説明

三ハロゲン化モノアルキルスズおよび二ハロゲン化ジアルキルスズの調製方法

本発明は、式RSnHal(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズを生成する方法に関する。該方法は、少なくとも1つの遷移金属系触媒の存在下で、対応するアルケンまたはシクロアルケン、ハロゲン化第一スズSnHal、ハロゲン化水素HHal、および任意選択によりSn金属を接触させ、この後媒体から三ハロゲン化モノアルキルスズを単離することを含む。本発明は、さらに、式RSnHa1(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズから、式RSnHalの二ハロゲン化ジアルキルスズを生成する方法にも関する。該方法は、三ハロゲン化モノアルキルスズRsnHalとSn金属を接触させ、任意選択により、この後媒体から二ハロゲン化ジアルキルスズRSnHalを単離させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
三ハロゲン化モノアルキルスズ、一例として、三塩化モノアルキルスズRSnCl(RはC2n+1である)、特に三塩化メチルスズ、三塩化ブチルスズ、および三塩化オクチルスズは、PVC安定剤、ガラスコーティング剤、および触媒のための中間体として工業的に重要である。n≧2である三ハロゲン化モノアルキルスズを生成する新規経路を発見した。該方法は、原料として対応するアルケン、二ハロゲン化スズおよびハロゲン化水素、ならびに触媒として遷移金属錯体を利用する。反応は、穏和な条件下で円滑および選択的に進行する。三ハロゲン化モノアルキルスズは、反応媒体から単離したものであっても、別の供給源由来のものであっても、金属スズと反応して、二ハロゲン化スズと二ハロゲン化ジアルキルスズとの混合物が得られる。
【背景技術】
【0002】
三塩化モノアルキルスズおよび二塩化ジアルキルスズは、現在、多段階プロセスを経て調製されている。これらのプロセスにおいて、三塩化モノアルキルスズおよび二塩化ジアルキルスズは、対応するテトラアルキルスズ化合物RSnをSnClで不均化することにより、混合物として形成される。テトラアルキルスズ化合物は、トリアルキルアルミニウムまたはアルキルグリニャール試薬をSnClと反応させることにより調製される。この経路では、相当高い原料コストを被る。さらに、この生成物組成は、アルキル鎖の長さおよび反応条件に依存し、したがって実際の需要にほとんど適応できない。蒸留による分別が必要とされることもあるが、高級アルキル鎖(n=8以上)に対しては事実上不可能となる。したがって、三塩化モノアルキルスズおよび二塩化ジアルキルスズの選択的製造の代替法が非常に望ましい。
【0003】
二塩化ジアルキルスズを調製する代替法として、アルキルアルミニウム試薬を使用する四ハロゲン化スズの選択的ジアルキル化(GB特許923179、DE1157617参照)、または有機塩素化合物と金属スズとの反応が挙げられる。後者の反応は、触媒、例えばマグネシウム、銅(US3085102参照)、またはヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT、US4049689、4044035参照)を通常必要とする。塩化高級アルキルの低収率、および必要とされる大量の触媒は、商業上の視点から、これらの方法を一般的に魅力ないものとしている。
【0004】
SnClとトリアルキルアルミニウムエーテラートRAl(OR’)/アミドRAl(NR’)化合物またはアルコラートRAl(OR’)との反応は、RSnClの形成をもたらすことが知られている。同様に、三塩化モノアルキルスズと二塩化ジアルキルスズとの混合物は、RAlおよび過剰量のエーテルを使用して、SnClから1ステップで調製されている。これは、次の特許、US3894066、US3994944、および特許出願US2004/0133022A1に記載されている。これらの手順の欠点は、良好な収率を達成するためにしばしば必要とされるアルキルアルミニウムの過剰量である。
【0005】
EP1225177に、テトラ有機スズ、ハロゲン化トリ有機スズ、またはハロゲン化ジ有機スズと、四ハロゲン化スズとの間の再分配反応を伴う、式RSnX(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびX=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズの製造法が記載されており、該方法は、テトラ有機スズ(RSn)、ハロゲン化トリ有機スズ(RSnX)、またはハロゲン化ジ有機スズ(RSnX)をSnXと接触させて、少なくとも1つの遷移金属錯体の存在下、該三ハロゲン化モノ有機スズを得ることを含み、該錯体は、触媒または触媒前躯体として、元素周期表のVIII族から選択される少なくとも1つの遷移金属M、少なくとも1つの単座配位子または二座配位子、L、L’、またはL’’、および任意選択で、1つ以上の有機酸または無機酸のアニオンXを含む。この反応は、四ハロゲン化スズから、最初のテトラ有機スズ、ハロゲン化トリ有機スズ、またはハロゲン化ジ有機スズを生成することを依然必要とし、副生物として二ハロゲン化スズの形成を被る。
