説明

三次元画像処理装置および三次元画像表示方法

【課題】 フライスルー画像の表示方法を改善すること。
【解決手段】 ボリュームデータを基に作成したオブジェクトから形成したフライスルー画像上の所望位置にROIを設定し、この設定したROIの位置を始点として視点位置から延長方向へ、オブジェクトをドリリング(掘削)することにより、ドリリングしながらオブジェクトのフライスルー画像を表示する。
これにより、ドリリングして内壁を拡大表示しても画像がぼやけることがなく、また、ドリリング処理とフライスルー処理との切り替え操作が不要となり、ユーザの負担を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置や磁気共鳴イメージング装置、或いは超音波診断装置などの医用画像診断装置で得られた画像データを基に、三次元画像を形成する三次元画像処理装置およびその三次元画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像分野で広く使用される医用画像撮影装置として、例えばX線CT装置、磁気共鳴イメージング装置などが良く知られている。これらの医用画像撮影装置は、外からは見ることのできない体内の様子を画像として表示するものであり、疾病の状況や怪我の状況などが正確に観察できるので、治療方針や手術計画の策定が確実に行えるなど、医療施設にとっては欠くことのできないものとなっている。また、X線CT装置や磁気共鳴イメージング装置では、収集したデータを基にリアルタイムで画像を再構成してモニタに表示することが可能である。一般にX線CT装置で得られる画像は、体軸に垂直なスライス画像であるが、それだけではなく、多数のスライス画像からボクセルデータを作成して、これを基にして任意多断面変換画像(MPR画像)などを形成し表示することも可能となっている。
【0003】
このMPR画像を形成するための三次元画像処理装置は、X線CT装置や磁気共鳴イメージング装置に備えられている場合もあるが、X線CT装置や磁気共鳴イメージング装置で得た三次元画像データをデイスク装置から読み込んで画像処理をするようにした独立した装置となっているものもある。そして、この三次元画像処理装置は、コンピュータ技術にも支えられて、画像処理の高速化や解像度の向上が進み、臨床情報として有用な種々の三次元画像を提供し、手術シミュレーションなどにおいて、消化管の腫瘍の形成や狭窄の状況を調べたり、病変の位置を特定したりする際の、消化管腔の画像化などに有効に利用され効果を発揮している。
【0004】
上述の三次元画像処理装置における画像処理について簡単に説明する。
【0005】
X線CT装置や磁気共鳴イメージング装置などの医用画像撮影装置で収集した画像データを、オブジェクトのボリュームデータとして配置する。そして、この三次元ボリューム空間において、ユーザの観察位置となる視点とこの視点からボリューム空間に対する観察方向を設定する。さらに設定した観察視点から、表示対象物のボリュームデータへ向ってレイを延ばし、所定のレンダリング処理を行うことによって、ユーザは、三次元ボリュームデータを二次元投影面上の二次元画像として観察することができる。
【0006】
そして、この画像処理の応用として、フライスルー手法がある。これは、ユーザの視点の位置を、移動方向や観察方向と共にレイを移動させることにより、ユーザがあたかも飛ぶ蝿の視野で捉えた被検体内の三次元画像を表示するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−51207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フライスルー手法は、ボリュームレンダリング法で作成したオブジェクトを、遠近法を用いて画像表示するものである。ところで従来、ボリュームレンダリング法で作成したオブジェクトについて、所望の範囲を詳細に観察するために拡大表示しようとすると、データ数が普遍のままの拡大操作となるため、画像がぼやけてしまうことになる。このような不具合を避けるために従来は、ボリューム画像の所望範囲に対してドリリング(掘削)処理を行い、観察したい部位に達したところでフライスルー画像を作成するようにしていた。
【0008】
すなわち、図7(a)に示すように、画像表示器1に表示されているボリューム画像2aに対して、観察したい部位に関心領域(以下、ROIと称する。)3を設定し、さらに図7(b)に示すようにドリリング処理する奥行き方向を指定するためのリファレンス画像2bを表示し、このリファレンス画像2bに対してドリリングしたい深さをROI3で指定してドリリング処理を行うものであった。なお、図7(a)はボリューム画像の正面図であり、図7(b)はボリューム画像の側面図である。
【0009】
しかしながら、ドリリングはスクリーンの奥行き方向へ直行するようにしか行うことができないという問題があった。また、ドリリングした内壁を観察したいときには、ドリリング処理を一旦終了させた上で、フライスー処理に切り替えなければならないため、操作が煩わしいという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
