるアルギニン120と結合する結果によると考えられている。このアルギニン120は、アセチル化するセリン530 OHの近傍にオルトアセトキシ部分を位置付ける。経口投与したアスピリンは、血小板のCOX-1のセリン530を不可逆的にアセチル化し(文献14)、その結果、血小板由来トロンボキサンA2 (TxA2)の生合成が完全に阻害される。TxA2は強力な血小板凝集因子であり、同時に、血管収縮と平滑筋増殖も誘発する(文献15,16)。しかし、アスピリンの予防的低用量投与でも、COX-1が介在する胃のPG合成を阻害するため(文献20-23)、消化器出血のリスクが高い(文献17-19)。
【0004】
COX-2阻害薬は、従来型のNSAIDと同程度の効果を有するが、より安全な薬剤となるようデザインした、多くの点で改善が図られた新規の薬剤クラスである。アスピリン、モトリン、アリーブ及びその他の処方薬などの従来型のNSAIDは、プロスタグランジンとして知られる炎症の原因となる化学物質ファミリーの産生を遮断することで作用する。2つの酵素、すなわち、COX-1とCOX-2がこれらのプロスタグランジンの産生に極めて重要である。従来型のNSAIDはCOX-1とCOX-2の両方を阻害する。残念なことに、COX-1とCOX-2の両方をこのように非選択的に阻害すると、血液の凝固を助けるプロスタグランジン、あるいは胃を潰瘍から防御することに関与するプロスタグランジンをも阻害する。このアスピリンならびに関連化合物によるCOX-1とCOX-2の両方の非選択的阻害が、NSAIDに出血や胃潰瘍のリスクを有する理由であると現在では強く考えられている。新規薬剤クラス、すなわちCOX-2阻害薬は、炎症に関与する酵素のみを阻害し、生理的ハウスキーピング機能についてはそのまま維持する。
【0005】
しかし、COX-2阻害薬の安全性については疑問が持たれてきた。最も有名な出来事は、Merck Vioxxが販売した超大型新薬が、Merck社が実施した臨床試験で、心障害および脳卒中障害のリスクを高めることが示されたため、2004年に薬局から撤去されたことである。市販されている他の2種のCOX-2阻害薬であるセレブレックスとベクストラは、安全性について積極的に調べられている。2005年4月7日、米国食品医薬品局(the Food and Drug Administration)は、Pfizerに米国内でのBextraの販売を一時中止するよう求めた。食品医薬品局では、抗炎症関節炎治療のための全ての処方薬に、心血管系リスクおよび消化器リスクについての追加情報を提供するよう求めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一酸化窒素(NO)は消化器粘膜防御の重要なメディエータであり、消化管内でプロスタグランジンと同じ作用の多くを発揮していることが、現在では広く認められている(文献10)。NOは実験モデルで胃損傷の重篤度を軽減させることが示されている(文献24,25)。NO-放出部分をNSAIDに結合させると、NSAIDの毒性が低減するという考えが提唱されている(文献26)。動物実験で、NO-アスピリン(2)、 NO-ナプロキセン(3)、NO-フルビプロフェン(4)及びNO-ジクロフェナク(5)などのNSAIDの広範囲のNO-放出誘導体(図1)が、親ドラッグと同程度効果的にプロスタグランジン合成を抑制するにも関らず、消化管に損傷を与えないことが示されている(文献26-30)。これらNO-放出NSAIDはすべて、NO-放出基として、ニトロキシアルキル基を有している。しかし、このデザインの重大な欠点は、有機硝酸エステルからNOを産生するには、3電子の還元が必要であり、このような代謝が活性化されると、薬剤の継続的使用の効率が低下し、「硝酸塩耐性」の一因となることである(文献31)。この点に関して、O2非置換N-ジアゼン-l-イウム-1, 2-ジオラートは、最大2当量のNOを放出する能力があり、半減期が薬物の作用期間と相関関係を有している。このような観察結果は、N-ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートは代謝の影響をほとんど受けないこと、NO放出前にレドックス活性化を必要とする現在臨床で使える血管拡張薬とは本質的に異なるものであることを示唆している(文献32)。N-ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートには、様々な疾病状態を治療する薬剤をデザインするにあたり特に魅力的な3つの特性がある。すなわち、構造の多様性、NO放出率の信頼性、およびNOが特定の標的臓器及び/又は標的組織部位を標的とすることを促進する誘導体化の化学的性質に富んでいることである(文献32)。より安全な特性を有する抗炎症薬を開発するための我々の継続中の研究プログラムの一環として、出願人は、ここに、合成法、インビトロCOX-l/COX-2阻害活性、インビボ抗炎症活性、一酸化窒素放出データ及びに潰瘍誘発研究結果について報告する。該潰瘍誘発研究はアスピリン、イブプロフェン、インドメタシンのエステルプロドラッグ群に関するものである。また、該エステルプロドラッグ群はNO供与体部分としてジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートを有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、関節炎や心血管系患者などの慢性NSAID服用者を、抗炎症作用を損なうことなく、生命に危険のある潜在性消化器副作用を予防するための助けになることを意図したものである。また本発明はハイブリッドプロドラッグの形成法について示す。該形成法は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が、そのカルボン酸基のメチレンスペーサーをジアゼン-l-イウム-1,2-ジオラート部分を結合させてなる。該ジアゼン-l-イウム-1,2-ジオラート部分は、加水分解すると、一酸化窒素を放出させる。本発明は、消化管内の組織中での一酸化窒素の保護作用を通じて、胃腸障害や出血、潰瘍形成を予防あるいは緩和させることを目的としている。
【0008】
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【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は構造式1(化1)により示される化合物を提供する。
【0010】
【化1】

