説明

三輪車の後輪サスペンション

【課題】旋回の安全性およびロールの安全性を増大させた三輪車の後輪サスペンションを提供する。
【解決手段】車体フレームに2つの前輪と1つの後輪が装着される三輪車の後輪サスペンションであって、前輪と連結し、車両の旋回に応じてねじれが発生するロールリンク、ロールリンクのねじれに応じて軸回転するロールコネクタ、および後輪と結合して、車体フレームの後方終端部に装着され、ロールコネクタの回転に応じて左右方向に旋回するようにロールコネクタと連結されるナックル組立体、を含み、ナックル組立体は、前輪の旋回方向と同じ方向に旋回し、ロールコネクタは、終端に第1傘歯車が形成されたロールシャフトと結合され、ナックル組立体の上端には、第1傘歯車と噛合する第2傘歯車が装着されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三輪車の後輪サスペンションに係り、より詳しくは、前輪2つと後輪1つで構成される三輪車において、旋回の安全性を向上させるために、車両の旋回方向に沿ってトー角および/またはキャンバー角が調節されることにより、後輪の操向が自動的に調節される三輪車の後輪サスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的に車両の燃費を改善するための努力が続いている。このような努力の一環として、パワートレインの性能を改善する研究、および車両の重量を低減させる研究が続いている。この研究の成果の一つとして、三輪車が環境に配慮した移動手段またはより軽量化した運送手段として新たに開発されている。
このように、軽量化および親環境性をコンセプトとして開発された三輪車は、1つの前輪と2つの後輪で構成された三角形構造のもの、および2つの前輪と1つの後輪で構成された逆三角形構造のものがあり、四輪車に比べて軽量化および燃費向上の点で長所はあるが、走行安全性が低下するという短所がある。
このうち、前輪が2つで後輪が1つである三輪車に適用される従来の後輪サスペンションは、バイクの後輪に一般的に適用された方式であって、上下運動のみが可能な、スイングアームタイプが主に適用されていた。
【0003】
図1に従来のスイングアームタイプのサスペンションが装着された三輪車の形状および従来のスイングアーム方式のサスペンションを単純化して示した。
図1に示したとおり、前輪が2つで後輪が1つである三輪車において、従来のサスペンション構造は、車体フレームの後方終端部で「H」字形状のアーム(arm)がヒンジピンによって結合されて上下にヒンジ回動(上下ピボット運動)し、ダンピングストロット(図示せず)のバンプ(bump)およびリバウンド(rebound)運動によって衝撃が緩衝されるように構成される。すなわち、アームは、後輪の回転軸(axis of rotation)が後方終端部に結合され、前方終端部はヒンジピンによって車体フレームに結合され、地面の凹凸によって上下ピボット運動をするように構成されていた(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
しかし、後輪が1つである三輪車に、四輪車と同じ性能のタイヤが装着された場合、コーナリング力が半分の水準にまで低下する。したがって、同じコースを旋回するとき、四輪車に比べて後輪の横力(車両の旋回によって横側方向に作用する力を支持する力)が小さく、スピンアウト(spin−out)が発生する可能性が増加した。すなわち、旋回の安全性が低下するという問題点があった。
さらに、上述のスイングアームタイプのサスペンション構造は、横力が作用するとき、振動および変形を吸収するためのサスペンション用ゴム材ブッシュが外力によって変形されてアライメントが変わり、ハンドルが操向されたような現象が発生するコンプライアンス効果によってトーアウト(toe−out)が発生する恐れがあった。
すなわち、このように構成されたスイングアームタイプのサスペンションは、車両の旋回時に発生する遠心力と横力により、オーバーステアモーメントが誘発され、車両の旋回安全性が低下した。これによって後輪が正常軌道を離脱し、車両の走行安全性が低下するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−076979号公報