【0011】
なお、本明細書においてドリリング(掘削)とは、オブジェクトの1ボクセル毎に表示する/表示しないという仮想的に持つデータの集合体をセグメントデータと称するが、このセグメントデータを、指定されたROIの範囲(含む深さ)について「表示する状態」から「表示しない状態」に書き替えることを言う。そして、ドリリングの実行をドリリング処理という。
【0012】
例えば、ROIで指定された範囲について、不透明度や画素値を変えることによって、その範囲の画像の表示状態を変更することができ、不透明度をゼロにすればその範囲は透明となって画像として表れないようにすることができるので、このようなこともドリリングに含むものとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ボリュームデータを基に作成したオブジェクトからフライスルー画像を形成するフライスルー処理手段と、前記フライスルー画像上の所望位置にROIを設定するROI設定手段と、このROI設定手段で設定されたROIの位置を始点として視点位置から延長方向へ、前記オブジェクトをドリリングするドリリング処理手段とを具備することを特徴とする三次元画像処理装置である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の三次元画像処理装置において、前記ドリリング処理手段によるドリリング処理中に、予め抽出されている重要部位への接近状況をチェックし、この重要部位と前記ROIとの間の距離が、所定距離に達すると警告を発生する重要部位チェック手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の三次元画像処理装置において、前記重要部位チェック手段は、予め抽出されている前記重要部位に対して、ドリリング方向における前記ROI位置との最短距離を算出し、この距離が所定距離に達したときに警告を発生するものであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、ボリュームデータを基に作成したオブジェクトからフライスルー画像を形成するフライスルー処理手段と、前記フライスルー画像上の所望位置にROIを設定するROI設定手段と、このROI設定手段で設定されたROIの位置を始点として視点位置から延長方向へ、前記オブジェクトをドリリングするドリリング処理手段とを具備し、ドリリングしながらオブジェクトのフライスルー画像を表示することを特徴とする三次元画像表示方法である。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の三次元画像表示方法において、前記ROIの三次元上の位置および方向におけるMPR画像を形成するMPR画像形成手段をさらに備え、このMPR画像形成手段により形成されたMPR画像を、前記フライスルー画像の前記ROIの位置に貼り付けて表示することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の三次元画像表示方法において、前記ドリリング処理手段によるドリリング処理中に、予め抽出されている重要部位への接近状況をチェックする重要部位チェック手段をさらに備え、前記重要部位と前記ROIとの間の距離が、所定距離に達すると警告メッセージまたは前記重要部位と前記ROIとの間の距離を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記課題を解決するための手段の項にも示したとおり、本発明の特許請求の範囲に記載する各請求項の発明によれば、次のような効果を奏する。
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、任意の方向へドリリングしながらフライスルー画像を形成することができる。よって、従来のように、ドリリング処理を一旦終了させた後、フライスルー処理に切り替える操作が不要となり、ユーザの負担を軽減することができ、診断上或いは手術シミュレーションなどに有効な三次元画像をユーザへ提供することができる。
【0021】
請求項2および請求項3に記載の発明によれば、ドリリング処理の進行中に、重要部位に接近しているかどうかを知ることができるので、重要部位により早く接近したり、或いは確実に回避したりすることが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、任意の方向へドリリングしながらフライスルー画像を表示することができる。また、フライスルー画像は遠近法を使用した画像表示方法であり、掘削内壁を拡大表示しても画像がぼやけることがない。