【0011】
は、非ステロイド性抗炎症薬の非カルボキシル化コアであり、Rは、水素、非置換又は置換C1-12直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換アルコキシ、ニトリル、ハロ、非置換又は置換モルホリノ、アミノ、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換アリールアミノ、非置換又は置換ジアルキルアミノ、非置換又は置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換アセトキシ、カルボキシ、非置換又は置換カルボキシエチル、非置換又は置換アルキルカルボニル、チオール、非置換又は置換アルキルチオール、非置換又は置換アルキルオキシ、カルボキシアミド, 非置換又は置換アルキルカルボキシアミド、非置換又は置換ジアルキルカルボキシアミド、非置換又は置換フェノキシ、非置換又は置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、非置換又は置換ニトロフェニル、トリアルキルシリル又はニトロである。
R3及びR4は、同じ又は異なっており、R3とR4それぞれが、非置換又は置換C1-12直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換モルホリノ、アミノ、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、又は非置換又は置換カルボキシエチルのうち1つから優先的に選ばれる。または、-N(R3、R4)基は、環化することにより、構造式2(化2)で表される1,2, 3, 4-テトラヒドロキノリル、構造式3(化3)、構造式4(化4)で表されるピペリジニル、又は構造式5(化5)で表されるN-置換ピペリジニルを形成している。
【0012】
【化2】

【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
R5は、非置換又は置換C1-12直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換カルボキシエチル、非置換又は置換アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、非置換又は置換ニトロフェニル又はトリアルキルシリルである。
【0017】
本発明は、また、構造式1で示され、前記非ステロイド性抗炎症薬カルボン酸のRが、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、サリチル酸、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、スリンダク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、フェノプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、カルプロフェン、フルルビプロフェン、ナブメトン、抗炎症活性を有するその他関連するカルボン酸およびそれらの薬学的に適した塩である化合物を提供する。
【0018】
本発明は、構造式7(化6)により表される化合物又はその薬学的に適したアルカリ金属塩もしくは塩酸塩を提供する。
【0019】
【化6】

【0020】
Rは、構造式1のR2と同じであり、n=1-8である。
【0021】
本発明は、構造式8(化7)により表される化合物又はその薬学的に適したアルカリ金属塩もしくは塩酸塩を提供する。
【0022】
【化7】

【0023】
Rは、構造式1のR2と同じであり、n=1-8である。
【0024】
本発明は、構造式9(化8)により表される化合物を提供する。
【0025】
【化8】

Rは、構造式1のRと同じであり、R1はN-置換アミノ酸部分である。
【0026】
本発明は、上記構造式9(化8)により表される化合物であって、RのN-置換アミノ酸部分が、下式(化9)である化合物を提供する。
【0027】
【化9】

【0028】
さらに、Rは、水素、非置換又は置換C1-12 直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換カルボキシエチルである。
R3は、水素、非置換又は置換C1-12 直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換アルコキシ、ニトリル、ハロ、非置換又は置換モルホリノ、アミノ、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換アリールアミノ、非置換又は置換ジアルキルアミノ、非置換又は置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換アセトキシ、カルボキシ、非置換又は置換カルボキシエチル、非置換又は置換アルキルカルボニル、非置換又は置換アルキルチオール、非置換又は置換アルキルオキシ、カルボキシアミド、非置換又は置換アルキルカルボキシアミド、非置換又は置換ジアルキルカルボキシアミド、非置換又は置換フェノキシ、非置換又は置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、非置換又は置換ニトロフェニル、トリアルキルシリル、又はニトロである。最も簡単な例は、N-メチルグリシン、N-メチルアラニン、N-メチルフェニルアラニン、N-メチルセリン、又はその他のN-アルキルアミノ酸である。
【0029】
本発明は、構造式10(化10)により表されるアミドバイオイソスターエステル化合物を提供する。
【0030】
【化10】

【0031】
R1は、水素、非置換又は置換C1-12直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換アルコキシ、ニトリル、ハロ、非置換又は置換モルホリノ、アミノ、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換アリールアミノ、非置換又は置換ジアルキルアミノ、非置換又は置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換アセトキシ、カルボキシ、非置換又は置換カルボキシエチル、非置換又は置換アルキルカルボニル、チオール、非置換又は置換アルキルチオール、非置換又は置換アルキルオキシ、カルボキシアミド、非置換又は置換アルキルカルボキシアミド、非置換又は置換ジアルキルカルボキシアミド、非置換又は置換フェノキシ、非置換又は置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、非置換又は置換ニトロフェニル、トリアルキルシリル又はニトロである。-N(R2、R3)基は、環化することにより、1,2, 3, 4-テトラヒドロキノリル(上記構造式2又は上記構造式3)、ピペリジニル(上記構造式)又はN-置換ピペリジニル(上記構造式5)を形成している。
【0032】
本発明は、構造式11(化11)により表される化合物を提供する。
【0033】
【化11】

【0034】
Xは、下式(化12)で表わされるN-置換ピペリジニル、下式(化式13)で表わされるN-及び4-置換ピペリジニル、又はN-メチル部分である。
【0035】
【化11】

【0036】
【化12】

【0037】
Rは、非置換又は置換C1-12 直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換モルホリノ、アミノ、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換アリールアミノ、非置換又は置換ジアルキルアミノ、非置換又は置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換アセトキシ、カルボキシ、非置換又は置換カルボキシエチル、非置換又は置換アルキルカルボニル、非置換又は置換アルキルチオール、非置換又は置換アルキルオキシ、カルボキシアミド、非置換又は置換アルキルカルボキシアミド、非置換又は置換ジアルキルカルボキシアミド、非置換又は置換フェノキシ、非置換又は置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、非置換又は置換ニトロフェニル、トリアルキルシリル又はニトロである。
【0038】
本発明は、構造式12(化14)により表されるカルバメート化合物を提供する。
【0039】
【化13】