【特許文献2】特開2002−211469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、旋回の安全性およびロールの安全性を増大させた三輪車の後輪サスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するためになされた本発明の三輪車の第1実施形態に係る後輪サスペンションは、車体フレームに2つの前輪と1つの後輪が装着される三輪車の後輪サスペンションであって、前輪と連結され、車両の旋回に応じてねじれが発生するロールリンク、ロールリンクのねじれに応じて軸回転するロールコネクタ、および後輪と結合して、車体フレームの後方終端部に装着され、ロールコネクタの回転に応じて左右方向に旋回するようにロールコネクタと連結されるナックル組立体、を含み、ナックル組立体は、前輪の旋回方向と同じ方向に旋回することを特徴とする。
【0008】
ロールコネクタは、終端に第1傘歯車が形成されたロールシャフトと結合され、ナックル組立体の上端には、第1傘歯車と噛合する第2傘歯車が装着されたことを特徴とする。
また、ナックル組立体は、一側終端には後輪の回転軸が結合するフォークアーム、および車体フレームの後方終端部で左右方向に回転可能に装着され、フォークアームの他側終端がヒンジシャフトを介して上下方向に回動可能に結合され、上端に第2傘歯車が装着された回動支持部を含んで構成されたことを特徴とする。
さらに、車体フレームの後方終端部には、上側に突出するように折り曲げられた湾曲部が形成され、回動支持部は湾曲部に装着されたことを特徴とする。
ロールリンクは、ロールシャフトの両側に対向して配置され、一側終端が前輪の旋回に応じて上昇または下降するドロップリンクとボールジョイント結合によって連結され、他側終端は中央に配置されたロールコネクタによって連結されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2実施形態に係る三輪車の後輪サスペンションは、車体フレームに2つの前輪と1つの後輪が装着される三輪車の後輪サスペンションであって、前輪と連結され、車両の旋回に応じてねじれが発生するロールリンク、ロールリンクのねじれに応じて軸回転するロールコネクタ、および後輪と結合して、車体フレームの後方終端部に装着され、ロールコネクタの回転に応じて回動するロールコネクタと連結されるナックル組立体、を含み、ナックル組立体は前輪の旋回方向に応じて回動して後輪のトー角を変化させ、回動に応じて軸回転して後輪のキャンバー角を変化させるように車体フレームに装着されたことを特徴とする。
【0010】
ナックル組立体は、一側終端部に後輪の回転軸が結合するフォークアーム、後輪のトー角を変化させるように車体フレームの後方終端部で左右方向に回転可能に装着され、ロールコネクタと連結されるトーコネクタ、およびフォークアームとトーコネクタを連結し、フォークアームが左右方向に回転するに応じて後輪のキャンバー角の変化を誘導するフォークアームの軸回転が発生するように車体フレーム終端部に連結されるキャンバーコネクタ、を含むことを特徴とする。
ロールコネクタは後方終端に第1傘歯車が形成されたロールシャフトと結合され、トーコネクタには車体フレームを上側へ貫いて第1傘歯車と噛合する第2傘歯車が形成され、キャンバーコネクタには折り曲げられて形成されたトーコネクタの後方終端部を貫き、車体フレームの終端に形成されたガイドギアと噛合する第3傘歯車が形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、車体フレームの後方は、上側に突出するように折り曲げられた湾曲部が形成され、トーコネクタは湾曲部に装着されたことを特徴とする。
なお、ロールリンクは、ロールシャフトの両側に対向して配置され、一側終端が前輪の旋回に応じて上昇または下降するドロップリンクとボールジョイント結合によって連結され、他側終端は中央に配置されたロールコネクタに連結されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述した構成の本発明の後輪サスペンション構造は、車両の旋回に応じて車両のアンダーステアを誘発するように後輪のトーイン(toe−in)が誘導される構造、すなわち、前輪の旋回方向と同じ方向に後輪が旋回する構造によってスピンアウトを防ぎ、旋回の安全性を向上させることができるアンティロール(anti−roll)効果をもたらす。
また、ロールコネクタとナックル組立体は、ロールシャフトを通じて回転力が伝達される構造により、車体フレームの長さに拘わらず、本発明の構造を適用することができる。
【0013】
