説明

三方切換弁

【課題】製造コストが低く、小型化が可能で、安定運転を維持可能な三方切換弁を提供する。
【解決手段】第1及び第2流入配管13、14に流入した流体のいずれか一方を選択的に流出配管15へ流出させる三方切換弁1であって、第1流入配管に連通する第1弁室3aと2流入配管に連通する第2弁室3bとを有する弁本体3と、弁本体の内部に固定され、第1弁室を流出配管に連通させる第1連通路7aと、第2弁室を流出配管に連通させる第2連通路7bとを有する弁座部材7と、第1弁室に配置され、電磁アクチュエーターの作動によって第1弁口7cを開閉する第1弁体5と、第2弁室に配置され、第2弁口7dを開閉する第2弁体10を保持し、第2連通路に向けて往復移動するピストン8と、第1弁体と第2弁体との間に介装され、中間部が弁座部材に案内される作動棒12とを備え、第1及び第2流入配管と流出配管とは、両弁体の移動方向から視て互いに重合しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機のヒートポンプユニット等において流体の流路を切り換えるために用いられる三方切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記三方切換弁として、例えば、特許文献1には、図3に示すように、弁本体51と、上下2段にわたって配置される第1及び第2流入配管52、53と、流出配管54と、コイル装置60と、プランジャ61と、2つの弁体63、65と、2つのパイロット弁体62、66と、これらのパイロット弁体62、66を両端部に有する駆動ピン69とを備えた電磁ソレノイド方式の三方切換弁50が記載されている。
【0003】
この三方切換弁50によれば、コイル装置60への通電・非通電によりプランジャ61を上下方向に移動させ、パイロット弁体62、66によるピストン内室63a、65aの開放、閉鎖を介して2つの弁体63、65を弁座57、58に接離させ、第1及び第2流入配管52、53に流入した流体のいずれか一方を選択的に流出配管54へ流出させる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−180369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記三方切換弁50においては、第1及び第2流入配管52、53が上下方向に2段にわたって配置されているため、駆動ピン69を長く形成する必要があり、製造コストの上昇に繋がるとともに、三方切換弁50全体が大型になるいう問題があった。また、駆動ピン69と弁体63及び弁体65との間、並びに弁体63及び弁体65と弁本体51との間に隙間が存在するため、駆動ピン69が傾斜してがたつき、三方切替弁50の安定運転を阻害する虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、製造コストが低く、小型化が可能で、安定運転を維持することも可能な三方切換弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、第1及び第2流入配管に流入した流体のいずれか一方を選択的に流出配管へ流出させる三方切換弁であって、前記第1流入配管に連通する第1弁室と、前記第2流入配管に連通する第2弁室とを有する弁本体と、該弁本体の内部に固定され、前記第1弁室を前記流出配管に連通させる第1連通路と、前記第2弁室を前記流出配管に連通させる第2連通路とを有する弁座部材と、前記第1弁室に配置され、電磁アクチュエーターの作動によって前記第1連通路の弁口を開閉する第1弁体と、前記第2弁室に配置され、前記第2連通路の弁口を開閉する第2弁体を保持するとともに、前記第2連通路に向けて往復移動するピストンと、前記第1弁体と前記第2弁体との間に介装され、中間部が前記弁座部材に案内される作動棒とを備え、前記第1及び第2流入配管と前記流出配管とは、前記第1及び第2弁体の移動方向から視て互いに重なり合わないことを特徴とする。
【0008】
そして、本発明によれば、第1及び第2流入配管と流出配管とを、第1及び第2弁体の移動方向から視て互いに重なり合わないように配置するため、作動棒を短く形成することができて製造コストを低く抑えることができるとともに、三方切換弁の上下方向を小型化できる。これに加え、弁本体に固定された弁座部材によって作動棒を案内しているため、作動棒ががたつくことがなく、三方切替弁の安定運転を維持することができる。尚、三方切換弁全体を最も小型にできる構成としては、第1及び第2流入配管と流出配管とを、第1及び第2弁体の移動方向に対して垂直な同一面内(第1及び第2弁体の移動方向を上下方向とした場合には、同一水平面内)に配置した場合である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、製造コストが低く、小型で、安定運転を維持することも可能な三方切換弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる三方切換弁の一実施の形態を示し、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図、(c)は(a)の一部拡大断面図である。
【図2】図1の三方切換弁の全体斜視図である。
【図3】従来の三方切替弁の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2は、本発明にかかる三方切換弁の一実施の形態を示し、この三方切換弁1は、第1流入配管13及び第2流入配管14に流入した流体のいずれか一方を選択的に流出配管15へ流出させるために用いられ、コイル装置2と、一部がコイル装置2に内嵌される弁本体(ケーシング)3と、弁本体3内の上部に設けられるプランジャ4と、弁本体3内に固定される弁座部材7と、プランジャ4の下端部に固定されるボール状の第1弁体5と、ピストン8の上端部に固定されるボール状の第2弁体10と、これら第1弁体5及び第2弁体10との間に介装されるとともに、弁座部材7を貫通する作動棒12と、弁本体3内の下部に配置されるピストン8等を備える。
【0013】
第1及び第2流入配管13、14並びに流出配管15は、弁本体3に、例えば、青銅を用いた炉中ろう付けなどにより接合される(ろう付け部16)。