【0040】
Xは、構造式6で表されるN-置換ピペリジニル、構造式6で表されるN-及び4-置換ピペリジニル、又はN-メチル部分である。
R1とR2それぞれが、水素、非置換又は置換C1-12直鎖アルキル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルキル、非置換又は置換C3-12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3-12分岐鎖アルケニル、非置換又は置換C3-8シクロアルキル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1-4アリールアルキル、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、非置換又は置換カルボキシエチル、非置換又は置換アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、非置換又は置換ニトロフェニル、又はニトロのうち1つから優先的に選ばれる。または、-N(R2、R3)基は、環化することにより、1,2, 3, 4-テトラヒドロキノリル(上記構造式2又は上記構造式3)、ピペリジニル(上記構造式)又はN-置換ピペリジニル(上記構造式5)を形成している。
【0041】
本発明は、図6に示すO2-(アセチルサリチロイルオキシメチル)-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物を提供する。
【0042】
本発明は、図6に示すO2- (アセチルサリチロイルオキシメチル) -1-(N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物を提供する。
【0043】
本発明は、図6に示すO2- [2 -(4 -(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル] -1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物を提供する。
【0044】
本発明は、図6に示すO2-[2-(4-(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル] -1-(N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物を提供する。
【0045】
本発明は、図6に示すO2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル) -5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセトキシメチル]-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-l-イウム-1,2-ジオラート化合物を提供する。
【0046】
本発明は、図6に示すO2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル) アセトキシメチル]-1-(ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート化合物を提供する。
【0047】
本発明は、ここに記載される化合物の1つを有効量含む組成物であって、該有効量が、該化合物の1つに由来する非ステロイド性抗炎症薬の推奨モル投与量の範囲と同じである組成物を提供する。
【0048】
本発明は、ここに記載される化合物の1つを有効量含む組成物であって、該有効量が、該化合物の1つに由来する非ステロイド性抗炎症薬が対象とする治療結果を向上させることができる様々な用量の範囲である組成物を提供する。
【0049】
本発明は、上記記載した化合物のうちいずれかを用いた使用方法であって、患者に対する親非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の胃腸副作用を低減する使用方法を提供する、該副作用は、消化不良、悪心及び嘔吐、腹痛、下痢、胃又は腸内出血、胃及び/又は腸潰瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本発明は、上記記載した化合物のうちいずれかを用いた使用方法であって、該化合物の1つに由来する無置換NSAIDが対象とする徴候のための使用方法を提供する。たとえば、前記徴候は、疼痛及び炎症、頭痛(たとえばイブプロフェン)、心血管保護(たとえばアセチルサリチル酸)、リウマチ用の症状又は変形性関節症の症状(たとえばナプロキセンもしくはインドメタシン)等でありうる。
【0051】
本発明は、上記記載した化合物のうちいずれかを用いた使用方法であって、該化合物に由来するNSAIDの推奨モル投与量の範囲と同じ量を有する化合物の使用方法を提供する。
【0052】
本発明は、上記記載した化合物のうちいずれかを用いた使用方法であって、該化合物に由来するNSAIDが対象とする治療結果をよりよくする様々な用量の範囲を有する化合物の使用方法を提供する。
【実施例】
【0053】
全般的に、本発明の記述は以下の実施例を参照することでより容易に理解できる。この実施例は、本発明のある側面を説明するとともに具体化することを目的としただけであって、本発明を制限することを意図したものではない。
【0054】
下記に示す化合物由来の新規NO放出性非ステロイド性抗炎症薬(NO-NSAID)群を合成した。該化合物とは、アスピリン(O2-(アセチルサリチロイルオキシメチル)-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート11; O2- (アセチルサリチロイルオキシメチル) -1- (N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート12)、イブプロフェン(O2-[2 -(4 -(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル]-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート13; O2-[2-(4-(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル]- 1- (N, N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム-l, 2-ジオラート14)、及びインドメタシン(O2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセトキシメチル]-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート15; O2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル) アセトキシメチル]-1-(ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート16)である。前記新規NO放出性非ステロイド性抗炎症薬(NO-NSAID)群は、1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラートまたは1-(N, N-ジメチルアミノ) ジアゼン-l-イウム-1, 2-ジオラート部分を有する。
【0055】
<化学的性質>
図3に示すように、Tang et al(文献33)が報告した方法の変法に従って、O2-クロロメチル-1- (N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム- 1,2-ジオラート(9)を調製した。即ち、ジメチルアミン(6)と一酸化窒素ガス(40 psi)とを、室温下においてナトリウムメトキシドの存在下で反応させ、O2-ナトリウム1-(N,N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(7)を90%の収率で生成した。このナトリウム塩をクロロメチル硫化メチルでアルキル化し、O2-(メチルチオメチル) -1- (N, N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(8)を生成し、続いてこれを、塩化スルフリルとジクロロメタン中で4時間反応させて、O2-クロロメチル保護ジアゼンイウムジオラート9を定量的収率で生成した。目標のNO-NSAID エステルプロドラッグ 11-16は、アセチルサリチル酸、イブプロフェン又はインドメタシンのナトリウム塩とO2-クロロメチル中間体9又は10を、極性非プロトン性溶媒HMPAを用いて凝縮し、中度から高度の収率(40-81%)で合成した(図4)。
【0056】
インビトロCOX酵素阻害実験で、使用した最高濃度(100μM)において、これらの化合物のいずれもCOX-1又はCOX-2アイソザイムを阻害しないことが示された。下記表1参照。
【0057】
【表1】