よって、従来のように、ドリリング処理を一旦終了させた後、フライスルー処理に切り替える操作が不要となり、ユーザの負担を軽減することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、MPR画像を表示することによって、ボリューム画像では、設定した閾値によって消えてしまう惧れのある例えば血管なども観察することができ、ユーザへ有用な診断情報を提供することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、ドリリング処理の進行中に、重要部位に接近しているかどうかを、表示によりユーザへ知らせることができるので、重要部位により早く接近したり、或いは確実に回避したりする操作を効率良く実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る三次元画像処理装置および三次元画像表示方法の一実施例について、図1ないし図6を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る三次元画像処理装置の一実施例の概略的な構成を示した系統図である。図1において、符号10を付して示したものは、画像データを保存しているハードディスク装置のような画像データ保存装置であり、例えばX線CT装置や磁気共鳴イメージング装置などで収集された画像データを保存しているものである。また、符号20を付して示したものは、本発明に係る三次元画像処理装置であり、画像データ保存装置10に保存されている画像データを読み出して、画像処理を行うたものであり、符号30を付して示したものは、三次元画像処理装置20で処理された画像を表示したり、処理に際してのメニューなどを表示したりするためのモニタである。
【0027】
なお、三次元画像処理装置20には、画像データ処理部21、ボリュームレンダリング画像表示部22、フライスルー機能部23、ROI表示機能部24、ドリリング機能部25、MPR表示機能部26、重要部位チェック機能部27、操作部28などを備えている。
【0028】
画像データ処理部21は、三次元画像を形成するために、通常画像データが二次元のスライスデータとして保存されている画像データ保存装置10から、このスライスデータをスライス方向に読み込んで、必要に応じてスライス間の補完処理なども行って三次元画像データを形成するものである。そして、ボリュームレンダリング画像表示部22は、画像データ処理部21で形成された三次元画像データを基にして、既知のボリュームレンダリング法によってボリュームレンダリング画像(これをオブジェクトと称する。)を形成するものであり、これをモニタ30へ供給すればモニタ30にボリュームレンダリング画像を表示することができる。
【0029】
また、フライスルー機能部23は、ボリュームレンダリング画像表示部22から、ボリュームレンダリング法で作成したオブジェクトの供給を受けて、フライスルー画像を形成するものであり、これをモニタ30へ供給すれば、遠近法によるフライスルー画像を表示することができる。そして、ROI表示機能部24は、このフライスルー画像に対して所望の位置にROIを設定するものである。このROIの形状は、円形、矩形或いはフリーのものを、所望に応じて選択して、モニタ30に表示されているフライスルー画像に設定する。
【0030】
ドリリング機能部25は、フライスルー画像に対して設定されたROIの形状に沿って奥行き方向へオブジェクトをドリリング(掘削)する処理を行うものである。この際、予め血管などの重要部位を抽出して、重要部位チェック機能部27にその位置に関する情報をプリセットしておくことにより、ドリリング処理中にその重要部位に近付いたときに警報を発するようにすることができる。また、MPR表示機能部26は、視点位置と方向とから、フライスルー画像に対して設定されたROIの位置座標を算出して、そこからMPR画像(任意多断面変換画像)を形成し、これをROIに貼り付ける処理を行うものである。
【0031】
なお、操作部28は、操作者が三次元画像処理装置20に対して各種操作指示を与えたり、操作をサポートするためのメニュー画面を表示したりするためのものであり、タッチパネルなどを備えている。
【0032】
次に、上記のように構成された三次元画像処理装置20によって実行される、三次元画像の作成と表示の動作ステップを、図2に示したフローチャートを参照して説明する。なお、既に画像データ処理部21において三次元画像データが形成されているものとする。
【0033】
先ずステップ1として、画像データ処理部21で形成された三次元画像データを基にして、ボリュームレンダリング画像表示部22においてボリュームレンダリング画像すなわちオブジェクトを形成する。そして形成されたボリュームレンダリング画像をモニタ30に表示する(ステップ2)。この状態で、三次元画像処理装置20に対してフライスルーモードとするように指示する(ステップ3)。この指示は、操作者が三次元画像処理装置20に設けられている操作部28のメニュー画面からフライスルーモード釦にタッチすることによって行われる。これによってフライスルー機能部23が作動して、モニタ30には、ボリュームレンダリング法で作成されたオブジェクトが、遠近法によるフライスルー画像として表示される。
【0034】
次にステップ4として、モニタ30に表示されたフライスルー画像に対して、ROIの設定処理を行う。すなわち、ROI表示機能部24によって例えば円ROIのような所望のROIを選択し、これをモニタ30に表示されているフライスルー画像の所望の位置に設定する。なお、ステップ4におけるROIの設定処理に合わせて、ステップ5としてオブジェクトを望む方向に、視点を設定する視点設定処理も行われる。