【0006】
三塩化モノアルキルスズへの代替経路は、触媒を使用し、対応するハロゲン化アルキルをSnClと反応させることである。有用な触媒は、ハロゲン化ホスホニウム、アミンもしくはホスフィン、二硫化物、Se(II)もしくは1〜3族の金属塩(例えば、LiClまたはMgCl)、またはIと一緒になったMg金属である。これらの反応は、高温を一般に必要とする。これは、次の特許、US3519667、US3340283、CA1069129、GB1146435、US4046791に記載されている。トリアルキルアンチモン化合物は、三臭化アルキルスズの場合触媒として有効であることが認められたが、三塩化アルキルスズに対する反応性の欠如およびトリアルキルアンチモン触媒の毒性が、この経路の有用性を低くしている(E.J.Bulten、J.Organomet.Chem.、1975、97、167)。
【0007】
フリーラジカル触媒(例えば、アルキル過酸化物およびナフテン酸コバルト)を使用する、α−オレフィンとスタンナン(SnH)との反応が報告された。極低温条件および低収率が、工業上の視点から、この手順を魅力のないものとしている。これはGB1255859に記載されている。不活性化アルケンをHSnXに付加してRSnXを得ることは、同様の機序を介して起こると記載されているが、これらこうしたアルケンは二次的な置換三ハロゲン化モノアルキルスズを低収率で生成する。これはUS3607893に記載されている。ヒドロスタンニル化は、水素化トリアルキルスズがラジカル条件下で多重結合を含む基質と反応した場合に起こることが知られている。ロジウムおよびパラジウムの錯体を首尾良く適用し、水素化トリアルキルスズのアルキンおよびアルケンへの付加を触媒することにより、混合テトラ有機スズ化合物を得る例もある(M.Lautens、W.Klute、Angew.、Chem.Int.Ed.Engl.、1996、35、442、およびこの中の参考文献)。
【0008】
SnCl(または別の選択肢としてSn金属)、HCl、および対応するアルケンから直接有機スズ化合物を調製することは、三塩化モノアルキルスズへの魅力的な代替経路を意味する。この主な利点は、低い原料コスト、および1ステップで選択的に所望の塩化アルキルスズを製造できることに由来する。この反応は、穏和な条件下で触媒を使用せずにこの反応が起こるα,β不飽和カルボニル含有基質に関し、以前報告されている。カルボニルの官能基は、これらの基質における変換のための活性化基として作用する。三ハロゲン化モノ有機スズおよび二ハロゲン化ジ有機スズの両有機スズ、またはそれらの混合物が生成された。これは、US4105684、EP0011280、US4080362、US4130573、J.W.Burley、P.Hope、R.E.Hutton、C.J.Groenenboom、J.Organomet、Chem.、1979、170、21、US特許4202830、J.W.Burley、P.Hope、A.G.Mack、J.Organomet、Chem.、1984に記載されている。しかし、不活性化アルケンは、これらの条件下では反応性がない。1−オクテンとHSnCl(EtO)との反応では、報告によると、極微量(<1%)の三塩化sec−オクチルスズしか生じない(277、37.R.E.Hutton、J.W.Burley、J.Organomet、Chem.、1978、156、369)。三塩化n−オクチルスズは、[(η−CZr(H)Cl]および化学量論量の1−オクテンを室温で0.5当量のSnClと反応させると、最高81%の収率で形成された。明らかに、多量のジルコニウム試薬の必要性は、この経路を工業的に魅力のないものとしている。(V.G.Kumar Das、O.Ghee Chee、J.Organomet、Chem.、1987、321、335)。
【発明の開示】
【0009】
1つの単一反応ステップで、触媒として遷移金属錯体の存在下、対応する不活性化アルケン(例えば、1−オクテン)、ハロゲン化第一スズ(例えば、SnCl)、およびハロゲン化水素(例えば、HCl)から、三ハロゲン化モノアルキルスズを直接、選択的に調製する新規方法を見出した。反応は選択的に進行し、目立った副生成物は異性化アルケンだけである。二ハロゲン化ジアルキルスズは、次いで三ハロゲン化モノアルキルスズから生成される。
【0010】
本発明は、式RSnHal(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズを生成する方法を含み、該方法は、触媒または触媒前駆体として少なくとも1つの遷移金属錯体の存在下、アルケン、ハロゲン化第一スズ、およびハロゲン化水素を接触させること、任意選択によりこの後、媒体から三ハロゲン化モノアルキルスズを単離することを含む。本発明の好ましい実施形態において、該錯体は、少なくとも1つの遷移金属M、少なくとも1つの単座配位子または二座配位子、LまたはL’、および任意選択により、(i)有機酸もしくは無機酸の共役塩基、(ii)水素化物、または(iii)ヒドロカルビル断片と定義される1つ以上のアニオンXを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、該錯体は、遷移金属M、および任意選択により、有機酸または無機酸の共役塩基と定義される1つ以上のアニオンX、ならびに任意選択により1つ以上のアルカリ金属カチオンからなる遷移金属塩である。