【0058】
従って、親NSAIDにエステル基(NO-放出ジアゼンイウムジオラート部分)を結合させると、アスピリン、イブプロフェン及びインドメタシンのインビトロにおける酵素阻害活性が完全に消失した。しかしながら、ラットに経口投与した際は、カラギーナン誘発ラットの肢浮腫の分析(表1)では、基準薬物から得られたものと同程度のID50値が得られた。イブプロフェンNO-NSAID13及び14は、基準薬物のイブプロフェン (ID50 = 67.4 mg/kg)と比較して、同程度の抗炎症活性(それぞれID50 = 66.8 mg/kgと62.3 mg/kg)を示した。同様の結果が、NO-アスピリン11 (ID50 = 181.8 mg/kg)および12 (ID50 = 151.2 mg/kg)、ならびにNO-インドメタシン16(ID50 = 5.9 mg/kg)で得られた。これら化合物は、親薬物のアスピリン(ID50 = 128.7 mg/kg)とインドメタシン(ID50 = 4.2 mg/kg)と比較して、1.1〜1.4倍であり作用が弱かった。相対的に、NO-インドメタシン15(ID50 = 10.7 mg/kg)はインドメタシンと比較して約2.5倍であり作用が弱かった。1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-l-イウム-1, 2-ジオラート部分を有する化合物(11、13、15)は、1-(N,N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート部分を有する化合物(12、14、16)よりも活性が低かった。アスピリンは、COX-1活性部位のセリン530残基をアセチル化することが報告されている(文献14)。NO-アスピリン(11、12)は共に、COX-1とCOX-2のインビトロにおける阻害が不活性であること(IC50>100μM)、及びインビボでは強い抗炎症活性を示すことが観察された。これは、11と12は古典的プロドラッグとして作用し、活性を示すには代謝活性化反応(エステラーゼの媒介によるエステル開裂)が必要であることを強く示唆している。ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートからの一酸化窒素の放出率を制御するために用いる化学修飾の一種は、O2-の位置にアルキル置換基が結合することである(文献34)。O2-置換-ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートは、酸性溶液中でさえ、ゆっくりと加水分解する安定な化合物である(文献35)。これらの観察結果と合致して、化合物11-16をpH 7.4のリン酸緩衝液(PBS)中でインキュベートすると、NOの放出率が14.3〜16.1%で変化する。これは、化合物11-16のNO放出が遅いことを示している。最近、O2-アセトキシメチル-1- (ピロリジン-1-イル又はN,N-ジエチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートが(文献36)、中性水溶液中では安定なプロドラッグであるが、ブタの肝エステラーゼ(PLE)で代謝されると薬物1モル当たり約1.8等量のNO(90%を超える放出)を放出することが報告された。これとは対照的に、エステルプロドラッグ11-16は加水分解の程度がはるかに低い(16.3〜19.2%のNO放出)。しかしながら、この化合物11-16のNO放出特性に対するモルモット血清の非特異的エステラーゼの影響は、PLEの存在下でインキュベートした場合に観察される値(16.3〜19.2%)よりも大幅に高い(81.6〜93.6%)(表2参照)。
【0059】
【表2】

【0060】
これらのデータは、モルモット血清中に存在する非特異的血清エステラーセが、PLEよりも効率的にこれらのNO-NSAIDを開裂することを示している。従来のNO供与体は、NSAIDが誘発した胃損傷から胃を保護することができるが、NO-放出部分を化学的に結合させたNSAID(アスピリンを含む)ほどには効率的に保護しない(文献37)。これらNO-NSAIDエステルプロドラッグ11-16の加水分解におけるもっともらしい機序を図5に示す。NO-NSAIDエステルプロドラッグ11-16は、カルボキシ基とジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートO2-原子の間に1炭素メチレンスペーサーを持つようにデザインされる。これにより、エステル開裂後に形成されるO2- (ヒドロキシメチル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物が、自然にホルムアルデヒドを消失させて、遊離ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート化合物(遊離NONOate化合物)を生成し、その後分解して2分子のNOを放出する。
【0061】
NSAID療法の一般的な副作用の一つは、胃腸刺激及び出血である。そのため、3種の親薬物によって誘発された潰瘍誘発性と、プロドラッグ11-16の潰瘍誘発性とを比較して評価することが不可欠である。胃損傷の重篤度を潰瘍指数で示した(表3)。
【0062】
【表3】

【0063】
NO-NSAID(UI = 0‐3.0)と、基準薬物のアスピリン(UI = 57.4, 250 mg/kg 経口投与量)、イブプロフェン(UI=45.7,250mg/kg経口投与量)及びインドメタシン(34.4,30mg/kg経口投与量)との間には顕著な違いがあった。このUIのデータは、1- (ピロリジン-1-イル又はN,N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート基のどちらかを含むハイブリッドNO-NSAIDの薬理学的特性が、親ドラッグと比較してはるかに安全であることを示唆している。NO-アスピリン(11、12)及びNO-イブプロフェン(13、14)エステルプロドラッグのどちらにおいても、潰瘍誘発性を示す痕跡が認められなかった(UI = 0)(図2)。NO-インドメタシン化合物(15、16)は、ごく小さい潰瘍誘発性を示した(UI = 0.7-3.0の範囲)。
【0064】
<結論>
ハイブリッドNO-NSAIDエステルプロドラッグは、1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(11、13、15)又は1-(N,N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(12、14、16)部分を有し、これは、従来のNSAIDのカルボン酸基に1炭素メチレンスペーサーを介して該部分を付加したものである。前記ハイブリッドNO-NSAIDエステルプロドラッグは、胃への副作用(潰瘍誘発性)が低減した抗炎症薬の合理的デザインの有用な概念となる。遊離カルボン酸を有するNSAIDのほぼ全てが、本発明の方法の使用に適している。肝エステラーゼではなく血漿中のエステラーゼによってこれらのNO-NSAIDがインビボで活性化(加水分解)することにより、NO放出特性が改善されることが期待できる。これは、NOの放出に代謝的に3電子の還元を必要とする有機硝酸塩で観察されるNO放出特性、又はフロキサンからNOを放出するために必要なL-システインあるいはグルタチオンなどのチオール補因子で観察されるNO放出特性と比較したものである。ジアミン-1-イウム-1, 2-ジオラート部分を有するハイブリッドNO-アスピリンは、脳卒中や心筋梗塞の予防における長期予防薬としての抗血栓薬(血小板凝集の阻害)として、アスピリンの使用に代わるものとなりうる。
【0065】
<概略>
融点はトーマスフーバー毛細管装置(Thomas-Hoover capillary apparatus)を用いて記録し、校正しなかった。ブルーカーAM−300分光計(Bruker AM-300 spectrometer)(300MHz)を用いて1H NMRスペクトルを得た。赤外線スペクトルはニコレットIR−500シリーズII分光計(Nicolet IR-500 Series II spectrometer)を用いて記録した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはメルク7734(Merck7734)(60-200メッシュ)シリカゲルを用いて実施した。
【0066】
微小分析は、全ての記載されている分子において理論値の±0.4%以内であった。下記表4参照。
【0067】
【表4】

