説明

三日月形ペット容器

【課題】伝統意匠の抱瓶の三日月形を採用し、容器として高い密閉性を有し、携帯、携行に便利で、複数の有蓋開口を有し、繰り返し使用できるペット容器を提供する。
【解決手段】携帯、携行時に肩掛け紐での吊り下げや腰帯で固定する場合において、容器体1の一面に凹側面部1−Cを設けた三日月形の機能形状とする。また、繰り返しの使用を容易かつ便利にするために、注ぎ専用の注ぎ口4の他に容器体1への注ぎ入れのための広口2を設け、容器内室を1つ以上備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器としての高い密閉性を有するペットボトルが繰返しの利用を促がし環境圧を低減し、かつ販売促進上の差別化を図るため、携帯携行を容易にし、複数の有蓋開口を有する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ペットボトルは、飲料販売の容器として先行する素材のガラスの瓶と同様、円筒形や角柱形を基本の形として細い開口を上部に、上向きに設け、縦に置くための平坦な底部を有する容器となっており、内容液物が充填されて商品となり、エンドユーザーにより内容液物を注ぎ出させることを目的とした形状である。また、従来の円筒形や角柱形のものは液物を飲み干すのに便利な握り安い縦置きに適した形状をしている。(例えば、非特許文献1参照)
【0003】
沖縄地方にはダチビンと呼ばれる陶製容器がある。(例えば、非特許文献2参照)
【0004】
蓋付き開口を2つ備えたペット容器は、既に発明され、公開されている(例えば、特許文献1参照)
【0005】
ペット容器の携行を容易にするためのペット容器のための吊り下げ紐付きの袋体はある。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【非特許文献1】ペットボトル http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB 出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
【非特許文献2】抱瓶 独立行政法人情報処理推進機構 カテゴリー覧>伝統的工芸品−陶磁器(とうじき)−九州地方>壷屋焼(つぼややき)沖縄県 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/x−den1/x−dto3/x−dty/IPA−dend10.htm 出典:IPA「教育用画像素材集サイト」http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
【特許文献1】特開2007−197041号 公報
【特許文献2】特開2002−120863号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に延べた従来のペットボトルは液体の流通と消費において利便性の高いデザインと軽く割れにくい、比較的高い密封性が確保できるという特性を備えているが、握りに適した形状であり携行時には手が塞がる。
【0007】
ペットボトル入り商品は、一般に工場での液体の充填、閉蓋で完成品となり流通し、一般消費者側では開蓋し細い開口は注ぎ専用となっており、空のペットボトルへ再び注ぎ口から液体を入れるという再利用のための利便性は想定されておらず、繰返し利用されるペットボトルはごく希である。
【0008】
酒類の器として携行時に、肩から吊下げる、腰に縛り付けるなどすると腰にフィットする凹曲面をもって安定性を追及した沖縄地域の伝統工芸陶器である抱瓶(だちびん)は、実用面から携帯するには重く、陶製であるため割れの恐れがあるため、抱き持ち歩く瓶という名の通りに機能デザインを呈するものの、携行されることはほとんどない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題目的を達成するために、伝統工芸陶器である抱瓶の有する携行に便利な三日月形の機能デザインを陶器であるが故の重さと割れの恐れを解決するためのペット容器に採用するものである。
【0010】
従来のペット容器が単内室で注ぎだし優先の単口で構成されているのに対し、繰返しの利用を促がすため、容器への注ぎいれが用意となる広口を設置し、注ぎだし口とは別に設ける。それぞれの口にはペット容器の優れた機密性のあるスクリュー式の蓋で密閉可能なものとする。
【0011】
上述の本発明となるペット容器本体に、吊り下げ紐を結べるホルダーリングを設ける。もしくは、当該ペット容器を包み込む、吊り下げ紐やくくり紐を備えた袋体を設ける。
【発明の効果】
【0012】
伝統意匠の抱瓶の三日月形を採用することで、携行に便利なペット容器が提供できる。
【0013】
注ぎいれるための開口を設けることで、繰返しの利用を誘発し、促がすことができ、ペット容器のリサイクル率を高めることができる。
【0014】
沖縄の抱瓶の伝統意匠を採用することで、沖縄の観光土産として特徴を発揮し、他地域の土産との差別化を図ることができ、販売促進に効果が発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示す三日月形ペット容器の斜視図、平面図、立面図、側面図
【図2】吊り下げ紐を結び繋ぎ、袋体で包んだ同ペット容器の斜視図、平面図、立面図、側面図