【0014】
弁本体3は、円筒状に形成され、内部にプランジャ4、弁座部材7、作動棒12、ピストン8等を備える。弁本体3の上端部には吸引子17が固定され、下端部は下蓋9で閉じられている。プランジャ4と弁座部材7の上面との間に第1弁室3aが形成され、弁座部材7の下面とピストン8の上面との間に第2弁室3bが形成される。
【0015】
プランジャ4は、その下端に第1弁体5がかしめ加工により固定され、プランジャ4とコイル装置2の吸引子17との間に介装される第1コイルばね6により下方に付勢される。
【0016】
弁座部材7は、第1弁室3aを流出配管15に連通させる第1連通路7aと、第2弁室3bを流出配管15に連通させる第2連通路7bとを有し、第1弁室3a側に第1弁口7cが開口し、第2弁室3b側に第2弁口7dが開口する。また、弁座部材7の第1連通路7aと第2連通路7bとの間には、作動棒12の中間部を案内する案内部7eが穿設される。
【0017】
ピストン8は、その上端に第2弁体10がかしめ加工により固定され、ピストン8と下蓋9との間に介装される第2コイルばね11によって上方に付勢される。また、ピストン8内のピストン内室8aに連通する複数の流通孔(不図示)を備え、これにより、ピストン8の内側からも圧力を付与し、内外の均圧を図って摺動時の抵抗を低減する。尚、第2コイルばね11のばね荷重は、プランジャ4側の第1コイルばね6より小さく設定される。これは、コイル装置2に通電していないときに、プランジャ4側の第1コイルばね6の弾性力を作動棒12を介してピストン8に伝達し、ピストン8を押し下げて第2弁口7dを開くためである。
【0018】
作動棒12は、第1弁体5の変位に追随させてピストン8を移動させるため、プランジャ4とピストン8との間に介装され、その中間部が弁座部材7の案内部7eによって案内される。
【0019】
次に、上記構成を有する三方切換弁1の動作について図面を参照しながら説明する。
【0020】
コイル装置2に通電しない状態では、図1に示すように、プランジャ4が第1コイルばね6によって下方に付勢されて弁本体3内を下方に摺動し、第1弁体5によって第1弁口7cが閉じられる。また、このプランジャ4の摺動に伴い、作動棒12が下方に移動して第2弁体10及びピストン8を下方に移動させ、第2弁体10を第2弁口7dから離間させて第2弁口7dを開く。これによって、第2流入配管14から流入した流体が、第2弁室3b、第2弁口7d、第2連通路7bの順に通過して流出配管15に流出する。
【0021】
一方、コイル装置2に通電すると、磁力によってプランジャ4が吸引子17に吸引されて弁本体3内を上方に摺動し、第1弁体5を第1弁口7cから離間させて第1弁口7cを開く。また、このプランジャ4の摺動による第1弁体5の移動に伴って、作動棒12によって第2弁体10及びピストン8を押し下げる力が作用しなくなり、第2コイルばね11の弾性力によりピストン8が上方に摺動し、第2弁体10によって第2弁口7dを閉じる。これによって、第1流入配管13から流入した流体が、第1弁室3a、第1弁口7c、第1連通路7aの順に通過して流出配管15に流出する。
【0022】
以上のように、上記構成を備える三方切替弁1は、第1及び第2流入配管13、14と流出配管15とを上下方向(第1弁体5及び第2弁体10の移動方向)から視て重なり合わないように配置するため、作動棒12を短く形成することができて製造コストを低く抑えることができるとともに、三方切換弁1全体を小型化できる。これに加え、弁本体3に固定された弁座部材7の案内部7eによって作動棒12を案内しているため、作動棒12ががたつくことがなく、三方切替弁1の安定運転を維持することができる。
【0023】
尚、上述した実施形態においては、電磁アクチュエーターとして電磁ソレノイドを用い、その構成要素であるプランジャ4に第1弁体5を設けることにより、三方切換弁1を電磁弁で実現した場合について説明したが、電磁アクチュエーターとして電動モータを採用することにより、三方切換弁1を電動モータ方式で実現することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 三方切換弁
2 コイル装置
3 弁本体
3a 第1弁室
3b 第2弁室
4 プランジャ
5 第1弁体
6 第1コイルばね
7 弁座部材
7a 第1連通路
7b 第2連通路
7c 第1弁口
7d 第2弁口
7e 案内部
8 ピストン
8a ピストン内室
9 下蓋
10 第2弁体
11 第2コイルばね
12 作動棒
13 第1流入配管
14 第2流入配管
15 流出配管
16 ろう付け部
17 吸引子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2流入配管に流入した流体のいずれか一方を選択的に流出配管へ流出させる三方切換弁であって、
前記第1流入配管に連通する第1弁室と、前記第2流入配管に連通する第2弁室とを有する弁本体と、
該弁本体の内部に固定され、前記第1弁室を前記流出配管に連通させる第1連通路と、前記第2弁室を前記流出配管に連通させる第2連通路とを有する弁座部材と、
前記第1弁室に配置され、電磁アクチュエーターの作動によって前記第1連通路の弁口を開閉する第1弁体と、
前記第2弁室に配置され、前記第2連通路の弁口を開閉する第2弁体を保持するとともに、前記第2連通路に向けて往復移動するピストンと、
前記第1弁体と前記第2弁体との間に介装され、中間部が前記弁座部材に案内される作動棒とを備え、
前記第1及び第2流入配管と前記流出配管とは、前記第1及び第2弁体の移動方向から視て互いに重なり合わないことを特徴とする三方切換弁。
【請求項2】
前記第1及び第2流入配管と前記流出配管とを、前記第1及び第2弁体の移動方向に対して垂直な同一面内に配置したことを特徴とする請求項1に記載の三方切換弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−241846(P2011−241846A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111691(P2010−111691)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】