【0035】
ステップ4においてROIが設定されるとステップ6へ進み、視点位置からROIまでの距離がユーザによって指定されているか否かを判定する。予めユーザによって視点位置からROIまでの距離が指定されていると判断されたときはステップ7へ進み、ここでステップ5において設定した視点位置との関係からROIの表示位置を算出する。なお、ステップ6において、視点位置からROIまでの距離がユーザによって指定されていないと判定されたときは、デフォルトで指定されている位置にROIを設定するように、ステップ7において表示位置が算出される。そして、ステップ8として、ステップ7において計算された位置にROIを表示する。すなわち、モニタ30に表示されているフライスルー画像に対してROIが表示される。
【0036】
このような、オブジェクトに対する視点位置とROIの位置との関係を、図3および図4に示してある。
【0037】
すなわち、図3は、予めユーザによって視点位置からROIまでの距離が指定されている場合の様子を示したものであり、オブジェクト100を望む方向に視点200を置いたときに、ユーザによって視点位置200から距離D1の位置にROI300を置くように指定されていれば、視点位置200からその指定された距離D1のところにROI300を設定することになる。
【0038】
一方、図4は、予めユーザによって視点位置からROI300までの距離が指定されていない場合の様子を示したものである。このときには、視点200からオブジェクト100を望む方向であって、オブジェクト100の最も手前にROI300を設定することにしており、この場合は、視点200からROI300までの距離は例えばD0である。
【0039】
ROI300が表示されると、ステップ9へ進み、ドリリング機能部25の作用によって、フライスルー画像に対して表示されたROIの位置からドリリング処理が始まる。なお、ドリリングは、視点の方向に対して垂直なROIの面に対して行われる。このとき、視点が移動すれば視点位置からROIまでの距離を保ったまま視点の方向に対して垂直なROIの面に対してドリリングが行われる。
【0040】
なお、視点移動処理はステップ5における視点設定処理と同様に、ROI表示機能部24によるROIの設定やオブジェクトに対する視点の位置設定とともに、ユーザの操作によって行われる。
【0041】
図5は、掘削中における視点移動の様子を説明するために示したものである。すなわち、視点200からROI300へ向けてドリリングが行われているときに、視点を視点位置210へ移動させたとする。このときは、視点の移動に合わせてドリリング方向が順次変わり、視点位置210ではROI310で示す方向へのドリリングとなる。この間ドリリング処理は続けられている。
【0042】
さて、ステップ9におけるドリリング処理に平行して、MPR表示機能部26の作用によって、MPR処理が実行される。このMPR処理の流れとしては、ドリリング処理中の視点位置と方向とから、フライスルー画像に対して設定されたROIの位置座標を算出し(ステップ10)、そのときのROIの位置と方向におけるMPR画像を作成し(ステップ11)、その画像をROIの位置すなわち、ドリリングしている先端部に貼り付けて表示する(ステップ12)ものである。このMPR画像としては、アキシャル像、サジタル像、コロナル像のような直交断面像のみならず、オブリーク像となることもある。このように、掘削先にMPR画像を表示することは、ボリューム画像では、設定した閾値によっては消えてしまうような血管なども確実に表示することができるので、ユーザへ有用な診断情報を提供することとなり、臨床上極めて有効なものとなる。
【0043】
ドリリングが進むと、重要部位が近くにあるにも関らず見過ごしてしまうこともありがちである。そこで、ステップ9におけるドリリング処理の実行中に、ステップ13として重要部位チェック処理を実施する。この処理は、予め重要部位を抽出して、その外接矩形などの座標を登録してある、重要部位チェッ機能部27で行われる。すなわち、ドリリング中におけるROIの位置座標と重要部位の外接矩形の座標とから、ROIと重要部位の外接矩形間の最短距離を算出する。その結果をステップ14として、その距離が、ユーザがプリセットした距離以内かどうかを比較して、プリセットした距離以内(YES)であれば、モニタ30に警告メッセージを表示する(ステップ15)。
【0044】
よって、重要部位に近付いているかどうかを事前に知ることができ、重要部位側へ向ってドリリングを続けたいときにはより早く重要部位へ近付くことができる。逆に、重要部位を避けてドリリングしようとしている場合は、重要部位を確実に回避してドリリングを続けることができる。なお、ステップ14での比較結果がNO(プリセットした距離より遠い)であれば、そのままドリリングを進めて行き、一連の動作を終了させる。
【0045】
図6は、重要部位チェック処理の様子を説明するために示したものである。すなわち、重要部位400が血管だったとして、その重要部位400に対して外接矩形410を設定するとともに、その外接矩形410の座標を予め登録しておく。
【0046】