ナックル組立体は、左右方向の旋回だけではなく上下方向に回転可能であるため図示していないダンピングスロットと結合し、地面から伝達される衝撃を緩衝することができ、車体フレームの後方に形成された湾曲部に装着されるため、地面から車体フレームの高さを低くすることができる。
なお、ロールリンクは、ロールシャフトの両側に対抗して配置され、ボールジョイント結合によって連結するため、ロールコネクタをより効率的に軸回転させることができる。
さらに、本発明の第2実施形態に係る後輪サスペンション構造は、車両の旋回に応じて、車両のアンダーステアを誘発するように、後輪のトー角とキャンバー角が自動的に変化させる構造であって、スピンアウトを防ぎ、旋回の安全性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のスイングアームタイプのサスペンションが装着された三輪車の形状および従来のスイングアーム方式のサスペンションを単純化して示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る三輪車の後輪サスペンションを単純化して示した斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の直進走行時の動作を示した作動図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の左回転時の動作を示した作動図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る三輪車の後輪サスペンションを単純化して示した斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【図8】本発明のトーコネクタとキャンバーコネクタとが車体フレームに結合された形状を示した斜視図である。
【図9】本発明のトーコネクタとキャンバーコネクタとが車体フレームに結合された形状を示した側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の直進走行時の動作を示した作動図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の左回転時の動作を示した作動図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る三輪車の後輪サスペンションについて詳しく説明する。
図2は本発明の第1実施形態に係る三輪車の後輪サスペンションを単純化して示した斜視図である。図3はその分解斜視図である。
【0016】
[第1実施形態]
図2,3に示したとおり、本発明の第1実施形態に係る車体フレーム10は、所定の広さを有する構造であって、前方側には両側に2つの前輪2a、2bが装着される。それぞれの前輪2a、2bは、車両の旋回に応じて上下に回動するロアアーム3を介して車体フレーム10に連結される。
また、それぞれのロアアーム3は、ドロップリンク21を介してロールリンク20に連結される。ロールリンク20は、「S」字型に折り曲げられた形状を有するバー(bar)であり、車体フレーム10に敷設されたマウント部材12を回転軸にねじることができるように装着される。すなわち、マウント部材12に装着されてドロップリンク21を介して力が伝達されたロールリンク20は、ドロップリンク21が結合した一側終端が下降すれば他側終端は上昇し、ドロップリンク21が結合した一側終端が上昇すれば他側終端は下降するようにねじれ運動をする。ドロップリンク21とロアアーム3は、ボールジョイント(ball joint)結合方式によって連結される。
【0017】
ロールシャフト50の両側で互いに対向して配置されたロールリンク20の終端は、ロールコネクタ30に連結される。ロールコネクタ30は円筒形状を有し、車体フレーム10の長さ方向に沿って回転するように配置される。また、ロールコネクタ30は、ロールリンク20の両側の各終端が連結するようにリンクバー31が結合される。したがって、ロールリンク20のねじれに応じてロールコネクタ30が軸回転をする。
【0018】
さらに、ロールコネクタ30の後方側にはロールシャフト50が結合される。
ロールシャフト50とロールコネクタ30は、回転力の伝達のためにセレーション(serration)構造によって連結される。すなわち、ロールシャフト50の一側終端には長さ方向に突出したギア歯(gear teeth)52が周囲に沿って配置され、ロールコネクタ30にはギア歯52を挟んで噛み合うことができる嵌合ホーム32が形成される。さらに、ロールシャフト50の他側終端には、後輪1と結合したナックル組立体40に動力を伝達する第1傘歯車51が装着される。