【0068】
アセチルサリチル酸(アスピリン)、ラセミ型イブプロフェン及びインドメタシンは、シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)から購入した。O2- (クロロメチル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(10)は文献の手順(文献33)に従って調製した。ただし、O2-ナトリウム1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラートとクロロメチル硫化メチルとの反応はHMPA中で25℃、48時間かけて実施した。一酸化窒素ガスはBOC Scientific (バーリントン, ON)で購入した。その他の試薬は全てアルドリッヒケミカルズ(Aldrich Chemical Co.)(ミルウォーキー, WI)から購入した。インビボ抗炎症分析ならびに潰瘍指数分析は、アルバータ大学ヘルスサイエンス動物保護委員会(Health Sciences Animal Welfare Committee)が承認した手順を用いて実施した。
【0069】
<O2-ナトリウム1- (N,N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(7)>
ジメチルアミン(6, 4.5g, 0.1 mol)を、ナトリウムメトキシド(0.1 mol,メタノール25% w/v溶液24 mL)及びジエチルエーテル(300 mL)の溶液に加え、25℃で攪拌した。この混合物に乾燥窒素を5分間通気し、25℃で19時間撹拌しながら大気圧の一酸化窒素 (内部圧力40psi)で反応させた。白色の微粉末として沈殿した生成物を、濾過して分離し、ジエチルエーテル(100mL)中で15分間攪拌して懸濁させた。懸濁液を濾過し、集めた固体を25℃で減圧乾燥させ、約2時間後に重量が一定になるまで続け、白色の微粉末として7を得た(11.5g, 90%;融点258-260℃(dec.);1H NMR (DMSO-α6)δ2.97[s, 6H, N(CH3)2])。生成物7は乾燥後さらに精製することなく、すぐに化合物8の調製に用いた。
【0070】
<O2- (メチルチオメチル) -1-(N,N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(8)>
ナトリウムジアゼンイウムジオラート7(7 g, 54.6 mmol)を4℃の炭酸カリウム(1.5 g, 11mmol)とHMPA (80 mL)の懸濁液に加え、この混合物を30分撹拌した。クロロメチル硫化メチル(6.3 g, 65.6 mmol)を滴下し、攪拌しながら25℃で72時間反応させた。酢酸エチル(200 mL)を加えて反応を急冷させ、固形物を濾過し、有機相を水で洗浄し(5×80 mL)、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空除去して液体残渣を得た。該液体残渣は、酢酸エチル‐ヘキサン(1:4, v/v)を溶離液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物8 (1.97g, 21%)は、淡黄色の液体として得られた;1H NMR (CDC13)δ2.24 (S, 3H, SCH3), 3.01 [s, 6H, N(CH3)2], 5.21 (s, 2H, OCH2S)。化合物8は、続くO2-クロロメチル誘導体9の調製に直ちに用いた。
【0071】
<(O2- (クロロメチル) -1- (N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(9)>
化合物8 (1.8 g, 11.4 mmol)の溶液を、ジクロロメタン(20 mL)溶液中で4℃まで冷却し、塩化スルフリル(2.3 g, 17.1 mmol、ジクロロメタン1.0 M溶液17 mL)を滴下した。アイスバスを取り外し、反応混合物を25℃で3時間撹拌した。反応媒体中の茶色の固形懸濁物を濾過することにより除去し、溶媒を蒸発させて9を調製した(1.7 g、定量的収率);1H NMR (CDC13)δ3.01 [s, 6H, N (CH3)2], 5.76 (s, 2H, ClCH2O)。化合物9は、さらに精製することなく、生成物12、14、16の合成に用いた。
【0072】
<NO-NSAID(11-16)を調製する一般的な方法>
それぞれのNSAID (アスピリン、イブプロフェン又はインドメタシン)のカルボン酸ナトリウムは、それぞれの酸(5 mmol)を、カルボン酸ナトリウム(0.53 g, 5 mmol)及びヘキサメチルリン酸トリアミド(7 mL)の懸濁液中で19時間25℃で攪拌し、インサイチュで調製した。O2- (クロロメチル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート9又は10 (5 mmol)がヘキサメチルリン酸トリアミド(3 mL)に溶けた溶液を次に加え、25℃で24時間反応させた。酢酸エチル(60 mL)を加え、その混合物を水で洗浄し(5×30 mL)、有機相を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空除去した。得られた残渣を、化合物11、12、15、16の溶離液にはクロロホルム-酢酸エチル-ヘキサン (35:15:50, v/v/v)、化合物13には酢酸エチル-ヘキサン (1:4, v/v)、化合物14にはヘキサン-エーテル(3:1, v/v)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物11-16の物理データ及びスペクトルデータを以下に示す。
【0073】
<O2-(アセチルサリチロイルオキシメチル) -1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物(11)>
46%収率;白色結晶;融点110-112℃;IR (CHCl3)3019 (C-H芳香族)、2992 (C-H脂肪族)、1770 (CO2)、1736 (CO2)、1259、1199 (N=N-O) cm-11H NMR (CDCl3)δ1.95 (quintet, J = 6.9 Hz, 4H, ピロリジニルH-3, H-4)、2.34 (s, 3H, COCH3)、3.57 (t, J = 6.9 Hz, 4H, ピロリジニルH-2, H- 5)、5.97 (s, 2H, OCH2O)、7.12 (d, J = 8.1 Hz, フェニルH-3)、7.34 (t, J = 8.1 Hz, フェニルH-5)、7.60 (td, J = 8.1, 1.5 Hz, フェニルH-4)、 8.08 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, フェニルH-6)。分析(C14H17N3O6) C, H, N。
【0074】
<O2- (アセチルサリチロイルオキシメチル) -1-(N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(12)>
40 %収率;白色結晶;融点 88-89℃;IR (KBr) 3019(C-H芳香族)、2979 (C-H脂肪族)、1756 (CO2)、1609 (CO2)、1219、1184 (N=N-O) cm-11H NMR (CDCl3)δ2.34(s,3H, COCH3)、3.07 [s, 6H, N(CH3)2]、 6.02 (s, 2H, OCH2O)、7.12 (d, J = 8.1 Hz, フェニルH-3)、7.34 (t, J = 8.1 Hz, フェニルH-5)、7.60 (td, J = 8.1, 1.5 Hz, フェニルH-4)、8.07 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, フェニルH- 6)。分析(C12H15N3O6) C, H, N。
【0075】
<O2- [2- (4- O2- [2 -(4 -(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル] - 1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(13)>
58 %収率;黄色オイル;IR(KBr) 2985 (C-H芳香族)、2864 (C-H脂肪族)、1750 (CO2)、1286、1129 (N=N-O) cm-11H NMR (CDCl3)δ0.89 [d, J = 6.6 Hz, 6H, CH(CH3)2]、1.50 (d, J = 7.2 Hz, 3H, PhCHCH3)、1.79-1.89 [m, 1H, CH (CH3)2]、1.91-1.94(m, 4H, ピロリジニルH-3, H-4)、2.43 (d, J = 7.2 Hz, 2H, PhCH2CH)、3.45-3.50 (m, 4H, ピロリジニルH- 2, H-5)、3.73 (q, J = 7.2 Hz, 1H, PhCHCH3), 5.71 (d, J = 7.2 Hz, 1H, OCH'HO)、5.77 (d, J = 7.2 Hz, 1H, OCH'HO)、7.07 (d, J = 7.8 Hz, 2H, フェニルH-3, H-5)、7.19 (d, J = 7.8 Hz, 2H, フェニルH-2, H6)。分析(C18H27N3O4) C, H, N。
【0076】
<O2-[2-(4-(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル]-1-(N, N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム-l, 2-ジオラート(14)>
81 %収率;黄色オイル;IR (KBr) 2959 (C-H芳香族)、2871 (C-H脂肪族)、1763 (CO2), 1279、1138 (N=N-O) cm-11H NMR (CDC13)δ0.89 [d, J = 6.9 Hz, 6H, CH (CH3)2]、1.50 (d, J = 6.9 Hz, 3H, PhCHCH3), 1.83 [septet, J = 6.9 Hz, 1H, CH (CH3)2], 2.43 (d, J = 6.9 Hz, 2H, PhCH2CH)、2.97 [s, 6H, N (CH3)2], 3.74 (q, J = 6.9 Hz, 1H, PhCHCH3), 5.74 (d, J = 7.2 Hz, 1H, OCH'HO)、5.79 (d, J = 7.2 Hz, 1H, OCH'HO)、7.08 (d, J = 7.8 Hz, 2H, フェニルH-3, H- 5)、7.19 (d, J = 7.8 Hz, 2H, フェニルH-2, H6)。分析(C16H25N3O4) C, H, N。
【0077】
<O2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル) -5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセトキシメチル] -1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(15)>
51 %収率;黄色オイル;IR (KBr) 3019(C-H芳香族)、2979、2885 (C-H脂肪族)、1756 (CON)、1689 (CO2)、1293、1165(N=N-O) cm-11H NMR (CDCl3)δ1.88 (quintet, J = 6.9 Hz, 4H, ピロリジニルH-3, H-4)、2.36 (s, 3H, CH3)、3.40 (t, J = 6.9 Hz, 4H, ピロリジニルH-2, H-5)、3.71 (s, 2H, CH2CO2)、3.83 (s, 3H, OCH3)、5.77 (s, 2H, OCH2O)、6.66 (dd, J = 9, 2.4 Hz, 1H, インドリルH-6)、6.90 (d, J = 9 Hz, 1H,インドリルH-7)、6.94 (d, J= 2.4 Hz,インドリルH-4)、7.47 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ベンゾイルH-3,H-5)、7.65 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ベンゾイルH-2, H-6)。分析(C24H25ClN4O6) C, H, N。
【0078】
<O2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル) アセトキシメチル] -1- (ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(16)>
69 %収率;黄色オイル;IR (KBr) 2979、2925 (C-H脂肪族)、1763 (CON)、1689 (CO2)、1333、1064 (N=N-O) cm-11H NMR (CDC13)δ2.35 (s, 3H, CH3)、2.94 [s, 6H, N(CH3)2]、3.71 (s, 2H, CH2CO2)、3.81 (S, 3H, OCH3)、5.80 (s, 2H, OCH2O)、6.66 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H, インドリルH-6)、6.88 (d, J = 8.7 Hz, 1H, インドリルH-7)、6.93 (d, J = 2.4 Hz, 1H, インドリルH-4)、7.46 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ベンゾイルH-3, H-5), 7.64 (d, J = 8.4, 2H, ベンゾイルH-2, H-6)。分析(C22H23ClN4O6) C, H, N。
【0079】
<シクロオキシゲナーゼ阻害実験>
表1に示した試験化合物がヒツジCOX-1及びCOX-2を阻害する能力(IC50値、μM)を、酵素免疫測定法(EIA)キット(カタログ番号560101,Cayman Chemical, Ann Arbor, MI, USA)を用い、既に報告されている方法(文献38)で決定した。
【0080】
<抗炎症分析>
試験化合物11-16と基準薬物 (アスピリン、イブプロフェン及びインドメタシン)を、既に報告されているインビボのラットのカラギーナン誘発肢浮腫モデル(文献39,40)を使って評価した。
【0081】
<一酸化窒素放出分析>
インビトロの一酸化窒素放出は、リン酸緩衝液、ブタの肝エステラーゼ又はモルモット血清と共にインキュベートし、一酸化窒素と酸素及び水との反応により生成する硝酸塩をグリース反応により定量化した。試験化合物(11-16)及び基準化合物O2-ナトリウム-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラートと O2-ナトリウム-1-( N,N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート(7)の一酸化窒素の放出データを、報告されている手順(文献41)を用いて取得した。
【0082】
<急性潰瘍誘発分析>
胃損傷を生じさせる能力を、報告されている手順(文献42)に従って評価した。潰瘍誘発活性については、アスピリン(250 mg/kg)、イブプロフェン(250 mg/kg)、インドメタシン(30 mg/kg)又は対応する試験化合物(11-16)を等量経口投与した後、評価した。全ての薬剤を1.7 mLの1%メチルセルロース溶液に懸濁して投与した。対照ラットには、賦形剤(1.7 mLの1%メチルセルロース溶液)を経口投与した。試験化合物を投与する24時間前から餌は与えなかった(水は与えた)。薬剤を経口投与してから6時間後に、ラットを二酸化炭素チャンバー中で安楽死させ、胃を取り出して胃の大湾曲に沿って切り取り、水で丁寧に洗浄し、氷上に置いた。拡大鏡を用いて、潰瘍の数と長さを測定した。胃病変の重篤度は、最大長(1 mm=評価1、1-2 mm=評価2、>2 mm=評価は長さ(mm)による値)で測定した。各組織のそれぞれの潰瘍の全平均長(mm)を「潰瘍指数」と定義した。それぞれの実験群はラット4匹であった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】アセチルサリチル酸(1)ならびにいくつかの代表的なNO-NSAID(有機硝酸)、すなわちNO-アスピリン(2)、NO-ナプロキセン(3)、NO-フルビプロフェン(4)、NO-ジクロフェナク(5)の化学構造
【図2】親ドラッグのアスピリン、イブプロフェン、インドメタシンにより誘発された胃潰瘍と比較したNO-NSAID11、13、15のNSAID誘発性胃潰瘍の程度を示す潰瘍誘発分析データ。
【図3】O-クロロメチル-1- (N, N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム- 1,2-ジオラート (9)の調製手順
【図4】標的NO-NSAID エステルプロドラッグの合成
【図5】NO-NSAIDの理論的な代謝活性化(加水分解)(化合物13を代表例として示す)
【図6】アスピリン、イブプロフェン、インドメタシンを基礎とした新規NO-放出非ステロイド性抗炎症薬(NO-NSAID)の構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(化1)で表される化合物:
【化1】