さらに、この外接矩形410にROI300がどこまで近付いたら警報を発するかを決めるための最短距離も設定しておく。従って、ドリリングの実行中は、ROI300と重要部位を示す外接矩形410との間の最短距離が、図中に点線の矢印で示したように、警告を発する距離に達しているか否かを、監視することになる。そして、両者間の距離がユーザの設定した距離より短くなったときに警告メッセージを発するようにしている。この警告メッセージとしては、「注意:重要部位に近付いています」というものであったり、具体的にその距離を数値で表示するものであってもよい。
【0047】
以上詳述したように本発明の実施形態によれば、任意の方向へドリリングしながらフライスルー画像を表示することができる。よって、従来のように、ドリリング処理を一旦終了させた後、フライスルー処理に切り替える操作が不要となり、ユーザの負担を軽減することができる。また、フライスルー画像は遠近法を使用した画像表示方法であり、ドリリングした内壁を拡大表示しても画像がぼやけることがなく、診断上或いは手術シミュレーションなどに有効な三次元画像をユーザへ提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る三次元画像処理装置の概略的な構成を示した系統図である。
【図2】本発明に係る三次元画像処理装置の動作ステップを示したフローチャートである。
【図3】オブジェクトに対する視点とROIとの位置関係を示した説明図である。
【図4】オブジェクトに対する視点とROIとの位置関係の他の態様を示した説明図である。
【図5】ドリリング処理中における視点移動の様子を説明するために示した説明図である。
【図6】重要部位チェック処理の様子を説明するために示した説明図である。
【図7】従来のドリリングの様子を説明するために示した説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 画像データ保存装置
20 三次元画像処理装置
21 画像データ処理部
22 ボリュームレンダリング画像表示部
23 フライスルー機能部
24 ROI表示機能部
25 ドリリング機能部
26 MPR表示機能部
27 重要部位チェック機能部
28 操作部
30 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームデータを基に作成したオブジェクトからフライスルー画像を形成するフライスルー処理手段と、
前記フライスルー画像上の所望位置にROIを設定するROI設定手段と、
このROI設定手段で設定されたROIの位置を始点として視点位置から延長方向へ、前記オブジェクトをドリリングするドリリング処理手段と
を具備することを特徴とする三次元画像処理装置。
【請求項2】
前記ドリリング処理手段によるドリリング処理中に、予め抽出されている重要部位への接近状況をチェックし、この重要部位と前記ROIとの間の距離が、所定距離に達すると警告を発生する重要部位チェック手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の三次元画像処理装置。
【請求項3】
前記重要部位チェック手段は、予め抽出されている前記重要部位に対して、ドリリング方向における前記ROI位置との最短距離を算出し、この距離が所定距離に達したときに警告を発生するものであることを特徴とする請求項2に記載の三次元画像処理装置。
【請求項4】
ボリュームデータを基に作成したオブジェクトからフライスルー画像を形成するフライスルー処理手段と、
前記フライスルー画像上の所望位置にROIを設定するROI設定手段と、
このROI設定手段で設定されたROIの位置を始点として視点位置から延長方向へ、前記オブジェクトをドリリングするドリリング処理手段と
を具備し、ドリリングしながらオブジェクトのフライスルー画像を表示することを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項5】
前記ROIの三次元上の位置および方向におけるMPR画像を形成するMPR画像形成手段をさらに備え、
このMPR画像形成手段により形成されたMPR画像を、前記フライスルー画像の前記ROIの位置に貼り付けて表示することを特徴とする請求項4に記載の三次元画像表示方法。
【請求項6】
前記ドリリング処理手段によるドリリング処理中に、予め抽出されている重要部位への接近状況をチェックする重要部位チェック手段をさらに備え、
前記重要部位と前記ROIとの間の距離が、所定距離に達すると警告メッセージまたは前記重要部位と前記ROIとの間の距離を表示することを特徴とする請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の三次元画像表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−334259(P2006−334259A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165089(P2005−165089)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】