【0011】
Mは、元素周期表のVIII族から選択するのが有利である。反応は、溶媒を使用して、または使用せずに行うことができる。
【0012】
反応は選択的に進行し、目立った副生物は、出発アルケンの異性化から生じるアルケン異性体だけである。アルケンは現在、他の反応物に対して、過剰に適用されている。ハロゲン化水素酸は、気体として、または溶液中で用いることができる。反応は、室温以上で円滑に進行する。多数の有機溶媒、特に、アルコール、エーテル、無極性の芳香族および脂肪族溶媒などの溶媒、ならびにそれらの混合物が使用できる。少量の水が反応を妨げることはない。
【0013】
本発明は、二ハロゲン化ジアルキルスズを得る方法も含む。三ハロゲン化モノアルキルスズは、(i)上記反応媒体から単離したものであっても、(ii)別の供給源由来のものであっても、金属スズと反応して、二ハロゲン化スズと二ハロゲン化ジアルキルスズとの混合物が得られる。任意選択により、選択肢(i)において、反応中に金属スズを三ハロゲン化モノアルキルスズに添加することができる。この方法において、形成した二ハロゲン化スズを消費して三ハロゲン化モノアルキルスズを生成することができる。
【0014】
本発明は、さらに、PVC安定剤、ガラスコーティング剤、および触媒のための中間体として、上記方法に従って作製されるこれらの三ハロゲン化モノアルキルスズ、二ハロゲン化ジアルキルスズ、およびそれらの混合物の使用にも関する。本発明は、さらに、本発明の方法によって作製される三ハロゲン化モノアルキルスズおよび二ハロゲン化ジアルキルスズから作製されたPVC安定剤、ガラスコーティング剤、および触媒にも関する。
【0015】
(発明の詳細)
本発明は、式RSnHal(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズの製造法に関する。該方法は、少なくとも1つの遷移金属系触媒の存在下、対応するアルケンまたはシクロアルケン、ハロゲン化第一スズSnHal、ハロゲン化水素HHal、および任意選択によりSn金属を接触させ、この後媒体から三ハロゲン化モノアルキルスズを単離することを含む。
【0016】
Rは、C2〜C20の範囲、好ましくはC2、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8から選択される直鎖または分岐のアルキルであるのが有利である。
【0017】
三ハロゲン化モノアルキルスズに関し、特定の実施形態において、Halは塩化物である。これは、ハロゲン化第一スズはSnClであり、ハロゲン化水素はHClであることを意味する。式RSnHalにおいて、R基は、2〜20個の炭素原子を有する(直鎖または分岐の)アルキルまたはシクロアルキルと定義するのが好ましい。n−ブチル、ブチル、n−ヘキシル、ヘキシル、n−オクチル、およびオクチルを使用するのが好ましい。
【0018】
アルケン(オレフィンと称する場合もある)に関し、アルケンを、一例として、下記式
【0019】
【化1】

として、および反応経路は下記(反応式1)
【0020】
【化2】

[式中、RはH、または1〜18個の炭素原子を有する(直鎖もしくは分岐の、または置換された)アルキルと定義される]
として記載することができる。
【0021】
アルケン、またシクロアルケンも、2〜20個の炭素原子を有しているのが有利である。特定の実施形態において、アルケンは、R(R)C=C(R)(R)[R〜Rは任意の(分岐もしくは直鎖の、または置換された)アルキル基または水素であり、R、R、R、および/またはRは、任意選択により他のR基のいずれかに結合しており(例えば、RもしくはRは、RもしくはRに結合し、またはRはRに結合する)、R〜Rにおける炭素原子の数は0〜18の範囲である]と記載することもできる。
【0022】
オレフィンは、官能基および/または置換基を含むことができる。この炭化水素は、4〜8個の炭素原子を有するのが有利である。特に、1−ブテンおよび1−オクテンは、工業的に重要な有機スズの製造に適している。
【0023】
ハロゲン化第一スズに関し、ハロゲン化第一スズは、SnHalまたは任意の前駆体であってよい。例として、Sn/SnHalのブレンド、およびHHal/Snを挙げることができる。前駆体には、SnHal/Sn/SnHalのブレンドも挙げられる。ハロゲン化第一スズは無水であるのが好ましいが、またこれらのアクア錯体も使用することができる。ハロゲン化第一スズSnHalは、その場(in situ)で生成することができる。特定の実施形態によれば、SnHalを、Sn/SnHalブレンド(1/1の割合)で一部または全部を代替し、その場でSnHalを生成することができる。
【0024】