[式中、Rは、非ステロイド性抗炎症薬の非カルボキシル化コアであり、
は、水素、C1-12直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、アルコキシ、ニトリル、ハロ、モルホリノ、アミノ、ベンジル、フェニル、C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、アセトキシ、カルボキシ、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、チオール、アルキルチオール、アルキルオキシ、カルボキシアミド, アルキルカルボキシアミド、ジアルキルカルボキシアミド、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル及びニトロからなる群から選択され、
R3及びR4は、C1-12 直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、モルホリノ、アミノ、ベンジル、C1-4アリールアルキルからなる群から選択される。]
【請求項2】
前記R3と前記R4が同じである又は異なることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記R2基が置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記-N(R3、R4)基が、環化することにより、下式(化2)で表される1,2, 3, 4-テトラヒドロキノリル、下式(化3)で表される構造式、下式(化4)で表されるピペリジニル、及び下式(化5)で表されるN-置換ピペリジニルからなる群から選択される構造を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【請求項5】
前記R5がC1-12 直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル及びトリアルキルシリルからなる群から選択されることを特徴とする請求項4記載の化合物。
【請求項6】
前記R5基が置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項5記載の化合物。
【請求項7】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、サリチル酸、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、スリンダク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、フェノプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、カルプロフェン、フルルビプロフェン、ナブメトン、抗炎症活性を有するその他関連するカルボン酸およびそれらの薬学的に適した塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
下式(化6)により表される化合物又はその薬学的に適したアルカリ金属塩もしくは塩酸塩である化合物:
【化6】