【図3】吊り下げ紐を備えた袋体で包んだ同ペット容器の斜視図、平面図、立面図、側面図
【図4】同ペット容器のA−A’線断面図
【図5】容器体内に主室と副室の2室と、蓋付き開口を3箇所に備えた同ペット容器のA−B線,B−C線断面図
【図6】容器体を構成する独立した2つの容器は組み合わさって組み合わさり三日月形を成す同ペット容器の斜視図、A−B線,B−C線断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は図1に示すとおり、肩に掛けて、あるいは、腰に留める吊り紐9を結ぶためのホルダーリング8を備えた容器体1である。 容器体1は携帯、携行する場合において、当ペット容器を持つ人の体側に当たる部分に容器体1の側面に内湾する凹側面部1−Cを設け、携帯、携行の利便性を高めた三日月形の機能形状を備えたペット容器である。 容器体1は広口2と注ぎ口4との、少なくとも2つ以上の蓋付き開口を備えている。 広口2は、容器体1への液体などの注ぎ入れを容易にし、ペット容器の繰返しの利用を促がす。
【0017】
図2で示すように、容器体1表面にできる結露で、当容器体1を携帯、携行する人が濡れないよう、また、容器体1に入っている液体物などが冷める、温むのを抑えるため遮熱、保温の性能のある袋体10を容器体1に装着しても良い。
【0018】
図3では、結露による濡れ防止や保冷保温機能のある袋体10に肩に掛け、あるいは、腰に留める吊り紐9を連結させ、袋体10を装着することを示している。袋体10を装着せず、結露による濡れ防止や保冷保温機能のある遮熱保温コーティング12を容器体1に塗布してもよい。
【0019】
図4で示すA−A’線断面図ように、容器体1の主室1−Gに対して液体物などを注ぎ入れるための口径の大きな広口2を設け、注ぎ出すための開口である注ぎ口4を設ける。また、それぞれの開口には広口蓋3と注ぎ口蓋5を付与する。広口2は垂直方向に開口し、注ぎ口4はやや傾斜した方向に開口しスムーズな注ぎ出しを誘導する。
【0020】
図5では、容器体1の内空室を隔壁1−Iによって主室1−Gと副室1−Hの2つに分けて実施する形態をA−B線断面とB−C断面で示したものである。主室1−Gには、広口2と注ぎ口4の2つの開口を設け、副室1−Hには1つ以上の開口を設ける。副室1−Hの副室口6、注ぎ口4のように傾斜方向に開口を設けても良い。
【0021】
図6には、内空室が2つあり、主室1−Gと副室口6が1つ以上設けた副室1−Hとが独立した容器体1で、主室1−Gと副室1−Hが組み合わされて、全体として1つの三日月形の機能形状を構成する実施する形態である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の実施の形態は、沖縄の伝統陶製容器である抱瓶(だちびん)の形状を呈しているが、ペット容器で抱瓶の形態を実施することで軽く、割れにくく、密閉性が高く携帯・携行の効果が高まる。
【0024】
沖縄の酒類の販売において、一般の瓶詰めの酒類との差別が図れる。ペット容器は陶製抱瓶より安価な容器を提供できる。
【0025】
一般に飲料物を詰めたペット容器は、その飲料物が飲み干されると、その一度だけの利用で、廃棄もしくはリサイクルされ、容器として再利用されるのは、全体消費量に較べて極稀である。これに対して、本発明の実施により、容器としての再利用、再々利用の可能性が期待でき、資源及びエネルギー面から環境圧が軽減できる。
【符号の説明】
1 容器体
1−A 上面部
1−B 底面部
1−C 凹側面部
1−D 凸側面部
1−E 頭部
1−F 尾部
1−G 主室
1−H 副室
1−H’ 脱着式副室
1−I 隔壁
2 広口
3 広口蓋
4 注ぎ口
5 注ぎ口蓋
6 副室口
7 副室口蓋
8 ホルダーリング
9 吊り紐
10 袋体
11 吊り紐留め具
12 遮熱保温コーティング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と上面部が三日月形で、側面に凹側面部と凸側面部を持つ、蓋付きの開口を2つ以上と容器内室を1つ以上とを備えたペット容器。
【請求項2】
着脱可能な2つ以上の容器からなり、この2つ以上の容器が連結したとき全体として形づくる底面部と上面部は三日月形で、全体として凹側面部と凸側面部からなる側面を形成するペット容器。
【請求項3】
請求項1記載のペット容器に吊り下げ紐を結びつけるなどして連結するためのホルダーリングを有するペット容器。
【請求項4】
遮熱効果と結露防止効果のある袋体に包まれた請求項3記載のペット容器。
【請求項5】
吊り下げ紐と連結した遮熱効果と結露防止効果のある袋体に包まれた請求項1記載のペット容器。
【請求項6】
表面に遮熱効果と結露防止効果のあるコーティングを施した請求項3記載のペット容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269844(P2010−269844A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140578(P2009−140578)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(599069286)
【出願人】(508103964)
【Fターム(参考)】