ハロゲン化水素に関し、ハロゲン化水素は、気体としてのハロゲン化水素自体、または溶媒中の溶液、または任意の前駆体、またはそれらの任意のブレンドであってよい。前駆体は、[HN(アルキル)3]Hal、別のアンモニウム塩、またはハロゲン化水素の他のルイス塩基付加物であってよい。気体として使用する場合、ハロゲン化水素は、別の気体で希釈してよい。本発明の好ましい実施形態において、ハロゲン化水素は、HClまたは[HN(C]Clであってよい。別の好ましい実施形態において、Halは塩化物であり、ハロゲン化第一スズはSnClであり、ハロゲン化水素はHClである。
【0025】
触媒に関し、最も広範な形においては、触媒は遷移金属系触媒である。
【0026】
本発明の第一実施形態によれば、該遷移金属系触媒は錯体であってよく、該錯体は、少なくとも1つの遷移金属M、少なくとも1つの単座配位子Lまたは二座配位子L’、および任意選択により1つ以上のアニオンXを含み、Xは(i)有機酸もしくは無機酸の共役塩基、(ii)水素化物、または(iii)ヒドロカルビル断片と定義される。
【0027】
触媒は、次式
L’MX(I)
(式中、L’二座配位子である)、または
MX(II)
もしくは
[LMX(III)
もしくは
M(IV)
(式中、Lは単座配位子である)
を有する錯体であるのが有利である。
【0028】
錯体は、M(PPhであるのが好ましい。
【0029】
本発明の第二実施形態によれば、遷移金属系触媒は、遷移金属M、および任意選択により、有機酸または無機酸の共役塩基と定義される1つ以上のアニオンX、および任意選択により1つ以上のアルカリ金属カチオンからなる遷移金属塩であってよい。
【0030】
さらに好ましくは、遷移金属系触媒は塩であり、該塩は、遷移金属M、1つ以上のアニオンX(Xは有機酸または無機酸の共役塩基と定義される)、および任意選択により、Li、Na、もしくはKなどの1つ以上のアルカリ金属カチオンM’、および/または1つ以上のプロトンからなる。
【0031】
該塩は、MX、M’MX、およびHMXからなる群から選択されるのが有利である。例えば、M(Hal)またはKMXを用いることができる。
【0032】
本発明の第三実施形態によれば、遷移金属系触媒は、0価の酸化状態における担持遷移金属Mであってよい。
【0033】
該担体は、炭素であるのが好ましい。
【0034】
本発明の枠組み内で使用された遷移金属系触媒、即ち錯体、塩、または担持遷移金属Mの種類にかかわらず、使用される遷移金属Mは、VIII族金属(8〜10族とも称される)であるのが有利であり、好ましい金属はPt、Pd、および/またはNiである。X基は、有機性および/もしくは無機性のアニオン、水素、またはヒドロカルビル断片であってよい。2個のX’を含む(一例としてLM(R)Clのような)触媒種において、2個のX’は互いに異なっていてよい。Cl、Br、I、アセテート、トリフレート、トシレート、水素化物、またはアルキルを使用するのが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、式(II)または式(III)におけるLは、ホスフィン、アルケン、アミン、ピリジン、有機硫化物、ニトリル、およびイミダゾリン−2−イリデンから選択される。L’は、追加のOまたはNを有するホスフィン含有配位子、ジホスフィン、ジアルケン、ジアミン、またはビス(イミダゾリン−2−イリデン)の配位子から選択される。さらに特定すれば、Lは、トリフェニルホスフィンもしくはL’=N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、または(置換されていてもよい)ビプリジンである。MはPdまたはPtであり、触媒(I)に関してXはClである。特定の実施形態において、触媒は、Pd(PPhまたはPt(PPhから選択される。
【0035】
溶媒に関して、一般に、有機溶媒、非プロトン性溶媒、またはプロトン性溶媒も好ましく、特に芳香族溶媒、塩素化芳香族溶媒、アルカン、エーテルおよびアルコールが好ましい。特にテトラヒドロフラン(THF)、エタノール、および1,2−ジメトキシエタン(DME)が適当な溶媒であることが判明した。
【0036】
操作条件および割合に関し、反応は、連続して、またはバッチで行われる。バッチ法が好ましい。温度は、例えば、周囲〜200℃でよい。20〜130℃の範囲が有利である。圧力に関し、低沸点を有する場合のアルケンおよびハロゲン化水素を反応媒体において維持する目的を除き、圧力は必要ない。しかし、反応の速度を上げるために、圧力は高い方が有利であることもある。好ましい反応時間は、数秒〜48時間の範囲である。オレフィン対SnHalのモル比は、0.1/1〜200/1、より有利には1/1〜100/1の範囲内となる。HHal対SnHalのモル比は、0.01/1〜100/1の範囲内となる。SnHalのモル数に基づく触媒添加量(Mのモル率)は、0.001〜5%、より好ましくは0.1〜1.5%であってよい。溶媒を使用する場合、任意の比率でも都合よい。反応は、任意の通常の装置で実行される。反応は、試料を取り、従来の分析をすることにより、確認することができる。三ハロゲン化モノアルキルスズは、例として、蒸留、溶媒抽出、結晶化などの任意の方法により、反応媒体から分離することができる。