ナックル組立体40は、フォークアーム41と回動支持部42が結合して構成される。フォークアーム41は「H」字形状であって、後方側終端部に後輪1の回転軸が結合される。また、フォークアーム41の前方側終端部は、上下方向に回動可能なように、ヒンジシャフト44を介して回動支持部42に結合される。
【0019】
回動支持部42は、車体フレーム10の後方終端部から上側に突出するように折り曲げられて形成された湾曲部11の下部に装着され、湾曲部11を貫いて上側で第2傘歯車43が結合される。第2傘歯車43は第1傘歯車51と噛合し、ロールシャフト50の回転力を回動支持部42に伝達する。
したがって、上述した構成のナックル組立体40は、前輪の旋回方向と同じ方向に旋回する(図5の矢印参照)。すなわち、車両の旋回時に、車体の傾きはロールリンク20のねじれを発生させ、ロールリンク20のねじれはロールコネクタ30を回転させ、ロールコネクタ30の回転力はロールシャフト50を介してナックル組立体40の回動支持部42に伝達され、後輪1を旋回させる。
【0020】
図4は本発明の第1実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の直進走行時の動作を示した作動図であり、図5は本発明の第1実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の左回転時の動作を示した作動図である。
図4に示したとおり、車両の直進時にはロールリンク20のねじれが発生しないため、後輪1は旋回しない。一方、車両が旋回すれば、車両の重量中心移動によって発生したロールリンク20のねじれは、図5において矢印で表示した方向に沿って回転力に変換した後、ナックル組立体40に伝達され、後輪1が旋回する。
ちなみに、本発明の好ましい実施形態として、傘歯車およびセレーション構造を動力伝達装置として例示したが、ラックギアやウォームギア、さらには他のリンク構造などに変形して実施することができる。
さらに、後輪の旋回程度は、第1傘歯車と第2傘歯車のギア比の調節によって車両の設計条件に応じて定めることができ、ロールリンクのねじれに応じてロールコネクタの回転を増加または減少させることができる別途のリンク装置またはギア装置を間に追加することができる。
【0021】
[第2実施形態]
図6は本発明の第2実施形態に係る三輪車の後輪サスペンションを単純化して示した斜視図であり、図7はその分解斜視図である。
図6,7に示したとおり、本発明の第2実施形態においても、車体フレーム10は、所定の広さを有する構造であって、前方側には両側に2つの前輪2a、2bが装着され、それぞれの前輪2a、2bは、車両の旋回に応じて上下に回動するロアアーム3を介して車体フレーム10に装着される。
第1実施形態と同様、それぞれのロアアーム3は、ドロップリンク21を介してロールリンク20に連結される。ロールリンク20は、「S」字型に折り曲げられた形状を有するバー(bar)であり、車体フレーム10に敷設されたマウント部材12を回転軸にねじることができるように装着される。
【0022】
車体フレーム10の後方に装着されるナックル組立体40は、前輪2a、2bの旋回方向に応じて回動して後輪1のトー角を変化させ、トー角を変化させる回動に応じて軸回転して後輪1のキャンバー角も変化させるように装着される。
ナックル組立体40は、フォークアーム60、トーコネクタ70、およびキャンバーコネクタ80を結合して構成される。フォークアーム60は、第1実施形態のフォークアーム41と同様「H」字形状であって、後方側終端部に後輪1の回転軸が結合される。また、フォークアーム60の前方側終端部は、上下方向に回動可能なように、ヒンジシャフト82を介してキャンバーコネクタ80に結合される。
【0023】
キャンバーコネクタ80は、トーコネクタ70を介して車体フレーム10の後方側終端部に連結される。トーコネクタ70は、後輪1のトー角を変化させるように車体フレーム10の後方終端部で左右方向に回転可能に装着される。キャンバーコネクタ80は、フォークアーム60とトーコネクタ70を連結して、フォークアーム60が左右方向に回転することに応じて後輪1のキャンバー角の変化(地面との傾き変化)を誘導するフォークアーム60の軸回転が発生するように車体フレーム10の終端にギアー噛合される。