[式中、Rは請求項1に記載の化合物のR2と同じである。]
【請求項9】
下式(化7)により表される化合物又はその薬学的に適したアルカリ金属塩もしくは塩酸塩である化合物:
【化7】

[式中、Rは請求項1に記載の化合物のR2と同じであり、n=1-8である。]
【請求項10】
下式(化8)により表される化合物又はその薬学的に適したアルカリ金属塩もしくは塩酸塩である化合物:
【化8】

[式中、Rは請求項1に記載の化合物のR2と同じであり、n=1-8である。]
【請求項11】
下式(化9)により表される化合物:
【化9】

[式中、Rは請求項1に記載の化合物のRと同じであり、R1はN-置換アミノ酸部分である。]
【請求項12】
前記N-置換アミノ酸部分が、下式(化10)により表されることを特徴とする請求項11記載の化合物。
【化10】

[式中、Rは、水素、C1-12 直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、ベンジル 、フェニル、C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、カルボキシエチルからなる群から選択され、
R3は水素、C1-12 直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、アルコキシ、ニトリル、ハロ、モルホリノ、アミノ、ベンジル、フェニル、C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、アセトキシ、カルボキシ、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、チオール、アルキルチオール、アルキルオキシ、カルボキシアミド、アルキルカルボキシアミド、ジアルキルカルボキシアミド、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、及びニトロからなる群から選択される。]
【請求項13】
前記N-置換アミノ酸部分が、N-メチルグリシン、N-メチルアラニン、N-メチルフェニルアラニン、N-メチルセリン、その他のN-アルキルアミノ酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項12記載の化合物。
【請求項14】
前記R2と前記R3が置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項12記載の化合物。
【請求項15】
下式(化11)により表されるアミドバイオイソスターエステル化合物:
【化11】