【0037】
オレフィンに対する収率について、
alは、反応開始時にもともと存在するオレフィンのモル数であり、
a2は、変換したオレフィンのモル数であり、
a3は、三ハロゲン化モノアルキルスズに変換したオレフィンのモル数であり、
オレフィンに対する収率はa3/alの比率と定義され、通常は1〜80%の範囲である。オレフィンに対する選択率はa3/a2と定義され、通常10〜80%の範囲である。
【0038】
Sn収率について、
b1は、反応開始時の(Sn、SnHal、またはSnHa14として存在する)Snのモル数であり、
b2は、変換された(Sn、SnHal、およびSnHalとして存在する)Snの総モル数であり、
b3は、生成された三ハロゲン化モノアルキルスズのモル数である。
Snの選択率は、b3/b2の比率と定義され、95〜100%の範囲である。
Snの収率はb3/b1と定義される。変換率はb2/b1と定義される。
さらに、Sn/SnHalの比が>1であるものも使用できる。任意選択により、反応の過程でSnを反応混合物に添加することができる。この場合において、過剰なSn金属は、下記の全体的反応化学量論
【0039】
【化3】

に従い、二ハロゲン化ジアルキルスズおよびSnHalを生じる。
反応式2において、アルケンは一例に過ぎず、反応式2が上記したいずれのアルケンにも関することは明らかである。
2RSnHal+Sn→RSnHal+2SnHal(反応式3)
このSnHalが反応式1の反応に入り、RSnHalの別の当量を与えようとしている。
【0040】
変換率、収率、および選択率に関して、
a4は、二ハロゲン化ジアルキルスズに変換したオレフィンのモル量であり、
b4は、生成された二ハロゲン化ジアルキルスズのモル数である。
変換率、収率、および選択率は、ここで以下の通りに定義される。
オレフィンの収率は、(a3+a4)/a1と定義される。
オレフィンの選択率は、(a3+a4)/a2と定義される。
Snの収率は、(b3+b4)/b1と定義される。変換率は、上記の通りに定義される。Snの選択率は、(b3+b4)/b2の比率と定義される。
【0041】
最終的に、反応式1および反応式3の2つの反応は、2つの連続反応としても実行できる。この場合、三ハロゲン化モノアルキルスズRSnHalを最初に生成する。次いで、次のステップは、Sn金属を反応混合物に添加することにより実行される。RSnHalおよびRSnHalの生成物を単離した後に残ったハロゲン化第一スズは、最初のステップに再利用することができる。Sn/RSnHalの化学量論比を選択することにより、生成混合物における任意のRSnHal/RSnHalの比を選択することができる。
【0042】
本発明は、さらに、式RSnHal(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズから式RSnHalの二ハロゲン化ジアルキルスズを生成する方法に関し、該方法は、三ハロゲン化モノアルキルスズRSnHalとSn金属を接触させ、任意選択により、この後、二ハロゲン化ジアルキルスズRSnHalを媒体から単離することを含む。
【0043】
Rは、C1〜C20の範囲、好ましくはC2、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8から選択される直鎖または分岐のアルキルであるのが有利である。
【0044】
好ましい実施形態において、三ハロゲン化モノアルキルスズRSnHalは、上記した方法により生成される。
【0045】
スズおよび三ハロゲン化モノアルキルスズから二ハロゲン化ジアルキルスズを作製する方法に関し、三ハロゲン化モノアルキルスズは、(i)上記反応媒体から単離したものであっても、(ii)別の供給源由来のものであっても、下記反応に従って、金属スズと反応し、二ハロゲン化スズおよび二ハロゲン化ジアルキルスズの混合物が得られる。
2RSnHal+Sn→RSnHal+2SnHal(反応式3)
反応は、通常、20〜150℃の温度範囲で、触媒を使用して、または使用せずに進行し、溶媒を使用して、または使用せずに実施される。溶媒を適用する場合、好ましい溶媒は、有機無極性の脂肪族もしくは芳香族の溶媒、またはプロトン性溶媒、あるいはそれらの混合物である。水は、反応に対し有益な影響を及ぼす。有利なことには、形成されたSnClを、例えば、水で抽出した後に乾燥することにより単離して再利用し、上記したように三ハロゲン化モノアルキルスズを生成する方法のための出発原料として適用してもよい。Sn/RSnHalの化学量論比を選択することにより、生成混合物における任意のRSnHal/RSnHalの比を選択することができる。換言すると、単にSnの量を調節するだけで、三ハロゲン化モノアルキルスズおよび二ハロゲン化ジアルキルスズの異なる混合物を調製することができる。
【0046】
特に、Sn金属の添加量が不十分であると、三ハロゲン化モノアルキルスズRSnHalの部分変換が起こり、三ハロゲン化モノアルキルスズおよび二ハロゲン化ジアルキルスズの両方を含む混合物が結果として得られる。実際、こうした「調製済み(ready−to−go)」混合物は、現在、安定化剤の製造に使用されている。