【0024】
図8は本発明のトーコネクタとキャンバーコネクタとが車体フレームに結合された形状を示した斜視図であり、図9は本発明のトーコネクタとキャンバーコネクタとが車体フレームに結合された形状を示した側面図である。
図8,9に示したとおり、ロールコネクタ30と結合したロールシャフト50の後方終端には第1傘歯車51が形成され、第1傘歯車51はトーコネクタ70から突出する第2傘歯車71と噛合される。したがって、第2傘歯車71は車体フレーム10を上側へ貫いて左右方向に回動可能に結合される。また、キャンバーコネクタ80の前方終端には第3傘歯車81が突出し、トーコネクタ70の後方終端部は、第3傘歯車81が貫いて軸回転可能に結合するように、上側に折り曲げられた形状で形成される。第3傘歯車81は、車体フレーム10の終端で半円(half−circle)形状に形成された(または、固定結合した)ガイドギア13と噛合して連結される。
【0025】
一方、トーコネクタ70は、車体フレーム10の後方から上側に突出するように折り曲げられて形成された湾曲部11の下部に装着される。
したがって、上述した構成のナックル組立体40は、前輪2a、2bの旋回方向と同じ方向に後輪1のトー角を変化させ、車体フレーム10のねじれ方向(軸回転方向)と反対方向に後輪1が傾くようにキャンバー角を変化させる(図7の矢印方向参照)。
すなわち、車両の旋回時の遠心力による車体フレーム10の傾きは、ロールリンク20のねじれを発生させ、ロールリンク20のねじれはロールコネクタ30を回転させ、ロールコネクタ30の回転力はロールシャフト50を介してナックル組立体40のトーコネクタ70に伝達されて後輪1のトー角を変化させ、トーコネクタ70の回動とともに、キャンバーコネクタ80も軸回転することによって、後輪1のキャンバー角を変化させる。
【0026】
図10は本発明の第2実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の直進走行時の動作を示した作動図であり、図11は本発明の第2実施形態に係る後輪サスペンションが適用された三輪車の左回転時の動作を示した作動図である。
図10に示したとおり、車両の直進時にはロールリンク20のねじれが発生しないため、後輪1のトー角とキャンバー角は変化しない。一方、車両が旋回すれば、車両の重量中心移動によって発生したロールリンク20のねじれは、図11において矢印で表示された回転力に変換された後、トーコネクタ70とキャンバーコネクタ80からなるナックル組立体40に伝達されることにより、後輪1のトー角とキャンバー角の変化を誘導する。
【0027】
ちなみに、本発明の好ましい実施形態では、傘歯車およびセレーション構造を動力伝達装置として例示したが、ラックギアやウォームギア、さらには他のリンク構造などに変形して実施することができる。
さらに、後輪の旋回程度は、第1傘歯車51と第2傘歯車71のギア比および第3傘歯車81とガイドギア13のギア比調節によって車両の設計条件に応じて定めることができ、ロールリンク20のねじれに応じてロールコネクタ30の回転を増加または減少させることができる別途のリンク装置またはギア装置を間に追加することができる。
【0028】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を習得した者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 ・・・後輪
2a、2b ・・・前輪
3 ・・・ロアアーム
10 ・・・車体フレーム
11 ・・・湾曲部
12 ・・・マウント部材
13 ・・・ガイドギア
20 ・・・ロールリンク
21 ・・・ドロップリンク
30 ・・・ロールコネクタ
31 ・・・リンクバー
32 ・・・嵌合ホーム
40 ・・・ナックル組立体
41,60 ・・・フォークアーム
42 ・・・回動支持部
43,71 ・・・第2傘歯車
44,82 ・・・ヒンジシャフト
50 ・・・ロールシャフト
51 ・・・第1傘歯車
52 ・・・ギア歯
70 ・・・トーコネクタ
80 ・・・キャンバーコネクタ
81 ・・・第3傘歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに2つの前輪と1つの後輪が装着される三輪車の後輪サスペンションであって、
前記前輪と連結され、車両の旋回に応じてねじれが発生するロールリンク、
前記ロールリンクのねじれに応じて軸回転するロールコネクタ、および