[式中、R1は水素、C1-12直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、アルコキシ、ニトリル、ハロ、モルホリノ、アミノ、ベンジル、フェニル、 C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、アセトキシ、カルボキシ、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、チオール、アルキルチオール、アルキルオキシ、カルボキシアミド、アルキルカルボキシアミド、ジアルキルカルボキシアミド、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル及びニトロからなる群から選択され、
-N(R2、R3)基が、環化することにより、下式(化12)で表される1,2, 3, 4-テトラヒドロキノリル、下式(化13)で表される構造式、下式(化14)で表されるピペリジニル及び下式(化15)で表されるN-置換ピペリジニルからなる群から選択される構造を有する。]
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【請求項16】
前記R5が、C1-12直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、C1-4アリールアルキル、 ヘテロアリール、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル及びトリアルキルシリルからなる群から選択されることを特徴とする請求項15記載の化合物。
【請求項17】
前記R5基が置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項16記載の化合物。
【請求項18】
前記R1基が置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項15記載の化合物。
【請求項19】
下式(化16)により表される化合物:
【化16】

[式中、Xは、下式(化17)で表されるN-置換ピペリジニル、下式(化18)で表されるN-及び4-置換ピペリジニル及びN-メチル部分からなる群から選択され、
Rは、C1-12 直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、アルコキシ、ニトリル、ハロ、モルホリノ、アミノ、ベンジル、フェニル、C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、アセトキシ、カルボキシ、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、アルキルチオール、アルキルオキシ、カルボキシアミド、アルキルカルボキシアミド、ジアルキルカルボキシアミド、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル 、ニトロフェニル、トリアルキルシリル及びニトロからなる群から選択される。]
【化17】

【化18】

【請求項20】
前記R基が、置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項19記載の化合物。
【請求項21】
下式(化19)により表されるカルバメート化合物:
【化19】

[式中、Xは下式(化20)で表されるN-置換ピペリジニル、下式(化21)で表されるN-ならびに4-置換ピペリジニル、及びN-メチル部分から選択され、
R1とR2は、水素、C1-12直鎖アルキル、C3-12分岐鎖アルキル、C3-12直鎖アルケニル、C3-12分岐鎖アルケニル、C3-8シクロアルキル、ベンジル、フェニル 、C1-4アリールアルキル、ヘテロアリール、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、カルボキシエチル、アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル及びニトロからなる群から選択される。]
【化20】

【化21】

【請求項22】
前記R1とR2が、置換されている又は置換されていないことを特徴とする請求項21記載の化合物。
【請求項23】
図6に示すO2-(アセチルサリチロイルオキシメチル) -1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-l-イウム-1, 2-ジオラート化合物。
【請求項24】
図6に示すO2- (アセチルサリチロイルオキシメチル) -1- (N, N-ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-l, 2-ジオラート化合物。
【請求項25】
図6に示すO2- [2 -(4 -(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル] - 1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-l-イウム-1, 2-ジオラート化合物。
【請求項26】
図6に示すO2-[2-(4-(イソブチル)フェニル)プロパノイルオキシメチル] - 1- (N, N-ジメチルアミノ) ジアゼン-1-イウム-l, 2-ジオラート化合物。
【請求項27】
図6に示すO2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル) -5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセトキシメチル] -1- (ピロリジン-1-イル)ジアゼン-l-イウム-1, 2-ジオラート化合物。
【請求項28】
図6に示すO2-[2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル) アセトキシメチル] -1- (ジメチルアミノ)ジアゼン-1-イウム-1, 2-ジオラート化合物。
【請求項29】
請求項1乃至22に記載の化合物の1つを有効量含む組成物であって、
前記有効量が、前記化合物の1つに由来する非ステロイド性抗炎症薬の推奨モル投与量の範囲と同じであることを特徴とする組成物。
【請求項30】
請求項1乃至22に記載の化合物の1つを有効量含む組成物であって、
前記有効量が、前記化合物の1つに由来する非ステロイド性抗炎症薬が対象とする治療結果を向上させることができる様々な用量の範囲であることを特徴とする組成物。
【請求項31】
請求項1乃至22に記載の化合物の1つについての使用方法であって、
前記使用方法が、患者に対する親非ステロイド性抗炎症薬の胃腸副作用を低減することを特徴とする使用方法。
【請求項32】
請求項1乃至22に記載の化合物の1つについての使用方法であって、
前記使用方法が、患者に対する親非ステロイド性抗炎症薬の胃腸副作用を低減するために薬剤を製造することを特徴とする使用方法。
【請求項33】
前記副作用が、消化不良、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、胃出血、腸内出血、胃潰瘍、腸潰瘍からなる群から選択されることを特徴とする請求項31又は32に記載の使用方法。
【請求項34】
請求項1乃至22に記載の化合物の1つについての使用方法であって、
前記使用方法が、前記化合物の1つに由来する無置換非ステロイド性抗炎症薬が対象とする徴候のために用いることを特徴とする使用方法。
【請求項35】
請求項1乃至22に記載の化合物の1つについての使用方法であって、
前記使用方法が、前記化合物の1つに由来する無置換非ステロイド性抗炎症薬が対象とする徴候のために薬剤を製造することを特徴とする使用方法。
【請求項36】
前記徴候が、疼痛、炎症及び頭痛からなる群から選択されることを特徴とする請求項34又は35に記載の使用方法。
【請求項37】
前記無置換非ステロイド性抗炎症薬がイブプロフェンであることを特徴とする請求項36に記載の使用方法。
【請求項38】
前記徴候が心血管保護であることを特徴とする請求項34又は35に記載の使用方法。
【請求項39】
前記無置換非ステロイド性抗炎症薬がアセチルサリチル酸であることを特徴とする請求項38記載の使用方法。
【請求項40】
前記徴候がリウマチ用の症状又は変形性関節症の症状であることを特徴とする請求項34又は35記載の使用方法。
【請求項41】
前記無置換非ステロイド性抗炎症薬がナプロキセンもしくはインドメタシンであることを特徴とする請求項40に記載の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−545655(P2008−545655A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512477(P2008−512477)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/019115
【国際公開番号】WO2006/125016
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507376233)ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ (1)
【Fターム(参考)】