【0047】
当然、本発明の方法は、媒体から、特に三ハロゲン化モノアルキルスズと二ハロゲン化ジアルキルスズとの混合物から、二ハロゲン化ジアルキルスズRSnHalを単離するステップをさらに含んでもよい。
【0048】
(実施例)
【実施例1】
【0049】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、Pt(0)(PPhを62mg、およびHNEtClを138mg(1.0mmol)投入した。次いでこの混合物を、THF0.5mL、続いて1−オクテン1.0mLおよび無水SnC1のTHF0.4M溶液0.5mL(0.20mmol)を添加することにより懸濁させた。容器を油浴中に置き、80℃に加熱し、16時間撹拌した。
【0050】
室温に冷却後、液相を過剰なEtMgClでエチル化し、内部標準を使用してGLCにより分析した。三塩化モノオクチルスズの収量は、10.5mg(0.031mmol、b3/b1=16%)である。
【実施例2】
【0051】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、Pd(PPhを5.0mg投入した。次いで、無水SnClのTHF0.8M溶液1.0mL(0.80mmol)、続いて1−オクテン2.0mL(12.5mmol)を添加した。反応器を油浴中に置き、60℃まで加熱した。続いて、HClのTHF0.25M溶液1.5mL(0.375mmol)をゆっくり添加し、得られた淡黄色溶液を1時間60℃で撹拌した。反応後、溶媒および余分な1−オクテンを真空中で除去し、橙色/赤色の残留物を得た。この残留物をトルエン3.0mL中に懸濁させ、得られた懸濁液を数分間激しく撹拌した。液相を過剰なEtMgClでエチル化した後、GLCにより分析した。三塩化モノオクチルスズの収量は、112mg(0.33mmol、b3/b1=41%)である。
【実施例3】
【0052】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、Pd(PPhを9.5mgおよびSnClを172mg(0.91mmol)投入した。次いで、THF4mLを添加した。容器を油浴中に置き、50℃に加熱する一方、プロピレンを溶液に通して泡立たせた。続いて、HClのTHF0.20M溶液4.0mL(0.80mmol)をゆっくり添加し、得られた淡黄色溶液を、プロピレンを溶液に通して泡立たせながら、1.5時間50℃で撹拌した。
【0053】
反応後、プロピレンの泡立てを停止し、溶媒を真空中で除去して、橙色/赤色の残留物を得た。この残留物をトルエン3.0mL中に懸濁させ、得られた懸濁液を数分間激しく撹拌した。液相を過剰なEtMgClでエチル化した後、内部標準を使用してGLCにより分析した。三塩化モノプロピルスズの収量は、12.6mg(0.047mmol、b3/b1=6%)である。
【実施例4】
【0054】
窒素(dinitrogen)パージを可能にする注入口、および撹拌子を備えた圧力容器中に、Pd(PPhを15.0mg計量して入れた。この試験管を不活性雰囲気下に置き、続いて−10℃に冷却した。次いで、液体1−ブテン4mL、続いてSnClのTHF0.8M溶液1.0mLを添加し、HClのTHF0.25M溶液3.0mLを滴下で添加した。次いで、容器を密閉し、冷却浴を取り外した。容器が室温に達した時点で、数秒間開口し、蓄積していた余分な圧力を取り除いた。続いて、混合物を室温で64時間撹拌した。
【0055】
反応後、僅かに濁った黄色の反応混合物を第二フラスコに移した。実施例2で記載したように、得られた残留物を処理し、エチル化し、GLCにより分析した。分析は、三塩化ブチルスズ(0.16mmol、b3/bl=20%)45mgの形成を示した。
【実施例5】
【0056】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、Pd(PPhを15.0mgおよびSnClを38mg投入した。THF(1mL)を添加した後、シクロヘキセン3.0mLを添加した。最後に、HClのTHF0.20M溶液0.8mLを、注入器によって滴下で添加した。添加が完了した後、得られた混合物を60℃に加熱し、24時間この温度で撹拌した。
【0057】
室温に冷却後、揮発分を減圧下で蒸発させた。実施例2で記載したように、得られた残留物を処理し、エチル化し、GLCにより分析した。三塩化モノシクロヘキシルスズの反応の収量は、4.0mg(0.013mmol、b3/b1=5%)と測定された。
【実施例6】
【0058】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、Pd(PPhを4.5mgおよびSnClを75.1mg含むTHF溶液1mL(0.40mmol)を投入した。反応器を50℃に加熱し、この後、スチレン(13.1mmol)1.5mLを添加した。続いて、HClのTHF0.20M溶液2.0mL(0.40mmol)をゆっくり添加し、得られた淡黄色溶液を16時間50℃で撹拌した。
【0059】