後輪と結合して、車体フレームの後方終端部に装着され、ロールコネクタの回転に応じて左右方向に旋回するように前記ロールコネクタと連結されるナックル組立体、を含み、
前記ナックル組立体は、前輪の旋回方向と同じ方向に旋回することを特徴とする三輪車の後輪サスペンション。
【請求項2】
前記ロールコネクタは、終端に第1傘歯車が形成されたロールシャフトと結合され、前記ナックル組立体の上端には、第1傘歯車と噛合する第2傘歯車が装着されたことを特徴とする請求項1に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項3】
前記ナックル組立体は、一側終端部には後輪の回転軸が結合するフォークアーム、および前記車体フレームの後方終端部で左右方向に回転可能に装着され、フォークアームの他側終端部がヒンジシャフトを介して上下方向に回動可能に結合され、上端に第2傘歯車が装着された回動支持部、を含んで構成されたことを特徴とする請求項2に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項4】
前記車体フレームの後方終端部には、上側に突出するように折り曲げられた湾曲部が形成され、前記回動支持部は湾曲部に装着されたことを特徴とする請求項3に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項5】
前記ロールリンクは、ロールシャフトの両側に対向して配置され、一側終端が前輪の旋回に応じて上昇または下降するドロップリンクとボールジョイント結合によって連結され、他側終端は中央に配置されたロールコネクタによって連結されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項6】
車体フレームに2つの前輪と1つの後輪が装着される三輪車の後輪サスペンションであって、
前記前輪と連結され、車両の旋回に応じてねじれが発生するロールリンク、
前記ロールリンクのねじれに応じて軸回転するロールコネクタ、および
後輪と結合して、車体フレームの後方終端部に装着され、ロールコネクタの回転に応じて回動する前記ロールコネクタと連結されるナックル組立体、を含み、
前記ナックル組立体は前輪の旋回方向に応じて回動して後輪のトー角を変化させ、前記回動に応じて軸回転して後輪のキャンバー角を変化させるように車体フレームに装着されたことを特徴とする三輪車の後輪サスペンション。
【請求項7】
前記ナックル組立体は、
一側終端部には後輪の回転軸が結合するフォークアーム、
後輪のトー角を変化させるように車体フレームの後方終端部で左右方向に回転可能に装着され、ロールコネクタと連結されるトーコネクタ、および
前記フォークアームとトーコネクタを連結し、フォークアームが左右方向に回転するに応じて後輪のキャンバー角の変化を誘導するフォークアームの軸回転が発生するように車体フレーム終端部に連結されるキャンバーコネクタ、を含むことを特徴とする請求項6に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項8】
前記ロールコネクタは後方終端に第1傘歯車が形成されたロールシャフトと結合され、前記トーコネクタには車体フレームを上側へ貫いて第1傘歯車と噛合する第2傘歯車が形成され、
前記キャンバーコネクタには折り曲げられて形成されたトーコネクタの後方終端部を貫き、車体フレームの終端に形成されたガイドギアと噛合する第3傘歯車が形成されたことを特徴とする請求項7に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項9】
前記車体フレームの後方は、上側に突出するように折り曲げられた湾曲部が形成され、前記トーコネクタは湾曲部に装着されたことを特徴とする請求項8に記載の三輪車の後輪サスペンション。
【請求項10】
前記ロールリンクは、ロールシャフトの両側に対向して配置され、一側終端が前輪の旋回に応じて上昇または下降するドロップリンクとボールジョイント結合によって連結され、他側終端は中央に配置されたロールコネクタに連結されたことを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の三輪車の後輪サスペンション。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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