反応後、溶媒および余分なアルケンを真空中で除去し、橙色/赤色の残留物を得た。この残留物をトルエン3.0mL中に懸濁させ、得られた懸濁液を数分間激しく撹拌した。液相を過剰のEtMgClでエチル化した後、内部標準を使用してGLCにより分析した。三塩化モノ(フェニルエチル)スズの収量は、5.9mg(0.018mmol、b3/b1=5%)である。
【実施例7】
【0060】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、PdC1を1.7mgおよびSnClを634mg投入した。エタノール(2mL)を添加した後、1−オクテン4.4mlを添加した。混合物を50℃まで加熱し、HClのエタノール2.75M溶液0.91mLを注入器によって添加した。添加が完了した後、反応混合物を44時間50℃で撹拌した。
【0061】
室温に冷却後、揮発分を減圧下で蒸発させた。実施例2で記載したように、得られた残留物を処理し、エチル化し、GLCにより分析した。三塩化モノオクチルスズの反応収量は、500mg(1.48mmol、b3/b1=44%)と測定された。
【実施例8】
【0062】
磁気撹拌子を備えた反応器にPd−活性炭素(Pd10%)10.8mgを投入し、不活性雰囲気下に置いた。次いで、触媒にアセトン2.0mLを添加することにより懸濁させた。混合物を50℃に加熱し、1−オクテン4.7mLを添加した。別の反応器内で、SnClを671mg、HClの4M水溶液0.66mL(2.65mmol)、およびアセトン10.5mLとの混合物を調製し、この混合物を注入器によって最初の反応混合物に添加した。得られた混合物を20時間50℃で撹拌した。
【0063】
室温に冷却後、揮発分を減圧下で蒸発させた。得られた残留物を、実施例2で記載したように処理した。三塩化モノオクチルスズの収量98mg(0.29mmol、b3/b1=8%)は、GLC測定の結果から算定した。
【実施例9】
【0064】
磁気撹拌を備えた反応器にSn粉末1.00g(8.42mmol)を投入し、不活性状態にした。次いで、トルエン5.0mL、続いて、三塩化モノブチルスズ2.55g(9.04mmol)を添加した。この混合物を105℃で24時間撹拌した。
【0065】
反応後、得られた薄灰色の懸濁液を室温に冷却し、ろ過した。残留固形物をトルエン5mLで3回抽出し、組み合わせた有機画分を蒸発乾固させた。これにより、生成物として白色結晶性物質1.31gが得られた。Hおよび119Sn NMR、(EtMgClでエチル化した後に)GLC、ならびにmpによる同定により、生成物は、>98%純粋な二塩化ジブチルスズ(4.31mmol)であると確認された。
【実施例10】
【0066】
磁気撹拌を備えた反応器にSn粉末485mgを投入し、不活性雰囲気下に置いた。次いで、トルエン4.0mLを、続いて、三塩化オクチルスズ1.41gを添加した。この混合物を105℃で24時間撹拌した。
【0067】
反応後、得られたオフホワイトの懸濁液を室温に冷却し、ろ過した。残留固形物をトルエンで抽出し、合わせた有機画分を蒸発乾固した。これにより、二塩化ジオクチルスズ0.80g(1.92mmol、(b3+b4)/b1=47%)が得られた。
【実施例11】
【0068】
磁気撹拌を備えた反応器を不活性雰囲気下に置き、Pd(PPhを15mg投入した。次いで、Sn粉末238mg、続いて、THF3mLおよび1−オクテン5.0mLを添加した。容器を油浴中に置き、50℃まで加熱した。続いて、HClのTHF0.3M溶液3mLをゆっくり添加し、得られた淡黄色溶液を40時間緩やかな還流下で撹拌した。
【0069】
溶媒および1−オクテンの過剰分を真空中で除去し、橙色/赤色の残留物を得た。この残留物をトルエン3.0mL中に懸濁させ、得られた懸濁液を数分間激しく撹拌した。液相を、過剰なEtMgClでエチル化した後、GLCにより分析した。二塩化ジオクチルスズの収量は、50mg(0.12mmol、(b3+b4)/b1=6%)であった。
【0070】
本明細書の上記に記載した方法に従って製造された三ハロゲン化モノアルキルスズ、二ハロゲン化ジアルキルスズ、およびそれらの混合物は、PVC安定剤、ガラスコーティング剤、および触媒のための中間体として一般に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの遷移金属系触媒の存在下、対応するアルケンまたはシクロアルケン、ハロゲン化第一スズSnHal、ハロゲン化水素HHal、および任意選択によりSn金属を接触させ、この後、媒体から三ハロゲン化モノアルキルスズを単離することを含む、式RSnHal(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、BrまたはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズを製造する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの遷移金属系触媒が錯体であり、前記錯体が少なくとも1つの遷移金属M、少なくとも1つの単座配位子Lまたは二座配位子L’、および任意選択により1つ以上のアニオンXを含み、Xが(i)有機酸もしくは無機酸の共役塩基、(ii)水素化物、または(iii)ヒドロカルビル断片と定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
錯体が、LMX、[LMX、LM、およびL’MXからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
錯体がM(PPhである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの遷移金属系触媒が塩であり、前記塩が遷移金属M、1つ以上のアニオンX(Xは有機酸または無機酸の共役塩基と定義される)、ならびに任意選択によりLi、Na、もしくはKなどの1つ以上のアルカリ金属カチオンM’、および/または1つ以上のプロトンからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
塩が、MX、M’MX、およびHMXからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩がM(Hal)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの遷移金属系触媒が、0価の酸化状態における担持遷移金属Mである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
担体が炭素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
遷移金属MがVIII族金属であり、ならびにPt、Pd、およびNiから好ましくは選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ハロゲン化第一スズSnHalがその場(in situ)で生成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ハロゲン化第一スズSnHalが、SnとSnHalの混合物(好ましくは1/1の割合)で一部または全部代替されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Rが、C2〜C20の範囲、好ましくはC2、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8から選択される直鎖または分岐のアルキルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
反応が、好ましくは、有機、非プロトン性またはプロトン性溶媒から選択される溶媒中で行われる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
溶媒が、芳香族溶媒、塩素化芳香族、アルカン、エーテル、およびアルコールから選択され、および例えば、テトラヒドロフラン(THF)、エタノール、または1,2−ジメトキシエタン(DME)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Halが塩化物であり、ハロゲン化第一スズがSnClであり、ハロゲン化水素がHClである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
三ハロゲン化モノアルキルスズRSnHalとSn金属を接触させ、任意選択によりこの後、媒体から二ハロゲン化ジアルキルスズRSnHalを単離することを含む、式RSnHal(式中、R=アルキルまたはシクロアルキル、およびHal=Cl、Br、またはI)の三ハロゲン化モノアルキルスズから、式RSnHalの二ハロゲン化ジアルキルスズを製造する方法。
【請求項18】
Rが、C1〜C20の範囲、好ましくはC2、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8から選択される直鎖または分岐のアルキルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記三ハロゲン化モノアルキルスズRSnHalが、請求項1から16のいずれか一項の方法により製造される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
Sn金属の量が不十分に添加され、媒体から二ハロゲン化ジアルキルスズRSnHalを単離する任意選択のステップをさらに含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−501190(P2009−501190A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520867(P2008−520867)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064098
【国際公開番号】WO2007/006783
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508011968)
【Fターム(参考)】